過去の岡山県議会一般質問集 <環境対策>篇

<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  ところで,会期中に岡山市の政令指定都市移行もあり,その岡山市と岡山県の最大の協働事業である全国都市緑化おかやまフェアは,これからの県,市の関係を占う意味もある,極めて重要な催しでございます。役割分担からいえば,少なくとも岡山県内外から広域的に来場を呼び込むには,岡山県サイドが頑張らないといけません。期間中に御協力いただける多くのボランティアの方々も集われますが,一方で,今のところ,西大寺のメーン会場とサブ会場の岡山城,後楽園や協賛会場の西川緑道公園,半田山植物園との情報の共有や交通アクセスも含めた連絡が明確ではありません。肝心の都市緑化についても,全県的な展開がなければ,県が絡んで開催する意味がなく,改めて岡山市と協働して全国都市緑化おかやまフェアを開催する意義と決意についてお知らせください。

(知事)  全国都市緑化フェアでありますが,都市緑化の取り組みを全県的に広めますとともに,岡山の魅力を全国に向けて情報発信するため,庭園都市を目指す岡山市と共同開催することとし,岡山市以外のすべての市町村においても,大型プランター等の出展を行うほか,19の市町村が伝統芸能の紹介や特産品の販売を行うこととしております。さらに,県内各地で40を超える花や緑に関する協賛事業を展開することとしておりまして,こうした県民の方々との協働の取り組みによりまして,フェアをぜひとも成功させ,未来を担う子供たちに緑や命の大切さを伝えますとともに,環境に優しい暮らしや,緑豊かなまちづくりを全県的に広げてまいりたいと存じます。



<平成19年12月定例会>(2007年12月12日)

(佐藤)  最後に,第26回全国都市緑化おかやまフェアについてお伺いいたします。
 我が党の,岡山らしさをどのように表現するのかという代表質問に対して,知事の,メーン会場においては桃の花で来場者を迎え,地域の特色を生かした花壇の展示や市町村の日を設け,郷土芸能や特産品の紹介を行うというお答えには,失礼ながら本当にがっかりいたしました。
 そもそも,この緑化フェアについては,民間の団体から県議会に対して招聘の陳情が提出されたのが契機でございます。そして,その中の一つの提言としては,旧賀陽町出身の日本を代表する作庭家であり,庭園史研究家である重森三玲氏の業績,これを生かしてほしいという声もあったわけでございますが,それがどう生かされているでしょうか。また,後楽園や津田永忠の文化や遺産を取り上げることもできるでしょう。一方で,一年がかりで生産をしなくてはいけない花卉や造園の関係者との十分な連絡ができていないようにも仄聞いたしております。
 緑化フェアは,見本市か一過性のイベントをされるのですか。そんなわけではないと思います。あるいは,どこかよそで計画されたことに,地域の業者の方々を協力させるだけの催しでもないと思います。私は,18年6月定例会で,基本構想に示された開催理念の中に,CO2の吸収量を高めるといった,環境施策の視点をもっともっと強く打ち出すべきではなかったのか。また,森づくり県民税の活用実態や森林保全の大切さを都市においてこそ啓発するといった,岡山独自の視点を加味すべきであり,協働をうたうのならば,国体の花いっぱい運動のように,会場や周辺のみならず,ビルの屋上緑化やビオトープの設置はもちろん,街路や商店街や住宅地を含めて,一人一花,一会社一鉢運動といった市民・県民運動を展開するなど,一過性のイベントやお祭りといったものではなくて,30年後に評価されるような,継続性永続性のある都市緑化運動をあわせて推進すべきであると申し上げました。御所見も含めて,改めてこの全国都市緑化おかやまフェアにおいて,いかように岡山らしさを表現されるのか伺います。

