2003年9月7日(日) 【ロシア特別編9
建都300年サンクト・ペテルブルグの夕焼け】

 私はロンドンやパリやイタリアの都市を訪ねたことがないので、実際のところよくわかりませんが、モスクワ市から飛行機で2時間弱。おそらくそれに匹敵するほど、これほど美しい都であるとは知りませんでした。その名は、サンクト・ペテルブルグ。

 今年が建都300年の年です。ロマノフ王朝時代、ピョートル大帝が都をこの地に移してから、約100年間、都として栄え、18〜19世紀のヨーロッパの風景が街の至るところに残っています。どこを切り取っても、絵葉書のような街の姿であるという点では、ストックホルムよりもさらに美しい都かもしれません。


 もちろん、この地が1917年の社会主義ソヴィエト政権誕生に繋がった革命の発祥の地であり、時にはレニングラードと名を変え、ナチス・ドイツ軍と900日間に及ぶ攻防戦(死者60万人)を繰り広げてきた、ロシアの歴史の中心地でありました。

 そして、ご案内のとおり、廊下の全長27km、300万点のコレクションを収める「エルミタージュ美術館」がある街です。ともかく、歴史的建造物で出来ているような街で、戦争の惨禍の中で、よくもこれだけの物が残っていた、歴史の僥倖であると思います。

 少なくとも、今日サンクト・ペテルブルグに入り、エルミタージュ美術館を訪ねたことは、観光の側面も強いのかもしれませんが、ただ、おそらく、「ソ連」の持つ独特のイメージを払拭するには、こういったロシアという国の歴史に圧倒されることが一番の処方箋であると思います。「世界観」が変わります。
 と同時に、日本という国がおよそ日本的なものを失うように失うように進んでいくことに危惧の念を持たざるを得ません。

 しかし、エルミタージュ美術館を巡り、荘厳な王朝の様式美やモネに代表される印象派、アンリ・ルソーの絵に感動を覚えながらも、実はそれは、フランス的なものであったり、イタリア的なものであったりして、優れてロシア的なものかどうかわかりません。ともかくヨーロッパを模したという感じがします。

 むしろ、中国や台湾が「故宮博物館」を言うなら、そのような独自の歴史文化は、世界に評価されながら日本こそ追求できるものの気がします。


 午後8時40分、白夜も終わりかけのフィンランド湾に夕日が沈む美しさは、多分生涯忘れられないと思います。もちろん、「例のマンション」群に囲まれたホテルにて。
                          ロシア編つづく・・・

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