過去の岡山県議会一般質問集 <高齢者福祉>篇 | ||
<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)
(佐藤) 先ほど来の顧客主義についての流れなんですが,昨年の有識者会議でもこの議場でもいろいろ申し上げたんですが,その答申を受けた結果として,知事みずからが教育再生の中で,学校教育と家庭教育の連携の中で,ますます重要な働きが期待される既存の社会教育団体の補助金を切られたこと,さらには財政危機宣言のときですら行わなかった岡山県老人クラブ連合会に対する補助金まで切られたことについては,いまだに批判の声が大変多くございます。端的にもう一度精査して見直すおつもりは毛頭ないのかお伺いいたします。 (知事) お答えいたします。 社会教育団体等の補助金についての御質問でありますが,事業再点検に係る県の対応方針に対し,県議会や関係団体からいただいたさまざまな御意見等を踏まえ,当初廃止としたものを地域の課題解決等のため,社会教育団体が行う活動への新たな支援を行う方針に変更し,現在関係団体と協議しているところであります。 また,お話の岡山県老人クラブ連合会への補助金を含め,昨年度に方針決定し,予算に反映しているものについては,県議会等に対しても御説明し,議決をいただいており,現時点では見直すことは考えておりません。 以上でございます。 <平成19年6月定例会>(2007年6月22日) (佐藤) 最後に,介護保険制度につきまして,株式会社コムスンの虚偽申請から始まる一連の事件について,知事は市町村に代替サービスの見通しの報告を求め,実地指導や機動的重点的な監査の強化を言われました。もちろん安定継続して提供されるべき公共サービスの担い手を民間にゆだねる場合には,少なくとも強い公的責任のもとに置くべきであり,万一の事態に備えて,介護保険の実施主体である自治体がいつでも肩がわりできるバックアップ体制などを通常から準備しておくべきだとは思います。しかし,私は,まず性悪説に立って,介護サービス業全体の監査体制や許認可の見直しが検討される前に,むしろ低過ぎる介護報酬などによる経営難で苦しんでおられる善良な零細の介護保険事業者や,景気回復と逆行して人材難が叫ばれる中でも福祉の心を持ってよりよい介護を提供するために頑張っておられる現場の方々に支援を強めなくてはいけない,そのように思っております。 私は,介護保険事業における公的責任を強化し,悪質な事業者が入り込まず良質なサービスが安定して継続的に提供できるようにするためにも,保険料の改善や介護報酬の引き上げも含めて,一連の事件の背景にある介護保険制度自体の不備をただすことが必要だと考えておりますけれども,零細の介護保険事業者の実態を踏まえた上での保健福祉部長の御所見をお聞かせください。 (保健福祉部長) 介護保険制度についてでありますけれども,県では,今年度から各種情報により運営基準違反や不正請求が疑われる場合には,速やかに監査を実施するなど,サービス事業者の不正防止を強化するとともに,指導につきましては,事業者の育成支援を念頭にサービスの質の確保向上を目的として実施しております。 また,保険料は,提供される介護サービスの費用見込み額などに基づきまして市町村が決定し,介護報酬につきましては,介護事業経営の実態,保険財政の状況等を踏まえ,国において設定されております。県といたしましては,事業者が関係法令を遵守し,利用者に適切なサービスが提供できるよう指導を行い,介護保険制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えております。 <平成18年6月定例会>(2006年6月21日) (佐藤) このたびの介護保険制度改正は,現場においてさまざまな混乱を招いていますが,その中でも,介護保険の枠組みの中で対応できない事例というのが出てきていますが,特に問題になっているのは,限りなく要支援に近いが自立とされた方々への対応であります。県民局では,こういう方々に対して,老人クラブの集まりに行けばよいという指導をされているようでありますが,これはいわば高齢者の方の引きこもりと言える現状を十分に認識されているとは言えないと思います。もともと出歩かない方,地域活動に参加されていない方はもちろん,逆にむしろ積極的に地域に出ておられた方こそ,心身の衰えとともにかえって外出ができなくなる傾向があるわけですが,そういう方々の意欲を高め,いかに出ていける場所,つまりは高齢者の方の居場所づくりをするかは大きな課題であります。