過去の岡山県議会一般質問集 <青少年対策>篇

<平成22年11月定例会>(2010年12月7日)

(佐藤)  ところで,若い才能を伸ばすという意味で,先般,東京武道館で第59回全国青年大会が開催されました。全国青年大会は,各都道府県の青年たち,ふだんは働きながら日ごろ取り組んでいるスポーツや文化活動の発表の場として,各都道府県の予選大会を経た代表約3,000名の青年男女が東京に集まって4日間にわたってスポーツ10種目,文化活動8種目の合計18種目で,参加者一人一人が日ごろの成果を競い合って参加者との間で連帯や友情を深め合おうというものでございました。青年団は,各地域ごとに居住する20歳から30歳代の青年男女により組織される団体で,基本的には35歳まででございます。日本の約半数の市町村に青年団があって,約10万人の青年団員がいると言われています。今回は,各市町村で壮行会を行って総勢80人弱の選手団でございましたが,行財政改革のあおりで最後は約300万円あった岡山県からの派遣費用等の補助は,今は一切なくなっております。おそろいのジャージやウィンドブレーカーを着て岡山県選手団を構成しておりますが,基本的に2泊3日の8万円を含めてすべて自腹で,青年団OBからカンパをもらって参加しているチームもございます。岡山県代表でございますが,残念ながら岡山県東京事務所も完全に黙殺しております。
 過疎化や若い世代の流出が言われる中で,青年団員はまさに地域に暮らし,地域で働き,地域を支えております。県内の大会を経て,そんな彼らが皆で上京する中で,さらに団結が深まって共通の思い出をつくることになります。そして,他県の若者との交流,首都東京での体験が大きな刺激になって,それぞれの地域のまちづくりにきっと生かされることになるでしょう。彼らは,現在も,何よりも未来の地域の大きな力でございます。消防団や商工会青年部やJA青年部のように,地域の青年団を支援し,育成し,活性化させることが地域の未来をつくることになります。彼らが岡山県の未来なのです。にもかかわらず,岡山県は大会派遣等の支援を打ち切ってしまいました。確かに満遍なく削減するのは,ある意味公平かもしれません。しかし,徹底的なこだわりを持ってここだけは絶対に守るんだというものがあるとすれば,それが子供や青年に対する支援であってほしいものです。彼らへの投資は必ず返ってまいります。青年団支援初め地域の未来を担うリーダーの育成の理念や哲学について,御所見をお聞かせください。
 関連して,トップアスリート育成事業すら途中やめにされるわけでございますけれども,今回の国文祭の評価が出るのは数年後,どれだけ次世代に継承され,かつ次世代の文化が育ったかだと思います。そうした意味では,10年計画で競技力を向上した国体のときとは状況は違いますけれども,文化芸術の分野で秀でた若者を育成支援する,また,スポーツに触れるように文化芸術に子供たちが触れる機会の確保が必要だと思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  また,「オカヤマアワード」を例に,若い才能を評価して押し上げていく仕組みの創設,このことにつきまして御提案がありましたが,私といたしましては,このような民間主導の取り組みに期待するその一方で,県の顕彰制度等を十分に活用いたしまして,県政の各分野において若い才能も含めた県民のすぐれた活動をさらに押し上げていきたいと,このように考えております。
 次に,地域リーダーの育成についてでありますが,真に豊かで活力ある地域社会づくりを進めていくためには,若い情熱と行動力を持った地域の未来を担うリーダーの育成が重要であると考えております。県といたしましては,自立的な活動を促すという観点からも,青年団等に対する補助は限定したものとしているところでありますが,新おかやま夢づくりプランに基づきまして,青少年の社会参画の促進や地域づくり人材の養成等のさまざまな施策を通じまして,次代を担う地域リーダーの育成に努めているところであります。
 文化芸術分野での若者育成等でありますが,お話のように,国文祭の開催を真に生かすためには,引き続き本県文化を次世代に継承いたしますとともに,文化を担う人材を育成することが重要であると考えております。このため,現在取り組んでいる新進美術家育成支援事業,県立美術館等での子供たちを対象としたワークショップや出前授業,岡山フィルハーモニック管弦楽団によりますスクールコンサート,県文化連盟の芸術家派遣事業などに加えまして,今後,おかやま県民文化祭のグレードアップを図る中で,子供たちの文化鑑賞や文化活動体験,発表機会を充実させるなど,若い世代の育成に息長く取り組んでまいりたいと考えております。



<平成19年12月定例会>(2007年12月12日)

