過去の岡山県議会一般質問集 <落書き対策>篇

<平成16年6月定例会>(2004年6月15日)

(佐藤)  次に,治安対策として,落書きと暴走族対策について伺います。
 ほかに,光害なども規制しておりますけれども,落書き防止条例であるかのような,岡山県快適な環境の確保に関する条例が施行され,丸2年たちました。条例に合わせるように,我が平和町北部町内会の地域住民を中心に結成した落書き調査隊も3年目に突入いたしました。近ごろでは,町中に落書きがあると,「落書き調査隊は何をやっているんだ」と,なぜか怒られているという,ちょっとそれは違うんではないかということになっております。ただ,本当に多くの方々の手で,確実に落書きは減ってきたと思います。最も落書き消去は,一般のボランティアと異なり,事前の調査,修復許可取りの作業が極めて煩雑で,さらには膨大な資料が必要なため,その分,落書き調査隊は,落書き消去貧乏という状態に陥っております。一方で,NPOの創意工夫もあり,新しい啓発キャラクター「ケセルンジャー」,「森の番人マモルンジャー」に対抗して,「ケセルンジャー」も登場しておりまして,大変盛り上がっております。そもそも,我々がこの落書きをみんなで消そうと思い立ったのは,今は無き近所の寿司屋さんの壁に,大きな男性器の落書きがされたからであります。この状態に辛抱がたまらん状態になったからでございます。そこから,燎原の火のごとく広がった落書き一斉消去活動は,NHK「難問解決!ご近所の底力」で,岡山方式として紹介され,このたび番組の本も出まして,再び紹介されております。ちょっと宣伝のようでございますが。
 この一連の動きの中で我々が学んだのは,小さな犯罪こそが大きな犯罪を引き起こす引き金になる。だからこそ,どんなに小さい犯罪も厳重に対処しなくてはいけないという,文字どおり,ニューヨークのジュリアーノ元市長が思い切った犯罪抑止策を打ち出して,治安が回復した根拠となった,割れ窓理論でした。そして,落書き消去活動は,環境対策ではなくて,むしろ安全な町づくり施策であると認識するに至りました。さらには,子供や若者たちが,「自分たちの町は自分たちで守る」という意識が急速に高まって,また,この問題を通して,町が結束していく,地域が,行政が,警察が,消防が連携していくさまは感動的ですらありました。落書き犯罪対策活動には,地域防犯と自治能力の再構築,青少年の健全育成という,複合的価値が含まれており,総合的まちづくり活動になり得ると位置づけられますが,県下におけるこれまでの落書き消去活動について,知事の御感想をお聞かせください。
 滋賀県は,こうした考えから,緊急雇用創出特別対策事業として,都道府県で初めて,「なくそう犯罪」安全なまちづくり落書き消し隊派遣事業を展開していますが,落書き消去先進県岡山としては,マニュアル作成,補助金制度の見直し,さらには私有物への落書き犯に原状回復義務を課す等,次の施策に移行すべき時期が来ていると考えますが,いかがお考えでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 次に,前述の割れ窓理論に関しまして,県警本部長にどのような認識をお持ちなのか,伺います。
 以下,県警本部長にお伺いいたします。
 特に,私は,落書きと並んで,目の前で明らかな違反行為をしている暴走族が,町中を走り回ること自体が,次なる犯罪を助長させて,同時に公正さを欠くのではないかと,警察に対する信頼を失墜させる最たるものであると思います。ゆえに,どうあれ,暴走族は撲滅させる必要があると思います。もちろん,大変な御努力で,暴走族を壊滅させておられることも存じ上げております。地域住民としましては,確かに暴走族は減ってきている,そのことについては本当に感謝申し上げます。ただ,次から次へと新しい世代が出てきて,終わりがないようですらあります。国体の年に,もし暴走族が走り回れば,冗談抜きで,他県から来て宿泊している選手を寝させない作戦なのかと言われかねない,そんな状況ですらあります。
 特に,暴走族対策について,岡山西署の所管と岡山東署の所管の間である桃太郎大通りの西川橋交番の前を,暴走族がUターンして通りを旋回しても,夜に田町交番に皆さん終結されておられますので,交番に行っても警察の方はおられない,110番通報しても,通報してる間に,いろいろ聞かれるわけですけど,その間に暴走族がいなくなってしまう。そして,彼らが高島屋の裏の筋に抜けるのがわかっているのだけれども,そこが防げない。そこに,地域住民のフラストレーションが大変たまってきておるわけであります。
 まずは,せめて交番の所在を示す看板を大通りには幾つも掲げられないでしょうか。警察署の所管にかかわらず,例えば右折500メートルに〇〇交番,直進300メートルに〇〇交番と,このように表示しておれば,それだけで暴走族への威圧,さらには犯罪抑止効果があると考えます。
 また,路上等の公共空間で発生する犯罪の未然防止対策の一環として,岡山西警察署管内に,街頭緊急通報システム,いわゆるスーパー防犯灯12基を設置していますが,通報者や通報場所周辺の映像も送信されるのであれば,桃太郎大通り等の暴走族対策にこれを使うことはできないでしょうか。とりわけ,暴走族の集団暴走が暴走の確認だけで罰則の対象となる改正道交法が,6月3日衆議院本会議で可決,成立いたしましたが,映像が映れば,まさにこれは現行犯にならないのか,この法律の実効ある運用にかける意気込みとあわせて,警察本部長に伺います。
 この改正道路交通法に関連して,駐車違反対応の取り締まり事務が民間委託できる制度が新設されましたが,民間に委託する違法駐車取り締まりの基本となるガイドラインや業者の選定基準づくりはどのようになされていくのでしょうか。特に,私は,日中の駐車違反取り締まり以上に,夜間の繁華街での駐車違反取り締まりの強化,それこそ地域住民は願っているわけでございますが,この部分についてこそ,警察が引き続き行うべきだと考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 また,突拍子もない話かもしれませんが,シートベルト着用違反やスピード違反取り締まりなどについても,必ずしも,もう警察が行う必要はないのではないかと考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 これに関連しまして,非常によく県民の方から御意見をいただくんでございますが,交通違反をすることを前提にした待ち伏せ的な交通取り締まりが,果たして本当に交通安全の役に立っているのか,また,ひょっとしたら警察にも,取り締まり件数に対する何かノルマか何かがあるんじゃないかという極めて素朴な質問を非常によくいただくのでございます。いろんな方が,ほかにもっとやってほしいことがあるというふうな言い方をされるわけでございますが,この機に,警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 さらに,暴走車両も含めて,夜間の商店街への駐車が後を絶ちませんが,現行法上ではなかなか取り締まることができないと伺っています。商店街の皆さんや通行人に,大変な不安と不信を与えている状況であり,厳然たる対応が必要であると考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。警察本部長には大変厳しい質問になっているのかもしれませんが,私,警察を大変信頼申し上げておるからこそ,させていただいとる質問でございますので,その点を含めて,よろしく御答弁をお願いいたします。