民生委員の方々も本当に熱心に活動されておられますけれども,高齢者の方々がみずからが居住される地域に出ることを望んでいないような場合もあり,いわゆるコミュニティーづくりでは解決できない問題とも言えます。私は,家庭介護,施設介護に加えて,その間の地域介護,社会介護という発想も必要なように思いますが,現状の御認識と今後の方針についてお知らせください。 加えて,介護保険は直接は保険者である市町村の運用でありますが,県が事業者の監査をするという意味では,しばしば県の解釈が現場に大きな影響を与えます。特に問題にもなりましたが,いわゆる花見や移送中の立ち寄り,あるいは散歩といったものは,地域や社会において意欲を高めるという意味においても,デイサービスは本来QOLを高めるためのものであるという考え方からしても,当然に介護保険の枠内にあるべきものだと考えますが,こうした家庭と施設の間のケアについて,保健福祉部長の御認識をお聞かせください。 (知事) 介護保険の改正に関し,地域介護,社会介護が必要ではないかとの御質問でございますが,今回の介護保険の改正によりまして,新たに介護予防事業が創設されたことから,市町村が実施主体となって,すべての1号被保険者を対象に,生活機能の状態の把握等を行いさらにその中で,閉じこもり,認知症,うつ等のおそれのある高齢者を対象にいたしまして保健師等が訪問し,必要な相談指導を実施することとしております。こうした取り組みを通じまして,高齢者を地域で支える仕組みづくりが推進されますように,市町村を支援してまいりたいと存じます。 (保健福祉部長) 介護保険のデイサービスについてでございますが,デイサービスは事業所で行うことを原則としておりますほか,事業所外でサービスを提供する場合には,効果的な機能訓練等が実施されていること,ケアプランに合理的な目的が位置づけられていること,事業所外と事業内の各利用者数の合計は利用定員の範囲内となっていること,介護の従事者は事業所外と事業内の各利用人数ごとに応じて基準上必要とされる人員がそれぞれ配置されていること,提供した具体的なサービスの内容等を記録することなどの要件を満たした場合に,介護保険の適用となるものでございますが,これらの要件に合致するかどうかは,お話のお散歩なども含め,個別案件ごとに判断することとなるものでございますので,御理解賜りたいと思います。 <平成12年2月定例会>(2000年3月8日) (佐藤) 岡山情報ハイウェイにも絡んで,それを発展的に使いこなしていく人づくりのための教育の側面から質問させていただきます。 まず,教育長にお伺いいたします。平成10年12月に告示された小中学校の新学習指導要領並びに平成11年3月に告示された高等学校と盲学校,聾学校及び養護学校の新学習指導要領は,平成14年度から実施される完全学校週5日制を念頭に置き,ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを基本としていますが,授業時間の縮減,教育内容の厳選が図られている中,情報教育については例外的にその充実が図られています。この中で,情報教育及び情報化の推進は,21世紀に向けて生きる力を育成する重要な柱となっています。そこで,順次お尋ねします。 まず県立学校では,平成10年度岡山情報ハイウェイに接続され,既に授業や特別活動等での活用が始まっているようですが,特に,小学校につきましては,コンピューターの設置,またインターネットへの接続がややおくれているように伺っています。昨年,文部省は,郵政省や通産省などと連携して,情報化による教育立国を目指し,公立の小中高校に校内情報通信網(LAN)の整備をするとともに,公立学校教員90万人全員がコンピューターを操作できるようにする計画をまとめましたが,県内の小中高校でのコンピューターの設置状況,インターネットへの接続状況,また,コンピューターを操作指導できる教員の割合の現状と対策についてお知らせください。 また,小中学校では,各教科や総合的な学習の時間などの中で,コンピューター等の活用を図ることなど情報教育を推進していくとのことでありますが,いわゆる教科書のない総合的な学習の時間の中で,どのように児童生徒に情報教育を進めていくのでしょうか。