過去の岡山県議会一般質問集 <安全安心まちづくり>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  最後に,警察本部長に伺います。
 岡山駅前のイオンモールの進出について,社会実験を行いたいという岡山市の要請に対して,結局認められることはございませんでしたが,実はこれは中心市街地の交通渋滞を見るためだけの実験では決してなく,むしろ岡山県の立場からは,いわゆる中心市街地へのアクセスポイントの渋滞状況を見るためにも,非常に重要なものだったと私は思います。特に岡山インターチェンジから旧いずみ町の交番前はもちろん,山陽インターチェンジや早島インターチェンジ,さらには岡山バイパスの各合流点については,土日,祝日など全く影響が出ないものととても思えません。現状でこうした岡山市中心部へのアクセスポイントの渋滞予測,それに対する対応をどのように考えておられるかお伺いをいたします。
 また,3年連続で少年非行率が全国ワーストワンになっておりますが,そのうち半数以上が中学生,半数近くが岡山市の少年です。イオンモールはまさに新たな繁華街の創出により広域から少年が集まることで少年非行の温床にならないように願うばかりでありますけれども,補導体制の強化を含めて非行防止対策についてお伺いをいたします。

 ところで,本部長は2008年8月から2011年3月まで富山県警本部長を務めておられました。その間,2009年12月23日には富山市の路面電車環状化が完成しており,県警本部長として道路への路面電車新設導入,つまり道路空間を減らして路面電車導入を担当していたことになられます。LRT導入については,岡山のほうが早かったのに,コンパクトシティーという考え方からしても,J2では優位に立っているんですけれども,富山と今大きく水をあけられた感がございます。今後,本来イオンモールの進出よりも先立っている必要があった岡山市の進めるJR岡山駅前の路面電車の乗り入れやJR吉備線のLRT化など御指導いただきたいと思いますが,その当時の感想も含めて御所見をお聞かせください。

(警察本部長)  お答えいたします。
 イオンモール岡山の進出についての御質問のうち,まず岡山市中心部へのアクセスポイントの渋滞予測等につきましては,議員御指摘のアクセスポイントから岡山市中心部への流出ルートである国道53号や国道2号バイパス等で昨年同時期の休日におけるピーク時の状況においても,それぞれ渋滞が発生しているところであり,これにイオンモール岡山への来・退店車両が加わることとなるため,現段階で具体的にどこがどの程度渋滞するのかという予測は困難ですが,これらの路線のアクセスポイント付近の交通渋滞はさらに厳しさを増すものと予測いたしております。
 このため,県警察といたしましては,事業者はもとより関係機関等と連携して,交通監視カメラや車両感知器等による交通情報の的確な把握,ラジオや交通情報板等による渋滞・迂回情報の提供,交通誘導員や看板による案内・誘導,交通実態に即したタイムリーな信号制御を行うこととあわせて,公共交通機関の利用や臨時駐車場の活用を促進する広報等の諸施策を総合的に推進し,交通総量抑制対策を進めていくこととしております。
 次に,非行防止対策につきましては,大型商業施設の出店に伴い万引きや自転車盗などの初発型非行,少年の蝟集問題等の発生が懸念されます。このため,県警察といたしましては,商業施設内に設置予定の警察官立寄所を拠点として,開店後の状況を見きわめながら,状況に応じ警察官等によるパトロールを行うとともに,関係機関,ボランティア等と協働して補導活動等を推進するなど,非行や蝟集等の問題を生じさせないよう努めてまいる考えであります。
 また,犯罪の起きにくい環境を整備する観点から,事業者に対し店舗内外への防犯カメラの設置や警備員による警戒強化,商品へのより広範な防犯タグの取りつけ,盗難防止装置つき駐輪場の整備,閉店後におけるオートバイ,自転車等の乗り入れ禁止措置等を働きかけているほか,万引き被害に遭いにくい商品の陳列方法等のアドバイスを行うこととしております。
 また,岡山市に対しても,地下通路等への防犯カメラの設置拡充等について働きかけを行っております。
 県警察としては,今後とも,こうした対策を着実に推進し,非行事案の防止を図ってまいる考えであります。

 最後に,JR岡山駅への路面電車の乗り入れ等についてお答えします。
 JR岡山駅への路面電車の乗り入れやJR吉備線のLRT化につきましては,公共交通機関の利便性の向上につながる施策であり,形態によっては交通の安全や円滑面に支障を及ぼすおそれもありますものの,基本的には自動車から公共交通機関への転換を促進し,自動車交通量の抑制につながる効果も期待できるものと認識しています。
 ちなみに本年8月に岡山市等によって新たに設置された路面電車岡山駅前広場乗り入れ計画案調査検討会や吉備線LRT化基本計画検討協議会において,整備の基本方針等について協議が現在始まったところであり,県警察はオブザーバーとして参加しているところですが,今後とも,関係機関,団体との緊密な連携のもとに,交通管理者として交通の安全と円滑の観点から必要な意見を申し上げ,よりよい交通環境の確立に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  要望にとどめさせていただきますけれども,先ほどイオンモール岡山が進出したときに周辺部どこが渋滞するかわからないというのは,これは大変なことでございまして,我々南のほうにおりましたら,大体どこが渋滞しとるかわかるわけでありますが,せめてその部分を把握していただきたいということが1つと,そして何よりコンパクトシティーの話でありますが,これは決して中心市街地の再開発,活性化とイコールの話ばかりではありません。言うまでもなく,自動車をちょっと外に出しながら,公共交通機関を整備して,例えばLRTであったり,あるいは何よりいつも申し上げる自転車であったり,あるいは歩行者の方であったり,いわゆる自動車に頼らない公共交通機関や自転車や歩行者が歩ける,そうした街をつくっていこうという発想もあると思います。その中で,今回のイオンモール岡山の進出は,若干ちょっと矛盾しているわけでありますが,これからコンパクトシティーをつくっていく中で,やはり警察の方の御指導というのが大変に重要になると思いますし,とりわけ富山で大変今成功している事例があるということで,ぜひとも本部長の温かい御指導を賜りますことをお願い申し上げて,質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。



<平成20年12月定例会>(2008年12月9日)

(佐藤)  最後に,このたび現東警察署が中央警察署になるという発表がなされました。私はかねてから,岡山市内を流れる西川の東西で現西警察署と現東警察署の所管が分かれて,桃太郎大通りを通す事業でも警察の所管をまたぐ,そんな不都合があったり,暴走族対策など問題があるんじゃないかということで,中央警察署をつくるべきだと申し上げておりました。
 しかも,岡山市が政令市の区割りをするに際して,区名制定に際しては,他の区に比べて中央──セントラルという言葉は使わないということで方角で決したわけでございますが,現東警察署が新中区の所管だけにおさまらず旭川の西側の新北区を含んで,これは中警察署と名乗られないことから,今回の名称をやむなく提案されております。その結果,現在のRSKメディアコムに中区役所ができて,向かいに中央警察署ができることになるわけでございますが,中央という名称でない後楽園警察署のような名称が使えなかったのか。さらに,この機に西川で所管を分けるのではなくて,岡山駅東口で所管を分けて,中心市街地をすべて所管にすれば,現東警察署が中央警察署を名乗れる,これも理解できると思いますが,こうした今後の警察の所管のあり方について,警察本部長の見解をお知らせください。
 次に,幾つか交通関係行政について伺います。
 先般,岡山県交通警察協助員発足40周年記念大会が開催されましたが,交通警察協助員は,1962年に前身となる交通モニターが県内各署単位で発足し,より地域に密着した活動を進めようと68年から現制度となって,現在は登下校の見守りや個別訪問といった交通安全活動に約800人がボランティアで従事されています。交通安全活動に特に関心を持って,人格及び識見が卓越していて,その地域職域の住民から尊敬と信頼がある方々が毎朝街頭に立って子供たちを見守ってくださっており,本当に頭が下がる思いでございます。しかし,警察官の行う交通安全活動の一番の協力者であるにもかかわらず,研修会や警察との連絡協議会,さらにはパトカー通過時に一声かけるなどの警察側からのコミュニケーションの働きかけが不足で,十分に感謝が表現できていないと思います。安全・安心のまちづくりということで,今多くの地域住民がみずから街頭に立たれることが多くなっていますが,警察サイドからもそれを当たり前のこととせず,地域を守る仲間として,あるいはその仲間の代表として警察がある,そういうマインドが常に必要だと思います。警察本部長の御所見をお聞かせください。

(警察本部長)  岡山市内警察署の所管のあり方等についてであります。
 まず,警察署の名称変更についてでありますが,警察署の名称は,警察法施行令により,県の名前の下に管轄区域内の主要な市区町村名を冠することと定められております。政令市への移行に伴いまして,岡山市の警察署の名称をできる限り新たな区名と平仄をとるとの方針のもとに検討をいたしました。その結果,現在の岡山東警察署は,中区のほか,北区内の市内中心部も合わせて受け持つこと,また全国的に見ましても,同様のケースでは中央という用語を使用した警察署の名が用いられていることなどから岡山中央警察署とする方針としたところであります。
 次に,警察署の管轄区域の見直しについてでありますが,現在の岡山東,西両署は,大正10年3月に誕生し,その際岡山市内の西川を署境と定め,今日に至っております。しかしながら,現在の状況を見ますと,岡山市中心部の桃太郎大通りを二分していることなどに加え,業務負担の面からも両署の管轄区域の見直しは一つの課題であると認識しております。ただ,実際の管轄区域見直し作業は,関係機関・団体との調整等にかなりの時間を要することなどから,今回の政令市移行に当たっては警察署名の変更にとどめたところでございます。
 このようなことから,県警察といたしましては,まず来年4月1日の岡山市の政令市移行に伴う警察署の名称変更の円滑な実施に向けて,県議会の皆様の御理解もいただきながら,条例改正案の提出や広報啓発活動を初めとする諸準備を進めてまいります。そして,その後において,岡山市内の警察署管轄区域の見直しについて必要な検討をしてまいりたいと考えております。
 次に,交通警察協助員とのコミュニケーションについてであります。
 交通警察協助員は,街頭活動など,警察官の行う交通安全活動への協力や良好な道路環境づくりへの推進等の任務を担うボランティアの方として全国に先駆けて発足し,本年で40周年を迎えております。この間,交通警察協助員の方々は,制服を着用されて,通学時間帯における学童等の保護誘導活動を初め,地域の交通安全活動のリーダーとして熱心に活動していただいており,深く感謝をしております。しかしながら,残念なことに,一部の地域ではありますが,警察官の中にボランティアの方に対する認識の不足から,交通警察協助員の方との連携や交流が十分でない状況も見受けられているところであります。このため,県警察といたしましては,交通警察協助員等ボランティアの方々との意見交換等の機会をより一層設けるなどして,きめ細かい意思疎通や連携を図りたいと考えております。県警察の抱えている交通安全や地域安全の課題を解決するためには,ひとり警察のみの活動ではなし得ず,ボランティアの皆様方の御協力が不可欠であります。私といたしましても,警察関係団体等のボランティア活動に対する感謝と敬意の念を再認識いたしまして,今後とも,交通警察協助員等ボランティア団体の方々と連携を強化し,交通事故抑止対策も含め,安全・安心のまちづくりのため,警察活動を推進してまいりたいと考えております。



<平成17年11月定例会>(2005年12月8日)

