過去の岡山県議会一般質問集 <子育て支援>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  教育再生に関して,誰の責任かなどという以前に,結局今回の学力テストの結果は,教育再生を掲げて県民の皆様から信託をいただいた知事御自身の公約に対するマイナス評価と残念ながら言わざるを得ません。本来では,これはおわびから始めるような話だと思います。教育格差の是正という観点から,今回の全国学力テストで市町村の中学校と県立及び国立の中学校の成績にどの程度開きがあるのか,また生徒1人当たりにかかっているコストについてお知らせください。
 また,地域間格差や学校間格差についての御認識と対策,さらには義務教育で基礎学力を身につける同じ土俵に立てていない子供たちや家族への支援について,あわせてお伺いします。

(知事)  お答えいたします。
 教育格差の是正についての御質問であります。
 まず,中学校の成績等についてでありますが,全国調査における市町村立と県立との直近2年間の平均正答率の差は,全教科を平均すると約28ポイントであり,活用力を問うB問題のほうにおいて差が大きくなっております。また,生徒1人当たりにかかるコストについては,国が実施している地方教育費調査によると,直近3カ年の平均では,県立中学校が約90万円に対して市町村立の平均が約100万円となっております。
 なお,県内の国立大学附属中学校については,いずれも承知しておりません。
 次に,地域間格差等の認識等についてでありますが,地域間格差や学校間格差などについては,家庭の経済状況等さまざまな要因が考えられるところであります。子供たちの置かれた環境の違いが学力格差に結びつかないようにすることが重要であり,県教委では課題を多く抱える学校に対し,教員を加配するとともに,地域の協力も得ながら放課後等を活用した補充学習を行うなど,学力の底上げに取り組んでおりますが,こうした取り組みが進むよう支援するとともに,現在策定中の子供の貧困対策についての計画の中でも検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  先ほどの県立中学校をあえて出しましたのは,やはりこうして岡山市内において特に県立の中高一貫校に非常に優秀な成績であったり,思いの強い保護者の方が行かれる,そうした状況の中で公立中学校に何かしらの影響が出ておりませんかということで,岡山市教育委員会とそのあたりもしっかりと連携をとっていただきたいというふうに思います。



<平成26年6月定例会>(2014年6月24日)

(佐藤)  最後に,今年度動き始めた発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトについて。
 2月定例会でも申し上げたように,キーパーソン,共通支援シートがいかようなものであるかについては,まだまだこれは協議が必要だとは思いますが,願わくば就労まで結びつくような一貫した支援であることを強く期待するところでございます。ただ,やはり問題は,早期発見,早期対応と,これは簡単には言うものの,それがどうしたら可能なのか。特に,保護者をフォローできる,たちまち相談ができる場所,人材の確保,学校の先生が発達障害のある子供たちのそれぞれの特性を理解するための研修,医療から検査を受けられる場所への連携,成育医療において情緒安定の投薬医療を受けることができるような医療体制の充実,さらには試験的にいろいろな投薬を行うことができるような医療費免除など,考えられる課題や対策は本当に多くございます。こうした中で,発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトについて,今後の方向性を保健福祉部長にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  お答えいたします。
 発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトについての御質問でありますが,豊富な経験や専門的知識を有する方をキーパーソンとして登録し,各ライフステージに応じた相談支援などを担う幅広い人材群を創出することとしております。また,共通支援シートを活用することにより,就学前の早期からの支援情報を就学後に円滑に引き継ぐことで,就学前後での切れ目ない一貫した支援に努めることとしております。このプロジェクトに加え,乳幼児健診に携わる医師の研修などほかの事業にも取り組むことにより,早期発見,早期対応に努めるとともに,就学前から就労までの一貫した支援体制の構築を図ってまいりたいと存じます。



<平成26年2月定例会>(2014年3月6日)

(佐藤)  ありがとうございます。
 それでは,所属委員会のことですから質問は避けますが,頑張る学校応援事業について,個人的にはその趣旨にちょっと疑問があるのですが,その理由は,対症療法的な,つまりは労務管理の手法が問題をさらに深くし,わからなくさせることに危惧を覚えるからでございます。岡山県の教育再生の根底に横たわる課題として,私はしばしばこの議場でも保護者の状況が子供の教育環境に大きな影響を与えてしまう教育格差の問題と就学前から就労に至る発達障害の問題を指摘させていただきました。頑張る学校を応援することももちろん重要ですが,そもそも頑張る土俵,スタートラインに立てない家庭や子供たちを支援する大前提がまだできてないんじゃないかということでございます。政治は弱い人のためにある,それを実現するために自分が強くなりたいというのが私自身の政治の志でもありますが,弱い方がこれでは守れないんじゃないかという気がちょっとしております。ところで,日本の子供の貧困率の高さが国際的に指摘される中,1月17日に子供の貧困対策法が施行されました。貧困世帯では,子供の栄養状態,健康状態の問題や児童虐待やいじめ,不登校,高校中退といった問題につながる傾向もございます。教育の選択がないことや学習環境が整っていなければ,将来の就職にも不利になり,ひいては貧困が世代間で連鎖する状況につながりかねません。今後,対策法の理念に沿った実効性のある施策が期待されますが,そもそも岡山県の子供の貧困率はどの程度か,その理由は何とお考えか,また子供の貧困対策についての計画を策定する子供の貧困対策会議の設置を含めて,今後の対応をあわせてお知らせください。
 一方で,児童養護施設を舞台にした「明日,ママがいない」というテレビドラマが問題になりました。多くの誤解と偏見が生じたことで,施設の職員の方や里親の方々,何よりも子供たちが大きく傷つきました。私自身も児童養護施設の理事をさせていただいておりますが,家庭的な環境で養育する家庭的養護という時代の流れの中で,懸命な努力が行われています。ただ,厚生労働省がグループホームや里親での受け入れをふやし,児童養護施設の定員を大幅減にすることについては,本当に地域に受け皿があるのか不安が多くあります。児童養護施設を取り巻く環境について,里親制度も含めての御認識,さらには県として何をすべきとお考えかお伺いいたします。



<平成25年11月定例会>(2013年12月10日)

(佐藤)  それでは最後に,発達障害についてお伺いいたします。
 岡山県の教育再生の前提として,学力テストの成績を上げる前提として,あるいはいじめや不登校,校内暴力,ニート,ひきこもり,さらには子供たちの自殺に対して,まずは経済格差が教育格差に結びついているんじゃないか,そういう意味では子育て世代をさらに支援しなくっちゃいけないんじゃないか,また就学前から就労に至るまで一貫した発達障害の支援体制が必要なんじゃないか,私はずっと繰り返し何度も何度も何度も申し上げてまいりました。改めて,発達障害について早期発見,早期対応の難しさというのを感じております。対応がおくれればおくれるほど課題が大きくなっていくように感じるのですが,発達障害傾向があるのにもかかわらず,就学前などに早期に確認されなかった場合,それでも保護者の方が気がつくのが10歳ごろまでが多いというふうに言われてるんですが,ここがスルーされてしまって,そのまま中学校に進んだ場合には保護者も本人もそこからの対応に非常に苦慮する,こうした事態が散見されています。かといって,ある程度の年齢になりますと,第三者から指摘されて発達障害支援センターや児童相談所に相談に行くというのは,保護者も本人にとっても大変に勇気が要ることで,非常にこれはもう動きがとりにくくなっております。やはり3歳児健診はもちろん,特定の子供だけではなく,一斉に自然な形で健診のようなものを受けられる場面が,しかもグレーゾーンということで就学前に確認できないことも多いので,これが複数回要るんじゃないかと思います。また,親子手帳に明確に記載するなど,妊娠や出産の段階から発達障害というのは通常起こり得る課題としての意識づけが行われるべきだと思いますし,しかもそのことへの対応は保護者の方のみならず,地域や一般の方々にも周知される必要があると思います。現状の認識と今後の対応について御所見をお聞かせください。
 加えて,ソーシャルワーカーの増員もさることながら,特別支援学級の充実ということもあるんですが,むしろ特別支援教育支援員の増員,確保が重要なようにも思います。専門性やプライバシー等の問題もあって,この部分を地域の方に委ねてしまうというわけにはなかなかいかず,やはりきっちりと制度として,ある意味,先生方を支援することも急務だと思います。さらに,人権教育といった場合に,発達障害についてはごく身近に起きている一つの考えるべき課題にもなると思います。そして,特に発達障害傾向のある子供たちが私学に進学しているケースも多々あり,今後もその増加が予想されます。私学において,財政措置をもって特別支援教育の研修,支援員の確保などもやはり制度として行っていく時期が来ていると思います。御所見をお聞かせください。
 加えて,気になるのはやはり就労ということなんですが,これはちょっと表現が適切じゃないかもしれませんが,機動戦士ガンダムのニュータイプに例えられるほど希有な才能を持ってる方も大変多くいらっしゃる。グループホームという形が適切かはわかりませんが,個性を生かし合える先駆的な場をつくることも重要だと思います。先般,ちなみにスーザン・ボイルさんもアスペルガー症候群だということを言われておられます。この御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 発達障害についての御質問であります。
 まず,現状認識等についてでありますが,現在,1歳半と3歳児健診において発達障害のスクリーニングを行うとともに,発達障害は集団生活の場で顕在化することが多いことから,保育士等を対象に研修を行い,早期発見に努めております。また,市町村において親子手帳配布の際に,年齢に応じた発達についての情報提供を行っているほか,県ではさまざまな機会を通じて住民への発達障害の理解促進に努めております。今後とも,こうした取り組みを通じて発達障害の早期発見と正しい理解の促進に努めてまいりたいと存じます。
 次に,私学における特別支援教育についてでありますが,児童生徒等への特別な支援が必要と判断された場合には,教員の配置等に対する財政支援を行っております。また,教育委員会等が実施する研修会への積極的な参加を促すなど,研修機会の拡大にも努めております。お話の支援員確保への財政措置までは考えておりませんが,今後とも,こうした取り組みを通じ,私立学校が行う特別支援教育の充実を支援してまいりたいと存じます。
 次に,個性を生かし合える先駆的な場についてでありますが,発達障害のある人の多くは周囲がその障害の特性等を理解し,適切な支援を行うことで,一般企業での安定した就労も可能であるとされております。このため,県では関係機関と連携し,企業に障害への理解を深めていただく取り組み等により雇用機会の拡大を図るとともに,その能力等が生かせるようきめ細かい相談支援や職業訓練等の実施に努めており,引き続きこうした取り組みを通じ,発達障害のある人の自立と社会参加を進めてまいります。
 以上でございます。

(佐藤)  ありがとうございます。
 要望と質問になるんですけれども,発達障害の特に私学における現状というのは,なかなかこれは把握ができてないんじゃないかなというふうに思います。今後,この私学における発達障害の状況について検証,あるいは分析される,そうしたおつもりがあられるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
 いずれにしても,今,就労ということでいいますと,子供たち,発達障害になった成人の方々が一般の企業に入ることだけが就労の形ではない,グループホームという形でより先駆的なというのは,言ってみればパラダイスとは申しませんけれども,多様な才能の方が集まれる場をつくっていくのも先駆的な取り組みとしてやっていただきたいということでありますが,まず私学について検証されるおつもりがあるかどうかだけ最後,確認させていただきます。

(知事)  私学における発達障害傾向のある子供たちの状況を把握するべきではないのかと,そういうつもりはないかという質問に対してお答えをいたします。
 私立学校は,公立学校と違いまして独自の教育方針に基づき,それぞれ教育活動を行っていることから,一律に調査を行う必要までは考えておりません。
 以上でございます。



<平成25年9月定例会>(2013年9月18日)

(佐藤)  感想めいたことでありますが,職員の方が聞いておられる,確かに現場で,職員の方の現場で努力はしていただいておると,私も信じておりますが,私は知事に現場の声を聞いてほしいと申し上げたんだということは,つけ加えさせていただきたいし,この議場にいる我々も,言ってみれば本当に現場の声を聞いている,現場主義に立つ,議員,議会でありますから,こうした議会の声もしっかりと受けとめていただくことをお願いしたいと思います。
 次に,子育て支援について伺います。
 昨年8月10日に,幼児期の学童教育,保育,地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するために,子ども・子育て関連3法が可決成立して,この3法に基づいて幼児期の学校教育,保育,地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するための子ども・子育て支援新制度が平成27年度からスタートする予定でございます。新制度では,住民に最も身近な市町村が幼児期の学校教育,保育,地域の子ども・子育て支援のニーズを把握し,認定こども園,幼稚園,保育園などの整備を計画的に進めることとしています。また,社会保障と税の一体改革の中で,来年4月から8%,平成27年10月からの消費税率を10%にされるということかもしれませんが,その引き上げによる増収分のうち,約7,000億円の財源が充てられることとされています。このうち4,000億円は,待機児童解消等に向けた保育等の量を拡充するために要する費用に充てられ,300億円については,保育士等の職員配置基準の改善を初めとする保育等の質の改善に充てられる予定でございます。この法律の中では,国が子ども・子育て会議を設置し,努力義務とはいえ,都道府県と市町村にも同じような地方版子ども・子育て会議の設置を求められており,既に会議が設置され,会合が開かれて具体的に動き始めている県が複数ございます。子育て同盟サミットを開催されるのは,これはもちろん結構なことなんですが,我が県では,今議会でやっと岡山県子ども・子育て会議の設置条例案が提案され,スピード感がないのは否めません。しかも,今回の設置条例は,極めて抽象的なものでございまして,内容が皆目わかりません。公募委員を募集している県も複数ございますが,かように広く意見を伺いながら,子ども・子育て支援事業支援計画をいかように策定し,推進していくのか,イメージをお知らせください。
 また,教育再生の前提として,しつけをして成績を上げる前に,まずは経済格差が教育格差に結びついている現状で,さらなる子育て世代を支援,また,就学前から就労に至るまで一貫した発達障害の支援体制が必要だと,私は何度も申し上げてまいりましたが,そうした観点も加わるのか,御所見を聞かせください。
 ところで,新制度の主な内容は,1,複雑だった設置手続の簡素化や財政支援の充実強化などにより,幼児教育と保育を一体的に提供する認定こども園制度の改善を目指す,2,待機児童解消を目指し,保育園などの施設の設置を容易にしたり,小規模保育,家庭的保育,いわゆる保育ママなど,保育の量的拡大・確保し,質も確保するため,職員の処遇や配置に関する改善などを図る,3,地域の子ども・子育て支援の充実に向けて放課後児童クラブ,学童保育,一時預かり,延長保育,地域子育て支援拠点事業,妊婦健診などの事業の拡充を図るというものでございます。ただ,保育環境や保育士の労働条件の悪化や来年度以降の保育所整備の国庫補助制度も,今,不透明でございまして,保育基準の違いが広がって,幼稚園,保育所,4種類の認定こども園,そのほか保育ママや認可外保育,事業所内保育など,これがもう複雑化して,混乱と格差を招くと危惧する声もあるにはございます。幼児教育や保育機関,また,養成機関の今後の課題や対応についての認識をお知らせください。
 これに関連して,この6月に,日本で初めて学童保育指導者に固有な資格がつくられた本岡山県で,子ども・子育て関連3法成立後最初の日本学童保育学会第4回研究大会が開催をされました。また,10月5日と6日の2日間にわたって,第48回全国学童保育研究集会が岡山で開催をされます。平成27年4月からは,学童保育は市町村が行う地域子ども・子育て支援事業,これは市町村事業として位置づけられ,学童保育への補助金は市町村の地域子ども・子育て支援事業計画に基づいた支出が交付金として,国から市町村へ交付され,都道府県のほうは,予算の範囲内で補助するという形になります。今後は,岡山県の特徴である市民協働とも言える地域運営委員会のよさも生かしつつ,学童保育に経営感覚のあるNPO,企業も含めた民間も参入して,場合によっては一つの学区に複数の適正規模の学童保育ができて,保育内容も切磋琢磨する中で,選択肢がふえていく,こうした形になっていくかもしれませんが,同時に,少人数クラブを実現して,自己肯定感を高める人間関係や直接的な体験から,子供たちの生活や気持ちの安定を図るという意味で,学童保育は今後ますます重要になってくるというふうに思います。
 まずは,今回の研究集会の意義も含めて,知事の学童保育に対する認識をお知らせください。
 そして,こうした新制度が動き出すにしても,交付金の3分の1の都道府県の負担を確実に確保し,障害児受け入れ加算等の,県のこれはいい事業があるんですが,県の単独事業を後退させてはなりませんし,ある意味,岡山発と言える形で,ある程度のハードルを設置して,一定の給与保障が合意できる指導員の資格制度が,今,実現しようとしております。しかし一方で,無資格で頑張ってこられた指導員さんたちも大変多くいらっしゃる。こうした方々を,言葉は適切かわかりませんが,救済する,こうした研修が県の役割になってくるんじゃないかなと。民間団体と連携しながら,質の高い研修機会を設ける必要も出てくると考えますが,お考えをお知らせください。