(知事)  最後に,全国都市緑化おかやまフェアについてでございます。
 私の代表質問の答弁にがっかりしたとのお話をいただきましたが,代表質問の答弁は時間的な制約がございます。今議員御指摘の御提案等は,基本的には今念頭に置いているということで,お聞き取りをいただきたいと思いますけれども,お話の岡山らしさの表現といたしまして,今議員の御指摘いただきました,本県出身の著名な作庭家でございます重森三玲や,後楽園の造営を行った津田永忠の業績を紹介するなど,岡山の誇る歴史や文化の情報発信を検討しております。
 さらに,森づくり県民税,これも御指摘のとおり活用していきたいと思っておりまして,間伐材でつくったプランターやベンチなどを,フェア会場や町中に備えつけていこうと思っておりますし,また,環境に優しい暮らしをコンセプトといたしまして,地元の企業の御協力も得ながら,緑化技術の紹介,あるいはリサイクル材を使った庭園の整備,こういったものを行おうと思っております。
 また,県民運動ということでございますが,本年度から始めました5月4日のみどりの日に町を花や緑で飾るキャンペーン,これの全県展開や,全市町村での協賛事業の実施など,岡山ならではの取り組みも行って,フェアの開催を契機に継続性のある都市緑化運動を推進してまいりたいと,このように考えております。



<平成19年6月定例会>(2007年6月22日)

