過去の岡山県議会一般質問集 <災害対策>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  また,スピード感が必要ということでは,何といっても防災対策でございます。台風16号は温帯低気圧に変わりましたけれども,8月9日から10日にかけて襲来した台風11号は,その規模からしても,大潮の満潮時に台風が直撃する可能性からしても,甚大な被害が予想されるものでした。ただ,結論を先に言えば,たまたま降水量が少なかったため,沖縄や京都や三重のように特別警報が出ない状況になったというのが一番大きかったと思います。しかし,一方で児島湾締め切り堤防の開放が大変にうまく行われた。特に前日,8日の時点でAP0.6の数値目標をもって0.62まで,そして翌日の昼も0.74まで児島湖の水位を下げることができました。これは現場の土地改良区の方々が早目早目の操作を行ってくださり,備えが十分できていたということであります。また,同じように浦安の東排水機場も除じん機をとめないように,これも夜通しで人海戦術で流れてくるごみや藻を取り除いてくださっていた。消防団,水利土木委員,土地改良区,ポンプ管理の方々,本当に多くの方々の御努力で被害を防ぐことができた。まずはそうした方々に対する知事の思いを伺いたいと思います。
 加えてその後,今議会で大きなテーマになっている土砂災害も含めて早急に行う防災対策というものがあります。まず,気になるのは,農業用水路の管理で,例えばこの時期,農業用水路に金魚鉢に入れてよいような藻が大量に生えていたり,自転車が沈んでいたりする農業用水路はかなり危険な管理状態と言えると思います。
 先般,児島湖流域清掃大作戦のときに,知事には笹ケ瀬新橋会場にお越しいただき,ありがたかったのですけれども,そのとき浦安の体育館の横の相生川をごらんくださいと申し上げました。今も外来種のアカウキクサというのが大量に生えておりますけれども,これが児島湖に流れ込まない努力を一方でしています。しかし,県から市に強く働きかけていただいている大量に生えてる藻が問題なんです。さらに,例えば南輝などの岡南地区の農業用水路については,周辺に農家の方々が少なく,しかもそれを環境の問題として地域の方々に管理してくださいというのはいささか無理があります。しかし,これらの市管理の農業用水路は,県管理の排水機場から児島湖に放流されます。かように周辺に農地がない農業用水路にある藻やごみで排水機がとまってしまう可能性が都市部ではあるのですが,周辺の都市化が進む農業用水路の管理について,市町との連携,早急な対策についてお伺いをいたします。
 また,平成26年度総合防災訓練が津波を想定して岡山港福島地区耐震バースで行われましたが,平成16年の台風16号では,最も海水が上がってきた場所でございまして,実はあそこは津波より高潮対策がまだ気になる場所でございました。台風11号での満潮の台風来襲時に,私も対岸の小串・甲浦地区におったんですが,このときはかさ上げした堤防を海水が越えるというよりも,堤防の老朽化によって堤防から海水がしみ出ている場所が多くありました。加えて,やはり消防団に加えて少なくとも,単位町内会に1つ以上可搬式のポンプを配備する必要も強く感じました。16年台風で高潮被害が出た場所の現状認識と対策についてお知らせください。
 また,機会があるたびに繰り返ししつこく何度も申し上げますが,児島湾締め切り堤防の排水力を高めるために,排水ポンプを設置することについて,知事御自身が具体的にどう動いてくださっているのかお伺いをいたします。
 加えて,今回の広島土砂災害の被害の中で気になったのが,山の中にあるため池と公共交通機関,とりわけJRとの対策です。例えば灘崎の宮川のように,二級河川の源流地域に農業用のため池がある地域が多いのではないか。ただ,中山間地域の農業の状況から,ため池自体も管理が難しくなる中で,改めて砂防ダムではなくて,児島湖の水位調整のように,台風が来る,大きな雨が降る前には,防災施設としてため池の水位を下げられないか。もちろん,場所によってはため池自体のしゅんせつが必要な場所もあるでしょうし,排水ポンプのように予算的な裏づけをもって人の配置も必要になるかもしれません。改めて防災面から既存のため池について大丈夫か,また逆に防災施設としてのため池の活用についてお伺いをいたします。
 また,先ほどの宮川にしても,砂防指定地の前川にしても,JR宇野線の下をくぐる形になります。特にこうした箇所の拡幅については粘り強い交渉と高額の予算が必要になりますが,崩落事故により不通になったこともあるJR津山線を含めて,特に公共交通機関,とりわけJRさんとの連絡調整による防災対策が今こそ必要だと思いますが,どういう調整がとれているのかお伺いいたします。

(知事)  お答えいたします。
 防災対策についての御質問であります。
 まず,消防団等への思いについてでありますが,児島湖の防災対策については,平成23年の浸水被害を受け,関係市町や土地改良区との協議により定めた対応マニュアルに基づき,今回それぞれが早目早目の対策を実施され,被害を防ぐことができて大変よかったと感じているところであります。改めて児島湖の関係者を初め,県下各地で被害防止のため防災活動を実施された消防団等の皆様の御尽力に対し,深く敬意を表する次第であります。
 次に,農業用水路の管理についてでありますが,農業用水路に発生した藻やごみに起因して排水機が停止する可能性もあることから,県は農業用水路を管理する市町に対して藻刈りやごみの除去など適正な管理を行うとともに,除じん機の設置など必要な対策に取り組むよう助言しているところであり,引き続き市町に対し適切な対応を求めてまいりたいと存じます。
 次に,平成16年の台風による高潮被害場所の現状認識等についてでありますが,堤防等の老朽化や高さの不足した箇所が残っております。こうした箇所については,老朽化の度合いや高さ不足の状況,背後地の重要性などを勘案し,優先度の高い箇所から岡山沿岸海岸保全基本計画に基づき,着実に整備を進めております。また,平成16年の台風時に排水不良の原因となった水門等の整備もあわせて実施しております。
 なお,可搬式のポンプを配備することについては,それぞれの市で必要に応じて判断されるべきことと考えております。
 次に,児島湾締め切り堤防への排水ポンプの設置についてでありますが,昨年9月に国の報告を受けた後も,担当部局を通じて追加の検討を要請するなど,強制排水ポンプの必要性について国と議論した結果,ポンプ設置の必要性は極めて低いとの結論に至ったところであります。
 次に,防災面からのため池活用についてでありますが,ため池は毎年管理者である市町等が点検を行っており,漏水が見受けられるなど,緊急性の高いものから順次改修を行い,安全管理に努めているところであります。
 また,ため池の水位を事前に下げることについては,営農に支障が出る時期もあることから,農家の合意が得られにくく,防災施設としての積極的な活用は難しいと考えております。
 次に,公共交通機関との連絡調整についてでありますが,平成18年のJR津山線での崩落事故を受け,道路と鉄道が近接する区間については,JRと災害時の緊急連絡体制を整備し,情報の共有を図っております。
 また,建設工事に伴うJRとの連絡調整につきましては,建設工事公衆災害防止対策要綱等に基づき,毎年連絡調整会議を開催しているところであり,お話の前川などについては,この会議を活用し,早期整備が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  改めて児島湾の排水ポンプについては,国が要らんから県も要らんと思うんじゃというのは一つの考えでありますが,だから県は何をするのか,そのことをぜひ考えていただきたいと思います。



<平成26年6月定例会>(2014年6月24日)

(佐藤)  教育再生と産業振興ということを知事は強く言われますが,たちまちきょうの命にかかわることが防災対策でございます。もちろん,地震も気になりますが,いよいよ出水期に入って台風の被害がいつ出てもおかしくない,そんな時期に突入しております。多くの都道府県に海岸や河川がありますが,災害が少ないと言われる我々晴れの国おかやまには,これは何ぼでもしつこく申し上げますが,防災上ある意味でネックになる児島湾締め切り堤防がございます。2月定例県議会で,児島湖流域の浸水対策につきましては国,県,関係市町との連携協力のもと,それぞれの役割に応じて総合的な対策を進めることが重要であると認識いたしております。その中で,県もしっかり県の役割を果たしてまいりたいと存じますと御答弁をいただきましたが,特に児島湾締め切り堤防の施設設置者の国が今年度から詳細な耐震性の検証や対策工法等の検討を開始したわけでございますが,具体的にここまでどういう協議が行われてきたのでしょうか。
 一方で,100年ぶりの豪雨を超える排水量を持つポンプを設置しようとすれば,日本最大級の直径4.2メートルのポンプなら28台,県内に既存の最大ポンプである直径1.8メートルなら約150台以上を締め切り堤防の上に乗せにゃあいけんという計算になるわけでございますが,費用面からも技術的にもこれはもう現実的ではないという農林水産省の報告が昨年の秋,出たわけでありますが,ただ我々の記憶に残る台風といえば,吉井川を,後に名前がついたわけでありますが,牛の元気君が流れた平成10年の台風,高潮の甚大な被害が出た平成16年の台風,そして3年前の台風と,間が10年もあかずに大きな被害が出ております。現実問題,100年に一度ではなく10年に一度の台風を想定して,やはり排水ポンプの設置等を求めることは考えられると思いますが,御所見をお聞かせください。
 次に,地域の保水力の向上についてでありますが,県としても市街化調整区域における無秩序な市街化の抑制を図るということでございますが,岡山市のほうでは市街化調整区域において,いわゆる50戸連たん制度の見直しをする条例案を6月議会に提出されておられます。もちろん,これは市街地の拡大を抑えてコンパクトなまちづくりを進めるのが狙いでございますが,保水力の維持にもかなり大きな効果があると思います。こうした動きに対する評価と他の市町村への働きかけをしてはどうでしょうか,所見をお聞かせください。
 また,都市近郊におけるいわゆる都市農地について,農業体験,交流活動の場の提供というものに加えて,災害時の防災空間の確保という観点から今後どのように考えていくべきか,御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 児島湾締め切り堤防等についての御質問であります。
 まず,耐震性の協議についてでありますが,昨年度,国からそれまでの概略検討に引き続き詳細調査に着手したい旨の提案があり,県もその実施について了承したところであります。県では,国が詳細調査を行うに当たり,効果的な工法等を十分精査するよう申し入れるなど,引き続き協議を進めているところであります。
 次に,排水ポンプについてでありますが,県では昨年9月に国の報告を受けた後,10年に一度の確率で発生する洪水が児島湖水位に与える影響についても国に解析を追加依頼した結果,児島湖の水位はAP2.48メートルまで上昇するものの,計画高水位であるAP2.89メートルまでは達しないとの説明を受けております。このため,10年に一度の洪水を想定したポンプ設置の必要性は極めて低いものと考えております。
 次に,地域の保水力の向上等のうち,50戸連たん制度の見直しについてでありますが,岡山市における制度の見直しは,市街地の拡大を抑えてコンパクトなまちづくりを進める上で望ましいものであると評価しており,保水力の維持等にもつながるものと考えております。今後とも,保水力の維持や浸水しやすい地区の市街化を防止する観点から,都市計画等に係る制度の活用について,まちづくりの主体である市町に助言してまいりたいと存じます。
 次に,都市農地についてでありますが,農地には保水力に加え,雨水を一時貯留する機能も有しており,地域の洪水調節の観点からは一定の役割を果たしていると考えております。また,災害時の防災空間の確保等,都市機能を高める役割も有していることから,今後とも,市町と連携して都市農地の有効な活用が進むよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございます。
 これは3年前のことでありますから,知事に就任される前の平成23年の台風でございましたけれども,そこから今まで何が変わっておるのか,防災面で何が変化があったかというと,残念ながら児島湾締め切り堤防についてはむしろ不安がありますよということで,国がもう一度調査を行いますという話になっている,しかも排水ポンプ等は設置される予定も恐らく今後はないだろう,また10年に一度の雨を想定してそのポンプをつける必要は全くありませんという答弁でございまして,これは何が変わったかというと,何も変わっていないわけでありまして,今やれていることは,大きな雨が降る,台風が来る前までにはできるだけ児島湖や農業用水の水位を下げる,これはできていることでありますけども,それ以外のことはできていない。それをやろうとすれば,やはり県が音頭をとらにゃあいけんということでありますが,申しわけないですけど,ここでもし大きな災害があれば,私はもう人災のそしりは免れないというふうに思っております。これはどれだけ県が本気でこの状況が危険な状況だと感じておられるかという,それは感覚の問題なんですが,伊原木知事におかれましては3年前の台風,あのときは知事であられませんでしたが,あのときの経験を踏まえた上で現状の児島湾締め切り堤防が大丈夫だとお考えでしょうか。

(知事)  児島湾締め切り堤防が大丈夫かという御質問に対してお答えをいたします。
 これはちょっと専門的なことになりまして,私自身の理解も十分ではございませんけれども,これまで災害の被害想定は正規分布で行われておりました。概略的には正規分布で非常にいい近似が出るわけでありますけれども,実は正規分布に非常に近いけれども,実際の分布はそうではなくて,べき分布であるらしいという学説が最近非常に有力になっております。べき分布と正規分布,非常に形は似ておりますけれども,最後の裾野の部分の分厚さがわずかに違います。このわずかな違いが対策の立て方を根本から変えてしまうわけでございます。正規分布の場合は,合理的に妥当な水準の計算が数学的にできるわけでありますけれども,べき分布の場合はその最後の計算が発散をしてしまうということでありますので,要するに原理的に言えば,どこまで行っても全く安心がないというのがべき分布の原理的な示唆になります。そういう点で,我々,地球上のどこにいても原理的な安心はございません。翻って,児島湾堤防に関しましても心配があるということですので,今,国の詳細調査を進めていただいているところでございます。我々は,完全な安心が望めない中でいかに現実的に県民の生命,安全を確保していくか,そういう課題に直面しているわけでございまして,できるだけベストを尽くしていきたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  どういう学説があろうが原理的にどうであろうが,そうしたことは一般論としてはあるんでしょうが,今,例えば岡山市南区で各連合町内会ごとに岡山市さんが音頭をとられて,いわゆるこの災害に対する説明会を開かれています。ほとんどの地域が残念ながら浸水被害に遭う,あるいは液状化が発生する,そして何よりもひどいのは児島湾締め切り堤防を海水が突破した想定になっておるということでありまして,原理的なというよりも,我々が政治に携わる者としてやらなくてはいけないことは,市民,県民の皆様に心理的な安心もお与えせにゃあいけんということでありまして,具体的にやはり行政がしっかり動いとるぞと,市と連携して県が動いてるぞということを示すだけでも市民の皆さんの安心になるということで,その部分はどうでしょうか。今は原理的にそれは難しいんで,学説的に言うともう全くそれは不可能だというふうな,それに近いような発言だったと思うんですが,市民,県民の皆様に心理的な安心を与えるために県が具体的に動くというその姿を見せること,そのことについてはどのようにお考えでしょう。

(知事)  心理的な安心を与えるということについてお答えをいたします。
 これは2つあると思います。一つは,例えば東日本大震災でも非常に高い堤防があって,ここだけは安心だというふうに住民が思っていたところが,その堤防を越えてしまって,逆に被害が大きく出たということがございます。ですから,100%の安心でないのに,あたかも100%の安心があるようなことをお伝えするというのは,かえって安全を損なうと私は考えております。ただ,この安全のためにこういうことをやっている,こういうところは100%にはならないけれども,こういうことに関してはかなりこの手当てができていると,そういう正確な情報をお伝えする,この弱いところについて今どういう手当てをしているのかきちんとお伝えをする,対策を立てる,そういうところは非常に大切だと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございました。
 これは,心理的な安心というのは数字を見せて安心してくださいということを言ってるのではなくて,県が音頭をとって市町村,児島湖流域の方々としっかりとスクラムを組んで対策を組もうとしているよ,国に対してしっかり物を言ようるよと,その姿勢をリーダーとして示してもらいたいという意味でございますから,そこに伊原木知事のリーダーシップを期待しての発言でございまして,行政的な説明で安心してくれということを求めてるのではありませんから,知事の後ろ姿を見てみんな安心できる状態にしてくださいという,そうした意味合いでございます。



<平成26年2月定例会>(2014年3月6日)

