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2002年1月19日(土)【文化芸術振興基本法】
2002年1月19日(土) 【文化芸術振興基本法】

 やや、専門的になるのをお許し下さい。

 本日は、NPOミーツさんなどが中心となった実行委員会による「文化芸術振興基本法を考える。シンポジウム」が、開催されました。非常に盛会で素晴らしい会でした。
 ちなみに、「文化芸術振興基本法」は、昨年12月7日に公布、施行されました。

 昨年の12月議会で、私も、臆面もなく取り上げましたが、実は、百歩譲っても、この議員立法は、公明党の実績によるところが大であるのは否めません。

 ご記憶の方は、少ないと思いますが、昨夏の参議院選挙で、公明党が21世紀の日本のあるべき姿を「文化芸術大国」と提言、党独自の選挙公約としていました。議員立法といえども、これは、公明党のひとつの実績として、正当に評価すべきだと思います。


 公明党は、法案をつくる過程で、50を超える文化芸術関連諸団体や多くの芸術家、文化人との意見交換を重ね、これを集約して党独自の「芸術文化振興基本法案」をまとめ、成立した振興基本法は公明党案がベースになっています。

 同法では、文化芸術振興に関する施策の策定と実施、そのために必要な法制・財政上の措置を講じることなどを国および地方公共団体に義務付けています。
 また基本的施策として、音楽や演劇などの芸術、伝統芸能、映画やアニメなどのメディア芸術への支援や、芸術家の養成と確保のための支援、劇場や音楽堂などの文化施設の整備・充実などを明示しているのも特徴です。

 また、例えば文学、短歌、俳句、能、狂言などを十分理解したり、国際交流を進め相互理解を深めるためには、他国の文化を学ぶと同時に自国の文化を発信する必要があるということで、国語の理解、日本語教育の充実を掲げているのは、おもしろいと思います。


 ただ、今日のシンポジウムを通して、幾つかの問題点が浮かび上がりました。以下、私が、重要と感じた問題です。

 例えば、地方公共団体は、「国との連携を図りつつ」、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有することを定めていますが、文化芸術の振興には、自主性、創造性、独創性が尊重されなければならないとする一方で、どこまで、国が関与すべきかは、問題です。
 新国立劇場の民営化論が、浮上するように、各美術館などの独立行政法人化等が言われる昨今、矛盾した施策と言えなくもありません。

 この点については、芸術監督のような仕組みの是非、例えば、NPOに委託するか、またそのNPOが、どのようにマネージメントするか、また、そういう人材をどのように育成するか、文化施策を提言するシンクタンクの必要性等々という今日的課題に結びつきます。

 文化芸術については、ジャッジの仕方がオープンにされ、責任の所在が、明確であれば、公平である必要はない。パブリックとは、行政が決めるということではなく、公共的な役割を果たすことを皆(市民)で決めていく、ということである、という指摘は、首肯できました。

 さらに、具体的には、財政面からの支援を講じるよう求めていますが、財政支援や税の優遇措置の具体化はこれからです。
 国が直接財政支援するフランス型、寄付金に対する所得控除などの優遇税制により民間支援を促すアメリカ型、がありますが、今回は、その両面で進める、いわば「日本型」をとりました。
 このことも、国の関与を生み、国家迎合芸術だけが生き残る、という指摘がありました。


 以下は、私の考えです。

 12月議会での私の一般質問に対して、知事は否定的な答弁でしたが、やはり、芸術文化振興に関しては、専門の部局、あるいは、全部局横断的なマトリックス組織の必要性を感じます。

 また、芸術文化組織自体のネットワークが必要なように思いますが、実は、芸術文化は、NPO法でいうNPOよりも、かなり概念が広いようにも感じますし、なかなか難しいのではないかなと思います。しかし、必要です。

 個人的にも、同法に挙げるような多くの文化芸術組織と関わりを持たさせて頂いておりますが、例えば、ホール、展示場等拠点施設のイメージひとつとっても、求めらているものは全く異なります。
 具体的には、県民文化ホール(新・県文化センター)の必要性を感じます。もちろん、お金はないのですが。

