2006年1月27日(金) 【行政の協働とは】

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 本日午前中は、決算特別委員会の県内調査に合流。平成16年4月に、自治研修センターを改装した「岡山光量子科学研究所」を訪ねました。遠い未来の夢を買っていると言えそうです。
 一方、午後から「行政・NPO研修フォーラム」。行政職員研修でしたが、また風邪がぶり返して、体調不良も重なり、非常に感じるものがありました。
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     ↓ 詳しくは

 まず、岡山光量子科学研究所。どうしても、「マジーン、GO!」の「マジンガーZ」の光子力研究所のイメージがありますが、施設自体は、かなり古い、いたって地味な物です。

 粒であり、かつ波であるが、性質が未解明な部分が多い「光」について、先端科学技術の基礎となる理論研究を推進するもので、この種の物では、自治体主導は、全国初。ニールス・ボーア研究所との交流や、ノーベル賞クラスの顧問団で注目を集めています。

 業界的に、論文を発表し、学界で評価されなくては次のステップがない非常勤の研究職(来年度で9人。他に、常勤1名)の方々が、在職中に、物理県岡山の評価が上がるような成果を上げて下さるのを期待しますが、大きな設備を伴わない理論研究だけに、たちまち、特許や、ものづくりに直結して、岡山の産業振興に資するとは言い難いものがあります。
 むしろ、この科学研究所があること自体が、科学技術振興の象徴であると考える方が良さそうです。

 例えば、昨年、閑谷学校で、全国高校物理コンテストが開催されたり、スーパーサイエンスハイスクールとの交流など、将来を担う人材に、大きな影響を与えると思われます。

 人件費や庁舎管理費の7000万円、一人当たり100万円の研究費等の支援費の4000万円で、遠い未来の夢を買っている、これもまた、行政のお金の使い方の一つかもしれません。



 一方、「行政・NPO研修フォーラム」。
 事実上、備前県民局というより、岡山NPOセンターさんのお力を全面的にお借りしての行政職員研修でしたが、行政がNPOに、金を打つ(やる)ような気分では、対等な協力はありえません。

 協働の4原則、@相互理解、A対等、B目的共有、C情報公開の以前に、行政が謙虚になることが上げられます。

 今日のような平日の昼間に、行政は、それで給与が貰える業務になりますが、NPOサイドは、びた一文にならず、自分の首を絞めながらお付き合いする事もあります。土・日活動して、当然代休も貰えません。
 NPO活動や、ボランティアをやるような人は、意識も高いし、仕事も家庭も頑張っています。そしてそれだけ忙しい方々ばかりです。金を握っている行政に対して、本当は言いたいことは幾らもあるはずです。


 私自身も、新聞配達をしていた頃は、1件あたり250円、集金1件で、100円を積み重ねていたわけですし、せめて自分の給料分は稼ぎなさいとノルマを課せられた営業マンの頃からすると、4年に1度、死刑台に上がろうが、ともあれ、先生などと煽てられ、働こうが働くまいが首にならず、議会に来ようが来まいが、きっちり給料は入りますよと、安穏とした非常勤の公務員の気分になっていないかと自戒します。

 会社のオフィスの賃料からすると、己の机ひとつ分で幾ら掛かっているか、自分に幾ら掛かっているんだ?それに見合った働きがあるのか?というコスト意識は、誰しも必要です。
 特に、行政マンに必要なのは、自分に係っているコストを意識する感覚です。自給幾らですか、と。

 もとはと言えば、市民の金の運用を偶さか行政に委ねているだけで、考え様によれば、納税者に、行政の足らずの部分を還してもらって、市民が公の活動をしているようなものです。
 市民は忙しいにもかかわらず。

 市民と協働するというのなら、それだけ行政職員は、汗をかかないといけません。


 行政が、新しい市民サービス・需要、あるいは長期的・世界的・人類規模のニーズに、機動的、臨機応変に応えられていない側面もあることをまずは恥じるべきです。
 それを前提に、協働を考えないと、ただの「お上」になってしまいます。

 加えて、県が本当に最前線の現場で市民と直接接する基礎自治体に対して、NPOとの「協働」を言えるのでしょうか?まずは、市民のために、市町村と県の協働ができとるんですか?と問いたいです。


 ただそれは別にして、昨夏の「落書き一斉消去大作戦」は、まさに職員の方々の汗があって初めて可能なことでした。あの時、なんとも、岡山県が誇らしく感じられました。
 公務に就く方は、公への奉仕の意識も強いし、能力も高いです。どうかその力を惜しみなく、市民と一緒に汗をかいて、市民のために使って頂きたい。

 NPOと行政の協働とは、行政職員が、市民のレベルで一緒に汗をかくことです。NPOに金を出して委託することだけを指す言葉ではありません。

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