(佐藤)  それでは次に,3年前の9月の台風第12号で,およそ100年ぶりの記録的な豪雨と高潮が重なって,児島湖周辺で多くの浸水被害が発生しましたが,その対応策として,児島湖の水位を下げるために検討されていた児島湖から児島湾への強制排水については,昨年9月,費用面からも技術的にも現実的ではないという報告が国から行われました。台風第12号時の児島湖へのピークの流入量は毎秒約1,100トン,実は現在の排水樋門からの自然排水は毎秒約1,500トンであり,締切堤防の樋門さえ上がっておれば十分な排水能力があります。また,現在も樋門操作であらかじめ可能な限り児島湖の水位を下げてはおりますが,外潮位が高いときや営農状況等によっては十分水位を下げられない場合もあります。実は,昨年の10月の台風第27号のときもそうでしたが,干潮時とはいえ必ずしも児島湾の潮位が下がらず,樋門を上げられないときがあり,そういう場合も想定して先ほどの強制排水をできるようにすべきだという要望が強くあるわけであります。しかし,100年ぶりの豪雨を超える排水量を持つそうしたポンプを設置しようとすれば,日本最大級の排水ポンプの直径4.2メートル,これが28台必要だという計算になる。ちなみに,新潟県の新川河口排水機場に6台あるのが日本最大,これが28台要るんじゃという話です。仮に県内にある既存の最大ポンプ,これが直径1.8メートルでございますが,これだったら150台以上要るんだという計算になる。仮に100年に一度の大雨に対応するためには,費用面からも技術的にも現実的ではないという,こうした報告だったわけでございます。それにしても,児島湖をめぐる防災対策に関して,排水ポンプの設置が否定されたことは根本から対策を練り直すべき重大なる報告であったにもかかわらず,浸水被害のあった岡山市や倉敷市,早島町,玉野市に十分な報告や協議が行われていないのではないか,改めてこの報告の意味について知事に認識をお伺いいたします。
 今後は,排水ポンプの設置がないことを前提に,台風や大きな雨が降る前には,児島湖や農業用水まで含めて流入する河川の水位をできるだけ下げておくことが必要ですし,ハード面では,結局内水排除を強化するためにも,河川の堤防の低い場所をかさ上げしたり川幅を広げたり,特にこの時期なんですが,しゅんせつを行うということが必要になりますが,内水排除の強化と流域の自治体と一緒になった総合的な計画や役割分担の協議がどのように行われているのかお伺いいたします。
 また一方で,地域の保水力をいかに上げることができるか,端的には,児島湖に一挙に水が入らないようにその負荷をどれだけ下げられるか,地域の保水力を維持するための都市計画のあり方を含めて,防災面からも持続可能な開発が行われる必要があると思いますが,県が方向性を示すことも必要だと思いますが,その認識をお知らせください。
 またさらに,南海トラフ地震を想定して,地域防災計画の修正を含めて,平素から市町村との防災対策のすり合わせ,連絡会議などをどのように進めてこられたかについてお伺いします。加えて,防災対策の関連予算がどのように確保されているのかお伺いいたします。これに関連して,来年度から4年間かけて農林水産省が児島湾締切堤防の調査を改めて行うことになりました。液状化,津波対策など現状の認識と今後国に対してどのように対応することを求めるのかをお伺いいたします。

(知事)  お答えいたします。
 児島湖をめぐる防災対策等についての御質問であります。
 まず,国の報告に対する認識についてでありますが,この内容につきましては,昨年9月3日に国から岡山市など3市1町と県に対し説明があった後も,国は市町から個別に意見や提案を聴取したと聞いております。その後も,国では,児島湖周辺の防災機能を高める方策について検討を進めていると聞いております。
 次に,内水排除の強化等についてでありますが,県では,平成23年の台風第12号の被害を受け設置した連絡会で,関係市町や周辺の土地改良区と協議し,大雨が予想される際の事前の水位調整や連絡体制の強化に取り組んできたところであります。今後,県では,計画的な河川整備に加え,国や関係市町とも協議しながら,湛水防除の機場整備等,それぞれの役割分担に応じて具体的な対策の検討を進める必要があると考えております。
 次に,地域の保水力の向上についてでありますが,県としては,市街化調整区域における無秩序な市街化の抑制を図るほか,開発許可に際して必要に応じ調節池の設置を求めているところであります。今後とも,市町と連携して,都市計画に係る制度を活用しながら地域の保水力の維持に努めてまいりたいと存じます。
 次に,南海トラフ地震を想定した対策についてでありますが,県では,南海トラフ巨大地震の被害想定や県地域防災計画の修正等について,その都度市町村に対して丁寧な説明や意見交換を行いながら進めてまいりました。市町村においても,県の津波浸水予測図や県地域防災計画の修正を受け,津波ハザードマップの見直しや市町村地域防災計画の修正が進められており,今後とも,市町村との連携を深めながら,地域防災力の向上に努めてまいりたいと存じます。
 次に,防災対策関連予算の確保についてでありますが,来年度においても,防災対策に必要な予算を確保し,河川,海岸等の整備や農業用ため池の改修,県立学校等の耐震化を進めるとともに,県民にわかりやすく防災情報を提供するシステムの再構築などを行うこととしております。今後とも,集中豪雨や大型台風,南海トラフ巨大地震などの災害から人命を守るため,ハード,ソフトの両面から防災対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に,児島湾締切堤防の液状化対策等についてでありますが,締切堤防は,改修時の耐震設計基準に基づき建設され,一定の耐震性は確保されておりますが,背後地の広大な農地や公共施設等を津波や高潮から守る重要な施設であると認識しております。また,施設設置者の国が来年度から詳細な耐震性の検証や対策工法等を検討すると聞いておりますが,調査の実施に当たっては,効果的な工法等を十分に精査していただくよう要請してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  先ほども申し上げたんですが,国に対しては,やはり県が音頭をとって何か言っていかなくてはいけない場面があると思うんですが,今回,本当に防災対策の根幹を揺るがすような大変大きな話でございまして,国のほうが市町村に何か説明してるらしいよということでは困るのでありまして,やはり平場で県も一緒になって,あるいは県が音頭をとってこの排水ポンプのことについて,あるいはこれから行われる締切堤防の強化について,やはり平場で市町村と一緒になって聞くべきだというふうに思うんですが,そうした防災対策会議の音頭を県がとられるおつもりはないかお伺いいたします。

(知事)  児島湖流域の浸水対策につきましては,国の報告の中でも示されてますけれども,国,県,関係市町との連携協力のもと,それぞれの役割に応じて総合的な対策を進めることが重要であると認識いたしております。その中で,県もしっかり県の役割を果たしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。



<平成25年2月定例会>(2013年3月6日)

(佐藤)  どうもありがとうございました。
 それでは次に,防災対策について,特に岡山市南区においては平成16年台風の高潮被害,そして一昨年の台風被害,今後予測される地震,津波,液状化の問題の全てが直接関係しております。そして一方で,一級河川旭川でございますが,津波が発生した場合は旭川を遡上することが考えられる地域は,実はこれは岡山河川事務所すなわち国の所管でございます。しかし,例えば「人も自然も生き生き暮らす晴れやかな海辺づくり」と題した岡山沿岸海岸保全基本計画の改定を今県が進めておられるんですが,実は設計水位の設定一つとっても,この旭川と岡山港が十分な整合性がとれていないんじゃないかというふうに思えてなりません。実は旭川の堤防のほうに関しては,これはもう液状化が起きるぞということを想定して,その強化が行われているんですが,実は岡山港は高潮対策すら十分にできていない状況であります。特に現在,旭川水系河川整備計画の策定中であり,十分な連携がとれないと旭川のほうは大丈夫だったけれども岡山港は壊滅的な被害が出たぞということにもなりかねないということで,この岡山港の海岸保全施設の地震,津波,液状化対策における国の河川整備担当部局との連携強化について,御所見をお伺いいたします。
 そして,特にこの議場でも本当にもう何度も何度も申し上げてまいりましたが,児島湾締切堤防の安全性の確認強化は,これはもうしつこく何度でも何度でも設置者の国に対して強く求める必要がございます。仮に児島湾に児島湖から強制排水を仮にいずれするようになったとしても,あるいは津波を受けとめるにしても,児島湾締切堤防そのものの液状化を防ぐにしても,粘土層の上に乗っかっている現在の締め切り堤防は安全のかなめであり,またネックでもございます。児島湾締切堤防にもしものことがあれば,その被害は本当に甚大なものになってしまう,知事のこの児島湾締切堤防の安全を守る,その決意についてお伺いいたしたいと思います。
 また,昨年の9月2日,県下で初めて国との合同で大規模津波を想定した防災訓練が,まさにその岡山港をメーン会場に実施されました。地震の後の津波もさることながら,実は地域全域が液状化して全域に浸水被害が想定されているわけですが,最悪の場合でありますけれども,例えば児島湖の堤防が決壊して,しかも液状化によって避難ルートも絶たれている,こうした想定もされるわけでありますし,こうした想定でなければ本当は防災対策も防災訓練もむしろ1時間半から2時間後に津波が来るから逃げれるよというふうな時間的な猶予のある避難訓練になって,これは功を奏さないんじゃないか,今後の国や市町村と共同の避難訓練のあり方についてお伺いをいたします。

(知事)  お答えいたします。
 防災対策についての御質問であります。
 まず,岡山港の海岸保全施設の地震等対策における国との連携強化についてでありますが,県では50年に1,2度発生が予想される地震に対して安全な施設を整備しており,また液状化対策は三蟠九蟠海岸以外は実施しておりません。国が管理している旭川の堤防も同じ水準で整備されていますが,東日本大震災を踏まえ,より安全性の高い対策を実施することとしており,岡山港海岸立川地区の整備水準を上回ることになりますが,同地区は後背地の地盤が高いことから,現在の水準で安全性は確保されるものと考えております。津波対策につきましては,現在県が津波高の想定を行っているところであり,この結果を踏まえ岡山沿岸海岸保全基本計画の改定を行うとともに,国にもこの結果を示し,旭川等の堤防の安全性について検討するよう求めてまいりたいと考えております。地震,津波,液状化対策は隣接する施設間の整合性が重要でありますので,これまで以上に国を初め各施設管理者との連携に努めてまいりたいと存じます。
 次に,児島湾締切堤防の安全性についてであります。
 県では,一昨年の7月から機会あるごとに施設設置者である国に対して大規模地震が発生した場合の地震,津波への安全対策や台風等の洪水時における防災機能を高める方策の検討について要請しており,これを受け国では現在対応策の検討を行っているところであります。締め切り堤防は児島湖周辺の農地,住宅,学校,公共施設など多くの生命,財産を守る重要な施設であり,地震や津波,台風などで被害が発生した場合には,その被害は甚大なものになると考えられることから,今後とも,締め切り堤防の安全性強化のための取り組みを国に対して強く求めてまいりたいと存じます。
 次に,避難訓練のあり方についてでありますが,お話のとおり避難訓練はそれぞれの地域で起こり得るさまざまな被害を想定して実施することが重要であると考えております。まずは,市町村や地域において災害の種類や規模に応じてどういう被害状況が生じるのか具体的に想定し,どのように避難するべきかを検討していただくことが必要であり,お話の児島湖周辺における想定については訓練の実施主体である岡山市にもお伝えしたところであります。国や県の防災訓練に合わせて実施する場合はもとより,市町村単独で避難訓練を実施する場合においても,こうした検討結果を反映させ,地域の実情に即したより実践的な避難訓練とするよう市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。



<平成24年6月定例会>(2012年6月26日)

(佐藤)  最後に,防災対策について伺います。
 先週8年ぶりということで,6月としては異例なことに,台風第4号が上陸しました。また,熱帯低気圧に変わった台風第5号も,多くの雨を降らせました。昨年9月の台風第12号の被害の記憶が生々しいだけに,多く雨が降るだけで緊張を覚えますが,昨年の台風等による被害の復旧については,市町村と協力しながら進んでいると認識してよいのでしょうか。また,今回の台風第4号,第5号に際して,児島湾締め切り堤防の樋門の操作により,児島湖の水位を下げるなどの今年度からの対策,さらに市町村,地域への連絡等がうまく機能したでしょうか。加えて,締め切り堤防の樋門の状態,児島湖,児島湾の水位について,ウエブ上での公開はいつから始まるのでしょうか,あわせて農林水産部長にお伺いします。
 そして,この場で何度も申し上げてまいりましたが,締め切り堤防の安全性強化などの対策を国へ提案しておりますが,その成果が出ているのか,お知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 昨年の台風等によります被害の復旧状況についてでありますが,県が管理しております土木及び農林施設では,被害を受けました315カ所のうち,これまでに170カ所が復旧を完了しております。残る箇所につきましても,本年度内に復旧を完了する見込みでありまして,引き続き市町村とも協力しながら,被災箇所の早期復旧に努めてまいりたいと存じます。
 次に,児島湾締め切り堤防の安全性強化についてでありますが,県では昨年,台風等の洪水時における防災機能を高める方策の検討と,大規模地震に対する安全性の確保につきまして,国へ提案をしたところであります。これを受け,国では,昨年度末に台風第12号時の児島湖の水位や流入量等をもとに解析モデルを構築し,今年度は引き続きこのモデルを活用して,締め切り堤防樋門からの排水能力や周辺地域への影響について検証を進め,その結果を踏まえ,防災機能を高める方策の検討がなされると聞いております。また,大規模地震への安全対策につきましては,中央防災会議の動向を注視しつつ,国において今年度から耐震診断等に着手し,来年度末を目途に安全性の確認等が行われるものと,このように聞いております。今後とも,児島湾締め切り堤防の安全性強化のための取り組みを国に対し引き続き求めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(農林水産部長)  お答えいたします。
 防災対策についてのうち,児島湖の水位調節等についてでございますが,県では昨年度に関係市町等と協議の上,決定いたしました対応マニュアルに基づき,台風接近の1日前に関係市町に連絡を入れ,児島湖の水位を下げますとともに,水位上昇時における基準水位に達するなど,定められたタイミングで児島湖の水位情報等を関係市町に連絡し,適切に対応したところであります。お話の地域への連絡につきましては,各市町の御判断によって連絡していただく,かようになっておりますが,今回は水位が昨年のような異常水位には達せず,地域への連絡は特に行われなかったと聞いております。また,児島湖の水位情報等のウエブ上での公開につきましては,本年9月には県総合防災情報システムを通じ,運用が開始できますよう,現在,開発を急いでいるところでございます。

(佐藤)  知事におかれましては,今後,本当に今までの岡山県政での行政経験を生かしていただいて,さらなる御支援を県にいただきたいということを本当に強く願うところでありますが,その前にぜひ内尾グラウンドについては,地域の子供たち,地域が納得できる,そうした答えを出していただきたい,この御要望をさせていただき,なおかつ児島湾締め切り堤防については,国のほうから別の形で何とかお力添えが賜りますようなことができればいいなあと,これは夢に描かさせていただきたいと思います。
 質問でございますけれども,特に今,災害復旧のための施策が行われているんですけれども,例えば藤田にある丙川という川の護岸の工事が行われた。このとき,岡山市がここまでやった,岡山県がここまでやった。確かにやってくださっとんですけども,間にすき間ができて,今ビニールシートがかぶっているような場所があります。あるいは急傾斜地域で砂防地地域に指定されると,これは岡山市の河川なんだけれども,県の管理も入ってくるということで,こうした市と県の連携というのが本当にうまくいっているのかどうか。現場において,例えば市はこれは農林の仕事だ,土木の仕事だ,あるいはこれは県だ,市だ,国だと,こういうやりとりが必要なのではなくて,やはりこれは防災対策については,市じゃろうと,県じゃろうと,国じゃろうと,何課じゃろうと,命にかかわることじゃからやってくれということでございまして,その中でやはり必要なことは,例えば市と県が何か防災対策をやるときには,例えば同時発注をする,これは入札の仕方が難しいと思いますけれども,一緒にそうした形で防災対策を一挙にやってみる。それから地域の方への説明も,そういうふうな形でいけば,一遍に済みますので,ぜひそうした仕組み,特に現場で私も何度か立ち会いをさせていただく中で,この点で大変現場は苦労しております。市と県と国がうまく連絡できる,そうした体制づくりについてどのようにお感じか,お尋ねしたいと思います。

(知事)  お答えいたします。
 議員御指摘のとおり,県管理,それから市管理,場合によっては国の管理というものも中には出てくるわけだと思いますけども,こういったもののお互いの連携というものは極めて重要だというよう思います。特に事業を行っていこうという際には,その事業間の調整という問題もありますし,また,途中が今の御指摘のように,穴が,間があいてしまうというようなことがあってはならんわけでございますし,地元の説明とかいろんなこともお互いに事業が関係しておりますから,そういった一緒に説明するといったこともできればやるべきではないかというふうに,私も思います。特に,防災対策におきましては,緊急性が高いわけですから,御指摘の点はごもっともというふうに考えております。なお一層県と市の連携強化をしっかりと行っていくように,担当のほうには指示しておきたいと,また,市のほうにもその点をお願いするようにいたしたいと思います。
 以上でございます。



<平成23年11月定例会>(2011年12月14日)

