過去の岡山県議会一般質問集 <障害者福祉>篇

<平成26年6月定例会>(2014年6月24日)

(佐藤)  最後に,今年度動き始めた発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトについて。
 2月定例会でも申し上げたように,キーパーソン,共通支援シートがいかようなものであるかについては,まだまだこれは協議が必要だとは思いますが,願わくば就労まで結びつくような一貫した支援であることを強く期待するところでございます。ただ,やはり問題は,早期発見,早期対応と,これは簡単には言うものの,それがどうしたら可能なのか。特に,保護者をフォローできる,たちまち相談ができる場所,人材の確保,学校の先生が発達障害のある子供たちのそれぞれの特性を理解するための研修,医療から検査を受けられる場所への連携,成育医療において情緒安定の投薬医療を受けることができるような医療体制の充実,さらには試験的にいろいろな投薬を行うことができるような医療費免除など,考えられる課題や対策は本当に多くございます。こうした中で,発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトについて,今後の方向性を保健福祉部長にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  お答えいたします。
 発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトについての御質問でありますが,豊富な経験や専門的知識を有する方をキーパーソンとして登録し,各ライフステージに応じた相談支援などを担う幅広い人材群を創出することとしております。また,共通支援シートを活用することにより,就学前の早期からの支援情報を就学後に円滑に引き継ぐことで,就学前後での切れ目ない一貫した支援に努めることとしております。このプロジェクトに加え,乳幼児健診に携わる医師の研修などほかの事業にも取り組むことにより,早期発見,早期対応に努めるとともに,就学前から就労までの一貫した支援体制の構築を図ってまいりたいと存じます。



<平成26年2月定例会>(2014年3月6日)

(佐藤)  最後に,頑張る学校応援事業について,実は発達障害のある子供たちの保護者の方々からは,こうした事業で一番最初に切り捨てられたり邪魔者扱いされるのは発達障害のある子供たちではないかという不安の声が既に上がっております。まずは,その不安の声を払拭するための言葉を知事から頂戴したいと思います。
 一方,来年度の重点事業として,発達障害のある人のトータルライフ支援プロジェクトにより,支援のためのキーパーソンの養成と関係機関の連携が強化されることについては歓迎をいたします。ただ,トータルライフの支援ということですが,そもそも岡山県内の発達障害のある方のトータルの人数は,成人を含めてどれだけおられるのですか。また,医療そのものはかなり進んでいると思うのですが,検査になぜこんなに時間がかかるのか,診断がついた後に療育機関との連携がいかようになされているのか,また児童発達支援や放課後等デイサービスなどへの加算を含めて,支援組織への応援がいかようになされているか,またそれぞれにいる人材がキーパーソンになり小学校,幼稚園などの関係機関と連携していく流れになっていくのか,あわせて保健福祉部長にお伺いをいたします。
 加えて,いずれにしても,保護者の方々にとって重要なことは,手厚い支援が受けられる学校生活もさることながら,御自身が年をとっていく中で,子供たちが就労して生活していけるかどうかということです。共通支援シート開発・活用モデル事業についても,その取り組みは評価するものの,そもそも保護者が閲覧できるのか,就労とどう結びついていくものか,これから作成されるモデルのイメージを保健福祉部長にお伺いをいたします。
 これに関連して,平成24年4月の障害者自立支援法,児童福祉法の一部改正により,障害福祉サービス,障害児通所支援を利用する全ての利用者に,サービス等利用計画を作成することになりました。このサービス等利用計画ですが,各市町村間で隔たりなく円滑につくられているでしょうか。計画を策定して特定相談支援事業者,指定障害児相談支援事業者の数は各地域において足りているのか,また障害者本人,家族,支援者が計画を作成することができるセルフプランという仕組みが本当に十分に機能しているものなのか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 最後に,発達障害が指摘され,小学校から特別支援学級への通学を望む場合でも,これらは全て保護者みずからが調べて訪ねて行わなくてはいけないという現状の中で,ワンストップで発達障害をお持ちの方へのトータルライフの支援がわかる一元的な窓口が必要だと思います。また,インターネット上で発達障害支援についての関係機関や地域の情報が集約されたプラットホーム型のサイトを立ち上げるべきだと思いますが,あわせて御所見をお伺いいたします。

(知事)  お答えいたします。
 発達障害のある子供たち等への支援についての御質問であります。
 まず,頑張る学校応援事業についてでありますが,学校は本来子供たち一人一人の健やかな成長のため,日々よりよい教育活動を目指して創意工夫しており,この事業はこうした学校の取り組みを後押しし,全ての子供たちが生き活きと活動できる好循環を生み出すことを目指すものであります。こうしたことから,御心配のようなことは決して起こらないと考えており,教育委員会に対し,学校へしっかり説明するよう伝えてまいりたいと存じます。
 次に,ワンストップ支援についてでありますが,発達障害者支援センターで支援ニーズ等に応じた相談機関の紹介等を行うほか,市町村への財政支援を通じ,地域の総合的な相談窓口の整備を進めております。また,支援センターのホームページには,センターでの支援内容や関係機関等の情報を掲載しており,今後,キーパーソンや市町村等の情報を追加するなど,その充実に努めてまいります。
 以上でございます。

(保健福祉部長)  トータルライフ支援プロジェクトのうち,人数等についてでありますが,発達障害に特化した障害者手帳がないことなどから,確実な人数の把握は困難ですが,発達障害者支援センターでの相談件数の増加等からも,そのニーズ等は高まっていると考えております。また,行動特性等の経過観察に一定の期間が必要なため,診断に時間を要する場合もありますが,発達障害と診断された場合,身近な地域で支援が受けられるよう,県では市町村における療育機関など関係機関相互の連携強化の促進に努めております。さらに,お話の事業所への加算は行っておりませんが,専門的な助言やペアレントメンターの派遣など,各種団体等への支援に取り組んでおります。今後は,各分野で活躍されている方々をキーパーソンとして登録し,関係機関の連携強化でも中心的な役割を担っていただきたいと考えております。
 次に,共通支援シート開発・活用モデル事業についてでありますが,県下共通の支援シートを開発し,モデル市町村で活用した上で,その成果等を各市町村へ提供しようとするものであり,シートに記載する個別の情報は,保護者に確認していただき,閲覧も可能としております。また,このシートでは就学前後の支援情報が中心となりますが,就学以降においても各ステージに応じた情報を適宜追加しながら引き継いでいくことで,就学前から就労段階までの一貫した支援につながるものと考えております。
 次に,サービス等利用計画についてでありますが,相談支援事業所の不足等から,本年1月末での計画策定は約11%にとどまり,各市町村の進捗状況等の違いも生じております。このため,県では,各市町村において計画策定の促進が図られるよう,先進的取り組みや事業所情報の提供等に努めるとともに,事業所の新規開発の働きかけや従事者の養成などにも取り組んでいるところです。なお,お話のセルフプランについては,障害のある方々の意向等を踏まえながら,その活用を検討するよう市町村へ助言してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  今、発達障害の方の総数がなかなかわからない,確かにそうだとは思うんですが,ただニーズが多いからふえておるんだろうなみたいなアバウトな感じでは,やはりこれは政策を立てようがないんじゃないでしょうか。特に県が今示していただいている1歳児健診,3歳児健診で13%という数字,確かに示していただいておりますが,例えば就学前,5歳のとき,あるいは学校に入って初めてわかる場合,そして大体10歳ぐらいになってわかる場合,そして一番我々が頭を抱えているのは中学校になって初めて認識される場合,保護者も御本人も初めて気づく場合が結構大変だなということがあるんですが,そして何よりも成人になってなかなか会社でうもういかんなと思ったら発達障害と認定されたということが起きる,いずれにしてもこれは人数を把握しないと政策の立てようがないと思うんですが,前の議会でも私学での実態を知事は,これは調査されないというふうにおっしゃられたんですが,やはり実態は見にゃいけんと思うんですけれども,実態の調査について,少なくとも数の把握,これについてはどうやるかということはあるにしても,やるべきだと思いますが,やられるかどうか,部長にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  発達障害の正確な人数の把握を県として調査すべきではないかという御質問でございます。
 議員のほうから既にお話がございましたが,乳幼児健診では1歳半で平成24年度のデータで13%,3歳児健診で15%ということで,3歳児は若干上がってきているという状況でございます。答弁でもちょっと申し上げましたが,正確な人数の把握,恐らく先生がおっしゃられているのは診断された方の数かと思いますが,今申し上げたのは広く疑いがある方のその世代のパーセントでございますが,診断された方の数ということになりますと,1つは国の患者調査というのがございます。ただ,これは発達障害という区分が今時点,現時点ではございませんので,そこから把握してくるというのが難しい状況になっております。もう一つは,障害者という観点から,手帳というところから見てくるということは可能性としてはあるんですが,現在精神障害のほうに区分されておりますので,そこからどうやって把握していくかというところはなかなかいろんな課題がございます。ただ,いずれにしましても,今後,今よりより具体的な状況把握ができる方法がどんな方法があるのかということについては研究してまいりたいというふうに思っております。
 以上です。

(佐藤)  最後は要望にとどめさせていただきますけれども,やはり総数がわからなくてどうやって対策を打つんだと,逆に言うと今年度予算どういう数字の根拠で要求されとるんですかと聞きたいぐらいでありますが,その検査をする,認定をする,その人数を確保するためにも,あるいはセンター機能を充実させるためにも,ある程度の人数というのは把握するのが必要ではないかということ,それがあって初めて政策が立てれるんじゃないですか,あるいは学校の教育再生もこの部分がわかってないとなかなか根本的な再生にならないと思いますので,ぜひきっちりと調査していただける方法を検討していただくことをお願いして,質問とさせていただきます。ありがとうございます。



<平成25年11月定例会>(2013年12月10日)

(佐藤)  それでは最後に,発達障害についてお伺いいたします。
 岡山県の教育再生の前提として,学力テストの成績を上げる前提として,あるいはいじめや不登校,校内暴力,ニート,ひきこもり,さらには子供たちの自殺に対して,まずは経済格差が教育格差に結びついているんじゃないか,そういう意味では子育て世代をさらに支援しなくっちゃいけないんじゃないか,また就学前から就労に至るまで一貫した発達障害の支援体制が必要なんじゃないか,私はずっと繰り返し何度も何度も何度も申し上げてまいりました。改めて,発達障害について早期発見,早期対応の難しさというのを感じております。対応がおくれればおくれるほど課題が大きくなっていくように感じるのですが,発達障害傾向があるのにもかかわらず,就学前などに早期に確認されなかった場合,それでも保護者の方が気がつくのが10歳ごろまでが多いというふうに言われてるんですが,ここがスルーされてしまって,そのまま中学校に進んだ場合には保護者も本人もそこからの対応に非常に苦慮する,こうした事態が散見されています。かといって,ある程度の年齢になりますと,第三者から指摘されて発達障害支援センターや児童相談所に相談に行くというのは,保護者も本人にとっても大変に勇気が要ることで,非常にこれはもう動きがとりにくくなっております。やはり3歳児健診はもちろん,特定の子供だけではなく,一斉に自然な形で健診のようなものを受けられる場面が,しかもグレーゾーンということで就学前に確認できないことも多いので,これが複数回要るんじゃないかと思います。また,親子手帳に明確に記載するなど,妊娠や出産の段階から発達障害というのは通常起こり得る課題としての意識づけが行われるべきだと思いますし,しかもそのことへの対応は保護者の方のみならず,地域や一般の方々にも周知される必要があると思います。現状の認識と今後の対応について御所見をお聞かせください。
 加えて,ソーシャルワーカーの増員もさることながら,特別支援学級の充実ということもあるんですが,むしろ特別支援教育支援員の増員,確保が重要なようにも思います。専門性やプライバシー等の問題もあって,この部分を地域の方に委ねてしまうというわけにはなかなかいかず,やはりきっちりと制度として,ある意味,先生方を支援することも急務だと思います。さらに,人権教育といった場合に,発達障害についてはごく身近に起きている一つの考えるべき課題にもなると思います。そして,特に発達障害傾向のある子供たちが私学に進学しているケースも多々あり,今後もその増加が予想されます。私学において,財政措置をもって特別支援教育の研修,支援員の確保などもやはり制度として行っていく時期が来ていると思います。御所見をお聞かせください。
 加えて,気になるのはやはり就労ということなんですが,これはちょっと表現が適切じゃないかもしれませんが,機動戦士ガンダムのニュータイプに例えられるほど希有な才能を持ってる方も大変多くいらっしゃる。グループホームという形が適切かはわかりませんが,個性を生かし合える先駆的な場をつくることも重要だと思います。先般,ちなみにスーザン・ボイルさんもアスペルガー症候群だということを言われておられます。この御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 発達障害についての御質問であります。
 まず,現状認識等についてでありますが,現在,1歳半と3歳児健診において発達障害のスクリーニングを行うとともに,発達障害は集団生活の場で顕在化することが多いことから,保育士等を対象に研修を行い,早期発見に努めております。また,市町村において親子手帳配布の際に,年齢に応じた発達についての情報提供を行っているほか,県ではさまざまな機会を通じて住民への発達障害の理解促進に努めております。今後とも,こうした取り組みを通じて発達障害の早期発見と正しい理解の促進に努めてまいりたいと存じます。
 次に,私学における特別支援教育についてでありますが,児童生徒等への特別な支援が必要と判断された場合には,教員の配置等に対する財政支援を行っております。また,教育委員会等が実施する研修会への積極的な参加を促すなど,研修機会の拡大にも努めております。お話の支援員確保への財政措置までは考えておりませんが,今後とも,こうした取り組みを通じ,私立学校が行う特別支援教育の充実を支援してまいりたいと存じます。
 次に,個性を生かし合える先駆的な場についてでありますが,発達障害のある人の多くは周囲がその障害の特性等を理解し,適切な支援を行うことで,一般企業での安定した就労も可能であるとされております。このため,県では関係機関と連携し,企業に障害への理解を深めていただく取り組み等により雇用機会の拡大を図るとともに,その能力等が生かせるようきめ細かい相談支援や職業訓練等の実施に努めており,引き続きこうした取り組みを通じ,発達障害のある人の自立と社会参加を進めてまいります。
 以上でございます。

(佐藤)  ありがとうございます。
 要望と質問になるんですけれども,発達障害の特に私学における現状というのは,なかなかこれは把握ができてないんじゃないかなというふうに思います。今後,この私学における発達障害の状況について検証,あるいは分析される,そうしたおつもりがあられるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
 いずれにしても,今,就労ということでいいますと,子供たち,発達障害になった成人の方々が一般の企業に入ることだけが就労の形ではない,グループホームという形でより先駆的なというのは,言ってみればパラダイスとは申しませんけれども,多様な才能の方が集まれる場をつくっていくのも先駆的な取り組みとしてやっていただきたいということでありますが,まず私学について検証されるおつもりがあるかどうかだけ最後,確認させていただきます。