(佐藤)  最後に,保護司制度についてお伺いいたします。
 罪を犯した人の立ち直りを援助したり犯罪予防のためのさまざまな活動を行う更生保護の分野では,日本ではその草分けの段階から民間人による関与が見られることが特徴となっていますが,保護司制度は戦後すぐの昭和24年7月に施行された犯罪者予防更生法に始まり,昭和25年5月に施行された保護司法によって現在の姿となりました。保護司は,地方更生保護委員会・保護観察所の指揮監督を受けながら法務省職員の保護観察官と協力して,保護観察対象者の改善更生を図り,個人と公共の福祉に寄与する重要な役割を担っております。保護監察官は国家公務員でありますが,保護司は法務大臣によって委嘱された無給で非常勤の国家公務員であります。刑務所からの仮出所や保護観察つき執行猶予判決が確定した元被告,少年院からの仮退院者らについて,保護観察中は月二,三回程度面接して相談に乗るなど,社会復帰を支援しておられます。
 岡山県内には,平成17年12月1日現在で997名が14の保護区に配属されており,保護観察を受けている人が約1,200名,強制施設に収容されている人が約850人あって,保護司などの指導を受けて改善・更生への努力を続けています。また,保護観察所を拠点に,被害者支援官を新設させて,保護司が被害者支援のために活動を行うという方針も示されて,今後ますます保護司の役割が重要になってまいります。しかし一方で,ことし5月少女監禁事件など,保護観察中の再犯事案が相次いで,保護観察制度のあり方が問われているのも事実であります。ところで,更生保護は犯罪や非行した人を取り巻く地域社会の人々の習慣や地域事情などをよく理解した上で行わなければ効果が上がらず,まさに保護司はそのような地域住民の代表でございますが,その定員充足率は県内では1990年の水準にまで落ち込んでいます。昨年春から76歳以上の方は再任しない定年制が完全実施されて,退任者が大幅にふえたためでありますが,保護司の7割近くが60歳以上の方々で,この10年間の間に退任時期を迎えられ,しかも地域社会につながりが希薄になった現在では,後任の確保は極めて困難で,保護司の確保は喫緊の課題となっております。犯罪や非行をその芽のうちに摘み取るための,いわゆる犯罪非行の抑止力としての保護司に求める役割とその期待も年々重みを増しており,行政によるバックアップ体制の確立が今強く求められております。毎年7月を強調月間として実施されます「社会を明るくする運動」の実施委員会委員長でもあられる石井知事は,そんな保護司の役割支援についてどのような認識と御見解をお持ちか,お伺いいたします。
 とりわけ教育の最前線である学校現場と保護司との連携強化についてもいかがお考えでしょうか。
 ところで,これに関連して,例えば,昨年11月に発生した奈良の女児誘拐殺害事件では,性犯罪のような再犯傾向の強い犯罪について処遇はいかにあるべきか。特別の処遇プログラムを受けさせるなど処遇を強化すべきではないか。また,性犯罪者に関する情報を法務省と警察が共有すべきではないかというような点が問題になりました。さらには,本年2月に発生した愛知県安城市における仮出所者による通り魔殺人事件では,保護観察中の仮出所者に所在不明の者が600名以上いることが問題になりました。こうした状況に対して,また,法務省,県,市町村,警察,民間団体等関係する機関との連携のあり方も大きな課題であると思いますが,警察本部長はいかようにお考えでしょうか。
 最後にあわせて,昨年5月に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立して,平成21年までに裁判員制度が実施されることになりましたが,こうした司法参加についても,ある意味で環境整備や機運を高めていかなければ,かえって県民の皆様にとって大きな負担ととられかねません。現在,裁判所等が行っている広報等にも県も協力すべきだと考えますが,現状を総務部長にお伺いいたします。

(知事)  最後に,保護司の役割等でありますが,保護司は,罪を犯した人の立ち直りの支援や犯罪予防活動など,地域社会において非常に重要かつ困難な業務を遂行されておりまして,熱意と使命感にあふれ,献身的に御尽力いただく姿に深く敬意をあらわさせていただく次第であります。だれもが安心して暮らせる社会の形成,青少年の健全な育成を図っていく上で,保護司の役割はますます重要になるものと考えております。県といたしましては,「社会を明るくする運動」への協力や保護司への知事感謝状の授与などを行っているところでありまして,また,保護司会連合会には「青少年問題を考え,行動する100人委員会」にも御参加いただいておりまして,今後とも連携して青少年非行防止対策などの推進に努めてまいりたいと存じます。
 また,学校現場との連携でありますが,県教育委員会からの説明によりますれば,児童生徒の問題行動に対応するために,学校が関係機関等とサポートチームを組織する際などにおいて,保護司の方に参加いただいている例もあって,今後とも連携を強化していく必要があると考えているとのことでございます。

(総務部長)  司法参加についてでございますけれども,裁判員制度につきましては,既に法整備も終わりまして,三権分立でいいますところの行政ではなく,司法を担う裁判所が主体となって,広報,パンフレット等により周知を図っているものと承知しております。本県におきましても,11月27日に「裁判員制度全国フォーラムin岡山」が開催されたところでございまして,岡山県といたしましても,法務省とともにこれを後援したところでございます。今後も,裁判所等からの要請がありましたら協力してまいりたいと,かように考えているところでございます。

(警察本部長)  最後に,再犯防止措置に伴う関係機関との連携についてであります。
 議員御指摘の性犯罪者に関する情報の共有につきましては,本年6月1日から子供を対象とした暴力的性犯罪で服役した者の出所情報を法務省から受けて,再犯防止に向けた措置を行っているところであります。また,本年12月1日から,保護観察中の所在不明者による再犯を防止するため,法務省の保護観察所が不明者情報を警察に通知し,警察が所在確認に協力する新たな制度を開始しております。県警察といたしましては,これらの制度が実効あるものとなりますよう,所在確認や発見時の通報等について,保護観察所等の関係機関と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
 なお,自治体や民間団体等との連携につきましては,出所者の氏名等の情報は個人のプライバシーに係るものであるため,その提供は困難であると判断しております。しかしながら,犯罪情報や不審者情報につきましては,地域安全ニュース,県警ホームページ「くらしの安全WebMap」等により,関係機関はもとより広く自主パトロール隊等に提供して,所要の連携を図っているところでございます。



<平成17年9月定例会>(2005年9月27日)

(佐藤)  最後に,治安対策の具体的な実務について,公安委員長ではなくて警察本部長にお伺いいたします。
 「晴れの国おかやま国体」秋季大会が迫って,県外から多くのお客様が来られますが,夏季国体においても,非常に多くの選手,大会関係者を岡山市内中心部でお見かけいたしました。田町,中央町,柳町かいわいはもちろん,意外に裏通りまで行かれるもんだなあというふうに思いましたが,もちろん健全な岡山の夜を楽しんではいただきたいのですが,同時に,週末の深夜の岡山駅前周辺の状況を見るにつけて,果たしてベストな成績を出していただけるのか,静かで安心・安全な夜を選手の皆さんに提供できるのか,私は少なからずの不安を感じております。私は,基本的には,岡山市内においては,中心部を流れる西川で東署と西署の所管を分けるのではなくて,むしろ岡山中央警察署の設置を強く望みますし,また,国体期間中は,願わくば暫定的にでも,岡山中央分署を設けたり,岡山駅前周辺を初め県内各地の深夜の警察力を強化すべきと考えますが,まずもって方針をお知らせください。
 さて,議会で何度も取り上げさせていただきましたが,爆音暴走族対策につきましては,懸命の御努力をいただいております。確かに減ってきた,本当にありがたいことでございます。しかし,暴走族でなくて,いわゆるコンビニの前にたむろする周回族については,私は根本的な解決がなされているとは思いません。何か間違いが起きねばよいがと祈らずにおられません。ただ,そういうときに,やはり頼りになるのは私は交番ではないかなというふうに思います。従来は,検挙にまさる防犯なしとされ,検挙率を上げることが治安に対する信用であるとされていましたが,犯罪の検挙率は,もう御案内のとおり,近年悪化の一途をたどっておるわけで,防犯へのアプローチの変更自体が求められ,要は,犯罪をする機会がなければ犯罪はないんだと,検挙中心から予防中心にシフトしていくと思います。そうした中,地域社会と密着して犯罪を抑止してきたのは,やはりこれは世界に誇る日本の交番システムではないかというふうに考えます。「新世紀おかやま夢づくりプラン」に沿って,平成19年4月には,空き交番については解消を目指されているのは承知しておりますし,交番相談員制度として,警察官OBの方々が配置されて,地理案内や遺失物届の受理など,交番勤務員の支援業務にも従事しておられますが,しかし,地域住民にとって,いつ交番に行っても人がいないじゃないかというのは,むしろ昼ではなくて夜が問題であります。このようなことから,まずは夜間における交番等の運用状況についてお伺いいたします。
 また,交番相談員の時差出勤等を導入した交番相談員の複数配置交番を実現させる必要があると思いますが,IT先進県岡山としては,交番緊急対応システムとして,ADSLや光ファイバーでブロードバンド接続したIPテレビ電話を交番に設置してはいかがでしょうか。交番勤務の警官の方が不在のときに,離れた場所の県警職員と来訪者がお互いの顔を見ながら24時間対応ができますし,センサーが来訪者を自動で感知するため,操作不要で,高齢者や幼児でも使えるメリットがあります。
 また,いわゆる民間交番というのがございます。罪刑法定主義をとっている我が国においては,公権力の行使にかかわることは原則としてこれはもちろん警察の仕事であります。しかし,交番の機能は,公権力のこうした行使の拠点にとどまらず,先ほど申し上げたような道案内や防犯活動から地域社会のトラブル相談まで,非常に多岐にわたっている中で,地域コミュニティーと密接に連携した新しい交番システムとして,民間交番というのが今登場しています。警視庁では,空き交番解消策の一環として,民間の防犯団体などに無償貸与して,ボランティアが常駐して道案内するなど,民間交番としての活用のほか,地域住民の防犯活動の拠点パトロールの際の集合場所や待機場所といった一時的な拠点としての利用も可能にする方針を固めました。まさに,空き交番が住民自身による治安のシンボル的存在として,市民との協働と防犯を両立させる仕組みであります。
 また,総務省がまとめた「地域安心安全アクションプラン」では「地域活性化の大前提として,身近な生活空間における安心・安全の確立が不可欠」と明記して,消防団などの自主防災組織や自治会,商店街などが市町村や警察,消防と連携して,地域の安全を守る地域の防犯・防災の拠点を「地域安心安全ステーション」と名づけて,公民館や消防団詰所などに民間交番の役割を持たせて,これを小学校の校区ごとに設置する,このようにしています。今回,交番や駐在所の見直しというのが行われておるわけでございますが,こうして廃止となる交番,駐在所の活用方法として,こうした民間交番の観点を入れての活用ができればいいなと思うんですが,この点についていかがお考えでしょうか。
 加えて,昨今の交番というのは,美観を意識してか,むしろ町の中に溶け込んでしまい,駆け込もうにも交番を探すのに地理案内が必要な状況であります。もちろん,観光地でそういう意味合いはわかるんですけれども,例えばそこに交番があることがわかっている人間にしかあることがわからないような,例を出して恐縮ですが,ビルの中にある柳川交番の形状が果たして観光客の方に認識しやすいでしょうか。昨年の6月定例会でも申しましたが,兵庫県のように,例えば交通標識の横に「右折500メートルに〇〇交番」,「直進300メートルに〇〇交番」と,このように表示しておれば,それだけで治安の確保,さらには犯罪抑止効果があると考えます。交番の数をふやせずとも,案内看板をふやすことで抑止力が高まると私は確信しておりますが,いかがでしょうか。
 関連して,治安面の大きな不安は,真夜中にコンビニエンスストアや24時間営業の大型店の駐車場で,若者たちが集まり,大声を出して騒いでいるというものであります。周回族は,まさにガのように,24時間営業の店の前を周回しているわけですが,地域住民も,注意しようにも多勢に無勢で怖くてできない状況にあります。さらに,24時間営業の店は,子供たちの深夜の外出先であったり,コンビニATMの設置等がふえたにもかかわらず,治安が低下するという非常に危険な時間も営業しているために,非行や犯罪の温床になっているのではないかという声が非常に強くあります。しかし,本部と加盟者によって締結されるフランチャイズ契約において,一定の営業時間が定められて,深夜営業が加盟店に義務づけられている例もあり,また,サービス業の24時間営業に関して,パチンコ店など一部の風俗営業を除いて24時間営業自体を規制する法律や条例はありませんし,また,深夜駐車場等で騒いでいる者を取り締まる具体的法律もありません。現状では,警察もパトロールを強化するとしか言えないのではないかということも十分理解いたします。ただ,コンビニエンスストアの大手には,深夜営業を中止することを検討する動きも出ております。こうした中,24時間営業店と警察との連携強化,さらには,ある種の規制をかけるべき時期に来ていると考えますが,いかがお考えでしょうか。