 加えて、行政と各文化芸術団体の間を取り持つコーディネーターを誰が果たすのかも、非常に問題です。これは、NPOと行政の関係と同じです。

 さらに、個人的には、文化芸術も、環境、福祉同様、ビジネスに結びついても良いと思いますが、このあたりの理解も必要です。

 NPO法ほど、議論百出ではなかったのか、いつのまにやら、できていたような法律ですが、ただの精神規定にしては意味がありません。

 いずれにせよ、私も理解が不十分です。勉強中です。


 というわけで、今度は、市職労主催の「岡山市政フォーラム」が下記のように開催されます。お知りあいの方が多く出られますので、ちょいと、ご案内させて頂きます。

 「まち、文化、そしてミュージアム」
 2002年1月25日(金)午後6時30分から
 オリエント美術館ホール



(付録)

 長文になりますが、先の12月議会の私の一般質問より、文化芸術に関する部分を抜粋します。なお、答弁のホームページ上での公開は、2月25日になります。一部は、今回の問題の先取りの感もあります。

 『
 次に、文化芸術についてお伺い致します。私は、文化では飯が食えないというのは、アメリカのハリウッドの映画産業の世界戦略ひとつとってみても、大きな間違いであると思いますが、文化芸術につきましては、まずもって、昭和61年から全国各地において開催されている国民文化祭が、平成21年度以降の早い時期に、岡山県に誘致・開催されること、平成12年3月に策定された「岡山県文化振興ビジョン」の実現、「岡山県芸術祭」の「県民文化祭」への移行、岡山県文化連盟(仮称)の創設を切望致します。

 さて、知事は、文化は、県民一人ひとりの自主的・創造的な活動が創り出していくものであり、行政の役割は、県民の文化活動を促進するための支援や環境づくりをすることであるとされますが、先日、超党派で、「文化芸術振興基本法」が成立しました。

 とりわけ、舞台芸術分野においては、近世以降わが国でおかれてきた偏狭な概念が国家の名において是正され、その環境整備の必要性が公文書、それも法律として明記されたとして、非常に高く評価され、大きな励みとなっています。

「新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)」の中での位置づけを含め、今後、この法制化を地域で具体的に実質化させていくための指針や施策をお知らせください。


 次に、新千年紀記念事業として、岡山駅前東口広場に「吉備沃野」というパブリック・アートが、できたわけですが、このアートの芸術性は、高く評価できても、他に利用価値のある公共空間に、行政主導で、パブリックアートが作られる過程に、私はやや疑問を感じます。

 公共施設におけるアートの作成過程においては、行政主導でなく、文化施設の運営や芸術文化団体の活動を担う人材や団体を育成する観点からの取組みが必要であると考えますが、どういう哲学があるのか、ご教示頂ければ幸いです。


 さらに、ビジョンの中では、文化情報提供機能の充実を掲げられていますが、岡山情報ハイウエイの活用として、ネット内博物館、デジタルミュージアムなどの可能性について、どのようにお考えでしょうか。


 また、ビジョンの中では、文化施設の利用促進と整備を掲げられていますが、岡山県が誇る文化ゾーンである後楽園・城下周辺につき、出石町再開発、旧日銀も含めて、今後の整備方針について企画振興部長にお伺いいたします。


 特に、商店街のみならず、文化ゾーンの玄関口である表町地下駐車場の見直しについては、まさに国の予算の重点7分野の一つである都市再生そのものに関する地域のことであり、2万人の居住可能性のある中心市街地において、駐車場そのものを縮小する以外に方策はないのか、土木部長にお尋ねします。


 さらに、ビジョンの中で、 文化振興の推進体制の充実を掲げられていますが、文化施策は、まさに、様々な機会を活用した県民ニーズの把握が必要であり、NPOも深く絡んでくるという、まちづくりそのものの話であり、知事のもとにあるのが、適切だと考えますが、如何でしょうか。   』

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