(知事)  私学における発達障害傾向のある子供たちの状況を把握するべきではないのかと,そういうつもりはないかという質問に対してお答えをいたします。
 私立学校は,公立学校と違いまして独自の教育方針に基づき,それぞれ教育活動を行っていることから,一律に調査を行う必要までは考えておりません。
 以上でございます。



<平成25年2月定例会>(2013年3月6日)

(佐藤)  次に,岡山県の最大の課題である教育再生に対して,昨年の9月定例県議会では経済格差が教育格差を生んでいるのではないか,したがって教育再生のためにはまず子育て支援が重要ではないかと申し上げ,そして11月定例県議会では就学前,就労前の発達障害に対する支援体制が必ずしも十分ではないのではないかと指摘させていただいたわけでありますが,この発達障害の問題について今回の予算要求の中でもスクールソーシャルワーカーの増員以外に真正面から発達障害の問題を捉まえた施策,これが新規として少ないことを残念に思いますので,さらにお伺いいたします。
 これは障害全般について,いつも申し上げることなんですが,就学前支援から就労に至るまで一貫した支援体制,特に縦割り行政を越えて節目,節目で十分な連絡が必要であり,願わくばやはりこれはもう時系列に沿ってどんな支援体制があって,それがどう連絡しているのかという子育ての支援のフローチャートが必要だと思います。それぞれの部署がそれぞれに頑張ってはいただいておるんですが,それが連携していないというのが一番の問題であります。
 まず,就学前支援は充実しつつありますが,現実問題,保護者にとって例えばお子さんが発達障害を持つと認識することは,これはもうなかなかに厳しいことであって,また幼稚園,保育園の先生や保護者の方々への研修の充実が必要なこと,これについては現実問題,加算等の現場への支援も必要になってきます。また,障害全般に言えることでありますが,やはり放課後や休日,休暇などの学童保育あるいはデイサービス等に対する支援も必要です。また,成人して初めてみずからが発達障害を持っているんだという認識を持つ方も多く,さらに成人で実際に相談に来られる方は一部であって,実は発達障害を起因としていわゆるひきこもりの状態の方が実際にどれだけおられるか,これも把握しがたい現状もあります。さらには,成人の方はまずは自己理解から地域活動支援センターでプログラムに沿って就労訓練をするものの,職業センターやハローワークとの連携が極めて重要であること,またむしろ大学に進学される高学歴の方も大変多く,ただ就労の場面で大学のキャリアサポートセンターとの連携,こうしたものも非常に重要になっておるということで,やらにゃいけんことは,ほんまにぎょうさんあるわけなんですが,本来はこれらについて全て質問あるいは提案として問いたいわけでありますが,問題の指摘だけをさせていただいて,発達障害についての就学前支援から就労に至るまでの一貫した支援体制の確立への課題と今後の方針,さらに子育て支援のフローチャート,これの必要性についての御認識をお知らせください。
 一方で,知的障害がある場合には特別支援学校,これが軽度であれば高等支援学校という進路もあるんですが,中学まである特別支援学級のような仕組みが高校になったらなくなってしまう,高校生の相談が増加傾向にあるという実態があります。私は本来,県立中高一貫教育校は進学校を目指すこともさることながら,こうした特別支援学級との連絡をモデル的に行うべきであるということを強く感じております。岡山県でも高校での中退率が高いということがありますが,その理由と公立高校での特別支援学級の設置について,教育長の御所見をお聞かせください。
 さらに,岡山市や倉敷市はおかやま発達障害者支援センターと同様のセンター機能を持ってはおるんですが,市町村の発達障害支援の体制についてはそもそも直接支援できるかどうかすら差があるのですが,コーディネーターが設置されているかどうかからして格差があります。県としては,県北支所も津山教育事務所内に設置されてはおりますが,委託事業とはいえ財政的な支援がそもそも十分でなく,発達障害者支援センター機能の充実,そして何よりも地域間格差の是正は極めて重要な問題であるというふうに思います。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 さらに,発達障害に関しての保健,福祉,医療,教育,労働の連携した会議である発達障害者支援体制検討委員会については,現場レベルで十分な意思決定まで行えるような機能強化が必要だと思いますし,自立支援協議会等においても,そもそも発達障害は3障害のうち精神福祉手帳を持つことなどからも精神障害の中に含めて考えられるわけなんですが,事実上これはもはや4障害と考えるような時期になっとるんじゃないかというふうに思います。保健福祉部長の御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 発達障害に対する支援についての御質問であります。
 一貫した支援体制の確立等についてでありますが,発達障害のある方に対してはライフステージに応じ一貫した支援を行うことが重要であり,特に就学・就労の前後などステージの移行期における関係機関での支援情報のつなぎが課題であると考えています。このため,県発達障害者支援センターを中心に福祉・教育・労働等の各分野が連携しながら切れ目のない支援に取り組んでおり,特にお話の子育て支援チャートは関係機関がその役割等を相互に確認し,障害のある方へのわかりやすい支援情報の提供に資するものと考えており,市町村に対し,その作成を働きかけているところでございます。今後とも,関係機関の連携をより一層強化し,乳幼児期から成人期までの一貫した支援に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(教育長)  お答えいたします。
 高校中退率の高い原因等についてでありますが,本県の中退率は全国平均よりはやや高いものの年々減少傾向にあります。中退の理由としては,高校生活に熱意がないことや人間関係がうまく保てないこと,別の高校への入学や就職を希望することなどが多い状況であります。また,公立高校での特別支援学級の設置については,高校標準法に特別支援学級に関する学級編制基準や教員定数の措置等の定めがないため,現段階では特別支援学級の設置は困難でありますが,他県の先進事例もさらに収集しながら,どのような方策が考えられるのか,研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(保健福祉部長)  お答えいたします。
 発達障害者支援センターの機能充実等についてでありますが,発達障害者支援センターでは各種相談活動や普及啓発など総合的な支援に取り組んでおり,来年度からはペアレントメンター事業の事務局機能を担うなど,本県の発達障害者支援の拠点施設として機能強化に努めているところでございます。
 また,県ではセンターの県北支所を設置するとともに,全市町村での支援体制の整備を目指し,コーディネーターの配置等への財政的支援を行うなど身近な地域で適切な支援が受けることができるよう,全県的な支援体制の整備に努めているところでございます。
 次に,検討委員会の機能強化等についてでありますが,発達障害は法律上精神障害に分類されているものの,その症状は多様であり,それぞれの特性に応じた支援を幅広い観点から検討する必要があると考えております。このため,県では関係機関に加え障害者団体代表や学識経験者で構成する「県発達障害者支援体制検討委員会」を設置し,情報共有や連携方策のあり方等について検討しております。また,委員会では現場の第一線で就労支援に従事する職業カウンセラーからの活動報告なども行っており,今後とも,こうした取り組みを通じて委員会の議論に現場担当者の意見や障害のある方のニーズを反映させ,より実践的,効果的な施策が実施できるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございました。
 岡山県の教育再生を言うときに,勉強ができる子,家庭的に恵まれている子,こうした子がどんどん勉強できるのは,これは当たり前でありまして,その支援は十分にやれるだろう。ただ,経済格差が教育格差にならないように,そしていじめ,不登校,ニート,ひきこもり,あるいは校内暴力等々の影に発達障害があるとすれば,これ医療・保健・福祉,労政,雇用,全部かかわってくる問題でありますので,オール岡山でこの教育再生のために経済的な支援と発達障害の支援をお願いしたいと思います。



<平成24年11月定例会>(2012年12月7日)

(佐藤) 今回の知事選挙の中で最も県民の皆様から多く声を頂戴したのが岡山県の教育改革についてでございました。9月定例県議会では,本当に失礼ながら教育長祭りというふうな,教育問題について重点的に取り上げさせていただいたんですが,あえて申し上げなかった論点について,改めて知事と教育長にもお伺いをいたします。
 まずは,9月議会の最後に,みんなが心を一つに岡山県の教育を立て直していくために教育危機宣言の発令をと提言させていただきましたが,教育県岡山の復活に挑戦される知事の意気込みをあらわす意味でも,ここは大前提として教育危機並びに教育復活宣言を発していただきたいと存じますが,御所見はいかがでしょうか。
 もっとも9月議会では,経済格差が教育格差を生んでいるのではないか,これをテーマに質問させていただいたんですが,9月議会であえて申し上げなかった論点に,発達障害の問題がございます。これにつきましては,平成18年12月定例会で申し上げたことを再度申し上げたいというふうに思います。
 この発達障害の問題を考える際に非常に重要なことは,こうした議論が新たな偏見につながることがないように慎重な配慮が必要であり,同時にこうした障害が顕在化していることには,何か時代の背景や理由があって,いわゆるノーマライゼーション,インクルージョンの流れの中で,それをいかに受け入れていくか,これが社会あるいは我々一人一人に問われているのではないかという視点が重要だというふうに思います。また,いじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,ひきこもりなどの根底にこうした発達障害の問題が横たわっているのではないかと指摘されますが,これを障害として捉えることで,対症療法的な稚拙な根性論だとかしつけ論から,当事者や家族を解放する,そういった必要もあると,私は思っております。また,一方で,学級崩壊等によって教員の方が指導力不足と言われる遠因の一つに,この発達障害の問題があるんじゃないか,これも理解する必要があるんじゃないかと思います。いずれにしても,御本人や家族の方の苦しみを思うとき,真正面から議論すべき時期が来ておりますと,このように申し上げてはや6年,事態はどれだけ改善をしたでしょうか。当時発達障害について申し上げた実態調査が実施されているか。また,県内の現状をいかように把握され,そしていじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,ひきこもり,さらには今回の学力低下などの関係をどのように感じておられるのでしょうか。これは非常に難しい問題でございますが,まずは発達障害について,知事の御認識も含めてお伺いをいたします。
 さらに,学力低下,さらには学級崩壊や教員の指導力不足をどのように認識されているか。特別支援教育の発達障害に関する研修の状況,発達障害のある児童生徒の地域のセンター的機能を担う特別支援学校の役割についての御認識も含めて,教育長にお伺いいたします。
 また,自分のお子さんが発達障害であると宣告されることのショックや戸惑いということもあろうと思うんですが,御本人や御家族だけではなくて,児童生徒,PTAはもちろんその周りの保護者も含めて,発達障害の特徴,また教育や対応について広く社会に認知させていただくことが必要だというふうに思います。発達障害の早期発見,早期対応を行うほか,特に学校卒業後,医療・保健・福祉・労働の各部局が連携した就労にかかわるきめ細やかな支援を行うなど,発達障害のある人に対しての幼児期から成人期に至るまでの一貫した支援が必要であるというふうに思いますが,知事の御所見,御認識をお伺いいたします。
 加えて,学校時代の成績と人間的な魅力であたったり,さらには社会に適応できるかどうかというのが残念ながら必ずしも一致していないというのが,何となく我々も経験的には感じておるんですが,こうした即効性のある対症療法的な教育改革もさることながら,人間社会の中でよりよく生きるためには,教育の中でも生涯学習,社会教育は極めて重要だと思います。つまりは,学校の教育だけが全てじゃない。公民館活動などの社会教育の重要性についての知事の御認識,さらには生涯学習センター機能の充実など,県の支援策についてお知らせください。
 そして最後に,突き詰めれば教育再生のために必要なのはマンパワーだというふうに思います。学校現場や市町村教育委員会に行くにしても,社会教育を行うにしても,教育行政担当職員の方々のさらなるパワーアップ,端的に言うと体制強化,これがどうしても必要だと思いますが,知事の御所見をお聞かせください。

(知事事)  お答えいたします。
 教育県岡山の復活等についての御質問であります。
 まず,教育危機・教育復活宣言についてでありますが,本県教育が深刻な状況であることは十分認識しており,教育県岡山の復活に向けオール岡山で取り組むために宣言を発することは,一つの手段であると考えております。まずは,現状をしっかり把握し,教育県岡山の復活に向け,どういった方策が有効なのか,その方向性等を教育委員会ともしっかり議論し,判断してまいりたいと考えております。
 次に,発達障害のうち,実態調査等についてでありますが,1歳半と3歳児を対象とする健康診査で約13%の児童が発達障害の可能性があるとされているほか,県発達障害者支援センターでの延べ相談件数も2,000件を超えるなど,発達障害のある方への支援は重要な課題であると考えております。また,お尋ねの実態調査等については,県において,発達障害のある方を対象とした生活実態等に関するアンケート調査を行っており,各種支援策を検討する際の参考としているところでございます。いじめ等と発達障害との関係については,その障害特性から,人間関係がうまく構築できないことなどにより,結果として不登校やひきこもり等につながることが懸念されます。こうした現状等も踏まえ,今後とも,発達障害のある方への支援を推進してまいりたいと存じます。
 次に,一貫した支援についてでありますが,お話のとおり,発達障害のある方々に対しては,ライフステージに応じ一貫した支援を行うことが重要であると考えております。このため,県では,コーディネーターの配置等による市町村の支援体制の整備を促進するとともに,県発達障害者支援センターを中心に,福祉,教育,労働等の各分野が連携しながら,普及啓発や相談体制の整備,さらには就労支援など,総合的な支援に取り組んでおります。今後とも,関係部局の連携のもと,乳幼児期から成人期までの一貫した支援に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,社会教育の重要性等についてでありますが,社会教育は学校や家庭では得がたい学習や世代を超えた交流等を提供するものであり,子供たちはそれらの活動の中で優しさやたくましさ,規範意識等を育んでいくものと考えております。さらに,これらの活動を通じて,豊かな地域づくりの役割を担っているものと認識いたしております。公民館は,こうした社会教育の拠点施設としてその取り組みの充実が期待されているところであり,平成26年に「ESDに関するユネスコ世界会議」の一環として開催される「公民館・CLC会議」には,県としても積極的に協力してまいりたいと考えております。また,生涯学習センターは,公民館活動の中核拠点として,引き続き指導者養成やさまざまな学習情報の提供等を行うとともに,来春オープンする「人と科学の未来館サイピア」により,子供と大人がともに学べる学習の場が充実されるよう支援してまいります。
 次に,教育行政の体制強化についてでありますが,現在,本県では,行革大綱2008により大変厳しい職員数削減に取り組んでいるところであり,平成27年度の目標達成に向け,何としてもやり遂げたいと考えているところでございます。こうした中にあって,本県教育の現状は非常に厳しいものがあると認識しており,教育再生に向けた教育行政の体制強化については,教育委員会の意見を踏まえながら総合的に判断してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(教育長)  お答えいたします。
 発達障害のうち,学力低下等との関係等についてでありますが,発達障害のある児童生徒の中には,特定の学習や対人関係における困難さにより学力低下や不登校などにつながることもあり,また,校内の協力体制が十分でない場合には,経験豊かな教員でも学級崩壊になることもあると考えております。こうしたことから,県総合教育センターにおきまして,幼児期も含め,支援のあり方についての研修を実施いたしますとともに,学校へ指導主事を派遣し,指導・支援の充実を図っております。また,特別支援学校では,小中学校等へ出向き,学習面や生活面での指導助言や保護者等からの相談にも応じるなど,センター的機能の充実に努めているところであります。今後も,教員の研修を充実させるとともに,関係機関との連携を図りながら,発達障害のある児童生徒が安心して学校生活を送れるよう,支援体制づくりに努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  済みません。いや,前回の9月定例県議会のときもそうだったんですが,教育改革,要は何で我々は勉強するのか,基本的には学校時代の成績を上げるためでは,私はないと思います。学校を卒業した後のほうがはるかに人生長いわけでありますから,要はこの社会でよりよく生きるために勉強しとるということでありまして,逆に言うと,この発達障害の問題に関しましては,学校のとき,在学中のフォローだけではなくて,就学前,なるべく早期に発見して,早期に対応する。そして,何よりも,特に県立高校は若干不十分なところがありますが,就労の場面,こうした場面できっちりとそうした方々が生涯生活できるような,そうした手当ても必要だというふうに思います。私は,今回,岡山県の教育危機宣言を言うべきだと申し上げているのは,学校の教育現場で先生方にもっと研修を受けるべきだとか,あるいは保護者のしつけどねんなっとんならと,こうしたことを言い合おうというために言おうと言っているのではございません。オール岡山でというのは,この教育問題の背景には,9月に申し上げたような経済格差が,チャンスの不平等,教育格差を生んでしまっているんじゃないか。一つはこれは経済問題ですよと,そしてもう一つは今回の発達障害の問題のように,これは保健福祉の問題なんだと,医療や保健福祉全部絡んでいる問題であって,教育現場だけじゃあこの問題解決しませんよということを私は申し上げたいわけであります。また,逆に言うと,学校の成績がどれだけ上がろうが,その方が社会でうまく適応して生きていけにゃあ意味がないんだということも申し上げたいわけであります。そうした意味では,特に知事に,先般公立中学校へ行っていただいた,ここは大変に落ちついた学校で,昔は荒れていたけれども,今はよくなっていますよというふうに言っていただいたんですが,今,私は知事に行っていただきたいのは,むしろ発達障害の子供たちの現場を見ていただきたい。就学前にどのような支援がなされているだろう,そして学校,例えば放課後児童クラブ,そうしたところで発達障害の子供たちどんな状況だろうか,そしてまた,高校でそうした子供たちはどうなっているか,そして何よりも就労の場面で本当に発達障害の子供たちを支援する仕組みがあるだろうか,そこを見ていただきたいと思います。そこを変えていくことによって,私は教育改革ができるんじゃないかというふうに思うんですけれども,学校に行けばそれで終わりだということではないと思うんですけれども,知事の御認識をお聞かせください。