(警察本部長)  まず,国体期間中における岡山駅前周辺等の深夜の警察力の強化についてでありますが,県警察といたしましても,国体のために県外から来県される方々の安全や宿泊施設周辺の平穏を確保することは極めて重要であると考えております。このため,夏季大会期間中には,毎日,深夜,岡山駅や倉敷駅の周辺等において,暴走族や周回族の特別交通取り締まりや少年補導活動,歓楽街の浄化活動を強化したところであります。今後,秋季大会や障害者スポーツ大会の開催期間中におきましても,岡山駅,倉敷駅周辺等において,連日,夏季大会と同様の特別取り締まり等を実施し,県外から来県される方々の安全や宿泊施設周辺の平穏の確保に努める方針であります。
 なお,岡山市中心市街地の治安対策につきましては,平成14年度以降,警察官増員の多くを岡山東署や岡山西署に重点的に配置するなど,執行力の強化を図ってきたところであります。その結果,岡山市中心市街地におきましても,犯罪の抑止効果があらわれており,議員御提案の岡山中央警察署や岡山中央分署の新設につきましては,現時点では必要ないものと考えております。
 次に,夜間における交番などの運用状況についてであります。
 夜間における交番勤務員は,在所活動,パトロール,休憩を基本勤務形態としておりますが,街頭におけるパトロール活動の強化に重点を置いた運用を行っているほか,事件・事故発生時の現場臨場などで一時的に交番勤務員が不在となっているところもございます。勤務員が不在となる交番を補完するため,隣接交番勤務員やパトカーの立ち寄りなどの措置を講じているところであります。
 次に,IPテレビ電話の設置についてでありますが,現在の交番での不在対策機器といたしましては,交番勤務員が不在の際,地元住民の方々から交番にかかってきた加入電話を警察署に転送する「ボイスワープ」を県下107カ所の全交番に設置するとともに,来訪者をセンサーで感知して警察署で来訪者に呼びかけ等の対応ができる音声不在応答システムを,岡山,倉敷市内の17交番に設置するなど,不在時の対応をしているところであります。議員御指摘のIPテレビ電話システムの導入につきましては,今後検討してまいりたいと存じますが,当面はこうした不在対策機器を有効に活用していきたいと考えているところでございます。
 次に,今回の交番・駐在所等の配置の見直しにより廃止となる交番・駐在所施設の活用についてであります。
 平成18年4月には,京橋,瓦橋の2交番及び鶴田,梶並,神島外,田治部の4駐在所の計6カ所の施設が廃止となる予定であります。このうち,京橋,瓦橋の両交番及び鶴田,梶並の両駐在所につきましては,施設が比較的新しいことなどから,当分の間,パトカーあるいは交番・駐在所勤務員の立寄所として残し,神島外,田治部の両駐在所につきましては,築後かなりの年数が経過していることから,原則として取り壊し,撤去することとしております。しかしながら,これら6カ所の施設は,地域住民の皆様方などから,地域安全パトロールの拠点として使用したいとの申し出がありました場合などには,施設の老朽度,用途,目的等を検討いたしまして,前向きに対応してまいりたいと考えております。
 次に,交番の場所を示す案内板の増設についてであります。案内板設置の犯罪抑止効果は,判然としておりませんが,案内板により場所がわかりやすくなることは,県民の利便向上にもなるものと考えております。このため,県警察といたしましては,従来の案内板をかえて,より大きな,より遠くからでもわかりやすいものにするため,順次整備を行っているところであります。
 最後に,24時間営業店と警察との連携強化と規制の必要性についてであります。
 県警察といたしましては,24時間営業店の駐車場やその周辺における若者の蝟集などの行為に対しましては,指導,警告,少年補導を行うとともに,違法行為に対しては厳正な取り締まりを行っているところであります。
 また,県警察では,岡山県深夜営業店防犯協議会と,本年4月に臨時の連絡会議を開催し,強盗事件の未然防止対策や深夜の少年等の蝟集時における早期通報等を申し合わせるなど,業界団体との連携強化を図ったところであります。
 一方,コンビニエンスストア業界では,本年7月から自主活動として,「セーフティステーション活動」を開始したところであります。この活動は,地域社会への貢献の一環として,女性,子供が助けを求めてきた場合の安全の確保,近隣住民の迷惑となるたまり場の解消等を行うこととしたものでありまして,県下の560店舗が一斉に取り組みを開始したものであります。県警察では,こうした店舗側の取り組みを積極的に支援するとともに,今後の安全・安心まちづくりに向けてさらなる連携の強化を図っているところであります。
 なお,議員御提案のこの種営業の規制の必要性についてでありますが,この問題は営業の自由や個人の利益等にかかわる重大な事柄でありますので,今後の業界団体の自主規制の動向や社会情勢の変化等を慎重に見きわめる必要があると考えております。



<平成16年6月定例会>(2004年6月15日)