(知事)  次に,落書き消去活動に対する感想についてでございますが,平成13年12月,全国に先駆けまして,快適な環境の確保に関する条例を制定し,これを契機に,県内各地で多くの取り組みが進められているところでございまして,大変心強く思っているところであります。私自身も,この消去活動に参加をいたしまして,落書きに対する参加者の熱い思いを感じながら,私みずからも汗を流して取り組んだところでございます。このことは,新聞のリレーエッセイで,私もみずから記したところでございます。それから,議員御指摘の「難問解決!ご近所の底力」につきましても,その放映を拝見させていただきまして,岡山市の事例が報道されているということで,大変誇りに思ったものでございます。
 新たな落書きは,こういったような活動もありまして,減少傾向にあると考えているところでございますが,来年の「晴れの国おかやま国体」,そして「輝いて!おかやま大会」,この開催を控えまして,県内各地で落書きのない快適な環境づくりが,さらに一層展開されることを期待をしているところでございます。私自身も,今後機会がありますれば,落書き消去活動に一緒に参加して,参加者を激励させていただければと,このように願っております。

(警察本部長)  まず,ホームレスの方が犯罪の加害者,または被害者になる実態についてであります。県警察ではホームレスという用語は使用しておらず,統計上,一定の住居・職業を有しないで諸所を徘徊している者の実態を申し上げますが,加害者として,県下で平成15年中,窃盗や詐欺などで134人,平成16年は5月末までに61人を検挙しております。
 また,被害者としては,平成15年中1人,平成16年中は5月末までに1人を,いずれも傷害の被害で認知しております。
 次に,ワンストップ相談窓口等のホームレス対策についてであります。この問題につきましては,基本的には,関係行政機関等による総合的な対策が講じられなければ解決しない問題であると認識しております。県警察といたしましては,関係機関等との緊密な連携のもとに,地域安全運動,指導・取り締まり,保護活動,警察安全相談等の諸活動を通じて,ホームレスの自立支援等に関する施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に,割れ窓理論についてであります。県警察では,昨年に引き続き,各種の街頭犯罪等抑止対策を推進し,安全・安心まちづくりに取り組んでおるところでございますが,その対策の根底にあるのは,まさに割れ窓理論の考えでありまして,基本的に正しい理論であると認識しております。そこで,最近の暴走行為については,単独あるいは少数での爆音暴走が多くなっておりますが,この状態を放置しておけば,やがて大規模な集団暴走や,犯罪集団化へと発展する可能性があることから,これら単独暴走行為であっても決して看過することなく,徹底した取り締まりや少年補導を推進しているところでございます。
 次に,暴走族対策等,改正道路交通法等についてであります。今月3日に可決成立した改正道路交通法では,集団暴走行為があれば,迷惑を被ったり,危険な目に遭った人がいなくても検挙可能となりますことから,同法施行後は暴走行為の採証方法や捕捉方法等の取り締まり手法に創意工夫を加え,暴走族に対する取り締まりを一層強化し,暴走族の根絶を期してまいりたいと考えております。
 なお,交番の所在を示す案内板の増設につきましては,県民の皆様の利便となるなどの利点はございますが,暴走族対策上の効果としてはどの程度あるのか,判然としない面もありまして,現在のところ案内板の増設は考えてはおりません。
 また,暴走族対策としてのスーパー防犯灯の有効活用につきましては,今後十分検討させていただきたいと考えております。
 次に,駐車違反取り締まりの民間委託についてであります。今国会で可決成立いたしました改正道路交通法によりまして,違法駐車対策として,放置車両の確認事務などについて,民間委託ができることとなりました。御指摘の取り締まりのガイドラインや,業者の選定基準策定につきましては,今後,相当綿密に検討していく必要があると考えております。約2年後の施行に間に合いますよう,今後,地域ごとの実態を踏まえながら,十分時間をかけて諸準備を進めてまいることとしておりますので,御理解を賜りたいと思います。