加えて,総合的な学習の時間について,各学校の裁量にゆだねられたり,地域社会との交流が進んだりと,学校のあり方が変わってくると思われますが,今後の取り組みについてお伺いいたします。 また特に高校においては,平成15年度から実施される高校の新学習指導要領で,新たにコンピューターなどを学ぶ教科「情報」が必修となり,さらに専門教科「福祉」が新設されます。文部省の計画は,向こう3年間で全国に情報の先生を9,000人,福祉の先生を1,200人を養成するという大計画であり,高校にほぼ2人の割合で,コンピューターを専門で教える情報の先生が必要になりますが,本県ではどのように養成していくのでしょうか,お教えください。 加えて,文部省の方針は,電子メールによるカウンセリングなど,コンピューターを生徒指導に活用する考えのようですが,これが,不登校や校内暴力,いじめ,学級崩壊の解決策足り得るのか,また,学校における情報化の推進は,家庭,地域との連携や学校運営のあり方に変化をもたらすものなのか,教育長の見解をお教えください。 次に,職業教育としての情報教育について,いわゆる専修学校,各種学校についてお伺いいたします。 専修学校,各種学校は,職業や実際生活に必要な能力の育成,教養の向上を図るための教育機関として,工業,医療看護,衛生,商業実務,家政芸術,文化教養,教育,社会福祉等,多様な分野にわたる組織的な教育が行われており,教育内容が多様かつ実際的であり,また,実践的な専門技術,技能の習得を重視した指導方法がとられており,社会・経済情勢の急激な変化に伴い多様化複雑化する教育上の要請に即応できる教育を行っています。昨春からは,大学への編入学が認められる等,社会的な評価が高まってきており,生涯学習の推進の担い手にもなっています。就職難,戦後最悪の失業率の中で,まさに社会人としての即戦力を養成する教育機関であると思います。伝統的な雇用形態,終身雇用制度が崩れつつある中,新卒者を企業が何年もかけて育成する余裕もなく,スペシャリストを即採用したい,そういうニーズに最もこたえているのが専修学校,各種学校と言えると思います。在校生の中には,大学を卒業後,また,一度社会人を経験して技能・資格習得のため入学されている方も非常に多く,企業が社員教育の一環として提携しているようなケースもあるようです。また,特筆すべきは,県下79校の専修学校,各種学校の学生約1万人の多くが県内在住者で,岡山県内に就職する人が多いということであり,こういった専修学校,各種学校の力が岡山県の底力にもなるということです。特に岡山情報ハイウェイを有効に利用するような情報教育は,一歩も二歩も先に進んでいます。そこでまず,知事に,こういった専修学校,各種学校への認識,評価をお伺いいたします。 次に,情報産業の市場は,慢性的に人手不足であり,その要請にこたえるべく,商業実務関係の専修学校が頑張っても,日進月歩でコンピューターは進歩しており,パソコンは設備投資というよりも消耗品という様相を呈している中,情報の最先端を行こうとすればするほどみずからの首を絞めてしまうという状況があります。また,介護保険の導入とも相まって,ますます多くの学生が医療看護関係の専修学校に進んでいきますが,こういった学校のパソコンを含めた設備投資もしかり,また,今は理美容もCGを使う時代です。その社会的な要請に比べて,中国5県の中でもまだまだ岡山県の専修学校,各種学校への助成は少なく,パソコンに関してはもちろん,一般的にもさらなる支援が必要だと考えます。特に,一般運営費については,国からの直接の助成制度がないため,県の支援が殊さら重要であると考えますがいかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。 さらに,平成10年から,雇用保険の教育訓練給付制度がスタートしています。働く人の主体的な取り組みを支援し,雇用の安定と再就職の促進を図るというこの制度は,条件を満たせば労働大臣指定の教育訓練に対して上限20万円,受講料の80%が給付されるわけですが,まだ県民の皆さんに十分に認識されていないように思います。特に,情報技術革命による起業に際して,技術者や専門家を中途採用するケースもふえており,情報教育としても極めて有用な制度であると考えます。そこで,岡山県下の実績,今後の取り組みについて,商工労働部長にお尋ねいたします。 