<平成25年2月定例会>(2013年3月6日)

(佐藤)  次に,岡山県の最大の課題である教育再生に対して,昨年の9月定例県議会では経済格差が教育格差を生んでいるのではないか,したがって教育再生のためにはまず子育て支援が重要ではないかと申し上げ,そして11月定例県議会では就学前,就労前の発達障害に対する支援体制が必ずしも十分ではないのではないかと指摘させていただいたわけでありますが,この発達障害の問題について今回の予算要求の中でもスクールソーシャルワーカーの増員以外に真正面から発達障害の問題を捉まえた施策,これが新規として少ないことを残念に思いますので,さらにお伺いいたします。
 これは障害全般について,いつも申し上げることなんですが,就学前支援から就労に至るまで一貫した支援体制,特に縦割り行政を越えて節目,節目で十分な連絡が必要であり,願わくばやはりこれはもう時系列に沿ってどんな支援体制があって,それがどう連絡しているのかという子育ての支援のフローチャートが必要だと思います。それぞれの部署がそれぞれに頑張ってはいただいておるんですが,それが連携していないというのが一番の問題であります。
 まず,就学前支援は充実しつつありますが,現実問題,保護者にとって例えばお子さんが発達障害を持つと認識することは,これはもうなかなかに厳しいことであって,また幼稚園,保育園の先生や保護者の方々への研修の充実が必要なこと,これについては現実問題,加算等の現場への支援も必要になってきます。また,障害全般に言えることでありますが,やはり放課後や休日,休暇などの学童保育あるいはデイサービス等に対する支援も必要です。また,成人して初めてみずからが発達障害を持っているんだという認識を持つ方も多く,さらに成人で実際に相談に来られる方は一部であって,実は発達障害を起因としていわゆるひきこもりの状態の方が実際にどれだけおられるか,これも把握しがたい現状もあります。さらには,成人の方はまずは自己理解から地域活動支援センターでプログラムに沿って就労訓練をするものの,職業センターやハローワークとの連携が極めて重要であること,またむしろ大学に進学される高学歴の方も大変多く,ただ就労の場面で大学のキャリアサポートセンターとの連携,こうしたものも非常に重要になっておるということで,やらにゃいけんことは,ほんまにぎょうさんあるわけなんですが,本来はこれらについて全て質問あるいは提案として問いたいわけでありますが,問題の指摘だけをさせていただいて,発達障害についての就学前支援から就労に至るまでの一貫した支援体制の確立への課題と今後の方針,さらに子育て支援のフローチャート,これの必要性についての御認識をお知らせください。
 一方で,知的障害がある場合には特別支援学校,これが軽度であれば高等支援学校という進路もあるんですが,中学まである特別支援学級のような仕組みが高校になったらなくなってしまう,高校生の相談が増加傾向にあるという実態があります。私は本来,県立中高一貫教育校は進学校を目指すこともさることながら,こうした特別支援学級との連絡をモデル的に行うべきであるということを強く感じております。岡山県でも高校での中退率が高いということがありますが,その理由と公立高校での特別支援学級の設置について,教育長の御所見をお聞かせください。
 さらに,岡山市や倉敷市はおかやま発達障害者支援センターと同様のセンター機能を持ってはおるんですが,市町村の発達障害支援の体制についてはそもそも直接支援できるかどうかすら差があるのですが,コーディネーターが設置されているかどうかからして格差があります。県としては,県北支所も津山教育事務所内に設置されてはおりますが,委託事業とはいえ財政的な支援がそもそも十分でなく,発達障害者支援センター機能の充実,そして何よりも地域間格差の是正は極めて重要な問題であるというふうに思います。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 さらに,発達障害に関しての保健,福祉,医療,教育,労働の連携した会議である発達障害者支援体制検討委員会については,現場レベルで十分な意思決定まで行えるような機能強化が必要だと思いますし,自立支援協議会等においても,そもそも発達障害は3障害のうち精神福祉手帳を持つことなどからも精神障害の中に含めて考えられるわけなんですが,事実上これはもはや4障害と考えるような時期になっとるんじゃないかというふうに思います。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 発達障害に対する支援についての御質問であります。
 一貫した支援体制の確立等についてでありますが,発達障害のある方に対してはライフステージに応じ一貫した支援を行うことが重要であり,特に就学・就労の前後などステージの移行期における関係機関での支援情報のつなぎが課題であると考えています。このため,県発達障害者支援センターを中心に福祉・教育・労働等の各分野が連携しながら切れ目のない支援に取り組んでおり,特にお話の子育て支援チャートは関係機関がその役割等を相互に確認し,障害のある方へのわかりやすい支援情報の提供に資するものと考えており,市町村に対し,その作成を働きかけているところでございます。今後とも,関係機関の連携をより一層強化し,乳幼児期から成人期までの一貫した支援に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(教育長)  お答えいたします。
 高校中退率の高い原因等についてでありますが,本県の中退率は全国平均よりはやや高いものの年々減少傾向にあります。中退の理由としては,高校生活に熱意がないことや人間関係がうまく保てないこと,別の高校への入学や就職を希望することなどが多い状況であります。また,公立高校での特別支援学級の設置については,高校標準法に特別支援学級に関する学級編制基準や教員定数の措置等の定めがないため,現段階では特別支援学級の設置は困難でありますが,他県の先進事例もさらに収集しながら,どのような方策が考えられるのか,研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(保健福祉部長)  お答えいたします。
 発達障害者支援センターの機能充実等についてでありますが,発達障害者支援センターでは各種相談活動や普及啓発など総合的な支援に取り組んでおり,来年度からはペアレントメンター事業の事務局機能を担うなど,本県の発達障害者支援の拠点施設として機能強化に努めているところでございます。
 また,県ではセンターの県北支所を設置するとともに,全市町村での支援体制の整備を目指し,コーディネーターの配置等への財政的支援を行うなど身近な地域で適切な支援が受けることができるよう,全県的な支援体制の整備に努めているところでございます。
 次に,検討委員会の機能強化等についてでありますが,発達障害は法律上精神障害に分類されているものの,その症状は多様であり,それぞれの特性に応じた支援を幅広い観点から検討する必要があると考えております。このため,県では関係機関に加え障害者団体代表や学識経験者で構成する「県発達障害者支援体制検討委員会」を設置し,情報共有や連携方策のあり方等について検討しております。また,委員会では現場の第一線で就労支援に従事する職業カウンセラーからの活動報告なども行っており,今後とも,こうした取り組みを通じて委員会の議論に現場担当者の意見や障害のある方のニーズを反映させ,より実践的,効果的な施策が実施できるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございました。
 岡山県の教育再生を言うときに,勉強ができる子,家庭的に恵まれている子,こうした子がどんどん勉強できるのは,これは当たり前でありまして,その支援は十分にやれるだろう。ただ,経済格差が教育格差にならないように,そしていじめ,不登校,ニート,ひきこもり,あるいは校内暴力等々の影に発達障害があるとすれば,これ医療・保健・福祉,労政,雇用,全部かかわってくる問題でありますので,オール岡山でこの教育再生のために経済的な支援と発達障害の支援をお願いしたいと思います。



<平成24年11月定例会>(2012年12月7日)

(佐藤)  今回の知事選挙の中で最も県民の皆様から多く声を頂戴したのが岡山県の教育改革についてでございました。9月定例県議会では,本当に失礼ながら教育長祭りというふうな,教育問題について重点的に取り上げさせていただいたんですが,あえて申し上げなかった論点について,改めて知事と教育長にもお伺いをいたします。
 まずは,9月議会の最後に,みんなが心を一つに岡山県の教育を立て直していくために教育危機宣言の発令をと提言させていただきましたが,教育県岡山の復活に挑戦される知事の意気込みをあらわす意味でも,ここは大前提として教育危機並びに教育復活宣言を発していただきたいと存じますが,御所見はいかがでしょうか。
 もっとも9月議会では,経済格差が教育格差を生んでいるのではないか,これをテーマに質問させていただいたんですが,9月議会であえて申し上げなかった論点に,発達障害の問題がございます。これにつきましては,平成18年12月定例会で申し上げたことを再度申し上げたいというふうに思います。
 この発達障害の問題を考える際に非常に重要なことは,こうした議論が新たな偏見につながることがないように慎重な配慮が必要であり,同時にこうした障害が顕在化していることには,何か時代の背景や理由があって,いわゆるノーマライゼーション,インクルージョンの流れの中で,それをいかに受け入れていくか,これが社会あるいは我々一人一人に問われているのではないかという視点が重要だというふうに思います。また,いじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,ひきこもりなどの根底にこうした発達障害の問題が横たわっているのではないかと指摘されますが,これを障害として捉えることで,対症療法的な稚拙な根性論だとかしつけ論から,当事者や家族を解放する,そういった必要もあると,私は思っております。また,一方で,学級崩壊等によって教員の方が指導力不足と言われる遠因の一つに,この発達障害の問題があるんじゃないか,これも理解する必要があるんじゃないかと思います。いずれにしても,御本人や家族の方の苦しみを思うとき,真正面から議論すべき時期が来ておりますと,このように申し上げてはや6年,事態はどれだけ改善をしたでしょうか。当時発達障害について申し上げた実態調査が実施されているか。また,県内の現状をいかように把握され,そしていじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,ひきこもり,さらには今回の学力低下などの関係をどのように感じておられるのでしょうか。これは非常に難しい問題でございますが,まずは発達障害について,知事の御認識も含めてお伺いをいたします。
 さらに,学力低下,さらには学級崩壊や教員の指導力不足をどのように認識されているか。特別支援教育の発達障害に関する研修の状況,発達障害のある児童生徒の地域のセンター的機能を担う特別支援学校の役割についての御認識も含めて,教育長にお伺いいたします。
 また,自分のお子さんが発達障害であると宣告されることのショックや戸惑いということもあろうと思うんですが,御本人や御家族だけではなくて,児童生徒,PTAはもちろんその周りの保護者も含めて,発達障害の特徴,また教育や対応について広く社会に認知させていただくことが必要だというふうに思います。発達障害の早期発見,早期対応を行うほか,特に学校卒業後,医療・保健・福祉・労働の各部局が連携した就労にかかわるきめ細やかな支援を行うなど,発達障害のある人に対しての幼児期から成人期に至るまでの一貫した支援が必要であるというふうに思いますが,知事の御所見,御認識をお伺いいたします。
 加えて,学校時代の成績と人間的な魅力であたったり,さらには社会に適応できるかどうかというのが残念ながら必ずしも一致していないというのが,何となく我々も経験的には感じておるんですが,こうした即効性のある対症療法的な教育改革もさることながら,人間社会の中でよりよく生きるためには,教育の中でも生涯学習,社会教育は極めて重要だと思います。つまりは,学校の教育だけが全てじゃない。公民館活動などの社会教育の重要性についての知事の御認識,さらには生涯学習センター機能の充実など,県の支援策についてお知らせください。
 そして最後に,突き詰めれば教育再生のために必要なのはマンパワーだというふうに思います。学校現場や市町村教育委員会に行くにしても,社会教育を行うにしても,教育行政担当職員の方々のさらなるパワーアップ,端的に言うと体制強化,これがどうしても必要だと思いますが,知事の御所見をお聞かせください。