(佐藤)  やれ早口だ,やれ量が多いと,いろいろあるかもしれませんが,これも一つの病でございますので,何とぞよろしくお願いいたします。
 ことしを振り返ってみたときに,東日本を襲った大震災・津波,大変な猛暑,岡山県にも甚大な被害をもたらした台風と,まるで我々人間の営みをあざ笑うかのように,大自然が猛威を振るいました。もはや我々は,神仏に何かを試されているのではないかと,えも言えぬ不安に襲われると同時に,四季折々の美しい風景のある我が祖国は,こうして地震や津波,台風と,火山噴火という大天災がある国でもあり,しかしその中で我々の先人たちが確かに生き抜いてきたこと,そして我々も生き抜いていかねばならないのだということも痛感した年でございました。そして,その中で我々が守り続けてきたものは,大自然への畏敬と共生の念,生かされていることへの感謝,そしてかたいきずなであることを,今,改めて思い知らされたように思います。しかし,その中で政治としてなすべきことを速やかに行うことこそが,我々の使命だと思います。特に,大きな被害を出した台風12号,15号につきましては,来年以降も同じような被害が地域に出るとすれば,これは人災であるというそしりは,免れないと思います。
 特に,6月定例会で私は,東日本の震災を受けて,児島湾締め切り堤防について,国に対して安全性の確認,強化を強く求めるべきだと申し上げ,さらに児島湾に排水ができない事態が想定される場合の児島湖の水位の調整を含めて,地域の安全の確保をすべきである。さらに,倉敷川や笹ケ瀬川について,老朽化した脆弱な堤防の整備をすべきであると申し上げました。知事は,児島湾締め切り堤防の安全性の確認等については,その後,鹿野農林水産大臣にお会いしていただいて,国に対して強く求めていただきましたが,児島湖については,あらかじめ干潮時に締め切り堤防の樋門操作によって児島湖の水位を下げるなど,適切な排水管理に努めている。そして,干拓地の浸水対策として,岡山沿岸海岸保全基本計画に基づきました堤防の整備や,排水機場の設置を進めているとの御答弁でございました。しかし,こうした危険性を指摘させていただいたにもかかわらず,その後,残念ながら9月3日の台風12号,その間の台風,大雨,さらには台風15号で,岡山市南区全域を初め児島湖流域に避難勧告が出され,各地に大きな被害が出て,児島湖流域の市や町からは,県の児島湖の管理体制の見直しについて強い要望の声が上がっております。その点につきまして,まずどのように御認識されているのかをお伺いいたします。
 さらに,市や町は県に要望して,それを受けた県のほうは,国に方策の検討を要望して,資料提供しただけでは,根本的な解決にはほど遠いものがございます。逆に,児島湖流域の市や町に,県として具体的に要望できることがあるのか。また,国に具体的に,何を,いつ,どのようにお願いをするのか,お伺いいたします。
 加えて,我が党の代表質問に対して,児島湖周辺地域の県管理樋門の操作を原因とする被害は発生しておらず,管理に問題はなかったと答弁されておられますが,問題がないということは,改善の余地すらもないのかをお伺いいたします。
 児島湖流域では,少し雨が降るたびに農業用水をのぞき込んで,また,水があふれるんじゃないか,そうしたトラウマを地域住民の方が持っておられる状況で,私は改めて児島湖,児島湾,児島湾締め切り堤防に対して手を加えなければ,来年も台風が来て児島湖がいっぱいになって,もう児島湖に水が流せんようになった。そうした時点で,また,地域が水につかるしかないんかと,こうした不安は払拭されないというふうに思います。
 そこで,短期的,中期的,長期的に,児島湖,児島湾,児島湾締め切り堤防に対して,市町村,県,国が何をすべきか,どう連携すべきかについて,私なりの提言,質問をさせていただきます。
 まず,地域の方の声として,台風が来る,大雨が降る,そういうときにはもっと早く児島湖の水位を下げるべきではないかという声が大変に多くあります。もちろん干拓農地の水源としての役割を保つため,湖内を一定の水位に保つ必要がございますが,さらに弾力的な運用が可能か,周辺との調整の仕方を含めて,農林水産部長にお伺いいたします。
 ところで,9月3日の台風12号のときに,児島湖の水位が正午ごろに2メートルを超え,その後も急激に上昇いたしましたが,児島湾締め切り堤防の樋門があけられたのがやっと夕方になってからでございました。当日の児島湾の満潮の時間は,午後3時ごろ。大体6時間をかけて満潮や干潮を繰り返すわけでございますが,締め切り堤防があけられるタイミングは,児島湾が児島湖よりも潮位が低いとき,すなわち干潮のときでございます。それは,日に2回しかありません。しかし,9月3日の前日は,樋門を1回しかあけることができませんでした。なぜか。言うまでもなく,本来の干潮の時間に児島湾の潮位が児島湖より下がらなかったからであります。なぜ児島湾の潮位が下がらなかったか。1つには,台風の位置。紀伊半島に長く居座って奈良県や和歌山県に甚大な被害をもたらした台風12号でありますが,この場所に台風がいますと,岡山県北では偏西風,いわゆる広戸風が吹きます。一方,県南では引き潮を押し戻してしまう。それで,児島湾の潮が引かなかったということもあります。加えて,旭川ダムの放流が問題だったのではないかという声もございます。これは,大潮と台風が重なった平成16年の台風でも指摘されましたが,旭川ダムがゲート放流を始めると,4時間から5時間後に児島湾に水が到達する。その放流水が潮位に影響したのではないかという声でございます。そして,今回,旭川ダムは,真夜中の午前1時にゲート放流を始めました。そのときに,決してダムは満杯ではございませんでしたが,流域に多く雨が降ることが予想されたため,制限水位以下でありましたが,放流を開始したわけであります。
 私は,この判断自体は,むしろ努力されたものだったというふうに思います。ただ,結果として,その放流水が児島湾の干潮の時間に向けて放流された,これが問題だということであります。もちろん旭川の流量がどれだけ児島湾の潮位に影響するのか,この数字を出すのは不可能だとは思うものの,干潮を迎える時間に毎秒1,000トンを超える水が放流されたわけですから,何がしかの影響はあったんじゃないかというふうに思います。特に,今回アンラッキーだったのは,県北の大雨が旭川を流れて県南に到達するその時間に,県南が大雨だったということであります。いずれにせよ,自然現象の児島湾の潮位について,人為的にわずかでも影響を与えられるのは,旭川ダムと湯原ダムの放流しかないわけであります。
 そこで,湯原ダムの放流も加えた旭川ダムの放流と児島湾の潮位の関係についてどのような認識をお持ちでしょうか。また,今後,児島湾締め切り堤防の樋門の開閉と旭川ダムの放流についてどのように連携されるでしょうか。工夫の余地はないんでしょうか,あわせてお伺いいたします。
 加えて,昭和29年につくられた旭川ダムにつきましては,昭和59年に予備放流方式から制限水位方式に変更されて以来,見直しが行われていません。旭川ダムの利水は,言うまでもなく,発電用の水と岡山市民の飲み水ですから,これを安易に放流して渇水になれば,これこそ人災になってしまいますが,旭川ダムの制限水位の見直しについて,今後の方針を土木部長にお伺いいたします。
 加えて,旭川ダムの放流のサイレン自体が何かすら御存じない方が想像以上に今回おられましたが,旭川ダムの放流時の地域への周知の徹底,これを含めた対策について土木部長にお伺いいたします。
 次に,児島湖の側について。
 今回の台風は,大雨による被害が多かったということが,平成16年の高潮被害が多く出た台風との決定的な違いであったというふうに思います。ただ,児島湖から児島湾に排水ができなくなったというのは,共通であります。そして,今回,観測史上最大の水位を児島湖も記録したわけでありますが,その中で気になるのは,児島湖畔の玉野市東七区にある児島湖流域下水道浄化センターの放流水が急激に増したということであります。台風が来たらトイレに行く回数がふえるという人も,中にはおられるかもしれませんけども,基本的には降水量と下水の浄化水の放流量の増加というのは,本来イコールではありません。要は,雨水が下水道にかなり入ってきたということであります。地域によっては,マンホールのふたがぱかぱかあいていた。あるいは,わざわざそれをあけて雨水を下水道に流したところもあります。結果として,現状の浄化センターの処理能力を超えた下水と雨水の流入があって,消毒液を入れて中間処理の段階で放流をせざるを得ない状況になりました。ただ,それでも児島湖の水位への直接的な影響は,1センチにも満たかなかったというふうに伺ってはおるんですけれども,しかしこれも児島湾の潮位同様,人為的に影響を及ぼせるもの,逆に言えば,改善の余地があるものじゃないかというふうに思います。
 まずは,児島湖流域下水道浄化センターの施設拡大も予定されておりますが,放流量の増加が児島湖の水位に及ぼす影響について,現状を含めて御認識をお知らせください。また,改善の余地がないのか,改めてお伺いをいたします。
 関連して,児島湖の容量自体が砂や泥が堆積して下がっているという指摘があります。また,児島湖に流入する県管理河川について,すべてについてしゅんせつの要望が上がっております。基本的に,しゅんせつにつきましては,最下流部から行わなければ意味がありませんが,国に対して,児島湖内のしゅんせつを求めることを含めて,今後の児島湖に流入する県管理河川のしゅんせつについてお伺いいたします。
 特に,最下流域になる浦安地域では,農作物の品質向上のために水質の改善,これは極めて重要な問題でありますが,こうした児島湖に流入する河川や用水の河口部と合流部においては,岡山市初め周辺市町との連携によるしゅんせつを行ってはどうか,土木部長にお伺いいたします。
 また,国のしゅんせつにより揚げた泥をわざわざ固めて児島湖内に集めて土捨て場をつくって,これを県が管理されております。地域では,これを無用の長物という声が上がっておりますが,この土捨て場を今後どうするおつもりなのか,農林水産部長にお伺いいたします。
 さらに,6月議会で申し上げた児島湖内部で堤防がない西南側の地区に,今回やはり浸水被害が出ました。1つには,岡山市所管の郡漁港でありますが,一部が民地であります。再度危険性を指摘させていただいて,今後の整備方針について農林水産部長にお伺いいたします。
 ところで,今回,雨水を取り込んで児島湖流域下水道浄化センターの放流量が増加したことに,私は2つの問題があるというふうに思います。
 1つは,大雨を受けとめる地域の保水力がかなり落ちているということであります。つまりは,昔は水田で宅地化された地域では,雨が一挙に農業用水に流れ込んでしまう,それが一挙に道路にあふれ出るということであります。雨水がたまらないのであります。それが児島湖に一挙に流れ込んでしまう。特に,埋め立て,干拓で農地をつくってきた地域では,農業用水が張りめぐらされておりますが,これ自体そもそも田んぼを潤しながら流れる川でありますから,速く流れることを想定しておりませんし,かんがい排水用のポンプも田んぼに水を張ったり引いたりするものでありますから,排水能力自体はそもそも高くない。つまり,児島湖流域はもともと水が抜けがたいわけであります。もちろん農地が宅地化される,発展する,そのことのすべてがいけないわけではないわけでありますけれども,それをするのであれば,保水力と排水力を補う必要がある,あるいはポンプや樋門による水の制御をよほどきちんとしておく必要があると思います。特に,今,地域住民の方々にも目の前を流れる農業用水が,これが一体どこから来て,どこに流れるのか,そして樋門やポンプがどこにあって,それをどなたが管理されているのかもわからなくなってしまっている,そうした節がございます。実際は,土地改良区や水利土木委員,町内会や消防団の方々が必死の思いで樋門やポンプの管理をしてくださっておりますけれども,昔とは決定的に地域の保水力が異なってきています。恐らく台風でなくとも集中豪雨,ゲリラ豪雨で,農地を宅地化した地域で浸水被害が今後拡大する可能性がございます。
 まずは,遊水地のような保水機能の確保,道路マップのような農業用水マップをつくり,さらには信号機のような樋門やポンプの設置状況,機能確認等,根本的なチェックをする必要があると思いますが,こうした農地を宅地化した都市近郊型の浸水被害に対する対策をお知らせください。
 さらに,最大の遊水地というと,私は水田そのものであるというふうに思います。防災というよりも,これは減災という観点から,食の確保,環境保全などに加えて,農地の多面的機能として,地域の減災対策として,大規模な農地を緊急時の遊水地としても確保・保全するという考え方も必要であるというふうに思いますけれども,御所見をお知らせください。
 加えて,今回排水ということでは,揚排水機の排水機能や消防団を含めた可動式のポンプをフル回転をさせたものの,老朽化等の排水力不足,故障,燃料切れが続出いたしました。農業用の排水機設置には,背後地の農地の面積基準が大変重く,今後はやはり可動式の排水ポンプ,さらには今回の被害の中でフル回転した国土交通省のポンプ車のような可動式の機動性の高い車両を,例えば,県北でいうラッセル車や除雪車のように,沿岸部には緊急配備ができる体制をつくることが必要だと思います。老朽化したポンプの改修やポンプ車両配備を含めて,排水ポンプ等排水機能の現状の認識と今後の強化方針をお知らせください。
 さて,雨水が児島湖に入る問題の2点目でありますが,言うまでもなく,児島湖流域下水道浄化センターには,早島町,岡山市,倉敷市,玉野市の下水が来ているわけでありますが,これは汚水と雨水が分離されて処理される分流式という仕組みをとっています。しかし,岡山市と倉敷市の中心部の比較的早く整備された下水道については,もともと下水道に雨水を取り込む合流式という仕組みになっております,特に,岡山市中心部については,基本的には合流式の北区七日市西町の旭西浄化センターで処理され,旭川に放流されるものですが,汚水の一定量については,分流式の児島湖流域下水道浄化センターで受ける形になっております。言いかえれば,岡山市中心部の汚水をわざわざ玉野市まで運んで処理して,それを児島湖に放流しているという話になるわけであります。さらに,昭和38年1月につくられた旭西浄化センターは,汚水については今年度末には,児島湖流域下水道へ送水し,雨水滞水池として整備される予定となっております。しかも,先ほど申し上げた大雨を受けとめる地域の保水力という意味では,岡山市中心部の保水力はかなり落ちていると言わざるを得ないと思います。特に,雨水が西川や枝川といった農業用水にあふれるような場合には,もはや下水道に流れなくなった時点で地下街に雨水が流入する可能性,いわゆる都市型の洪水の可能性が高まっているというふうに,私は思います。
 そこでまず,今後の下水道整備,旭西浄化センターも関連して,岡山市内の雨水処理に対する現状認識,さらに改善のために岡山市とどのように連携するのか。さらに,関連して,今後のまちづくりで特に都市部においては雨水が地下に浸透しにくく,短時間に川に集中して流れ込む都市型水害に対する現状認識,大型ショッピングモールなどがつくられる場合には,地下貯水タンクなどの遊水地機能を持たせることを要請すべきであるというふうに思いますが,土木部長の御認識をお知らせください。
 さて,旭川ダムや児島湖流域下水道浄化センターの放流や締め切り堤防の樋門の開閉を工夫しても,やはり潮位,水位の変化が自然現象であるからには,最終,最後はそれに関係なく,児島湖から児島湾に強制排水ができる,そうした仕組みをつくるべきだという声がかなり多く上がっております。しかし,ここにも2つ問題があります。
 1つは,平成16年の台風の被害による児島湾側の高潮対策が終わっていないということであります。たとえ児島湖から水をかき出しても,児島湾の側がそれによりつかる可能性があります。特に,東日本大震災以降,津波の想定も大きく変わっており,本来であれば高潮でなく津波を想定した基準で沿岸を守る必要がありますが,児島湾側の海外保全施設の現状と今後の方向についてお知らせください。
 また,仮にこうした大きな排水ポンプ,これを締め切り堤防にずらっと並べるとすれば,恐らくこれはもう見たこともないような巨大なポンプの設置が必要になると思います。
 そこで,問題になるのは,やはり締め切り堤防そのものであります。6月議会で申し上げたように,締め切り堤防はそもそも厚さ15メートルから20メートルに達する軟弱な海性粘土層に築造されているため,構造物としては必ずしも強固なものであるとは言えません。そして,これが国の施設であるからには,安全性の確認強化を国に求める必要がありますが,さらに堤防のかさ上げ,排水ポンプの設置についての検討も必要だと思います。今後の方針をお知らせください。
 次に,児島湖流域以外で防災体制の確立についてお伺いします。
 まず,企業との関係において,岡山県ではさまざまな団体と災害時応援協定の締結を推進しています。今回の台風被害の中で,私は津波や河川のはんらん等大規模な水害が発生した場合に,一時避難施設として近隣住民が避難できるよう,民間企業等の建物の高層階,これを開放する協定の締結を推進する必要性を強く感じました。御所見をお聞かせください。
 また,突然発生した自然災害,大火災,テロ攻撃などの緊急事態に有効な手を打つことができなければ,経営基盤の脆弱な中小企業は,廃業や事業縮小,従業員解雇に追い込まれるおそれがございます。
 そこで,事業資産の損害を最小限にとどめつつ,中核となる事業の継続,あるいは早期復旧を可能とするために,平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法,手段など取り決めておく計画BCP(事業継続計画)の必要性を感じます。BCPは,顧客の信用を維持し,市場関係者から高い評価を受けることになり,株主にとって企業価値の維持・向上にもつながります。東京都のように,中小企業に対してBCP策定支援を行うお考えはないか,お伺いいたします。
 関連して,災害時に優先されるべき業務を非常時優先業務として選定し,それぞれの業務について,業務開始目標時間を設定する県政におけるBCPはいかようになっているか,危機管理監にお伺いいたします。
 加えて,東京都では,平常時には防災学習施設のある都市公園として,災害発生時には首都圏広域の現地対策本部,広域支援部隊等のベースキャンプ,災害医療の支援基地として機能する東京臨海広域防災公園を指定しておりますが,総合グラウンド等を広域防災公園として整備されるおつもりはないか,お伺いいたします。
 特に,地域防災計画における災害発生時のレベルフォーの非常体制では,全職員が一斉参集するわけでありますが,現実問題,危険も伴って居住地から参集すること自体が可能かどうか。第1配備,第2配備,現地機動班要員,自局の応急対策業務を行う特別配置職員と,さらに細かくシミュレーションすべきだと思いますが,危機管理監の御所見をお聞かせください。
 また,今回の台風被害の中,一番タイムリーに災害情報が届いたのは,エリアメールであったという声があります。これは,気象庁が配信する緊急地震速報や地方公共団体が発信する災害避難情報などを受信することができる,NTTドコモの携帯電話向けサービスで,対象エリアにいる利用者に限定して配信されたものであります。携帯電話各社と県総合防災情報システムのリンクなど,災害情報の提供にさらなる工夫ができないか,危機管理監にお伺いいたします。
 最後に,今回各避難所の備蓄ではラジオがなく,テレビ,パソコンが設置されておらず,情報が入ってこなかった,体育館等がそもそも浸水していて,プライバシーの問題もあるけれども,教室の2階以上を使えなかったのかという声もありますが,避難場所としての公立小中高校の問題点についてどのような御認識があるか。さらに,子供用の備蓄,最重要備蓄物資,すなわち水,食料,携帯トイレの重点配備に加えて,ソーラー発電機,携帯電話充電器,さらには消毒液等,避難所の備蓄のあり方についてどのような認識をお持ちで,今後どうしていくのか,御所見をお伺いいたします。

