2002年8月1日(木)
【あいずっこ宣言 ならぬことはならぬ】

 昨夜、県外調査から戻り、本日は、祖母の初盆(施餓鬼)の行事や、展覧会にお邪魔して、また、夜からは、地域の夏祭りです。

 さて、今回の調査は、井原線を意識した阿武隈急行の調査や、総合福祉ボランティアNPO会館を意識した、とちぎ福祉プラザや東京ボランティア市民活動センターの調査が主で、福島市から宇都宮市、東京都に南下するバスツアーの面持ちでした。
 外は暑いは、長時間バスに揺られ、多少腰に応えました。


 実は、年々この県外調査は、縮小されつつありますが、それはつまり、宿舎のランクが下がったり、朝食や昼食、視察後の夕食が、原則自腹になるといったことで、当然といえば当然で、個人的には、街の散策に出掛けるために、夜に解放されるというのはありがたく、良い傾向だと思います。

 ただ、物見遊山ではありませんが、調査地までの道中こそが、勉強になったり、あるいは、こういう時でしか、他党議員と話せないようなこともあり、なんでもギチギチにすることが、結果として好ましいとも思えません。


 もっとも、問題は、調査費用が予め条例化されているということで、公費で行く出張として、どれだけ、県政に反映されるかということであり、遠くない将来、希望者のみの県外調査で、参加者が、実費支払い、あるいは、一部補助にすべきではないか、という議論は出てくるかもしれません。
 自腹で、どこに行こうが、それならば、勝手にしんせい、というものです。

 その方が、行程についても、私どもの昨秋の上海ツアーのごとく、いかに実を挙げるか、真剣に、無駄のないように考えるでしょう。
 少なくとも、たいていは学生時代に、青春18きっぷを使って訪ねた懐かしい街を、なにか後ろめたいような気持ちで、公費でこそこそ行っているのではないか、と感じないで済みます。
 そういうプライドとか、良識は、人間として持っていたいものです。


 ともあれ、皆様から、税金泥棒と罵倒されないためにも、せめて、視察先やJRの駅や観光案内所で、そこらにあるできるだけのパンフレットの類をかき集めて、その街の雰囲気というのを知ろう、岡山に還元できるものを探そう、としています。他議員から「コレクター」と笑われつつも、移動中や宿舎で、資料として見るように心がけています。

 今回は、特に、浜通り、中通り、会津と三地区に分かれる福島県の中通りにある県庁所在地・福島市とそれよりさらに人口規模の大きい郡山市の関係に岡山市と倉敷市の関係を見たり、人口規模が岡山県と非常に近い栃木県の掲げる「とちぎ21世紀プラン」が、岡山県の「夢づくりプラン」と、うりふたつ(コンサルが、同じか?)であるという、発見も致しました。

 というよりも、要するに、中央の誘導施策が多く、教育改革のパンフやバリアフリーに関するものは、全国どこでも同じだというのがわかります。 地方分権といっても、国の施策には、予算がぶら下がっているのですから 、仕方ないのかもしれませんが。


 ところで、パンフ収集の一番の収穫は、儒教に精神的支柱がある「白虎隊」の会津若松市が掲げる「あいずっこ宣言」。今年度に出来たこの「あいづっこ宣言」に込められた内容は、青少年の行動規範であると同時に、大人の行動規範でもあります。
ttp://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/j/oshirase/n_i/20020601/n_i010.htm

 宣言は、6つの行動規範と、それを締めくくる1つの行動規範で構成されていますが、それぞれの行動規範に込めたられ内容は次のとおりです。

一 人をいたわります
二 ありがとうごめんなさいを言います
三 がまんをします
四 卑怯なふるまいをしません
五 会津を誇り年上を敬います
六 夢に向かってがんばります

やってはならぬ やらねばならぬ ならぬことはならぬものです


 会津の歴史・文化が、この宣言を可能にするのでしょうが、まるで実践倫理の「朝の誓い」の子ども版のようなこの宣言は、分かり易い言葉で、明確に表現され、かつ極めて奥の深い素晴らしいものだと思います。

 とりわけ、「ならぬことはならぬ」と、街中に、たて看板も出ていたのですが、これは、「倫理立市」で、いたく感動しました。こう言い切るには、まず大人が襟を正さないといけません。


 ちなみに、二宮尊徳の教え『「分度推譲」立県』を目指す栃木県は、「栃木の子どもをみんなで育てよう」運動を推進していますが、全国運動として、昭和41年から「立志の日」の推進をはじめ、昭和50年代からは、殆どの中学校で、立春の日を中心とした時期に、「立志式」を実施しています。

 おそらく全国にあるものと思いますが、思春期真っ只中の14歳に、自己のあり方を自覚し、将来の進路に志を立てる機会があることは、非常に重要だと思います。


 生活環境保健福祉委員会であり、文教委員会の調査ではなかったのですが、むしろ、9月議会の事を考えつつ、教育面に思うところがあった調査でした。ちなみに、保健福祉行政の面では、衝撃を受けるというほどではありませんでした。


 それにしても、「ならぬことはならぬ」。
 政治の世界に一番必要な言葉です。

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