2003年8月16日(土) 【水源かん養税について】

 平成14年3月に、岡山県税制懇話会からの提案に基づき、検討されている「水源かん養税」。

 税の創設目的「水源かん養機能をはじめとする森林の多面的機能を維持保全するために、全ての県民に負担を求めていくとともに、その負担を通じて、県民に森林の大切さを知ってもらい、県民が一体となって、森林の維持保全に取り組むことを目指す」という目的は、概ね理解の得られるところです。


 しかし、問題は、徴税方式。水道普及率が低く税負担の公平性が保てない地域があること(井戸水を水源とする水道事業者からの供給か直接取水か。奥津町の水道普及率16.4%)、低所得者への全県的な配慮が困難である(水道料金の減免制度が市町村によって異なる)ことなど課題が山積み。

 さらに、徴税コスト等について、水道事業者(市町村)がどう負担するのかなど、要は、「水源かん養税」自体の再検討を迫られています。岡山市水道局などは、県独自で、水道事業者に、きちんとした説明・調整もなく導入するということ自体に、否定的でありましたし、私も、そういう立場でありました。

 そうした結果、どうも、本年4月から高知県が「森林環境税」として導入した、「県民税均等割超過課税」という課税方式になることが有力かと思われます。

 つまり、端的には、水道使用への課税ではなく、県民税そのものが一律に上がるということですが、これが、徴収がややこしくなる法定外目的税として創設するのではないでないとすれば、要は、普通税であり、森林保全のためという、税の目的や使途が不明確となる恐れがあります。
 そこをどうやって縛りをかけられるか、これから検討という段階です。


 ところで、法定外目的税として、一足早く、この4月より導入された産業廃棄物処理税ですが、この3ヶ月で、年間(11ヶ月)の申告見込み額である約7億2000万円の約40%増で推移。
 また、納税状況も、当初2ヶ月は、100%を達成。

 問題は、産業廃棄物の発生抑制、リサイクルの促進、最終処分場の減量化という目的が、いかにこれから達成できるかということで、それができねば、ただの増税です。


 私も、法定外目的税と言えるかどうか、過去にペット税と自転車税の創設を主張したことがありましたが、これは相手にされず。

 東京都の銀行狙い撃ちの外見標準課税も訴訟になったわけで、地方自治体が、独自に課税するというのは、自由にやってみろと言われても、なかなかに難しいものがあります。

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