(知事)  まず,児島湖流域の防災体制等についての御質問であります。
 児島湖の管理体制の見直しについてでありますが,今回の台風第12号接近時においも,県ではあらかじめ干潮時に湖内の水位を下げるとともに,記録的な豪雨による水位の上昇に対しましては,外潮位を見きわめながら最大限の排水を行うなど,樋門操作は適切に行ったと考えております。一方,流域市町から要望のあった関係機関への情報伝達,連絡体制等の連携強化につきましては,重点的に取り組む必要があると考えておりまして,現在,児島湖の管理に関する連絡会において,流域市町とともに具体策の検討を行っているところであります。
 市町等への要望についてでありますが,県では,今回のような浸水に対しましては,関係機関が連携し,それぞれの役割に応じた対策を講じるべきと考えておりまして,流域市町には,まずは内水排除に万全を期していただきたいと,このように考えております。また,国に対しましては,今回の台風による降雨と河川からの流入及び外潮位が湖内水位に与えた影響の検証と,児島湖の防災機能をさらに高める方策について早急に検討するよう,既に要請し,資料提供も行っているところでありまして,その結果が示された段階におきまして,県といたしましても必要な取り組みを行ってまいりたいと存じます。
 県管理樋門の操作についてでありますが,児島湖周辺地域の県管理樋門につきましては,現時点では操作を原因とする被害は発生していないことから,管理に問題はなかったと考えておりますが,児島湖流域の浸水対策について,市町から相談があれば適切に対応してまいりたいと存じます。
 旭川ダムの放流等についてのうち,潮位との関係等についてでありますが,御指摘の9月2日18時の干潮時に,締め切り堤防樋門の開門ができなかった際には,旭川ダムからは放流はしておらず,一方,9月3日のダム放流時には開門できたことから,ダムの放流により開門できなくなるほどの潮位への影響はないものと考えております。両ダムの洪水調節は,流入量と降雨の状況等から,必要量の放流を行うものでありまして,樋門の開閉と放流を連携させることはできないと考えております。
 児島湖流域下水道浄化センターについてでありますが,日放流量を児島湖の水位に換算すれば,現時点で約1.3センチメートル,最終的な増設後で約3.2センチメートルとなりまして,水位への影響は差し引き約1.9センチメートルの上昇があると認識をいたしております。このたびの放流量増加は,下水への雨水の流入が主な原因でありますが,雨水の流入を防ぎましても,その雨水は河川等を通じまして児島湖へ流入するということでありますので,児島湖水位の低下にはつながらないものであります。一方,下水を適切に処理するという観点からは,雨水の流入を防ぐことが重要でありまして,流域の市町に対しまして,下水道の適切な管理運営を徹底するよう強く働きかけてまいりたいと存じます。
 しゅんせつについてのうち,児島湖等についてでありますが,豪雨に先立って下げておける水位には,潮位の影響などにより限界があることから,児島湖の湖底を掘削しても洪水時の児島湖の水位を下げることにはつながらず,国に湖内のしゅんせつを求めることは考えておりません。児島湖に流入する県管理河川では,土砂が堆積し,河道が阻害されている箇所につきまして,しゅんせつを引き続き実施いたしますとともに,笹ケ瀬川や倉敷川では,河川整備計画において,堤防の整備が完了した後,河道の掘削を行い,流下能力の向上を図ることとしております。
 都市近郊型の浸水対策についてでありますが,対策といたしましては,内水排除のための河川ポンプ等の整備や流出抑制のための雨水貯留施設の整備等が考えられますが,これらにつきましては,土地利用全体の中で検討,整備する必要がありまして,市町の主体的な取り組みが必要であります。今後,市町と連携をしながら,児島湖周辺の土地利用のあり方や浸水対策につきまして検討してまいりたいと存じます。
 遊水地としての農地利用についてでありますが,お話の農地を緊急時の遊水地として活用することで,貯留機能を高めることは,減災対策の取り組みの一つではありますが,排水が難しい低平地という地形条件や,農作物への影響,農家,非農家を含めた地域全体での合意形成など,多くの課題が考えられますことから,今後,関係機関と児島湖流域の防災・減災対策のあり方について検討をする中で研究してまいりたいと存じます。
 排水機能の現状等についてでありますが,児島湖流域には,県市が管理している多くの排水機場がありまして,一部には設置後50年を超え,老朽化により排水機能の低下が見られ,更新時期を迎えているものがあると認識しております。また,ポンプ車両は国が市町村の要請に応じて出動させているものでありまして,機動性が高いことから,一定の排水効果はあると考えております。県におきましても,今後,検討してまいりたいと存じます。
 県では,岡山市南区と玉野市において,現在,排水機場の整備を進めているところでありますが,今後とも,役割分担に応じた浸水対策に取り組みますとともに,内水排除を担う市町が地域の排水計画を考える中で,排水機の更新や能力の増強等のお話があれば,協力あるいは助言をするなど,市町との連携を図りながら適切に排水機能の強化に努めてまいりたいと存じます。
 海岸保全施設の現状等についてでありますが,16年の台風による高潮被害を踏まえて改訂いたしました岡山沿岸海岸保全基本計画に基づき整備を進めておりまして,児島湾内において対策が必要な14カ所のうち1カ所の整備を完了し,現在10カ所で事業を実施しております。また,津波を想定した対応につきましては,現在,国において検討が進められております新たな地震動等の想定及びこれに基づく基準等の見直しを踏まえまして,適切に対応してまいりたいと存じます。
 締め切り堤防のかさ上げ等についてでありますが,お話の堤防かさ上げや排水ポンプの設置も含めまして,防災機能をさらに高める方策の検討を去る10月に国に対し要請し,検討に必要な降雨に関する資料等を提供しておりまして,今後,国の検討により排水ポンプの設置等についても方向性が示されるものと考えております。県といたしましては,その方向性を踏まえ,関係機関と連携し,児島湖流域の防災機能をさらに高めるよう必要な取り組みを行ってまいりたいと存じます。
 次に,児島湖流域以外の防災体制についての御質問であります。
 まず,民間企業等との協定締結についてでありますが,県では,これまで民間が所有するものも含め,津波避難ビルの指定を推進するよう沿岸市に助言してまいりました。このたびの東日本大震災や台風災害を受けまして,県内市町村にも高層の建物を一時避難施設として開放する協定を民間企業等と締結する動きがありまして,今後,県といたしましてもその意義や必要性を普及啓発するなどいたしまして,協定締結の取り組みが促進されるように支援してまいりたいと存じます。
 BCPに関し,中小企業の支援についてでありますが,BCPについては,これまで県のホームページや産業振興財団の情報誌を活用いたしまして,その必要性の周知に努めているところでありますが,本年8月に実施いたしましたアンケート調査では,策定済み,または,策定中の企業は約5%にとどまっておりまして,このような状況を踏まえ,商工会議所,商工会等の支援機関と連携し,一層の周知を図りますとともに,具体的な策定支援につきまして,現在,検討を行っているところであります。
 広域防災公園についてでありますが,県地域防災計画では,現在,大規模災害時の支援物資等の受け入れ候補地を,岡山空港,流通センター等としておりまして,広域防災拠点としての機能は,こうした施設を中心に確保してまいりたいと存じます。
 なお,県総合グラウンドなど一定の広さを持つ公園は,既に広域避難所として指定されていることなどから,御指摘の広域防災拠点機能を有する公園として整備するということは,考えていないところであります。
 避難所についてでありますが,学校を避難所とする際は,一層のバリアフリー化や避難所運営における学校と地元市町村との役割分担などの問題があると認識をいたしております。また,水や食糧,調製粉乳等は,目標数量を定めて確保に努めているところでありますが,その他の種類の物資の備蓄や学校などの各避難所への分散備蓄につきましては,今後その必要性や課題等につきまして,他県の状況も踏まえまして研究をしてまいりたいと存じます。

(危機管理監)  児島湖流域以外の防災対策についてのうち,まず県の業務のBCPについてでありますが,最も大きな被害を受ける大規模な地震を想定したBCPを作成することとしておりまして,現在,庁内関係各課等が選定いたしました災害時に優先して実施する非常時優先業務の取りまとめ等を行っているところであります。
 なお,県のBCPにつきましては,地域防災計画を踏まえる必要がありますことから,防災計画の見直しと並行して,本年度末を目途に作成したいと考えております。
 次に,災害発生時の体制についてでありますが,突然発生する地震の場合には,勤務課所の近くに居住する職員をあらかじめ緊急初動班員として指定し,迅速な対応を行いますとともに,道路状況等により,本来の勤務課所へ出勤ができない職員は,最寄りの県民局等へ参集することとしております。このような体制により,災害時の機動的な対応に努めておりますけれども,3連動地震による被害想定や今回の台風災害等を踏まえますと,今後,非常時の体制を見直す必要があると考えておりまして,そうした中でお話のシミュレーションや職員の参集訓練の実施等についても検討してまいりたいと存じます。
 最後に,災害情報の提供についてでありますが,お話のエリアメールは,NTTドコモに加え,来年春からはau,ソフトバンクでも同様のサービスを開始する予定でありますが,これにより市町村では,県総合防災情報システムに加えまして,各携帯電話事業者ごとに避難情報等を入力することとなり,業務が煩雑になるなどの課題が生じるというふうに考えております。このため,来年度から着手することとしております県総合防災情報システムの再構築の作業の中で,各携帯電話事業者を含め,さまざまなメディアと連携し,一層効率的かつ迅速に災害情報を県民に提供できる方策を検討してまいりたいと存じます。

(農林水産部長)  児島湖流域の防災体制等についてのうち,湖内の水位についてでありますが,台風の接近が予測されるなど,豪雨により児島湖の水位が異常に上昇するおそれがある場合に,あらかじめ湖内の水位を下げておくことは,大変重要であると考えておりまして,水利関係者等の理解のもと,弾力的に水位を事前に下げる対応を行っているところであります。今後とも,潮位による制約はありますが,大雨等が予想される場合には,事前の樋門操作により湖内水位を下げるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に,土捨て場についてでありますが,お話の場所は国営事業によるしゅんせつ土を活用し,児島湖内の水流を改善するため,締め切り堤防護岸の一部として整備されたもので,県が国から管理を受託しているところであります。土捨て場の利用については,管理者である県から岡山市等関係機関に対し照会を行いましたが,利用計画がなく,現在に至っており,今後,自治体等から相談があれば,所有者であります国の意見も聞きながら適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に,西南側地区の整備方針についてでありますが,郡漁港については,7月に管理者である岡山市に対し,早急に整備するよう申し入れを行ったところでありますが,現時点では具体的な整備計画は決まっていないと聞いております。また,民有護岸の整備につきましては,所有者が行うものでありまして,相談があれば必要な指導,助言を行ってまいりたいと存じます。

(土木部長)  児島湖流域の防災体制等についてのうち,旭川ダムの放流等のうちの制限水位の見直しについてでございますが,旭川ダムの制限水位より下には,水道やかんがい用水等がためられており,10年に1回程度の渇水の際にも利水が確保できるよう定めたものでありますので,制限水位を見直すことは,こうした利水容量を削減することになりますため,考えていないところでございます。
 続きまして,放流時の周知につきましてでありますが,旭川ダムでは放流開始時及び放流量が一定に達すると予想されるたびに,警報車による通知と警報局サイレン吹鳴を事前に実施するとともに,岡山市が関係町内会長等に連絡を行っているところであります。また,サイレンについては,その内容の説明看板を河川堤防等に設置しておりますが,放流時の周知方法を含め,毎年洪水期前に実施する関係町内会長等も参加する連絡会議において,チラシ配布を依頼するとともに,県のホームページも活用するなど,さらなる周知に努めてまいりたいと存じます。
 続きまして,しゅんせつのうちの周辺市町との連携についてでありますが,河川管理者が行うしゅんせつは,堆積物により流下能力が低下し,治水安全上緊急性を有する箇所から実施しているところでありまして,御指摘の箇所につきましては,今後,そのような箇所でのしゅんせつが必要となった場合には,周辺市町と連携し,適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に,児島湖流域の防災体制等についてのうちの雨水処理についてでありますが,岡山市内で現在雨水処理を計画している区域は,5,700ヘクタールであり,そのうち約2,400ヘクタールの整備を終えており,合流式の約900ヘクタールは,旭西浄化センターで受け入れ,分流式の約1,500ヘクタールはポンプ等で河川に排水しております。雨水の流入で旭西センターの受け入れ量が増加しても,児島湖流域下水道浄化センターへは,晴天時の汚水量に相当する量を送っており,流域下水道センターの受け入れ量は増加しないこととなっております。旭西センターは,処理区域に比べ雨水の処理能力が低いことから,市に対し施設の増強については働きかけてまいりたいと存じます。
 都市型水害につきましては,岡山市中心部は戦後の復興期にそのほとんどが市街化され,保水力の低下はその時点からの課題であります。既設の施設に対する貯留施設の整備は,困難な面もございますが,新たに整備される大規模な施設に対しましては,岡山市,倉敷市において補助制度を設け,企業に対し設置を促しているところであります。



<平成23年6月定例会>(2011年6月24日)

(佐藤)  改選後,最初の議会でトリを務めさせていただきますことを,心から感謝申し上げます。
 いつか今を振り返ったときに,奇跡の戦後復興に匹敵する震災後復興をなし遂げたと言ってもらえるよう,私も全力で質問及び提言をさせていただきます。
 さて,恐らく台風2号が通過したときに,多くの岡山県民の皆様が,「やっぱり岡山県は安全だなあ」と思われたに違いないと思います。私は,確かに災害は少ないですが,一たび災害があれば,むしろ岡山県は非常にもろいというふうに感じております。ところで,知事は,東日本大震災を受け,2つのプロジェクトチーム(PT)をつくられました。防災強化検討プロジェクトチームと震災影響検討プロジェクトチームがそれでございますが,こうしたプロジェクトチームは,各部の主管課,担当課課長が集まられる連絡調整会議のようにしか見えないときがございますが,庁内に一体幾つあるんでしょうか。そして,今まで,PTの中間報告なり,最終報告というのも余り見たことがないんですが,今回はいかようにされますか,あわせて総合政策局長にお伺いいたします。
 そして,県では,民間の活動を多く含めて,「東日本大震災への対応状況について」という文書をまとめています。各課ごとにどんな対応をしたかが書かれておりますが,多くは現地派遣で,被災地向けの対応と東日本大震災の影響を受ける県内中小企業者のための県制度の融資や相談窓口の設置が同列に掲げられております。私は,県内の経済対策と防災対策,特に危険地域のチェック,あるいは国所管施設についての要望など,県内に対して各部・課が何をやったのか,何をやるのかが,復興支援と同様の問題であると思いますが,そういう取りまとめはなされないのか,お伺いいたします。

