2001年5月31日(木) 【介護保険について】

 恒例となった(といっても、まだ2回目)特別委員会の日の同僚議員との勉強会、本日のテーマは、「介護保険」でした。やはり、委員会よりも、担当課長から直接レクを頂くのが、一番お互いにとって良いのではないか、と思いました。


 今更、介護保険の説明は書きませんが、気になることをいくつかお伝えします。たまたま、本日の朝日新聞岡山版の記事とダブりますが、朝日の記事のデータは、多少違います。

 まず、いわば介護サービスを受けられる岡山県の要介護(要支援)認定者数は、当初約4万9000人と予想され、基盤整備、保険料の算定もそれを基準にしていましたが、本年度3月現在54672人。
 また、当初予想より、要介護度が重い方に寄っているようです。

 このうち、理由は不明ですが、要支援の割合が、高梁地方振興局内や勝英局内では低く、倉敷局では、高くなっています。

 また、本来、在宅介護で家族の負担を減らす意図の介護保険ですが、居宅介護サービスと施設介護サービスの割合は、45:55程度を予想していたのが、1:2と、今後は、施設を増やすのではなく、居宅介護の利用促進が課題となっています。

 居宅介護サービスの中でも、訪問介護、短期入所系サービス、訪問介護サービスの利用が低調な反面、通所系サービスの利用は、計画以上で、居宅でも、外出を希望されるようです。

 また、「措置」の時代から「保険」になり、負担と給付が対になる中で、本来生活に必要のない部分(これは判断微妙)については自己負担ということで、いわゆるヘルパーさんの仕事が、限定されているのは事実のようです。
 ただ、医療的行為の可否について、ヘルパーと看護婦(士)の区別がはっきりしたという評価もあります。

 また、介護給付サービス費が、計画を大幅にオーバーしたような、柵原町、勝田町など6町は、県に設置された財政安定化基金貸付を受けています。
 これは、国、県、市町村が3分の1ずつ負担し、約13億円積んでいますが、12年度貸し付け総額は、6550万円。ただ、まだ8町が、対象のゾーンにあります。
 この基金貸付は、無利子ですが、結局15年度以降の各市町村の保険料に、はねかえることになります。

 支給限度額に対するサービス利用については、要支援が、59.4%と一番高く、意外にも要介護5では、40%を切っています。もちろん、あくまで限度枠いっぱい使われる必要もないわけですが、理由が明確ではありません。
 ただ、市町村の調査によると、限度枠そのものについての不満の声はないとされています。

 介護保険3施設入所状況については、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設の平成12年度利用率は、それぞれ99.3、92.1、81.4%です。後2者は、95、90%が予想されていましたが、良くなったら出て行かないといけない医療系は、やや使い勝手が悪いのかもしれません。

 その他特筆すべきは、事業者指定のうち、痴呆対応型共同生活施設いわゆるグループホームの急速な伸びです。

 さらに、岡山県介護保険審査会の審査請求ですが、当初、千も二千も、と思っていたのが、実際は累計で19件。要介護認定に不服があっての請求が、14件。うち、取り下げが11件。市町村が弁明書を出された段階で、引かれるようです。
 また、国保連合会での苦情・相談受付も、計33件です。

 介護保険苦情受付は、2月現在で、2734件。圧倒的に、保険料関係です。サービスを受けていないのに、なぜ保険料を取るのか。障害があるのに、健常者と同一の保険料の徴収はおかしい。年金から勝手に天引きするな。督促状届いても、ないものはない。等々。
 ケアプランやサービスへの不満は、多少遠慮があるようです。

 介護保険料については、市町村独自の減免措置があり、既に倉敷市では、実施中です。他に、岡山市などでも、実施予定です。
 もっとも、負担・給付の関係で、厚生労働省は、好ましいとはしていません。 また、15市町村が、独自で利用料の減免を行っています。

 さらに、多くの市町村で、介護予防・生活支援事業も行われています。とりわけ、13年度新規施策として、重い要介護認定を受けても、介護サービスを利用しない家族に、10万円の介護慰労金を支払う仕組みもできています。


 今後の岡山県の施策は、介護保険の円滑な運営のため、介護の質を高めることにあります。
 そのため、介護サービスの評価基準を策定、身体拘束ゼロ作戦の推進とともに、介護支援専門員(ケア・マネージャー)の資質向上が望まれます。
 個人的には、現在のケア・マネージャーのあり方は、様々な問題要素を孕んでいると考えます。

 在宅や痴呆について低く判定される介護規定の見直しを国は進めていますが、適切な高齢者介護を推し進める岡山県の独自施策も、強く望まれるところです。

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