2005年11月16日(水)
【兵庫県立但馬やまびこの郷】

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 朝一で、自民党5役のお一人でもある参議院自民党幹事長片山虎之助先生のモーニングサロン。1時間を超える長講でしたが、昨日までの各団体の御要望の答えが全て、お一人で出せるほどのあらゆる意味での実力者のお話は、飽きることがありません。三位一体改革から政策金融、公務員制度改革、社会保障改革・・地方議員には、まさに目から鱗。かっこええな〜。

 その後、個人の県外調査で、「兵庫県立但馬やまびこの郷」へ。全国唯一の県立の不登校対策の教育施設で、副所長さんから、じっくり2時間お話を伺うことができました。過日お邪魔した「吉備高原のびのび小学校・希望中学校」の校長先生から、私が議会で提言した、吉備高原に不登校対策のセンター機能を持たせるべきであるという話の参考になると御紹介を頂きました。
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     ↓ 詳しくは

 但馬やまびこの郷について。
 県外派遣であり、派遣報告書は、議長へ提出ということになりますので、資料をまとめて論文にしなくてはいけません。視察旅行と称して、市民オンブズマンの評価対象になるのはこれですが、私は、突出して議員派遣の回数が多く、しかし、評価は高い方です。質問や提言を重ねるためには、ネットサーフィンでは済みません。


 ところで同施設は、「生野の道の遠ければ・・・」と和田山に、ほど近く、兵庫県でも、自然環境には恵まれているものの交通の要衝とは言えない場所にあります。これは、ある私立大学の施設をバブル期に購入して、有効活用すべき要請と、10年前日本一の不登校児童生徒が多い兵庫県がその対策を講じる必要があったのが合致したことによります。

 しかし、温泉も出ており、紅葉も良く、実に自然があるのですが、今日は、なんとか山に初冠雪だそうで、寒いのなんの。


 事業の基本は、4泊5日の短期宿泊・体験活動をするというもので、年間35回プログラムが組まれます(繰り返し参加も可能です。ちなみに、近隣の県立南但馬自然学校での小学5年生の山の学校は、5泊6日だそうです。)
 実は、「自分探し」の似通った事業は、岡山県にもあり、成果も上がっていますが、年間を通じて、専門の教育施設で行うというのが特徴的です。
 やや近いところに、不登校生徒児童のための学校として、私立生野学園(中学・高校)があり、高校生の不登校については、2年制(高校卒業資格は得られないですが、通信教育を受けて)の県立神出学園が、神戸市西区にありますが、やまびこの郷は、小学生・中学生を対象にしており、 基本的には、県内の子ども達を対象にしています。


 また、センター的な役割として、15年度から、文部科学省の委託事業で、「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業」が展開されています。
 これは、適応指導教室等を中心にした不登校に関する中核的機能を充実し、学校・家庭・関係機関が緊密に連携した地域ぐるみのサポートネットワークの整備を研究するというものです。
 特徴的な事は、民間施設、NPO等とも連携し、特に、いわゆる一部のフリースクールについても、ネットワークに加わっていることです。同施設は、県内に10ある教育事務所の所管に沿い、「地域スクーリング・サポート・センター」を繋ぐ「広域・スクーリング・サポート・センター」という位置付けになっています。
 さらに、「地域やまびこ教室」として、県下各地で、不登校で悩む保護者と児童生徒へ直接支援を行っています。
 もちろん、不登校担当教員(全県に30人配置)や適応教室指導者への研修を行っていますし、保護者や教員に向け、それぞれ広報誌を発刊しています。

 ただ、こういったことよりも、調理員が地域のおばちゃんで、給食は、デザートに至るまで、一品一品、全て手作りであるといたような食に対する考え方を熱く語られることに感心しました。
 6時過ぎから、冷凍やレトルトは使わないという信念を持って、子供の弁当づくりに励む妻を思い出しました(ただし、親父は、それをつまみ食いしたりして、かなり適当にしていますが)。
 ある意味、公立施設の良い意味での余裕で、体育館で、指導員やボランティア相手に、バレーボールをしている中学生達の笑顔は、非常に明るく、炬燵で話していた保護者の方々も、ほっとされている感じでした。


 岡山県で言えば、内尾センターのようなもので、多分、バブルが来ても、二度と作ることができない、壮大な夢のような設備であり、おそらく、開所10年で、他県が追随しないというより、できないのだと思います。

 もっとも、吉備北陵高校跡地問題というのもあるのですが、教育センターも移転する吉備高原都市を思う時、「やまびこの郷」のような事業やセンター機能を持つことは可能なのではないか、やはりそう思いました。


 一方で、5日目のお別れ会では、指導員が必ず、5日間の中で、子ども達が頑張ったこと、素晴らしい事を伝えるということですが、やはり、認めてもらうこと、なによりも、自分が自分を肯定できることが、何よりも大切なのだと思います。
 家庭、学校、地域、友達・・・・自分が認められる場、自分を認められる場、それこそが、本当の「居場所」なのだと思います。

 加えて、「表現」の話になり、喜怒哀楽をうまく伝えることができないから、逆に、相手のメッセージがわからない、本当は、誰も責めていないのかも・・・・・。
 そんな時、やはり、親なのだと思います。親がきちんと子ども達に、「愛している、大切なんだ」と、伝えることができているのか、なにか、どこかで、本当の対象は、子供達だけではないようにも思うのです。

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