 ところで,3月に災害対策基本法に基づき県の附属機関として設置されている岡山県防災会議が,岡山県地域防災計画をまとめられました。これは,震災対策編,風水害等対策編,原子力災害等対策編の3部に分けられておりますが,国民保護法に基づく岡山県国民保護計画と並んで,いわゆる電話帳のような冊子が4部ございます。正直なところ,各編はかなり内容がもちろん似通っておるわけでございますが,今回の東日本大震災では,災害が複合的に発生しており,各編に分けていても使えなかったという部分があると思います。今後,こうした編成についてどのようにお考えになられますか,危機管理監にお伺いをいたします。
 また,風水害等対策編は,暴風等による災害,大雨等による災害,高潮による災害や異常気象による災害を想定しておりますが,高潮・洪水という言葉はあっても,津波という言葉がありませんし,震災対策編でも,津波災害予防計画の項目は1ページだけでございます。そして,ここで岡山県地震・津波対策専門委員会が設置されましたが,端的に津波については,今までどのように考えられ,さらにことし,地域防災計画の津波の項目の修正を行われるか,お伺いいたします。
 それにしても,震災対策編の問題の指摘には,本当にぞっとするものがございます。「阪神・淡路大震災において,平常時の備えの不十分さが指摘されたが,岡山県においても,災害の少ない地域という認識が阪神地方に増して強く,家庭,事業所等における地震に対する生活必需品の備蓄は十分ではない」あるいは「避難路については,現在指定されておらず,また,避難地についても表示等が十分とは言えない」また,「阪神・淡路大震災でも明らかになったように,複数の被害が同時多発的に発生する地震被害に対しては,備蓄資財の内容及び数量等の一層の充実が必要である」こうした指摘が防災計画の中で既になされても,その対策を具体的に行わないと,これは意味がありません。このことについての今後の対応をお知らせください。
 また,東南海・南海地震防災対策特別措置法に基づいて,第4章で,東南海・南海地震防災対策推進計画で章を割いておりますが,これが特別措置法の影響なのか。国の中央防災会議の影響なのか。同規模の地震が想定される大原断層や中央構造線の一部が震源地になる地震については,章を立てておりません。中央構造線は,関東から九州へ西南日本を縦断する大断層系,いわゆるフォッサマグナてございますが,一部は活断層でございます。岡山県の近隣では,徳島市から佐田岬半島北側の沖合を通って豊予海峡に入っており,部分的に活断層が見られます。確かに,歴史時代以降の活動歴は少ないんですけれども,逆にエネルギーが蓄積されていると考えられ,要注意断層でございます。30年の間にマグニチュード7から8クラスの地震が発生する可能性が,我が国の活断層の中ではやや高いグループに属しております。そして,想像される震源地が非常に近いため,津波や液状化現象についても,東南海・南海地震とは異なるシミュレーションが必要だと思います。特に,中央構造線の一部を震源地とする地震について,東南海・南海地震とは別に考える必要性についていかようにお考えか,お伺いいたします。

 次に,具体的に地域を絞ってお伺いさせていただきます。
 まずは,1959年に,国営児島湾沿岸農業水利事業として完成した児島湾締め切り堤防についてでありますが,長さは1,558メートル,国から委託を受けて岡山県が維持管理しております。岡山海岸保全事業として締め切り堤防一連の施設が改修はされましたが,そもそも厚さ15メートルから20メートルに達する軟弱な海性粘土層に築造されているため,構造物としては必ずしも強固なものであるとは言えません。そして,児島湾締め切り堤防上の道路は,御案内のとおり,路線バスを除く大型車両の通行はいまだに禁止され,これにかわる道路として,児島湾大橋が1983年に完成しております。私は,地震により液状化して崩壊した児島湾締め切り堤防を津波が破壊して,笹ケ瀬川,倉敷川を海水が逆流するというのが想定できる最悪の事態だというふうに思いますが,端的に国の施設である児島湾締め切り堤防は大丈夫なのか。国に対して安全性の確認,強化を強く求めるべきだと思いますが,お考えをお聞かせください。
 関連して,児島湾締め切り堤防で遮られた児島湖内部で,なぜか締め切り堤防西南側の地区だけ堤防がございません。言うまでもなく,背後地は県が分譲する住宅街でありますが,児島湾にいわば排水ができない事態が想定される場合の児島湖の水位の調整も含めて,地域の安全の確保についてお伺いをいたします。
 加えて,児島湖に流れ込む倉敷川や笹ケ瀬川について,河川行政からいえば,本来は堤防等の整備というのは,河口部からというのが一般的でございますが,笹ケ瀬川については,足守川との合流点以南について,老朽化した脆弱な堤防になっております。今後の整備方針についてお知らせください。

 この項最後に,県庁舎の耐震化についてお伺いいたします。
 厳しい財政状況ではあるが,耐震化については災害時の応急活動や復旧活動,避難・救助活動の拠点となる施設を優先する。このことを基本と考えると,本部機能を担う県庁舎は,早期の耐震化が必要だという理屈になります。ただ,知事は,平成20年2月定例会での,道州制が導入されたら具体的にどうなるのかという,私の一般質問に対して,「例えばこの県庁の建物が,議事堂がどうなっていくんだとか,あるいは抱えております負債がどうなるのかと,こういったようなことの具体的なイメージは,残念ながらまだ描ける段階ではございません」と,このように答弁されております。道州制を目指す中で,今後どのように使われるのか,御自身でもわからない建物について,また,図書館という代替があるにもかかわらず,耐震化の検討をなされるということでございますが,この際,これはあくまで例でありますが,県庁舎については,耐震化構造にするぐらいならば,マンションを伴う産業観光オフィスビルとして有効活用が可能な,この内山下の土地を備前県民局の土地と一緒に売却する。そして,県警本部と一緒に,例えば中四国州の核を目指す中で,県庁舎から州施設にかわるというのならば,中四国の交通の結節点,高速道路も空港も近く,地盤も強い,吉備高原都市への移転・新築まで含めて,こういうことも検討するというように,もう少し柔軟に考えるべきではないでしょうか。さらに,この理屈からいくと,築58年の老朽化知事公舎の耐震化構造を進めるということになりますけれども,耐震化の前提として,そもそも県庁舎が内山下にあるべき合理的な理由も含めて,30年後の県庁舎と知事公舎が何に使われているとお考えか,あわせてお知らせをください。30年耐震化するということは,そういう意味ですから。

(知事)  数多くの御質問をいただきました。私は,佐藤議員のように早口でしゃべれませんので,できるだけゆっくりとわかりやすく御答弁申し上げたいと思います。
 まず最初に,防災対策の強化等についての御質問であります。プロジェクトチーム等であります。
 最初に,県内の経済対策等についてでありますが,このたびの震災に対応するための県内の産業面での対応につきましては,御質問にもございましたが,これまで県内中小企業者のための県融資制度,県制度融資,あるいは相談窓口の設置などを行ってまいりましたが,震災影響検討プロジェクトチームにおいて,引き続きさまざまな対策を検討しております。また,防災対策につきましては,現在,防災強化検討プロジェクトチームを中心にいたしまして,ソフト・ハード両面から具体的な対策を検討しております。両プロジェクトチームが行う中間報告や,来年早々に取りまとめ公表する最終的な検討結果によりまして,御指摘をいただきました県内への対策につきましても,まとめてお示しできるものと考えております。
 次に,津波についてでありますが,これまで東南海・南海地震に伴う津波が本県に大きな影響を及ぼすものであることから,地域防災計画の震災対策編において,津波に係る被害想定や予防計画等を定めますとともに,市町村に対しまして,津波ハザードマップや津波避難誘導計画の作成等を助言してきたところであります。このたびの震災では,津波が甚大な被害をもたらしたことから,いつ起こるかわからない津波等から人命を守る避難対策等を速やかに検討するため,県地震・津波対策専門委員会の御意見をお伺いしながら,本年度中に行う地域防災計画の見直しの中で,津波対策についてもより具体的に検討してまいりたいと存じます。
 次に,平常時の備えについてでありますが,御指摘のとおり,生活必需品等の備蓄や避難地の表示等に関しまして,平時から備えておくということは重要であると存じます。県の防災強化検討プロジェクトチームでは,避難を中心といたしまして,各市町村の防災対策について,その現状や課題を洗い出したところでありまして,また,現在の食料や生活必需品につきましても,備蓄計画の妥当性を再検討する必要があると考えているところであります。今後,これらの課題に対しまして,県地震・津波対策専門委員会の御意見もお伺いをしながら,具体策を検討いたしまして,市町村と連携して,できるだけ速やかに実行いたしたいと考えております。
 次に,中央構造線についてでありますが,本県の地震防災対策上重要と考えられる地震の一つといたしまして,中央構造線の一部を震源とする地震を,地域防災計画の中で位置づけております。中央構造線の一部を震源とする地震は,活断層による地震でありまして,海溝型地震であります東南海・南海地震とは発生メカニズムが異なることから,お話のとおり,被害想定に当たっては,異なる手法で行うことが必要であると考えております。

 次に,児島湾締め切り堤防についてであります。
 まず,安全性の確認等についてでありますが,国に確認をいたしましたところ,堤防は改修時の耐震設計基準に基づいて建設されておりまして,一定の耐震性は確保されているとのことでありました。しかしながら,このたびの東日本大震災によります被害の状況から,地震・津波への対策を検討する必要があると認識いたしておりまして,万が一堤防が決壊した場合には,周辺の広大な農地や公共施設,さらには地域住民の生命,財産に大きな被害が予想されることから,引き続き耐震性に関する詳細な情報の提供を求めますとともに,今後発生することが予想される地震・津波の対策に万全を期するよう,施設の設置者であります国に対し強く求めてまいりたいと存じます。
 これに関し,地域の安全確保についてでありますが,児島湖は,干拓農地の水源としての役割を有しておりますため,湖内を一定の水位に保つ必要がありますが,洪水が予測される場合におきましては,あらかじめ干潮時に締め切り堤防の樋門操作によって,児島湖の水位を下げるなど,適切な排水管理に努めているところであります。
 また,干拓地の浸水対策として,岡山沿岸海岸保全基本計画に基づきました堤防の整備や排水機場の設置を進めているところでありますが,お話の場所は,岡山市が管理する郡漁港区域内に位置し,同計画に基づいて岡山市において海岸保全施設を整備することとされていることから,岡山市に対して整備の促進を申し入れてまいりたいと存じます。
 笹ケ瀬川の整備方針についてでありますが,20年に河川整備計画を策定し,現在最も流下能力が低い足守川合流点から上流の白石橋までの約2キロメートル区間の整備を重点的に行っているところでありまして,お話の足守川合流点から下流の笹ケ瀬橋までの堤防整備につきましては,現在実施中の区間の進捗状況を踏まえまして検討してまいりたいと存じます。
 次に,県庁舎の耐震化等についてでありますが,東日本大震災を受けて,防災対策拠点の早期強化が求められている中,これまでの東棟増築や西棟耐震改修の状況,また,厳しい財政状況などを考えますと,巨額の費用を要する移転・新築よりも,現県庁舎の耐震化のほうが現実的であると考えております。また,30年後の県庁舎につきましては,道州制が実現しているといたしましても,物理的な限界である築100年が迫っておりまして,知事公舎も含めまして,実際にそのときに何に使われているかは,確たることは現時点で申し上げることはできないところでございます。御理解をいただきたいと思います。

(危機管理監)  地域防災計画の編成についてでありますが,かつては地域防災計画として一冊であったわけでありますけれども,阪神・淡路大震災を契機といたしまして震災対策編が,また,東海村JCO臨界事故後に原子力対策編が,それぞれの災害への対応を明確にするために別冊となったものでございます。また,岡山県国民保護計画につきましては,有事法制の一環として別途編冊をされております。したがって,当面,現在の編成を見直す予定はございませんけれども,法令の改正やより効果的な取り扱いが考えられる場合には,国の助言や他県の取り扱いも参考にしながら検討してまいりたいと存じます。

(総合政策局長)  プロジェクトチームの庁内での数等についてでありますが,県では,昨年度から,部局横断的な緊急課題に対しまして,随時,専門プロジェクトチーム(PT)を設置しておりまして,昨年度は電気自動車の普及,県立児童会館閉館後の活用,総合特区制度への提案及び新エネルギービジョンの策定,この4つの課題につきまして,PTを設置したところでございます。それらの検討結果につきましては,政策推進会議で報告いたしますとともに,県のホームページ等で公表したところでございまして,既に事業化されたものも多いところでございます。現在,活動中のものといたしましては,お話のあった防災強化検討PTと震災影響検討PTの2つでございますが,両PTの検討結果につきましては,適宜,東日本大震災総合対策本部会議へ報告し,公表いたしますとともに,各種施策に反映させてまいりたいと存じます。

(佐藤)  だんだん4期目になりますと,登壇回数も限られてくるということがありまして,登壇したら早口でべらべら質問してしまいますことを,まずもっておわび申し上げたいと思います。
 その中で,2つの再質問と2つの要望をさせていただきたいと思いますが,1つは,これは要望でございますが,児島湖のほうの,これは国に対して言っていただけるということでありますが,樋門の管理については,これは県の管理ということでございますが,先ほど知事おっしゃられたように,干潮時には下げるんだと,これは当たり前のことなんですが,それだけではなくて,例えば集中豪雨が発生するぞということも,今わかる。そしてまた,県北のほうで大きな雨が降れば,これは例えば旭川ダム放流したら数時間後に児島湖のほうはいっぱいになるわけでありますから,そこら辺のメカニズムというのをきっちりと全部連携しながら,干潮時に流しゃあえんじゃというもんじゃなくて,干潮時でなくても流さなくてはいけない,児島湖のほうから児島湾に水を出さなくてはいけない場面もあるんだというふうに,ぜひこれは臨機応変に対応していただければと思います。
 それからもう一つ,内尾のことでございますが,内尾グラウンドについては,理解をもらったということでございますが,問題はこれから発生するということでございまして,まだ県民の皆様もこの内尾グラウンドがメガソーラーの誘致の場所になっているということを,実はまだ十分に御存じない。こうした状況の中で,これから子供会連合会等のソフトボール大会が始まってくる中で,何とここにメガソーラーを誘致するのかという話が,これから出てくるということでございますから,それをやられるのであれば,よほど理解いただくために御努力いただかなくてはいけないということで,その点はよろしくお願いいたします。
 お伺いしたいことは,2つでございますが,1つは,ちょっと答弁漏れというわけではないんですが,私が申し上げたかったのは,1つには,避難路が決められていない。要は,避難ルートが決まっていないということで,例えば東南海・南海沖地震が起きた,そして2時間から2時間半後に,2メートルから3メートルの津波が岡山を襲いましたといったときに,じゃあ県南の人間が県北に逃げようでとなったときに,どの道を通って逃げるんですかということすら,実は決まっていない。交通渋滞の中で,津波から逃げられない可能性すらあるということで,私たちは避難ルート,避難路の確保すらを認識していないということでございますが,このことはぜひやっていただきたいと思いますが,その中で知事がおっしゃられた中央構造線については,メカニズムが違うので,これはシミュレーションは別ですとおっしゃられましたが,要はシミュレーションされるのかされないのか,このことについてお伺いしたいのが1つ。

 そして,県庁の耐震化構造と,私は実は林原さんの土地の問題というのは絡んでいるというふうに思っておるんですが,先ほどおっしゃられたように,30年たったこと,後のことはようわからんなということではあるんですが,私まだ子供が10歳でございまして,子育て世代とすれば,30年後ぐらいなら当然責任は負わにゃあいけんと,わかってやらにゃあいけんということでありまして,その中で,例えば引き合いとしては吉備中央町の吉備高原都市を県庁移転先に出しましたが,しかし考えによれば,例えば林原の跡地,このところを例えば県庁をここに移転する,あるいは市役所がどうなるかわかりませんけれども,いわゆる道州制ということで,本当に我々が州都を目指すんだと,そうした思いがあるのならば,林原のあの場所に州政府を誘致するんだと,そのぐらいのやはり夢を描いていただきたいし,また,国会議員の先生方にも,ぜひこれは政府の機関であったり,あるいは国際機関,こうしたものが林原のあの場所に来るんだと,そのためにこの林原を使っていこうというふうなことで,長い目で考えていただきたいということで,目先,今はとりあえずここは耐震化構造せにゃあいけんぞということは,30年間はここに県庁があり続けるということでありますが,そうではなくて,岡山県のグランドデザインや岡山市のグランドデザインを描く中で,何をやりたいのか。場合によっては,この岡山県庁がここにあることによって岡山市の未来を阻害する可能性すらあるということでありますから,そうした意味では,まさに耐震化構造が必要なのはもちろん当たり前のことなんですけども,ただここを何のために今後使っていくかという大前提,グランドデザインの中で描いていただきたい。先ほどは,吉備高原都市ということを申し上げましたが,林原も私は一つの移転先の候補地であるということだとすれば,市のほうから何か言われるまで,県とすれば待っておりますというのではなくて,やはり政治的な御判断でどんどんこういう場面では,国も県も市も一体となって動いていただきたい,そのことについての御認識をお伺いしたいと思います。