(知事事)  お答えいたします。
 教育県岡山の復活等についての御質問であります。
 まず,教育危機・教育復活宣言についてでありますが,本県教育が深刻な状況であることは十分認識しており,教育県岡山の復活に向けオール岡山で取り組むために宣言を発することは,一つの手段であると考えております。まずは,現状をしっかり把握し,教育県岡山の復活に向け,どういった方策が有効なのか,その方向性等を教育委員会ともしっかり議論し,判断してまいりたいと考えております。
 次に,発達障害のうち,実態調査等についてでありますが,1歳半と3歳児を対象とする健康診査で約13%の児童が発達障害の可能性があるとされているほか,県発達障害者支援センターでの延べ相談件数も2,000件を超えるなど,発達障害のある方への支援は重要な課題であると考えております。また,お尋ねの実態調査等については,県において,発達障害のある方を対象とした生活実態等に関するアンケート調査を行っており,各種支援策を検討する際の参考としているところでございます。いじめ等と発達障害との関係については,その障害特性から,人間関係がうまく構築できないことなどにより,結果として不登校やひきこもり等につながることが懸念されます。こうした現状等も踏まえ,今後とも,発達障害のある方への支援を推進してまいりたいと存じます。
 次に,一貫した支援についてでありますが,お話のとおり,発達障害のある方々に対しては,ライフステージに応じ一貫した支援を行うことが重要であると考えております。このため,県では,コーディネーターの配置等による市町村の支援体制の整備を促進するとともに,県発達障害者支援センターを中心に,福祉,教育,労働等の各分野が連携しながら,普及啓発や相談体制の整備,さらには就労支援など,総合的な支援に取り組んでおります。今後とも,関係部局の連携のもと,乳幼児期から成人期までの一貫した支援に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,社会教育の重要性等についてでありますが,社会教育は学校や家庭では得がたい学習や世代を超えた交流等を提供するものであり,子供たちはそれらの活動の中で優しさやたくましさ,規範意識等を育んでいくものと考えております。さらに,これらの活動を通じて,豊かな地域づくりの役割を担っているものと認識いたしております。公民館は,こうした社会教育の拠点施設としてその取り組みの充実が期待されているところであり,平成26年に「ESDに関するユネスコ世界会議」の一環として開催される「公民館・CLC会議」には,県としても積極的に協力してまいりたいと考えております。また,生涯学習センターは,公民館活動の中核拠点として,引き続き指導者養成やさまざまな学習情報の提供等を行うとともに,来春オープンする「人と科学の未来館サイピア」により,子供と大人がともに学べる学習の場が充実されるよう支援してまいります。
 次に,教育行政の体制強化についてでありますが,現在,本県では,行革大綱2008により大変厳しい職員数削減に取り組んでいるところであり,平成27年度の目標達成に向け,何としてもやり遂げたいと考えているところでございます。こうした中にあって,本県教育の現状は非常に厳しいものがあると認識しており,教育再生に向けた教育行政の体制強化については,教育委員会の意見を踏まえながら総合的に判断してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(教育長)  お答えいたします。
 発達障害のうち,学力低下等との関係等についてでありますが,発達障害のある児童生徒の中には,特定の学習や対人関係における困難さにより学力低下や不登校などにつながることもあり,また,校内の協力体制が十分でない場合には,経験豊かな教員でも学級崩壊になることもあると考えております。こうしたことから,県総合教育センターにおきまして,幼児期も含め,支援のあり方についての研修を実施いたしますとともに,学校へ指導主事を派遣し,指導・支援の充実を図っております。また,特別支援学校では,小中学校等へ出向き,学習面や生活面での指導助言や保護者等からの相談にも応じるなど,センター的機能の充実に努めているところであります。今後も,教員の研修を充実させるとともに,関係機関との連携を図りながら,発達障害のある児童生徒が安心して学校生活を送れるよう,支援体制づくりに努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  済みません。いや,前回の9月定例県議会のときもそうだったんですが,教育改革,要は何で我々は勉強するのか,基本的には学校時代の成績を上げるためでは,私はないと思います。学校を卒業した後のほうがはるかに人生長いわけでありますから,要はこの社会でよりよく生きるために勉強しとるということでありまして,逆に言うと,この発達障害の問題に関しましては,学校のとき,在学中のフォローだけではなくて,就学前,なるべく早期に発見して,早期に対応する。そして,何よりも,特に県立高校は若干不十分なところがありますが,就労の場面,こうした場面できっちりとそうした方々が生涯生活できるような,そうした手当ても必要だというふうに思います。私は,今回,岡山県の教育危機宣言を言うべきだと申し上げているのは,学校の教育現場で先生方にもっと研修を受けるべきだとか,あるいは保護者のしつけどねんなっとんならと,こうしたことを言い合おうというために言おうと言っているのではございません。オール岡山でというのは,この教育問題の背景には,9月に申し上げたような経済格差が,チャンスの不平等,教育格差を生んでしまっているんじゃないか。一つはこれは経済問題ですよと,そしてもう一つは今回の発達障害の問題のように,これは保健福祉の問題なんだと,医療や保健福祉全部絡んでいる問題であって,教育現場だけじゃあこの問題解決しませんよということを私は申し上げたいわけであります。また,逆に言うと,学校の成績がどれだけ上がろうが,その方が社会でうまく適応して生きていけにゃあ意味がないんだということも申し上げたいわけであります。そうした意味では,特に知事に,先般公立中学校へ行っていただいた,ここは大変に落ちついた学校で,昔は荒れていたけれども,今はよくなっていますよというふうに言っていただいたんですが,今,私は知事に行っていただきたいのは,むしろ発達障害の子供たちの現場を見ていただきたい。就学前にどのような支援がなされているだろう,そして学校,例えば放課後児童クラブ,そうしたところで発達障害の子供たちどんな状況だろうか,そしてまた,高校でそうした子供たちはどうなっているか,そして何よりも就労の場面で本当に発達障害の子供たちを支援する仕組みがあるだろうか,そこを見ていただきたいと思います。そこを変えていくことによって,私は教育改革ができるんじゃないかというふうに思うんですけれども,学校に行けばそれで終わりだということではないと思うんですけれども,知事の御認識をお聞かせください。

(知事)  再質問にお答えいたします。
 発達障害の現場も含めてよく現状を把握するべきとの佐藤議員の御質問ですが,私も全くそのように思っております。発達障害の問題,先ほど比率を申し上げましたけれども,約13%の児童が発達障害の可能性があるわけでございます。教育において非常に大きな問題でございますので,発達障害の子供たちに対応している現場も含めて広く現場を把握し,実態をきちんと把握した上で教育委員会ともしっかり議論して,岡山県の教育を向上させていきたい,立て直していきたいと,このように考えている次第でございます。

(教育長)  私も学校訪問しておりまして,実際に学校現場で発達障害あるいはそれに近いんではないかといったような子供たちへの対応ということについていろいろお聞かせいただいております。この問題につきましては,本当に幼少期といいましょうか,乳児期の辺から早い検診で早期発見して早期対応していけば,割と対応ができるというふうにお聞きしております。ただ,中学校や高校になりますと,もうなかなか厳しいというような,そういう現状もあるというふうに思っております。我々もしっかり現場に出向いて,どういった支援がさらに必要なのかと,そういったようなことも把握をしながら,保健福祉部局とか,あるいは労働部局,そういったところで連携をとりながら,将来社会人として生きていくだけの力をしっかり支えていけるような,そういう取り組みを充実させてまいりたいというふうには思っております。
 以上でございます。

(佐藤)  最後に,要望だけさせていただきます。
 初めての議会で知事に対しては大変失礼な質問になってしまったことを,おわび申し上げます。
 ただ,やはり同じ世代ということで,また,同じ子育て世代である,現状を取り巻く状況,子供たちを取り巻いている状況の中で,やっぱり私たち親が動いてやらんと,本当に子供たちにとってこれはとんでもない状態になっとるよということでございます。誰かを責めるんではなくて,我々ができる最大限のことをやってまいりたいというふうに思いますし,そして知事が,今後,やはり先ほど申し上げた大胆な県政ということで,やはり車の両輪として,言ってみれば我々も連帯保証の判こをついておるわけですから,ぜひ大胆に頑張っていただきたいというエールを送らさせていただいて,終わらせていただきます。どうもありがとうございました。



<平成24年9月定例会>(2012年9月20日)

(佐藤)  それでは,県政の緊急性の高い最重要課題は教育問題であると思います。以後,教育問題に特化してお伺いをいたします。
 まずは,ゆとり教育から転換した学習指導要領について,以下,教育長にお伺いをいたします。
 ゆとり教育は,知識重視の詰め込み教育がいわゆる落ちこぼれを生んだという批判に対して,具体的にはみずから考えみずから学ぶという自己教育力という考え方を理念にして,教育内容の3割削減,学校に授業の中身を委ねる総合的な学習の時間の創設,学校完全週5日制の実施,薄い教科書の配布という流れでございました。改めて,このゆとり教育の総括,特に学習意欲の低下,塾に通う子とそうでない子の学力格差,理数離れ,現場の緩みを生んでしまったというような評価もありますが,御所見をお聞かせください。
 加えて,現在,脱ゆとりというこの流れについてどのように認識をされているかもあわせてお伺いをいたします。
 さらに,文部科学省では専門家会議を設けて,小学4年生以下にも外国語活動の必修を検討するとのことでございますが,新しい教科等がふえて3連休がふえ,学校の行事も大変に多い中で,例えばきのうまで幼稚園児,保育園児であった小学1年生でも今は5時間目の授業がある,そんな状況で,むしろ学期中に単元が終了できないほど授業時間が極めてタイトになっている。そうした状況をどのように認識されておられるでしょうか,土曜日の活用の仕方も含めてお知らせをください。
 一方で,こうなると夏休みについても考え直す必要があると思います。夏休みは温帯に属する国々を中心に広く実施されておりますが,基本的には夏季の暑熱の回避や,やぶ入りやお盆という夏季の伝統的な慣習によるものであります。日本の教育機関の場合,正式名称は夏季休業といい,校舎などに冷房設備がない場合が多く,太平洋高気圧支配下での授業が暑熱によって困難なので,その間を休業とするためとされています。そして,その期間に期待される教育効果の主たるものは,ふだん学校では体験することのできないことへの児童生徒の挑戦とされています。しかし,現実問題,校舎の冷房設置も進んでいるところは進んできたことや学校週5日制施行により授業時間が減ったことによる学力維持対策で夏休みを約1週間短くしたり,進学校を中心に授業時間の確保を目的に,夏休みを短縮して8月中に始業式を行う学校が増加をしております。もちろん,教職員の方々にとっては通常どおり勤務され,部活動の各種大会や合宿などの行事,教員の校務分掌に関連した会議や研修など,かえってお忙しくされておると認識をさせていただいております。しかし,ことしのように40日以上も夏休みが続く場合,共稼ぎ世帯が圧倒的に多くなってる現状で,子供が一日中クーラーががんがんきいた部屋で親がおらんときに過ごしたり,あるいは子供を塾や各種体験スクールにやれる家庭ばかりではなく,一挙にこの夏休みで生活習慣が乱れてしまう,そうした場合があるように思います。
 あくまで任意でございますが,夏休みの間,仮にこれは午前中だけでもいいんですけれども,学校に行って自主勉強する,要はチャイムがある規則正しい生活を子供たちが送ってくれれば,どれだけ子供も保護者も助かるか。仮に,冷房設備がないからそれができんのだというのであれば,その出費をあるいは保護者は惜しむものでもないかもしれません。また,公費による教育実習の場,あるいは塾との連携で子供たちも1学期の基礎からやり直すことができるかもしれません。特に教室においては,29度を超えると扇風機が,31度を超えるとクーラーが必要だというデータもあって,扇風機,クーラー,あるいはグリーンカーテン等の設置状況についてお伺いをしたいと思います。
 加えて,こうした空調等が整備された上での夏休み中の教室の活用についてお伺いいたします。
 加えて,個人が学びの主体になって一生をかけて学習を続けていく生涯学習というのは,これは実はゆとり教育とは非なるものでありまして,老若男女が相集う公民館で行われる社会教育が象徴的であります。それは,芸術,文化,環境,防災,国際交流など多種多様で,考えようによれば首長部局を含めた教育委員会の所管を外れるような概念だというふうにも思います。そうであるならば,むしろ岡山県生涯学習センターは地域の公民館などの社会教育センター機能を果たすべきものだというふうに思うんですけれども,今,未来科学棟の仕様書等を拝見させていただくにつけても,いつの間にやらこれは何か理数系についての学校教育の補完のような,そんな理念が見え隠れしてるように感じております。改めて,生涯学習センターの役割,特に地域の公民館活動に対する認識をお伺いいたします。

(教育長)  お答えいたします。
 まず,学習指導要領等についてのうち,ゆとり教育の総括等についてでありますが,ゆとり教育はゆとりある教育活動の中で生きる力を育むことを狙いとしたものでありまして,この理念は大切なものと考えておりますが,教科書の内容や授業時数が削減される中で,国際的な学力調査結果から学習意欲の低下や理数離れなどの学力低下を示す状況があらわれたこと,また学習指導要領の理念が十分に実現しなかったことはまことに残念に思っているところであります。こうした状況を踏まえ,新学習指導要領では,生きる力を育むという理念を踏襲しながら,学力向上に向けて教育内容や授業時数の増加等が図られておりまして,理念の実現に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えているところであります。
 次に,授業時間の確保についてでありますが,このたびの学習指導要領では学習内容の増加に伴い授業時間も増加し,小学校1年生は毎日5時間,4年生以上はほぼ毎日6時間の授業を行っており,さらに授業時間をふやす余裕はほとんどない状況であります。そのため,各学校や市町村教育委員会では,学校行事の精選,長期休業日の削減,2学期制の実施等を行っておりますが,土曜日の活用も授業時間確保に有効と考えておりまして,県といたしまして規定の整備を図るなど,その取り組みを支援してまいりたいと存じます。
 次に,扇風機等の設置状況についてでありますが,扇風機の普通教室への設置は県立高校で3.6%,市町村立小中学校で92.6%,クーラーの普通教室への設置がそれぞれ94.5%と3.5%,校舎のどこかにグリーンカーテンを設置しているのがそれぞれ40.0%と32.8%であります。夏休み中の教室の活用につきましては,子供たちの登下校時の安全の確保に留意する必要はありますが,学習に取り組みやすい環境を整えることになり,さらに空調等が整備されれば学習の能率が上がることが期待できるところであります。現在,希望者への補充的な学習として実施している小中学校もあり,また県教育委員会といたしましても学力向上の面からも推進しており,一層各校で工夫して取り組むよう働きかけてまいりたいと存じます。
 最後に,生涯学習センターの役割についてでありますが,お話の未来科学棟は幅広い世代の科学の学習機能を強化する施設であり,これらも含め,センターは県民の生涯学習の振興のため,社会教育担当者や地域の方々を対象とした指導者養成やさまざまな学習情報の提供等を行う施設であります。公民館につきましては,地域のきずなの必要性が指摘されている中,人づくりや地域づくりの拠点として重要な役割を担うものとして認識しておりまして,今後も生涯学習センターの機能を高めながら公民館の振興に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  ありがとうございます。
 特にこれ一つは要望で,生涯学習センターにつきましては,やはりこれは平日の利用というのはもちろんあるんですが,土日にどれだけ科学実験ができて,老若男女が集まって実験ができるかというのが一つの視点だと思いますが,逆に平日,この例えば遠足で来た子供たちに朝から晩まで生涯学習センターおって科学の勉強せえよというのを,これをずっとやるのはちょっと難しいぞというふうなことは指摘をさせていただきたいなあと思います。
 質問でありますが,これは教育長さんの御認識をお伺いしたいんですけれども,特に高校生の教室のほうには今,大変クーラーが設置されている。これは大昔,いわゆる高校生会議というのがありまして,10年以上前でありますが,最後には高校生が表町商店街で署名活動までする,そうした事態にまでなってしまいましたが,高校の教室はクーラーがあるんですが,小学校の教室はなかなかこれはクーラーを設置するのは難しいとは思うんですけれども,現実問題,教育環境としてクーラーがええか扇風機がええかと考えたときに,私ちょっともう扇風機に限界が来とるような気がしておりまして,子供は風の子という言い方はあるんですが,何ぼにも教室が暑いということで,一度小学校の教室に行っていただいたり体育館に行っていただければ,扇風機が回っとったら余計熱い風をかき回してむしろ暑いんじゃという状況があるんですけども,教室の扇風機とクーラーについての御認識をどのようにお持ちかしらとお伺いしたいと思います。

