2006年5月24日(水)【桃源郷のふれあいタクシー】

 私が岡山市内でも最も好きな場所・畑鮎地区に、「386号ふれあいタクシー」が運行されるということで、セレモニーに出席させて頂きました。金山寺からは、故三木行治知事のゆかりの地。市内中心部から僅か20分。自然も良い、人情も良い、猪鍋も美味い、まさに、岡山の桃源郷。しかし、道路は狭隘で、一昨年の台風では、土砂崩れも。なにより、公共交通機関がありませんでした。

 「386号ふれあいタクシー」は、畑鮎、高野尻地区の路線バスの代替として、4便の設定に、予約で必要な台数のタクシーが配車されるデマンド(要請)型で、法界院駅前と国立病院まで、通常運賃2500円前後を800円で結びます。

 私も、しばしば拡幅や補修をお願いしている県道386号沿線で、乗降。平成15年に、通学目的の乗り合いタクシーが児童数減少で廃止された後、高齢者の生活の足が、復活した形です。

 ここに至るまで、地域のたいへんなご努力がありましたが、市をはじめ、行政から一切補助もない中で、進められたタクシー会社の方々の思いには、本当に頭が下がります。
 素人目にも、採算だけ言えば厳しいものがあるように思います。

 ただしかし、岡山県内には、高梁市などに例があるものの、岡山市では初のこの取り組みが、多くの桃源郷のいわば交通難民を救う方策となることになるのは、間違いありません。自由競争の波の中で、いわば公共交通の誇りを守るという気概を感じます。
 また、ドアトゥードアのタクシーだからこそ、例えば、児童の安全安心の確保のために、工夫次第では、使えるのではないか、バスから発想の転換、可能性も秘めています。


 ある首長選挙で、候補が、山村部の集落ごとに、「ここにバスを通します!」と絶叫する度に、なにか興醒めした記憶がありますが、実現可能な方策として、タクシーの活用は、もっともっと注目されて良いように思います。

 ちなみに、路線の休廃止が、届け出だけで済むようになったという2002年以降の規制緩和以来、中山間地域を中心に、60の不採算バス路線が廃止されたとか。

 また、10月1日施行の新道路運送法では、公共交通機関がない過疎地の高齢者を対象に、例外ではなく、地域合意があれば登録して、市町村やNPO法人などが、自家用車で有償運送できるようになるということで、今後様々な形で展開されるパイロットケースとも言えます。

 ともあれ、200人中100人が会員登録された今回のデマンドタクシー。初夏を思わせる青空と絶好の景色の中、初乗車の方々の笑顔も最高でした。

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