(知事)  中央構造線にかかわる被害想定につきまして,県といたしましても必要なシミュレーション,これを行ってまいりたいというふうに思っております。
 県庁舎の耐震化に関しまして,林原さんの持っておられますモータープール等を例示に挙げられまして,将来の大きなグランドデザインをというお話がございましたが,道州制について,あるいはその州都について,区割りについて,まだまだ私自身の願いは強く持っておりますけれども,具体的な方向性が出ておりません。そういう極めて不確定な状況の中で,州都をどうするこうするといったことを念頭に置いて土地を取得するというようなことは,現在の県行政の置かれている厳しい状況の中ではなかなか難しいんではないかというふうに思っております。当面,県庁舎が順次耐震化をしてきておりますので,残ったところ,特にこの議会棟も危ないわけなんですけれども,こういったところをほっといていいのかということがありますので,やはり順次,自民党さんの代表質問でもお話が出ましたから,そういうことを受けて前向きに検討を進めていきたいというふうに,当面の耐震化は必要であるということを御理解いただきたいと,このように思っております。
 林原さんの持っておられますモータープール,これはやはりまちづくりの核となる土地でございますから,これはやはりまちづくりは市町村が中心となってプランを立てられるのが基本でございます。そういう意味におきまして,岡山市の取り組み方向が出ましたら,それについて必要な協力は,私どもとしてもやっていきたいと,このように思っております。



<平成19年12月定例会>(2007年12月12日)

(佐藤)  加えて,今後導入が予定される消防防災ヘリコプターについては,県警ヘリコプターの「わしゅう」や岡山市消防ヘリコプター「ももたろう」──現在岡南飛行場におりますが──この兼ね合いから,リスク分散という考えもあるのかもしれませんが,山の中で霧が発生しやすい岡山空港よりも,平地から直ちに飛び立てる岡南飛行場の方がこうした航空防災拠点に向くと私は思いますが,今後の方向も含めてお知らせください。
 これに関連しまして,今後整備される警察署等の公共施設や,また県民局や支局,さらには民間ビルの屋上等には,防災・救援拠点として消防防災ヘリコプターの離着陸が可能なようにするのが,私はこれはもう時代の趨勢だと考えますが,離着陸場の整備状況と今後の方向について,総務部長にお尋ねいたします。

(知事)  航空防災拠点についてでありますが,現在,消防防災ヘリを早期に導入する方向で,鋭意検討しているところであります。消防防災ヘリの運航基地となる航空防災拠点につきましては,既存施設の活用や航空法上の手続等から,岡山空港と岡南飛行場が考えられるところでありますが,全県的な防災力の強化を図るという基本的な視点に立って,災害時のリスク管理や経済性並びに気象条件や地理的条件など,さまざまな観点から,最も適切な場所の検討を現在進めているところであります。

(総務部長)  ヘリコプターの離発着場についてでありますが,大規模災害時等において,空からの救出・救助活動は大変有効と考えており,ヘリの離発着場の確保は重要と認識いたしております。現在,県内で大規模災害時等に離発着できる常設及び緊急離着陸場は,建物の屋上8カ所も含め,433カ所となっておりますが,今後とも,県内消防本部等と連携し,屋上施設を含めて,できる限り多くの離着陸場の確保に努めてまいりたいと存じます。



<平成18年12月定例会>(2006年12月12日)

(佐藤)  政治とは何かを考えるときに,市民,県民の生命,自由,財産を守るという説明もできます。まさに危機管理体制づくりはその基本ですが,危機管理はすべて,れば,たらの仮定の上に成り立ちます。先月19日,岡山市下牧のJR津山線の脱線事故について,危機管理の視点も加えてお伺いいたします。
 私は,今回の県の対応に少なからずの疑問を感じております。これが日曜日の夜明け前ではなくて,平日の通勤通学時間であったら間違いなく何十人も亡くなっていた,そんな事故であって,この事故から教訓を得て,実践的に対応しなければ,けがをされた方々,きょうもまた通勤通学に不便をされている方々にとても申しわけが立たない,そのように考えます。
 まずもって,早速翌日に,JR西日本への安全対策の徹底と早期復旧を申し入れたとのことでありますが,列車の脱線,乗客25人の方の負傷については,県も大きくかかわった人災の部分があるということを看過してはならないと思います。失礼ながら,少なくとも県が完全民間企業のJR西日本とともにわびこそすれ,一方的に申し入れをする立場にはないと私は考えます。こうした対応によって,JR津山線が抜本的安全対策がなされないまま廃線にさえ追い込まれる可能性もあり,同様の問題を抱える県内のJR赤字ローカル線,姫新線,芸備線,因美線,すべての廃線につながることさえ想定しなければならないかもしれません。私は,別にJRの味方ではありませんけれども,JR西日本では,阪神大震災以後赤字ローカル線については,保守費用の出ない路線は廃止・縮小せざるを得ない状況にあって,特に完全民営化で外国人株主が30%を超えている現状では,その速度は速まっており,さらに福知山線事故で高まった安全性議論の中,新型ATSの導入などで多額の安全対策の設備投資を必要としており,地方赤字ローカル線に回す資金は減少していると思われます。
 こうした中,広島のJR可部線は,要は鉄橋やトンネル,がけが多く,十分な安全対策が資金的に難しいから廃止されたのであります。富山のライトレールあるいは吉備線のLRT化の問題は,こうした津山線の脱線事故と根っこを同じにいたしております。私は,JR津山線などは,都市間輸送,新幹線を支えるネットワークとして維持されると信じておりますけれども,岡山でも姫新線,芸備線,因美線など,山間地域の路線については便数も減らして,保守も毎月第3日曜の昼間を運休にして行うなど,廃止予備軍のような扱いになっているのが現状であります。しかも,津山線の場合,がけの上部が民有地で,JRが直接タッチできず,しかしそこに手を入れなければ安全は確保できないわけで,この場合,沿線の自治体,地域が鉄道を絶対に必要だという強い意思を表明し,財政的にも十分に支援することが必要なのではないでしょうか。さもなくば,完全民間会社は,安全管理を徹底して赤字の地方路線を走らせることはできません。仮におざなりの対策で,もしもう一度人身事故を起こしたならば,中国陸運局としては運行停止を命じざるを得なくなります。次に事故があれば今度は人災である。逆に,それがわかっているからJRに判断をゆだねて,県道の一時通行に県が独自にゴーサインを出せないのではないでしょうか。少なくとも,県道の安全確保をJRだけにゆだねるべきではないと私は思います。今なすべきは,県民の生活の足となる公共交通機関,県道の復旧のために,JR津山線再開のために,国に泣いてすがってでも,あらゆる手段を講じて,県は県として動くことではないでしょうか。JRにすべての責任を回帰されることにならないよう,今後の対応を含めて知事の御所見をお聞かせください。
 加えて,今回の事故,また県の対応が,ある意味でリスクを持つ姫新線,芸備線,因美線の今後に与える影響についての認識をお知らせください。
 また,今回は,県道が鉄道の下を並行して走って,斜面の安全対策は斜面の直下を走る方が行うことから,JRが対策を行っていますが,上下逆なら県が対策をしなければならないような話です。今回の斜面のように,JRの鉄道と県管理道とが並行し,お互いがそれぞれの立場で安全対策を講ずるべきと思われる箇所は県内にどの程度あるのでしょうか,今後の対応方針とあわせて,土木部長にお伺いいたします。
 また,JR,県警,道路管理者との連絡体制を密にするというふうに土木部長はおっしゃられておりますが,土木部長にその内容についてお伺いいたします。
 また,気になるのは,危機管理課の情報収集あるいは知事への報告が午前7時以降になっているということです。列車が脱線というのは,交通事故とは違います。こうした重大事案が危機管理監,危機管理課のもとに直ちに伝わらない連絡体制で,岡山県の危機管理体制は大丈夫なのでしょうか。また,列車脱線事故で直ちに起動しないなら,いかなる場合に危機管理体制は起動するのでしょうか。危機管理の中でいう危機とは何かを含めて,あわせて総務部長にお伺いいたします。
 私も事故当日に現場に行き,その後も地域の方の声を伺いました。私の昨年2月定例会の一般質問でも取り上げましたが,ことしも牧山クラインガルテン管理センター付近は7月に冠水しており,今回も取り上げさせていただきます。この地区では,旭川も蛇行しており,浸水の被害もしばしば発生し,岡山−御津間で未整備区間が多い県道玉柏野々口線,あわせて対岸の県道東岡山御津線の大久保地区についても,早急に整備しなければ代替公共交通すら走らせがたいものがございます。重ねて土木部長に整備方針を伺います。

(知事)  次に,JR津山線脱線事故に関し,今後の対応についてでありますが,私といたしましても,県民の足を確保し,地域の振興,発展を図っていくためには鉄道が不可欠であると認識いたしておりまして,従来から利用促進あるいは駅施設の整備等につきまして市町村と連携いたしまして対応してきたところであります。しかしながら,運行の安全確保は,公共交通を担うJRにとって最大の使命でありまして,安全確保のための防災工事はJRの責任において行われるということが基本であると考えております。県といたしましても,津山線が県南と県北を結ぶ重要な路線であるということから,今後とも復旧や安全確保についてJRからの具体的な協議がございますれば,可能な限り協力してまいりたいと考えております。
 他線に与える影響についてでありますが,姫新線や芸備線,因美線は,鉄道ネットワークの一部として,また,生活交通といたしまして欠かせない重要な交通手段でありまして,公共交通を担うJRが今回の事故を直ちに他線の存廃の判断に結びつけるとは考えておりませんが,ローカル線の厳しい状況も踏まえまして,沿線自治体と協力いたしまして,利用促進等になお一層努めてまいりたいと存じます。
 また,それぞれの路線の安全確保につきまして,JRから具体的な協議がありますれば,関係市町村とも連携いたしまして検討してまいりたいと存じます。

(総務部長)  JR津山線脱線事故に関しまして,危機管理体制について御質問いただきました。
 まず,連絡体制についてでございますが,地域防災計画等におきましては,鉄道事故につきましては,鉄道事業者から交通対策課に通報することとされております。今回の場合,午前7時ごろJRから事故報告がありまして,交通対策課において被害の発生状況の把握等,情報収集のための初動体制をとりますとともに,危機管理課など関係各課におきまして情報収集に当たったところでございます。このたび県への連絡に時間を要しましたのは,JRが人命救護を最優先にし,状況把握に時間を費やしたことなどが原因であると推測されますけれども,危機管理におけます迅速・的確な初動体制をとる上で,事故発生通報が発生後直ちに関係機関に伝わることは大変重要であるというふうに認識しております。このため,これまでも関係機関に対しまして,文書,会議等により情報の迅速な収集伝達の必要性の周知を図ってきたところでありますが,今後このような連絡のおくれがないよう,再度各種防災関係機関との連絡会議等の機会をとらえまして,周知徹底を図りますとともに,情報伝達手段の確認や検証を行ってまいりたいと考えております。
 次に,危機への対応についてでございます。
 県民の生命,身体,財産に重大な被害を及ぼす大規模な自然災害,重大な事故及び事件等の緊急事態が発生または発生するおそれがある場合に,危機管理体制を起動することとしております。その運用に当たりましては,緊急事態を所管する関係部局が初動体制をとるなど,役割分担を図りますとともに,各事案の所管が明確でない場合や,各部局からの要請などによりまして,全庁的な管理を行う必要がある場合に危機管理監をトップとする危機管理チーム会議を開催することとしております。このたびの列車脱線事故に際しましても,情報入手後,直ちに鉄道事故を所管する交通対策課におきまして,危機管理体制に基づく初動体制をとりますとともに,翌日には情報共有のために危機管理チームのメンバーを招集した会議を開催しまして,その対応に当たったところでございます。今後とも,自然災害や大規模事故などの危機に対しまして,迅速かつ的確な危機管理体制をとってまいりたいと考えております。

(土木部長)  JR津山線脱線事故に関連いたしまして,斜面の安全対策等についてでございますが,JRの鉄道と県管理道路が並行する箇所は県内に52カ所ございます。このうち,県管理道路が上部に位置するものは22カ所ございます。また,今後の対応方針についてでございますが,今回の事故を踏まえまして,県では,この22カ所について緊急点検調査を実施しているところでございまして,今後この点検結果等に基づきまして,緊急を要する箇所から順次必要な対策を講じてまいりたいと存じます。
 次に,JR等との連絡体制についてでございますが,今回の事故を教訓に,直ちにJR,県警,県の三者で,JRの鉄道と県管理道路が近接する箇所で落石などの異常を発見した場合に,相互に通報するなどの連絡体制を確認したところでございます。また,JRの鉄道と道路が並行する箇所につきまして,斜面の状況などの情報の共有化を図るため,今後定期的に連絡会議を開催いたしまして,JR,県警と国や県など,道路管理者との連絡体制をより一層強化することによりまして,今後の安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に,県道玉柏野々口線等の整備方針についてでございますが,県道玉柏野々口線の牧山クラインガルテン付近につきましては,浸水対策としての河川改修とあわせた道路整備を進めているところでございます。これまでに約80%の用地買収を終えておりまして,近く玉柏側の延長190メートルの工事に着手する予定でございます。引き続き,事業の促進が図れますよう努力してまいりたいと存じます。
 また,対岸の県道東岡山御津線の大久保地内につきましては,今年度延長約1.3キロメートルのバイパス計画の事前評価を実施いたしましたところで,現在地元関係者と事業実施に当たりましての協議を進めているところでございます。今後とも,地元の御協力をいただきながら,早期に事業着手できるよう努力してまいりたいと思います。



<平成17年2月定例会>(2005年3月8日)

(佐藤)  次に,先月26日,JR津山線沿いの宗谷山の斜面が,長さ30メートル幅約20メートルにわたって崩れ,土砂が線路を覆い,列車が乗り上げ,下を行く県道玉柏野々口線を走行中の乗用車に,崩れ落ちた石が直撃する事故がございました。回送中の列車運転手の方が軽いけがをされましたが,それで済んだのが奇跡で,少し時間がずれていたら,まさに大惨事でありました。その後,JR津山線自体は,現場を挟んだ折り返し運転で動いてはいますけれども,JR金川駅からJR岡山駅西口までは代行バスが走り,県道は依然通行どめが続いております。
 気の毒なのは,牧山地区の方々です。以前の水害でも交通が遮断され,今回は生活に不可欠なJR津山線どころか県道まで,直接岡山市内に通じないという事態になりました。しかし,何よりも困るのは子供たちで,昨春,牧山分校が廃止されて,牧石小学校まではJR津山線で通っていましたが,現在は,通称潜水橋を対岸に渡り,これまた狭隘な箇所が多い,県道東岡山御津線をチャーターバスで通っています。
 まずもって,道路管理者の県としては,現在でも落石の可能性が非常に強くある道路を,さあお通りくださいと言えるはずもなく,ましてや,これから発破ということになれば,とにかくJRが安全ですと言わない限り,県も安全ですとは言えないことは理解いたしますけれども,端的に復旧の見通しはいかがでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 なお,この発破作業に伴って発生する砕石等の集積場所として河川敷を活用できれば,復旧も早くなるのではとのアイデアもありますので,参考にしていただければと存じます。
 そもそもが,いわゆる牧山地区では,旭川も極端に蛇行しており,浸水の被害もしばしば発生し,新岡山市となる岡山−御津間では,最も未整備の主要道と言える県道玉柏野々口線については,かねてから道路拡幅の要請があります。また,現場に近い管掛トンネルは,大型車両同士の対面通行が不能なため,撤去を望む声もあります。こういうことがあると,さらに整備を急がなくてはいけないと思いますが,いかがでしょうか。
 あわせて,対岸の県道東岡山御津線の大久保地区についても,その整備方針はいかがでしょうか。財政厳しき折であることは理解した上で,また個別の質問で恐縮でございますが,ぜひ御検討いただきたく,あえて土木部長にお伺いいたします。
 加えて,JR津山線において,列車が落石を警戒して減速していたのは,実は今回の場所ではないとも聞きます。今回の場所は,落石覆いはあったわけですが,この際,徹底的な安全チェックも必要です。とりわけ,2年に1度の目視点検をJRは基本とされているようでありますが,昨年の台風で,JRの県下全域の線路沿線にどういう影響があったのか,どういう調査をされて,どういう対策をとられているのかを,行政側が把握することも必要だと思いますが,県としてはどのようにお考えでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 また,県でも,落石危険箇所で定期点検は行われているとは思いますけれども,今回の箇所は指定箇所ではなかったと聞きます。見直しも含めて,今後の対策を土木部長にお伺いいたします。
 この件に関して,要望でありますけれども,前述の潜水橋については,これはあくまで仮設の橋でありまして,将来的に自動車が通行可能なものにしてもらいたいとの声もあります。こちらは岡山市の管理下にございますので,市において検討していただくとして,新大原橋,葛城橋の間に,きちんとした橋をかけてほしいと地元の方は強く望んでおられますので,この場をかりてお伝えさせていただきます。
 いずれにいたしましても,一刻も早く,安全性の担保がある上で,このJR津山線と県道玉柏野々口線の全面復旧されることを祈ります。
 ところで,今回強く感じましたのは,地域における公共交通の切り捨て状況をいかに行政がフォローしていくかの重要性であります。まさに,陸の孤島になりかねない地域が幾らもございます。乗り合いバスの規制緩和が,一方で過当競争と,一方で切り捨てを生むのではないかという懸念は,かねてからあったわけでありますが,特に影響があるのは,交通弱者とも言える高齢者や子供たちに対してであります。まさに,規制緩和に対応した支援策を考えないといけない状況だと考えますが,今後の方針をお知らせください。