(佐藤)  次に,環境政策につきまして,6月8日に閉幕した主要国首脳会議で最大の議題となった地球温暖化対策は,最終的には消極論だったアメリカからも譲歩を引き出すことに成功して,2050年までには温室効果ガスを少なくとも半減させることを真剣に検討することで合意いたしました。来年は,日本が議長国となって北海道洞爺湖サミットが開催されて,新興排出国の中国やインドも巻き込んで拘束力のある削減の枠組みづくりができるかどうか,それが我が国の国際的な責務であるとも思います。
 また,本県では,平成8年10月に,岡山県環境基本条例を制定し,平成10年3月に策定された岡山県環境基本計画〜エコビジョン2010〜は,平成15年に町の景観を損なう落書きや光害などの新しい視点での環境問題としてとらえて見直されています。しかし,当初計画の策定から10年が経過し,社会情勢の変化や新たな課題に適切に対応する必要があることから,知事は,提案説明の中で,環境教育,環境産業を初めとした広い視点や地球環境問題に係る最新の知見を加えて,新たな環境基本計画を策定されたいとされました。恐らく5年以上の計画をお考えでしょうから,議会としてもその策定には非常に大きな責任がございます。10年前と幾分違っているのは,当時のダイオキシン対策や廃棄物の処理といった,いわば言葉が適切かどうかわかりませんが,守りの環境政策から,いわゆる協働を前提として,教育,産業創出,さらには国際貢献も含めた地球的視野で政策展開をしていこうという,環境先進県おかやまならではの攻めの環境政策に転換していく流れにあると思いますが,まずは今後の環境政策の要諦について,知事の御所見をお聞かせください。
 以下,具体的にお伺いいたします。
 日常生活や事業活動などにより生じる環境への負荷を低減させるためには費用がかかる,そういった意識の浸透を図るために,法定外目的税として,産業廃棄物処理税に加えて,森林の保全を目的とした水源かん養税が名前をかえて森づくり県民税が徴収されています。しかし,おかやま森づくり県民税については,県庁のホームページを見ても,充当した事業内容こそあれ,法定外目的税のくくりで進めていた経緯がありながら,額も使途も今のところあいまいになっております。私は,例えば,おかやま森づくり県民税を台風による風倒木被害の復旧に充てること自体は反対ではございませんけれども,もとは県民からいただいた貴重な税金でございます。税収額や充当した事業,さらにはその充当目的等をもっと具体的にわかりやすく県民の皆様に説明する責任があると思いますが,農林水産部長の御所見をお聞かせください。18年6月定例会でも伺いましたけれども,平成21年春開催予定の全国都市緑化おかやまフェアについては,順調にいけば岡山市が政令指定都市移行したその記念になるような,そんな時期の開催でございます。さらに,中心市街地活性化が叫ばれて久しい岡山市西大寺地区において,将来において中心市街地の都市機能が集積する地の象徴としての都市公園として整備される含みもあって,私は非常に永続性のある事業で評価できると思っております。さらに,知事は,岡山県独自の視点として,基本構想におけるおかやま緑化フェア開催方針の一つに,環境に優しい暮らしを位置づけ,環境施策の視点を挙げておられます。主会場地は岡山市内になってはおりますけれども,ビルの屋上緑化やビオトープの設置はもちろん,街路や商店街や住宅地を含めて,例えば,1人1輪の花を植える,一人一輪,一社一鉢運動といった,街を緑で染め上げる市民・県民運動を展開するなど,県下全面展開をする必要があると思います。改めて,全国都市緑化おかやまフェアにおける環境面での取り組みについてお伺いいたします。
 次に,自然環境保護についてお伺いいたします。
 平成14年には,本県の誇りとなるすぐれた自然や貴重な動植物の保護等を図るため,岡山県版レッドデータブックが作成されていますが,必ずしも状況は改善されていないのではないか,そのように思います。言うまでもなく,絶滅危惧種の保護,とりわけ国の天然記念物であるアユモドキ,さらにはスイゲンゼニタナゴ等の保護は緊急を要します。今まさに生息環境の悪化や田園水系の分断,乱獲,輸入種の生息域の拡大により,生態系のバランスが崩れてきております。
 ところで,岡山らしい自然環境は,私は人の手が入った身近な自然の中に多様な生き物や絶滅のおそれのある生き物が生き続けていることであると言われていると思っております。岡山市の高島や瀬戸の田んぼに来るアユモドキ,高松や足守,倉敷の一部にもいるスイゲンゼニタナゴ,岡山市のダルマガエル,かっては里海だった干潟に来るカブトガニやアサリ,魚島をつくったサワラ,どこにでもいた蛍,水田の雑草だったのに絶滅危惧種となっているミズアオイやデンジソウ,私たちの生活とともに生きていた生物たちが今いなくなってきております。岡山らしさを取り戻そう,生かそう,それが岡山の文化,地域づくり,観光産業の資源にも活用できるのではないかと考えます。
 また,自然保護のキーワードは,生物多様性の保全です。それは,自然と人間が長い期間をかけて共生環境をつくり上げてきた岡山らしさを大切にすることです。地球上にそれぞれの多様な「何とからしさ」を大切にすることが,文化的な多元性にもつながり,持続可能な社会づくりの基本になっているのだと,私は思います。知事は,自然保護について,特に岡山らしい自然保護のあり方をいかように考えておられるでしょうか。また,絶滅危惧種の保護のためには,何とかもっと環境のよい生息地を造成する必要もございますが,特に最近はマニアあるいは密猟者の手からいかに守るかといった保護施策についてもお伺いいたします。
 あわせて,特に繁殖地や生息地が天然記念物になっているカブトガニやオオサンショウウオと加えて,アユモドキを海,山,川と,豊かな自然があふれる環境先進県岡山の環境施策のシンボル,できれば「ももっち」の新しいお供にしてほしいなと,カブトガニ,オオサンショウウオ,アユモドキを,環境施策のシンボルにしてほしいと考えておりますが,いかがお考えでしょうか。