(佐藤)  次に,いわゆるホームレス対策についてお伺いいたします。
 先日,私は,ホームレスの方のお話を伺う機会を得ました。この方は,私と同じ,なぜかしんじさんと名乗る方でございまして,知事公舎が見える旭川の河川敷の橋の下に暮らしておられます。これを書いたときには暮らしておられたんですが,今はいらっしゃらなくなりました。ホームレスの定義はよくわかりませんが,あえて言えば,都市公園,河川,道路,駅舎,その他の施設をゆえなく起居の場所として,日常生活を営んでいる者と言えるかもしれません。見て見ぬふりという言葉がありますが,多くの方々がホームレスの問題については,他人事と決め込み,仮に美観を損なうと考えても,町の風景の一つにあえて落とし込んでしまっています。しかし,一方で,一たびおのれの生活圏に入れば,例えば警察に通報,どこかに追いやることで問題は解決としております。
 実は,ホームレスにかかわる一義的な行政の責任が,国なのか,県なのか,市町村なのかもあいまいであります。確かに,ホームレスの方の中には,手を差し伸べるも何も,自暴自棄で,酒におぼれて人生を投げておられるような方もおられます。が,一方で,何かのきっかけで坂道を転がり落ちるようにして,はい上がれなくなってはいるけれども,どうにかして現状を変えたいと思っている方も多いようであります。アルミなら1キロで80円の缶々を拾い集めて,時には賞味期限切れのコンビニ弁当をちょうだいして生きていくことはできないことはないようでありますが,ある意味でプライドを捨てて,冬を耐えて,病気に耐える暮らしが楽なわけがありません。だれもが,こんなはずではなかったと,心の片隅で思っておられることでしょう。さらに,さまざまな障害をお持ちの方も多いのですが,生活の困窮が,時には犯罪の加害者に走らせることもあれば,逆に社会的弱者として,言われなき暴力の被害者になることもあります。どうあれ,昨今の景気状況や社会情勢を考えれば,ホームレスの方は決して減ることはないんじゃないかと,実はだれもが感じてはいます。都市の問題として,とっくの昔に対策を講じていなければおかしかった話ではないか,私はそのように思います。まずは,橋の下から知事公舎を眺めながら暮らしておられる方がおられるわけでございますが,果たして,知事はいかように,こうしたホームレスの実態を認識されておられるのか,感想を含めてお伺いいたします。
 また,ホームレスの方が犯罪の加害者,または被害者になる実態について,どのように把握されておられるのか,警察本部長にお伺いいたします。
 以下,ホームレス支援策について,提言と質問をさせていただきます。ただ,勘違いしていただきたくないのは,私は,都市公園,河川,道路,駅舎,その他の施設をゆえなく生活の場所として日常生活を営んでいる方の,現在の生活そのものを支援すべきだと,そのようなことを言っているわけではございません。そもそもが,そういう生活自体をしていただきたくない,そのための支援策が必要であると申し上げたいのであります。
 そして,もう一つ,住民票がないからホームレスなのだ,そもそも,そうであれば,岡山県民でもないだろうと,したがって岡山県が支援する必要はさらさらないという意見があるとしたら,まず彼らが憲法25条の生存権が保障された日本国民であること,それに加えて,住民票が岡山県にある岡山県民が,別の町を移動しながらホームレスをして,あるいは御厄介になっている可能性も非常に高いんだということを考えていただきたいと思います。
 思うに,まず必要なのは,いわゆるマトリックス組織を背景にしたホームレス対策に対するワンストップの相談窓口です。彼らが,県庁や市町村役場のどこを尋ねられるでしょう。ホームレスの方の中には,例えば自己破産手続を知らないために,いわゆる法定利息を大きく超えた債務から逃げ,結果として住民票も移せない方も多いと聞きます。ホームレスになった事情は各人さまざまでありますが,早い段階で行政に相談できれば,少なからずの方が窮地を脱することができたかもしれません。特に,こういったマトリックス組織には,警察の関与が重要だと思います。住民からの苦情によって,ホームレスを駆逐するだけではなく,正しく自立支援に導くのも,警察の務めであると思います。この点について,いかが御認識でしょうか。知事並びに県警本部長にお伺いいたします。
 こうした状況の中で,一昨年7月31日に,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が成立いたしました。そして,平成15年7月31日に改正された,厚生労働省社会・援護局保護課長通知が出されていますが,これに関連して,以下,保健福祉部長にお伺いいたします。
 この通知では,居住地がないことや稼働能力があることをもって,生活保護の要件に欠けるものではないこととしています。これまでは,居住地がないことで,生活保護が受けられないとされていましたが,適用の実態はいかがなものでしょうか。
 また,通知では,保護開始時において,居宅生活が可能と認められた者,並びに居宅生活を送ることが可能であるとして保護施設等を退所とした者,及び必要な治療を終え医療機関から退院した者については,公営住宅等を活用することにより,居宅において保護を行うこととされていますが,対応はいかにされているのでしょうか。
 また,ホームレスの自立の支援等に関する基本方針では,就労の意欲と能力はあるが,失業状態にあると判断される者については,まず自立支援センターへの入所を検討するとされていますが,岡山県としては,こうした整備を進めていくのでしょうか。さらに,働く意思がありながら,就労機会が少ないために仕事につくことができないホームレスには,職業訓練等を提供することも検討する必要がありますが,いかがお考えでしょうか。
 以下,保健福祉部長にお伺いいたします。
 ただ,本当に重要なのは,大変簡単なことでございます。要は,彼らがせめてシャワーを浴びることができればそれでいいということで,そこからがすべてが始まるということでございます。そして,来年のおかやま国体の年には,どこを探しても岡山にはホームレスの方がいない。なぜならば,彼らは自立して,さらにはボランティアとして社会貢献をしているからである,そんな夢を描きたいと思います。
 次に,治安対策として,落書きと暴走族対策について伺います。
 ほかに,光害なども規制しておりますけれども,落書き防止条例であるかのような,岡山県快適な環境の確保に関する条例が施行され,丸2年たちました。条例に合わせるように,我が平和町北部町内会の地域住民を中心に結成した落書き調査隊も3年目に突入いたしました。近ごろでは,町中に落書きがあると,「落書き調査隊は何をやっているんだ」と,なぜか怒られているという,ちょっとそれは違うんではないかということになっております。ただ,本当に多くの方々の手で,確実に落書きは減ってきたと思います。最も落書き消去は,一般のボランティアと異なり,事前の調査,修復許可取りの作業が極めて煩雑で,さらには膨大な資料が必要なため,その分,落書き調査隊は,落書き消去貧乏という状態に陥っております。一方で,NPOの創意工夫もあり,新しい啓発キャラクター「ケセルンジャー」,「森の番人マモルンジャー」に対抗して,「ケセルンジャー」も登場しておりまして,大変盛り上がっております。そもそも,我々がこの落書きをみんなで消そうと思い立ったのは,今は無き近所の寿司屋さんの壁に,大きな男性器の落書きがされたからであります。この状態に辛抱がたまらん状態になったからでございます。そこから,燎原の火のごとく広がった落書き一斉消去活動は,NHK「難問解決!ご近所の底力」で,岡山方式として紹介され,このたび番組の本も出まして,再び紹介されております。ちょっと宣伝のようでございますが。
 この一連の動きの中で我々が学んだのは,小さな犯罪こそが大きな犯罪を引き起こす引き金になる。だからこそ,どんなに小さい犯罪も厳重に対処しなくてはいけないという,文字どおり,ニューヨークのジュリアーノ元市長が思い切った犯罪抑止策を打ち出して,治安が回復した根拠となった,割れ窓理論でした。そして,落書き消去活動は,環境対策ではなくて,むしろ安全な町づくり施策であると認識するに至りました。さらには,子供や若者たちが,「自分たちの町は自分たちで守る」という意識が急速に高まって,また,この問題を通して,町が結束していく,地域が,行政が,警察が,消防が連携していくさまは感動的ですらありました。落書き犯罪対策活動には,地域防犯と自治能力の再構築,青少年の健全育成という,複合的価値が含まれており,総合的まちづくり活動になり得ると位置づけられますが,県下におけるこれまでの落書き消去活動について,知事の御感想をお聞かせください。
 滋賀県は,こうした考えから,緊急雇用創出特別対策事業として,都道府県で初めて,「なくそう犯罪」安全なまちづくり落書き消し隊派遣事業を展開していますが,落書き消去先進県岡山としては,マニュアル作成,補助金制度の見直し,さらには私有物への落書き犯に原状回復義務を課す等,次の施策に移行すべき時期が来ていると考えますが,いかがお考えでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 次に,前述の割れ窓理論に関しまして,県警本部長にどのような認識をお持ちなのか,伺います。
 以下,県警本部長にお伺いいたします。
 特に,私は,落書きと並んで,目の前で明らかな違反行為をしている暴走族が,町中を走り回ること自体が,次なる犯罪を助長させて,同時に公正さを欠くのではないかと,警察に対する信頼を失墜させる最たるものであると思います。ゆえに,どうあれ,暴走族は撲滅させる必要があると思います。もちろん,大変な御努力で,暴走族を壊滅させておられることも存じ上げております。地域住民としましては,確かに暴走族は減ってきている,そのことについては本当に感謝申し上げます。ただ,次から次へと新しい世代が出てきて,終わりがないようですらあります。国体の年に,もし暴走族が走り回れば,冗談抜きで,他県から来て宿泊している選手を寝させない作戦なのかと言われかねない,そんな状況ですらあります。
 特に,暴走族対策について,岡山西署の所管と岡山東署の所管の間である桃太郎大通りの西川橋交番の前を,暴走族がUターンして通りを旋回しても,夜に田町交番に皆さん終結されておられますので,交番に行っても警察の方はおられない,110番通報しても,通報してる間に,いろいろ聞かれるわけですけど,その間に暴走族がいなくなってしまう。そして,彼らが高島屋の裏の筋に抜けるのがわかっているのだけれども,そこが防げない。そこに,地域住民のフラストレーションが大変たまってきておるわけであります。
 まずは,せめて交番の所在を示す看板を大通りには幾つも掲げられないでしょうか。警察署の所管にかかわらず,例えば右折500メートルに〇〇交番,直進300メートルに〇〇交番と,このように表示しておれば,それだけで暴走族への威圧,さらには犯罪抑止効果があると考えます。
 また,路上等の公共空間で発生する犯罪の未然防止対策の一環として,岡山西警察署管内に,街頭緊急通報システム,いわゆるスーパー防犯灯12基を設置していますが,通報者や通報場所周辺の映像も送信されるのであれば,桃太郎大通り等の暴走族対策にこれを使うことはできないでしょうか。とりわけ,暴走族の集団暴走が暴走の確認だけで罰則の対象となる改正道交法が,6月3日衆議院本会議で可決,成立いたしましたが,映像が映れば,まさにこれは現行犯にならないのか,この法律の実効ある運用にかける意気込みとあわせて,警察本部長に伺います。
 この改正道路交通法に関連して,駐車違反対応の取り締まり事務が民間委託できる制度が新設されましたが,民間に委託する違法駐車取り締まりの基本となるガイドラインや業者の選定基準づくりはどのようになされていくのでしょうか。特に,私は,日中の駐車違反取り締まり以上に,夜間の繁華街での駐車違反取り締まりの強化,それこそ地域住民は願っているわけでございますが,この部分についてこそ,警察が引き続き行うべきだと考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 また,突拍子もない話かもしれませんが,シートベルト着用違反やスピード違反取り締まりなどについても,必ずしも,もう警察が行う必要はないのではないかと考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 これに関連しまして,非常によく県民の方から御意見をいただくんでございますが,交通違反をすることを前提にした待ち伏せ的な交通取り締まりが,果たして本当に交通安全の役に立っているのか,また,ひょっとしたら警察にも,取り締まり件数に対する何かノルマか何かがあるんじゃないかという極めて素朴な質問を非常によくいただくのでございます。いろんな方が,ほかにもっとやってほしいことがあるというふうな言い方をされるわけでございますが,この機に,警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 さらに,暴走車両も含めて,夜間の商店街への駐車が後を絶ちませんが,現行法上ではなかなか取り締まることができないと伺っています。商店街の皆さんや通行人に,大変な不安と不信を与えている状況であり,厳然たる対応が必要であると考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。警察本部長には大変厳しい質問になっているのかもしれませんが,私,警察を大変信頼申し上げておるからこそ,させていただいとる質問でございますので,その点を含めて,よろしく御答弁をお願いいたします。

(知事)  次に,ホームレス対策でございます。
 橋の下から知事公舎を見ている方がおられるとは,私も初めて今承知をしたわけでございますが,ホームレスの実態認識と感想ということでございますが,昨年の国の調査によりますれば,全国で約2万5,000人,本県で65人のホームレスが確認をされたところでございますが,そのうち,岡山市で38人,倉敷市で15人となっておりまして,両市合わせて県内の81.6%を占めている状況にございます。私といたしましては,こうした方々が,みずからの意思で安定した生活を営むことができますようになることが望ましいと思っております。
 ワンストップの相談窓口についてでございますが,マトリックス組織というお話はございましたけれども,ホームレス対策というものは,やはり地域に根差した,きめ細やかな施策というものが必要であると,このように考えておりまして,まずは市町村の取り組みというものを踏まえながら,警察も含めまして,関係機関等が相互に連携をいたしました相談及び支援の体制を確立することが必要であると考えております。
 次に,落書き消去活動に対する感想についてでございますが,平成13年12月,全国に先駆けまして,快適な環境の確保に関する条例を制定し,これを契機に,県内各地で多くの取り組みが進められているところでございまして,大変心強く思っているところであります。私自身も,この消去活動に参加をいたしまして,落書きに対する参加者の熱い思いを感じながら,私みずからも汗を流して取り組んだところでございます。このことは,新聞のリレーエッセイで,私もみずから記したところでございます。それから,議員御指摘の「難問解決!ご近所の底力」につきましても,その放映を拝見させていただきまして,岡山市の事例が報道されているということで,大変誇りに思ったものでございます。
 新たな落書きは,こういったような活動もありまして,減少傾向にあると考えているところでございますが,来年の「晴れの国おかやま国体」,そして「輝いて!おかやま大会」,この開催を控えまして,県内各地で落書きのない快適な環境づくりが,さらに一層展開されることを期待をしているところでございます。私自身も,今後機会がありますれば,落書き消去活動に一緒に参加して,参加者を激励させていただければと,このように願っております。

(生活環境部長)  落書き対策の次の施策についてでございますが,快適な環境の確保に関する条例の施行以来,県では,落書き防止活動推進員による地域巡視や民間ボランティア団体等による消去活動への補助等を行っているところでございます。今後とも,落書きのない快適な環境を確保するため,普及・啓発活動の強化を初め,推進員の増員による巡視活動等の充実に努めるとともに,落書き消去マニュアルや補助制度の効果的な運用等についても検討し,落書き対策の一層の充実を図ってまいりたいと存じます。

(保健福祉部長)  ホームレスへの生活保護の適用の実態についてでございますが,居住地がない場合や稼働能力がある場合であっても,本人の意思や能力を確認した上で,生活保護を適用しているところでございます。昨年度中に適用を受けましたホームレスの延べ数は,医療機関への入院が42人,保護施設への入所が1人,居宅の確保が13人でございまして,入院された方のうち,14人は退院後,居宅へ移行したと認識しているところでございます。
 居宅における保護につきましては,住宅情報の提供や家賃及び敷金の支給を行いますとともに,再びホームレスとならないよう,自立を総合的に支援しているところでございます。
 次に,自立の支援についてでございますが,お話の自立支援センターに関しましては,現在の国の設置基準の要件や,本県のホームレス数を勘案した上で,現在のところ整備は検討していないところでございます。しかし,就業による自立の意思があるホームレスにつきましては,ハローワークを通じまして,県立高等技術専門校におきまして,職業訓練の提供が可能であり,国や市町村と連携を図りながら,必要な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

