2003年9月6日(土) | ||
【ロシア特別編8 モスクワのエンターテーメント】 | ||
数日間滞在しただけで、この国の歴史や現状の全てがわかるはずもありませんが、雰囲気といったものは漠然とわかります。ロシアは日本の立場からして後進国ではないし、歴史の経緯や地勢学的にその国としては、選択の余地がなかった事態もあったろうと推察します。何よりも国民は自国に誇りを持ち、仮に自国を愛せなくとも愛そうとする思いはあるはずです。
しかし、はっきりと我々日本人にもロシアがすごいと言えるのは、いわゆる芸術の部分。文豪もいますが、ボリショイ劇場のバレエとボリショイサーカスは、多分世界一だという認識を誰もが持っています。どちらも、夜7時以降の開演で大人の遊びでもあります。 ところで、確かにバレエ「白鳥の湖」は素晴らしいです。近々に新築されるいよいよボロボロのボリショイ劇場は、いわゆるオペラハウスで、3Fの桟敷席からは身を乗り出しても、半分しか舞台が見えません。しかし、はっきりしているのは、その美しさ、特に手足の長さや跳躍といったものは、基本的に日本人が真似しようもないものです。 ただしかし、私が感動したのは、それが芸術でなく、まさに文化として生活の中にあるということです。誰でも知っている単純なストーリーで少しお洒落をしていけば、多分江戸っ子の歌舞伎に該当する一大エンターテーメントとして誰でも楽しめます。 「ブラボー!!」は、「音羽屋!!」や「成駒屋!!」に近いものがあります。特に、次から次へと繰り出される踊りは、いわば寄席でもあり、「芸術である」と日本の歌舞伎になってしまわない大衆性があります。私も、おそろしく美しいプリマドンナにサインを貰いましたが、裾野が広い大衆文化の頂点にあるスターなのだと思いました。やはり、すごい!! 一方、ボリショイサーカスと思って行ったサーカスはいけません。これでは巨人軍の3軍、「ボリショイこどもサーカス」です。定席は寄席で、1軍は海外遠征に出ているのではないかと推察されます。出てくるのは子供ばかり。 二人以上の空中ブランコもなければ、出てくる動物はチンパンジーと犬だけ。しかもこの犬の芸は、オペラにあわせて「アォーン」と吠えるという近所迷惑な町内に一匹はいそうな奴で、珍しくもなんともありません。 ジャグラーも失敗しても度々挑戦し、できたらガッツポーズ。客席に拍手を強要。ピエロもともかく素人を連れ出してウケをねらう。ん〜これはひどい。もちろんこれで大衆は楽しんでいるわけですが・・・。どうも我々が観たサーカスは本物ではないように思います。 ロシア編つづく・・・ | ||
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