(教育長)  お答えいたします。
 私,個人的には,若いときにはしっかり体を鍛えていく,心も鍛えていくということで,少々の暑さには負けないと,心でそこは乗り切っていくというのが基本的な考え方でありますけれども,昨今のこの教室の中の暑さというのは異常でありまして,熱中症といったような問題もありますので,そういったようなことには配慮していかなければいけないので,室温に応じてはやはり扇風機でなくてクーラーにしていく必要があるのかなというふうには思っております。そういった面もあって日本では夏休みという期間を設定してるわけですけれども,諸般のいろんな状況からそういうエアコンの必要性も出てきているんかなというふうには思っております。
 以上でございます。

(佐藤)  先ほど教育長,御答弁ありがとうございました。
 実は,教室にクーラーを設置して夏休みや長期休暇のときに,あ,いや,質問ではありません。圧縮しますけれども,ごちゃごちゃして済みません。そういう中で,やはりクーラーの設置は必要になってくるというのがつながってきます。
 それでは次に,脱ゆとりの象徴とも言われる平成24年度の全国及び岡山県学力・学習状況調査結果について,以下,教育長にお伺いをいたします。
 これは小学6年生と中学3年生の国語,算数,数学,理科の全般的な学習習熟度と応用力を見るテストでございますが,確かに岡山の順位は低い。これは低過ぎます。一方で,何で秋田県や福井県や富山県はいつも学力が上位になるのか。しかし,学校質問紙調査からすると,教科の指導内容や指導方法について,岡山県では近隣の小中学校の連携割合は実は全国平均よりもはるかに高い。何よりも,児童生徒質問紙調査からすると,例年,岡山県の児童生徒の自尊感情,いわば自己肯定感というのは実は全国よりも高いというデータがあります。一方で,秋田県は,大学進学率となると実は全国35位でありまして,自殺率は全国1位という大変に厳しいデータもあります。つまりは,いわゆる全国学力テストというのが一体何を見ているのか,あるいはどうやればこのテスト成績が上がるのか,これは冷静に見ておく必要があるんじゃないかと思います。そもそも,全国学力テストとは何なのか,特に下位と上位の違い,岡山県と秋田県の結果の違いは何から生じているのか,教育施策なのか教育予算なのか,特に岡山県の教育支出の割合が全国何位程度に位置するものかを含めて教育長の御認識をお伺いします。
 次に,こういった全国学力テストが必ずしも岡山県の子供たちの学力の実態を的確に把握できていないとすれば,学習指導要領をベースにしつつ,入試合格を目標にした塾の模試や学力テストにおける成績上位者の出現率,さらに塾に通う通塾率,中学受験率,大学進学率が具体的に岡山県が全国何位にあるのか,その推移を含めて現状認識をお伺いいたします。
 そして,その数値と今回の全国学力テストの関係が意味するものは,結局のところ子供の学力が上位,中位,下位の三極化が進んでしまっておるんじゃないか,認識をあわせてお伺いをいたします。
 加えて,教育格差ということが言われて久しいんですが,あえて伺いますが,現在,実態として所得の少ない家庭では易しい内容の教育しか受けられず,所得の多い家庭ではいわゆる難度の高い教育を受けられて,さらに高いレベルの高等教育も受けられるんじゃないか。すなわち,学力の三極化が進んでいると思われる中,実は所得の格差によって子供の学力に影響が出てしまっているんじゃないかという印象は,我々子育て世代が誰しも持っているものでありますが,どのような認識をお持ちでしょうか,またこれに対してはどう対応すべきとお考えでしょうか。
 特に,小中学校の義務教育というのは,これはあくまで保護者にとって教育を受けさせる義務であるわけですが,この教育費の負担というものが子育ての経済的な負担の重きを占めるならば,何よりも結果の平等ではなくて,機会の平等がそもそも確保できてないんじゃないかということであれば,自由に競争できる社会の前提すら欠くことになるんじゃないか,そのように私は思います。さらに,大都市や周辺部に居住して小学校の早期から受験塾に通学することが可能な経済力と文化的環境がある者が有利になる地域間格差も生じてしまっていないか,またそれに対してどんな対応すべきか,認識をお伺いします。
 加えて,全国学力テスト,これは実は学校ごとの数値はもちろん公表されておりませんから顕著になっておりませんが,学校間の学力格差というものが存在するのか,その原因や対応についてもお知らせください。
 そして,これは残念ながら,岡山県が進めてきた中高一貫教育,これは一つの評価でありますけれども,積極的に特別支援学級を設置するならばまだしも,いわゆる小学生のお受験の前倒しを生んで,先ほど申し上げた経済格差を背景にした学力格差を助長し,なおかつ地域コミュニティーにおいて極めて重要な公立小中学校の運営にも影響を与えてきてしまってるんじゃないか,そうした評価もあります。改めて,県教委が県立中学校をつくる意義について,特にこれは市教育委員会との関係も含めて認識をお知らせください。
 また,あえて公教育と少子化対策との関係について保健福祉部長にお伺いをいたします。
 特に,幼稚園就園奨励費の充実や研修,給与を含めた補助,就学前の私立,公立幼稚園,保育園の格差是正,さらには国が目指す幼・保の総合施設の認識について,これは就学前の教育,少子化対策としてお伺いをいたします。

(教育長)  お答えいたします。
 まず,全国学力テストの意義等についてでありますが,本調査は国語,算数,数学の学力と学習状況の両面から把握できた結果に基づいてこれまでの教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図るものであります。質問紙調査等で本県と比べて秋田県がすぐれていると思われるところは,授業改善や授業中の子供たちの学習態度,家庭での学習時間などであり,こうした背景には学校と保護者,地域住民との緊密な協力関係やこれまでの取り組みの歴史や徹底度等に違いがあるのではないかと考えているところであります。
 なお,教育支出の割合につきましては,平成22年度分の地方教育費調査によりますと,小中学校に係る人件費や活動費等では本県は34位であり,学力上位県におきましても同様のところもございます。こうしたことを踏まえ,これまでの学力向上施策について第三者の視点も取り入れ早期に分析し,実効性のある取り組みへと改善してまいりたいと存じます。
 次に,現状認識等についてでありますが,塾の模試等の成績上位者の出現率,中学受験率につきましては把握していないところでありますが,24年度の通塾率は,小学校19位,中学校21位,大学進学率は22位で,ここ数年,横ばいで推移しておりまして,全国的にも平均的な位置にあります。県の学力調査結果からは,通塾の有無による学力に大きな差は見られず,また正答数の分布からは全国に比べ中,下位層がやや多い状況がありますものの,お話の三極化は認められないところであります。
 次に,所得による格差についてでありますが,国の委託で行われました全国学力調査の結果分析によりますと,保護者の子供への接し方や教育に対する意識,保護者のふだんの行動などが子供の学力に影響を与えているとの指摘もございますが,お話のように所得の格差によって学力に差が生じている状況も見られるところであります。こうしたことを踏まえ,市町村教育委員会に対し放課後の学習サポートや土曜日,長期休業中等における学習の場の提供等について強く働きかけているところでございます。
 次に,地域間格差についてでありますが,これまでの学力調査結果からも地域間に学力面での差が見られるところであります。こうした地域の状況にかかわらず子供たちが学力を確実に身につけられるよう,県教育委員会では土曜日等に地域の協力を得て行うホリデーわくわく学習支援事業等によりまして市町村や中学校区単位での補充学習等を支援しておりますが,各市町村においても独自に地域の教育力を高める取り組みが進むよう働きかけてまいりたいと存じます。
 次に,学校間格差についてでありますが,学校により学力や学習状況に差があることは認識しておりまして,その原因としては落ちついた学習環境や教員の指導力,家庭での生活や学習習慣の違いなどがあると考えているところであります。しかしながら,厳しい状況の中でも授業改善や放課後の学習支援等,教員による熱意ある取り組みにより成果を上げている学校もございます。県教育委員会といたしましては,こうした効果的な取り組みを県下に積極的に広め,また課題のある学校に対しましては授業改善に向けた指導主事の派遣や放課後等の補充学習の働きかけを行いますとともに,重点的な教員の配置に努めるなど,子供たちの確かな学力の向上に取り組んでまいりたいと存じます。
 最後に,県立中学校についてでありますが,中高一貫教育は学校の選択幅の拡大を図り,6年間を見通した教育指導等により生徒の個性や才能の伸長を図る上で意義あるものと考えているところであります。また,市教育委員会とも十分協議しながら,県立と公立中学校間の人事交流や地元中学校への授業公開を積極的に行うことによりまして,各校の授業改善や教員の指導力の向上を目指してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(保健福祉部長)  お答えいたします。
 就学前の格差是正等についてでございますが,教育機関である幼稚園と児童福祉施設である保育所はそれぞれ別の法令で制度化されておりますが,保育所は児童福祉法に規定された保育指針等に基づき保育の内容等が定められているため,保育所間でサービスの格差は生じていないと考えております。近年の保育,教育ニーズの多様化を踏まえ,保育所,幼稚園それぞれのよさをあわせ持つ施設について国において議論されてきましたが,お話の幼・保の総合施設である幼・保連携型認定こども園は,幼児期の学校教育,保育の総合的な提供が可能となるとともに,家庭,地域の子育て支援に資することが期待されていると承知しております。
 以上でございます。

(佐藤)  先ほど大学進学率とか通塾率が全国大体20位平均前後と,にもかかわらず全国学力テストが低位になるというのは,これはよっぽど問題の根がむしろ私は深いなというように思いました。
 その中で1つまずお伺いするのが,特に秋田県との比較において,秋田がやってること,例えば県レベルの学力テストであったり授業法の改善研修であったり,特に家庭教育については家庭教育学びの十か条というふうなことで大変力が入っておるわけでありますが,それ以外にも学習状況調査なども独自にやられてるということで,言ってみればトップの県のこの教育のあり方について,岡山県がたちまちこれは入れるべきだなあというふうな検討をされているのかどうか,どれならやれるぞということをお考えか,1つお伺いしたいと思います。
 それから,2つ目のこの全国学力テスト,実はうちの子供も小学6年生でございましてことし受けとるということで,レベル下げとるかもしれませんが,このときにうちの子供にちょっと聞いてみましたら,「テストあった」と言うたら「あったよ」と言うて,「何のテストじゃったかようわからなんだ」と。ほんで,「先生最後までやれえ言うたか」と言うたら,「いや,全然そんなこと言わなんだ」と言うてということで,それはある意味きっちりやられたんだと思いますが,恐らく秋田県がやるときには本気で気合いを入れて,全国学力テスト予備テストとか,あるいは何があっても白紙で出すなというふうなことはやってたように思うんですけども,あくまでテストごとですから点を上げようと思やあ上げれるんじゃないかと思うんですが,その全国学力テストの点の上げ方について何かお考えではないですかということをまずお伺いしたいと思います。
 それから3つ目に,先ほどの中高一貫校でありますが,私は中高一貫校の県立高校の理念そのものを否定するわけでもなければ,今行ってる学校や生徒さんを否定するわけではもちろんありません。ただ,この学校があることによって,今の公立や小学校や中学校にどのような,ある意味デメリット,弊害の部分が出ているかどうか,特に地域コミュニティーでいいますと中学生や保護者の方もおられなくわけでありますから,それについての御認識を改めてお伺いしたいと思います。

(教育長)  3点ということで,まず秋田県の取り組みでありますけれども,平成19年度にこの全国学力テストが実施されまして,秋田県が上位であったと,トップであったということでありまして,早速,我々のほうも職員を秋田県に派遣いたしまして,どういった取り組みがあるのか確認をしてまいりました。現在,我々のほうでやっております単元別の到達度確認テスト,こういったようなものはそれを取り入れていったということでありますし,子供たちが自主的に学習できるような教材も開発して配布をしたと。これは期間限定ということで現在は行っておりませんけれども,そういう意味で秋田県のいいところ,例えば指導主事が学校を回って授業改善を指導していくとか,そういうふうなものはどんどん取り入れていっております。学びの十か条というのもありましたけれども,我々のほうも学びのすすめ10カ条といったようなものをつくって学校のほうへ伝えておるわけでありますけれども,要は徹底度がなかなか秋田県のような割と小ぢんまりとした地域,県とその辺がちょっと違っているのかなあというふうに思っております。
 それから,2番目の子供への働きかけということで,本気でテストに取り組んでいくという,こういう姿勢は私は当然それは必要だろうというふうに思いますし,学校であしたはテストがあるからしっかり今までの復習をしてきなさいよという働きかけやら,途中でやめて寝てるような子供がおったら起こして,頑張ってみいということは当然やってほしいなというふうに思っております。テストに当たる点の上げ方というよりもテストに対する姿勢というのは,やはりこの学力テストというのはどれだけの力がついてるかということですので,各学校におきまして年度末には,基本的には単元別が一番いいわけですけれども,そういう過程を経ながら,年度末にはどこまで到達しているのかということをこういう学力テストも活用しながら確認していただいて,不十分なところは春休みに宿題を出してそれをチェックしていくといったような,そういう地道な取り組みが必要だろうというふうに思っております。
 3点目ですけれども,中高一貫の地元に与える弊害がということでありますけれども,弊害という言葉ではどうかなというふうに思いますけれども,やはり一般的に我々が聞いておりますのは,地域の中でリーダー性のある子供が集まってきているんだという状況がありまして,なかなか地元の公立の中学校がリーダーが育たないというようなお話も聞いております。そういった面で,我々はやっぱり県立中がきちっと授業のいい授業モデルをつくって中学校の先生に示していく,そういう面での授業公開をしていくとか,それから生徒間の交流といったようなものもやっぱり積極的に進めていって,その地元の中学校をひっくるめてそういう交流をしていくことが必要ではないかなというふうに思ってるところであります。
 以上でございます。