(警察本部長)  まず,ホームレスの方が犯罪の加害者,または被害者になる実態についてであります。県警察ではホームレスという用語は使用しておらず,統計上,一定の住居・職業を有しないで諸所を徘徊している者の実態を申し上げますが,加害者として,県下で平成15年中,窃盗や詐欺などで134人,平成16年は5月末までに61人を検挙しております。
 また,被害者としては,平成15年中1人,平成16年中は5月末までに1人を,いずれも傷害の被害で認知しております。
 次に,ワンストップ相談窓口等のホームレス対策についてであります。この問題につきましては,基本的には,関係行政機関等による総合的な対策が講じられなければ解決しない問題であると認識しております。県警察といたしましては,関係機関等との緊密な連携のもとに,地域安全運動,指導・取り締まり,保護活動,警察安全相談等の諸活動を通じて,ホームレスの自立支援等に関する施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に,割れ窓理論についてであります。県警察では,昨年に引き続き,各種の街頭犯罪等抑止対策を推進し,安全・安心まちづくりに取り組んでおるところでございますが,その対策の根底にあるのは,まさに割れ窓理論の考えでありまして,基本的に正しい理論であると認識しております。そこで,最近の暴走行為については,単独あるいは少数での爆音暴走が多くなっておりますが,この状態を放置しておけば,やがて大規模な集団暴走や,犯罪集団化へと発展する可能性があることから,これら単独暴走行為であっても決して看過することなく,徹底した取り締まりや少年補導を推進しているところでございます。
 次に,暴走族対策等,改正道路交通法等についてであります。今月3日に可決成立した改正道路交通法では,集団暴走行為があれば,迷惑を被ったり,危険な目に遭った人がいなくても検挙可能となりますことから,同法施行後は暴走行為の採証方法や捕捉方法等の取り締まり手法に創意工夫を加え,暴走族に対する取り締まりを一層強化し,暴走族の根絶を期してまいりたいと考えております。
 なお,交番の所在を示す案内板の増設につきましては,県民の皆様の利便となるなどの利点はございますが,暴走族対策上の効果としてはどの程度あるのか,判然としない面もありまして,現在のところ案内板の増設は考えてはおりません。
 また,暴走族対策としてのスーパー防犯灯の有効活用につきましては,今後十分検討させていただきたいと考えております。
 次に,駐車違反取り締まりの民間委託についてであります。今国会で可決成立いたしました改正道路交通法によりまして,違法駐車対策として,放置車両の確認事務などについて,民間委託ができることとなりました。御指摘の取り締まりのガイドラインや,業者の選定基準策定につきましては,今後,相当綿密に検討していく必要があると考えております。約2年後の施行に間に合いますよう,今後,地域ごとの実態を踏まえながら,十分時間をかけて諸準備を進めてまいることとしておりますので,御理解を賜りたいと思います。
 また,夜間の繁華街における違法駐車の取り締まりについてでありますが,仮に,民間委託をした場合でありましても,警察官,交通巡視員による指導取り締まりは可能でありますので,今後とも指導取り締まりを継続強化してまいりたいと考えております。
 次に,シートベルト着用違反の取り締まり等の民間委託についてであります。シートベルト着用義務違反や速度違反は,動的な違反形態でありますことから,車両の駐車という,違反の確認が比較的容易な静的違反と異なりまして,採証のための特別の装備資器材を必要とし,同時に,取り締まりに危険を伴うものであります。したがいまして,これらの違反取り締まりの民間委託には,慎重な判断を要すると考えております。いずれにいたしましても,道路交通法の改正が必要でございますので,今後,国会等,国のレベルでの議論を待ちたいと考えております。
 次に,交通違反の取り締まりについてであります。待ち伏せ的な交通指導取り締まりや,ノルマがあるのではないかとのお尋ねでありますが,限られた警察官等ではすべての違反に対応できないことから,ドライバーに常時遵法意識を持ってもらえるような取り締まり手法も必要であると考えております。安全な交通社会を実現するためにも,交通指導取り締まりは,極めて重要かつ効果的な施策であると確信しております。
 また,ノルマについてでありますが,警察官等に取り締まり件数を定め,達成しない場合にはペナルティーを課すというようなものはございません。しかしながら,交通事故が多発する場合に,目標を掲げて取り締まりを強化するなど,交通事故の発生状況に応じた取り締まり管理は,当然必要と考えております。
 最後に,夜間のアーケードのある商店街における駐車についてでありますが,通行禁止違反の取り締まりを強化するとともに,商店街の皆様の要望を踏まえながら,駐車禁止規制を検討してまいりたいと考えております。



<平成15年9月定例会>(2003年9月16日)

(佐藤)  最後に,治安・防災についてお伺いいたします。
 まずもって,この夏も,まさに身を挺して爆音暴走族対策に取り組んでいただいた,警察御各位に心から感謝を申し上げます。今回は,暴走族ではなく,全国的に問題になっていますいわゆる「ハント族」や「期待族」対策についてお尋ねをいたします。週末の深夜,どちらかといえば不純な男女交際を目的に,改造車などで,JR岡山駅周辺などに集まる男性のハント族や,よくしたものでいわゆる引っかけてもらいに来る女性の期待族に対して,地元住民の方々からは騒音,ドライバーの方々からは通行阻害,通行人からは通りを夜女性が一人で歩くのが大変怖いと,そういった苦情の声が上がっております。彼らは,何がうれしいのか音量いっぱいに音楽をかけて町じゅうを周回して,二重駐車もへのかっぱ,さまざまな犯罪行為の端緒になっていると言われております。町はまさに彼らのワンダーランドとなっておるわけでございますが,私ども,落書きに関しては落書き調査隊を結成して落書き一斉消去活動を展開した,そういった地域住民も,この点については有効な対策を見出しておりません。全国的には,駐停車禁止区間を設定し,路線バス,タクシーを除き,通行禁止区間を設け,コンビニエンスストアに少年等が蝟集した場合の通報などの協力依頼,さらには着色フイルム等の不正改造車に対して,駐車違反,信号無視,整備不良など,道交法の違反で摘発しています。今後の取り締まりの一層の強化を望みますが,今後の方針を警察本部長にお伺いいたします。
 ところで,私自身は火事場でまともに走れない消防分団員ではございますけれども,防犯,防災の面で消防署と警察署の連携の必要性を訴えたいと思います。今でこそ,警察は都道府県が,消防は市町村が主体となって担っていますが,戦前は,警察,消防は一体のものとして,国家警察のもとに置かれておりました。例えば,岡山市西大寺署や南署でも,消防,警察連携に向けての大きな動きがございますが,これを制度として,常日ごろからの連絡が必要であると考えます。すなわち,消防と警察というのは所管エリアはやや異なるのですが,まずは地域の安全を図るため,地域消防団,消防局と警察署のトップの連絡会議をつくるなど,平素から情報交換を密にするというものであります。少なくとも,方面隊長や署長,分団長と交番所長とは常に連絡がとれる状態にあれば,地域住民にとってこれほど心強いことはありません。いわば,消防と警察は地域住民の生命,財産を守るという目的では兄弟のようなところがあります。しかも,消防団員は地域住民でもあり,またさまざまな地域のお役を受けておられる方も多く,地域事情に関しては,あるいは警察よりもはるかに詳しい部分もあります。もちろん,組織系統,指示系統が全く異なりますし,ある意味でプライバシーの問題もありますが,時には警察のサイドから消防団に協力をお願いし,知恵をおかりすることも必要ではないか,そのように思うのです。交番・駐在所連絡協議会には必ず消防の関係者にも加わっていただく,まずはそういったところから消防,警察の連携を図って地域の安全を守ることとしてはどうか,提言させていただきますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 関連して,個人的には,この夏の熊本や宮城の天災を考えると,やはり自衛隊の力は大きいと思います。防衛面では難しいにせよ,防災面で自衛隊各駐屯地にどんな備えがあるのか,理解しておくことも必要だと思います。少なくとも,被災地の現場で自衛隊,消防,警察,病院等々がさまざまな指示系統で動き,マニュアルどおり災害対策本部長があるいは知事になった場合,陣頭指揮を本当に出せるのか,本当に仕切ることができるのか。
 お隣の鳥取県では,県と自衛隊,警察,消防など防災関係機関のトップが意見交換し,日ごろから連携をとり合うための防災関係機関情報交換会が開催されています。これは有事関連3法が施行されたものの,国民保護法制が1年以内に整備されるという,その空白期間にも何かあっちゃいけないということで,地方団体として独自に有事を想定したシミュレーションを行って,住民避難マニュアルを作成したわけでありますけれども,実はこの直下型地震とミサイル被害の状況というのは非常によく似ているそうであります。そういった面では,地方分権の時代においては,私はこうした有事を想定せずとも,防災面でも,こうした自衛隊も含めたような会議が必要であると思いますし,また自衛隊に何がどこまで頼れるのか,装備や人的な面も含めて,県やほかの防災機関はもちろんのこと,県民にも広く周知しておくこと,我々自身も知っておくことが必要であると思いますが,御所見をお聞かせください。
 ところで,さきの防災訓練に参加させていただきまして,そもそもこの山の中で訓練をするという,そのこと自体にかなりの限界を感じたのですが,それにしても本当に市民の皆様方が整然と動いてくださる方ばかりなのか,場合によっては,機に乗じてくる暴力団,暴走族等の危険分子を鎮圧しないといけない,そんな場面も出てくるかもしれません。さらには,高齢者や障害者の方々の避難誘導をだれがするのか,また情報を一元管理し,市民や企業からの問い合わせ等にだれがどういう体制で応じていくのか,地下街が被災した場合,JR岡山駅等交通拠点が混乱した場合,交通の寸断の場合に,情報をどこで管理し,どう対応するのか,こうしたパニック状態,数え上げれば切りがないわけですけども,こういったものにどのように対応していかれるのでしょうか。
 ところで,私は恐らく災害の際,一番機動的に動くのは地域の消防団だと思いますが,要するに地域のこうしたコミュニティーの形成と防災活動というのは,非常に似ていると思います。逆に言えば,学校等に限らず,なるべくきめの細かい日ごろの地域のコミュニティーにおける防災啓発活動等が,いざというときに一番功を奏する,そのように思います。一般企業等を含めた地域防災活動の促進について,今後どのような取り組みをされていくのか,お知らせください。

(知事)  次に,治安・防災についてであります。
 自衛隊との連携等でありますが,災害現場における連携は市町村長を中心といたしまして,自衛隊や消防,警察など関係機関が連携をいたしまして,各機関の責任と協力によって実施されるものであります。主要な防災機関との情報交換でございますが,随時実施をしております情報連絡会や,本年5月に発足をいたしました県・市町村防災対策研究協議会などの場におきまして,実質的なる協議を行ってきております。私自身,再々自衛隊のトップの方々とお会いをさせていただきまして意見交換を行っているものでございます。自衛隊は,地元だけでは対応が困難な場合におきまして,知事の要請等によって地域防災計画で定められた捜索救助等のために派遣をされるものでありまして,装備,人員等は災害の規模によって判断をされ,また現場では他の機関と協力をして全体として対応がなされることとなっております。災害時には,このような体制となっているということを防災訓練などを通じまして県民の皆様に周知をさせていただいているものでございます。
 情報管理でありますが,災害時の情報の収集や提供,高齢者など災害弱者の避難支援を含む地域における応急対策につきましては,これは災害対策基本法によりまして,一時的には市町村の責務とされているものであります。また,地下街や交通機関につきましては,各施設の管理者が避難誘導等を行いますとともに,問い合わせへの対応とか情報提供は,地域防災計画によってその各機関が行うということになっております。
 県は,こういった情報を取りまとめて,被害が甚大な場合や広域にわたる場合におきまして,マスコミ等を通じまして広報をいたしますとともに,関係機関の総合調整を行った上で市町村等に対しまして必要な支援を行っているものでございます。
 地域防災活動でございますが,地域住民の自主的な防災活動というものは,被害の予防,軽減等に必要不可欠でございまして,災害対策基本法によって,市町村長が消防団やあるいは自主防災組織の充実を図るように求められているものであります。県といたしましても,その応援をしているところでございまして,具体的に申し上げれば,県・市町村防災対策研究協議会で,その育成策を検討をいたしますとともに,リーダーの研修会とか防災講演会等を開催するなどの支援を行ってきているところでございます。今後とも,一般企業等も含めました地域防災活動の促進,これが実際災害が起こったときに非常に大切でございますので,地域の方々のそういう自主的な取り組みの促進支援,これになお一層努めてまいりたいと,このように考えております。