 また,夜間の繁華街における違法駐車の取り締まりについてでありますが,仮に,民間委託をした場合でありましても,警察官,交通巡視員による指導取り締まりは可能でありますので,今後とも指導取り締まりを継続強化してまいりたいと考えております。
 次に,シートベルト着用違反の取り締まり等の民間委託についてであります。シートベルト着用義務違反や速度違反は,動的な違反形態でありますことから,車両の駐車という,違反の確認が比較的容易な静的違反と異なりまして,採証のための特別の装備資器材を必要とし,同時に,取り締まりに危険を伴うものであります。したがいまして,これらの違反取り締まりの民間委託には,慎重な判断を要すると考えております。いずれにいたしましても,道路交通法の改正が必要でございますので,今後,国会等,国のレベルでの議論を待ちたいと考えております。
 次に,交通違反の取り締まりについてであります。待ち伏せ的な交通指導取り締まりや,ノルマがあるのではないかとのお尋ねでありますが,限られた警察官等ではすべての違反に対応できないことから,ドライバーに常時遵法意識を持ってもらえるような取り締まり手法も必要であると考えております。安全な交通社会を実現するためにも,交通指導取り締まりは,極めて重要かつ効果的な施策であると確信しております。
 また,ノルマについてでありますが,警察官等に取り締まり件数を定め,達成しない場合にはペナルティーを課すというようなものはございません。しかしながら,交通事故が多発する場合に,目標を掲げて取り締まりを強化するなど,交通事故の発生状況に応じた取り締まり管理は,当然必要と考えております。
 最後に,夜間のアーケードのある商店街における駐車についてでありますが,通行禁止違反の取り締まりを強化するとともに,商店街の皆様の要望を踏まえながら,駐車禁止規制を検討してまいりたいと考えております。



<平成12年9月定例会>(2000年9月20日)

(佐藤)  最後に,公共物や私物に堂々と行われている町中の落書きについてお伺いします。
 実は,これはデンマークなど北欧諸国でも見られ,何も日本だけの現象でもないようですが,昨今,本当に目に余るものがあります。特に,都心部での被害は甚大で,朝起きて,「きょうもシャッターに何も書かれてなくてよかったねえ」と,ほっとするようなありさまです。落書きは,犯人が検挙されても,もとどおりに原状回復するのが困難です。民事訴訟の話として,不法行為に起因する損害賠償を請求していくことが本筋ではありますが,これがなかなか難しく,かといって条例で損害賠償を上乗せで規定していくのにも無理があると思われます。
 そこで,知事にお尋ねします。
 青少年の健全育成の観点からも,こういった落書きを町中から追放する落書き行為追放キャンペーンを展開していくことはできないでしょうか。落書き行為を見かけたら即通報する,落書き行為は社会に対する犯罪であることを,地域や学校ぐるみで啓発していく,願わくば,各市町村が落書き行為追放都市宣言をしていく,そういった運動が展開できないでしょうか。

(知事)  落書きの追放についてのお尋ねをいただきましたが,御指摘がございましたような落書きの行為,これはもういたずらでは済まされません。犯罪でございまして,調べてみますと,ことしになって17名の少年が検挙されております。このような行為の追放キャンペーンということの展開,この問題は,青少年の健全育成の問題のみならず,町全体のイメージアップのためにも非常にこれは大切な問題であると,私は,議員御指摘のとおり同感でございます。
 今後この問題につきまして,青少年育成県民会議がございますが,ここと連携をして啓発活動を行うとか,あるいは御案内のとおり青少年問題を考え,行動する100人委員会を立ち上げておりますけれども,そこの取り組みの中で,こういったキャンペーンの実施について検討してまいりたいと思います。
 そして最後に,各市町村が落書き行為追放都市宣言をしていくことについてはどうかというお尋ねがございました。住民が監視をしていただくことを喚起する意味からも,また犯罪防止の観点からも,これは大変大きな啓発効果が期待できると,このように思います。市町村が自主的にこういった取り組みを展開をしていただけるように,私自身からも喚起をしてまいりたいというふうに思っております。

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