2002年8月29日(木)【介護保険見直し】

 本日は、生活環境保健福祉委員会。

 残念ながら、今年度、またまた岡山県財政は、破綻してしまいました。もともと159億円の収支不足があったのですが、さらに、当てにしていた県税や国からの普通交付税が40億円ばかり入りません。

 景気の先行き懸念、国の構造改革が地方に与える影響など、不確定要素があまりに多く、第二次行財政改革大綱に基づき、一般行政施策評価制度などの各種評価制度で、歳出を見直し、考え得るあらゆる歳入確保対策に努める・・・・ということでありますが。

 苫田ダム工事が、値上がりした上の泣き面にハチ、また荒れそうです。これが「北斗の拳」なら、「お前は既に死んでいる」でございます。
 あぁ・・・そんな時に、また、まずい話が・・・。



 さて、介護保険は、導入検討段階から「家族介護の美風」という観点から見直し問題が発生したものの、要介護認定→ケアプラン作成→サービス実施と利用料負担という形で、3年目を迎え、定着しつつあります。
 地域を歩くと、本当にしばしば、介護サービスを利用されている風景を目にします。


 本日、岡山県内(県内73保険者、71市町村、1一部事務組合、1広域連合)の介護保険の平成13年度の決算状況が発表されました。平成12年から14年度の3年間の事業運営期間であり、保険料については、国の特別施策として、12年4月〜9月は、徴収せず、10月から平成13年9月は、2分の1に軽減されていました。
 ですから、やや、前年度と対比するのは難しいものがあります。

 歳入総額922億9800万円で、保険料等は、第1号被保険者保険料及び特別対策による円滑導入基金保険料繰入金の合計で、143億7100万円で、他は、保険給付の負担割合が決められている国庫支出金(給付費負担金、調整交付金)、支払基金交付金、県支出金、一般会計繰入金(給付費繰入金)で構成され、市町村債(安定化基金借入金)は、18保険者が、3億5000万円を借り入れています。

 いずれにせよ、県全体で見れば、歳入歳出差引きの形式収支も、実質収支も、黒字になっているので、成功していると評価されているのですが、県内29保険者が、赤字であり、これらの保険者は、準備基金繰入・安定化基金借入で、しのいでいる状況です。


 市町村等の保険者はそういうことですが、問題は、実際にサービスにあたられる方々が、どういった状況にあるか、です。


 国では、3級ヘルパーの報酬を減額するべきか、通所介護と通所リハビリの機能区分、ケアマネジャーの報酬水準をどう考えるか、施設経営はスケールメリットが考えられることから、規模別に報酬を設定するべきか、全室個室の「新型特養ホーム」で利用者から徴収できる住居費の範囲と利用者負担を軽減する低所得者の範囲、介護保険適用の病院(介護療養型医療施設)のオムツ代の扱い、現行では宿直体制を基準にしているグループホームで夜間の勤務体制をどう考えるか等々の議論がなされています。


 そして、一番の問題は、こういったことにからんでの介護サービスの価格にあたる介護報酬の改定や、65歳以上の高齢者から集める1号被保険者の保険料再設定、また実際のニーズの促したホームヘルプサービスの「身体」と「生活支援」への整理ですが、来年4月に向けて、介護保険の見直し作業が進んでいるのは、ご案内の通りです。


 基本的には、介護報酬は、「施設サービスの報酬を引き下げて、訪問介護やケアマネジャーの分は引き上げる」という方向で議論が進んでいるようです。
 これは、特別養護老人ホームなどは収益率が高く、訪問介護などは赤字傾向にあることが理由です。ただ、データとして、一概にそう言い切ることができるのかわからないという声もあります。

 営業的に、ケアプランを作成する「居宅介護支援事業」分野、「訪問介護事業」分野が厳しいというお話は、私も、非常によく伺うところです。

 報酬単価の低い家事援助の割合が高い事業所ほど赤字額も大きくなるため、今後の改定作業では、身体介護、家事援助、複合の3類型で定めている訪問介護の報酬単価を見直し、複合型を廃止して2類型に整理する方向で、うち家事援助は、生活自立支援に位置づけて報酬単価を引き上げることを検討してるとのことです。


 保険ですから、介護報酬を引き上げれば、当然、費用が膨らみ1号被保険者の保険料が高くなります。制度の定着につれて介護サービスの提供量が増大するため、保険料の値上げは避けられない、そういう仕組みです。
 ただ、「負担と給付の選択」という観点からは、サービスの質の担保のために必要なコストをはじき、国民に示すことが必要である、という声があります。


 ともあれ、こういった見直し時期に声をあげないといけません。具体的な数字は、介護報酬も保険料額も、来年1月に決定するということですが、かような介護保険運用の難しさが、要するに、保険者同士の市町村合併を進める一要因になっているのは、間違いないと思います。

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