加えて,いわゆる人材派遣を含めて,特に女性の就職,再就職のためには,最低限パソコンの操作はできるというのが常識になりつつあります。特に,女性に対して,情報教育を初めどのような教育支援がなされているのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。 次に,知事は,本年4月から施行の福祉のまちづくり条例に絡んで,「心」「物」に加えて「情報」のバリアフリーを言われておりますが,岡山情報ハイウェイとどう連関していくのでしょうか。就労という意味でも,障害を持たれている方が情報教育を受けられることは極めて重要だと考えますが,障害をお持ちの方に,どういった形でパソコンを普及し,またどんな情報を供給できるのでしょうか。具体的に保健福祉部長にお伺いいたします。 最後に,だれでも自由にネットに参加できる岡山情報ハイウェイはすばらしいと思いますが,むしろそのメリットが最大限に生かせるのは,都市部というよりもいわゆる過疎地域であると思います。また,在宅という面では,高齢者の方にも有用です。ところで,幾らパソコンが各戸に普及しつつあるといっても,あんなものはきょうあしたに使えるようになるものではありません。だからこそ教育が必要なわけですが,過疎地の方,高齢者の方に,一体どうやって利用していただくのでしょうか。つないだのはよいけれど,しょっちゅうフリーズして,そうでなくてもわけのわからない代物に慌ててしまう事態が容易に想像できますが,情報ハイウェイのネットを広げれば広げるだけ,地域のコンピューターのトラブルのお助け人が必要であると思います。少なくとも,各市町村あるいは各地方振興局ごとに対応が必要であると考えますが,そういった対策は今後講じられていくのでしょうか,知事にお伺いいたします。 (知事) 情報教育についての種々のお尋ねがございましたが,まず私に対しましては,専修学校,各種学校についてのお尋ねをいただいたわけでございます。本県におきましても,職業教育とかあるいは専門技術教育,こういった分野におきまして大変重要な役割を果たしていただいているわけでございまして,商工業とか,医療とか,あるいは衛生など,幅広い分野において卒業生を送り出して,本県の経済あるいは社会の発展に大きく貢献をしてきていただいたと認識をいたしております。特に,今日では,社会あるいは経済の急激な変化というものがございまして,これに機敏にかつ弾力的に対応する,そういう教育が必要であります。いわゆる実際的な教育というものが必要でございまして,こういった点から考えますと,今後さらにその重要性というものが高まっていくのではないかと,このように期待をしているところでございます。 次に,高齢者等への情報教育についてのお尋ねでございましたが,パソコンについて,最近における動きを見ておりますと,メーカーとかあるいは販売店が,接続サービスとかパソコンの教室などを行うようになってきていると,このように承知をいたしております。また,各地におきましても,生涯教育の施設であるとかあるいは高等学校の開放講座で実施しておりますけれども,こういった分野に多くの高齢者の方々が参加をされているわけでございまして,NPOとまではいかないですけれども,町内会活動の中にありまして,パソコン教室あるいはインターネット塾などを開催している地域も見受けられるようになってきております。地域コミュニティーの中にありまして,そういった高齢者の情報教育に対しますその支援の輪というものが徐々に広がってきているものと思っております。御提案の趣旨も踏まえまして,地域においてこれからどのような対応が可能なのか,御存じのとおり振興局単位に地域情報化推進委員会というものを設けておりますので,その中にありまして検討をしてまいりたいと存じます。 (総務部長) 専修学校,各種学校に対する県の支援についてでございますが,設備整備等に対する助成を実施しているところでございまして,平成12年度予算におきましては,情報教育などを一層推進するため,前年度に比べて増額することとしているところでございます。 専修学校,各種学校の運営費に対する助成でございますけれども,その規模や教育内容が多様でございまして,一律の助成になじみにくい事情があることでございますとか,現下の大変厳しい財政状況から行っていないところでございまして,今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。 (生活環境部長) 情報教育についてのお尋ねの中の,女性に対する教育支援についてでありますが,県では,主に再就職を希望する女性を対象に,技術講習会や女性就職準備講座などを開催いたしておりまして,特に,お尋ねの情報教育につきましては,ウィズセンターを中心に,パソコン,ワープロの技術講習を,平成11年度においては14講座開催いたしまして,358人の参加を得たところでございます。 (保健福祉部長) 情報のバリアフリーについてでございますが,県内どこからでも,低料金でインターネットの利用ができます岡山情報ハイウェイは,情報のバリアフリーを推進する上での一つの重要な基盤になるものと考えてございます。 次に,障害者のパソコン利用についてでございますが,岡山障害者職業センターでのOA講習あるいは市町村障害者社会参加促進事業などでのパソコン訓練が実施されているところでございまして,こうした活動が各種の機関であるとかあるいは市町村におきまして積極的に取り組まれるよう努めてまいりたいと存じます。 また,供給する情報についてでございますが,県におきましては,ホームページでの福祉サービスに関する情報提供に加えまして,今後,バリアフリーガイドの掲載を行うなど,障害者の方に向けての情報の充実に努めてまいりたいと存じます。 (商工労働部長) 情報教育についての中の教育訓練制度についてでございますけれども,平成10年12月制度創設以来の本県におきます受講修了者は,1月末現在で,男性941人,女性615人の1,556人でありまして,男性では技術系,女性では事務処理系が多くなっております。この制度は,働く人が自主的に多様な能力開発に取り組むことに対しまして支援しようとする雇用保険の給付制度でございまして,これまで,国が作成をいたしました広報資料に加えまして県独自のパンフレットを作成いたしまして,雇用保険の適用事業所とか離職者に配布するほか,関係団体の機関誌への掲載など,きめ細やかな制度の周知に努めてきたところでございます。 本制度は,新年度からは国の直接事務として新たに設置されます労働局で取り扱うことになりますが,県といたしましても,労働局との緊密な連携のもと,今後とも,制度の積極的な周知に努めてまいりたく存じます。 (教育長) まず,コンピューターの設置状況等についてでございますが,平成11年3月末現在,小中高等学校1校当たりのコンピューターの平均設置台数は,それぞれ,約12台,31台,79台でございます。インターネットへの接続状況は,それぞれ,約19%,52%,95%でございます。また,小中高等学校で,コンピューターを操作できる教員は,それぞれ,約57%,61%,76%でありました。指導できる教員は,それぞれ,約30%,23%,30%でございます。今後,来年度改編いたします県の情報教育センターや,市町村教育委員会が実施いたします研修におきまして,平成13年度末までにすべての教員が操作できて,半数の教員が指導できるようになるよう,計画的に教員研修を行うことにしております。 次に,総合的な学習の時間における情報教育についてでございますが,今後ますます高度情報通信社会が進展していく中で,児童生徒がコンピューターを活用して,必要な情報を主体的に収集,選択,活用する能力を育成することが重要になってきております。来年度から実施することができる総合的な学習の時間では,例えば,環境をテーマとした学習の中で,インターネットを活用して各地の川や湖の汚れなどを調べてホームページで発表したり,国際理解をテーマとして外国の学校と電子メールの交換をするなど,コンピューターを活用したさまざまな取り組みが推進できると考えております。総合的な学習の時間の取り組みを通して,児童生徒の主体的体験的な学習活動や,地域の人材や施設を活用した特色ある学校づくりなどを一層促進することが大切でありまして,今後とも,総合的な学習の時間の趣旨の徹底に努めますとともに,積極的に取り組むよう指導してまいりたいと存じます。 次に,先生の養成についてでございますが,本県では,平成15年度から高等学校において教科「情報」の免許状を所有する教員が約190名必要であると見込んでおります。このため,県教育委員会では,平成12年度から3年間で,情報教育センターにおいて,現職教員を対象に講習会を実施いたしまして,「情報」の免許を計画的に取得させることにしております。 