(教育長)  お答えいたします。
 まず,いじめ問題等についてのうち,おかやまの子どもの生活信条等についてでありますが,本年2月の県民フォーラムでの提案を受けまして,県民の御意見などをもとに作成し,全ての学校・園や家庭等に配布したところであります。学校・園に対しましては,教室や廊下等さまざまな場所への掲示,幼稚園や保育所での毎朝の唱和,道徳の授業での活用のほか,児童会や生徒会による学校全体の生活目標としての取り組みなど,積極的に活用するよう働きかけているところであります。また,幼いころから遊びの中で身につけられるよう,かるた等の作成についても検討してまいりたいと存じます。
 次に,道徳教育の現状等についてでありますが,豊かな人間性を育み社会の中で活躍する人材を育てる上で,道徳教育の果たす役割は非常に重要でありますが,教材や指導方法等の工夫が十分でなく,子供たちに道徳性が身についていない状況も見られるところであります。現在,郷土の先人や文化遺産等に学ぶことや自然体験,社会体験等の活動を工夫していることに加え,新たにこのたび作成した子どもの生活信条を活用することも考えておりますが,何よりも指導に携わる全ての教員の指導力の向上や子供たちの心に響く教材の開発が課題であると考えているところであります。
 最後に,親から子へのメッセージについてでありますが,お話の14歳のあなたへといった親の思いや願いを子供に伝える取り組みは,10歳での2分の1成人式や14歳での立志式等の場を活用して取り組んでいる学校もありまして,親がきちんと子供に向き合い,子供も親のぬくもりを感じたり,自分を振り返り,将来を見詰めることにつながっていると聞いているところであります。子へのメッセージを親の宿題とすることにつきましては,複雑な家庭環境にある子供たちにも配慮する必要がありますが,親の意識を高める方法と考えておりまして,こうした取り組みを学校やPTAに紹介してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  最後に,教育委員会そのものについてお伺いいたします。
 今議会の答弁でも教育長から市町村教育委員会に指導,助言という言葉が頻繁に使われておりますが,この上下関係というのが私は理解しかねるのですが,市町村教育委員会の独自性という観点からしても,そもそも小中学校と高校が市町村と県の別々の教育委員会に委ねられている意味は何なのでしょうか。特に,小中学校の教育現場との忌憚のない意見交換をどのように行われているのか,教育長にお伺いをいたします。
 また,教育委員会も独立の行政委員会ではありますが,民主的なコントロールを及ぼすという意味では,あくまで民間から議会の同意を得て任命された教育委員の方の役割は極めて大きいものがございます。教育委員が民意をいかに教育行政に反映させているのか,またそのためにどの程度,教育現場を回られたり公聴会等の開催をされているのかお伺いをいたします。
 また,知事と教育委員の定期的な意見交換がどの程度行われているのか,教育委員長職務代理者にお伺いをいたします。

(教育長)  お答えいたします。
 教育委員会についてのうち,市町村教育委員会との関係等についてでありますが,小中学校は児童生徒の通学距離や通学時間等の観点から身近な市町村に設置が義務づけられ,市町村教育委員会が義務教育の実施主体として責任を負うこととなっており,県は市町村教育委員会の自主性を尊重しつつ,必要に応じて指導,助言を行い,県下の義務教育の水準確保の責務を担っているところであります。高等学校は,多様な学科の設置や学校規模の適正化など全県的な教育の機会均等を図るため,主に県が実施主体となっているところであります。
 また,意見交換につきましては,これまでも本庁や教育事務所等の職員が日常的に学校を訪問し,行ってきたところでありますが,今回の学力や問題行動調査の結果を受けまして,先般から教育庁幹部職員が県内の小中学校を訪問し,直接,管理職や教職員から忌憚のない意見を聞き,共通理解を図り,一丸となって教育課題の解決に取り組むよう働きかけているところであります。

(教育委員会委員長職務代理者)  お答えいたします。
 民意の反映等についてでありますが,教育委員は年齢,性別等に偏りが生じないようにするとともに,必ず保護者を含む構成としており,それぞれの知識と経験をもとに教育委員会会議で議論し,教育行政に関する重要事項や基本方針を決定しております。また,教育委員が学校や市町村教育委員会はもとより,地域の方々や公安委員など幅広い分野の関係者と年10回程度,意見交換を行ってるほか,外部有識者の知見を活用した自己評価も実施するなど,教育行政に関するさまざまな意見の把握に努め,教育施策に反映させております。さらに,年に1回,定期的に知事との意見交換会を実施しており,昨年度末にはグローバル人材の育成や落ちついた学習環境づくりなどについて議論したところであります。また,教育委員の一人でもあります教育長は,日ごろから十分に知事と協議を行いながら,本県教育の諸課題に対応しております。

(佐藤)  今回は本当に教育長に質問を絞らさせていただきましたが,それだけ今,事態が深刻だということで,特に私の子供も6年生ということがありますが,本当に今,子供たち,いじめ,不登校,これがあるから例えば地元の中学校に行かせるのが怖いから県立の中高一貫校に行かせたい,そういう保護者も実はいるんです。それだけ今,学校が荒れてる状況になっている,もう事態はかなり深刻と言わざるを得ない。そして,今,多くのこの答弁の中でこれだけ皆さん頑張っているのに,にもかかわらずこの全国の統一のテストでやると岡山が下位になる。これは大変な事態だと言わざるを得ません。
 原因がわかっているけどわからない,この状態の中でも今やるべきことは,石井知事がこの任期,特に今,ことしラストイヤーになりますが,財政危機宣言を発令されて4年間で行財政構造改革を行われたように,これは全国で本当に恥ずかしいことでありますけれども,私は今,岡山県は教育危機宣言を発令して,本当に岡山県挙げてみんなでやろうと,これを解決しようと。そうしたこれは特に教育の日が11月1日にありますけれども,誰のせいではない,自分が悪いんだと,自分が頑張れば子供たちようなるよということで力を合わせるようなそうした宣言,全国に初めてのとても恥ずかしい宣言でありますが,ただ3年,5年たったら,あの教育危機宣言をした岡山県が何と秋田県を抜いて全国1番になっとるぞと,そうしたら夢をやっぱり描いていきたいと思いますが,ぜひ教育危機宣言を,恥ずかしい宣言をしていただけないでしょうか,教育長にお伺いいたします。

(教育長)  教育危機宣言の発布をということでございますが,実は私も今回,学力向上アクションプラン5年目のその総決算の結果,四十五,六位という順位だけではなくて,平均正答率が全国からまた離れてしまったと。そういう状況に加え,不登校,それから暴力につきましては,これは600件ほど件数は減っておるわけですけれども,全国的にまた厳しいということで,実は同様の思いを持っているわけでありますけれども,一方で確かにどうなのかなというそういう部分もありまして,現在どうするかということ,やるんなら市町村の教育委員会あるいはPTAともどもやっていく必要があるんだろうなということで,今後もそういう思いは持ちながら調整をして,そしてみんなが心を一つに岡山県の教育を立て直していくんだというそういうことになるんなら,思い切って頑張っていくのも手かなというふうには考えているところでございます。
 以上でございます。

(佐藤)  今回の議会で石井知事が退陣されますけれども,本当に行革を頑張ってくださった,そして成果も出ているということで,まさにこの石井知事の思いも教育行政の中で引き継いでいって,全国でとても恥ずかしいことかもしれませんが,しかしそれを乗り切る岡山県ということで,ぜひこれは要望でありますが,恥ずかしいけれども,全国初の教育危機宣言を発令して,岡山の子供たちを全国一にするために頑張っていただきたいというか,私も頑張りますので,ぜひよろしく御検討をお願いいたします。ありがとうございました。



<平成22年9月定例会>(2010年9月14日)

(佐藤)  最後に,特別支援教育について伺います。
 多くの県立特別支援学校は,生徒数が激増しておりますけれども,給食室や教室にも限界があって,多目的教室の利用や複式学級的指導で,少なからず支障も出ている状況で,これ以上の受け入れは厳しく,加えて,交通アクセスにやや難があり,狭いバスでの長時間通学など,課題も多くあります。特に,政令指定都市でありながら,自前の特別支援学校は持たない岡山市との関連においては,私は県市の連携が極めて重要であると感じておりますが,たちまち施設の増設,これが難しいにしても,障害のある児童生徒数の激増に対して,いかに適正就学を図っていくのか,その考え方について,教育長からお聞かせください。
 特に,発達障害児者の支援体制の強化がうたわれ,ライフステージに対応した一貫した支援体制の整備を図るとともに,身近な地域での支援が行われるよう,市町村の取り組みを促進するという方向は首肯できるものですが,問題はその具体策であります。特に,夏休みあるいは放課後に,県立特別支援学校に通う子供たち,あるいは保護者にどのような支援がなされているのか,あるいは,なされるべきか,これは保健福祉部長にお伺いいたします。
 私は,将来的には,新生児,乳幼児の段階で,あるいは遅くとも就学前に,発達障害に関して生活支援シートがつくられ,だれにでも該当するマニュアルというのはなかなかできないにしても,個別具体的に配慮すべき点が成長に応じた機関に引き継ぎがなされて,支援がなされる必要があると思いますが,どのようにお感じでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,スクールサポーターのような形で,幼稚園,保育園も含めて,小中高等学校に発達障害への対応が指導できる人材の派遣,あるいは養成が必要だと思いますが,教育長のお考えをお聞かせください。
 さらには,財政的には公的な支援がないフリースクールについても,実態や役割分担が把握された上で,十分な連携を図っていく必要があると思いますけれども,行政が具体的に認識し,動く必要があると思いますが,教育長の御所見をお聞かせください。
 そして,これはなかなか難しい提言になると思いますけれども,特に,特別支援学校の高等部について,現実問題,年金が支給される20歳まで待って,これは5年制であってはいけないんでしょうか。また,職業教育に重点を置く学校であるならば,高等支援学校の年齢制限,これにはどういう意味があるのかについて,教育長にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  発達障害児者支援体制のうち,夏休み等の支援についてでありますが,発達障害を含め,障害のある子供等に対して,学校行事以外では市町村が実施主体となって,児童デイサービスや日中一時支援などの福祉サービスを提供しております。障害のある子供等に対しては,教育機関を含む関係機関が連携し,成長過程に応じて,一貫した支援を行う必要があると考えており,県としては,市町村を核とした連携体制づくりを今後とも進めてまいりたいと存じます。
 次に,生活支援シートについてでありますが,20年度に,就学後の子供の成長の様子を書き込むことができる健康の記録を作成し,全市町村に配布したところであります。これを契機として,地域では,教育,保健,福祉が連携して,発達障害児に係る乳幼児期からの情報の共有を進めるなど取り組みが広がっており,今後とも,成長過程に応じ一貫した支援が行えるよう,助言等に努めてまいりたいと存じます。

(教育長)  まず,特別支援学校の適正就学についてでありますが,県立特別支援学校の小中学部への就学は,国で定められている障害の程度を就学基準として,就学指導委員会の専門的見地からの意見等を参考として,県教育委員会で決定しているところであります。また,高等部につきましては,入学者選抜を行い,各学校長が入学者を決定しているところであります。なお,お話のように,特別支援学校では,知的障害のある児童生徒が急増しておりまして,岡山瀬戸,倉敷琴浦高等支援学校などの設置に続き,このたび,倉敷市真備町箭田地内に,特別支援学校を新設することとしたところであります。この新設を機会に,県南部における特別支援学校の通学区域につきましても見直しを図ることにしておりまして,今後,市町村教育委員会と一層連携しながら,適正就学に努めてまいりたいと考えております。
 次に,発達障害への対応ができる指導者の派遣等についてでありますが,県教育委員会では,県巡回相談事業により,幼稚園や保育所を含め,各学校等の要請に応じて,特別支援学校教員等から任命した巡回相談員や,医師,大学教員などの専門家を派遣しているところであります。今後,こうした支援体制の一層の充実を図るとともに,特別な支援の必要な幼児,児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導,支援ができるよう,教員のさらなる専門性向上はもとより,幼稚園や小中学校に配置されている特別支援教育支援員の資質を高めるための研修等にも取り組んでまいりたいと考えております。
 次に,フリースクールについてでありますが,いわゆるフリースクールの規模や活動内容等はさまざまでありますが,不登校の児童生徒等の居場所づくりなどの一翼を担っていると認識しております。不登校の児童生徒の中には,発達障害が背景にある場合もあると言われておりまして,フリースクールにおいて,発達障害についての理解が進むよう,啓発リーフレットや各種の情報提供などに努めてまいりたいと考えております。
 最後に,特別支援学校高等部の5年制化等についてでありますが,法律で,全日制の高等学校の修業年限は3年とされ,特別支援学校高等部はこの規程を準用すると定められているところでありまして,御理解を賜りたいと思います。なお,高等支援学校の入学に際しての年齢制限につきましては,出願の条件としていないところであります。



<平成21年6月定例会>(2009年6月17日)

