2008年10月31日(金)
【子ども応援特別委員会県外調査】

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 夜の会合がないぶん、幾分体調が回復して子ども応援特別委員会の県外調査から戻りました。

 生活支援給金支給と3年後の消費税引き上げという、いわばアメとムチの政策で、解散総選挙延期というのが、国民の皆様に受け入れられるとは思えないのですが・・・年末に向けて、まだ一波乱ありそうです。ただ、解散を気にして、すっきりと日程が立て難いというのにも、困ったものです。
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 今回の調査の主たるもので、まずは、熊本市で、いわゆる『赤ちゃんポスト=こうのとりのゆりかご』について。

 本来マスコミに大々的に取り上げられるべきでないような、民間の病院が、ともかく命を救うために、ある意味では、宗教的な理想もあって行われていることであり、完全に、行政サイドが後追いになっています。
 特に、県外からの「利用?」も多く、果たして、ひとつの県・市レベルで対応できるものなのかどうか・・・行政内、議会内も賛否両論あるようです。

 国レベルでのいわゆる遺棄についての詳細なデータがなく、しかも、そこに至るまでに、行政の対応の不十分さもあったりで、崇高な実践に敬意は表するものの、それが絶対無比の手段なのか、岡山県で同様の事が行われるとすれば、個人的には、推進の立場はとれないかもしれないなぁと思いました。

 ただ、確実に、命が救われているのだとすれば・・・難しいです。
 ずっとマリア様が見ています。

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 佐賀大学では、総合大学として、医学・心理・教育が連携して、「発達障害と心身症への支援に強い教員」養成を目指したカリキュラムの開発について伺いました。長年の取組で、文部科学省の「専門職大学院等教育推進プログラム」にも指定されています。

 教員養成の段階から、ある意味、マニュアルのようなものもあって、発達障害に対応できるスキルを持つ教員が養成されるのは、ありがたいことです。
 ただ、多くの場合、クラスに複数の発達障害傾向がある子供がいて、その状況も千差万別。

 私は、岡山では先駆的なTEECHプログラムを例に、むしろ、環境調整、すなわち、教員には、発達障害の子どもについて、なぜ彼がそうするのか?それにどう対応すれば良いのか?を周辺の子ども達や、保護者に伝えるコーディネート能力を養成することが必要なのではないかと申し上げました。

 もっとも、ここまで、教員に要求できるのだろうか?と思うものの、一方では、現場で最も求められるのは、対象の子ども対教師ではなく、障害を障害にしない環境を作っていく、ひいては、社会を作っていくことだと思うのです。

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 佐賀県庁では、「佐賀県育児保険構想」について。
 佐賀県では、子育て支援対策の充実や子育てにかかる経済的負担の軽減などのために、新た財源の確保は困難なので、育児費用を社会全体で支援する「育児保険」の実現を国等に提案しています。
 20歳以上の全国民が一律月額2100円を負担して、乳幼児医療費無料化や保育所や幼稚園の子育て支援サービス料を支援するとのことです。

 ただ、九州知事会や議会内でも賛否あり、独自の提案になっています。なかなか今後の展開の青写真が描けているように感じられませんでした。
 家庭や家族の体力が弱まる中で、介護の社会化同様、育児の社会化というのはイメージは分かるのですが、根本的な発想を含めて、保険というのはどうなんかな?と、個人的には思います。
 まだ、子育て支援税の方がすっきりします。

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 福岡市では、子ども総合相談センターえがお館。児童相談所と青少年総合相談センター、教育相談などが、集まっています。

 ソフトバンクホークスの本拠地、ヤフードームのすぐ横にありますが、埋め立て地だけに、周辺の子ども病院や発達障害支援センターなどとも連携した広大な施設であり、しかも、女の子専用相談を含めた24時間の電話対応、不登校、引きこもり支援、NPOと連携した里親制度の充実等、理想的な施設でした。

 来年度から、岡山市も政令指定都市になって、児童相談所の業務が移譲されますが、ひとつの目指すべき理想と言えます。

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 福岡市立博多小学校は、平成10年に、100年以上の歴史がある4つの小学校が統合して、「学校はまち・まちは学校」のコンセプトで13年に新校舎ができました。
 ガラス面を多用した開放感、教室の区分がないオープンスペース、水深を変えられる昇降式プール・・・・岡山市立中央小学校が、成り立ちからしても、校舎の風情もそっくり・・・。

 ただ、福岡大空襲で焼け残った小学校の扉など戦争資料を展示する平和記念室や、4小学校の看板や校旗などを個々に並べて展示するメモリアルブースや「どんたく・山笠・おくんち」などの歴史・伝統の重視は、大いに見習うべきところがあります。

 放課後児童クラブも含めた生徒の増加や旧小学校の跡地の活用など、岡山と共通の課題も多くありました。
 いずれにせよ、学校は、地域コミュニティの中核であるに違いありません。

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 2泊3日とは言え、生憎、体調不良で、それでも調査先では、ガラガラ声でも必ず、質問しました。実は、県外調査の会議録も残るのです。

 一方、熊本市や福岡市の街を深夜まで徘徊することはありませんでしたが、夜には、単独行動で商店街を歩いたり、路面電車や地下鉄やバスなどをあれこれ乗り継いで動いてみました。
 どちらの街も、バスターミナルを含めた公共交通機関の充実があります。

 政令指定都市を目指す岡山市のまちづくりについては、改めて思うところが強くありました。
 夕刻前に、JR岡山駅前に降り立ち、桃太郎大通りを事務所に帰ると、政令指定都市の玄関というには、まだまだ違和感を感じる自分に気がつきます。

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