(佐藤)  児童生徒の携帯電話についてお伺いいたします。
 過日,地域の懇談会で,携帯電話についての話し合いがありました。私たちの子供に,一体,いついかなる条件で親は携帯電話を買い与えるべきなのか。このように考えるのは,というのも,保護者のだれもが自分の子供時代には携帯電話は持っていなかったものですから,経験則に基づいて判断することができない課題であります。逆に言えば,本当に子供に携帯電話が必要なんだろうかという疑問もわいております。恐らく,登下校や塾の送迎の際の防犯上の観点から,公衆電話も減ってきていることもあって,緊急連絡用には持たせておきたいという親の思いと,しかし携帯電話に付随する犯罪への心配が,まさにせめぎ合っている状況でございます。
 一方で,ほとんどの学校が携帯電話の持ち込みについては恐らく何らかの制限をしているというふうに思いますが,実際は高校生にもなれば,生徒の半数以上が携帯電話を持っているようにも思え,黙認をしないまでも,一たび学校を離れれば,学校の管理は困難ではないかと思います。子供の携帯電話を親の名義で契約している場合も多いため,恐らく携帯電話会社が,小学校から高校生までの携帯電話の普及率を把握するのは実際は難しいと思われますが,県内の小中高生は携帯電話をどの程度所持しているのでしょうか。
 また,携帯電話の学校への持ち込みを原則禁止とする小中高等学校の割合はどの程度なのか,あるべき制限の形も含めて,教育長にお伺いいたします。
 私は携帯電話そのものがいけないというわけではなくて,通話ができる携帯電話そのものよりも,むしろ問題は,相手の時間やタイミング等を全く気にすることがなくて,こちらの意思を一方的に伝えられる,そしてまた,いじめの温床にもなっているというメール機能,そして24時間子供でも簡単に,いわゆる非合法の世界に簡単にアクセスできる,そうしたインターネットに接続し得る状況が問題だというふうに思っております。
 ところで,昨日の読売新聞によりますと,携帯電話やPHSの大手4社は,来年1月から18歳未満の未成年者に対して,新規加入時にフィルタリング機能を原則加入とすることを決定したと報じられています。これは一歩前進のようにも思いますが,このことで,いじめや心ない大人の毒牙等から子供たちを守れるものではないと私は思います。先ほど遠藤議員のお話もあったように,携帯電話だけではなくて,パソコンからもインターネット経由でいろいろなサイトにアクセスできるからでございます。子供たちをいじめ等の毒牙から守るためには,さまざまな危険が子供たちのすぐ近くにあることを,企業や学校現場と協力して保護者に啓発することがまず重要です。このことについて,教育委員長の御所見をお伺いいたします。
 また,親が子供に携帯電話を与える場合──インターネットを含めてなんですけど──その使用について,いつ,どういった約束のもとにこれを子供に与えるべきなのかという考えも,あわせてお伺いいたします。
 また,保護者や子供たちへの啓発については,統一された学校の指導方針に基づいて,家庭と学校が一体となった取り組みを進められるよう,各地域において小中高等学校間の連携を一層推進することが重要だと考えますが,例えば群馬県では,群馬県子どもセーフネットインストラクター養成講座を立ち上げて,PTA役員が中心となって市民インストラクターとなり,ほかの保護者や教職員,子供たちにインターネットの正しい知識を広めているといいます。
 今後の保護者や子供たちへの啓発のあり方について,教育長にお伺いいたします。
 ところで,登下校時の安全・安心に絡んで,地域の方々の御努力によって,まさに防犯パトロールの活躍もあって,劇的に今子供たちの犯罪被害や事故が減っていることは本当にすばらしいことだと思います。
 ところで,こうした地域の方が街頭に立たれるようになると,地域との協議を経た後に,学校で指定されているいわゆる通学路が,ある意味でこの地域のメーンストリートである,そのような理解がなされてきます。例えば,この指定の通学路以外で事故に遭えば,保険についても大きな違いがあるというのは皆さんも御存じだと思いますけれども,しかし,必ずしもこの通学路がメーンストリートとして整備がきちんとなされているわけでもありません。
 一方では,交通安全対策を意図したスクールゾーンというものがございます。スクールゾーンは,昭和48年に学校から500メートル以内に設置して,平成10年には,当時の各振興局に看板設置や補修を行うよう通達も出ております。しかしどうも,このスクールゾーン自体はふえていないように感じられます。地元の協議で決まっている通学路とこのスクールゾーンが混在しており,交通安全対策と安全・安心まちづくりの観点からは,この通学路,スクールゾーンはいずれについても,これは地域のメーンストリートとして,標示や舗装,そして水ぶたや道路補修や防犯灯,照明設置を優先的に行うハード整備の実施や支援が必要ではないかと思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,登下校の交通安全対策等でありますが,これまでも県管理道路においては,通学路の歩道整備を重点的に進めますとともに,市町村道につきましても,補助事業の優先採択などによって,側溝へのふたかけや路肩のカラー舗装等,地域の実情に応じました通学路の交通安全対策が促進されますよう支援をしてきたところであります。児童生徒の登下校の安全確保は極めて重要であると考えておりまして,今後とも,地元や警察などとも連携しながら,通学路やスクールゾーンの安全な通行環境の整備を重点的に進めてまいりたいと思います。

(教育委員会委員長)  児童生徒の携帯電話等の使用における保護者への啓発等についてでありますが,お話のように,携帯電話やパソコン等は,便利な反面,子供が有害情報に触れたり,犯罪に巻き込まれる危険性もあります。県の教育委員会会議でも,こうした問題への対応について協議しているところであり,携帯電話等の企業が,来年1月から未成年者への販売の際に原則としてフィルタリングをかけるということは評価できますが,まだ十分とは言えません。今後,企業等の協力を得ながら,保護者への啓発に力を入れていく必要があると考えております。
 また,子供に携帯電話を与える際は,子供が使用したいと言ってきたとき,その必要性について親子で十分に話し合い,納得した上で決定することが大切であります。使用に際しては,メールやインターネットの使い方や危険性について理解させるとともに,使用場所や使用時間などの約束を明確にしておくことが重要であると考えております。

(教育長)  まず,児童生徒の携帯電話の所有割合等についてでありますが,本年度の全国学力調査の質問紙によりますと,本県の小学6年生の26%,中学3年生の56%が,高校生は昨年度の県の調査では90%の者が所有しております。
 学校への持ち込みにつきましては,小中学校のほとんどが,また県立高校の28%が原則的に禁止しており,許可した場合でも,授業中は電源を切るなどの規制をしているところであります。携帯電話の校内への持ち込みにつきましては,少なくとも小中学校では必要ないものと考えますが,許可する場合は,地域や家庭の事情,登下校時の安全面,子供の発達段階等の観点から,その必要性を検討し,保護者の意見も踏まえながら決定すべきであると考えております。
 次に,保護者や子供たちへの啓発等のあり方についてでありますが,お話の群馬県の取り組みは,市民が携帯電話の危険性や対応の仕方を学び,地域で子供や保護者に啓発するもので,正しい知識が確実に広がることが期待されるところであります。
 本県では,これまで情報モラルに関する小中高校教師用指導資料や,小中学生たちがみずから学ぶコンテンツを作成し,その活用を図っております。家庭に対しましては,情報モラルについて学ぶリーフレットに加えまして,本年度新たにネットいじめを扱ったリーフレットを配布しますとともに,高等学校PTA研修会で,ネット犯罪の現状や対応に関する講演を行ったところであります。
 しかしながら,最近の子供たちの利用状況から,これまでの取り組みを見直す必要もあると考えておりまして,他県の例も参考にしながら,知事部局や警察,NPOとも連携し,効果的な啓発のあり方について研究してまいりたいと考えております。



<平成17年11月定例会>(2005年12月8日)