(知事)  再質問にお答えいたします。
 発達障害の現場も含めてよく現状を把握するべきとの佐藤議員の御質問ですが,私も全くそのように思っております。発達障害の問題,先ほど比率を申し上げましたけれども,約13%の児童が発達障害の可能性があるわけでございます。教育において非常に大きな問題でございますので,発達障害の子供たちに対応している現場も含めて広く現場を把握し,実態をきちんと把握した上で教育委員会ともしっかり議論して,岡山県の教育を向上させていきたい,立て直していきたいと,このように考えている次第でございます。

(教育長)  私も学校訪問しておりまして,実際に学校現場で発達障害あるいはそれに近いんではないかといったような子供たちへの対応ということについていろいろお聞かせいただいております。この問題につきましては,本当に幼少期といいましょうか,乳児期の辺から早い検診で早期発見して早期対応していけば,割と対応ができるというふうにお聞きしております。ただ,中学校や高校になりますと,もうなかなか厳しいというような,そういう現状もあるというふうに思っております。我々もしっかり現場に出向いて,どういった支援がさらに必要なのかと,そういったようなことも把握をしながら,保健福祉部局とか,あるいは労働部局,そういったところで連携をとりながら,将来社会人として生きていくだけの力をしっかり支えていけるような,そういう取り組みを充実させてまいりたいというふうには思っております。
 以上でございます。

(佐藤)  最後に,要望だけさせていただきます。
 初めての議会で知事に対しては大変失礼な質問になってしまったことを,おわび申し上げます。
 ただ,やはり同じ世代ということで,また,同じ子育て世代である,現状を取り巻く状況,子供たちを取り巻いている状況の中で,やっぱり私たち親が動いてやらんと,本当に子供たちにとってこれはとんでもない状態になっとるよということでございます。誰かを責めるんではなくて,我々ができる最大限のことをやってまいりたいというふうに思いますし,そして知事が,今後,やはり先ほど申し上げた大胆な県政ということで,やはり車の両輪として,言ってみれば我々も連帯保証の判こをついておるわけですから,ぜひ大胆に頑張っていただきたいというエールを送らさせていただいて,終わらせていただきます。どうもありがとうございました。



<平成22年9月定例会>(2010年9月14日)

(佐藤)  また,精神障害者社会復帰施設岡山県立内尾センター廃止後も,特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会(NPO岡山けんかれん)に委託され,運営されている基幹型地域生活支援センター「ゆう」では,日中の相談支援や24時間電話相談,ホステル事業が行われていますが,実際に利用するかどうかではなくて,そういう施設が存在するということ自体が,精神障害者当事者や家族の支えになっております。県からは運営費の削減の方向が示されていますが,家族会だからこそできる事業でも運営でもあり,平成23年度末までに,障害者自立支援法に基づくサービス提供事業者へ円滑に移行できるようにという方向も示されておりますが,障害者自立支援法の事業では,膨大な賃料も発生し,新規委託事業等で何とか財源を捻出できないのか,その知恵を出していかなくてはいけない状況でございます。現在の「ゆう」の協議状況について,改めてお伺いいたします。

 最後に,特別支援教育について伺います。
 多くの県立特別支援学校は,生徒数が激増しておりますけれども,給食室や教室にも限界があって,多目的教室の利用や複式学級的指導で,少なからず支障も出ている状況で,これ以上の受け入れは厳しく,加えて,交通アクセスにやや難があり,狭いバスでの長時間通学など,課題も多くあります。特に,政令指定都市でありながら,自前の特別支援学校は持たない岡山市との関連においては,私は県市の連携が極めて重要であると感じておりますが,たちまち施設の増設,これが難しいにしても,障害のある児童生徒数の激増に対して,いかに適正就学を図っていくのか,その考え方について,教育長からお聞かせください。
 特に,発達障害児者の支援体制の強化がうたわれ,ライフステージに対応した一貫した支援体制の整備を図るとともに,身近な地域での支援が行われるよう,市町村の取り組みを促進するという方向は首肯できるものですが,問題はその具体策であります。特に,夏休みあるいは放課後に,県立特別支援学校に通う子供たち,あるいは保護者にどのような支援がなされているのか,あるいは,なされるべきか,これは保健福祉部長にお伺いいたします。
 私は,将来的には,新生児,乳幼児の段階で,あるいは遅くとも就学前に,発達障害に関して生活支援シートがつくられ,だれにでも該当するマニュアルというのはなかなかできないにしても,個別具体的に配慮すべき点が成長に応じた機関に引き継ぎがなされて,支援がなされる必要があると思いますが,どのようにお感じでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,スクールサポーターのような形で,幼稚園,保育園も含めて,小中高等学校に発達障害への対応が指導できる人材の派遣,あるいは養成が必要だと思いますが,教育長のお考えをお聞かせください。
 さらには,財政的には公的な支援がないフリースクールについても,実態や役割分担が把握された上で,十分な連携を図っていく必要があると思いますけれども,行政が具体的に認識し,動く必要があると思いますが,教育長の御所見をお聞かせください。
 そして,これはなかなか難しい提言になると思いますけれども,特に,特別支援学校の高等部について,現実問題,年金が支給される20歳まで待って,これは5年制であってはいけないんでしょうか。また,職業教育に重点を置く学校であるならば,高等支援学校の年齢制限,これにはどういう意味があるのかについて,教育長にお伺いいたします。

(知事)  次に,基幹型地域生活支援センター「ゆう」についてでありますが,23年度末までに,障害者自立支援法に基づくサービス提供事業者に移行することを目指しております。現在,家族会等の意見も聞きつつ,入院患者の地域移行を促進する拠点的な施設としての役割も含め,必要なサービスの内容や人員,設備等の具体的な事項について検討しているところでありまして,お話の移行後の収支見通し等も含めまして,今後さらに検討を進めてまいりたいと存じます。

(保健福祉部長)  発達障害児者支援体制のうち,夏休み等の支援についてでありますが,発達障害を含め,障害のある子供等に対して,学校行事以外では市町村が実施主体となって,児童デイサービスや日中一時支援などの福祉サービスを提供しております。障害のある子供等に対しては,教育機関を含む関係機関が連携し,成長過程に応じて,一貫した支援を行う必要があると考えており,県としては,市町村を核とした連携体制づくりを今後とも進めてまいりたいと存じます。
 次に,生活支援シートについてでありますが,20年度に,就学後の子供の成長の様子を書き込むことができる健康の記録を作成し,全市町村に配布したところであります。これを契機として,地域では,教育,保健,福祉が連携して,発達障害児に係る乳幼児期からの情報の共有を進めるなど取り組みが広がっており,今後とも,成長過程に応じ一貫した支援が行えるよう,助言等に努めてまいりたいと存じます。

(教育長)  まず,特別支援学校の適正就学についてでありますが,県立特別支援学校の小中学部への就学は,国で定められている障害の程度を就学基準として,就学指導委員会の専門的見地からの意見等を参考として,県教育委員会で決定しているところであります。また,高等部につきましては,入学者選抜を行い,各学校長が入学者を決定しているところであります。なお,お話のように,特別支援学校では,知的障害のある児童生徒が急増しておりまして,岡山瀬戸,倉敷琴浦高等支援学校などの設置に続き,このたび,倉敷市真備町箭田地内に,特別支援学校を新設することとしたところであります。この新設を機会に,県南部における特別支援学校の通学区域につきましても見直しを図ることにしておりまして,今後,市町村教育委員会と一層連携しながら,適正就学に努めてまいりたいと考えております。
 次に,発達障害への対応ができる指導者の派遣等についてでありますが,県教育委員会では,県巡回相談事業により,幼稚園や保育所を含め,各学校等の要請に応じて,特別支援学校教員等から任命した巡回相談員や,医師,大学教員などの専門家を派遣しているところであります。今後,こうした支援体制の一層の充実を図るとともに,特別な支援の必要な幼児,児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導,支援ができるよう,教員のさらなる専門性向上はもとより,幼稚園や小中学校に配置されている特別支援教育支援員の資質を高めるための研修等にも取り組んでまいりたいと考えております。
 次に,フリースクールについてでありますが,いわゆるフリースクールの規模や活動内容等はさまざまでありますが,不登校の児童生徒等の居場所づくりなどの一翼を担っていると認識しております。不登校の児童生徒の中には,発達障害が背景にある場合もあると言われておりまして,フリースクールにおいて,発達障害についての理解が進むよう,啓発リーフレットや各種の情報提供などに努めてまいりたいと考えております。
 最後に,特別支援学校高等部の5年制化等についてでありますが,法律で,全日制の高等学校の修業年限は3年とされ,特別支援学校高等部はこの規程を準用すると定められているところでありまして,御理解を賜りたいと思います。なお,高等支援学校の入学に際しての年齢制限につきましては,出願の条件としていないところであります。



<平成20年12月定例会>(2008年12月9日)

(佐藤)  これが本当に最後でございますが,関連して,岡山県福祉のまちづくり条例に基づいて多くの障害者用駐車場が設置されているはずですが,身体障害者用駐車場の不正利用を防ぐため,機械管理を導入した駐車場が倉敷の大型ショッピングセンターにできました。これまで身体障害者用駐車場は,一般駐車場に隣接して枠内に国際シンボルマークであるいわゆる車いすマークを記しただけで,障害の有無の確認などはなかったのですが,身体障害者でない人の利用が相次いで,障害者から専用駐車場になかなかとめられないという苦情が寄せられていたとのことで,駐車券はインフォメーションで発行され,身体障害者手帳を提示することで入手でき,有効期限はないということで,新しい制度でございます。
 私も,公共施設やサービスエリアで何度かこうしたトラブルを目撃したことがございますが,この点,佐賀県ではパーキングパーミット制度を導入しております。この制度は,県の施設やショッピングセンターやホテルなど,県と協定を結んだ身体障害者用駐車場の利用証を交付することで,駐車場を利用できる方を明らかにし,そして駐車スペースを確保する制度のことです。この制度は,駐車場を利用できる方を歩行困難の方とし,高齢者や妊産婦の方なども利用できるというもので,つい先日島根県でも同様な取り組みを始めたとの新聞報道もなされたところでございます。ぜひこの制度の本県への導入をお願いしたいと思いますが,知事の御所見をお聞かせください。

(知事)  最後に,パーキングパーミット制度についてでありますが,本県におきましては,福祉のまちづくり条例等に基づきまして,スーパーやレストラン等の生活関連施設に車いす使用者用の駐車施設の整備を推進してきたところであります。不正利用の防止につきましては,マナーを守るよう一人一人の良識に訴えるということがまず重要でありまして,今月3日から始まりました障害者週間の街頭キャンペーンにおきましても適正利用を呼びかけているところであります。
 御提案いただきましたこの制度は,駐車施設の適正利用の促進や思いやりの心を大切にする社会の啓発にもなるものと考えております。この制度につきましては,今後,障害者の方々や駐車場管理者等の関係者を初め,広く県民の御意見をお伺いいたしますとともに,他県の実施状況なども踏まえまして検討してまいりたいと存じます。



<平成18年12月定例会>(2006年12月12日)

