過去の岡山県議会一般質問集 <動物愛護>篇

<平成13年6月定例会>(2001年6月14日)

(佐藤)  前回2月議会から虐待についての質問が続いておりますが,その流れでもありませんが,次は,動物虐待,動物愛護についてお伺いいたします。
 昨年12月,動物の愛護及び管理に関する法律(新動物愛護法)が26年ぶりに改正され,非常に難しい問題である動物実験の規制は入りませんでしたが,人と動物の共生を強くうたい,ペットの殺傷や虐待に対する罰則を強化するなど,飼い主の責任を重くしました。また,この7月1日から,岡山県動物の愛護及び管理に関する条例も施行されます。県内では,各保健所が捕獲したり引き取ったりした毎年1万匹を超える犬や猫が処分されていますが,中には,最後までペットの命に責任の負えない飼い主のエゴで死んでいく犬や猫もいると思います。ほかの生き物の命を奪わないと命がつなげられないこうした人間の業を思うと,動物の命の重さについて,もう少し我々は敬けんな気持ちを持ってもよいように思います。確かに,ペットは動物にすぎないのかもしれません。ただ,一つの独立した命を自分のもとにとどめおくのなら,せめて最後まで命を全うさせてやるのが飼い主の務めであろうと思います。こういった観点から幾つか質問をさせていただきます。
 まず,年間1万匹もの犬や猫が処分されている現実を踏まえて,県民の動物愛護精神の高揚を図る目的で制定された条例をどのように普及啓発していくのでしょうか,お伺いいたします。
 とりわけ,虐待や飼い主等がその義務を果たさない条例違反行為に対して,最近の青少年問題,凶悪犯罪の最初が,声なき動物への残虐な仕打ちとしてあらわれることもあることも含めて,警察はどのように対応されていかれるのでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。
 また,特に,去勢・避妊手術の徹底につき,助成金を出すことは考えられないか,市町村の取り組みとあわせて保健福祉部長にお伺いいたします。
 しかし,いずれにせよ,私は,やはりすべて飼い主のモラルの問題だと思います。あるいは免許制でもありませんが,最終的には飼い主の資格要件は問われてしかるべきだと思います。ペット嫌いの方もいる中で,処分費用も含めて,こういった施策に一般財源からすべて持ち出しするのは適切ではないと考えます。そこで,あえて飼い主に,安易に命を扱うことを許さない警告の意味で,また飼い主の管理責任について認識していただく上でも,目的税的にペット税を徴収することを提言させていただきます。捕獲される野良犬の処分は,これはまだ仕方ないですが,少なくとも飼い犬,飼い猫の不妊治療に助成するために,何より処分費用を捻出するための目的税です。いかがお考えでしょうか(「ええぞ」と呼ぶ者あり)。
 この項最後に,昨年の大規模事業評価委員会で事業を縮小して行うべきとされた動物愛護センターについてお尋ねします。処分場と動物愛護啓発施設を併合するというこの施設は,今後どのように建設が進められるのでしょうか,保健福祉部長にお伺いします。

(知事)  次に,動物愛護であります。
 条例等の普及についてでございますが,毎年多くの犬や猫の処分を余儀なくされているところでございまして,動物愛護思想の高揚などを目的とした本条例の普及啓発が重要であると考えております。このため,飼い主の責務や遵守事項を記載した啓発パンフレットを配布をいたしますとともに,保健所や岡山県動物愛護財団が実施をする各種行事等,あらゆる機会を通じまして動物愛護思想の普及啓発に努めてまいりたいと存じます。
 ペット税についてでありますが,犬や危険な動物を飼育をする際には,御案内のとおり登録申請手数料等が必要とされているところでございまして,さらに来年度からは,犬,猫の引き取りを有料化すると,このようになっております。こういう事情でございますので,先ほど議場から賛成という声もございましたが,新たにペット税を徴収することは,現段階では飼い主の皆様方の御理解を得ることはなかなか難しい問題もあるのではないか,このように考えております。

(保健福祉部長)  犬,猫の去勢・避妊手術への助成についてでございますが,手術等に要する経費は,基本的には飼い主の責任において負担すべきものと考えております。
 なお,県内で犬の不妊手術費に対する助成制度を設けているのは,船穂町1町のみということになっております。
 動物愛護センターについてでございますが,現在,新たな基本計画の策定作業を行っております。今年度中に事業評価委員会で審議していただき,本県における動物行政の拠点施設として,できるだけ早い時期に建設したいと考えております。

(警察本部長)  動物虐待・愛護の問題でございますが,御指摘のとおり,少年による凶悪犯罪の前兆行動が声なき動物への残虐な仕打ちとしてあらわれることにつきましては,警察庁がまとめました最近における少年による特異,凶悪な事件の前兆に関する緊急調査結果というのがございまして,その中でも,猫やウサギなどの愛護動物に対する虐待行為が凶悪犯罪の前兆として見られたというケースが報告をされております。警察といたしましては,動物への虐待行為がこうした少年の人格形成に少なからず影響を及ぼすことなども考慮しながら,この新しい法律や条例に基づく違反行為の適正な取り締まりを実施してまいりたいと考えております。
 今月の11日には,児島警察署管内におきまして,飼育していた犬を置き去りにしたまま転居してしまったという男性を,この新しい動物愛護法違反で検挙したところでございます。
 なお,この遺棄された気の毒なワンちゃんにつきましては,引き取りを申し出られた県内の女性の方に引き取られるということになりまして,本日,新しい飼い主の方に引き取られるということで,我々も一安心をしているところでございます。あわせて御報告を申し上げます。
 こういうことで,今後とも,悪質な事案につきましては,厳正な取り締まりをいたしますとともに,各種会合の機会やミニ広報紙などの広報紙を通じまして,県民の動物愛護意識の啓蒙に努めてまいりたいと考えております。

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