(佐藤)  最後に,保護司制度についてお伺いいたします。
 罪を犯した人の立ち直りを援助したり犯罪予防のためのさまざまな活動を行う更生保護の分野では,日本ではその草分けの段階から民間人による関与が見られることが特徴となっていますが,保護司制度は戦後すぐの昭和24年7月に施行された犯罪者予防更生法に始まり,昭和25年5月に施行された保護司法によって現在の姿となりました。保護司は,地方更生保護委員会・保護観察所の指揮監督を受けながら法務省職員の保護観察官と協力して,保護観察対象者の改善更生を図り,個人と公共の福祉に寄与する重要な役割を担っております。保護監察官は国家公務員でありますが,保護司は法務大臣によって委嘱された無給で非常勤の国家公務員であります。刑務所からの仮出所や保護観察つき執行猶予判決が確定した元被告,少年院からの仮退院者らについて,保護観察中は月二,三回程度面接して相談に乗るなど,社会復帰を支援しておられます。
 岡山県内には,平成17年12月1日現在で997名が14の保護区に配属されており,保護観察を受けている人が約1,200名,強制施設に収容されている人が約850人あって,保護司などの指導を受けて改善・更生への努力を続けています。また,保護観察所を拠点に,被害者支援官を新設させて,保護司が被害者支援のために活動を行うという方針も示されて,今後ますます保護司の役割が重要になってまいります。しかし一方で,ことし5月少女監禁事件など,保護観察中の再犯事案が相次いで,保護観察制度のあり方が問われているのも事実であります。ところで,更生保護は犯罪や非行した人を取り巻く地域社会の人々の習慣や地域事情などをよく理解した上で行わなければ効果が上がらず,まさに保護司はそのような地域住民の代表でございますが,その定員充足率は県内では1990年の水準にまで落ち込んでいます。昨年春から76歳以上の方は再任しない定年制が完全実施されて,退任者が大幅にふえたためでありますが,保護司の7割近くが60歳以上の方々で,この10年間の間に退任時期を迎えられ,しかも地域社会につながりが希薄になった現在では,後任の確保は極めて困難で,保護司の確保は喫緊の課題となっております。犯罪や非行をその芽のうちに摘み取るための,いわゆる犯罪非行の抑止力としての保護司に求める役割とその期待も年々重みを増しており,行政によるバックアップ体制の確立が今強く求められております。毎年7月を強調月間として実施されます「社会を明るくする運動」の実施委員会委員長でもあられる石井知事は,そんな保護司の役割支援についてどのような認識と御見解をお持ちか,お伺いいたします。
 とりわけ教育の最前線である学校現場と保護司との連携強化についてもいかがお考えでしょうか。
 ところで,これに関連して,例えば,昨年11月に発生した奈良の女児誘拐殺害事件では,性犯罪のような再犯傾向の強い犯罪について処遇はいかにあるべきか。特別の処遇プログラムを受けさせるなど処遇を強化すべきではないか。また,性犯罪者に関する情報を法務省と警察が共有すべきではないかというような点が問題になりました。さらには,本年2月に発生した愛知県安城市における仮出所者による通り魔殺人事件では,保護観察中の仮出所者に所在不明の者が600名以上いることが問題になりました。こうした状況に対して,また,法務省,県,市町村,警察,民間団体等関係する機関との連携のあり方も大きな課題であると思いますが,警察本部長はいかようにお考えでしょうか。
 最後にあわせて,昨年5月に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立して,平成21年までに裁判員制度が実施されることになりましたが,こうした司法参加についても,ある意味で環境整備や機運を高めていかなければ,かえって県民の皆様にとって大きな負担ととられかねません。現在,裁判所等が行っている広報等にも県も協力すべきだと考えますが,現状を総務部長にお伺いいたします。

(知事)  最後に,保護司の役割等でありますが,保護司は,罪を犯した人の立ち直りの支援や犯罪予防活動など,地域社会において非常に重要かつ困難な業務を遂行されておりまして,熱意と使命感にあふれ,献身的に御尽力いただく姿に深く敬意をあらわさせていただく次第であります。だれもが安心して暮らせる社会の形成,青少年の健全な育成を図っていく上で,保護司の役割はますます重要になるものと考えております。県といたしましては,「社会を明るくする運動」への協力や保護司への知事感謝状の授与などを行っているところでありまして,また,保護司会連合会には「青少年問題を考え,行動する100人委員会」にも御参加いただいておりまして,今後とも連携して青少年非行防止対策などの推進に努めてまいりたいと存じます。
 また,学校現場との連携でありますが,県教育委員会からの説明によりますれば,児童生徒の問題行動に対応するために,学校が関係機関等とサポートチームを組織する際などにおいて,保護司の方に参加いただいている例もあって,今後とも連携を強化していく必要があると考えているとのことでございます。

(総務部長)  司法参加についてでございますけれども,裁判員制度につきましては,既に法整備も終わりまして,三権分立でいいますところの行政ではなく,司法を担う裁判所が主体となって,広報,パンフレット等により周知を図っているものと承知しております。本県におきましても,11月27日に「裁判員制度全国フォーラムin岡山」が開催されたところでございまして,岡山県といたしましても,法務省とともにこれを後援したところでございます。今後も,裁判所等からの要請がありましたら協力してまいりたいと,かように考えているところでございます。

(警察本部長)  最後に,再犯防止措置に伴う関係機関との連携についてであります。
 議員御指摘の性犯罪者に関する情報の共有につきましては,本年6月1日から子供を対象とした暴力的性犯罪で服役した者の出所情報を法務省から受けて,再犯防止に向けた措置を行っているところであります。また,本年12月1日から,保護観察中の所在不明者による再犯を防止するため,法務省の保護観察所が不明者情報を警察に通知し,警察が所在確認に協力する新たな制度を開始しております。県警察といたしましては,これらの制度が実効あるものとなりますよう,所在確認や発見時の通報等について,保護観察所等の関係機関と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
 なお,自治体や民間団体等との連携につきましては,出所者の氏名等の情報は個人のプライバシーに係るものであるため,その提供は困難であると判断しております。しかしながら,犯罪情報や不審者情報につきましては,地域安全ニュース,県警ホームページ「くらしの安全WebMap」等により,関係機関はもとより広く自主パトロール隊等に提供して,所要の連携を図っているところでございます。



<平成15年6月定例会>(2003年6月24日)