最後に,学校における情報化の推進についてでございますが,いじめや不登校等の問題に関しましては,これまでスクールカウンセラーの配置など教育相談体制の充実に取り組んできているところでございますが,こうした取り組みに加えまして,電子メールを活用した相談は時間や場所の制約を受けずに気軽に相談できるなど有効な方法の一つであると考えております。また,学校におけるホームページや電子メールの活用などの情報化の推進は,学校の情報を積極的に家庭や地域に発信いたしますとともに,いつでも地域の方々から意見がいただけるなど,家庭,地域社会との連携やこれからの学校運営に有効な手段であると考えております。 <平成11年9月定例会>(1999年9月28日) (佐藤) 介護保険制度に関しましては,予測される運用上の問題点が幾つもあるわけですが,とりわけ問題になるのは,この制度が保険である以上,要するに事が起こってから,つまり要支援,要介護の状態になって初めて動き出す,いざというときのための制度であるということです。つまり,介護保険を利用するということは逆宝くじに当たるようなもので,願わくば,さようならの直前までお世話にならないで済むにこしたことはありません。 現在岡山県は,65歳以上のいわゆる老年人口比率は全国平均を約3ポイント上回り19.2%を数えるわけでありますが,10月から始まる要介護認定の申請で,実際に申請を上げてこられる方はこのうちの8分の1程度と予測されています。厚生省は,現在39歳の人たちが高齢者の仲間入りをする2025年には2倍近い方が介護サービスを受けるようになると見ていますが,少なくとも現在のお年寄りの8分の7の方は,幸いにして介護保険の恩恵,いわゆるサービスは受けずに済むというわけです。介護保険の財源が,利用者負担分を除いて,公費と40歳以上の人からの保険料で賄われるわけでありますから,要介護認定を受ける方の割合が少なければ少ないほど,介護を受ける側はもちろん,介護する側にも,社会全体にとってもよいことであると思います。したがいまして,重要なことは,介護保険が適用される前段階,日常的な予防を通じて少しでも要介護者をふやさないこと,不幸にして要介護状態になっても,リハビリを通じて要介護度を減らすことであると思います。また,少なくとも,要介護認定を受けない,介護保険のお世話にまでならない8分の7の方々の問題については,介護保険で事後的に解決するのではなく,やはり全般的な老人保健福祉計画をもって前段階でとめておくことこそが重要であると考えます。こういった介護保険に対する認識に対してどのようにお考えでしょうか,知事にお尋ねいたします。 次に,この要支援,要介護の前段階でとめる,あるいは要介護度を進めないための予防といった観点から,幾つか具体的にお願いと質問をさせていただきます。 まず第1に,要介護の認定申請は原則として本人や家族が行いますが,全国的に,例えば独居老人の孤独死のニュースは後を絶たず,本当に支援や介護の必要な方が十分に把握し切れないケースも想定されます。高齢者のいる世帯の17.5%がひとり暮らしであり,その割合は年々急速に増加しているわけでありますが,例えば地域において事前に要介護者や問題を抱えている方を発見し,お世話をいただく方やネットワークといったものが必要であると考えます。具体的にそういった仕組みとして何をお考えですか,さらにそういった仕組みへの支援策として何をお考えですか,保健福祉部長にお尋ねいたします。 第2に,少なくとも歯については十分な治療,予防ができるはずです。聞くところによると,肺炎で亡くなる老人の中には,口の中を不潔にした結果,ばい菌を飲み込んだことが原因ではないかと思われる方がいたり,結局入れ歯が不備であるという理由で窒息死するようなケースもあるようです。また,ある作業療法士によれば,入れ歯のあるなしで,つまり強くかみしめられるかどうかで被介護者の力の入り方が異なり,必要な介助の程度も違ってくるようです。また,言うまでもなく,基本的には我々は口から栄養を摂取するのですから,歯の問題は極めて重要なテーマだと考えます。 介護保険で在宅において受けられる12種類のサービスの中には,歯科医の往診ももちろん含まれているわけでありますが,実際のところ,歯の介護についてはどのような指導あるいは援助が行われているのでしょうか,また,口の動きと脳の働きの関連がわかっておりますが,特に痴呆性老人の歯はどのように診られているのでしょうか,現状と今後の指針についてお聞かせください。 