(佐藤)  長野県政において,石井県政における夢づくりプランに相当するのが岡山県総合福祉計画だと思いますが,そのキーワードは「人間尊重,福祉優先」です。岡山県政のキーワードに福祉という言葉があったことに私は改めて政治の要諦を見るように思います。経済効率だけで,強者の論理で,多数決だけで決めるのなら,それが正義というのなら,政治は必要はありません。対価としての行政サービスなら,あらゆる行政すべてを民営化すればよい。何かを削減することだけを成果とするなら,そこには愛も夢も希望も福祉もありません。強い者にくみするのではなく,弱い者の側に立って本当にそれでよいのですかと言い続けることが,私は議員にとって一番大切な感性だろうと思います。今回は,政治とは何かを根本命題にして,福祉に関連した事柄をあえて細かくお尋ねさせていただきます。
 まずは,障害者自立支援法が本年4月の施行に続き,10月からは就労支援,生活支援なども含め,本格施行になりました。この新しい法律の成立の背景には,サービス利用者の増加による国の財政難があるとも言われています。ただ,その究極の目的が障害者の自立であるのは間違いない,そう信じたいと思います。しかし,さまざまな場面で,当事者である障害者やその家族から不安の声が上がっているのは御案内のとおりであります。以下,障害者自立支援法の3本の柱に沿ってお伺いいたします。
 まず第1に,10月施行に先立って,従来どおりの仕組みのままで1割負担だけは前倒しで始まっておりますが,所得に応じて異なる応能負担から,原則1割自己負担の応益負担になったのは,今までの福祉政策とは全く異なった考え方であります。従来,福祉は保護,措置という概念で示されて,ニーズ判定,サービスの実施,費用負担をすべて官が賄うというのに対して,支援法の考え方は,当事者の意思,選択が反映しやすいような仕組みにし,順次これを改善していくことで,自己決定に基づくより利用者本位の制度にする,そのように言われれば,方向性もそうなのかなあと思いますが,実際所得も上がっていない,収入も上がっていない,つまり自立できるような状況になっていない中で,応益で払ってくださいというのは,やはり見切り発車だったのではないかなと思いますが,いかがでしょうか。
 また,障害の種類別に法律があったのを,身体,知的,精神の3障害について,この法律で対応するというのも特徴でありますが,一人一人の障害者の方の生活が見えにくくなりはしないかという声もございます。いかようにお考えでしょうか,あわせて知事の御所見をお聞かせください。
 一方で,新たな利用者負担,報酬体系の導入等が障害福祉サービス利用者や施設,事業者に深刻な不安を与えるという声も多く上がっております。負担増を理由に施設を退所されたり,サービスの利用を中止されたなど,今回の法施行が利用者の方々等にどのような影響を与えるのかをいかように把握されているのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 第2に,市区町村を事業の実施主体とするということでありますが,利用者の負担の軽減として,県独自で,例えば,障害児デイサービス等の通園の関係で,定率負担部分を無料化したり,食費負担を食材料費相当にしたり,利用者,施設運営者の声を聞いて,国の制度に県として上乗せ,横出しするメニューをつくるお考えはないのでしょうか。また,基礎自治体の独自補助と逆にそれによる地域格差の拡大も考えられますが,県の役割をいかように考えられますか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 第3に,障害者も自立できる社会を目指すということでありますが,法律には働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう,福祉側から支援すると明記してあります。さきの県のアンケートでも,身体・知的障害者の方の在宅で6割,入所で4割の方が働きたいという御希望があります。しかし,授産施設等について利用者の負担増は障害者の施設利用中止につながり,結果として施設の収入が減ってサービスの低下,施設の閉鎖,そして利用者の行き場がなくなってしまう,そういった悪循環が生じて,同法の理念に逆行するとの批判がございます。また,小規模作業所は,10人内外が恐らく最も運営しやすいのですが,地域活動支援センターの基準人数が高く,実態として運営費の支援が従前より低くなって,現行のまま継続できるかどうか不透明という声も非常に強く,こうした授産施設や小規模作業所等に対して,県単独でも対応策を検討すべきではないかと考えます。また,収入の向上については,作業所や授産施設等での製品づくりについて,自立のためにはやはり作品ではなくて,市場,顧客を向いた製品あるいは商品をつくって,他の民間企業のつくる製品と競合していって,最終的にはできるだけ多くの就労者の収入が大幅に上がるための支援が必要だと思いますが,あわせて保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 また,障害者自立支援法においては,福祉施設利用者や養護学校卒業者に対して,一般就労に向けた支援を行う就労移行支援事業の創設などが盛り込まれて,今後福祉的就労から一般就労への移行の促進に向けた取り組みが進められていくわけであります。自立就労支援について,県内の障害者雇用率は1.68%で,法で定められた人数の障害者を雇っている企業はまだまだ少ないと言われております。自立支援に関する基本的な役割はもちろん市町村が担う,そのようにされてはおりますけれども,障害者の就労支援に当たっては,福祉関係機関だけではなくて,雇用,教育機関等の連携・協力,さらには企業への働きかけが重要であると思います。障害者の雇用対策として,県としてどのような取り組みがされていくのか,知事にお伺いいたします。
 ところで,将来的に,障害者自立支援法と介護保険法の統合も視野に入れられているのではないかという憶測を呼ぶぐらい,障害者自立支援法を見ますと,そのシステムも介護保険制度と非常によく似ております。障害者の状態を障害程度区分として認定し,個別の支援計画が立てられて,その計画によってサービス提供者を選択していく。つまり,介護保険におけるケアマネジャーの存在が大きなかなめとなるのと同じように,相談支援やケアマネジメントをする人が大切な存在になっています。自立に向けて支援する,こうした人材が足りないという声が大きく,人材育成が急がれますが,その対策について保健福祉部長にお伺いいたします。
 関連して,障害福祉計画についてお伺いいたします。
 障害者自立支援法におきましては,国の基本方針に基づいて,県及び市町村は平成18年度中に障害福祉計画を策定するように義務づけられていますが,市町村からの計画を単純に積み上げて県の計画にするということは,不十分です。県内の市町村と密接に連携し,また支援,指導を行いながら,何よりも障害者の方々の声をしっかりと受けとめながら,障害福祉計画を立てていくべきだと思いますがいかがでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,県として,障害者自立支援法がもたらした大きな矛盾の改善に向けて,今後どのような方向性を持ってこの問題に対応していかれるのでしょうか。国は,法の中で,法施行後3年を目途に検討し,必要な措置を講ずることとしておりますし,自民党は決してこのままでは済まさない,そういう政党であると信じますけれども,県としては,あらゆる機会を利用して,国に対して政策提言を行うべきだと考えますがいかがお考えでしょうか,知事の御所見をお聞かせください。

 次に,発達障害についてお伺いいたします。
 この問題を考える際に非常に重要なことは,こうした議論が新たな偏見につながることがないように慎重な配慮が必要であり,同時に,こうした障害が顕在化していることには,何か時代の背景や理由があって,いわゆるノーマライゼーション,インクルージョンの流れの中で,それをいかに受け入れていくかが社会にあるいは我々一人一人に問われているのではないか,そういう視点が重要だと思います。また,いじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,引きこもりなどの根底に,こうした問題が横たわっているのではないかと指摘されますが,これを障害としてとらえることで,対症療法的な稚拙な根性論やしつけ論から当事者や家族を解放する,そういった必要もあります。また,学級崩壊等によって教員が指導力不足と言われる遠因の一つではないかということも理解する必要がございます。いずれにせよ,本人や家族の方の苦しみを思うとき,真正面から議論すべき時期が来ております。
 発達障害には,学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD),自閉症,アスペルガー症候群などがあり,うまく意思疎通ができない,関心に激しい偏りがあることなどが特徴で,先天性の脳の機能障害とも言われ,こうした障害そのものを取り除くことは困難な場合が多いのですが,早期発見と適切な診断を行い,適切な療育や教育と環境調整を行うことによって,社会的機能を高めて改善することが期待できます。
 なお,小児期の交通外傷とか,後遺症はかなり改善はしますが,学齢期に学習面で問題を残すような高次脳機能障害もあわせて考える必要があると思います。
 これまで,障害と認められず,教育,医療サービスの対象にならなかった制度の谷間にあった発達障害児・者に対する支援を行うことが目的とする理念法として,超党派の議員立法によって,発達障害者支援法が2005年4月から施行されているのは御案内のとおりであります。今までの法体制では,福祉は福祉,教育は教育と,人の一生に対する支援策を分断して,必要なときに必要な支援が間に合わないということが起こっていましたが,この法律は,乳幼児期の早期発見から成人して就労確保まで支援を一貫させています。同法第3条において,国や地方公共団体の責務として,早期発見,また早期支援の重要性がうたわれており,幾つか質問させていただきます。
 まず第1に,文部科学省が2002年に行った調査では,知的発達におくれはないものの,学習面や行動面で著しい困難を持っていると担任教師が回答した児童生徒の割合は全体で6.3%とされていますが,私は,直感的に県内にもかなりの数の発達障害児・者がおられ,しかも増加傾向にあるんではないか,そのように感じております。全日制あるいは定時制,通信制の高等学校などへの進学,さらには発達障害者を含めて,これはあくまでプライバシーを侵害してはいけないわけでございますけれども,実態調査が必要だと思いますが,実施されておられるのでしょうか。また,県内の現状をいかように把握され,いじめ,不登校,自殺,児童虐待,ニート,引きこもりなどとの関係をどのように感じておられるのでしょうか。非常に難しい問題でございますが,これらをあわせて知事にお伺いいたします。
 あわせて,いじめ,不登校,学級崩壊や教員の指導力不足との関係をどのように認識されているか,教育長にお伺いいたします。
 また,自分の子供が発達障害であると宣告されることのショックと戸惑いというようなこともあろうかと思いますが,本人や家族だけではなくて,児童生徒,PTAはもちろん,その周りの保護者を含めて,発達障害の特徴,また,教育や対応について広く社会に認知させていく必要性を感じますが,いかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,子供の発達障害を疑う親たちがふえることが予想されますが,現実には対応できるこの分野の専門家である小児精神科医が非常に少なく,また,こうした専門的な治療に応じた診療報酬が支払われないため,障害児教育に関するNPOの皆様や地域のボランティアとの連携協力を含めて対策が必要になります。特に,学校が終わった後の放課後の発達障害児の支援も大切だと考えますが,既にこれは民間で行われている例もあるようです。県としても,放課後の発達障害児に対する施策も必要だと思いますが,こうした一連のことについていかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 さらに,すべての都道府県に特別支援教育体制推進事業が委嘱され,実施されていますが,発達障害児の特別支援教育では,教員研修の充実が特に重要です。また,特別支援教育コーディネーターや校内支援の充実,さらにその方たちの発達障害の特別支援教育に関する研修の受講も必要になりますし,幼稚園や保育所も対象に含めて,発達障害児に対する乳幼児期からの支援体制の整備も必要になります。しかし,各市町村の教育委員会の判断に基づくため,自治体により差があるとも思われます。発達障害児の特別支援教育体制をいかに推進していくのか,その方向について,教育長にお伺いいたします。
 また,法改正に基づき,児童生徒の障害の重複化に適切に対応することができるように,盲・聾・養護学校を障害種別を超えた特別支援学校に転換することになっていますが,障害のある子供が通常の学級で学ぶか,通常の学級に在籍し,通級による指導を受けるか,特別支援学級で学ぶか,特別支援学校で学ぶか,一人一人の教育的ニーズに対応する必要があると思います。特に発達障害児は分散するのではないかと思われます。そうした中,特別支援学校は,発達障害児の地域の特別支援教育センター的機能を担う必要があると思いますが,今後の整備の方向について,教育長にお伺いいたします。
 一方,国においては,発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について,インターネットにホームページを開設するなど,きめ細かな就職支援を実施する方針であると聞いており,さらに,医療・保健・福祉・労働の各部局が連携して関連施策に取り組む発達障害対策戦略推進本部が立ち上がっています。県においても,発達障害者支援センターや民間と連携した対策組織が必要だと考えますがいかがでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。

(知事)  障害者自立支援法に関し,応益負担等でありますが,自立支援法の費用負担につきましては,国会等におきまして十分な審議がなされました結果,福祉サービスの利用者も含めまして,国民全体で制度を支え合う公平な仕組みといたすため,サービスの利用量と所得に応じた費用負担となるよう導入されたものでございまして,所得に応じましたさまざまな負担軽減措置も設けられているところであります。また,障害者自立支援法は,障害の種別にかかわらず,障害のある人々が必要とするサービスを公平に利用することができるよう,サービス給付の一元化を図りますとともに,利用者一人一人の障害の程度,利用者の意向,あるいは家族の状況等も勘案いたしました上で,サービス給付の内容を決める仕組みが導入されたものと承知いたしております。現在,国におきましては,利用者負担の軽減措置等も検討されているところでありまして,県といたしましては,施行状況を十分に把握しつつ,国の動向も踏まえながら,必要に応じ適切に対応してまいりたいと存じます。
 障害者の雇用対策でありますが,平成17年6月現在の県内企業の障害者雇用率を見ますと,全国平均1.49%に対しまして1.68%,また,雇用率達成企業の割合も,全国平均42.1%に対し52.2%と,いずれも上回っておりますが,障害のある人がそれぞれの能力や適性に応じて雇用の場を確保できるように支援するということは,重要な課題であると考えております。県におきましては,労働局等と連携いたしまして,経済団体及び企業に対し,雇用の場の確保を要請いたしますとともに,雇用開発推進員によります法定雇用率制度の周知啓発や求人開拓,障害者就職面接会の開催,高等技術専門校での職業訓練等を実施しているところであります。今後とも,労働局等との緊密な連携を図りますとともに,障害者就業・生活支援センターの充実など,障害者の雇用促進に努めてまいりたいと存じます。
 今後の対応でありますが,県では,これまでも施行後の状況等を踏まえまして,障害程度区分認定の妥当性の確保のほか,利用者負担の軽減や事業者における良質なサービスの提供の確保など,自立支援法の円滑な運営が図られますよう,必要な実態把握と制度改善の検討などを国に対し提案してきたところであります。県といたしましては,今後とも,施行後の状況を十分に把握しながら,国への提案など積極的に対応してまいりたいと存じます。

 次に,発達障害に関し,実態調査等でありますが,県では,おかやま発達障害者支援センターを設置いたしまして,発達障害について総合的な相談支援を行っており,昨年度は138人,延べ195件の相談を受けますとともに,児童相談所においても随時相談を受けておりまして,専門医による診断や医療と連携した早期療育,就労に向けた指導等の支援を実施しているところであります。発達障害につきましては,社会での認知が十分ではなく,また,専門的な医療機関が少ないなどの課題もありますが,今後,教育庁等関係機関とも連携いたしまして,お話いただきましたいじめ等の関係も含め,発達障害児の状況の把握と対策につきまして研究してまいりたいと存じます。

