2005年11月9日(水)
【淡水の児島湖と汽水の湖山池】

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 本日は、「児島湖をきれいにする議員懇談会」の4年に一度の県外調査。事務局長としての私の発案で、鳥取県の「湖山池」を訪ねました。参加は、所属33人中10人で、往復だけで6時間。少し、遠足の風情もありました。
 実は、各地の役員と有村治子、田村耕太郎両参議院議員が来岡されて、自由民主党青年部・青年局中国ブロック会議が開催されていて、そちらに若手議員は、大挙参加。いかなる理由で行事に不参加であれ、所属議員が毎月積み立てている会費をこういう機会に使う恐ろしい事務局長であるため、比較的潤沢な予算で、解禁されたカニを賀露町で食べたことは、正直に白状せねばなりません。参加人数が少ないほど食事が良くなるわけですが、これは、日頃の行いというか、もう巡り合わせということで致し方ありません。
 ただ、肝心の湖山池ですが、かなり児島湖と状況が違います。
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 さて、まずは、児島湖についてですが、2004年度の化学的酸素要求量(CDO)は、環境基準5mg毎リットルを大きく超える9mgで、汚濁は、いまだ解消されていません。

 県は、湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)に基づき、1986年以来、5年毎に水質保全計画を策定していますが、湖底のヘドロ浚渫、下水道整備等々に、国費中心に、既に5000億円以上突っ込んでも、効果が現れているとは言い難いものがあります。

 4期計画は、本年度末で期限切れ。今年6月施行の改正湖沼法の内容を受け、第5期の計画策定を進めています。また、ユスリカの発生状況や湖水の透明度、悪臭の数値化も、「水質補助指標」として設定することも検討中です。


 一方で、鳥取市東部にある日本最大の池である湖山池は、昭和40年代から都市化の進展、生活習慣の変化で、近年は、アオコが異常発生するなどしていますが、湖沼法の指定は受けておらず、県が、独自に水質管理計画を立てています。
 ちなみに、CODは、16年度で、5.1mg。今年度を中間目標年度とする22年度までの第2期計画の目標は、3mg。

 ユスリカも、大きな問題と捉えられておらず、30年代からシジミは、採れなくなったとはいえ、ワカサギやテナガエビが主な水産物ということで、もう一つ参考になり難いものがありました。ていうか〜、児島湖は、全国ワースト4位という極端な大問題であるということです。

 実は、4,5年前、企業のコンペで、強化実験をやった後日談を伺いたかったのですが、残念ながら池全体への具体的な効果があると認め難く、事業化されていませんでした。
 産学官の連携というのも、これからのようでありました。



 ただ、湖山池の特徴として、この11月からの「塩分導入実証試験開始」という物凄い取組みがあります。端的には、塩分濃度をかっての水準に戻すことによって、水質浄化の効果を確かめるというものです。

 湖山池は、かって千代川の河口付近に流れ込んでいましたが、昭和57年の河口付け替え(新鳥取港)により、直接、海に流れ込むようになりました。
 その結果、湖山池に、海水が逆流、塩分濃度が上昇し、灌漑用水として池の水を使っていた水田に影響、水門を閉じました。そのことで、魚類の遡上が阻まれました。

 ここからは、極めて微妙な政治問題ではないかと推察します。湖山池の漁業権を主張する漁協側と農協側の両サイドから陳情が出て、公聴会、シンポジウムを重ねに重ねて、潅漑期には、水稲の生育に影響がないとされる300ppmに、冬場は、500ppmまで塩素イオン濃度を上げる実験をします。現在は、150ppm〜330ppmということですが、河口付け替え以前の平均値まで戻すということです。
 換言すれば、漁協と農協の落とし所の数字なのかなとも思います。

 生活雑排水の流入等でも、水質汚濁が進んだはずで、生息する魚類が減ったのが、塩分濃度だけの問題であるのか不明ですが、ともかく、塩分濃度の低下が汚濁を加速したことは否めないと、実験は、平成20年度まで続けられます。
 個人的には、つまりは、水質汚濁が進んだ池の水を海水で薄めるということかな?とも思います。
 まずは、水質が浄化され、漁獲量が上がり、水稲に影響がないというのが、実験の成功を意味するのでしょう。


 これを児島湖に置き換えるとどうなるのか?

 いうまでもなく、児島湖は、児島湖干拓地の農地を支えるために締め切ったものです。もちろん、その直接の契機は、干拓地が、上流からの水に頼らないため灌漑用水を確保するということですが、昨年と同じような台風、満潮、大潮が重なり、干拓地への甚大な被害が、それを大きく動かすことになりました。

 潮入り川と言われる笹が瀬川周辺、干拓地の歴史は、塩害との戦いの歴史と言っても過言ではないでしょう。そうした中、児島湖という灌漑用水の塩分濃度という議論は、私は、あまり聞いたことがありませんでした。
 少なくとも、児島湖自体は、比重の関係もあり、一応は、淡水湖と誰もが思っており、塩分濃度を問題にすること自体が、前提となっていなかったように思います。

 児島湖浄化のために、締め切り堤防を上げろという乱暴な話は、聞きますが、データを持って示されてはいませんでした。
 そういった意味では、この湖山池の実験は、注目に値します。

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