(佐藤)  次に,教育問題についてお伺いいたします。
 2001年の大阪教育大附属池田小学校校内児童殺傷事件から8年がたちました。また,中国四川省地震では,多くの子供たちが学校で亡くなるなど,学校内の子供たちの安全・安心については,いまだ多くの不安がございます。先般,県立学校の耐震化率が60.3%であるということが報告され,今回の経済対策でも,学校校舎の耐震化は喫緊の課題になっております。ところで,校舎の耐震化が強調される余り,かえってたちまち行える机や本棚やピアノ等の固定化の議論が見落とされているような気がしてなりません。このことは,例えば,家庭内で家具の固定化が進まないように,耐震構造の建物の中にいさえすれば大丈夫だという誤解を生みかねません。仮に校舎の耐震化を行う予算がたちまちなくても,危機意識の啓発を含めて固定化を進めることはできるはずですが,その御認識を教育長にお伺いいたします。
 さて,改正教育基本法は,教育振興基本計画の策定を自治体の努力義務とし,既に20都道県が策定済みですが,本県においても目指すべき教育の姿や施策のあり方を議論し,今後5年間の教育行政の指針づくりの教育振興基本計画を作成することになりました。御案内のとおり,改正教育基本法は,「我が国と郷土を愛する」という教育目標を掲げており,この教育振興基本計画についても,改正案に沿って,国や郷土を愛する気持ちの醸成や道徳教育の充実ということが重視されるものなのか。教育長は,子供の規範意識や道徳性の低下が深刻化している,このような認識をお持ちのようでございますが,岡山県の子供たちのあるべき姿と教育振興基本計画の方向について,教育委員のお考えをお知らせください。

 ところで,今,学校内で深い影を落としている問題がございます。いわゆるモンスターペアレントの問題です。私自身,この言葉が好きではありませんし,具体例を挙げることはいたしませんけれども,消費者意識,権利意識が高まっているからか,あるいは地域社会が緩衝材となっていた個々の親の不満が直接これが学校に持ち込まれるようになったかはわかりませんが,こうした学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者によって,一部の学校では頭を抱え込んでいる事態が発生しております。保護者同士で助け合いましょう,そうしたレベルを超えて,こうした保護者が出現すると,教員はその対応に膨大な時間を奪われ,その結果,児童生徒のために使う時間がなくなり,クラスはもちろん,場合によっては学校全体に悪影響が広まります。対応が一人の教員に押しつけられた場合などでは,逆に被害が拡大したり,指導力不足とレッテルを張られたり,担当教員が体や精神を病んでしまう事例が珍しくなく,特に経験が浅い新任教員は適切な対応ができず,問題を抱え込んでしまうというふうに言われております。子供たちを守るために,この状況から,まずは教員を救わなくてはいけません。あえて言えば,スクールカウンセラー,スクールサポーター,スクールソーシャルワーカーが置かれ,子供のメンタルケアの観点から,心の専門家が配置されておりますけれども,むしろ今,対象とすべきは,子供たちもさることながら,ある意味はけ口を求めるこうした保護者とその対応に疲れ果てた教員かもしれません。いずれにせよ,こうしたモンスターペアレントの対応は,個々の教員や学校ではもう不可能でございます。学校現場で対応できる限界を超えていて,できれば人間関係のトラブルについてよほどのスキルがある専門家が中立的な立場でアドバイスを行う第三者機関を設ける必要がある,そのように私は思います。私は,教育委員会内にモンスターぺアレント対応専門チームを設置して,保護者の苦情対応マニュアルの作成や第三者機関の設置を検討すべきと考えますが,いわゆるモンスターペアレントについての現状の認識と教育委員会として現場任せにせず,果たすべき責務について,教育長にお伺いいたします。

(教育委員会委員)  ただいまの佐藤先生の御質問の中に,教育委員の考えを聞きたいということがございました。この場に出席いたしております同僚教育委員でございます門野教育長とも協議をいたしましたが,私,大原が代表してお答え申し上げるのをお許しいただきたいと思います。
 例によりまして,説明者として召還されている民間人の範囲を逸脱しないように,私見あるいは私情を交えずに状況を御説明申し上げたいと思います。
 子供たちのあるべき姿勢と申しましょうか,どういうふうな姿を念頭に置いて教育システムを構築すべきなのかということにつきましては,教育委員会の中でも何度も議論を重ねております。その中で,こういうふうなことが大体集約されとったところかなということを御説明申し上げたいと思いますが,まず基本的には先生の御指摘のとおり,子供たちが自立して生きていく上で基本となります道徳性あるいは規範意識というものは,非常に重要でございまして,これを身につけることが基本である,そのとおりの姿勢を教育委員一同本当に強く感じております。それと同時に,学習活動でございますとか,あるいはさまざまなより広い文化活動というものに対して主体的に取り組んでいく子供たちであってほしい。そして,その中で,先ほどの御指摘もございましたが,知・徳・体の調和がとれた子供たちであってほしい。これは議論が若干ございまして,知・徳・体の調和というのは,そうなんだけれども,その中で一人一人の子供たちの個性がありますから,その中で特に体がすぐれている子,あるいは知がずっとすぐれている子,徳がざっとすぐれている子というのはどういう子かちょっとわかりませんけれども,例えば,リーダーシップの非常に強い子,そういう突出したものを刈り込むのではなくて,そういうものはしっかり個々には認めながら,教育システム全体の設計としては,そういう形でバランスのとれた設計をしたいというのがほぼ共通した認識だと思います。
 それからもう一つは,先ほどの郷土を愛する心ということにつきましては,教育委員は大体こういう申し上げ方がいいかどうかですが,かなり世界を舞台に活躍している方が多うございますので,それならばそうなるほど日本人としてのアイデンティティー,あるいは岡山人,倉敷人,高梁人,津山人としてのアイデンティティーというのを非常に強く持たなければならないという気持ちは,全員強く持ってございます。そういう意味で,本当の意味で郷土を愛する気持ちというのをみんなと共有したいという気持ちは強うございます。と同時に,そういう人たちでございますから,郷土を愛する心というのは,これが世界に対する広がった心と結びついてほしいという議論もよくいたしておりまして,そういう形で郷土岡山を大切にする,そういうふうな思いはぜひ込めてまいりたい。そういう形で次代を力強く担う人材を育てるということを念頭に置いて教育システムを構築と申しましょうか,設計してまいりたいというのがほぼ教育委員一致した思いであると認識いたしております。
 なお,教育振興基本計画にも言及されましたが,これの策定に当たりましても,子供たちの健やかな成長を見据えながら今後の本県教育の目指す,ただいま申し上げましたような理念,あるいは今後5年間に取り組む施策の方向性などについても十分に議論してまいりたいというのが教育委員の共通した姿勢でございますので,御理解賜りたいと思います。
 なお,ただいま申し上げましたことは,同僚教育委員である門野委員とほぼ,全くですね,多分,共通した認識でございますので,念のため申し添えます。

(教育長)  次に,モンスターペアレントの現状等についてでありますが,お話のように,理不尽な要求を繰り返す保護者により,学校が苦慮する事案が少なくないところであります。これらは,教員にかなりの時間的精神的な負担になることが多く,学校は組織として対応するとともに,関係機関や地域の方と連携を図ることが重要だと考えております。県教育委員会では,昨年度こうした要求等に対し,学校がより適切に対応することができるよう,こうした対応マニュアルを作成いたしまして(対応マニュアルを示す),各学校に配布させていただいているところでございまして,それを活用しまして,対応のあり方について現在研修を深めているところでございます。また,県教育委員会に解決が困難な事案について相談を受けます学校問題相談窓口を指導課に設置いたしまして,児童相談所や校長経験者から成る支援員が第三者的な立場で問題解決に向けた支援を行っているところであります。今後,さらに相談窓口の周知徹底に努め,機能を一層充実させるとともに,法律問題を含む複雑な問題につきましては,弁護士に相談するなど,県教育委員会として学校を支援しながら,こうした問題の円滑な解決に努めてまいりたいと考えております。



<平成15年9月定例会>(2003年9月16日)

(佐藤)  さて,私は,県議会議員というものは全県的な視野から政策提言すべきであるし,特に,複数選挙区である岡山市のことについて,ことさら取り上げるべきではないのではないかとは思うものの,事が我が子のこととなれば,父ちゃんは黙っておられないわけでございます。おかげさまで,私の子供も2歳10カ月になりました。近ごろは,私が出かけるときには「また来てね」,帰ってきたら「いらっしゃいませ」と,しっかり言葉も覚えました。
 ところで,御案内のことと存じますが,いわば乳幼児医療費がただとなる乳幼児医療費公費負担制度の給付方式については,現物給付にしていただき大分楽になりましたが,岡山市においては対象年齢は3歳未満,我が子がこの制度の恩恵を受けるのもあと2カ月でございます。同じ中核市の倉敷市が,この10月から4歳未満から5歳未満に引き上げになりますが,中学卒業までとする7町村には遠く及ばず,岡山市は78市町村の最低ということで,同じ子育て世代の「おやこクラブ」のお母さん方から,何をやっとんのかとしかられているのでございます。子育て支援を言いながら,一番たくさん子供がいて,ひょっとすると一番親が税金を払っているかもしれない,そんな地域で,何でこうなるんと,これは素朴な疑問だと思います。そもそもが,岡山県の行う乳幼児医療費公費負担補助制度について,岡山市は平成8年の中核市移行以来,他市町村に比べて厳しい補助率となっています。これは,中核市倉敷市に対しても同じ傾向がありますが,全国35中核市を比較してみた場合,岡山県の補助率は最も低い水準となっています。調べてみますと,中核市,政令指定都市といった町の規模によって県が補助するのかどうか,さらにそれで幾ら補助するのかというのは,どうも必ずしも論理的な関係はないようであります。それは,対象年齢についても同様だと思います。逆に言えば,もちろん国の補助を前提にした話ではありますが,知事や基礎的自治体の首長の福祉政策の考え方に左右されるものだと思います。つまり,知事次第ということもあるのではないかというふうに私は思うのですが,はっきりしているのは,県同様財政難に苦しむ岡山市にしてみれば,子育て世代支援策としてせめて補助率を従前の2分の1に戻していただければ,対象年齢引き上げが少しでも容易になるという事実です。岡山市民の子育て世代と,そして子供たちを代表して,乳幼児医療費公費負担補助制度の補助率削減の理由を伺うとともに,補助率引き上げについての知事の御所見をお伺いいたします。
 また,学童地域支援事業については,放課後児童クラブの児童数や開設日数が国制度の基準を満たしていない場合,単県の上乗せ事業として運営費や障害児の受け入れ加算時の補助が実施されている事業です。しかし,岡山県の実施要綱では,これは要綱ですけれども実施主体は中核市を除くとされ,岡山市,倉敷市への運用はできない扱いになっています。改正の検討はできないのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,下水道事業の見直しの中で,合併処理浄化槽が大幅にふえてくると思われますが,合併処理浄化槽の補助金についても同様の問題があります。今後の方向をお知らせください。生活環境部長にお伺いいたします。
 関連して,産業廃棄物処理税に関しては,中核市にこれが交付されることを歓迎する声はありますが,思い起こせば国体の主会場の問題でも,岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例の改正について,これをめぐって岡山市議会では大変な議論もありましたし,最近では城下の駐車場でも議論がありましたが,岡山市に限らず対市町村に対して,原則的に県の事業は県のお金でやり,例外として,地元市町村に利益が生じる場合に生じるであろうというのが地元負担だと思うのですが,そもそもその基本理念がどういったものなのか,どういったときにどういった割合で地元負担が生じるのか,お知らせください。
 特に,たびたび指摘され,また提言もなされていますが,昭和32年公布の岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例そのものについて,特に岡山市に対して,また他市町村についても,他県に比べて負担率が非常に高率となっていますが,その理由,また適債事業に係る後年度の交付税措置が考慮されておらず,最終的に税制負担が不均衡になっている事業について,その根拠と今後の方向についてお知らせください。
 また,私は,今後市町村に対してあくまで対等な立場で十分な情報提供と意見交換の場が必要であると考えますが,今後の指針についてお知らせください。
 私がこうした一連の質問の中で申し上げたいこと,その思いでありますが,地方分権一括法施行後は,県と国の関係同様,市町村と県もまた対等協力関係にあるはずではないか,そういった思いであります。財政が逼迫しているのは,各市町村も同じことでありまして,真の地方分権,真の地方主権確立のためには,市町村という基礎的自治体が財政的にも自立していくことが重要であり,市町村の自立のために県は国と闘っていくんだ,あるいは県も市町村の自立を促していくんだ,そういう姿勢が今後ますます重要になってくると思います。
 そこに,大切なのは応分の負担の問題であります。逆に,そういった姿勢があらずして,県が国から自立できるわけはありませんし,もっと言えば,知事がおっしゃられる,県を解消して道州制にしていくという方向にはなり得ないと思います。そういった思いで質問をさせていただいております。
 岡山市との関係の最後に,岡山市,岡山県の連名で,申し出に基づき,内閣官房都市再生本部が,この7月18日に第3次の都市再生緊急整備地域を指定,政令公布し,岡山駅東・表町地域の47ヘクタールが指定されました。岡山市中心市街地のまちづくりにおいては,制度上の前提ができ,これからじわじわ効いてくる非常に重い意味があるものだと私は思います。県,市の連名で提出された意図,またこの地域は御案内のとおり,ザ・ハヤシバラシティ構想あるいは旧出石小学校跡地と現中央南小学校地等を念頭に置いたもので,さらに円滑な交通アクセスを確保するため,バスターミナルの整備を検討するとありますが,考えておられる県都岡山市の中心市街地の具体的なイメージをお知らせください。