また,施設における介護として,例えば県の施設また民間施設においては,どのように歯科医が配置され,どれだけ定期的に歯が診られているのでしょうか,また今後どのように指導されていきますか,保健福祉部長にお伺いいたします。 第3に,今までデイサービスを楽しみに利用されている方々の中で,介護保険下では「自立」となって施設に行く理由がなくなる方がおられますが,特に中山間部では出歩かないこととなり,かえってわざわざ要介護者をふやしてしまうおそれがあります。このことにどう対応,指導されますか,保健福祉部長にお伺いします。 第4に,施設において先駆的な介護サービスを考えても,介護保険の対象外なら給付はなく,また介護報酬も定額制となっておりますが,これで実際質の高い介護で要介護度を進めない,あるいは自立支援に向けたリハビリをしていくということが可能なのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。 次に,介護保険に絡んで12種類受けられる在宅サービスということになると,ホームヘルパーはもちろん,看護婦さん,医師,歯科医師,薬剤師,栄養士,リハビリ専門家を初め,かなり多くの方々が家庭を訪問してくださるわけですが,こういった方々は恐らく車で移動されると思います。ところで,駐車場はどうするのでしょうか。厚生省はおむつ交換1分という目安を示しているそうですが,例えば町中において二,三十分の訪問のためにわざわざ駐車場を探して回るのでしょうか。例えば,歯科医師の方には歯科医師会に駐車禁止免除証をまとめてお預けする,あるいは訪問介護の看護婦さんには,事前に警察に届けずとも,はなから駐車禁止除外証を渡しておくなど,思い切った駐車禁止免除策が必要なのではないでしょうか。このことは全国的に早晩問題になると思います。岡山県の先駆的な取り組みに期待したいところでありますが,具体的な方策をお考えでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。 さらに,要介護認定は介護認定審査会で行われますが,認定審査会委員の報酬に地域間格差があるとのことであります。保険料の格差が言われておりますが,保健・医療・福祉の学識経験者の方々に対して報酬格差が出る理由と今後の指針について保健福祉部長にお伺いいたします。 (知事) 介護保険について。介護保険に対する認識でございます。21世紀間近でございますけれども,長寿を喜ぶ社会とするということがもう第一であると,このように考えておりまして,高齢者の方々が元気で,そして生き生きと幸せに過ごしていただける,このようにすることが重要であると考えております。 県といたしましては,現在改訂作業を進めております高齢者保健福祉計画につきまして,関係者の皆様方等の御意見も踏まえながら,介護予防・生活支援サービスの充実とか,あるいは健康や生きがいづくりにつきまして重点を置いたものといたしたいと,このようにまず考えております。 次に,介護が必要となった場合の対応についてでございますけれども,市町村と連携をとりながら,この介護保険という制度を着実に実施をしていかなければならないわけでございます。いずれにいたしましても,今後とも高齢化が進展をしてまいりまして,4人に1人が高齢者になる社会の到来が予想されているわけでございますが,その中で,私といたしましては,地域の皆様方,あるいはボランティアの方々等も御参加をいただきながら,地域全体で高齢者の方を支えていくという,そういう地域社会づくりを目指していかなければならないものと思っております。 (保健福祉部長) 介護保険についてのお尋ねでございます。 まず,ひとり暮らし老人対策についてでございますが,現在,県下各地域におきまして,老人クラブ会員によるひとり暮らしの方への声かけや,愛育委員,栄養委員によります家庭訪問,あるいは地域交流会の開催などさまざまな活動が行われているところでございます。今後,県といたしましては,こうした活動の充実強化を図るため,市町村社会福祉協議会を核といたしまして,老人クラブやボランティア団体などの参加を得た地域で高齢者を支えるネットワークづくり,そうしたものが進みますよう指導,助言を行ってまいりたいと存じます。 