(保健福祉部長)  障害者自立支援法に関して,利用者等への影響についてでございますけれども,11月に,県内の身体・知的障害者及び障害児の全施設を対象にサービス利用の状況等につきまして報告を求めたところ,経済的負担を主たる要因といたしまして,サービスの利用を中止した者は,入所,通所合わせて3月以降10月までの累計で28名,通所施設の利用日数を減じた者は,4月以降10月までの累計で44名,また,障害児施設につきましては,10月に利用を中止した児童は該当者がなく,通所施設の利用日数を減じた児童は42名との回答でありました。事業者につきましては,関係団体の調査によりますと,知的障害者施設の収入の減少が見られるなど,事業者に一定の影響があるものと承知しております。
 続きまして,県独自の措置等についてでありますけれども,利用者負担につきましては,県では,施行後の状況等も踏まえ,制度設計を行った国の責任において速やかに適切な対策を講じるよう,国に働きかけてきたところでございます。現在,国においては,さらなる利用者負担の軽減などが検討されているものと承知しておりまして,県といたしましては,施行状況を十分に把握しつつ,国の動向等も踏まえながら,必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
 続きまして,授産施設等への支援等についてでございます。
 小規模作業所は,市町村事業として位置づけられておりまして,交付税もすべて市町村に対して措置されているところであります。市町村では,従来どおり,継続して事業を実施しているものと承知しております。県といたしましては,小規模作業所が自立支援法に位置づけられた地域活動支援センター事業に移行し,より安定的に運営できるよう,法人化に向けた支援等を行ってまいりたいと考えております。
 授産施設等の施設サービスにつきましては,現在,国におきまして事業者に対する激変緩和措置等が検討されているものと承知しておりまして,県といたしましては,国の動向等も踏まえながら,必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
 また,授産施設等の利用者の収入の向上を図るためには,新たな製品の開発や作業の効率化など,授産施設等の創意工夫等を促していくことが必要でありまして,県といたしましては,新製品開発等に向けた経営セミナーの開催や経営相談支援など,授産施設利用者等の収入の向上に向けた事業者の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 続きまして,人材育成についてでありますが,地域におきます相談支援や障害者の効果的なサービス利用を図るため,県におきましては,相談支援を行う市町村職員や個別支援計画を作成する事業者等の従事者に対しまして,研修を実施してきたところでございます。今後とも,必要な人材が十分に確保されますよう,相談支援等を行う人材の養成を行うとともに,資質の向上に努めてまいりたいと考えております。
 障害福祉計画についてであります。
 県では,年度ごとの各障害福祉サービスの必要見込量,それからその確保策を内容とする県障害福祉計画を本年度中に策定することとしております。国の基本指針等では,県障害福祉計画は市町村計画との整合性を図ることとされておりまして,県では,市町村における計画策定が適切になされますよう,利用者のニーズ調査の結果や事業者の新体系への移行計画の調査結果等を示すとともに,必要サービス量の算定手順など,必要な助言指導等の支援を行っているところであります。今後とも,市町村と密接な連携を図り,必要な助言指導等を行っていくとともに,障害者の方々の意見等も十分に伺いながら,県障害福祉計画の策定を進めてまいりたいと考えております。

 発達障害についてでございます。
 社会への認知についてでございますけれども,県では,発達障害に関する理解を促進するため,発達障害の特徴や発見のポイントなどをまとめたガイドブックを広く配布するとともに,県民の方を対象とした発達障害に関するセミナーも開催しているところであります。今後とも,発達障害につきまして啓発活動を行い,社会への認知が広がるように努めてまいりたいと考えております。
 発達障害の放課後の支援についてでございますけれども,県におきましては,発達障害児も含めた障害児を受け入れ,放課後に育成,指導,遊びの場を提供している市町村や,障害児に日中の活動の場を提供し,社会に適応するための日常的な訓練を実施している市町村に対しまして助成を行っているところでございます。県といたしましては,今後とも市町村への助成を行うとともに,発達障害児の状況の把握と対策につきまして研究してまいりたいと考えております。
 最後に,対策組織についてでありますけれども,県では,発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制の整備を図るため,医療・保健・福祉・教育・労働等の関係部局のほか,おかやま発達障害者支援センターや社団法人日本自閉症協会岡山県支部など,民間関係者から成る岡山県発達障害者支援体制整備検討委員会を設置しているところでありまして,今後とも関係者の連携をさらに深めながら,発達障害者の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

(教育長)  まず,発達障害と不登校等との関係についてでありますが,発達障害児は,集団行動,対人関係,特定の学習などに困難性が見られることもありまして,友達にからかわれたり閉じこもりがちになり,いじめや不登校につながる場合があります。また,教員や友達とのコミュニケーションがうまくとれず,不安定になることもありまして,校内の協力体制が十分でない場合には,経験豊かな教員でも学級がうまく機能しない状況になることがあります。発達障害児に対する適切な支援を行いますためには,教員の指導力を高める研修はもちろんでありますが,発達障害児を周囲の子供たちが理解し受け入れる学級づくりや,学校全体で支援していく体制づくりが重要であると考えているところでございます。
 次に,特別支援教育体制の推進についてでありますが,小中学校では,児童生徒の実態把握や支援のあり方を検討する校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名,個別の支援計画の作成など,校内体制の整備を進めているところであります。また,市町村では,就学指導委員会における就学相談の充実や関係機関とのネットワークの構築に努めているところであります。県教育委員会では,発達障害児の理解や支援のあり方についての各種研修を実施しますとともに,小中学校に専門家チームや巡回相談員を派遣しているところであります。今後,新設の総合教育センターにおきまして,発達障害児の幼児期からの教育相談や学校に対する指導,支援機能の充実を図りますとともに,保健・福祉・労働等関係機関との連携を図りながら,発達障害児の支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 最後に,特別支援学校のセンター的機能についてでありますが,現在,盲・聾・養護学校では,地域の小中学校等からの要請に応じまして,専門性の高い教員を派遣し,発達障害児の指導に関する助言や相談,校内研修への協力などを行いますとともに,地域の保護者からの相談にも応じているところであります。今後,盲・聾・養護学校におきましては,幼稚園や高等学校へも支援を拡大しますとともに,児童相談所や保健所等,地域の関係機関との連携を深めるなど,発達障害を含めた特別支援教育のセンター的機能の充実を図ってまいりたいと考えております。



<平成16年9月定例会>(2004年9月15日)

(佐藤)  次に,岡山市南方の旧国立病院跡地の新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)についてお伺いいたします。
 この施設には,中央児童相談所,女性相談所,社会福祉協議会,県消費生活センター,さらに福祉人材センター,福祉相談センター等々に加えて,ボランティア・NPO活動支援センター,さらには待望の聴覚障害者の方の情報提供施設が同居いたします。何しろ,これはPFIの事業形式でございますから,管理運営もPFI事業者の判断によるということですが,7階建ての巨大なこの施設の内容は,一般にはまだ未知なる部分が非常に多く,既に開館1年前になっているにもかかわらず,関係者の方からどうなっているのかといった不安の声が上がってきております。そもそも,この南方の国立病院跡地は,駐車場への長い列で御記憶のように,交通の便が実はさほどよいところではございません。とりわけ障害者の方にとっては,岡山駅からも中途半端に近い距離で,いわゆるシャトルバスでも走らせないと,非常に行きがたい場所ではあります。また,導線のユニバーサルデザイン化,周辺の照明灯等の整備もなされないといけません。こういった点の整備はどのようにお考えなのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 この新会館の管理運営で一番重要なことは,福祉関係の各種団体が同居することで,ある意味,例えば障害のある方の雇用が図れたり,またNPO・ボランティアが積極的に活用されるということだと思います。また,こうした団体を有機的に結びつけていくためのマネジャーを置く必要があると思いますが,総合することの意味とあわせて見解をお知らせください。
 ところで,総合をうたう割に,それぞれの施設の連携をしようにも,協議会的なものをつくるにも,管理運営主体すらいまだ不明で,連絡調整どころか,どこに何が来るのか,お互いが知らない状況になっています。早急に入居予定団体による情報を共有した連携の機会が必要だと考えますがいかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,この会館の開館に伴って,後楽園の玄関口であり,文化ゾーンの中にある既存の現在の岡山市石関町の総合福祉会館,そして出石町のゆうあいプラザの有効活用も考えていかないといけませんが,いかように活用されていくのでしょうか。

 さらに,具体的にお伺いいたします。
 まず,NPOについてです。「新世紀おかやま夢づくりプラン」の数値目標の200を既に超えているNPOでございますが,さらにインキュベートを考えた施設をつくる計画のようであります。もはやふ化した後は,いかに大きく育てていくのかを考える時期に来ているのではないでしょうか。行政の掲げるNPO法人が幾つあるかなどという数値目標の達成自体は,個々のNPOには関係のないことでありまして,既存のNPOには,むしろ,人・情報・物・お金,連携の充実こそが重要であり,あえて言えば,行政サイドからしても,NPOの新規創設支援に加えて,既存のNPOをいかに支援していくのかという視点の方が重要な時期に来ているように思います。NPO支援を起業支援と同様にとらえてはいけないのではないか。そして,既存のNPOが各階の施設といかに連携していくのかという視点も極めて重要であります。だからこそ,管理運営等のNPO支援の主体もNPOであるべきだと私は考えますが,こういった点についていかように御認識でございましょうか。
 これに関連して,一般に,NPO法人と言っても,その活動内容は実にさまざまでございますが,その中には,後でも伺いますが,介護保険の指定事業者であるものも約30団体あるそうであります。NPOは,特定非営利活動法人でございますが,介護保険が介在した場合,その実質は営利活動で,本来イメージされているNPO法人そのものではないのではないか,あるいはほかのNPO法人と同列に論じるべきではないのではないかという声がNPOの内部から上がってきております。
 そこで,知事がNPOとの協働と言われる場合のNPOは,こうした介護保険サービス事業者を意味しているのか,夢づくり指標に掲げる認証数の中に,こうしたNPOの増加をイメージされているのか,また新会館でこうしたNPOをインキュベートして,社協等との協働を考えておられるのか,お伺いいたします。
 次は,待望の聴覚障害者情報提供施設についてであります。これをもって,全国でも非常にまれと言われておりました聴覚障害者と視覚障害者の複合支援施設である岡山市西古松の視聴覚障害者福祉センターは,視覚障害者支援の単独施設になる予定と聞いておりますが,来年,新会館に入居する聴覚障害者情報提供施設の管理運営についてお伺いいたします。
 聴覚障害者の方の中には,厳密に分ければ,聾者,難聴者,中途失聴者がおられます。そして,その連携が極めて重要であると思います。特に,手当てが必要なのは,突然聴覚を失われた方々で,そういった中途失聴の方々が生活支援も含めた相談にお越しになられる総合の相談窓口の開設も必要だと思います。さらに,そういった各種協会の事務局が集積するということも肝要だと思います。また,いわゆる聴覚障害者の方で手話を理解される方は,実は全国調査の結果では約15%しかおられないと言われておりますが,そういった意味では,手話サークル同様,要約筆記クラブへの支援も重要であります。そして,こういった施設の管理運営もまたそういった団体の連携組織にゆだねるべきだと思います。こういった点についていかように御認識でしょうか。

(知事)  次に,新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)等についてであります。
 まず,総合の意味等でありますけれども,新会館は,ボランティア・NPO活動の支援拠点,福祉活動の拠点,県の相談・支援拠点の3つの機能をあわせ有するということで,総合拠点機能施設といたしまして計画をしているものであります。新会館に入居いたしますボランティア・NPO,各種団体等が連携をすることによって,それぞれの事業効果がより一層高まるものと,このように私も期待をしております。議員御指摘の,団体を有機的に結びつけていくためのマネジャー設置のお話でございますが,これは意義ある御提案であると私は受けとめておりまして,団体間の連携を図る仕組みづくりを今後具体化をする中で,お話いただきました趣旨が反映できますように各団体とも十分協議をしてまいりたいと存じます。
 総合福祉会館等の活用でありますが,まず現在の総合福祉会館につきましては,新会館に入居団体の大半が移転をすることから,保健・医療・福祉を中心にいたしまして,さらに教育・文化など幅広い観点から有効活用が図られますように,共同所有しております財団法人岡山県福祉事業団と協議を現在進めているところであります。
 また,ゆうあいプラザにつきましては,新会館がオープンをした後は,県の普通財産といたしまして有効な活用を図ることといたしたいと存じます。
 次に,NPO支援の考え方でありますが,新会館のNPO活動支援センターは,NPOの立ち上げ支援のみならず,交流,連携,相談,情報発信等,NPO活動を促進するための総合的な支援の拠点といたしまして,多くのNPOに活用されますように今後努めてまいりたいと存じます。
 また,管理運営等についてでありますが,「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」に基づきまして,ボランティア・NPOとの協働により行うこととしておりまして,現在,その具体的な手法というものを検討しているところであります。
 介護保険事業者であるNPO法人についてでございますが,高齢者の介護事業は特定非営利活動の一つとなっておりまして,収益を特定非営利活動のためだけに使うのであれば,NPO法人として問題はないと,このように解されているところであります。NPOとの協働という場合のこのNPOも,快適生活指標に掲げております認証数も,また新会館における協働の対象も,介護保険事業者を含むすべてのNPOを包括するものと考えております。今後とも,パートナーシップ社会の実現に向けまして,多様なNPO活動を積極的に促進をしてまいりたいと存じます。
 聴覚障害者情報提供施設でありますが,この施設は,県内に住むすべての聴覚障害者に対しまして,情報提供とコミュニケーションの確保を図っていくための拠点施設であるということを踏まえまして,現在,指定管理者制度を導入する方向で管理運営も含めまして,そのあり方について関係団体等の意見を聞きながら検討しているところであります。聴覚障害者はもとより,支援する団体やボランティアグループ等が自由に活用できますように努めてまいりたいと考えております。

(保健福祉部長)  まず,新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)のアクセス等の整備についてでございますが,障害者の方の利用の便を図るため,屋根つきの身体障害者用駐車場を21台分整備するとともに,福祉タクシー専用の乗降スペースを確保することとしております。
 また,お話いただいた導線のユニバーサルデザイン化などは重要なことと認識しておりまして,点字と音声による視覚障害者の誘導装置やスロープなどの施設整備を進めるとともに,周辺環境整備やアクセスについても,必要に応じて岡山市など関係者へ働きかけるなど,すべての人が利用しやすいものとなるよう改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に,入居団体による連携についてでございますが,新会館の機能を十分に発揮するためには,お話のとおり,入居団体の連携の機会が必要であると考えております。現在,ボランティア・NPO活動支援センター及び聴覚障害者情報提供施設について管理運営主体の検討を行っているところであり,できるだけ早く管理運営主体を決定いたしまして,連携の機会を設けてまいりたいと考えております。



<平成15年11月定例会>(2003年12月5日)