(知事)  次に,規制緩和に対応した公共交通の支援策でありますが,規制の撤廃を機に,県独自の補助制度を創設いたしまして,国,市町村とともに,バス路線の維持に努めてきているところであります。地域の生活交通の確保につきましては,市町村の主体的な取り組みが基本と考えておりまして,現に岡山市や高梁市などの路線バスの撤退地域におきまして,交通弱者に配慮した過疎地有償運送や乗り合いタクシーなど,新たな交通手段導入の取り組みが始まっております。県といたしましては,今後,地域に適した,このような交通手段の導入が円滑に進むよう,研修会や講演会の開催,先進事例集の作成などを通じまして,市町村等の取り組みを支援してまいりたいと存じます。

(生活環境部長)  JRの安全点検についてでありますが,昨年の台風後の運行再開に当たりましては,全線を徒歩巡回して,斜面や線路の目視検査を実施し,またその後におきましても,土木構造物検査や線路巡回検査等によりまして,落石,流水の状況を調査し,必要に応じ,山林への立入調査を行い,安全性を確認していると聞いております。
 なお,今回の津山線落石事故に際しては,県としまして,直ちにJR西日本に対し,危険箇所の総点検を申し入れたところでありまして,今後とも安全の確保を働きかけてまいりたいと存じます

(土木部長)  落石事故に関しまして,県道復旧の見通しについてでありますが,現在,JRが県道玉柏野々口線を全面通行どめにしまして,土砂等の除去作業を進めておりまして,この作業の終了までに約1カ月を要すると聞いております。お尋ねの県道は,沿線地区住民の日常生活にとりまして重要な路線であることから,県としましては,早期の交通開放を願っておりまして,JRに対し,一日も早く作業を終え,安全が確保されるよう,強く申し入れているところであります。
 次に,牧山地区等の県道整備についてでありますが,県道玉柏野々口線の岡山市中牧地内の延長2.3キロメートル区間につきまして,10年度から河川改修事業とあわせました道路改築事業に着手し,現在,用地買収を進めているところであります。また,管掛トンネルを含む,他の未改良区間の整備につきましては,現在進めている事業の進捗状況や優先度などを勘案しながら,総合的に検討してまいりたいと考えております。
 県道東岡山御津線につきましては,岡山市大久保地内の延長1.3キロメートルの区間の整備計画を策定中でありまして,今後,地元関係者の御協力をいただきながら,早期に事業化できるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に,落石危険箇所の見直し等についてでありますが,県が定めました道路の管理要領に基づきまして,パトロールによる定期点検を実施し,異常箇所の早期発見に努めているところであります。今回の落石が発生した斜面は,JRが管理している箇所でありますが,このように県管理道路に被害が及ぶおそれのある箇所につきましては,管理やパトロールの強化を,強くJRに申し入れているところであります。
 また,道路の危険箇所につきましては,点検結果を踏まえ,必要に応じて見直しを実施しておりまして,今後ともパトロールの充実に努めてまいりたいと考えております。



<平成16年12月定例会>(2004年12月15日)

(佐藤)  まずもって,石井知事の3期目,圧倒的な勝利での当選,まことにおめでとうございます。岡山県民の一人として,改めて知事に大きな夢を託させていただきたいと思います。ただ,我々も二元代表制のもと,県民の代表であります。県民の代表として,責任と自覚を持って岡山県勢の発展のためにともに頑張っていきたい。改めてよろしくお願いいたします。
 それでは,通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まずは,大変に気になっておりますことでございます。9月定例会でも申し上げました。知事,笹ヶ瀬川は本当に危ないです。今回の台風でもまさに決壊寸前となったのは,御案内のとおりでございます。市民からも緊急対策特定区間はもちろん,危険箇所補修,河川改修,遊水池の確保,浸水対策用ポンプの増設に対応した計画流量確保等を望む声が強く出ており,早急な対応が望まれます。まず,知事のお考えをお聞かせください。

(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答え申し上げます。
 その前に,私の3選につきましてお祝いの言葉を賜り,ありがとうございました。ともに県民の信託を受けておられます県議会の皆様方としっかりと手を取り合いまして,県勢発展のため尽力をしてまいりたいと考えております。
 まず,笹ヶ瀬川についての御質問でございます。私も,この間の笹ヶ瀬川,増水をしておるあの状況,土木部長から報告を受けるたび,大変心配をしたものでございます。現在,県道岡山倉敷線白石橋から市道比丘尼橋までの区間におきまして,JR吉備線橋梁のかけかえあるいは堤防の整備等を,おおむね5年以内の完成を目途に重点的に事業を進めております。また,現在,都市化の進展や岡山市が計画しております浸水対策用ポンプの増設等に対応いたしました笹ヶ瀬川水系全体の改修計画の見直しを行っております。来年の梅雨どきから予定しております洪水予報の実施,これとあわせまして,ハード,ソフト両面から,流域全体の治水対策に万全を期することとしたいと存じます。



<平成16年9月定例会>(2004年9月15日)

(佐藤)  まずもって,さきの台風16号,さらには台風18号の被害に遭われた皆様に,心からお見舞いを申し上げます。
 また,石井知事を先頭に,担当課の皆様は文字どおり,不眠不休で対策に当たられていることと思いますし,岡山県職員の多くの皆様が被災現場にボランティアで活動していただいたこと,さらには,生活再建,住宅建築等への単県補助の仕組みの創設など,県民の一人としても,心から敬意と感謝を表させていただきたいと思います。
 現在まさに災害復旧活動中であり,そもそも,あのときこうでした,ああでしたというには,時期尚早かもしれませんが,あくまで人命にかかわることであり,また,ことしの災害はこれで終わりですと断言できるものでもなく,今まさに渦中だからこそ,防災対策そのものについて徹底的に論じておくべきこともあると思います。こういった観点から,岡山県の防災対策に関して幾つかお伺いをいたします。
 まず,すべての前提として,私は,要は,もうこういうことはいつでも起きるのだという意識に基づいて,備えをしても憂いありと防災施策を進めていく必要があると考えます。被災地では,「地球温暖化の影響か,最近,水位が上がっているような気がしていた」という声がありましたが,例えば,私が子供のころ,むしろ少なかったクマゼミが今はアブラゼミに取ってかわろうとしているようなこと一つとっても,何か地球がおかしいというふうにだれもが感じておられるのではないでしょうか。地震もさることながら,異常気象によるような被害は,いつでも起こり得る,そういう覚悟が必要なようにも思いますし,地震と違い,異常気象については人知の及ぶところもあるかもしれません。あるいはなし得ることがあるようにも思いますが,「地球がおかしい,何が起こるかもうようわからん」といった感じを知事もお持ちでしょうか。
 次に,具体的に伺ってまいります。8月29日に予定されていた今年度の総合防災訓練ですが,御案内のとおり,台風16号の接近に伴い中止となりました。大会要綱の留意事項を見れば中止もできるわけですが,前日の午後4時過ぎに早くも中止を決定して,我々にも御連絡をちょうだいしました。しかし皮肉にも,当日,だれがどう見ても一日じゅう暴風圏域になることはなく,多少風はございましたけれども,傘が要る状況ではなく,結果論かもしれませんが,防災訓練ができない状況ではありませんでした。ちなみに,同じ時間に,ある消防の方面隊は元気に夏期訓練を行っておられました。確かに,県の仕切りで参加団体165と,関係団体多数ということで,早急な判断をされたことだと思いますが,啓発という意味では,総合防災訓練自体を中止にしてしまうと,ことしの防災訓練の啓発効果は,報道等で認識される一般県民には何もなかったのではないかということであります。少なくとも,ことしの防災の日,9月1日の防災の大切さを論じる新聞には,一方で,もう既に起きてしまった台風16号による大被害が伝えられていました。予想外のことが起きて,失敗ができて,教訓が得られるからこその訓練なのであって,訓練が早々に中止ができるということは,今まで行っていたのは,県民の皆様に御無理をお願いしながらも,まさにパレードや模範演技のたぐいであって,訓練それ自体が自己目的化していたのではないか,そんな気すらします。あえて水防訓練も含めて,改めて防災訓練の意義,また,このたびの災害における総合防災訓練の成果についてお知らせください。
 また,ことしの防災の日は,二百十日に当たりました。そもそもが,防災訓練のあるこの時期は,地震もさることながら,台風は来る時期でございます。台風で総合防災訓練がこのように中止になるぐらいならば,もともと台風が少しでも来ないころに訓練の時期を変えるべきではないでしょうか,御見解をお伺いいたします。
 ところで,そもそも総合防災訓練の目的は,岡山県地域防災計画,岡山市地域防災計画及び関係団体の防災業務計画に基づき,これら防災関係機関及び地域住民が一体となって大規模地震発生時における災害応急対策を実施することにより,県域の総合的な防災体制の充実強化と県民の防災意識の高揚を図るというもので,想定されている災害はあくまで地震であります。具体的には,本日午前9時,紀伊半島沖を震源とする県内最大震度5強の大規模地震が発生して,さまざまな被害が生じているというものであります。ただ,我が「晴れの国おかやま」においては,台風の日にも,夜にも地震は来ないということが前提の訓練と言えるかもしれません。もっと言えば,水防訓練も行われてはいますけれども,台風の当たり年に,また,ことしの新潟県や福井県の集中豪雨で大被害が出たにもかかわらず,防災訓練で地震による津波は想定しても,例えば集中豪雨による大規模な堤防の決壊は想定していなかったのかということであります。一体,我が県は他県で起きた災害から何の教訓を得て,何を県民のために備えていたのでしょうか。
 とはいうものの,ことしの都道府県防災訓練のうち,集中豪雨を想定した,例えば高齢者の避難誘導訓練を実施したのはわずか4県でありました。少なくとも,岡山県も総合防災訓練でかような想定はなく,仮に8月29日に総合防災訓練を実施したとしても,あるいはたちまちの今回の高潮被害への効果があったかは不明であります。しかし,7月の新潟豪雨災害を受け,中央防災会議も8月5日,ことしの総合防災訓練大綱を改定し,集中豪雨を想定した訓練の実施を求めていました。ただ,その改定が伝わったのは8月19日であると伺っております。これに対して,我が県の対応はいかがだったのでしょうか,また今後の方針についてもお知らせください。
 そもそも住民に対する情報伝達,高齢者など災害時要援護者の避難誘導,災害時要援護者の救出は,地震で訓練すれば,集中豪雨でも応用できるというのが実施しない理由として挙がるとすれば,「地震と水害の備えは,避難場所一つとっても全く質が違う」という専門家の声もございます。少なくとも,例えば,水害で災害時要援護者の高齢者の方が水死するという事態は,私は地震とは違い,むしろ2次的な人災であって,あってはいけないことだと,そのように思います。
 これに関連して,新潟豪雨以来,本県でも,少なくとも決壊が予想される箇所について,一級河川については国土交通省が動いたように思いますが,新潟県でも破れたのは,予算も潤沢な国管理ではなく,県管理河川であったように記憶しております。県の管理河川については,どういう点検を行ったのでしょうか。特に,平成12年6月定例会でも申し上げましたし,けさほどは波多議員からも御質問がありました。一部天井川になる笹ヶ瀬川については,まずは大規模な決壊等が生じないよう整備を急ぐべきであると思いますが,現在の取り組みを土木部長にお伺いいたします。
 さらに,新興の住宅地など,周辺に若い世代の流入が目立つような地域では,危機意識や防災体制の醸成が必要ですが,現状の取り組みについて,総務部長にお伺いいたします。
 また,堤防が決壊するだけではなく,雨水があふれたり噴き出したりすることで,地下街等が浸水するような都市型の被害についてはどのように対応しているのでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 私は,ハザードマップをつくること,これも大変重要なことだと思いますが,むしろ,こうしたものをよく目につく看板等で,当該地域が危険地域でもあることが地域住民に認知されることの方がより重要だと思いますが,今後どのように避難場所を含めて,危険地域を地域住民に伝えていくのでしょうか,総務部長の御見解をお知らせください。
 さらに,かなり古い法律に基づいて,砂防指定地に指定され,規制がかかっている状況があります。宅地開発などにより土地の原状が変わり,規制をする必要がなくなっている場合や,逆に状況の変化により,新たに指定を行わなければならない地域もあらわれることも考えられますが,そのような状況の変化に対応した指定地の見直しは行われるのでしょうか,土木部長にお尋ねいたします。
 また,今回,個人が災害ボランティアに参加する場合に,必ずしも情報が一元管理されていませんでした。救援物資も国際課が集められたりもしておりましたが,県としてもう少し機動的に市民の皆さんと接するためにも,ボランティアや救援物資のアクセス窓口を一本化することが必要なように思いますがいかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。

(知事)  まず,防災対策であります。
 災害への憂いということについてのお尋ねでございますが,地震が大変多くなってきているように感じられるようなこととか,あるいはことしは特に日本に台風が既に7度も上陸をしたといったようなこと,あるいは雨の降り方も局地豪雨といったような形で集中的に雨が降るような,そういう状況がよく見られるといったようなこと,あるいは小さいときに比べまして暖冬といいますか,冬が暖かくなって雪が少なくなってきた,いろんなそういう状況を見るときに,御指摘のような思いというもの,感じというものは,私自身も幾らか持っているところでございます。現在のような生活をめぐる自然あるいは社会環境の急速な変化とか,あるいは東南海・南海地震の高い発生確率というものが予測されております今日,常に危機意識を持って対応していかなきゃいけない,このことが大変重要であると,このように考えているものでございます。
 次に,総合防災訓練でありますが,意義と成果であります。その意義といたしましては,水害特別防災訓練や総合防災訓練などを通じまして,災害発生時の防災体制の機能の確認や,応急対策等の実施によります実効性の検証,さらには防災関係機関相互の連携強化を図るほか,県民の皆様方の防災意識の高揚と知識の向上を図っていく機会とするなど,こういったことにあると考えております。
 総合防災訓練の成果といたしましては,実施に向けまして,防災関係機関が一堂に会し,訓練で実施をいたします防災活動の検討や意見交換,訓練リハーサルを行うことを通じまして,各防災関係機関の役割確認とか,あるいは連携が図られたと,このように考えております。このたびの台風災害に当たっては,日赤や自衛隊,ライフライン等との連携体制におきましては,これは一定の成果が生かされたと,このように考えておりますが,しかし被災状況を踏まえますと,残念ながら,被害情報の収集,住民への伝達方法等,今後の検討課題があるものと,このように考えております。
 次に,総合防災訓練の実施時期でありますが,関東大震災が発生いたしました9月1日は「防災の日」に指定されておりまして,その前後の8月30日から9月5日の間は防災週間となっているということから,中央防災会議からも,訓練実施日は「防災の日」または防災週間内に設定することが望ましいとされておりまして,また全国的に見ましても,36都道府県がこの時期に実施をしているものでございます。したがいまして,本県におきましても,防災意識の啓発効果が高いこの時期に合わせまして,総合防災訓練を実施することが適当と考えているものであります。
 なお,風水害に対する備えといたしましては,例年6月に水害特別防災訓練を実施しておりまして,今後,その充実を図ってまいりたいと存じます。
 集中豪雨を想定した訓練への対応等でありますが,総合防災訓練を8月29日に実施をするためには,会場設備や訓練用模型等の作製等の諸準備があるため,遅くとも8月上旬ころには,訓練内容を確定させておく必要があります。中央防災会議の改定内容が県の方に今回伝わった19日の時点では,既に訓練内容の本格的変更を図ることは困難となっておりまして,当初から盛り込んでおりました情報収集訓練等を実施することによって対応するということを考えたものであります。
 今後の訓練方針でありますが,災害時要援護者の避難・誘導等につきまして今回の高潮災害の検証をすることとしておりまして,その検証結果を今後の訓練に生かすことにしていきたいと思います。