(警察本部長)  まず,岡山駅周辺等におきます,いわゆるハント族や期待族に対する対策についてでありますが,これらの車両の周回を規制する措置といたしまして,夜間,岡山駅前の桃太郎大通りから高島屋方面に通ずる道路につきましては,車両通行禁止にしておりますほか,天満屋バスターミナルビルでは,バリケードにより周回行為ができないようにしておるところでございます。
 また,ハント族等の各種交通違反に対しましては,週末における集中取り締まりを初め,岡山運輸支局との合同取り締まりなどにより,その検挙に努めているところであります。
 ちなみに,岡山市内での着色フイルムの貼付やタイヤの突出など整備不良車両の取り締まり件数は,8月末現在で,昨年に比べまして3.5倍増の約800件となっておるところでございます。
 また,コンビニエンスストア等に蝟集する少年につきましては,深夜営業店防犯協会に蝟集情報等の通報をお願いするなどいたしまして,効果的な少年補導活動を展開しているところであります。
 今後とも,関係機関・団体との連携を一層強化するとともに,警察各部門が一体となりました大型検問を実施するなど,ハント族等に対する集中的な取り締まりや少年補導活動を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に,警察と消防との連携についてであります。議員御指摘のとおり,警察と消防は地域住民の生命,財産を守るという目的も共通していることから,互いに関連する任務も多く,特に消防団とは従前から地域における歳末警戒や祭礼行事等の雑踏警戒,行方不明者等の捜索活動等を共同して行うなど,その連携強化を図っているところであります。
 お話のありました交番・駐在所連絡協議会につきましては,地域の皆さんの要望,意見を踏まえ,お互いに協力して安全で平穏な地域社会の実現を図ろうとするものでありまして,日常,公益的立場で活動されている消防関係の方々にも参加していただいているところであります。
 今後とも,消防関係の方々にはこの連絡協議会に対する積極的な参加をお願いいたしますとともに,それぞれの地域の実情に応じて緊密に情報交換を行うなど,一層の連携強化を図り,地域の安全確保に努めてまいりたいと考えております。



<平成15年6月定例会>(2003年6月24日)

(佐藤)  最後に,警察行政について警察本部長に伺います。
 私は,言うまでもなく,地方公共団体が担う最も基礎的な役割の一つが治安の維持だと思います。警察は都道府県が,消防は市町村が主体となって担っていますが,戦前は警察,消防は一体のものとして,国家警察のもとに置かれていました。戦後,警察は一たん市町村警察を国家地方警察が補完する体制とされた後に,昭和29年に都道府県警察に執行を一元化され,これに対して国が一定の関与を行う制度とされています。そして,地方分権の流れの中で,地方分権改革推進会議等で,警察分野についても国と地方の役割分担に応じた議論がなされているのは,御案内のとおりであります。ただ,司法制度との関係等留意しなければならない点も多く,地方警察職員の政令定数制度などの影響は非常に大きいわけでありますが,国の関与のあり方にすぐさま答えが出る状況にはないと思います。
 ただしかし,治安情勢に応じた内部組織の基準は,より弾力的にされるべきでありますし,社会の国際化やIT化の進展に伴い,警察行政における地方自治という観点も私は極めて重要であると思います。
 まず,こうした地方自治の観点から見た今後の警察組織のあり方についての御所見をお伺いいたします。
 こうした中,犯罪発生率の増加のデータを示すまでもなく,県民が体感する治安の悪化は,ここ10年で増大しているものと思われます。ただ,地方警察職員である警察官の定員については,治安水準が全国的に均衡のとれたものとして維持される必要もあり,政令で定められていますし,そもそも岡山県では,警察職員定数は岡山県警察職員定員条例によって,警察官が3,179人,警察官以外の職員が528人と定められています。
 そこで,お伺いいたしますが,激務と思われる職務の中で,現在,女性警察官はどのような勤務形態をとっておられるのでしょうか。
 また,私は,生命,自由,財産を守っていただく警察に,行政コストの削減という論理がそのまま当てはまるとは思いません。さらに,県民が体感している不安に対して,実際問題,現場として,他県と比べて職員定数が足りているのだと認識されておられるのか,お知らせください。
 そして,私自身,地域住民の一人として,地域の方とともに落書きや暴走族対策に取り組んでまいりましたが,岡山市の中心市街地の治安が見る見るうちに悪化していくさまをこの目で見てまいりました。夜になれば,交番の警察官は田町交番に集結され,通信システムがあるとはいえ,ほかの交番が空になってしまっている状況に,岡山県の顔とも言える岡山市の中心部の警察力に不安を感じているのは私だけではないと思います。
 御案内のとおり,旧東署は現在の県立美術館に,旧西署は伊福町にあったわけですが,今や東署は旭川の東に,西署もJR岡山駅から大きく離れました。そして,県下最大の規模を誇る西署の管内には,JR岡山駅,西口再開発ビル,岡山空港,大学街に加えて,西部の新拠点があり,さらに東署との所轄が実は旭川ではなく,西川で分かれているために,本町,錦町,柳町といった繁華街も西署の管内に含まれています。西川を境に,二重に警察権が及び公安に資するんだ,そういった説もあるわけですが,私は,小規模であれ,JR岡山駅を中心にした中心市街地の治安維持に特化するいわゆる中央警察署に当たるものが必要ではないかと,そのように思います。
 あるいは,総合的な警察署が無理でも,夜の田町交番のような規模で,常に数台のパトカーが待機する大型の交番をつくることができないでしょうか,御所見をお伺いいたします。
 さらに,情報収集のためには,何といっても県民,地域住民の協力が必要であると思いますが,情報提供ホーム初め,ほかの県警のホームページに比べて開かれていない印象を受けます。さらに仕事がふえる上に,セキュリティーやいたずらの問題もあるとは思いますが,情報提供用のメールアドレス設置等を検討されてみてはいかがでしょうか。
 ともかく,全国に恥ずべき落書きや爆音暴走族に悩む岡山市中心市街地の状況を見るにつけても,平成17年の岡山国体で,こんなに治安の悪い町で県外の方を迎えるわけにはいきません。警察職員の皆様に,常日ごろの御努力への感謝を申し上げますとともに,さらなる御尽力を賜りますよう心からお願いを申し上げながら,質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。

(警察本部長)  まず,地方自治の観点から見た今後の警察組織のあり方についてであります。
 このことにつきましては,地方分権改革推進会議で議論が行われまして,その意見を受けて,本年2月には警察法施行令が一部改正され,各都道府県が当該都道府県の治安情勢に応じた組織をより機動的に整備できるようになったところであります。
 また,国際化やIT化の進展に伴い,国際テロ情勢等新たな治安事象に対応するため,国と地方の警察機関の役割分担について,地方自治の観点も踏まえ,警察庁において検討がなされていると承知をいたしておるところであります。
 県警察といたしましては,このような動向を踏まえながら,県内の治安情勢に的確に対応し得る組織体制について今後検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
 次に,女性警察官の勤務形態についてであります。
 現在,本県には95人の女性警察官が勤務しておりますが,最近では,女性が被害者あるいは被疑者として事件にかかわるケースもふえており,こうした場合の被害者対策の観点や女性被疑者の適正処遇の面などでも,女性警察官の果たす役割が高まってきているところであります。
 こうした状況を踏まえ,警察本部及び警察署において,刑事,交通,生活安全等各部門の必要な部署に女性警察官を配置し,男性警察官と同様の勤務形態で,女性の特性を生かしながら活動しているところであります。
 次に,他県と比較した職員定数についてであります。
 本県の警察官定数につきましては,平成14年度と15年度にそれぞれ80人の増員をいただいたところであります。しかしながら,警察官1人当たりの負担人口が,全国平均の533人に対しまして本県は614人と,81人多い状況にありますほか,本県警察官1人当たりの業務負担は,刑法犯検挙人員及び交通人身事故発生件数では全国第2位であるなど,依然として厳しい情勢にありますことから,さらなる増員が必要であると考えているところであります。
 次に,岡山市中心市街地の治安維持についてであります。
 警察署や交番の体制につきましては,毎年,治安情勢の変化に対応した見直しを行っているところであり,また警察力の運用につきましても,犯罪が多発する時間帯や地域に応じて弾力的な運用を図っているところであります。
 議員御指摘の岡山市中心市街地につきましても,これまで柳川交番の警察官の増員配置や,田町交番の夜間集中運用を図っておりますほか,本部執行隊による重点的な警戒・警ら活動等により,犯罪抑止等の効果も出ているものと考えているところであり,現時点においては,警察署や大型交番の新設について,直ちにその必要性があるとまでは考えておりません。
 最後に,インターネットを利用した情報提供についてであります。
 警察活動を行う上で,県民の方から寄せられる情報は必要不可欠なものであり,平成8年から県警察ホームページにおいて,県民の方から意見や情報の提供をいただいているところであります。県警察といたしましては,今後,携帯電話からのメール送信など,県民の方がより一層情報提供しやすい方法について,セキュリティー対策に配意した上で,他県の例も参考にしながら検討してまいりたいと考えております。

(佐藤)  要望だけにとどめさせていただきますけれども,やはり認識の違いがあって,もうその後の議論をしてもなかなか難しいんですけれども,中央警察について,私は必要だと思っている,警察は必要ないと思っている,ここで議論が終わるわけですんで,ただ私は必要であるということだけお伝えして。



<平成14年12月定例会>(2002年12月10日)

(佐藤)  次に,爆音暴走族対策について伺います。
 岡山県暴走族の追放に関する条例が,9月28日に施行され,幾分爆音暴走が減ったようにも感じますが,県警の皆様の涙ぐましい努力にもかかわらず,岡山市の目抜き通りの警察と爆音暴走族のイタチごっこはいまだ続いており,爆音暴走族の被害に苦しむ人間は彼らに殺意すら覚えると言っても過言ではありません。特に,これは本当に現地の方はというか,我々地域の者は大変に苦しんでおります。特に桃太郎大通りは,暴力団,爆音暴走族,周回族の車両が,県警の御努力をあざ笑うかのように出没しています。
 ところで,先日,NHKの「クローズアップ現代」で紹介された暴力団対策法をつくられた広島県警本部長の御判断で,暴走車両にパトカーを体当たりさせる広島県警の取り組みは,これは一歩間違えれば大惨事で,警察の方の命も危ないという命がけの作戦でありましたが,私は,その県警本部長の本気さに大変な衝撃を受けたのですが,本県では,暴走族に対してどのような姿勢で取り組まれるのか,県警本部長にお伺いいたします。
 また,広島の暴走族の特徴は,「面倒見」と称して暴力団員が暴走族同士の抗争の仲介に入るかわりに,暴走族がさまざまな名目で暴力団に上納金を納める仕組みがあるとのことですが,今,広島県議会では「面倒見」の罰則の条例改正案が上程されています。岡山の実態はどうであり,どう対策をされているのでしょうか。
 また,広島では,暴走族は青少年非行の先鋭化したものであり,ひったくりや窃盗の8割が少年で,うち8割が暴走族と,要は暴走族は犯罪予備軍であると言わざるを得ない状況ですが,岡山においてはどうであり,またどのような対策をされていかれるのでしょうか。
 また,岡山県の条例は,家庭・学校・地域・業者に努力義務を課したものですが,どのような具体的な効果があったのか,お知らせください。
 さらに,最近やや小康状態にある岡山の爆音暴走族ですが,クリスマス,年末年始,爆音暴走の可能性は高いと思われ,ここで緩めるわけにはいきません。対策の意気込みをお知らせください。
 関連して,交通巡視員による大通りや繁華街の深夜の違法駐車取り締まりが,昼に比べて十分になされていないのではないかという声が多いのですが,その理由をお知らせください。
 さて,私は,政令指定都市でもある広島の広島市役所に,本年4月1日に施行された広島市暴走族追放条例について伺いに行きました。この条例について伺いに行ったのが,広島県警ではなく広島市市民局が担当であるというのが,広島市の取り組みを象徴的にあらわしています。つまり,広島市の取り組み,また条例を読むとわかるのですが,広島市は暴走族対策を青少年の健全育成にかかわる問題ととらえているのです。もっと言えば,対処療法として警察が出動しますが,根本的な問題,抜本的な解決は,青少年問題としてあるいは教育の話であるととらえない限り,この問題は終わらないという経験則に基づいた取り組みであるということです。
 そこで,あえて知事にお伺いいたします。
 爆音暴走族や深夜徘回,周回族の存在は,やはり岡山のゆゆしき青少年問題であることには変わりありませんが,そういう青少年の状況をどのようにお考えになっておられるのでしょうか。特に,「青少年問題を考え,行動する100人委員会」で,青少年問題としての暴走族問題は格好のテーマだと思いますが,これまで話し合われてきたのか,今後話し合いが行われる予定があるのか,お知らせください。
 そしてまた,こういったことを行政の皆さんにお願いするだけでなく,地域的に,例えば相当数の人数をもって深夜にパトロールをする活動を地域の有志により行う,そういった団体の創設も必要だと考えますが,そういった団体ができた際には御支援をいただきますよう要望させていただきながら,質問を終わらせていただきます。

(知事)  爆音暴走族等についてでありますが,暴走行為等を初めとする青少年の問題行動の背景には,地域における教育力の低下,社会全体の規範意識やモラルの低下等があると考えております。暴走族への加入防止や離脱促進を図っていくためには,「暴走族の追放の促進に関する基本方針」を踏まえまして,家庭・学校・地域が一体となった取り組みなど,青少年健全育成の観点からの対応を行っていくことが重要であると考えております。
 100人委員会の取り組みについてでありますが,「青少年問題を考え,行動する100人委員会」は,青少年健全育成にかかわるさまざまな問題について幅広く議論をしていく場であることから,特に暴走族問題にテーマを絞って議論をしたということはございませんが,しかしこれまでの議論の過程の中にありまして,暴走族に入ることを防ぐための教育の重要性とか,あるいは暴走族と暴力団との関係などについて意見交換がなされてきております。今後,暴走族の実態や警察との連携などにつきましてもさらに議論を深めて,青少年の健全育成というものを推進をしてまいりたいと,このように考えております。

(警察本部長)  まず,暴走族に対する取り締まり姿勢でございますが,暴走族は,県民の平穏な生活や交通に著しい危険や迷惑を及ぼす団体でありますから,今後とも,暴走行為等不法行為は絶対許さないとの強い姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
 次に,暴走族と暴力団との関係でございますが,暴力団組員やその周辺者が,暴走行為をあおったりそそのかしたりした事案等が発生をしており,暴力団とのかかわりがうかがえるところでありますが,当該行為等につきましては,岡山県青少年保護育成条例の非行助長行為の禁止規定等を適用いたしまして,検挙をしておるところでございまして,今後とも,現行法令等を効果的に適用いたしまして対応してまいりたいと考えております。
 次に,暴走族は犯罪予備軍であるとの御指摘でございますが,当県におきましても,暴走族は,暴走行為のほか窃盗や傷害,恐喝事件等を敢行しており,非行集団という実態もございます。警察といたしましては,取り締まりや補導を強化いたしまして,グループの解体や脱会の促進に努めておりますけれども,次々と世代交代を繰り返しておりますことから,今後とも引き続き離脱の促進や加入阻止活動を強化していくことといたしておるところでございます。
 次に,条例で努力義務が課せられております県民,保護者,学校関係者等の状況でございますが,警察と連携いたしまして,暴走族に関する討論会,地域における対策会議,それから中高校生を対象といたしました暴走族への加入阻止教室などが開催されておりまして,暴走族追放機運が高まってきていると認識をいたしておるところでございます。
 次に,年末年始に向けた暴走族取り締まりでございますが,例年,クリスマスや年末年始を中心に暴走行為が敢行されておりますことから,本年も特別取り締まり体制をしきまして,強力な取り締まりを実施してまいりたいと考えているところでございます。
 最後に,岡山市内の歓楽街における違法駐車の取り締まりでございますが,11月末現在,田町,中央町,柳町におけます検挙件数の約45%は夜間に検挙したものでございます。違法駐車は,迷惑,危険性が高いことから,今後とも,昼夜間を問わず強力な取り締まりを推進していくことといたしております。



<平成12年2月定例会>(2000年3月8日)

(佐藤)  知事は,県政の基本目標を快適生活県おかやまを実現することとされ,創造と共生を基本理念とし,4つの基本戦略を掲げておられます。そのうち,県民が生きがいを持って安心して暮らすことのできる「心やすらぐおかやまの創造」について,夜警国家でもありませんが,政治の究極の目標は,市民の生命・自由・財産を守ることであり,とりわけ,安全・平和がすべての前提であると思います。しかし,さまざまなレベルで,いわゆる安全神話が崩壊しようとしている今日,もはや政治に頼らずに,市民みずからの手でみずからを,あるいは地域社会を守っていかなくてはいけない,ほかにだれも頼れないんだ,そんなムード,不信感,不安感といったものが蔓延してきたように思います。
 そんな中,平成10年4月,暖かい春の日差しに包まれた岡山さくらカーニバルの会場で,岡山ガーディアンズは誕生しました。「見て見ぬふりはしない」「自分たちの手で安心して暮らせる街づくりを」を合言葉に,地域の安全を願い,助け合いの精神で,安全パトロール等を通じて青少年の健全育成や事故防止に努めるボランティア組織を目指し,岡山ガーディアンズの存在そのものが,地域の安全に寄与する,そんな思いのもとに活動を始めて丸2年,現在どのような組織になっているのでしょうか。大変気になりまして,先日岡山市内の防犯パトロールにのこのこついてまいりました。
 結論から申し上げて,いわば防犯という目的のため,岡山県警の肝入りで動き始めたボランティア団体が,人と人の心をつなぐ,いわばまちづくりのボランティア団体に成長していました。そして,それを育てたのは,まさに岡山県警の功績であることを実感いたしました。
 パトロールに同行した私の感想をあえて一言で言えば,彼らは「すてきなおせっかい」です。全くの丸腰で,おそろいの赤い帽子に赤ジャンパー,性能の悪いトランシーバーを持ち,事務所と常時連絡,数人単位で街を夜間パトロールします。この間,実にさまざまなことが起きます。まずは,電話ボックスのピンクビラをはがします。この間,もう一人は攻撃に備えて見張りをします。しかし,ピンクビラは,1時間後にはすぐに張られており,イタチごっこの感はぬぐえません。もちろん,ライトをつけていない自転車や2人乗りには注意。赤信号での横断はもちろん注意。注意された人の,何でこの人らに言われにゃならんのんで,あんたら何でえという不思議な顔も印象的ですが,そんなことに我らがガーディアンズは一々構っていません。公園のトイレでは,かばんの遺留品発見。公園でたむろして喫煙している高校生に注意。1人でダンスの練習をしている女の子にも声をかけます。彼らのすごいところは,決してしからない,上から物を言わないところです。まず,「こんばんは」から始まります。実に不思議なことに,顔黒(ガングロ)茶髮と会話が成り立ちます。そして,意外にも若者は,一応素直に悪さはやめるのです。要するに,若者は,町に人との触れ合いを求めに来ているのがわかります。たとえ,それが注意であれ,赤の他人にしかられようとも,関心を持たれたりかかわりを持つことが嫌いなのではない,むしろそれを望んでいます。厚底ブーツの夜遊びも,街角の路上ミュージシャンも,心はだれかを呼んでいるのだと思うと,かわいらしくすら思えます。ガーディアンズの「すてきなおせっかい」はまだまだ続きます。点字ブロックの上の自転車の整理,ベンチの前のごみ拾い,客引きをしているお兄さんにあいさつ,パトロールが終わると反省会は欠かしません。そこに,上下関係はなく,皆が,ポンドとかビーンとかそれぞれにお気に入りのコードネームで呼び合い,年齢や職業や性別を超えた和気あいあいとした雰囲気です。ガーディアンズを見ていると,心がこもったおせっかいこそがボランティアの本質であると言いたい気がします。
 加えて,特筆すべきは,岡山県警の方が,本当に岡山ガーディアンズが自立できるまで,地域の安全への情熱と誇りを持ってしっかりと陰で支えておられることです。その真摯な姿にも感動いたしました。市民としっかりと手を取り合いながら,地域の安全確保に全力を尽くす岡山県警の心意気といったものを見た気がいたします。防犯と一言で言いますが,大きな街には大きな孤独というように,もしも地域社会で「あっしにはかかわりのねえことでござんす」と,ニヒルに木枯らし紋次郎を気取るのではなく,岡山ガーディアンズのように「すてきなおせっかい」をお互いにやき合えば,あるいは心を紡ぐ作業をしていけば,犯罪など起こりようもないと思えます。岡山県人が最も苦手とするのが他人とのかかわり合い,あるいはいわゆるおせっかいであると思いますが,実は,それこそが地域づくり,まちづくりのエネルギーであると思います。考えてみると,私も単におせっかいをやきたいばかりに議員にさせていただいたようなものなので,岡山ガーディアンズに関係した,おせっかいな質問をさせていただきます。
 まず,知事に,岡山ガーディアンズについては深い理解をされていると聞いておりますが,この4月に3周年を迎えるに当たり,どのような感想をお持ちでしょうか,伺います。
 次に,防犯に関しては,地域に少年警察協助員,教育委員会主導の補導協議会,PTA補導部,また防犯協議会あるいは「ぐるっとほんまちみまわり隊」などがございますが,岡山ガーディアンズを含めてこういった諸団体は,現在どのように連携して活動し,情報交換等が行われているのでしょうか。
 また,昨年開設された少年サポートセンターは,被害者救済や継続補導に重点を置き少年を非行から守る活動を行っていると聞いておりますが,ガーディアンズとの連携はどうなっているのでしょうか。
 また,現在約30名の岡山ガーディアンズですが,例えば,常時2チーム,また毎日あるいは昼夜問わずに活動するためには,組織の拡大が必要であると思います。そのために,十分な告知が必要であると思いますが,現在,コミュニティーFM局が定期的に取り上げているだけのようです。さらに,多角的に広報し,メンバー募集活動を行う必要があると思いますがいかがでしょうか。
 以上,警察本部長の御所見を伺います。
 また,これに関連して,特殊な社会活動参加とでも言うべきか,平成10年10月1日から施行になった道路交通法の一部改正によって,軽微な違反を繰り返し,累積点数が6点に達すると社会活動参加か実車講習かを選択して講習等が実施されていると聞いております。現在までの運用状況と効果について,警察本部長にあわせてお尋ねいたします。
 また,岡山県内の5大学で,来年度から単位互換制度を取り入れるなど,在学している大学以外の場での学修を単位として認定する動きが広がっています。このような中で,ボランティア活動を積極的に単位認定する大学がふえれば,例えば,岡山ガーディアンズの活動に参加する大学生が飛躍的に増加することが見込まれると考えます。県立大学においても,こうしたボランティア活動を積極的に単位認定することが望ましいと考えますが,いかがでしょうか。総務部長にお伺いいたします。
 最後に,岡山ガーディアンズが将来的には県内各地に支部もつくられ,市民や企業にしっかりと支えられた自立したNPOとしてほかの諸団体と連携しながら,すばらしいまちづくりの組織に発展していくことを心から願います。

(佐藤)  既に時効だと思いますが,私は,小学校2年のとき,誤って喫煙して以来喫煙の習慣はありません。しかしながら,最近では,全国3,300万人といわれる愛煙家の皆様に,心から感謝するようになりました。と申しますのも,1箱250円銘柄のたばこのうち,何と153円34銭すなわち定価の61.3%が税金だからです。昨年5月1日より税率が変わり,国に54円32銭,都道府県に17円36銭,市町村に53円36銭入り,岡山県では,40億円以上の財源になります。しかも,地方税は,最終卸売販売業者などが翌月末日までに申告納付することになっている簡素な納税システムで,まさに超安定財源と言えます。財政難に苦しむ岡山県民としては,地域社会に貢献する愛煙家の方に感謝し,喫煙を奨励しこそすれ,どこもかしこも禁煙にしたり,愛煙家の皆様を排斥すべきではないと思います。もっとも,肺がんや生活習慣病の増加などによる医療費の負担増,あるいは隣で吸われるもんの身にもなってみいと,手放しで感謝してよいかは疑問でありますが,ともあれ,愛煙家の皆様に,他人に迷惑をかけず,病気になる一歩手前まで思う存分たばこを吸っていただきたい。そんな社会こそが,真の快適生活県であると思います。豊かな岡山県財政のためにも,余り禁煙を推奨すべきではない,岡山県財政をしっかりと支えていただいているたばこ販売業者の方に,心から感謝をすべきであると思います。とはいうものの,このたばこ税の何割かは,あるいは中高生を含む未成年者が,ありがたくも彼らのお小遣いから納税してくれている現実があるように思います。電車内,コンビニの前,路上と,彼らの喫煙は目に余ります。私の友人に,トイレでのたばこが一番うまいと言う者がおりますが,一応昔は,不良ですらトイレに隠れてたばこを吸うつつましさはあったように思います。岡山ガーディアンズのように,一人一人が声かけして未成年者の喫煙をやめさせるのが一番だとは思いますが,その販売方法を含めて対策はないでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。

(知事)  まず,岡山ガーディアンズに対します感想についてのお尋ねがあったわけでございますが,平成10年4月にこれが結成されて以来,地域の安全パトロールの実施などを通じまして,青少年の健全育成とかあるいは地域の安全活動,こういったものに大変大きな成果を上げておられるわけでございます。私も,実は年末の歳末防犯活動査察,本部長と同行いたしまして,その査察の際に,この本部事務所を訪問いたしましてメンバーの方々と意見交換をし,そして活動報告を受けまして,私自身も一人一人全員と握手をしまして激励をしてきたところでございます。その活動内容には,私も大変深い感銘を受け,感動を受けたところでございまして,心強く感じているわけでございます。これからの活動に,大いにそういう面で期待をしているわけでございまして,本当に,佐藤議員には,私自身もそういう思いがあったものですから,この際まことに時宜を得た御質問をちょうだいしたということで,彼らにとっても大きな励みになるものと私は期待をしているわけでございます。
 この彼らの行動力あふれる活動と社会への貢献,こういったことは,多くの若者たちの模範となっていると私は考えておりまして,犯罪のない明るい社会の実現を目指して,これからのさらなる活躍を大いに期待をいたしたいと,このように考えているところでございます。議員におかれましても,引き続き彼らの活動に対しまして御支援をいただければとお願いを申し上げる次第でございます。

(総務部長)  岡山ガーディアンズに関連いたしまして,ボランティア活動の県立大学における単位認定についての御質問でございますが,大学が,ボランティア活動など学外の体験を取り入れた授業科目を開設することは,社会の実践的な教育力を大学教育に活用するという視点から,有意義なことと考えております。しかしながら,ボランティア活動の内容は多種多様でございまして,極めて広範囲にわたっているところから,県立大学におきましては,各学科が目指す教育目標との関連性を勘案しながら,ボランティア活動を導入することが可能かどうかにつきまして学内で研究していくことにしているところでございます。

(生活環境部長)  未成年者の喫煙対策についてでございますが,県では,各地域の補導センターを初め,学校,警察などの関係機関やPTAなどとも連携を図りまして,喫煙などの非行防止のための地域巡回指導や補導活動を実施しているところでございます。今後,これらの活動をさらに推進いたしますとともに,青少年の自覚を促す啓発事業や,今年度からスタートいたしました非行防止宣言店の拡大を通じまして,販売店側の意識を高めるなど,未成年者の喫煙防止対策に努めてまいりたいと思います。

(警察本部長)  まず,ガーディアンズと各種団体や少年サポートセンターとの連携及び情報交換等の実施状況についてでございます。
 ガーディアンズは,県から委託事業費の交付を受けまして,県防犯協会の実動部隊として活動しておりますボランティア組織でありますが,他のボランティアの皆さん,例えばぐるっとほんまちみまわり隊などとは,防犯協会を通じまして情報交換を実施いたしたり,共同で安全パトロールも実施すると,こういった形で連携を図っているところでございます。
 また少年サポートセンター等との連携につきましては,ガーディアンズが同センターの会議等に出席をいたしまして連絡調整を図りますとともに,合同での補導等も実施をいたしております。
 次に,メンバーの募集につきましては,メンバーの多くが大学生でありますので,毎年10名程度が交代いたしておりまして,メンバーの勧誘には苦労しているようでありますが,現在,街頭活動や大学への訪問活動,それからホームページ等を通じて募集活動を積極的に行っていると聞いております。
 県警察といたしましては,引き続き,関係機関はもとより地域の皆様方の御理解御支援をいただきながら,岡山ガーディアンズが安全で安心なまちづくりに貢献できますよう,積極的に支援してまいる所存でございますのでよろしくお願いを申し上げます。
 次に,違反者講習の運用状況とその効果についてでございますが,昨年1年間の違反者講習対象者数は4,272人でございまして,このうちの95.2%に当たります4,069人がこの講習を受けておられます。このうち,18.4%の748人の方が社会参加活動を体験する講習を選択されております。社会参加活動の具体的内容でございますけれども,免許センター付近の幹線道路におきまして,シートベルトの着装とスピード注意のこの2種類のプラカードを使用した広報活動を実施していただいているところでございます。実車コースを選択された方につきましては,免許センター内の講習コースにおきまして,3人1組となって順次自動車を運転し,講習指導員の指導を受けていただいているところでございます。これらの講習の効果についてでございますが,「大変参考になった」という回答と「どちらかといえば参考になった」という回答を合わせたものが,社会参加活動につきましては94.6%,それから実車講習を受講された方につきましては98.7%を占めておりまして,十分その効果が上がっているというふうに考えているところでございます。



<平成11年9月定例会>(1999年9月28日)

(佐藤)  第3に,このごろ岡山市内中心部の会社経営者の方々から大変よく耳にするのは,どこか岡山の治安が悪くなったのではないかという声であります。夜ともなればどこからともなく集まった周回族がたむろし,真夜中に相変わらず暴走族が駆け回っています。今や,例えば夜の桃太郎大通りや表町商店街は女性の一人歩きが恐ろしいと感じられる通りになっています。こういった大迷惑行為に対して,市民県民の皆さんの多くが非常に不快あるいは不安に思っておられます。警察当局にはあくまで毅然たる対応をしていただきたいと切に願うところでありますが,実態,現在の取り組み状況,また今後の方針について,警察本部長にお伺いいたします。
 また,この問題と関連しますが,ここ数年,土日の夜ともなりますと,表町商店街の中に車を乗り入れ,朝まで違法駐車をする自動車を何台も見かけます。また,その周辺に若者が明け方までたむろしています。夜間に商店街を通行する方にとって恐怖の対象となっており,地元商店街の方々も大変迷惑をされておられます。桃太郎大通りにおける検問がそれなりの効果を上げている御努力には敬意を払いますが,別の筋や裏通りにはどのような目配りがなされているのでしょうか,あわせて警察本部長にお伺いいたします。

(警察本部長)  桃太郎大通り等における暴走族等の実態,現在の取り組み状況及び今後の方針についてでございます。
 岡山駅前から城下交差点に至る間の桃太郎大通りにおきましては,主として週末の深夜にマフラー等を改造した自動二輪車など10台くらいによる爆音走行が行われております。また,岡山駅前周辺におきましては,異性との交際を目的として若者が自動車等によりその周辺を周回するという周回族や暴走行為を見学し,あるいはこれをあおっている「ギャラリー」と称する若者100人くらいがたむろしているのが実態でございます。
 このような暴走族等に対する取り組み状況でございますけれども,暴走族対策は県警察の重点施策の一つでございまして,毎週末を中心に多数の警察官等を街頭に出しまして,特別取り締まりを実施しているところでございます。特に岡山駅前周辺等につきましては,「岡山駅前クリーン作戦」と名づけまして,岡山西警察署を中心に隣接警察署及び交通機動隊等による約100人体制で暴走族等に対する取り締まりやたむろする少年の補導等を実施しているところでございます。
 8月末現在の取り締まり状況でございますけれども,共同危険行為等の禁止違反で9人,無免許運転で11人,通行禁止違反で34人,整備不良車両の運転の禁止違反で25人,その他駐車違反等で499人,合計578人を検挙しておりますほか,たむろしている少年326人を補導しているところでございます。
 また,岡山駅前周辺等の周回族対策といたしまして,従来の通行禁止区間をさらに延長する措置を講じまして,取り締まりを強化しているところでございます。今後も,クリーン作戦や週末を中心とした特別取り締まりを継続して実施いたしますほか,学校,職場,地域の方々や関係機関・団体の皆様方と連携しながら,暴走族追放機運を一層盛り上げてまいりますとともに,状況によりましては機動隊の大量投入をも含めまして,取り締まり体制を一段と強化し,暴走族等の封じ込めを図ってまいりたいと考えております。
 最後に,表町商店街における違法駐車の取り締まり及び裏通り対策についてでございます。
 表町商店街及びその付近一帯での違法駐車取り締まり状況でございますが,本年8月末現在105人を検挙いたしているほか,19台の車両をレッカー移動しているところでございます。今後も,表町商店街及び裏通りにおける違法駐車につきましては,指導取り締まりを強化いたしますとともに,現在実施しております田町等の歓楽街における違法駐車取り締まりにあわせまして,その取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
 さらに,表町商店街等に朝方までたむろしている若者に対しましては,地域安全推進委員やボランティア団体と連携した警ら警戒活動やパトカー,制服警察官によるきめ細かなパトロールを実施いたしまして,地域住民の不安感の解消に努めてまいりたいと考えているところでございます。

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