(知事)  次に,乳幼児医療費公費負担補助制度についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては,市町村との役割分担の観点から,財政力の強い市につきまして補助率を見直すべきとの行財政改革懇談会の答申を受けまして,平成9年に策定をいたしました行財政改革大綱におきまして,岡山市の補助率を6分の1としたものであります。なお,財政力の弱い町村につきましては,6分の5あるいは6分の4という高い補助率も適用をしておる,これが岡山県の特徴でございます。
 現物給付化に伴います激変緩和措置も講じておりまして,岡山市,倉敷市に対しましては,平成16年度まで補助率を5分の1に引き上げているというところでございます。御質問にもございましたけれども,政令都市に対しまして一切もう補助をしてないという県もありましたり,あるいは中核市につきまして原則の補助率より若干数値を変えているもの等,他県におきましてもさまざまな補助率の適用状況は異なっているようでございますが,岡山県におきましてはそのような経過で現在の補助率としているものでございます。なお,第3次の行革大綱をこれから策定しようという厳しい状況下にあるところでございまして,何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 県建設事業費市町村負担金徴収条例の基本理念でありますが,これは県が行う建設事業によって特定の市町村に受益がもたらされる場合,受益市町村とその他の市町村との間の不均衡を是正をするために,その受益の範囲内において地元負担を求める,こういう考え方でございます。
 負担率等でありますけれども,本県の場合,総事業費から国庫支出金を控除した額に負担率を乗じて負担金を算出をしておるということでございまして,総事業費に対する市町村の負担率は他県と比べて高くなっているのではないかとの御指摘がございましたけども,そのようになっているとは考えておりません。例えば,広島県と比較をして都市計画国庫補助事業で見ましてもほとんど同じ数値と相なっております。岡山県が特に高いということではないと私は考えております。
 なおまた,交付税措置の違いによります財政負担の不均衡についてのお尋ねもございましたが,県と市町村との実質的な負担が同額となりますように,負担特例措置を講じているということでございます。県の起債に対して措置される交付税の額の,例えば半分だとしますと,その半分に相当する額を市町村の負担額から減額をすると,こういったようなことで,とにかく県と市町村が交付税が出る場合には,それも勘案して均衡するように特例措置を講じていると,こういうことでございまして,御理解を賜りたいと思います。今後とも,市町村の理解を得て事業を進めてまいりたいと,このように考えております。
 都市再生緊急整備地域でありますが,岡山市中心市街地の再生は,県,市双方にとって重要な課題であるということ,また国の意向もございまして,連名で申し出を行ったものであります。今回指定されました岡山駅東地区でございますが,駅前という立地特性を生かしました新規拠点の形成あるいは小学校跡地の活用等によります複合市街地の形成を,また表町地区におきましては,既存の商業集積等を活用しながら,多様な機能を持つ都市拠点の形成,これを目指しているものでございます。

(生活環境部長)  岡山市との関係の中で,合併処理浄化槽への補助についてでございますけれども,県におきましては,その普及を積極的に推進するということのために,昭和63年度から合併処理浄化槽への補助を行う市町村に対しまして,国の定めた基準額の範囲内で,市町村が補助した額の3分の1を補助してきたところでございます。しかしながら,厳しい県財政のもとで,市町村との役割分担の観点から見直しを行っておりまして,財政力の強い岡山市等につきましては,平成9年度から従来の補助額に調整数0.7を乗じた額を補助してきているところでございます。
 こういう状況でございますので,県の財政状況が引き続き厳しい中にありましては,これを復元することはなかなか難しいことだと考えております。どうぞ御理解を賜りたいと存じます。

(保健福祉部長)  岡山市との関係におきます学童地域支援事業についてでございますが,この事業は,県の事業として国補助制度を取り入れて行っております,放課後児童健全育成事業を補完するものでございます。岡山市,倉敷市の放課後児童健全育成事業は,中核市みずからの権限をもって行っておりまして,もともと県の補助が入っておりませんで,県の事業とは別のものでございます。そういった趣旨から,単県制度の学童地域支援事業におきましては,中核市を補助対象から外しているものでございまして,御理解賜りますようお願い申し上げます。



<平成15年2月定例会>(2003年3月5日)

(佐藤)  それにしても,議員にならさせていただいた4年前から,個人的には結婚もし,子供もでき,その子も何事かしゃべっていることに,月日のたつことの物すごさというのをしみじみと感じるのですが,ただ政治にかかわるものとして十分な働きができないままに,日本も,日本人もよくなっている感じがしない。本当に,これから先この国は大丈夫なんかという思いばかりが募ってまいります。
 例えば,30年後,日本は,岡山はどんなことになっているのか,日本は,岡山は大丈夫なのか,そこでいつもわがままな質問をさせていただいておるんですけども,まずは,これからの時代を担うであろう,我々若い地方議員に知事が期待されることがあるとすれば何でしょうか。今後の励みにしとうございますので,ぜひ一言お願い申し上げます。
 さて,デビュー作には作者のエッセンスのすべてが出ると言いますが,平成11年6月定例会の私自身の初質問を読み返しますと,私は「中心」という言葉をキーワードに質問を進めておりました。当時は,君が代,日の丸論争の時期でもありましたが,「21世紀の日本人が寄って立つべきものは何か」という問いに対する私の答えは極めて簡単です。「日本人は日本人に返れ,そのことに尽きます」と申しております。北朝鮮に拉致された方の帰国もあって,昨年の漢字1字は「帰」でしたが,グローバリゼーションをいう一方で,日本人が本来持っていたはずの謙虚さ,潔さ,思いやりや優しさ,高い倫理観を取り戻すこと,日本は日本に返ることで,あるいは偏狭なナショナリズムではなく,日本人が日本人であるという誇り,自信を取り戻すことで政治経済のみならず,環境問題,福祉の問題も解決できることもあるはずだと,やはり私は思います。
 そして,すべては教育,すなわち人育てに尽きると思います。そのために,まずできることから始めなくてはいけません。国会で議論されている教育基本法の改正を待つ前に,まずは地方は地方で地域社会をしっかりと愛する心を養うためにも,学校の授業で地域の歴史,岡山の歴史だけを取り上げた体系的な指導が必要であると思いますが,いかがでしょうか。加えて,特に和服を着たり,つくったりするなどの日本の伝統文化の理解も,国際理解同様に重要だと考えますが,どのように考えられておられるでしょうか,教育長にお伺いいたします。
 また,私は,やはり古い家の制度ではありませんが,家庭に立ち返ることが何より重要だと思います。特に,我が子は2歳4カ月,三つ子の魂百までという言葉が身にしみるわけでございますが,幼少期の教育はその後の子供の成長に多大な影響を与えます。しかし,核家族化,少子化,都市化が進むにつれ,コミュニティーも希薄になり,最初の教育者ともいえる親が親として何をすべきかが伝承できなくなっています。ひいては,子供の自殺や家庭内暴力,親の子殺しといった現象もある中で,残念ながら親の幼少期における教育は体系化されたものとは言えず,親は親としてだれの助けもないままに自信を喪失しています。そういった状況の中で,地域の愛育委員や母親クラブの支援などが極めて重要だと思いますが,その取り組みについて保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,他自治体のように親業のセミナーを開催するお考えはないか,教育長にお伺いいたします。
 お伺いしたいことは以上でございますが,いずれにしましても4年間の議員生活ではやり残したこと,これからやりたいことが余りにもたくさんございます。大変生意気を申し上げますが,アイ・シャル・リターンと申し残して,今期最後の質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。

(知事)  最後に,若い地方議員への期待ということのお尋ねがございましたけれども,もう当然のことでございますが,地域を愛して,地域のさらなる発展と住民の皆さんの幸せを願うと,そういう意味におきましての郷土愛を持っていただくことはもう当然のことでございますし,そして積極的に政策提言をしていただきたいと思います。そのためには,日ごろより研さんを積まれ,いろんなことも学習をしていただければと願っておりますが,このことは議員,自分は当然やっていると,このように思ってらっしゃる。私もそのように評価をさせていただいているわけでございますが,特に,若いということで御質問ございましたので,何事にもチャレンジ精神でという意味での「挑戦する」そういう姿勢を持っていただければと,既存のシステムとか,従来からの慣例とかについても,そのチャレンジ精神を持って取り組んでいただくと,積極果敢に改革にも取り組んでいただくと,このようなことを期待をしておりまして,郷土愛,政策提言,そして挑戦ということを申し上げたいと存じます。こういったことを期待をいたしますとともに,地方から日本を変えていくと,岡山から日本を変えていくんだと,こういう思いを若い議員の皆様を初めすべての議員の皆様と共有をいたしまして,力を合わせて県政を推進していきたいものだと,このように願っているところでございます。佐藤議員のますますの御活躍を心から期待をしているところでございます。

(保健福祉部長)  小さな子供を持つ親への支援についてでございますが,現在,保健所や市町村,保育所などによる相談支援等を行っているところでございますが,子育て経験のあるボランティアによる支援や同じような立場にある母親等の集まりを通じた支援も重要であると考えているところであります。このような観点から,愛育委員活動,母親クラブ活動,地域子育て支援センター,つどいの広場等の事業を重点的に推進しているところでございます。
 さらに,来年度は新たに愛育委員と栄養委員による地域のお母さんがすすめる健康支援事業を創設するなどして,子育て中の親への一層の支援に努めてまいりたいと考えております。

(教育長)  まず,地域の歴史教育等についてでございますが,学校での歴史教育は主として小学校で先人の業績など人物中心の歴史を,中学校では日本の歴史を,高等学校では世界の歴史をと,発達段階に応じて体系的に学習することになっております。そうした中で,御指摘の身近な地域の歴史につきましても折に触れて学習し,歴史への興味や地域への関心を高める工夫をしております。例えば,先人の業績として吉備真備や池田光政を取り上げたり,ある歴史上の事件をオペレッタにして発表したり,郷土の歴史をCD−ROMに収録し教材として活用するなど,身近な歴史をさまざまな形で学習をしております。高等学校では,学校独自に科目を設定できますので,例えば吉備の国風土記などの科目を開設し,体系的に学習している学校もございます。
 また,伝統文化につきましては,お茶やお花などの生活文化や和楽器に親しむことなどを通しまして理解を深めているところでございます。
 次に,親業セミナーについてでございますが,本県では教育の原点は家庭にあり,すべての親が参加する機会をとらえ,節目,節目で講座を実施することが最も効果的であると考えてまして,妊娠期,3歳児,就学時の健康診断等の機会を活用した講座や思春期の子供を持つ親を対象に,子供の心理や親のかかわり方についての講座を市町村主催で実施し,県や国がこれを支援しているところであります。お話のセミナーを開催しておりますのは,親子の好ましい人間関係づくりを支援するための有料講座を開いている民間団体の一つでありまして,その団体のインストラクターの方が県内の子育て講座の講師の一人として招かれている例がございます。県教育委員会といたしましては,よりきめ細かな支援ができる,住民に身近な市町村主催という形での子育て講座が好ましいと考えておりまして,今後とも,その充実が図られますよう実践事例集を作成するなど,市町村の支援に努めてまいりたいと存じます。



<平成13年9月定例会>(2001年9月19日)

(佐藤)  先輩方の御厚情をいただきまして,私のわがままで,毎回毎回一般質問を続けさせていただいてまいりましたが,いよいよ10回目になりまして,ここはひとつ趣向をというわけではございませんが,これからさせていただきます質問は,あるいは,今までで一番過激な質問になるかもしれません。ただ,その根底にあるのは,あくまで職員の方であれ議員であれ,公職にある者の責任と誇り,それを回復したいという願いであり,尊敬する石井正弘知事に対して,いたずらに攻撃しようとか生意気を言ってみようとかというわけではございません。しかし,若い者が何を言うんならという部分がございましたら,これが俗に言う若げの至りでございます。どうか,そこのところをおおらかな気持ちで受けとめていただきますよう,心よりお願い申し上げます。
 さて,私は,この神聖なる本会議の議場で,愚痴を申し上げる気はさらさらございませんが,県議会議員に当選させていただいて2年半,先輩方や執行部,職員の皆様方のお力添えをいただき,自分なりに頑張らせていただいてきたつもりですが,なかなか成果が出ません。それどころか,周りを見渡せば,事態はますます悪化しております。景気は悪化の一方,毎日倒産のニュースが入り,完全失業率は5%突破,たび重なる想像を絶するような,信じられない事件の数々,崩壊する倫理,社会不安,環境の悪化,さらにはアメリカの連続テロ事件を契機にした国際的な戦争の兆し,一体この国はどうなってしまうのか。私は,議員として何をしているのか。何か日本はおかしいぞ。前代未聞の経済危機,社会的危機だとだれもが感じています。小泉総理への一時の圧倒的な支持も,このままでは本当にすべてがだめになる,その前に,根本的な手を打ってほしい,そういった国民の声でした。もはや右肩上がりの経済,豊かな未来,そんな夢にいつまでも酔い続けることはできないのかもしれません。高度経済成長がいつか戻ってくるというのは幻想にすぎないかもしれません。だれもが,本当に大きな不安を抱えています。ここから始まるのは,生き残りをかけた戦いです。今この瞬間に,どれだけ多くの岡山県民が歯を食いしばって頑張っておられるでしょう。どれだけ多くの方が,あしたの,いやきょうを乗り切るために汗と涙を流しておられるでしょう。家族のため,従業員のため,迫りくる倒産,失業,リストラの恐怖と戦いながら生きておられる方が,どれだけ多くいらっしゃるでしょう。
 10カ月になった子供の寝顔を見ながら思います。彼に何を残せるのか。こいつは将来,何もよいことがないかもしれない。既に,彼は,多くの借金を背負っている。また,これからも平気でツケを回されるでしょう。少子・高齢化が進み,さらに,国際的な緊張の中で,ずっと今よりも不安な社会で,ずっと借金を背負い,彼らは生きていかなくてはならないのです。また,どれだけ多くの子育て世代が今を耐えているかおわかりでしょうか。自分たちの受けてきた以上の幸せは,子供たちに与えられないかもしれない。親として,どれだけ情けないか。今をやり過ごしても,将来の経済的不安,社会的不安がどんなに大きいか。
 私は,彼らの声を代弁したいのです。政治は,未来の子供たちのためにあります。今声が出せる,意見が言える人たちのためだけではないのです。しょせん人間は死にます。人類という流れの中では,バトンランナーにすぎない。何を引き渡したか,それがその時代の人間の評価です。岡山県が,未来永劫続くとは思いませんが,我々の価値は,何を手渡したかで後世がすぐに判断してくれるでしょう。
 そんな不安の中で,それでも岡山県民は,岡山県に税金を払ってくださっています。納税の義務を果たすといえばそれまでですが,それは,決して岡山県職員の皆様を初め公職にある者の安定的な生活を願ってのことではもちろんありません。私を県議会議員に推してくださった方は,私が特別職公務員になる就職活動を手伝ってくださったわけでもなければ,先生と呼ばれて偉くなれと祈っておられたわけでもありません。公職にある人間に,全体の奉仕者である公務員に,しっかりと生命,自由,財産を守ってほしい。みずからの命をかけても,岡山県のために,岡山県民のために尽くしてほしい。それが,岡山県民の願いです。そのために,血税を納めてくださっている。代表に選んでくださっている。逆に,それにこたえるのが公職にある者の使命であり,誇りです。岡山県民が,みずからの血税を託した我々をどう見ておられるかは想像にかたくありません。私は,本当に使命感に燃えて,一生懸命働かれている職員の方の姿を身近で見ております。しかしながら,県民は,そうは見ないのです。これだけ民間が死に物狂いで頑張っているのに,我々の血税を使って,公務員は何をしているのか。繰り返される血税がむだにされる姿,しかも民間ではとても考えられない公務員の責任のとり方。民間は生き死にです。「ごめんなさい」では済まないのです。民間では失敗すれば,まさに命がなくなるのです。行政サービスの価値を税金の対価という観点から厳しく監視するということであれば,当然,岡山県に効率的な行政サービスが期待できない場合は,県民が税金を払わないという納税拒否の発想も出てくるでしょう。いつ税金不払い運動が起きても,県庁にデモ隊が来ても不思議ではないかもしれません。そのぐらい岡山県民は怒っておられるのです。今,私たち公職にある者は,一番大切な信頼を失っています。今再び我々公職にある者が,責任と誇り,信頼を取り戻さないといけません。
 まず,知事に,そういう血税を払ってくださっている県民,倒産や失業の恐怖と戦っている方,子育て世代,未来の子供たちに対して,首長として,今,目の前におられると仮定して,メッセージを送っていただきたいと思います。