次に,歯の介護の現状についてでございますが,現在,保健事業といたしましては,寝たきりや痴呆の方のそしゃく機能の回復や口腔衛生の徹底などを目的といたしまして,保健婦や歯科衛生士等による訪問指導が実施されているところでございます。 また,地域における日常の歯科診療の中では,痴呆性老人を含めまして要介護者を訪問いたしまして,口腔内の衛生管理や義歯の調整,あるいは家族に対する指導などが行われているところでございます。食物を十分そしゃくしまして,みずからさまざまな食品を摂取できる,そうしたことは生活の質の向上につながることから,痴呆性老人の方への対応も視野に入れました口腔ケアの進め方や注意点などをまとめました口腔保健マニュアルといったものを作成するなど,要介護者への歯科保健対策を積極的に進めてまいりたいと存じます。 次に,施設の歯科医の配置と検診の状況についてでございますが,特別養護老人ホームにつきましては,県下93施設のうち6施設におきまして歯科医師が嘱託医として配置されてございまして,週1回から月1回の頻度で入所者の歯の治療に当たっているところでございます。また,こうした歯科医を配置していない特別養護老人ホームや老人保健施設などにおきましては,協力歯科医療機関の歯科医師の往診あるいは通院により対応されているところでございます。今後とも,施設に対しまして,歯についても入所者の健康管理が適切になされるよう指導してまいりたいと存じます。 次に,自立老人対策についてでございますが,現在国におきまして,介護予防という観点から,ひとり暮らし老人等に対します生活支援,生きがい対策や保健予防対策など市町村の取り組みに対する支援策が検討されているところでございます。今後,市町村におきましては,新たに策定いたします老人保健福祉計画の中で,国の支援策を踏まえ,地域の実情に応じ,自立該当者を含めた高齢者施策の推進を図ることとなるわけでございますけれども,県といたしましては,市町村のこうした取り組みが円滑に行われるよう支援してまいりたいと存じます。 次に,施設介護の質についてのお尋ねでございます。施設の運営は,指定基準におきまして入浴,食事等の介護や機能訓練等を行うことによりまして,入所されている方がその持っていらっしゃる能力に応じ自立した生活を営むことができるようにすること,そうしたことを目指すこととされてございます。このため,こうした運営が確保されますよう,介護報酬の額は,国の審議会による検討を踏まえまして,介護・看護職員等の配置数や入所者の要介護度に応じて設定される予定となってございまして,施設におきましては入所者の能力に応じた適切な介護に取り組むことができると考えております。 次に,認定審査会委員の報酬格差についてでございますが,認定審査会委員の報酬は,各市町村がそれぞれの地域の実情に合わせまして,特別職の報酬に関する規定に基づき定めるものと考えておるところでございまして,この点につきまして御理解賜りたいと存じます。 (警察本部長) 訪問介護等に使用する車両の駐車についてでございます。御案内のとおり,無秩序な路上駐車は交通渋滞や交通事故の原因の一つでございますので,法定の駐車禁止場所に加え,公安委員会によります駐車禁止規制を実施しているところでございます。しかしながら,公益性や緊急性などから路上駐車することがやむを得ない場合には,一定の条件のもとに所轄警察署長の許可等によりこれを認めているところでございます。 訪問介護に使用する車両の駐車につきましては,一般的には緊急性がございませんので,付近に駐車場等がなく駐車禁止場所に駐車することがやむを得ない場合に限り,道路交通法の規定によりまして6カ月を限度として時間や場所を定め,所轄警察署長の許可で対応しているところでございます。 また,医師,歯科医師の緊急往診など,業務の性格上公共性,緊急性を有し,必要やむを得ないと認められる車両につきましては,申請に基づきまして公安委員会が駐車禁止規制から除外する旨の標章を交付しておりまして,これらにつきましては,今後ともこのように運用してまいりたいと考えております。 なお,これらの標章の取り扱いにつきましては,個々具体的に審査する必要がございまして,他の団体等へ一括して運用をゆだねることは困難でございますので,御理解を賜りたいと存じます。 | ||
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