(佐藤)  次に,青少年対策についてお伺いいたします。
 今年度も,県内の15歳から21歳までの青少年から成る「ユースチャレンジ21会議」のメンバーが委嘱されました。昨年度は,残念ながら非常に誘導的であったという声も参加者から伺うのですが,その成果として,青少年の居場所施設が必要であるという提言を受け,「みらいふるシーポ」が開設されました。この事業については,提言を受けた後,場所の設定から事業内容の決定,事業の委託等,すべて行政の手によって行われましたが,私は,青少年が知事に提言して終わるのではなく,事業に主体的に提案者もかかわることがなければ,チャレンジの意味は半減すると考えます。私は,有意義な事業であると思うだけに,発言するには責任も伴うことを知らしめることも,青少年にとって重要であると思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。
 また,岡山市内には,青少年の熱い心を呼び覚ます,青少年が気軽に立ち寄れ,ほっとする場所になるとの願いを込め,青少年の活動を支援するために,青少年にさまざまな情報と交流の場を提供するユースプラザ「ほっとハート」も昨年開設されていますが,この2つの事業は,結果として同趣旨であり,いたずらに事業委託を受ける側に混乱を招いています。この2事業の目指す意図の違いについてお知らせください。
 ところで,最近のNPOへの委託事業の中には,担当課が事業内容を決定して,あたかも競争入札のような形でNPOを競わせる事例が散見されます。財政難のNPOの中には,行政からの委託を得るためには,本来の設立趣旨,いわゆるミッションを曲げてでも,その事業を行おうと無理をする例があります。いつも申し上げることでありますが,NPOと行政はあくまで協働するのであって,行政が結果としてNPOを利用してはいけないと,私はそのように思います。行政は,給料をもらってする業務でも,NPOは俗に言うボランティアの場合もあるのです。私は,行政がNPOに事業委託する場合に,行政よりNPOの方が向いている分野を信頼してゆだねる場合と,行政でやるより安上がりな場合とがあるように思いますが,NPOに事業委託する指針をお知らせください。
 次に,青少年対策を行う場合に,盛んに居場所という言葉が使われるようになりましたが,居場所についてお伺いいたします。
 そもそも居場所とは何か。どんな青少年にどんな居場所が必要であるのか。しかも,わざわざ行政が青少年の居場所をつくる意図は何なのか。そもそも知事御自身はどんな青少年であり,どこを居場所と考えておられたのでしょうか。
 私は,官がつくるイベントスペース,遊び場を青少年の居場所と考えるならば,それは大きな間違いであると,警鐘を鳴らさせていただきます。
 私は,先日,行政が行う青少年の居場所づくりの先駆事例とされる東京都杉並区の「ゆう杉並(杉並区立児童青少年センター)」を訪ねました。「ゆう杉並」は,杉並区荻窪の閑静な住宅地の中に,騒がれていた中高校生の居場所として1997年9月に設立されたものです。体育室,ホール,スタジオ,ミキシングルーム,鑑賞コーナー,学習室,工芸調理室とさまざまな部屋があり,すべての部屋が無料で,1日250人程度が利用しています。そして,「ゆう杉並」は,建設に当たっても中高校生の意見を取り入れるため,中・高校生建設委員会を,また運営も,中高校生の意見を十分に取り入れるため,中・高校生運営委員会を設置し,自主企画部会と広報広聴部会の2つの部会で動いています。もちろん専門の職員,いわゆるユースワーカーが一緒に活動する体制をつくって,幾つかの深刻な経験から,酒,たばこ,けんかの3つが厳禁されていますが,基本は作,演出,出演,すべて青少年みずからが行うのであり,近隣の住民との交流会も企画し,施設が地域になじむための努力を中高校生みずからが実施しているのです。行政が行う青少年の居場所づくり,そこには確かな哲学と責任,そして青少年への信頼が必要だと思いますが,県の青少年施策はいかがでしょうか。私は,哲学と勇気を持って,青少年みずからの手でみずからの居場所をつくらせることが重要だと思います。
 ちなみに,「ゆう杉並」は全国に約4,600カ所ある児童館の一つでありますが,児童福祉法に基づく児童の定義は,ゼロから18歳未満で,中高校生が児童館の対象から除外されているわけではありません。私は,現在ある伊島町の児童会館,この児童会館を青少年の居場所にすることも含めて,改めて青少年を交えた上で,彼らにしっかりと汗をかかせた上で,でき合いでない,彼ら自身がつくった居場所づくりを,時間をかけてじっくりと進めていくことを提言させていただきたく思います。御所見をお聞かせください。

(知事)  青少年対策であります。
 「ユースチャレンジ21会議」についての種々のお尋ねがございましたが,提言の具体化に当たりましては,その趣旨を十分に尊重をすることはもとより,個別の具体的内容につきましても,必要に応じ青少年の意見を取り入れるということは必要と考えているものであります。そういった立場から,「みらいふるシーポ」の設置に当たりましては,名称を初めといたしまして,事業内容,運営方法はもとより,個々の設備の必要性等,具体的な内容につきましても青少年の意見を具体的に取り入れながら取り組んできたものでございまして,すべて行政の手によって開設されたということは当たらないものと私は認識をしております。
 ユースプラザ「ほっとハート」との違いについてのお尋ねがございましたが,両施設ともに青少年が自由時間を有意義に過ごして,他人とのかかわり合いの中で,自分の位置とか将来の方向性を確認する場と考えているところでありますが,「みらいふるシーポ」は,施設運営そのものに青少年が参画をして,より主体的に活動に携わるということによって,青少年の自主性,主体性を高めるということ等に重点をより置いております。
 一方,ユースプラザ「ほっとハート」につきましては,運営主体でありますNPO法人が企画をする多様な青少年にかかわります事業,これに青少年が参加をいたしまして,交流機会を持つことによって青少年の社会性の伸長に重点を置くということにしているものでございまして,両事業で混乱を招いているといったような御指摘は当たらないものと私は承知をしているものであります。
 NPOへの委託指針でありますが,行政とNPOの関係は,NPOの自立と自主性が尊重されて,対等な立場で相互理解の上に成り立つものでなければならないと考えております。こういった考え方のもとに,NPOへ事業を委託するに当たりましては,行政とNPOのその事業目的が一致をしているということ,質の高い県民サービスの提供が可能となるということ,先駆性,柔軟性など,NPOの特性が生かされるということなどに留意をしていかなければならないと存じております。
 居場所づくりについてのお尋ねがございました。
 居場所づくりはどのようなイメージかということでございますが,提言をいただきましたその提言によれば,ありのままの自分が表現できる場所,安心でき,居心地のよい空間がある場所,自由に活動でき,自分の時間が持てる場所等を居場所と考えているという青少年の提言でございまして,私もこういった青少年の意見というものを尊重して,そういった場所が居場所なのかなと,こんなようなイメージを持っております。
 「みらいふるシーポ」でございますが,「ユースチャレンジ21会議」の提言に基づいて設置をしたものでありまして,運営につきましても,青少年が過半数を占める施設運営委員会を設置して,そこにおいて青少年の意見を十分取り入れておりまして,青少年が企画・立案をし,青少年みずからの意見を中心に運営する居場所施設として機能を果たしていくものと,このように考えているところでございます。
 御質問では,具体的に杉並区の例を取り上げられまして御質問をいただきましたけれども,お話ございました児童会館でございますが,これは申し上げるまでもなく,児童健全育成のための児童厚生施設といたしまして諸事業を行っているものでありまして,本県の児童会館につきましても,そういった施設の特徴を生かしまして,今後とも引き続きこれらの事業を積極的に推進をしてまいりたいと考えているところでございます。