(知事)  いつものことながら,早口で大変たくさんの質問をいただきまして,まことにありがとうございました。
 順次お答えを申し上げたいと思います。
 まず,県民へのメッセージということでございますけれども,御質問の中にもございましたが,大変厳しさを増しております経済,そして雇用の情勢の中にあります。そしてまた,地球規模でさまざまな環境問題も発生をしております。そういった中で,また同時に,今議会でも少子・高齢化の問題がいろいろ言われておりますけれども,そういった中で,多くの困難に直面をしておられる県民の方々がいらっしゃるわけでございます。しかし,岡山県は,考えてみますと,これまでも多くの先人の方々の努力によります,幾多のさまざまなそういった困難を乗り越えて,今日の発展を築いてきたところでございます。県民の皆様方の英知と,そして努力というものを結集をしていけば,これらの幾多の困難を必ずや乗り越えていくことはできると私は確信をいたしております。
 御案内のとおり,さまざまなそういった問題,これを解決していくためには,やはり生活者の視点に立って,今いろんな困難を抱えてらっしゃいますが,そういう方々の立場に立った行政というものが大変重要かなと思っております。そういった方々とともに手を携えまして,私自身先頭に立ち,岡山県の可能な限りの発展,それを目指しまして,これからも全力を尽くしてまいりたいと,このように考えております。佐藤議員におかれましても,ぜひ県政におきましての,ひとつ御支援と,また御協力をお願いを申し上げたいと存じます。



<平成13年6月定例会>(2001年6月14日)

(佐藤)  次に,私ごとながら,昨年生まれた子供もきょうで7カ月,寝返りを打ちながら転げ回り,ここからちゃんこ,はいはいと,かわいい盛りです。それにしても,世の中には,どうしてこんなにかわいい子供を殴ったり殺したりする親がいるんだろうと疑問でなりません。昨年11月20日に施行された児童虐待の防止等に関する法律は,児童虐待を防止し,虐待への対応を図るものですが,今回成立した法律は,当面の緊急法整備的なもので,附則第2条で施行後3年を目途として,この法律の施行状況等を勘案,検討し,必要な措置を講ずるとしており,児童虐待については,引き続きまだまだ議論を深めていく必要があると思います。私自身が子育て中の世代ということもあり,むしろ虐待する親はどんな親なんだろうか,同じ時代をどのように生きてきたんだろうかと考えます。経済的な豊かさ,そしてバブル崩壊の中で,家族の社会からの孤立,そこから来る育児の密室化,地域社会の子育て能力の低下,虐待する親の多くがみずからも虐待を受けていたという世代間連鎖も指摘されています。彼らもまた,みずからの暴力の由来におびえ苦しんでいるかもしれないのです。母親の3人に1人が子育てに困難を感じ,さらに5人に1人は子供を虐待しているのではと悩んでいると言われます。子育てを母親だけに押しつける家族関係のもとで,虐待しているのではと思う母親は,親として不適格と自分を責め,さらに自信をなくしてしまう,そんな母親を孤立させない支援も必要です。大切なのは,虐待を防止する力を家族の内と外にどう築くかということだと思います。そして,児童虐待があった親子が温かい家庭を取り戻すこと,親子を引き離した後に正常な関係に修復する,不幸の連鎖を断つ,究極の目標はそれしかないと思います。そういった観点から幾つか質問をさせていただきます。
 まず,家庭内においては,子育てに関して,すべて母親任せにしないように,やはり男親,父親の働きが重要だと思います。以前,知事は「父親が積極的に育児というものにかかわっていくという,共同で育児をしていくということ,これが何よりも大切なテーマ」とおっしゃられました。どうか新米パパに,知事御自身の育児体験を踏まえ,「父」とは何か,「親」とは何か,御教示ください。知事も,おしめはかえられたのでしょうか。
 また,子育てに関心を示さない男性に,基礎から父親学を教育すべきではないか。父親の相談事業を展開すべきであると思います。父親が子育てするために,私は,男女共同参画家庭,男性よ家庭に帰れと強く申し上げたい。家庭を顧みず,仕事も遊びも男のかい性などという風潮に対して,平日にPTAの行事に参加しても構わない,積極的に育児休暇の利用をすべきであるといった啓発をどのように行われていかれるのでしょうか。
 また,2001年度から厚生労働省や地方自治体の助成事業に加え,産科医と小児科医が連携して,出産前の女性に育児指導を行う日本医師会の事業も始まっていると伺っていますが,その取り組みを含めて,母親の育児不安への対応について,保健福祉部長にお伺いいたします。
 次に,児童相談所の相談への対応についてお尋ねします。
 土曜,日曜日も児童相談所の相談業務を行い,24時間体制で相談を受けつけ,ふえ続ける虐待,その他の相談に対応すべきだと思いますが,いかがでしょうか。
 また,7月には青少年対策の相談窓口を一本化した岡山青少年総合相談センターを設置するとのことですが,緊急性を要する児童虐待への相談等,児童相談所との機能分担はどのようになるのか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 不幸にして虐待が起きた場合,児童相談所が児童と親の両方を指導していくことが効果的であると思われますが,年間300万件もの虐待報告のあるアメリカでは,再発防止のため加害者である親の精神的ケアを制度化している州が多いと言います。虐待の重症度が高いほど,自分から治療に結びつこうとしないとすれば,強制的に子供と引き離してでもケアを受けさせる必要もあると考えます。加害者となった親の指導についてはどのように行われているのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,虐待された子供を保護し,適切なケアを行う重要な場所として児童養護施設や情緒障害児短期治療施設があります。子供たちが安心して生活でき,そこで勤務する職員の方々も余裕を持って子供たちにかかわることができるような体制がなければ,児童虐待の対策としては不完全であると言わざるを得ません。施設内でのケア,社会に出た後の糧となる学習指導,さらに生活支援対策の現状と今後の支援策について,保健福祉部長にお伺いします。
 さらに,保護者との分離を余儀なくされた子供たちには,施設での養護だけではなく,家庭養護が重要です。児童福祉法第27条は,委託先として,まず里親を挙げています。ここでいう里親は,里親制度のうち養子縁組が前提の養子里親より,むしろ養育里親です。実の親が育てられるようになるまでの一定期間,家庭的な環境を提供し,心身の健やかな発達を促そうとするもので,1カ月から2年が目安ですが,長期間面倒を見る里親もいるそうです。アメリカなどでは,子供の半数近くが一般家庭に引き取られると言われますが,日本では1割程度です。日本の狭い住宅事情,核家族化の進行など養育能力の低い家庭がふえる中,代役の必要性は一段と高まります。今後里親の活用についてはどのようにお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いします。
 昨年11月20日に児童虐待防止法が施行され,約半年が経過しておりますが,県警察における児童虐待事案の取り扱い状況はどのような実態でしょうか。また,今後どのように取り組まれるのか,あわせて警察本部長にお伺いいたします。
 この項最後に,岡山の偉人として知事が尊敬される石井十次がもし今生きていたら,災害孤児ではなく児童虐待を受ける子供たちにどんな救いの手を差し伸べていたでしょう。石井知事には,孤児の父ではなく,岡山の子供たちの父になっていただきたいと切に願います。そのためにも,岡山市門田本町の石井十次記念館に,石井十次に,今再び光を当てていただく方策はないか,お尋ねいたします。

(知事)  次に,児童虐待についてであります。
 父親学についてでありますが,私自身のお尋ねもございました。時間の許す限り私は子育てにかかわってきたところでございまして,夜起きてミルクを温めたり,温め過ぎて冷やしたり,いろんなことをした経験は今でも思い出すわけですが,具体的におしめを取りかえたことがあるかというお尋ねでございますが,おしめを取りかえることのみならず,洗った経験も今思い出します。一緒に子育てをしたなあというふうに思っております。やはりそういうことを重ねながら,子供に対する愛情というものが非常に高まってきたなと,このように思っているところでございます。7カ月という大変かわいい盛りのお子さんがいらっしゃる佐藤先生におかれましては,ぜひとも「らせん」「リング」の作者であります鈴木光司さんに負けないように,岡山県内最大の,史上最大の子育てパパというふうになっていただければと御期待を申し上げる次第であります。
 次に,子育てへの関心をはぐくむ事業でございますけれども,乳幼児に接する機会が少なくなっております中学生とか高校生に,市町村の乳幼児健診等の場を活用して,乳幼児に触れる体験の場というものを設けております。
 また,7月から実施をいたしますまちかど子育て応援ルーム事業の中で,父親の育児教室も実施をする予定であります。
 啓発についてでありますが,男性の育児参加等家庭における男女共同参画につきまして,新たなライフスタイルへの転換や意識改革に向けまして積極的な啓発に努めてまいりたいと存じます。
 石井十次についてのお尋ねがございましたが,明治20年岡山市内に全国初の孤児院を開き,一生を孤児の救済に尽くされた社会事業の父として,私自身も日ごろから深く尊敬をしているところでございます。過日,石井十次記念館を訪れまして,私自身改めて深い感銘を受けたところでございます。同じ石井という名前でもあったものですから,石井家としても誇りに思ったということもございましたが,いずれにいたしましても,我が岡山県が福祉先進県と言われますそれは石井十次先生のおかげでございます。また,そういった立場から,石井十次先生に,遺業に,光を当てていかなきゃいけない,私も同感に思います。石井十次の,子供を大切にするというすばらしい理念を私自身も受け継いで,子供の課題にこれからもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

(保健福祉部長)  児童虐待をめぐる一連の御質問をいただいております。
 まず,母親の育児不安への対応についてでございますが,中央児童相談所に設置いたしました子ども・家庭電話相談室や保健所,福祉事務所の家庭児童相談室など,さまざまな窓口で相談に当たっているところでございます。また,7月からは,まちかど子育て応援ルーム事業の中で,子育て何でも相談を実施し,休日でも気軽に相談できる体制を整えることとしているところでございます。
 なお,お尋ねのありました医師会が行う産科医と小児科医が連携して育児指導を行う事業,これの県内での実施はないと聞いておりますが,国,県の補助を受けたメニュー事業として,倉敷市が産後ケア事業というものを実施しております。
 児童相談所の相談への対応についてでございますが,宿日直体制をとるなどいたしまして,週末を含め24時間体制で児童の一時保護や緊急の相談等の対応に当たっているところでございます。
 また,幅広い相談に対応する岡山県青少年総合相談センター(仮称)でございますが,これと児童相談所の役割分担につきましては,児童相談所は児童虐待等に対処する専門機関としての役割を充実させ,これら両機関が相互に緊密な連携を取り合いながら,的確な対応に努めてまいりたいと考えております。
 加害者である親などへの指導についてでございますが,これまでは,児童の指導に付随する形で必要に応じ保護者に対し指導を行ってまいりましたが,昨年制定されました児童虐待の防止等に関する法律では,保護者が指導を受けるよう明確に義務づけられたところでございます。虐待を行った保護者の中には,御指摘のように自分も被虐待経験など心の問題を抱えている方も多く,児童相談所におきまして精神科医の助言指導による効果的なカウンセリングを行う事業を本年度から開始したところでございます。
 児童養護施設等への支援についてでございますが,虐待により心に傷を受けた児童に対しては,心理療法で傷をいやしたり,児童ごとに異なる心の問題を受けとめた上での支援が必要なことから,児童養護施設等への心理療法職員や被虐待児個別対応職員というものの配置を進めまして,心のケアの充実に努めているところでございます。
 また,施設での学習指導につきましては,児童相談所と連携いたしまして,入所児童の個性に応じた対応がなされております。
 生活支援対策といたしましては,高等学校等入学支度金などの補助事業を実施しているところでございます。
 里親につきましては,平成12年度中県内で94人の方が登録されておりまして,28人の児童を預かって,御自身の家庭内で養育してくださっておりますが,これらの児童のうち,被虐待児は2人となっております。児童相談所では,里親への委託も貴重な選択肢の一つであると考えておりますが,このほか,児童養護施設等への入所も含めまして,子供の抱える状況により適切な判断,対応に努めているところでございます。

(警察本部長)  まず,児童虐待事案取り扱い状況でございますが,昨年11月の児童虐待防止法施行以来,県警察では10件を認知いたしております。その内容は,身体的な虐待が7件,性的虐待が2件,いわゆるネグレクト行為が1件でございます。このうち,6件につきましては,殺人あるいは傷害等の刑事事件として処理いたしますとともに,ほかの4件につきましても児童相談所へ通告をいたしております。
 県警察といたしましては,法の施行にあわせまして児童虐待対応マニュアルを作成いたしまして,職員に対する指導教養を徹底するなど,その取り組みを強化しているところでございます。
 次に,今後の取り組みについてでございますが,御案内のとおり,児童虐待事案に対する警察の対応は,児童虐待事案の早期発見と児童相談所等への通告,児童相談所長の要請に基づく援助活動,児童の保護あるいは事件化等々多岐にわたるわけでございますが,まず,何よりも重要なことは,被害児童をできる限り早期に発見し,保護することでございます。このため,県警察といたしましては,今後とも,各相談窓口の活用を初めとする各種の警察活動を通じてはもちろんでありますが,児童相談所,学校,医師など関係機関とも緊密に連携を図りながら,事案の早期発見に努めてまいりたいと考えております。
 また,認知した事案につきましては,その軽重,緊急度に応じまして,児童相談所へ通告するほか,悪質な事案につきましては厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。

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