(佐藤)  次に,本年4月から,障害福祉の分野で新たに導入された支援費制度についてお伺いいたします。
 支援費制度は,身体障害者福祉法等の改正により,障害者の福祉サービスが措置制度から契約制度へ大きく転換し,「障害者の自己決定権がこれまで以上に尊重され,自立が支援される」と説明されてきました。このことは,障害者と民間事業者の私的契約において,利用者がサービスを自己選択,自己決定する利用制度であり,自己責任も負うことを意味しています。ただ一方,支援費制度は,大変皮肉な見方をすれば,障害者福祉に責任を負ってきた国や地方自治体が,それをある意味で民間にゆだねることで,諸経費等の予算を抑えて国の財政再建に寄与するという面もあるのではないか,そのようにも思います。そういった中で,地方自治体がどこまで責任を負っていくのかが問題であると思います。特に,サービスの選択においては,必ずしも居住する市町村内に限らないということで,県の役割も非常に重要である,そのように思います。この秋,ある県立の養護学校で,支援費についてのアンケート調査が行われましたが,必ずしも順風満帆な立ち上がりとは認識されていないようです。その中の御意見も参考にさせていただきながら,以下,保健福祉部長に質問をさせていただきます。
 まず,支援費制度の導入に伴い,結果的にはサービス水準が落ちるのではと懸念される中,在宅サービスの利用者等が急増し,早くも予算不足を心配する自治体が出ているように伺っています。以前から,財源確保のため,介護保険との統合論もあるわけですが,予算不足を心配する市町村の現状と今後の見通し,また県の支援方針についてお知らせください。
 加えて,アンケートによれば,支援費制度の内容そのものが十分に理解されていない状況が読み取れます。さらには,事業所が開設された場合等の周知はもちろん,各事業所の事業内容を一覧で示したり,説明書の配布等を希望する声がありますが,今後いかように周知していただくのでしょうか,方策をお知らせください。
 加えて,支給決定は市町村が行うわけであり,ケアマネジャーのようなものがいない状況で,支給決定についての不安や不満の声も非常に多いわけですが,そういった意味では,市町村や担当職員によって変わらない支給決定の基準の明確化が必要であると思いますが,いかように今後対応されていくのでしょうか。
 さらに,そもそもデイサービスが小学生以下の障害児と18歳以上の障害者しか使えない,こういった仕組みそのものがおかしいのではないかという声が非常に多く上がっております。とりわけ,入浴サービスを受けたいような中高生の身体障害児などにとっては,深刻な問題になっています。今後いかように対応していくのでしょうか。
 また,特に,小学生については,土,日が休みになって,さらに長い夏休み等,養護学校周辺あるいは校内に放課後児童クラブを設置すべきではないかという声も上がっております。既存の放課後児童クラブの支援に加えて,NPOを含めた民間のデイサービス事業者の育成も強く望まれると思いますが,今後どのように対応していかれるのでしょうか。
 以上,保健福祉部長にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  支援費制度について,予算不足を心配する市町村の現状等についてでございますが,支援費制度への移行に伴い,県全体では,4月から9月の支払い実績は,前年度と比べ約1.3倍になっていると推計しておりますが,補正予算や予算の流用を今後検討せざるを得ない市町村もあると伺っているところでございます。現在,国におきまして,予算の確保について検討中であると聞いておりますが,県としては,国に対しまして財源確保について要望しているところでございます。
 次に,制度等の周知についてでございますが,県では,制度開始前からパンフレット作成や研修会実施によりまして,関係団体や市町村を通じて利用者への支援費制度の周知を図ってきたところでございます。
 また,お話の事業所に関する情報につきましては,市町村の窓口で提供しておりますが,県でも,福祉医療機構の運営しますホームページに掲載し,情報提供しているところでございます。今後とも,インターネットや市町村等を通じまして,支援費制度や事業所に係る情報提供の充実を図ってまいりたいと考えております。
 支給決定の基準についてでございますが,特に,ホームヘルプサービスにつきましては,支給に当たっての解釈が分かれ,市町村間での格差や混乱が生じていることから,県では,全国知事会を通じまして,国においてより具体的な判断基準を作成することを要望しているところでございます。
 障害児への対応についてでございますが,お話のように,中学校,高校年齢の児童につきましては,デイサービスの対象から外れておりますが,利用の要望が強いことから,県としては,全国知事会を通じまして,国にその拡大を要望しているところでございます。
 最後に,民間のデイサービス事業者の育成についてでございますが,土日や夏休み等の長期休暇に児童デイサービスの利用が集中すると聞いておりまして,それらに対応できますよう,デイサービスへの参入や定員の拡大につきまして,市町村とともに事業者に働きかけてまいりたいと思っておるところでございます。



<平成15年6月定例会>(2003年6月24日)

(佐藤)  次に,障害者施策等について伺います。
 午前中と若干ダブりますが,まず支援費制度ですが,この4月から,障害のある方の福祉サービスの一部が,行政がサービスの受け手やサービス内容を決定するこれまでの措置制度から新たな利用の仕組みである支援費制度に移行しました。この新しい制度では,利用者がみずからの意思でサービスを提供する事業者を選択し,契約によってサービスを利用することになりましたが,支給決定のおくれ等もあり,非常に慌ただしいものがあったようにも思いますが,順調に滑り出したという御認識なのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 特に,重度障害者が利用する日常生活支援については,そもそも介護保険事業からの参入を見込んでいた指定居宅介護事業者が少ないことに加えて,身体介護に比べて単価が安い等の理由で,対応している事業者が少ないと聞きますが,今後どのように対応されていくのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,障害者自身のセルフマネジメントの手助けをするケアマネジメント従事者がいても必要なサービスが受けられないということがないように,従事者の養成と資質向上を図る必要があると思います。県の取り組みについて,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,これに関連して,福祉の分野においては,地方分権が言われる中で,国庫補助負担金から地方交付税交付金に組み込まれ,一般財源化される方向に進んでいると思われますが,いわゆる改革派と呼ばれる7人の県知事が,「障害者福祉は介護保険で」という共同アピールを出しているわけですが,知事はどのようにお考えなのでしょうか。
 あわせて,全国初の構造改革特区の一つとして,4月21日に認定された福祉移送特区について伺います。
 換言すれば,福祉移送特区とは,NPOや社会福祉法人が移動に制約のある人のために,福祉車両を使用してボランティア輸送を行う場合に,低廉な料金を受け取れるよう,道路運送法第80条1項に基づく自家用自動車の有償運送許可申請を行えるようにするものです。
 基本的な考えは,収益事業ではなく,対象を特定して行うものであり,営利を目的としないという意味において,タクシー事業と相対する概念となっています。しかし,こうした要件では,参入できるのは,既に福祉車両を持って移送実績のあるNPOや社会福祉協議会,移送対象者の確保が容易な施設を持つ社会福祉法人などに限られてしまうのではないでしょうか。しかも,利用者にとっては,タクシーの半額以下といえども,有償になります。
 また,福祉タクシーの採算がとれる可能性のある都市部においては,ある意味,半額以下のライバルの出現によって,タクシー業界は福祉タクシーから撤退する以外に選択肢はないようにすら思えます。これが特区による規制緩和の効果と言えるのでしょうか。こういった点を踏まえ,福祉移送特区のメリットの部分とデメリットの部分を,改めて保健福祉部長にお伺いいたします。

(知事)  次に,障害者施策等であります。
 介護保険による実施でありますけれども,これは先ほど御紹介いただきましたが,特に宮城県の浅野さんが障害者福祉の専門家でもあるということで,先頭に立って御提言をされているものでございますけれども,この提案につきましては,障害者サービスの財源を確保するということ,すなわちこれからの障害者施策ということを考えますと,何といいましても財源問題にぶつかるわけでありまして,この確保が一番大切であります。そういう観点,そしてサービス基盤の強化を図っていくという観点からいたしまして,介護保険制度の見直しを行っていく際,障害者福祉をこの対象に含めていくということは,これは今後いろいろ議論されていきますその選択肢の一つである,有効な対策の一つではないかと,このように私は考えておりまして,今後,国の検討状況をも注視をしながら,必要に応じまして,私といたしましても,そういった立場から意見を申し述べてまいりたいと考えております。

(保健福祉部長)  支援費制度の移行についてでございますが,国の支援費基準が2月下旬に告示されましたため,市町村の支援内容の決定及び受給者証の交付が年度末になり,お話のように非常に慌ただしい状況はあったようでございますが,現時点では制度の趣旨に沿った運営がなされているものと聞いておりまして,順調に滑り出したものと認識しておるところでございます。
 日常生活支援についてでございますが,まだこの制度は4月に開始されたばかりでございまして,5月末現在,身体障害者居宅介護の指定を受けている149事業者のうち,日常生活支援の指定を受けている事業者は77にとどまっております。今後,支援費制度や介護保険制度の指定事業者等に対しまして,日常生活支援事業への参入を促しますとともに,日常生活支援に係るヘルパー研修を通じてマンパワーを養成するなど,日常生活支援サービスの充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に,サービス利用の支援についてでございますが,市町村等でサービスの利用についての相談・支援を行う障害者ケアマネジメント従事者につきましては,従来から養成研修を行ってきたところでございます。本年度から,新たに障害者ケアマネジメント従事者資質向上研修を実施することとしておりまして,今後とも,障害者が必要なサービスが受けられますよう市町村等の相談・支援体制の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 福祉移送特区についてでございますが,参入可能なNPO等が限られ,利用者負担が生じるという御心配もあるところでございますが,有償にし,許可要件を設定することによりまして,NPO等の安定的な活動と安全な運行管理体制が整備されるものと考えております。
 また,タクシー事業者への影響については,現行のボランティアによる移送サービスの利用者の場合でも,用途により福祉タクシーを利用していると聞いておりまして,タクシーの需要は存続するものと認識しております。
 いずれにしましても,移動に制約のある方の外出の機会を広げるものでありまして,県としては,この事業の評価を行いながら,福祉移送の県下全域への拡大に取り組んでまいりたいと考えております。



<平成14年2月定例会>(2002年3月5日)

(佐藤)  次に,岡山市平田にある岡山県立総合社会福祉センターについて伺います。
 岡山県立総合社会福祉センターは,心身障害者の生活,職業,補装具などの相談及び女性の家庭紛争,離婚などの相談に応ずる相談部門と,身体障害者の社会復帰を目指した機能回復訓練,職業基礎訓練及び知的障害児者の社会生活への適応・自立を目指すための生活指導,更生訓練を行う施設部門が有機的に一体化された総合的福祉施設で,開設当初は全国的にも非常に先進的な施設であったと伺っています。周辺は宅地化が進み,いわゆる岡山市の外環状道路のそばに立地するため,改めて施設内の自然の美しさ等が見直され,近年では,障害のある方や地域の方が触れ合うすばらしい催しの会場にも使われています。
 一方,高齢化社会を迎えた現在,新たなニーズにこたえるための中核となるべき基幹センター施設としては老朽化が著しく,さらに女性相談所,児童相談所の拡充が言われる中で,こういった複合施設からどう時代の要請に合わせていくのか。とりわけ平成15年度の支援費制度の開始に伴い,障害者へのサービス低下,福祉制度に対する混乱を招くことがないようにしつつも,大幅な見直しをすべき時期に来ているのではないかと私は考えますが,知事はいかがお考えでしょうか。
 次に,障害者等の福祉用具に関して,幾つか質問をさせていただきます。
 まず,介護保険法の導入によって既製品の福祉用具が貸与されるケースがふえてきましたが,貸与された福祉用具が既製品であるがゆえに体に適合していない場合が多いとも言われていますが,この実態について保健福祉部長はどのように把握されておられるでしょうか。
 また,車いすを含めた補装具が身体障害者福祉法でいう給付対象でもあるという現実がありますが,性格上,本来は既製品で対応するのではなく,必要な人に必要な福祉用具を給付することが好ましいと思います。しかし,福祉への民間参入も急速に進み,非常に多くの福祉用具が流通するようになっており,専門的な判断が非常に難しくなっていますし,財政的にも行政がこうした個別の取り組みを行うのは極めて困難です。その結果として,各市町村が給付の対象として認めるべきか認めるべきでないか,どこまでを県や市が補助するべきなのか,判断に迷うという事態が生じています。こういった点から,私は,県の主導による福祉用具給付における専門の窓口の整備が必要ではないかと考えますが,保健福祉部長はいかがお考えでしょうか。
 さらに,補装具製作所については,県が保護しなければならない身体障害者や重度障害児に対して民間で対応し切れない部分が多々あります。特に車いすの改造等,障害者に対しての個別的対応については加工機械の整備された工場を必要とし,対応についても各専門家が携わるべきですが,民間では資金的に不可能であると思われます。この点,滋賀県においては,県の補助によって運営されている財団法人滋賀県レイカディア振興財団内の滋賀県立福祉用具センターが,福祉用具の改造修理を行っています。理学療法士,作業療法士,機械技術者,電気技術者等の専門家がスタッフとして常駐し,加工に必要な機械や材料と200坪程度の作業場を有していて,簡単な改造であれば1,000円プラス材料代,複雑な改造でも3,000円プラス材料代で改造を行っているとのことです。
 そこで,私は,新しいニーズに合った補装具製作所を行政が主導となって新たに拡充すべきであると考えますが,補装具製作所の今後のあり方について,保健福祉部長の御所見をお聞かせください。

(知事)  最後に,県立総合社会福祉センターについてでありますが,昨年3月に岡山県社会福祉審議会及び岡山県児童福祉審議会から児童・障害者等の福祉において県が今後果たしていくべき役割についての答申をいただいたところであります。この答申におきましては,社会福祉を取り巻く状況というものが大きく変化をしていく中で,福祉サービスに対するニーズの増大やあるいは多様化に対応していくため,センターの民間委託やあるいは新たな相談・支援体制の整備というものが強く求められております。県といたしましては,こうした答申の趣旨を踏まえまして,相談・支援体制の充実など社会福祉サービスに取り組む新たな体制を早急に確立をいたしまして,県民福祉の向上に努めてまいりたい,こういったことで,この総合社会福祉センターの今後のあり方につきまして具体化を急いでまいりたいと考えております。

(保健福祉部長)  まず,介護保険における福祉用具の貸与に関するお尋ねでございますが,介護保険では,要介護認定者が標準仕様の車いす等の福祉用具の中から選択して利用することになりますが,体に適合しないなど利用に当たっての苦情ということから見ますと,市町村や国民健康保険団体連合会にはこうした苦情が寄せられているというふうには聞いていないところでございます。しかし,議員の御指摘もございましたので,今後,個別の苦情あるいは御相談があれば誠実に対応してまいりたいと考えております。
 次に,給付の専門窓口についてでございますが,身体障害者に対する車いす等の補装具の給付は市町村において実施されているところでございます。この給付事業というのは,市町村の事業でございますが,その給付に当たっては,県の専門機関である身体障害者更生相談所におきまして医師等による専門的な判定を行っており,既製品で対応できないと判定された場合には,障害の状況に合わせてオーダーメードするなど障害者の要望にこたえているものと考えておりますし,今後とも十分対応してまいりたいと考えております。
 最後に,補装具製作所についてでございますが,県立総合社会福祉センターに設置されている補装具製作施設は,身体障害者福祉法に規定される施設として補装具の製作や修理を行ってまいりましたが,年々依頼件数が減少している,そういった状況にございます。一方で,近年におきましては,十分な設備を備え義肢装具士を配置するなど,県下の民間業者の技術向上が目覚ましいという状況もございまして,県と民間の役割分担や利用者のニーズも含めましてそのあり方を検討してまいりたいと考えております。