 ところで,九州北西部,琵琶湖淀川水系,そしてこの岡山の地が日本三大淡水魚の宝庫であり,聖地とまで言われているのは,御案内でしょうか。明治以降,外国から入ってきたニジマスやブラックバスなどの外来魚を削除して,全国の一級水系109の水系で出現する淡水魚の種類を調べたところ,岡山の旭川が44種類,吉井川が42種類,高梁川が38種類と,3水系はいずれも魚の種類が非常に多く,3位,4位,6位とそろって実は全国のベストテンに入っているというデータがございます。一番多い淀川には,琵琶湖特有の固有の魚も含めて49種類,また,2位の木曽川水系は木曽川や長良川,揖斐川という性格の異なる3つの河川から構成され46種類なんですけれども,そうした大きな河川と比べて,岡山の三大河川は,まさに淡水魚の生息三大河川でもあります。それが山の恵みを海に運び,瀬戸内の海の豊かさにつながっているということだと思います。こうした豊かな自然に恵まれた淡水魚の宝庫である岡山ということに,どれだけ我々岡山県民が自覚と誇りと責任を持っているでしょうか。少し大き目の水槽を使って淡水魚のミニ水族館のような取り組みは,公民館等で行われていますけれども,例えば,長良川を有する岐阜県では,「木曽三川・長良川の源流から河口まで」と,そして世界の淡水魚をテーマにした水辺環境やそして魚のたぐいだけではなくて,水生昆虫,鳥類,水生植物等を総合的に展示した「アクア・トトぎふ」という,世界最大級の淡水魚の水族館がつくられています。なかなかこういったものをつくるのは難しいとは思いますけれども,こういった淡水魚生息三大河川がある全国への岡山のアピール,さらには淡水魚を通じての体験型の環境学習施設の整備についていかようにお考えでしょうか。
 次に,環境教育等についてお伺いいたします。
 この3月に,国立教育政策研究所教育課程研究センターが,環境教育指導資料を示しました。これは,文部科学省から発行されたこれまでの資料で示された基本的な方針や考え方を踏まえつつ,新しい環境の世紀に対応した形で大幅な改定を加えたものです。そして,この資料には,しばしば持続可能な開発のための教育(ESD)という言葉が出てまいります。平成14年にヨハネスブルグサミットで我が国が提案し,第57回国連総会において満場一致で採択された「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」が平成17年から開始されました。国際的な環境教育の取り組みは,この大きな枠組みに沿って展開されていますが,それに先立つ平成15年7月には,我が国では環境の保全のための意欲の増進及び環境教育に関する法律が制定され,また,昨年改正された教育基本法においても,「生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと」とする規定が盛り込まれ,我が国の環境教育は大きく進んでまいりました。まずもって,こうした国際的な環境教育の枠組みに沿う形で我が県の環境教育の指針を打ち立てるべきだと私は考えますが,知事並びに教育長の御所見をお知らせください。
 ところで,岡山市においては,この持続可能な開発のための教育(ESD)について,環境を中心に先進的な活動が行われております。特に,平成17年6月には,国連大学から岡山地域はこれまでの市民活動が認められ,ESDに関する地域の拠点(RCE)の一つに認定されております。これは,大変な国際的な評価なんですけれども,こうした国際的な評価が必ずしもこの岡山県で認知されていない,そのことを私は非常に残念に思います。この認定は,平成11年に,第55回日本ユネスコ運動全国大会in岡山を開催し,地球環境問題を活動の軸に据えている岡山ユネスコ協会,さらには岡山市京山地区──京山学区というのがあるんですが──京山地区ESD環境プロジェクト──岡山KEEPと言います──,岡山KEEPの活動の成果であると思います。ちなみに,この岡山KEEPでございますが,京山学区の皆さん,小中高生や企業,行政,NGOなどが参加して,地域全体でESDの取り組みを推進しています。例えば,水辺の調査活動をする場合でも,中学生を中心としてさまざまな世代の混成チームで行って,調査結果をもとにした水質の分析にも全世代がかかわってコンピューターで情報の整理を行うときなどは,パソコンに詳しい大学生やITサポーターにも協力を得ています。これらの取り組みの成果については,みんなの前で発表して,情報と認識を共有し,さらに公民館や中学校などでの成果発表会や結果をまとめたマップの配布などにより,地域への周知も図っています。
 これらの取り組みは,環境問題への直接の成果という意味ではもちろんのこと,多世代間の交流,地域コミュニティーでの触れ合いを生み出しています。まさに地球規模で考え地域で行動(シンク・グローバリー,アクト・ローカリー)の実践活動と言えると思いますし,新岡山県環境基本計画でうたう環境教育の理想型がもう既にあるのではないかと,私は思います。こうした環境教育活動については,環境省はもちろん文部科学省,経済産業省,国土交通省,さらには国連大学や地元大学,国際交流団体,もちろん行政機関,教育機関等が連携しなくては決して行えるものではありませんし,また,広がっていくものではございません。しかし,残念ながらこのESDのネットワークに私は岡山県の動きがなかなか見えてこないように感じております。この秋の全国生涯学習フェスティバルでは,このESDの取り組みを紹介いただけるようですが,昨年の茨城では,この生涯学習フェスティバル「まなびピア」を第9回の全国環境学習フェアと同時期に開催しております。何よりも,岡山県の行政内部のESDの窓口というのがまだ明確ではございません。ESDに関しての今後の取り組みについて,知事と教育長にそれぞれお伺いいたします。
 この項最後に,知事は,新たな環境基本計画の中に,環境産業を挙げられました。環境産業の海外展開についてはいかように考えておられるでしょうか。