(佐藤)  要望だけにとどめさせていただきますけれども,やはり認識の違いがあって,もうその後の議論をしてもなかなか難しいんですけれども,中央警察について,私は必要だと思っている,警察は必要ないと思っている,ここで議論が終わるわけですんで,ただ私は必要であるということだけお伝えして。
 あと,知事のおっしゃられた青少年の居場所についてなんですけども,これも自分自身がどんな青少年であったか,どこを居場所にしていたかで随分変わると思うんですけども,私自身,非常に成績の悪い青少年でございましたので,行政がつくった居場所に,例えば先生の推薦を得て集まるような生徒ではございませんでした。今,恐らく駅前だとか,あるいはコンビニの前,あるいは暴走族になっているような,そんな青少年に対して何ができるかというのが問題であって,今,本当に非常に健全に育っている青少年を行政が一緒に協働しても,それが果たして青少年対策と言えるのか,それからまたそれが青少年の本当の居場所になるのか,私はそういった面では,この岡山県のやられている青少年対策について,ちょっと踏み込みが足りないのではないかなと。非常にできのいい青少年を相手にはされているけれども,本当の青少年対策というのは,本当に居場所がない,先ほど言われたような,ありのままの自分が認められる場所というのは,本来,私は家庭であり,そして学校であると思います。本来であれば,家庭や学校に帰りなさいと,それが本来の居場所の意味であって,しかし行政があえて居場所をつくるんであれば,そこにはさらにどんな青少年を,どんなふうに育てていくのか,そういった何か哲学が必要なのではないか。そういった面では,非常にちょっと不満を持っておるということだけお伝えさせていただいて,要望でもございませんが,質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。



<平成14年12月定例会>(2002年12月10日)

(佐藤)  次に,爆音暴走族対策について伺います。
 岡山県暴走族の追放に関する条例が,9月28日に施行され,幾分爆音暴走が減ったようにも感じますが,県警の皆様の涙ぐましい努力にもかかわらず,岡山市の目抜き通りの警察と爆音暴走族のイタチごっこはいまだ続いており,爆音暴走族の被害に苦しむ人間は彼らに殺意すら覚えると言っても過言ではありません。特に,これは本当に現地の方はというか,我々地域の者は大変に苦しんでおります。特に桃太郎大通りは,暴力団,爆音暴走族,周回族の車両が,県警の御努力をあざ笑うかのように出没しています。
 ところで,先日,NHKの「クローズアップ現代」で紹介された暴力団対策法をつくられた広島県警本部長の御判断で,暴走車両にパトカーを体当たりさせる広島県警の取り組みは,これは一歩間違えれば大惨事で,警察の方の命も危ないという命がけの作戦でありましたが,私は,その県警本部長の本気さに大変な衝撃を受けたのですが,本県では,暴走族に対してどのような姿勢で取り組まれるのか,県警本部長にお伺いいたします。
 また,広島の暴走族の特徴は,「面倒見」と称して暴力団員が暴走族同士の抗争の仲介に入るかわりに,暴走族がさまざまな名目で暴力団に上納金を納める仕組みがあるとのことですが,今,広島県議会では「面倒見」の罰則の条例改正案が上程されています。岡山の実態はどうであり,どう対策をされているのでしょうか。
 また,広島では,暴走族は青少年非行の先鋭化したものであり,ひったくりや窃盗の8割が少年で,うち8割が暴走族と,要は暴走族は犯罪予備軍であると言わざるを得ない状況ですが,岡山においてはどうであり,またどのような対策をされていかれるのでしょうか。
 また,岡山県の条例は,家庭・学校・地域・業者に努力義務を課したものですが,どのような具体的な効果があったのか,お知らせください。
 さらに,最近やや小康状態にある岡山の爆音暴走族ですが,クリスマス,年末年始,爆音暴走の可能性は高いと思われ,ここで緩めるわけにはいきません。対策の意気込みをお知らせください。
 関連して,交通巡視員による大通りや繁華街の深夜の違法駐車取り締まりが,昼に比べて十分になされていないのではないかという声が多いのですが,その理由をお知らせください。
 さて,私は,政令指定都市でもある広島の広島市役所に,本年4月1日に施行された広島市暴走族追放条例について伺いに行きました。この条例について伺いに行ったのが,広島県警ではなく広島市市民局が担当であるというのが,広島市の取り組みを象徴的にあらわしています。つまり,広島市の取り組み,また条例を読むとわかるのですが,広島市は暴走族対策を青少年の健全育成にかかわる問題ととらえているのです。もっと言えば,対処療法として警察が出動しますが,根本的な問題,抜本的な解決は,青少年問題としてあるいは教育の話であるととらえない限り,この問題は終わらないという経験則に基づいた取り組みであるということです。
 そこで,あえて知事にお伺いいたします。
 爆音暴走族や深夜徘回,周回族の存在は,やはり岡山のゆゆしき青少年問題であることには変わりありませんが,そういう青少年の状況をどのようにお考えになっておられるのでしょうか。特に,「青少年問題を考え,行動する100人委員会」で,青少年問題としての暴走族問題は格好のテーマだと思いますが,これまで話し合われてきたのか,今後話し合いが行われる予定があるのか,お知らせください。
 そしてまた,こういったことを行政の皆さんにお願いするだけでなく,地域的に,例えば相当数の人数をもって深夜にパトロールをする活動を地域の有志により行う,そういった団体の創設も必要だと考えますが,そういった団体ができた際には御支援をいただきますよう要望させていただきながら,質問を終わらせていただきます。

(知事)  爆音暴走族等についてでありますが,暴走行為等を初めとする青少年の問題行動の背景には,地域における教育力の低下,社会全体の規範意識やモラルの低下等があると考えております。暴走族への加入防止や離脱促進を図っていくためには,「暴走族の追放の促進に関する基本方針」を踏まえまして,家庭・学校・地域が一体となった取り組みなど,青少年健全育成の観点からの対応を行っていくことが重要であると考えております。
 100人委員会の取り組みについてでありますが,「青少年問題を考え,行動する100人委員会」は,青少年健全育成にかかわるさまざまな問題について幅広く議論をしていく場であることから,特に暴走族問題にテーマを絞って議論をしたということはございませんが,しかしこれまでの議論の過程の中にありまして,暴走族に入ることを防ぐための教育の重要性とか,あるいは暴走族と暴力団との関係などについて意見交換がなされてきております。今後,暴走族の実態や警察との連携などにつきましてもさらに議論を深めて,青少年の健全育成というものを推進をしてまいりたいと,このように考えております。