(総務部長)  防災対策にかかわります人口流入地域での危機意識等の醸成についてでございますけれども,県では,防災意識の高揚を図るため,毎年,防災週間や防災とボランティア週間には,防災訓練の実施や全振興局での防災パネル展の実施,また防災講演会やテレビ,ラジオ,「グラフおかやま」などでの広報によりまして意識啓発を図っているところでございます。
 御指摘にありましたような一部の限られた地域に対します取り組みにつきましては,一義的には,関係市町村において実施されるべきものと考えておりまして,今後,各市町村においてきめ細かな対応を図りますよう,県といたしましても積極的に助言してまいりたいと考えております。
 次に,危険地域の周知についてでございますが,避難場所は災害対策基本法に基づきまして市町村長が指定するものでございます。県内全市町村でその指定はなされているものの,避難場所を示す標識の設置につきましては,残念ながらいまだ設置していないところもございます。こうしたことなども踏まえまして,県といたしましては,県民への情報提供として,昨年度から,全市町村の避難場所を県のホームページに地理情報システム──英語の頭文字をとりますとGISと申しますが──これに掲載しているところでありまして,今後,各市町村に対しまして,避難場所の周知に努めるよう助言してまいりたいと考えております。
 一方,危険地域につきましては,県が所管しております防災上注意すべき土石流危険渓流,地すべり危険地区などにつきましては,危険性の高いところから適宜看板を設置しているところであります。
 また,水防法に基づき,県において,一部の河川の浸水想定区域とその水深を示しました図面を公表していく予定としておりますが,こうしたもの以外の防災上の危険な地域を周知することにつきましては,災害対策基本法に基づき,一義的には市町村が行うものと考えております。ただ,住民の資産価値等にも影響することから,慎重な研究が必要であると,かように認識しているところでございます。
 次に,アクセス窓口の一本化についてでございますが,御指摘のように,ボランティアや救援物資等の対応は所管部が異なっております。したがいまして,まずはそれぞれの窓口が緊密に連携し,互いに有する情報を共有化するなど,県民の方々がどの窓口にアクセスされても必要な情報が提供できるよう工夫いたしますとともに,災害の態様,規模等に応じ,県民への窓口の一本化を図ることも含めた県の体制のあり方等についても今後検討してまいりたいと,かように考えております。

(土木部長)  防災対策についての御質問のうち,まず県管理河川についてでございますが,本年も梅雨前の5月に水防上重要な箇所等につきまして,堤防の亀裂や護岸の崩れなどの点検を行ったところでございます。特に本年は,新潟県や福井県の豪雨を契機といたしまして,8月に再点検を実施いたしました。その結果,早急に修繕を要する箇所につきましては,既に一部で対策工事を実施しているところでございます。
 また,笹ヶ瀬川につきましては,岡山市尾上地内の砂川との合流地点から上流は既に改修がおおむね完了しているところでございます。現在,県道岡山倉敷線白石橋から市道比丘尼橋までの間につきまして,JR吉備線橋梁のかけかえ及び堤防の整備等をおおむね5年以内の完成をめどに重点的に事業を進めているところでございます。
 次に,都市型被害への対応についてでございますが,市街地の浸水対策につきましては,従来より,下水道事業者であります市町村が排水路やポンプ場の整備を進めてきたところでございます。平成10年の台風10号により市街地の中心部が浸水被害を受けました津山市では,河川管理者である県と市が連携をいたしまして,総合的な雨水対策計画の策定を行い,強制排水ポンプの設置,幹線管渠の新設工事などを行っております。また,岡山市におきましては,公共下水道事業により順次浸水対策を進めており,現在,浦安のポンプ場や雨水管渠の整備を行っているところでございます。今後とも,県と市が連携をいたしまして,市街地の浸水対策を進め,都市型の浸水被害の防止に努めてまいりたいと考えております。
 次に,砂防指定地の見直しについてでございますが,砂防指定地は,住民の生命と財産を守るため,砂防堰堤や護岸などの砂防設備が必要な土地や,土石の採取や工作物の設置などの一定の行為を禁止または制限すべき土地について指定をしておりまして,県内では現在までに指定を解除した事例はございません。また,状況の変化により新たに指定が必要となった箇所や,地元同意などの事業実施の準備が整った箇所について指定を行ってきているところでございます。



<平成15年9月定例会>(2003年9月16日)

(佐藤)  最後に,治安・防災についてお伺いいたします。
 まずもって,この夏も,まさに身を挺して爆音暴走族対策に取り組んでいただいた,警察御各位に心から感謝を申し上げます。今回は,暴走族ではなく,全国的に問題になっていますいわゆる「ハント族」や「期待族」対策についてお尋ねをいたします。週末の深夜,どちらかといえば不純な男女交際を目的に,改造車などで,JR岡山駅周辺などに集まる男性のハント族や,よくしたものでいわゆる引っかけてもらいに来る女性の期待族に対して,地元住民の方々からは騒音,ドライバーの方々からは通行阻害,通行人からは通りを夜女性が一人で歩くのが大変怖いと,そういった苦情の声が上がっております。彼らは,何がうれしいのか音量いっぱいに音楽をかけて町じゅうを周回して,二重駐車もへのかっぱ,さまざまな犯罪行為の端緒になっていると言われております。町はまさに彼らのワンダーランドとなっておるわけでございますが,私ども,落書きに関しては落書き調査隊を結成して落書き一斉消去活動を展開した,そういった地域住民も,この点については有効な対策を見出しておりません。全国的には,駐停車禁止区間を設定し,路線バス,タクシーを除き,通行禁止区間を設け,コンビニエンスストアに少年等が蝟集した場合の通報などの協力依頼,さらには着色フイルム等の不正改造車に対して,駐車違反,信号無視,整備不良など,道交法の違反で摘発しています。今後の取り締まりの一層の強化を望みますが,今後の方針を警察本部長にお伺いいたします。
 ところで,私自身は火事場でまともに走れない消防分団員ではございますけれども,防犯,防災の面で消防署と警察署の連携の必要性を訴えたいと思います。今でこそ,警察は都道府県が,消防は市町村が主体となって担っていますが,戦前は,警察,消防は一体のものとして,国家警察のもとに置かれておりました。例えば,岡山市西大寺署や南署でも,消防,警察連携に向けての大きな動きがございますが,これを制度として,常日ごろからの連絡が必要であると考えます。すなわち,消防と警察というのは所管エリアはやや異なるのですが,まずは地域の安全を図るため,地域消防団,消防局と警察署のトップの連絡会議をつくるなど,平素から情報交換を密にするというものであります。少なくとも,方面隊長や署長,分団長と交番所長とは常に連絡がとれる状態にあれば,地域住民にとってこれほど心強いことはありません。いわば,消防と警察は地域住民の生命,財産を守るという目的では兄弟のようなところがあります。しかも,消防団員は地域住民でもあり,またさまざまな地域のお役を受けておられる方も多く,地域事情に関しては,あるいは警察よりもはるかに詳しい部分もあります。もちろん,組織系統,指示系統が全く異なりますし,ある意味でプライバシーの問題もありますが,時には警察のサイドから消防団に協力をお願いし,知恵をおかりすることも必要ではないか,そのように思うのです。交番・駐在所連絡協議会には必ず消防の関係者にも加わっていただく,まずはそういったところから消防,警察の連携を図って地域の安全を守ることとしてはどうか,提言させていただきますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 関連して,個人的には,この夏の熊本や宮城の天災を考えると,やはり自衛隊の力は大きいと思います。防衛面では難しいにせよ,防災面で自衛隊各駐屯地にどんな備えがあるのか,理解しておくことも必要だと思います。少なくとも,被災地の現場で自衛隊,消防,警察,病院等々がさまざまな指示系統で動き,マニュアルどおり災害対策本部長があるいは知事になった場合,陣頭指揮を本当に出せるのか,本当に仕切ることができるのか。
 お隣の鳥取県では,県と自衛隊,警察,消防など防災関係機関のトップが意見交換し,日ごろから連携をとり合うための防災関係機関情報交換会が開催されています。これは有事関連3法が施行されたものの,国民保護法制が1年以内に整備されるという,その空白期間にも何かあっちゃいけないということで,地方団体として独自に有事を想定したシミュレーションを行って,住民避難マニュアルを作成したわけでありますけれども,実はこの直下型地震とミサイル被害の状況というのは非常によく似ているそうであります。そういった面では,地方分権の時代においては,私はこうした有事を想定せずとも,防災面でも,こうした自衛隊も含めたような会議が必要であると思いますし,また自衛隊に何がどこまで頼れるのか,装備や人的な面も含めて,県やほかの防災機関はもちろんのこと,県民にも広く周知しておくこと,我々自身も知っておくことが必要であると思いますが,御所見をお聞かせください。
 ところで,さきの防災訓練に参加させていただきまして,そもそもこの山の中で訓練をするという,そのこと自体にかなりの限界を感じたのですが,それにしても本当に市民の皆様方が整然と動いてくださる方ばかりなのか,場合によっては,機に乗じてくる暴力団,暴走族等の危険分子を鎮圧しないといけない,そんな場面も出てくるかもしれません。さらには,高齢者や障害者の方々の避難誘導をだれがするのか,また情報を一元管理し,市民や企業からの問い合わせ等にだれがどういう体制で応じていくのか,地下街が被災した場合,JR岡山駅等交通拠点が混乱した場合,交通の寸断の場合に,情報をどこで管理し,どう対応するのか,こうしたパニック状態,数え上げれば切りがないわけですけども,こういったものにどのように対応していかれるのでしょうか。
 ところで,私は恐らく災害の際,一番機動的に動くのは地域の消防団だと思いますが,要するに地域のこうしたコミュニティーの形成と防災活動というのは,非常に似ていると思います。逆に言えば,学校等に限らず,なるべくきめの細かい日ごろの地域のコミュニティーにおける防災啓発活動等が,いざというときに一番功を奏する,そのように思います。一般企業等を含めた地域防災活動の促進について,今後どのような取り組みをされていくのか,お知らせください。

(知事)  次に,治安・防災についてであります。
 自衛隊との連携等でありますが,災害現場における連携は市町村長を中心といたしまして,自衛隊や消防,警察など関係機関が連携をいたしまして,各機関の責任と協力によって実施されるものであります。主要な防災機関との情報交換でございますが,随時実施をしております情報連絡会や,本年5月に発足をいたしました県・市町村防災対策研究協議会などの場におきまして,実質的なる協議を行ってきております。私自身,再々自衛隊のトップの方々とお会いをさせていただきまして意見交換を行っているものでございます。自衛隊は,地元だけでは対応が困難な場合におきまして,知事の要請等によって地域防災計画で定められた捜索救助等のために派遣をされるものでありまして,装備,人員等は災害の規模によって判断をされ,また現場では他の機関と協力をして全体として対応がなされることとなっております。災害時には,このような体制となっているということを防災訓練などを通じまして県民の皆様に周知をさせていただいているものでございます。
 情報管理でありますが,災害時の情報の収集や提供,高齢者など災害弱者の避難支援を含む地域における応急対策につきましては,これは災害対策基本法によりまして,一時的には市町村の責務とされているものであります。また,地下街や交通機関につきましては,各施設の管理者が避難誘導等を行いますとともに,問い合わせへの対応とか情報提供は,地域防災計画によってその各機関が行うということになっております。
 県は,こういった情報を取りまとめて,被害が甚大な場合や広域にわたる場合におきまして,マスコミ等を通じまして広報をいたしますとともに,関係機関の総合調整を行った上で市町村等に対しまして必要な支援を行っているものでございます。
 地域防災活動でございますが,地域住民の自主的な防災活動というものは,被害の予防,軽減等に必要不可欠でございまして,災害対策基本法によって,市町村長が消防団やあるいは自主防災組織の充実を図るように求められているものであります。県といたしましても,その応援をしているところでございまして,具体的に申し上げれば,県・市町村防災対策研究協議会で,その育成策を検討をいたしますとともに,リーダーの研修会とか防災講演会等を開催するなどの支援を行ってきているところでございます。今後とも,一般企業等も含めました地域防災活動の促進,これが実際災害が起こったときに非常に大切でございますので,地域の方々のそういう自主的な取り組みの促進支援,これになお一層努めてまいりたいと,このように考えております。

(警察本部長)  まず,岡山駅周辺等におきます,いわゆるハント族や期待族に対する対策についてでありますが,これらの車両の周回を規制する措置といたしまして,夜間,岡山駅前の桃太郎大通りから高島屋方面に通ずる道路につきましては,車両通行禁止にしておりますほか,天満屋バスターミナルビルでは,バリケードにより周回行為ができないようにしておるところでございます。
 また,ハント族等の各種交通違反に対しましては,週末における集中取り締まりを初め,岡山運輸支局との合同取り締まりなどにより,その検挙に努めているところであります。
 ちなみに,岡山市内での着色フイルムの貼付やタイヤの突出など整備不良車両の取り締まり件数は,8月末現在で,昨年に比べまして3.5倍増の約800件となっておるところでございます。
 また,コンビニエンスストア等に蝟集する少年につきましては,深夜営業店防犯協会に蝟集情報等の通報をお願いするなどいたしまして,効果的な少年補導活動を展開しているところであります。
 今後とも,関係機関・団体との連携を一層強化するとともに,警察各部門が一体となりました大型検問を実施するなど,ハント族等に対する集中的な取り締まりや少年補導活動を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に,警察と消防との連携についてであります。議員御指摘のとおり,警察と消防は地域住民の生命,財産を守るという目的も共通していることから,互いに関連する任務も多く,特に消防団とは従前から地域における歳末警戒や祭礼行事等の雑踏警戒,行方不明者等の捜索活動等を共同して行うなど,その連携強化を図っているところであります。
 お話のありました交番・駐在所連絡協議会につきましては,地域の皆さんの要望,意見を踏まえ,お互いに協力して安全で平穏な地域社会の実現を図ろうとするものでありまして,日常,公益的立場で活動されている消防関係の方々にも参加していただいているところであります。
 今後とも,消防関係の方々にはこの連絡協議会に対する積極的な参加をお願いいたしますとともに,それぞれの地域の実情に応じて緊密に情報交換を行うなど,一層の連携強化を図り,地域の安全確保に努めてまいりたいと考えております。



<平成12年6月定例会>(2000年6月20日)

(佐藤)  公共事業に関しましては,その景気対策としての効果の限界,コストの削減等言われておりますが,見直すところは見直すとしても,県民,市民の生命,財産を守るために必要なものはやはり必要だと思います。特に,笹ケ瀬川は,大規模な改修の必要があるのではないか,梅雨を迎えるたびにそう思います。笹ケ瀬川は,全長約25キロメートル,岡山市街地を南北に走り,児島湖に流入する県管理の2級河川です。流域は,古くは県下屈指の米,イグサの産地でありましたが,日本一の規模の土地区画整理事業等急速に住宅化都市化が進み,岡山市の世帯人口の6割が住んでいると言われています。上流は,開発で保水力が激減,中流は,もともと水郷で一部天井川,下流は児島湾締め切り前は潮入川と呼ばれ,満潮時には今保付近まで逆流していたそうです。こうした悪条件下で,集中豪雨や台風がやってくると田畑が冠水したり,ゼロメートル地帯が浸水被害に遭うのしばしばです。岡山市管理の5カ所の雨水排水ポンプも川のはんらんの危険を増幅させるおそれがあります。おまけに,市道を兼ねた低い堤防は雑草が繁り,夏場は異臭が漂い,痴漢も出る始末です。
 笹ケ瀬川は,現在どのように管理改修が行われ,また将来的に,どのように改修がなされるのでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 また,笹ケ瀬川の堤防決壊等の災害があった場合どのような体制が組まれているのでしょうか,生活環境部長に伺います。
 また,予算規模が大きく,継続事業で改修できる国直轄事業,すなわち笹ケ瀬川を1級河川に格上げする方向性はないか,土木部長にお尋ねします。

(生活環境部長)  笹ケ瀬川の堤防決壊など災害時の体制についてでありますが,岡山県地域防災計画や岡山県水防計画に基づきまして必要な防災体制をとり,市町村や防災関係機関と連携し,迅速,的確に被害情報などの収集や連絡活動を行いますとともに,災害応急対策を実施することといたしております。この場合,気象予警報や河川水位の状況により,注意体制また警戒体制をとり,さらに集中豪雨や大規模な災害が予測される場合には,本庁及び地方振興局の職員を大幅に増強をしました特別警戒体制をとることといたしております。
 また,事態の推移に伴い,直ちに非常体制へ移行し,災害対策本部を設置して,住民の安全を最優先に,全庁体制で災害対策を実施することといたしております。

(土木部長)  笹ケ瀬川の改修についてでございますが,笹ケ瀬川は,河川延長は約25キロメートルで,最下流部の4.5キロメートルについては,農林事業により整備を進めており,その上流11.7キロメートルを昭和63年度より広域河川改修事業として着手し,現在,特に流水のネックとなっている旧国道2号白石橋から比丘尼橋までの2.2キロメートルを重点的に整備しているところでございます。
 また,平成6年度より笹ケ瀬川中流域に,急激な都市化に伴う遊水機能の低下を解消するため,平成12年度完了を目途に流域調節池の整備を行っているところでございます。今後とも,危険度の高い箇所から順次整備を図っていきたいと考えております。
 また,笹ケ瀬川の管理につきましては,立木の伐採は県で行っておりますが,草刈り等は河川愛護団体や地域の方々の御協力を得て実施してるとこでございます。
 次に,笹ケ瀬川を1級河川に格上げすることについてでございますが,1級河川は,国土保全や国民経済の面から,特に重要な水系に係る河川を建設大臣が指定することになっております。現在,河川審議会において,河川管理に関する国と地方との役割分担について議論がされていると聞いており,その審議の状況から,笹ケ瀬川を1級河川に格上げすることは難しい問題があると認識しております。

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