<平成12年12月定例会>(2000年12月12日)

(佐藤)  次に,去る11月6日,障害のある子供に対する教育のあり方を検討していた文部省の調査研究協力者会議が,障害児がどのような学校で学ぶかを決定する基準を緩和し,盲,聾,養護学校に進まずに地域の小学校の普通学級に就学する道を広げるように求める中間報告を出しました。これを受けて文部省は,障害の程度に応じて厳格に子供の就学先を振り分ける現行の「就学指導基準」を38年ぶりに緩和する方針と言われています。もっとも,都市部では既に市町村の教育委員会が希望に応じて普通学級への就学を認めており,文部省が現状を追認した形と言えるかもしれません。
 そこで,私は,岡山市内の幾つかの学校現場を実際に訪ねてみました。たとえ障害があっても,盲,聾,養護学校でなく普通学級に我が子を通わせたい,そんな保護者の切なる願いを肌で感じ,障害のある子供たち,障害のない子供たち双方に非常によい教育効果があることは理解できました。しかし,同時に,それを推進していくだけの施設設備や人材が確保できるのか,自治体や学校,教師の力量の差がはっきり出てしまう非常な不安も感じました。さまざまな障害のある子供たちが一つの教室で集団生活を送るとき,子供たちのために果たして現状の配置,設備のままで教師が耐え得るのか,大変な危機感を覚えたのです。
 教育長は,この中間報告に対して率直にどんな感想を持っておられますか,教育現場の現状と今後の方向性を含めてお知らせください。
 また,障害児が在籍している普通学級に民間のボランティアが入り,さまざまな形で子供たちを支えることができないか,あわせてお尋ねします。
 加えて,その中で私は難聴の子供たちに出会いました。難聴児については,乳幼児期にできるだけ早く発見して,早くから訓練等を開始すれば,通常の言語能力を獲得できる可能性が高くなるとお聞きしています。また国も,新生児を対象に難聴の早期発見のための新たな検査事業に取り組むと聞いておりますが,本県としても積極的に対応すべきではないでしょうか。現状もあわせお伺いします。
 さらに,難聴であると診断された場合,どのような支援対策があるのか,お伺いします。
 さらに,私は,聞こえの不自由な方々を支える要約筆記ボランティアの方々にお会いしました。要約筆記とは,聞こえの不自由な方の耳がわりとして,相手の話すことを文字で書いて伝える手段です。岡山県下には,聴覚障害者の方で身体障害者手帳の交付を受けている方が約7,000人おられますが,このうち手話でコミュニケーションできる方は約1,500人と言われています。中高度の難聴,途中失聴の方々には書いて伝える要約筆記が必要です。特に,高齢化が進み,身体障害者手帳を持たない難聴の方も増加しています。
 要約筆記ボランティアの活動は,福祉大会などでOHPを使い三,四人で手話と一緒に行われることも多いのですが,実は難聴の方が病院や役所に行かれるのに同行していくのも大きな仕事です。県内には,一部の地域を除き多くの要約筆記ボランティアクラブがありますが,とりわけ高価な器械を使用されることもあり,財政的にも,保管面でも大変なようです。
 知事は,手話でごあいさつされると伺ってはおりますが,要約筆記についてはどのような認識をお持ちでしょうか。あわせて,高齢者の方を対象にされた県の主催行事にはぜひ要約筆記をつけていただきますようお願い申し上げます。
 さらに,聴覚に障害のある方やボランティアの情報基地として,現在は岡山県視聴覚障害者福祉センターがありますが,むしろ視覚障害の方に重点のある施設のように感じます。全国的に,視覚障害者の施設と聴覚障害者の施設は分離していく方向にありますが,聴覚障害者情報提供施設の設置はお考えでないか,あわせて知事にお尋ねします。

(知事)  次に,障害児教育であります。
 難聴児への支援メニューでございますが,現在,保健婦等が乳幼児健診やあるいは健康相談,訪問指導の場におきまして,難聴児の早期発見に努めているところであります。
 また,御質問にもございましたが,より早い時期に発見をして療育指導をすることが大変重要であり,また効果的であることから,国が新規に行います事業であります新生児聴覚検査事業の実施について検討してまいりたいと思います。
 次に,支援対策でありますが,医師,言語聴覚士などが相談や指導を行います巡回相談事業とか,あるいは難聴幼児通園施設におきまして必要な訓練等を行いますとともに,補聴器の交付あるいは育成医療の給付などの支援措置というものを講じているところでございます。
 次に,要約筆記でございますが,中途で聴覚障害者になった方や,あるいは難聴の方等のコミュニケーション確保のためには,これは極めて重要な手段であると考えております。現在,県下各地で多くの要約筆記ボランティアの方々が活躍をされていると,このように承知をいたしているところでございます。県といたしましては,今後も,要約筆記奉仕員の養成に努めたいと考えておりますし,同時に,高齢者や障害者の方々を対象とした行事に要約筆記奉仕員の方を派遣するなど,その積極的な活用を図ってまいりたいと存じます。
 聴覚障害者情報提供施設についてでございますが,県は,全国に先駆けまして昭和60年に視覚障害者と聴覚障害者のための複合施設といたしまして,岡山県視聴覚障害者福祉センターというものを設置いたしまして,障害者の方々の社会参加に必要な情報提供サービスを行っているところでございます。しかし,お話のように現在の施設は,聴覚障害者情報提供施設といたしましては,機能面で充実を要する部分があるために,今後,聴覚障害者の方が利用しやすい施設となるように,他の場所での整備というものも視野に入れながら検討をしてまいりたいと存じます。

(教育長)  障害児教育のあり方についてのお尋ねでございますが,国の調査研究協力者会議の中間報告では,盲,聾,養護学校に就学すべき子供であっても,障害の種類,程度,小中学校の施設設備の状況等を総合的な観点から判断して,適切な教育ができる合理的な理由がある特別な場合には,小中学校に就学させることができるという,こういう旨の提言がなされております。基本的には,障害のある子供には,現在の養護学校等での専門的な教育が必要であるとの認識は変わっていないものと考えております。
 小中学校に受け入れる場合には,御指摘のような心配がございますので,受け入れの基準や人的,物的な条件整備について国の方策が示されることが必要であると,このように考えております。
 今後,今年度末の最終報告を受けた国の具体的な検討結果を踏まえまして,適切に対処してまいりたいと存じます。
 また,ボランティアの受け入れにつきましては,学校の教育活動に沿って支援していただけることはありがたいことと考えております。



<平成12年9月定例会>(2000年9月20日)

(佐藤)  次に,福祉機器関連産業の振興について,商工労働部長にお伺いいたします。
 我が国の高齢化は,他国に類を見ない速さで進んでおり,厚生省人口問題研究所の推計によりますと,2015年には65歳の以上の方が全人口の25%を超え,4人に1人が高齢者になると言われています。このような高齢社会においては,高齢者や障害者の方が自立的に能力を発揮できるバリアフリーの実現や,生活のあらゆる面でこれらの人々をサポートする機器の開発が重要であると思います。
 例えば,福祉先進国のデンマークでは,惜しげもなくかなり高価な福祉機器が給付されているのを見て大変驚きましたが,そうする結果として,少しでも自立していただくことができれば,御本人にも御家族にも,何よりも医療にかかる費用面でもいいことなんだという考えが背景にありました。加えて,私は,一つの産業としてこのような福祉機器関連産業の成長が望まれると思います。平成9年に策定された岡山県産業活性化ビジョンにおいても,福祉機器関連を含めた医療福祉関連産業が今後成長が期待される分野とされ,本県の産業振興の重点分野に位置づけられています。県内には,岡山大学や川崎医大など,医療福祉関係の大学を初め,人工関節や車いす,入浴装置,介護用ベッド等の福祉機器関連の多様な企業集積があります。このような集積を生かし,これらの大学や企業との連携,技術移転等を促進する事によって,本県の福祉機器関連産業は今後大きく成長するのではないかと考えますが,これらに関する県の取り組みの状況についてお伺いします。
 また,これに関連して,来年岡山県で開催される予定の第16回リハ工学カンファレンスについて要望させていただきます。先日,徳島市において日本リハビリテーション工学協会主催による第15回リハ工学カンファレンスが開催されました。学会関係者を初め,医療福祉関係者や機器メーカーの社員,障害者など,全国からおよそ800人の方が参加され,研究成果の発表や機器の展示,商談会などが繰り広げられ,大盛況でした。実は,このカンファレンスが,来年岡山県で開催されることが決まりました。この会は,福祉機器に関する貴重な研究交流の場であるとともに,ビジネスチャンスを広げる絶好の機会です。本県の福祉機器産業の振興にも大いに役立つものと期待は高まりますが,関係企業や関係者への呼びかけなど,会の成功に向けて御支援いただくようお願い申し上げます。

(商工労働部長)  次に,福祉機器関連産業の振興についてでありますが,工業技術センターにおきましては,歩行障害者用リハビリ機器等の試作開発とかあるいは実用化を促進する観点から,地域企業と共同で介護用ベッドなどの開発を行っているとこであります。また,岡山県新技術振興財団におきましても,産・学・官連携によります岡山県福祉機器研究会を設置いたしまして,県内の福祉機器関連企業や大学の研究者との交流あるいは情報交換,そういったものの支援を行ってるとこであります。
 今後とも,国の補助事業等を活用しながら,大学等の研究機関や多様な企業の集積など,本県の持ちますすぐれた産業資源を生かしまして,福祉機器関連産業の振興を図ってまいりたいと考えております。



<平成12年6月定例会>(2000年6月20日)

(佐藤)  次に,私の友人がいわゆる小規模作業所を経営していますが,昨今の不況は,障害者の方の作品の大幅な売り上げ減となり,開所以来の苦しい状況だそうです。障害者の方の作品をどこかでまとまって購入してくださるところはないだろうかとのことですが,必ずしも市価よりも安いとも言えず,また正直に言えば,一般消費者受けしないのではないかという作品もあり,なかなか福祉を前面に出しても難しいなあというのが実感です。いわゆるバザーやフリーマーケットで作業所の方と作品を何度も展示販売したことがありますが,そうそう売れるものではありません。全国的に,このような経済情勢の中で,多くの授産施設や小規模作業所が受注量や製品価格の下落等により,その運営が極めて不安定になっているようです。小規模作業所もまさに生き残りをかけて戦っているところであります。
 こんな状況の中で,昨年8月に,二十数年ぶりという異例の授産施設等の製品等の利用促進についての通知を,厚生省が各県知事,市長あてに出しました。授産施設等が安定的に運営されることによって,利用者である障害者が授産活動を安心して続けることができるよう,特段の配慮と管下市町村,関係団体,社会福祉法人等への周知を求めたものです。内容的には,授産施設等の製品について,庁用物品としての調達,各種行事や大会等の記念品としての活用,各種の役務提供の活用が上がっています。まさに授産施設や小規模作業所の叫びを厚生省が受けての通知だと思います。
 そこでお尋ねします。
 まず,小規模作業所や授産施設に対してどのような認識をお持ちでしょうか,知事にお尋ねします。
 また,岡山県庁では授産施設等の製品はどの程度使用され,今後どの程度使われていく計画なのでしょうか。例えば,ほかの業者さんの圧迫にならない範囲で,築庭300年,17年国体などの記念品等として利用されるような御計画はないのでしょうか,出納長に伺います。
 さらに,何といっても作品の売り場の確保が急務ですが,例えば,本庁1階ロビーや公共施設で常設展示コーナーが設置できないものでしょうか,保健福祉部長に伺います。
 加えて,たとえ障害をお持ちの方の作品といえども,買っていただくからには消費者ニーズにこたえる必要はあると思います。そういった面で,授産施設や小規模作業所が本当に自立するための技術支援,商品開発支援が何より必要だと思います。県として,バックアップする方策はないでしょうか。
 特に,国の新規予算の授産活動活性化特別対策事業は授産活動の活性化を図ることを目的として,事業者を指定して,共同受注,販売事業や製品開発等を実施するものであり,これを活用できないか,あわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 関連して,この6月に社会福祉事業法等の一部が改正され,社会福祉事業の充実,活性化として社会福祉法人の設立要件が大幅に緩和されました。現在,小規模作業所は,個人あるいは特定非営利活動法人,いわゆるNPOなどで運営されていますが,社会福祉法人を設立して小規模作業所を小規模通所授産施設として運営した場合にはどのような違いが出てくるのでしょうか,保健福祉部長にお尋ねいたします。

(知事)  小規模作業所やあるいは授産施設への認識についてでございますが,これらの施設は,一般の事業所等への就業が困難な障害者の方々を対象といたしました福祉的就労の場でございます。就労とか,あるいは障害者同士,また地域住民との交流等を通じまして,障害者の自立,そして社会参加を促進しようとするものでございまして,大変有意義な施設でございます。佐藤議員の友人の方にも,私から,心から,敬意また感謝の意をあらわしておりますことをお伝えいただければと,このように考えております。
 小規模作業所でございますが,県も一定の支援をしているわけでございますが,お話にございましたように,人的,そして財政的な基盤が安定をしていない問題もございます。今後,社会福祉法人が設置運営をします小規模授産施設あるいは分場方式の活用など,運営の安定化の方策につきまして検討してまいりたいと存じます。

(出納長)  県庁での使用状況についてでありますが,授産施設等からの昨年度の実績は,看板や記念品用の丸盆のほか,米消費拡大のキャンペーンで配付する米菓子や街路整備で植栽する葉ボタンの購入等でありますが,今後とも,各種行事における記念品等としての利用促進を図ってまいりたいと存じます。
 次に,庁用物品につきましては,安定的な供給が必要なことから業者登録を行っているところでありますので,登録に向けての指導を含め関係部と連携を図りながら取り組んでまいりたいと存じます。
 なお,お尋ねのおかやま後楽園300年祭では,岡山駅から後楽園までのガーデニング回廊の草花を購入しているところであり,平成17年の岡山国体の記念品等につきましては,今後開催準備を進める中で研究してまいりたいと存じます。



<平成12年2月定例会>(2000年3月8日)