(警察本部長)  まず,暴走族に対する取り締まり姿勢でございますが,暴走族は,県民の平穏な生活や交通に著しい危険や迷惑を及ぼす団体でありますから,今後とも,暴走行為等不法行為は絶対許さないとの強い姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
 次に,暴走族と暴力団との関係でございますが,暴力団組員やその周辺者が,暴走行為をあおったりそそのかしたりした事案等が発生をしており,暴力団とのかかわりがうかがえるところでありますが,当該行為等につきましては,岡山県青少年保護育成条例の非行助長行為の禁止規定等を適用いたしまして,検挙をしておるところでございまして,今後とも,現行法令等を効果的に適用いたしまして対応してまいりたいと考えております。
 次に,暴走族は犯罪予備軍であるとの御指摘でございますが,当県におきましても,暴走族は,暴走行為のほか窃盗や傷害,恐喝事件等を敢行しており,非行集団という実態もございます。警察といたしましては,取り締まりや補導を強化いたしまして,グループの解体や脱会の促進に努めておりますけれども,次々と世代交代を繰り返しておりますことから,今後とも引き続き離脱の促進や加入阻止活動を強化していくことといたしておるところでございます。
 次に,条例で努力義務が課せられております県民,保護者,学校関係者等の状況でございますが,警察と連携いたしまして,暴走族に関する討論会,地域における対策会議,それから中高校生を対象といたしました暴走族への加入阻止教室などが開催されておりまして,暴走族追放機運が高まってきていると認識をいたしておるところでございます。
 次に,年末年始に向けた暴走族取り締まりでございますが,例年,クリスマスや年末年始を中心に暴走行為が敢行されておりますことから,本年も特別取り締まり体制をしきまして,強力な取り締まりを実施してまいりたいと考えているところでございます。
 最後に,岡山市内の歓楽街における違法駐車の取り締まりでございますが,11月末現在,田町,中央町,柳町におけます検挙件数の約45%は夜間に検挙したものでございます。違法駐車は,迷惑,危険性が高いことから,今後とも,昼夜間を問わず強力な取り締まりを推進していくことといたしております。



<平成12年2月定例会>(2000年3月8日)

(佐藤)  知事は,県政の基本目標を快適生活県おかやまを実現することとされ,創造と共生を基本理念とし,4つの基本戦略を掲げておられます。そのうち,県民が生きがいを持って安心して暮らすことのできる「心やすらぐおかやまの創造」について,夜警国家でもありませんが,政治の究極の目標は,市民の生命・自由・財産を守ることであり,とりわけ,安全・平和がすべての前提であると思います。しかし,さまざまなレベルで,いわゆる安全神話が崩壊しようとしている今日,もはや政治に頼らずに,市民みずからの手でみずからを,あるいは地域社会を守っていかなくてはいけない,ほかにだれも頼れないんだ,そんなムード,不信感,不安感といったものが蔓延してきたように思います。
 そんな中,平成10年4月,暖かい春の日差しに包まれた岡山さくらカーニバルの会場で,岡山ガーディアンズは誕生しました。「見て見ぬふりはしない」「自分たちの手で安心して暮らせる街づくりを」を合言葉に,地域の安全を願い,助け合いの精神で,安全パトロール等を通じて青少年の健全育成や事故防止に努めるボランティア組織を目指し,岡山ガーディアンズの存在そのものが,地域の安全に寄与する,そんな思いのもとに活動を始めて丸2年,現在どのような組織になっているのでしょうか。大変気になりまして,先日岡山市内の防犯パトロールにのこのこついてまいりました。
 結論から申し上げて,いわば防犯という目的のため,岡山県警の肝入りで動き始めたボランティア団体が,人と人の心をつなぐ,いわばまちづくりのボランティア団体に成長していました。そして,それを育てたのは,まさに岡山県警の功績であることを実感いたしました。
 パトロールに同行した私の感想をあえて一言で言えば,彼らは「すてきなおせっかい」です。全くの丸腰で,おそろいの赤い帽子に赤ジャンパー,性能の悪いトランシーバーを持ち,事務所と常時連絡,数人単位で街を夜間パトロールします。この間,実にさまざまなことが起きます。まずは,電話ボックスのピンクビラをはがします。この間,もう一人は攻撃に備えて見張りをします。しかし,ピンクビラは,1時間後にはすぐに張られており,イタチごっこの感はぬぐえません。もちろん,ライトをつけていない自転車や2人乗りには注意。赤信号での横断はもちろん注意。注意された人の,何でこの人らに言われにゃならんのんで,あんたら何でえという不思議な顔も印象的ですが,そんなことに我らがガーディアンズは一々構っていません。公園のトイレでは,かばんの遺留品発見。公園でたむろして喫煙している高校生に注意。1人でダンスの練習をしている女の子にも声をかけます。彼らのすごいところは,決してしからない,上から物を言わないところです。まず,「こんばんは」から始まります。実に不思議なことに,顔黒(ガングロ)茶髮と会話が成り立ちます。そして,意外にも若者は,一応素直に悪さはやめるのです。要するに,若者は,町に人との触れ合いを求めに来ているのがわかります。たとえ,それが注意であれ,赤の他人にしかられようとも,関心を持たれたりかかわりを持つことが嫌いなのではない,むしろそれを望んでいます。厚底ブーツの夜遊びも,街角の路上ミュージシャンも,心はだれかを呼んでいるのだと思うと,かわいらしくすら思えます。ガーディアンズの「すてきなおせっかい」はまだまだ続きます。点字ブロックの上の自転車の整理,ベンチの前のごみ拾い,客引きをしているお兄さんにあいさつ,パトロールが終わると反省会は欠かしません。そこに,上下関係はなく,皆が,ポンドとかビーンとかそれぞれにお気に入りのコードネームで呼び合い,年齢や職業や性別を超えた和気あいあいとした雰囲気です。ガーディアンズを見ていると,心がこもったおせっかいこそがボランティアの本質であると言いたい気がします。
 加えて,特筆すべきは,岡山県警の方が,本当に岡山ガーディアンズが自立できるまで,地域の安全への情熱と誇りを持ってしっかりと陰で支えておられることです。その真摯な姿にも感動いたしました。市民としっかりと手を取り合いながら,地域の安全確保に全力を尽くす岡山県警の心意気といったものを見た気がいたします。防犯と一言で言いますが,大きな街には大きな孤独というように,もしも地域社会で「あっしにはかかわりのねえことでござんす」と,ニヒルに木枯らし紋次郎を気取るのではなく,岡山ガーディアンズのように「すてきなおせっかい」をお互いにやき合えば,あるいは心を紡ぐ作業をしていけば,犯罪など起こりようもないと思えます。岡山県人が最も苦手とするのが他人とのかかわり合い,あるいはいわゆるおせっかいであると思いますが,実は,それこそが地域づくり,まちづくりのエネルギーであると思います。考えてみると,私も単におせっかいをやきたいばかりに議員にさせていただいたようなものなので,岡山ガーディアンズに関係した,おせっかいな質問をさせていただきます。
 まず,知事に,岡山ガーディアンズについては深い理解をされていると聞いておりますが,この4月に3周年を迎えるに当たり,どのような感想をお持ちでしょうか,伺います。
 次に,防犯に関しては,地域に少年警察協助員,教育委員会主導の補導協議会,PTA補導部,また防犯協議会あるいは「ぐるっとほんまちみまわり隊」などがございますが,岡山ガーディアンズを含めてこういった諸団体は,現在どのように連携して活動し,情報交換等が行われているのでしょうか。
 また,昨年開設された少年サポートセンターは,被害者救済や継続補導に重点を置き少年を非行から守る活動を行っていると聞いておりますが,ガーディアンズとの連携はどうなっているのでしょうか。
 また,現在約30名の岡山ガーディアンズですが,例えば,常時2チーム,また毎日あるいは昼夜問わずに活動するためには,組織の拡大が必要であると思います。そのために,十分な告知が必要であると思いますが,現在,コミュニティーFM局が定期的に取り上げているだけのようです。さらに,多角的に広報し,メンバー募集活動を行う必要があると思いますがいかがでしょうか。
 以上,警察本部長の御所見を伺います。
 また,これに関連して,特殊な社会活動参加とでも言うべきか,平成10年10月1日から施行になった道路交通法の一部改正によって,軽微な違反を繰り返し,累積点数が6点に達すると社会活動参加か実車講習かを選択して講習等が実施されていると聞いております。現在までの運用状況と効果について,警察本部長にあわせてお尋ねいたします。
 また,岡山県内の5大学で,来年度から単位互換制度を取り入れるなど,在学している大学以外の場での学修を単位として認定する動きが広がっています。このような中で,ボランティア活動を積極的に単位認定する大学がふえれば,例えば,岡山ガーディアンズの活動に参加する大学生が飛躍的に増加することが見込まれると考えます。県立大学においても,こうしたボランティア活動を積極的に単位認定することが望ましいと考えますが,いかがでしょうか。総務部長にお伺いいたします。
 最後に,岡山ガーディアンズが将来的には県内各地に支部もつくられ,市民や企業にしっかりと支えられた自立したNPOとしてほかの諸団体と連携しながら,すばらしいまちづくりの組織に発展していくことを心から願います。