 エネルギー・気候変動問題では,お隣中国が大量の資源を効率悪く消費していて,農業にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。また,最近大変気になるんですが,黄砂もその頻度と被害が甚大化していて,単なるこれは季節的な気象現象ではなくて,森林の減少や土地の劣化砂漠化といった人為的な影響による環境問題としての認識が高まっております。少なくとも,お隣中国の環境悪化は,もはや中国の国内問題と言える状況にはなく,国際的に何がしかの手を打つべき時期が来ているというのは,今回のハイリゲンダム・サミットの問題意識でもありました。
 そこで,たちまち岡山が何ができるかというのが厳しいものがありますけれども,中国を世界の工場ととらまえるのではなく,環境産業を展開する市場と考えるのは一つの方策だと思います。御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,環境政策等についてでありますが,まず環境政策の要諦であります。
 温暖化等による地球環境問題が深刻化する中で,地球環境の保全に地域から取り組むこと,快適な環境の保全を参加と協働により推進すること,環境に配慮した事業活動を推進することなどが重要と考えております。こうした考えのもと,新しい環境基本計画には,環境教育の充実等によりますすべての県民のエコライフの実践や環境産業の育成等を盛り込み,将来世代へ継承可能な環境に配慮した潤い豊かな社会の実現を目指してまいりたいと存じます。
 全国都市緑化おかやまフェアでの取り組みでありますが,開催方針の一つに,環境に優しい暮らしを位置づけておりまして,環境へ配慮したフェアの開催を目指すことといたしておりまして,今後策定する実施計画に環境に優しいライフスタイルの提案や屋上緑化,壁面緑化など,ヒートアイランド防止に資する緑化技術の紹介など,環境をテーマとする具体的な取り組みを盛り込んでまいりたいと存じます。
 また,お話の緑化推進のための県民運動につきましては,今年度から5月4日のみどりの日に,まちを花や緑で飾るキャンペーンを始めたところでありまして,フェアの開催を契機といたしまして,全県的な運動に発展させてまいりたいと思います。
 次に,自然環境保護についてでありますが,まず,岡山らしい自然保護のあり方であります。
 本県は,瀬戸内海の沿岸部から吉備高原,中国山地に至る変化に富んだ地形に恵まれておりまして,多種多様な動植物が生息,生育する豊かな自然環境が形成されておりまして,古くからそれぞれの地域でその地域特有の人と自然が調和した生活が営まれてきたところであります。こうした地域特性に応じました多様な自然との共生関係を将来にわたって維持していくということが岡山らしさであると,このように考えておりまして,今後とも,市町村や県民,自然保護団体などと連携を図りながら,自然保護の推進に努めてまいりたいと思います。
 絶滅危惧種の保護についてでありますが,国や県で指定されている絶滅危惧種につきましては,地域住民や自然保護団体,国,市町村等との連携のもとに,河川工事等に際して保護のために必要な配慮を求めたり,あるいは密漁防止パトロールやボランティアの保護巡視員による巡視を実施いたしております。
 また,大規模開発に伴う環境アセスメントの審査や自然保護協定の締結に当たりましては,指定種のみならず岡山県版レッドデータブックに掲載されている動植物につきましても,工法変更あるいはエリア変更など,その保護を図っております。今後とも,県民等の協力を得ながら,希少な動植物の保護に努めてまいりたいと存じます。
 環境施策のシンボルについてでありますが,お話のように,3種の生物につきましては,豊かな岡山県の自然を象徴するものでありますが,既にそれぞれの地域で市町村や地域住民が中心となって独自の愛称やキャラクターを定め,積極的な保護活動を展開いたしますとともに,地域のシンボルとして活用しているところであります。カブトガニつきましてはカブニ君,アユモドキにつきましてはアユモドキチ君という名称のようでございます。県といたしましては,これら各地域の熱意ある保護活動が何よりも重要であると考えておりまして,それぞれの取り組みを支援してまいりたいと存じます。
 淡水魚についてでありますが,本県の三大河川に全国的に見ても非常に多くの種類の淡水魚が生育をしているということは,本県が豊かな自然に恵まれていることのあらわれでありまして,ホームページや広報紙への掲載などによりまして,県民への周知を図りますとともに,全国に対してもこれをアピールしてまいりたいと思います。
 また,お話の岐阜県のような淡水魚を通じた体験型環境学習施設の整備ということにつきましては,これは困難な問題であろうと思いますが,既に市町村や民間におきまして,展示,観察施設の整備や水辺教室の開催など,地域の淡水魚を通じた環境学習が数多く行われているところでありまして,県といたしましては,これらに対しまして講師派遣や情報提供によって学習活動への支援に努めてまいりたいと存じます。
 次に,環境教育等についてであります。
 まず,環境教育の指針でありますが,県では,現行の環境基本計画に盛り込まれました環境教育の分野を環境教育推進法第8条の方針と位置づけまして,その推進に取り組んでいるところであります。しかし,温暖化を初めとする地球環境問題が深刻化する中で,その解決を図っていくためには,個々人が地球的視野に立った環境保全意識を持つということが極めて重要であると考えております。このため,現在策定中の新たな環境基本計画では,環境教育を重要な柱の一つとして,ESDの考え方を踏まえ,充実していくことといたしておりまして,この計画を県の新しい方針といたしたいと考えております。
 ESDの取り組みについてでありますが,ESDは環境を初め開発,貧困,資源,人口など地球の持続可能性にかかわる幅広い分野の問題に身近なところから取り組み,持続可能な社会づくりの担い手となる個々人を育成する大変意義深いものであると認識いたしております。お話いただきました岡山市における取り組みは,まさにその実践でありまして,県といたしましては,こうした地域でのESDの活動が県内全体に広まっていくように,普及啓発に努めてまいりたいと存じます。