(佐藤)  岡山情報ハイウェイにも絡んで,それを発展的に使いこなしていく人づくりのための教育の側面から質問させていただきます。
 まず,教育長にお伺いいたします。平成10年12月に告示された小中学校の新学習指導要領並びに平成11年3月に告示された高等学校と盲学校,聾学校及び養護学校の新学習指導要領は,平成14年度から実施される完全学校週5日制を念頭に置き,ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを基本としていますが,授業時間の縮減,教育内容の厳選が図られている中,情報教育については例外的にその充実が図られています。この中で,情報教育及び情報化の推進は,21世紀に向けて生きる力を育成する重要な柱となっています。そこで,順次お尋ねします。
 まず県立学校では,平成10年度岡山情報ハイウェイに接続され,既に授業や特別活動等での活用が始まっているようですが,特に,小学校につきましては,コンピューターの設置,またインターネットへの接続がややおくれているように伺っています。昨年,文部省は,郵政省や通産省などと連携して,情報化による教育立国を目指し,公立の小中高校に校内情報通信網(LAN)の整備をするとともに,公立学校教員90万人全員がコンピューターを操作できるようにする計画をまとめましたが,県内の小中高校でのコンピューターの設置状況,インターネットへの接続状況,また,コンピューターを操作指導できる教員の割合の現状と対策についてお知らせください。
 また,小中学校では,各教科や総合的な学習の時間などの中で,コンピューター等の活用を図ることなど情報教育を推進していくとのことでありますが,いわゆる教科書のない総合的な学習の時間の中で,どのように児童生徒に情報教育を進めていくのでしょうか。加えて,総合的な学習の時間について,各学校の裁量にゆだねられたり,地域社会との交流が進んだりと,学校のあり方が変わってくると思われますが,今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また特に高校においては,平成15年度から実施される高校の新学習指導要領で,新たにコンピューターなどを学ぶ教科「情報」が必修となり,さらに専門教科「福祉」が新設されます。文部省の計画は,向こう3年間で全国に情報の先生を9,000人,福祉の先生を1,200人を養成するという大計画であり,高校にほぼ2人の割合で,コンピューターを専門で教える情報の先生が必要になりますが,本県ではどのように養成していくのでしょうか,お教えください。
 加えて,文部省の方針は,電子メールによるカウンセリングなど,コンピューターを生徒指導に活用する考えのようですが,これが,不登校や校内暴力,いじめ,学級崩壊の解決策足り得るのか,また,学校における情報化の推進は,家庭,地域との連携や学校運営のあり方に変化をもたらすものなのか,教育長の見解をお教えください。
 次に,職業教育としての情報教育について,いわゆる専修学校,各種学校についてお伺いいたします。
 専修学校,各種学校は,職業や実際生活に必要な能力の育成,教養の向上を図るための教育機関として,工業,医療看護,衛生,商業実務,家政芸術,文化教養,教育,社会福祉等,多様な分野にわたる組織的な教育が行われており,教育内容が多様かつ実際的であり,また,実践的な専門技術,技能の習得を重視した指導方法がとられており,社会・経済情勢の急激な変化に伴い多様化複雑化する教育上の要請に即応できる教育を行っています。昨春からは,大学への編入学が認められる等,社会的な評価が高まってきており,生涯学習の推進の担い手にもなっています。就職難,戦後最悪の失業率の中で,まさに社会人としての即戦力を養成する教育機関であると思います。伝統的な雇用形態,終身雇用制度が崩れつつある中,新卒者を企業が何年もかけて育成する余裕もなく,スペシャリストを即採用したい,そういうニーズに最もこたえているのが専修学校,各種学校と言えると思います。在校生の中には,大学を卒業後,また,一度社会人を経験して技能・資格習得のため入学されている方も非常に多く,企業が社員教育の一環として提携しているようなケースもあるようです。また,特筆すべきは,県下79校の専修学校,各種学校の学生約1万人の多くが県内在住者で,岡山県内に就職する人が多いということであり,こういった専修学校,各種学校の力が岡山県の底力にもなるということです。特に岡山情報ハイウェイを有効に利用するような情報教育は,一歩も二歩も先に進んでいます。そこでまず,知事に,こういった専修学校,各種学校への認識,評価をお伺いいたします。
 次に,情報産業の市場は,慢性的に人手不足であり,その要請にこたえるべく,商業実務関係の専修学校が頑張っても,日進月歩でコンピューターは進歩しており,パソコンは設備投資というよりも消耗品という様相を呈している中,情報の最先端を行こうとすればするほどみずからの首を絞めてしまうという状況があります。また,介護保険の導入とも相まって,ますます多くの学生が医療看護関係の専修学校に進んでいきますが,こういった学校のパソコンを含めた設備投資もしかり,また,今は理美容もCGを使う時代です。その社会的な要請に比べて,中国5県の中でもまだまだ岡山県の専修学校,各種学校への助成は少なく,パソコンに関してはもちろん,一般的にもさらなる支援が必要だと考えます。特に,一般運営費については,国からの直接の助成制度がないため,県の支援が殊さら重要であると考えますがいかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。
 さらに,平成10年から,雇用保険の教育訓練給付制度がスタートしています。働く人の主体的な取り組みを支援し,雇用の安定と再就職の促進を図るというこの制度は,条件を満たせば労働大臣指定の教育訓練に対して上限20万円,受講料の80%が給付されるわけですが,まだ県民の皆さんに十分に認識されていないように思います。特に,情報技術革命による起業に際して,技術者や専門家を中途採用するケースもふえており,情報教育としても極めて有用な制度であると考えます。そこで,岡山県下の実績,今後の取り組みについて,商工労働部長にお尋ねいたします。
 加えて,いわゆる人材派遣を含めて,特に女性の就職,再就職のためには,最低限パソコンの操作はできるというのが常識になりつつあります。特に,女性に対して,情報教育を初めどのような教育支援がなされているのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 次に,知事は,本年4月から施行の福祉のまちづくり条例に絡んで,「心」「物」に加えて「情報」のバリアフリーを言われておりますが,岡山情報ハイウェイとどう連関していくのでしょうか。就労という意味でも,障害を持たれている方が情報教育を受けられることは極めて重要だと考えますが,障害をお持ちの方に,どういった形でパソコンを普及し,またどんな情報を供給できるのでしょうか。具体的に保健福祉部長にお伺いいたします。
 最後に,だれでも自由にネットに参加できる岡山情報ハイウェイはすばらしいと思いますが,むしろそのメリットが最大限に生かせるのは,都市部というよりもいわゆる過疎地域であると思います。また,在宅という面では,高齢者の方にも有用です。ところで,幾らパソコンが各戸に普及しつつあるといっても,あんなものはきょうあしたに使えるようになるものではありません。だからこそ教育が必要なわけですが,過疎地の方,高齢者の方に,一体どうやって利用していただくのでしょうか。つないだのはよいけれど,しょっちゅうフリーズして,そうでなくてもわけのわからない代物に慌ててしまう事態が容易に想像できますが,情報ハイウェイのネットを広げれば広げるだけ,地域のコンピューターのトラブルのお助け人が必要であると思います。少なくとも,各市町村あるいは各地方振興局ごとに対応が必要であると考えますが,そういった対策は今後講じられていくのでしょうか,知事にお伺いいたします。

(知事)  情報教育についての種々のお尋ねがございましたが,まず私に対しましては,専修学校,各種学校についてのお尋ねをいただいたわけでございます。本県におきましても,職業教育とかあるいは専門技術教育,こういった分野におきまして大変重要な役割を果たしていただいているわけでございまして,商工業とか,医療とか,あるいは衛生など,幅広い分野において卒業生を送り出して,本県の経済あるいは社会の発展に大きく貢献をしてきていただいたと認識をいたしております。特に,今日では,社会あるいは経済の急激な変化というものがございまして,これに機敏にかつ弾力的に対応する,そういう教育が必要であります。いわゆる実際的な教育というものが必要でございまして,こういった点から考えますと,今後さらにその重要性というものが高まっていくのではないかと,このように期待をしているところでございます。
 次に,高齢者等への情報教育についてのお尋ねでございましたが,パソコンについて,最近における動きを見ておりますと,メーカーとかあるいは販売店が,接続サービスとかパソコンの教室などを行うようになってきていると,このように承知をいたしております。また,各地におきましても,生涯教育の施設であるとかあるいは高等学校の開放講座で実施しておりますけれども,こういった分野に多くの高齢者の方々が参加をされているわけでございまして,NPOとまではいかないですけれども,町内会活動の中にありまして,パソコン教室あるいはインターネット塾などを開催している地域も見受けられるようになってきております。地域コミュニティーの中にありまして,そういった高齢者の情報教育に対しますその支援の輪というものが徐々に広がってきているものと思っております。御提案の趣旨も踏まえまして,地域においてこれからどのような対応が可能なのか,御存じのとおり振興局単位に地域情報化推進委員会というものを設けておりますので,その中にありまして検討をしてまいりたいと存じます。

(総務部長)  専修学校,各種学校に対する県の支援についてでございますが,設備整備等に対する助成を実施しているところでございまして,平成12年度予算におきましては,情報教育などを一層推進するため,前年度に比べて増額することとしているところでございます。
 専修学校,各種学校の運営費に対する助成でございますけれども,その規模や教育内容が多様でございまして,一律の助成になじみにくい事情があることでございますとか,現下の大変厳しい財政状況から行っていないところでございまして,今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。

(生活環境部長)  情報教育についてのお尋ねの中の,女性に対する教育支援についてでありますが,県では,主に再就職を希望する女性を対象に,技術講習会や女性就職準備講座などを開催いたしておりまして,特に,お尋ねの情報教育につきましては,ウィズセンターを中心に,パソコン,ワープロの技術講習を,平成11年度においては14講座開催いたしまして,358人の参加を得たところでございます。

(保健福祉部長)  情報のバリアフリーについてでございますが,県内どこからでも,低料金でインターネットの利用ができます岡山情報ハイウェイは,情報のバリアフリーを推進する上での一つの重要な基盤になるものと考えてございます。
 次に,障害者のパソコン利用についてでございますが,岡山障害者職業センターでのOA講習あるいは市町村障害者社会参加促進事業などでのパソコン訓練が実施されているところでございまして,こうした活動が各種の機関であるとかあるいは市町村におきまして積極的に取り組まれるよう努めてまいりたいと存じます。
 また,供給する情報についてでございますが,県におきましては,ホームページでの福祉サービスに関する情報提供に加えまして,今後,バリアフリーガイドの掲載を行うなど,障害者の方に向けての情報の充実に努めてまいりたいと存じます。

(商工労働部長)  情報教育についての中の教育訓練制度についてでございますけれども,平成10年12月制度創設以来の本県におきます受講修了者は,1月末現在で,男性941人,女性615人の1,556人でありまして,男性では技術系,女性では事務処理系が多くなっております。この制度は,働く人が自主的に多様な能力開発に取り組むことに対しまして支援しようとする雇用保険の給付制度でございまして,これまで,国が作成をいたしました広報資料に加えまして県独自のパンフレットを作成いたしまして,雇用保険の適用事業所とか離職者に配布するほか,関係団体の機関誌への掲載など,きめ細やかな制度の周知に努めてきたところでございます。
 本制度は,新年度からは国の直接事務として新たに設置されます労働局で取り扱うことになりますが,県といたしましても,労働局との緊密な連携のもと,今後とも,制度の積極的な周知に努めてまいりたく存じます。

(教育長)  まず,コンピューターの設置状況等についてでございますが,平成11年3月末現在,小中高等学校1校当たりのコンピューターの平均設置台数は,それぞれ,約12台,31台,79台でございます。インターネットへの接続状況は,それぞれ,約19%,52%,95%でございます。また,小中高等学校で,コンピューターを操作できる教員は,それぞれ,約57%,61%,76%でありました。指導できる教員は,それぞれ,約30%,23%,30%でございます。今後,来年度改編いたします県の情報教育センターや,市町村教育委員会が実施いたします研修におきまして,平成13年度末までにすべての教員が操作できて,半数の教員が指導できるようになるよう,計画的に教員研修を行うことにしております。
 次に,総合的な学習の時間における情報教育についてでございますが,今後ますます高度情報通信社会が進展していく中で,児童生徒がコンピューターを活用して,必要な情報を主体的に収集,選択,活用する能力を育成することが重要になってきております。来年度から実施することができる総合的な学習の時間では,例えば,環境をテーマとした学習の中で,インターネットを活用して各地の川や湖の汚れなどを調べてホームページで発表したり,国際理解をテーマとして外国の学校と電子メールの交換をするなど,コンピューターを活用したさまざまな取り組みが推進できると考えております。総合的な学習の時間の取り組みを通して,児童生徒の主体的体験的な学習活動や,地域の人材や施設を活用した特色ある学校づくりなどを一層促進することが大切でありまして,今後とも,総合的な学習の時間の趣旨の徹底に努めますとともに,積極的に取り組むよう指導してまいりたいと存じます。
 次に,先生の養成についてでございますが,本県では,平成15年度から高等学校において教科「情報」の免許状を所有する教員が約190名必要であると見込んでおります。このため,県教育委員会では,平成12年度から3年間で,情報教育センターにおいて,現職教員を対象に講習会を実施いたしまして,「情報」の免許を計画的に取得させることにしております。
 最後に,学校における情報化の推進についてでございますが,いじめや不登校等の問題に関しましては,これまでスクールカウンセラーの配置など教育相談体制の充実に取り組んできているところでございますが,こうした取り組みに加えまして,電子メールを活用した相談は時間や場所の制約を受けずに気軽に相談できるなど有効な方法の一つであると考えております。また,学校におけるホームページや電子メールの活用などの情報化の推進は,学校の情報を積極的に家庭や地域に発信いたしますとともに,いつでも地域の方々から意見がいただけるなど,家庭,地域社会との連携やこれからの学校運営に有効な手段であると考えております。



<平成11年9月定例会>(1999年9月28日)

(佐藤)  第2に,歩道の点字ブロックについて。
 現行で黄色い点字ブロックが多いのは,視覚に障害がある方の中には,黄色については識別できる方がおられるからだそうであります。ところが,このごろどういうわけか,わざわざほかのところと同じ色にしている点字ブロックを多く見かけます。これはどういうお考えによるものでしょうか,土木部長にお伺いいたします。

(土木部長)  点字ブロックについてでございますが,点字ブロックの色彩や設置方法等につきましては,視覚障害者誘導用ブロック設置指針に定められておりまして,この指針の中では,色彩は黄色が原則となっております。しかし,観光地や市街地中心部など特に景観に配慮する必要がある箇所については,町並みとの調和などを総合的に判断し,黄色以外の色で実施している箇所もございます。これらの箇所で弱視の方が特に識別しにくい箇所については,視覚障害者の方々の意見を聞きながら,必要な箇所については改善をしているところでございます。今後とも,視覚障害者の方々が安全で快適に通行できる道路づくりに努めていきたいと考えてございます。

Copyright (c) 2014 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp