2004年6月8日(火) 【ホームレス対策について】

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 一方で、今日、ホームレスの方のお話を伺う機会を得、予定外でしたが、6月定例会一般質問項目に掲げることにしました。
 この方は、旭川の河川敷の橋の下に暮らしておられます。

 ホームレスの定義はよくわかりませんが、敢えて言えば、「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」と言えるかもしれません。

 「見て見ぬふり」という言葉がありますが、「あっしにゃぁ関わりのねぇことでござんす。」と、多くの方々が、ホームレスの問題については、他人事と決め込み、仮に美観を損なうと考えても、街の風景の一つに敢えて落とし込んでしまっています。

 しかし、一方で、ひとたび己の生活圏に入れば、例えば、警察に通報、どこかに追いやることで、問題は解決としています。

 正直に書いて、私自身も、この問題に踏み込むことに躊躇がありました。社会構造上の問題であり、およそ無くなることのない問題なのではないか、諦観していなかったと言えば嘘になります。

 きっと多分、岡山の有権者じゃないんじゃないか、選挙に行かないだろうな、とは思いますが、それが理由ではありません。



 確かに、ホームレスの方の中には、手を差し伸べるも何も、自暴自棄で、酒に溺れて、人生を投げている方もおられますが、一方で、なにかのきっかけで坂道を転がり落ちるようにして、這い上がれなくなっているはいるけれども、どうにかして、現状を変えたいと思っている方も多いようです。

 アルミなら1kgで80円の缶缶を拾い集め、時には、賞味期限切れのコンビニ弁当を頂戴して、生きていけなくも無いようですが、ある意味でプライドを捨て、冬を耐え、病気に耐える暮らしが楽なわけがありません。

 さらに、生活の困窮が時には犯罪の加害者に走らせることもあれば、逆に、社会的弱者として、いわれなき暴力の被害者になることもあります。

 どうあれ、昨今の景気状況や社会情勢を考えれば、ホームレスは、決して減ることはないんじゃないか、と、実は誰もが感じてはおり、都市の問題として、とっくの昔に対策を講じていなければおかしかったはずです。

 橋の下から知事公舎を眺めながら暮らしている人がいるわけですが、果たして知事がいかように実態を認識されておられるか。


 以下、ホームレス支援策について書きますが、勘違いして頂きたくないのは、「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」の現在の生活を支援するための施策ではなく、そもそもが、そういう生活をして頂きたくないための支援策です。

 そして、もうひとつ、住民票が無いのだから、そもそも、岡山市民でも県民でもない、したがって、岡山市や岡山県が、支援する必要が無いという意見があるとしたら、まず、彼らが、憲法25条の生存権が保障された日本国民であること、それに加えて、住民票が岡山にある岡山市民が、別の街で、ホームレスをして、ご厄介になっている可能性も、非常に高いことを考えて頂きたいと思います。


 思うに、まず必要なのは、いわゆるマトリックス組織を背景にしたホームレス対策に対するワンストップの相談窓口です。
 ホームレスの方の中には、例えば、自己破産手続きを知らないために、いわゆる法定利息を大きく越えた債務から逃げ、結果として住民票も移せないて方も多いと聞きます。
 ホームレスになった事情は各人様々ですが、早い段階で、行政に相談できれば、少なからずの方が、窮地を脱することが出来ます。

 特に、こういったマトリックス組織には、警察の関与が重要だと思います。住民からの苦情により、ホームレスを駆逐するのではなく、正しく自立支援に導くのも、警察の務めであると思います。



 こうした状況の中で、一昨年7月31日に、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が成立しました。そして、法成立と同時に、厚生労働省社会・援護局保護課長通知が出されています。

 この通知では、居住地がないことや稼働能力があることのみをもって生活保護の要件に欠けるものでないこととしています。これまでは、居住地がないことで、生活保護ができないとされていましたが、適用の実態はいかがなものか。

 また、通知では、就労の意欲と能力はあるが失業状態にあると判断される者については、まず、「自立支援センター」への入所を検討するとされていますが、岡山県として整備するのかどうか。

 また、通知では、治療が必要な場合には医療機関への入院等も含めて、積極的に保護施設の整備に取り組むことと、保護施設の入所目的を達成し、保護施設を退所した者などに公営住宅等を活用して居宅での保護に移行するとしていますが、対応はいかん。

 また、国は、医薬品や食料などを含む日用品等の支給に使えるホームレス緊急援護事業費を計上していますが、直接の担当となる市町村への県からの働き掛けはいかん。

 さらに、働く意思がありながら就労機会が少ないために仕事につくことができないホームレスには、職業訓練や、公的な就労事業を提供することも検討する必要があります。


 ただ、本当に重要なのは、彼らが、せめてシャワーが浴びることができることでしょう。まずは、全ては、そこから始まります。

 そして、来年の岡山国体の年には、どこを探しても、岡山には、ホームレスがいない、なぜならば、彼らは、自立し、さらには、ボランティアとして、社会貢献しているからである、そんな夢を描きたいと思います。

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