2011年5月29日(日)
【あまりに遅すぎる岡山県の防災対策の動き その2】

 生憎の雨の一日になりました。朝一で、大福で街宣。大雨で、靴下まで、びしゃこになり、ちょっとたまらん日でありました。
 子ども達が楽しみにしていた運動会は中止になりましたが、台風2号も近づいてきており、改めて、地域防災を考える機会と捉えたい日です。


 あまりに遅すぎると感じる岡山県の防災対策の動き その2 です。

 岡山県防災会議による『岡山県地域防災計画(震災対策編)』を読んでまず気がつくのは、国の中央防災会議の専門調査会が、被害想定数値などを平成15年に公表したため、地震被害の想定が、南海トラフ(東南海・南海地震)について、詳細であり、逆に言えば、県民の多くが、岡山県の地震と言えば、東南海・南海地震であると思い込んでいるフシが、あること。


 これは、先日の山陽新聞の防災特集でも、東南海・南海地震の影響中心の想定がなされていることからも、その他の地震について、警戒が甘くなっているように思います。

 歴史的地震資料、活断層資料などから検討して、岡山県の想定地震は、@南海トラフ(東南海・南海地震)の地震=M8.6、A大原断層の地震=M7.2、B中央構造線の一部による地震=M8.0、C鳥取県西部自身=7.3、D第2鳥取地震=7.2、E松江南方地震=7.0 です。




 この中で、聞き慣れないのは、Bの中央構造線。中央構造線活断層系(四国)の一部を原因とする地震です。これは、香川県と高知県の境にある活断層で、瀬戸内海をはさんで、岡山県の真正面に、活断層があるという話です。


 中央防災会議は、東南海・南海地震では津波の到達が、例えば、小串で、最大2.82m、第一波が、2時間45分後と「想定」していますが、中央構造線活断層系地震ではどうなのか、不明です。

 そもそも、中央防災会議では、「想定外」の事態が多発した今回の地震の影響も受けて、こうした「想定」の見直しの動きがあり、新聞報道によれば、津波の想定が、倍の高さになる可能性も、言われています。

 瀬戸内海に入れば、内海で、四国を含めた島々が津波の高さを抑えるという希望的観測もあるのかもしれませんが、1707年や1854年など、岡山に大津波が来ていますし、なによりも、当時とは、埋め立て・干拓で、沿岸部の地形も変わっています。


 ちなみに、防災計画には、南海トラフの地震で、「県南部の埋立地、干拓地や川沿いなど広範囲で液状化の可能性が大である」という記述がありますが、中央構造線の一部による地震の記述は、下記のとおり。基本的に、南海トラフの記述と変わりませんが、『震源地に近い』という言葉があります。

 「震源に近い県南の埋立地、干拓地で震度5強、県南の低地の大半及び県中央部谷底平野で震度5弱となっている。その他は、震度4以下となっている。
 笠岡湾、高梁川河口部、児島湾北部一帯、錦海湾及び瀬戸内海の一部で液状化の可能性が大である。また、南海トラフの地震の場合と同様に、県南の低地、干拓地などで液状化が発生する可能性がある。」

 そして、中央構造線の一部による地震については、瀬戸内海発の津波の想定がなされていません。


 なお、『岡山県地域防災計画(震災対策編)』の「第7項・津波災害予防計画」は、254頁の計画中、なんと1頁が、割かれていますが、そこにある津波に関する記述は、下記のとおり。

 「今後は想定される地震に伴う津波の発生について、関係機関の研究に基づき、津波の規模、被害区域などを推測し、その対策について検討する必要がある」・・・。

 そして、ここで、岡山県地震・津波対策専門委員会が立ち上がったわけです。


 国も「想定」外なら、岡山県も、「想定」外になっているという実態・・・。

 村下孝蔵=『明日あればこそ』http://www.youtube.com/watch?v=npTlrk9SwZg&feature=related

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