(佐藤)  既に時効だと思いますが,私は,小学校2年のとき,誤って喫煙して以来喫煙の習慣はありません。しかしながら,最近では,全国3,300万人といわれる愛煙家の皆様に,心から感謝するようになりました。と申しますのも,1箱250円銘柄のたばこのうち,何と153円34銭すなわち定価の61.3%が税金だからです。昨年5月1日より税率が変わり,国に54円32銭,都道府県に17円36銭,市町村に53円36銭入り,岡山県では,40億円以上の財源になります。しかも,地方税は,最終卸売販売業者などが翌月末日までに申告納付することになっている簡素な納税システムで,まさに超安定財源と言えます。財政難に苦しむ岡山県民としては,地域社会に貢献する愛煙家の方に感謝し,喫煙を奨励しこそすれ,どこもかしこも禁煙にしたり,愛煙家の皆様を排斥すべきではないと思います。もっとも,肺がんや生活習慣病の増加などによる医療費の負担増,あるいは隣で吸われるもんの身にもなってみいと,手放しで感謝してよいかは疑問でありますが,ともあれ,愛煙家の皆様に,他人に迷惑をかけず,病気になる一歩手前まで思う存分たばこを吸っていただきたい。そんな社会こそが,真の快適生活県であると思います。豊かな岡山県財政のためにも,余り禁煙を推奨すべきではない,岡山県財政をしっかりと支えていただいているたばこ販売業者の方に,心から感謝をすべきであると思います。とはいうものの,このたばこ税の何割かは,あるいは中高生を含む未成年者が,ありがたくも彼らのお小遣いから納税してくれている現実があるように思います。電車内,コンビニの前,路上と,彼らの喫煙は目に余ります。私の友人に,トイレでのたばこが一番うまいと言う者がおりますが,一応昔は,不良ですらトイレに隠れてたばこを吸うつつましさはあったように思います。岡山ガーディアンズのように,一人一人が声かけして未成年者の喫煙をやめさせるのが一番だとは思いますが,その販売方法を含めて対策はないでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。

(知事)  まず,岡山ガーディアンズに対します感想についてのお尋ねがあったわけでございますが,平成10年4月にこれが結成されて以来,地域の安全パトロールの実施などを通じまして,青少年の健全育成とかあるいは地域の安全活動,こういったものに大変大きな成果を上げておられるわけでございます。私も,実は年末の歳末防犯活動査察,本部長と同行いたしまして,その査察の際に,この本部事務所を訪問いたしましてメンバーの方々と意見交換をし,そして活動報告を受けまして,私自身も一人一人全員と握手をしまして激励をしてきたところでございます。その活動内容には,私も大変深い感銘を受け,感動を受けたところでございまして,心強く感じているわけでございます。これからの活動に,大いにそういう面で期待をしているわけでございまして,本当に,佐藤議員には,私自身もそういう思いがあったものですから,この際まことに時宜を得た御質問をちょうだいしたということで,彼らにとっても大きな励みになるものと私は期待をしているわけでございます。
 この彼らの行動力あふれる活動と社会への貢献,こういったことは,多くの若者たちの模範となっていると私は考えておりまして,犯罪のない明るい社会の実現を目指して,これからのさらなる活躍を大いに期待をいたしたいと,このように考えているところでございます。議員におかれましても,引き続き彼らの活動に対しまして御支援をいただければとお願いを申し上げる次第でございます。

(総務部長)  岡山ガーディアンズに関連いたしまして,ボランティア活動の県立大学における単位認定についての御質問でございますが,大学が,ボランティア活動など学外の体験を取り入れた授業科目を開設することは,社会の実践的な教育力を大学教育に活用するという視点から,有意義なことと考えております。しかしながら,ボランティア活動の内容は多種多様でございまして,極めて広範囲にわたっているところから,県立大学におきましては,各学科が目指す教育目標との関連性を勘案しながら,ボランティア活動を導入することが可能かどうかにつきまして学内で研究していくことにしているところでございます。

(生活環境部長)  未成年者の喫煙対策についてでございますが,県では,各地域の補導センターを初め,学校,警察などの関係機関やPTAなどとも連携を図りまして,喫煙などの非行防止のための地域巡回指導や補導活動を実施しているところでございます。今後,これらの活動をさらに推進いたしますとともに,青少年の自覚を促す啓発事業や,今年度からスタートいたしました非行防止宣言店の拡大を通じまして,販売店側の意識を高めるなど,未成年者の喫煙防止対策に努めてまいりたいと思います。