(農林水産部長)  環境政策等に関し,おかやま森づくり県民税についてでございますが,この税を活用して実施しているそれぞれの事業が森林の持つ公益的機能の発揮に果たす役割や効果などを県民にわかりやすく説明するため,これまで,新聞,テレビ等の各種広報媒体を活用したPRやパンフレットの配布,ホームページなどにより,事業の目的,使途の公表を行ってきたところでございます。さらに,今年度は,県民税の導入4年目を迎えますことから,これまでの事業の目的や成果を紹介する映像資料を作成いたしますとともに,県北と県南の2カ所においてシンポジウムを開催することとしております。今後,こうした取り組みの中で,この税金の創設経緯を十分踏まえ,御指摘のありました税創設の趣旨,仕組み,税収額,事業費等もあわせて明確にさらにわかりやすく県民に示し,貴重なこの税金を真に必要な森林保全対策に限って活用していることを説明してまいりたいと存じます。

(教育長)  まず,環境教育の指針についてでありますが,学校では,教育基本法や学習指導要領に基づくとともに,学校や地域の実情等を踏まえ,さらにESD等の新しい動きも取り入れながら,子供たちが環境問題を身近な問題として主体的に考え,取り組み,実践的な態度を身につけるよう,環境教育に取り組んでおります。県教育委員会としましては,県が新たに策定いたします環境基本計画を岡山県における環境教育の指針と考えておりまして,その策定に協力してまいりたいと考えております。
 次に,ESDの取り組みについてでありますが,お話の岡山市京山地区では,公民館を核にした企業や市民団体等との連携のもとで,小中高校生や地域の人々がともに環境学習を進めております。こうした地域を挙げた取り組みがESDの趣旨に沿ったものとして評価されていると考えております。県教育委員会としましては,本年11月に岡山で開催いたします全国生涯学習フェスティバルや全国環境学習フェアで,こうした先進的な取り組みを広く紹介いたしますとともに,ESDの活動を市町村教育委員会等に周知し,県内に広がるよう取り組んでまいりたいと考えております。