(警察本部長)  まず,ガーディアンズと各種団体や少年サポートセンターとの連携及び情報交換等の実施状況についてでございます。
 ガーディアンズは,県から委託事業費の交付を受けまして,県防犯協会の実動部隊として活動しておりますボランティア組織でありますが,他のボランティアの皆さん,例えばぐるっとほんまちみまわり隊などとは,防犯協会を通じまして情報交換を実施いたしたり,共同で安全パトロールも実施すると,こういった形で連携を図っているところでございます。
 また少年サポートセンター等との連携につきましては,ガーディアンズが同センターの会議等に出席をいたしまして連絡調整を図りますとともに,合同での補導等も実施をいたしております。
 次に,メンバーの募集につきましては,メンバーの多くが大学生でありますので,毎年10名程度が交代いたしておりまして,メンバーの勧誘には苦労しているようでありますが,現在,街頭活動や大学への訪問活動,それからホームページ等を通じて募集活動を積極的に行っていると聞いております。
 県警察といたしましては,引き続き,関係機関はもとより地域の皆様方の御理解御支援をいただきながら,岡山ガーディアンズが安全で安心なまちづくりに貢献できますよう,積極的に支援してまいる所存でございますのでよろしくお願いを申し上げます。
 次に,違反者講習の運用状況とその効果についてでございますが,昨年1年間の違反者講習対象者数は4,272人でございまして,このうちの95.2%に当たります4,069人がこの講習を受けておられます。このうち,18.4%の748人の方が社会参加活動を体験する講習を選択されております。社会参加活動の具体的内容でございますけれども,免許センター付近の幹線道路におきまして,シートベルトの着装とスピード注意のこの2種類のプラカードを使用した広報活動を実施していただいているところでございます。実車コースを選択された方につきましては,免許センター内の講習コースにおきまして,3人1組となって順次自動車を運転し,講習指導員の指導を受けていただいているところでございます。これらの講習の効果についてでございますが,「大変参考になった」という回答と「どちらかといえば参考になった」という回答を合わせたものが,社会参加活動につきましては94.6%,それから実車講習を受講された方につきましては98.7%を占めておりまして,十分その効果が上がっているというふうに考えているところでございます。



<平成11年12月定例会>(1999年12月10日)

(佐藤)  それぞれの市町村には,次代を担う人材の宝庫として現在も青年団が活動しています。地域によって活動状況にばらつきもあるようですが,18歳から35歳の勤労青年がよりよい地域づくりのためにボランティアで懸命に汗を流しています。21世紀の地域社会を考えたとき,自発的に青年団活動に参加するような青年こそ大切に育てていかなくてはいけません。青年を育てるためには,責任と権限と財源を与えることが重要です。また,明確な目標を示し,信用してチャンスを与え,しかし失敗しても目をつぶるという寛容さが必要です。全国的に,青年団活動はやや衰退ぎみであると伺っていますが,岡山県における青年団の活動の現状と,その活動の評価について教育長にお伺いいたします。また,あわせて支援策についてもお伺いいたします。
 さらに,全県下市町村のみならず,全国に広がっていく青年団のネットワークは潜在的に物すごい可能性を秘めています。また最近では,JICAなどを通じて国際的なネットワークも生まれつつあります。そこで,提案でありますが,来る平成17年岡山国体のボランティアとしてこの青年団のネットワークを使ってはいかがでしょうか,国体準備局長にお伺いいたします。
 また,これに関連して,次代を担う青年を育てるには,青年期以前の少年期にも解決すべき問題が多いと思いますが,男女共同参画社会におけるウィズセンターのように,いわゆる青少年問題についての情報データバンク・情報発信基地,あるいは青少年のリーダーを養成するセンター,青少年問題を扱うNPOが集まるセンターが必要であると思います。現在の生涯学習センターや公民館は必ずしもそういった機能を果たしていないように思いますが,今後県として何か計画がおありでしょうか,知事にお伺いいたします。

(知事)  次に,21世紀の行政の人材育成についてどのように考えるかというお尋ねでございます。現在,「快適生活県おかやま」に向けまして職員の方々にお願いをして県政推進をしてもらっとるわけでありますけれども,さまざまな分野におきましてそれぞれ積極的に職員の方々は職務を遂行してくれていると,このように思っております。今後,地方分権が進展をしてまいります。そして,国際化,そして高度情報化等々,時代が大きく変化をしていくわけでございまして,職員の方々に対しましては,ぜひともこれからはより高い行政能力をまず持っていただくということと,そしてすぐれた資質というものをこれからも大いに磨いていただきたい。そして,お願いをしたいと常に私が言っておりますのは,従来から持っている枠組みというものにこだわらず,それを縦割りの行政ということを打破して,そうした立場から前向きな姿勢でぜひチャレンジ精神を持ってほしいということを県職員にはお願いをし,さまざまな場面で私もお話をしているわけでございまして,21世紀における公務員としてそういったことが必要ではないかと思っております。
 具体的には,御承知のとおり,県庁内にチャレンジ県政政策研究会をつくっておりますし,あるいは自主研究グループということで具体的なテーマに応じまして何人かの方に研究をしていただいております。これも部局間の横断的なテーマということで担当をしてもらっているわけでございまして,政策をつくる,形成していく能力の向上とかあるいは自己啓発,こういったものを促進してこれからの岡山県を担っていくような人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
 青年団の活動について情報発信基地が必要ではないかというお尋ねでございます。情報データバンクあるいは情報発信基地の機能を総合的に備えたものは,青少年にかかわるものといたしましては現在のところないわけでございますけれども,県下にございます施設といたしましては,青少年教育センター閑谷学校とかあるいは青年の家,少年自然の家,また岡山県青年館など,こういった多くの施設があるわけでございます。
 今申し上げた岡山県青年館の方におきましては,青少年の研修とかあるいは宿泊施設として利用していただいておりまして,あわせましてホームページによって活動状況の発信も行ってきております。生涯学習センターがございますけれども,ここで,「ぱるネット岡山」というネットワークを通じまして青少年を含む生涯学習情報を発信しているわけであります。したがいまして,今後,これら県下にございます既存施設のお互いの連携の強化とか,あるいは国が持っております青少年のデータベースがございますが,これとのネットワーク化,こういったようなことを通じまして青少年情報の発信機能の強化をこれからも充実をしていきたいと考えております。

(国体準備局長)  国体での青年団の活用についてでございますが,平成17年の岡山国体は195万県民総参加の国体を目指しております。県民運動やボランティア活動としての県民の皆様方の幅広い参加は,国体の円滑な運営と大成功のためには不可欠のものと考えております。特に,地域でさまざまな活動をしておられます青年や女性の方々には,岡山国体開催時に大きな役割を担っていただく必要があると考えております。御提案の青年団ボランティアネットワークの積極的な参加につきましては,大いに期待をしているところであります。

(教育長)  青年団活動の現状についてでございますが,県下には43市町村で54団,1,136人の団員が活動しております。近年,若者は仕事や趣味で結ばれたグループやサークル活動へ参加することが多くて,地縁関係で結ばれている青年団の団員は減少しております。そうした中にありましても,青年団員は,消防団活動やお祭りなどにおきまして地域の若者のリーダーとして活躍いたしますとともに,最近では子供たちの地域での体験活動に指導者として参加するなど,地域の活性化に重要な役割を果たしております。教育委員会では,このような青年団活動に対しまして,指導者の研修会や青年祭の開催など,青年団の自主的な活動を支援しているところでございます。

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