<平成18年6月定例会>(2006年6月21日)

(佐藤)  最近,私もいろんな場面であいさつというのがございますが,「岡山県もなかなか景気がよい話はありません。でも,昨年は国体,ことしはプレデスティネーションキャンペーン,来年19年は生涯学習フェスティバル,21年には全国都市緑化おかやまフェア,22年には国民文化祭があります。楽しみですね」と,そういう話をすると,「そがなイベントばあするお金があるんなら,税金をちいと安うしてくれえ」と,このようなことでかえって怒られているきょうこのごろでございます。個人的には,事業費がどこから捻出されるにせよ,こうした大きなイベントは少なくとも私は何もしないよりはさまざまに活性化すると思いますし,しかしこれはなければないでやっていけるのかなとも思ったりしますし,それぞれの事業に意味があるのは当然でありますが,行政の行う大イベントは,非日常性と継続性の相克もあるように思います。「快適生活県おかやま」の実現を目指して,現在2020年ごろを目標とした長期的構想を含む次期夢づくりプランを策定されているところでもあり,県民の皆様に夢と希望を与えるために,多分野にわたる施策事業を展開される中でも,何かやっぱりこういう大イベントというのは続けてしなくてはいけないんだという理念,熱い思いを御教示ください。
 また,現在は向こう5年分の大ネタでございますけれども,5年先以降の夢や希望が持てる全国規模の大イベントの御予定がありましたらお知らせください。
 一方で,こうした大イベントは,かかわり方も問題もあると思います。昨年の「晴れの国おかやま国体」,「輝いて!おかやま大会」で一切の感動が得られず,あれはむだでしたという方がおられたら,それはもう単にかかわり方が悪かったのではないですかと,悲しむべきことだと思います。そうした中,全国都市緑化フェアについては,会場の面積や入場者数がしばしば問題として取り上げられますが,開催要綱の第1条にあるように,その目的は,「国,地方公共団体及び民間の協力による都市緑化を全国的に推進し,もって緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与すること」であり,会場は主会場だけではありませんし,また,その効果はすべて経済効果として換算できるものでもないと私は考えます。むしろ新しい緑を生み出す西大寺会場と緑の財産を生かす岡山城・後楽園会場のみならず,全国に誇る西川緑道公園のように,岡山市の都市部がどれだけ緑化されたかが問題ではないでしょうか。それが全県の都市緑化のモデルになるという発想こそが重要だと思いますが,知事の御認識をお聞かせください。
 また,開催の基本的事項については,ある意味要件も緩く,オリジナリティーが十分に発揮できるものであります。そうした点では,基本構想に示された開催理念の中に,CO2の吸収量を高めるといった環境施策の視点をもっともっと強く打ち出すべきではなかったのか,また,森づくり県民税の活用実態や森林保全の大切さを都市においてこそ啓蒙するといった岡山独自の視点を加味すべきだと思いますが,御認識をお聞かせください。
 さらに,協働をうたうのならば,国体の花いっぱい運動のように,会場内や周辺のみならず,ビルの屋上緑化やビオトープの設置はもちろん,街路や商店街や住宅地を含めて,一人一花,一会社一鉢運動といった,市民・県民運動を展開するなど,一過性のイベントやお祭りといったものではなく,30年後に評価されるような継続性永続性のある都市緑化運動をあわせて推進すべきであると考えますが,御認識をお聞かせください。

(知事)  次に,イベントの関連でございますが,継続の理念等についてでありますが,5年先以降の全国規模のイベントにつきまして,現時点で開催が確定しているものはありませんが,お話の国体や国民文化祭のように,本県のよさを全国にアピールしたり,地域が活性化し,本県の発展につながるような全国規模の大イベントを開催するということは,県政の推進にとりまして非常に有意義であると考えております。このため,厳しい財政状況ではございますが,費用対効果も十分に考慮しながら,こうした効果の大きいイベントにつきましては,今後とも,誘致・開催に向け,検討を進めてまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアへの認識でありますが,都市緑化フェアは都市緑化を推進し,緑豊かな潤いのあるまちづくりに寄与する目的で開催するものであります。このため,メイン会場の西大寺地区やサブ会場であります岡山城・後楽園等を初め,県下全域で多くの県民が参加する協賛事業を通じまして,全県的に県民の緑化意識の向上を図るということが重要であると考えております。
 岡山県独自の視点でありますが,さきに取りまとめた基本構想において,フェア開催方針の一つに,環境に優しい暮らしを位置づけまして,環境施策の視点を打ち出しております。また,お話いただきました森づくり県民税の活用実態など,岡山独自の視点につきましては,今後策定する基本計画の中で具体的に検討を進めてまいりたいと存じます。
 都市緑化運動の推進でありますが,都市緑化フェアについては,緑豊かなまちづくりを体験から実践に広げる機会であると位置づけておりまして,開催によって県民の緑化意識を高めますとともに,全県的な緑化運動に発展させることが重要であると考えております。このため,お話のように,都市緑化運動につきましては,永続性のある運動として推進する必要がありまして,フェア開催を契機として,広く県民やNPOなどと協働いたしまして取り組んでまいりたいと存じます。

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