2004年9月2日(木) 【台風大被害の岡山沿岸部】

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 台風16号による被災地を自民党「あさかぜ」号で、見て回りました。3市4町の被災地や役場を訪ね、玉野、備前両市長と牛窓、日生、寄島各町長から、直接お話を伺いました。
 正直に申し上げて、ここまで酷いことになっているとは思いませんでした。県南で、1万1123戸も家屋浸水が起きているわけですから、被害者は、何万人ということです。
 これはもう、天災の少ない岡山県あげてのとんでもない事態であると言わざるを得ません。
 早急な対応が必要です。
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 詳しくは ↓

 本日は、午前10時から午後8時頃まで、台風16号による被災地を自民党「あさかぜ」号で、見て回りました。
 幹事長から特にご指名を頂き、予定していた産業労働部の県内調査参加をキャンセルし、帯同させて頂きました。

 本来は、もう一日早く行くべきでしたが、しかし、首長を訪ねたこともあり、県に対しての多くのご要望も頂きました。


 災害救助法の適用は、4市(岡山、倉敷、玉野、笠岡)8町(日生、牛窓、邑久、寄島)。これに、備前市が加わると思われ、そのうち、3市4町の被災地や役場を訪ね、玉野、備前両市長と牛窓、日生、寄島各町長から、直接お話を伺いました。

 正直に申し上げて、ここまで酷いことになっているとは思いませんでした。被災の夜から3日目の朝に入り、どこも水は引いてはいましたが、どの地域も、その傷痕は生々しく、道の両側のあちこちに、使えなくなった電化製品や畳や家財道具が、山のように詰まれていました。
 土塀の家は、壁が流され、見るも無残な状況です。

 消毒剤が撒かれているところもありましたが、呆然とする以外に成す術がない場所も多くあります。
 知っている風景が、いつもと全く違う風景になっています。


 地震と違い、水害は、一山超えるとピンとこないというのがあるのかもしれませんが、例えば、先日プレ国体でお邪魔した玉野や岡山市九々井や玉島の被害は、凄まじく、特に、九々井は、町の機能が完全停止しているような状態で、まだまだ外部からの人の手がいくらあっても足りない状況でした。

 阪神淡路大震災の被災現場と比べると、全体ではなく、建物の内部が、水浸しで、ムチャクチャになっており、いったいいつ中に戻ることができるのか、あるいはできないのか、よくわからない、先はわからないが、ともかく、地域が一体となって、片付けるしかないといった感じです。


 それにしても一体街中にいて、県南で、1万1123戸も家屋浸水が起きているわけですから、被害者は、何万人ということですが、その実感が、どれほどあるでしょう。

 これはもう、天災の少ない岡山県あげてのとんでもない事態であると言わざるを得ません。



 正直なところ、私は今たいへんに自分を恥じております。せめて、もう一日早く動くべきでした。自民党青年部・局で、即座に動いても良かったかもしれません。

 また、赤十字社の救援物資はどこにも届いておりましたが、国際緊急救援を含めて、国際貢献先進県を歌う本県が、意外に動きが鈍かったり、市・県の連携のまずさ、縦割り行政の弊害ばかりが目立ち、結局は、行政よりも、最後は、地域住民のネットワークが頼りであると思い知らされました。

 例えば、人的被害が、まだ少なかったというのは、消防団はじめ、地域コミュニティーが、有事の際にも機能した奇跡と言えるかもしれません。

 また本当に多くの方が、災害復旧のボランティアに当たっておられ、特に中・高生や青年が、各地で、大きな働きをしています。寄島町では、中学生の動きに、本当に素晴らしいものがあります。


 それにしても、なぜかくも被害が拡大したのか。

 概して言えるのは、水害が、集中豪雨で陸から来るという印象はあっても、ここまで海から水が突如やって来るという想定も、想像もなかったということです。
 あらゆることが想定外でしたが、これからは、想定内ですから、今後の大きな課題になります。


 玉野の場合は、床上浸水482戸、床下浸水1446戸。高潮でも2m水位が上がり、極端な場合でも、3.1mぐらいのものだろう、と思っていたところが、あらゆる悪条件が重なり4.3mに。
 しかも、それが僅か10分。緊急避難命令が出せる状況でなかったと言います。

 そして、渋皮海岸から児島を結ぶ岡山一美しい風景を走る国道は思い切りえぐられ、通行止め。水族館の海亀が逃げるぐらいに水が来て、エアーポンプ等が壊れ、多くの魚が死んでいます。


 牛窓町も、予想水位が2.24m。気象庁の警戒で、6〜70cm高くなる予想をしていたところが、一挙に、3.5mの潮位計を振り切り、床上300戸、床下280戸の大被害。
 正面の防備を怠りなく行っていたが、背後から襲われたというような全くの予想外の話。

 特に、田・畑も海水に浸かっており、数年は被害が続くかもしれません。


 もちろんハザードマップを作ることも重要ですし、堤防もより強固にしないといけません。

 ただ、要は、もうこういうことは、いつでも起きるのだという意識に基づいて、街づくりを進めて行く必要があるということです。

 地球温暖化の影響か、最近水位が上がっているような気がするという声がありましたが、例えば、私が子供の頃、むしろ少なかったクマゼミが、アブラゼミに取って代わろうとしているようなことひとつとっても、地球がおかしいと、誰もが感じているのではないでしょうか。

 地震もさることながら、異常気象による被害は、いつでも起こり得る、そういう覚悟が必要なように思います。



 ただ、たちまち、今日からどうするかです。

 災害救助法は、県知事の判断で、人口に応じて一定数以上の住居の滅失がある場合等に適用され、国・県が2分の1ずつの負担で、避難所や応急仮設住宅の設置、食料、飲料水、被服、寝具の給与、学用品の支給、埋葬、障害物の除去等々の救助を行うことを定めています。

 しかし、今回明らかなのは、水害の場合、洗濯機やクーラー等の家電製品、自動車などがやられてしまうということです。特に、日生のような観光地には、飲食店、旅館、各店に大型冷蔵庫があり、そういったものが、全て駄目になっています。

 また、例えば、備前の耐火煉瓦工場など、原料等にも被害が出ており、不景気の追い討ちとなり、経営事態に支障を来す恐れすらあります。

 となれば、補助ないし低金利による融資の充実が必要です。これは、早急に発表されなければなりません。
 また、明日から、県、赤十字社、県社協、共同募金会、NHKによる「台風16号岡山県高潮等被災者義援金」募金運動も始まりますが、ともかく一刻も早く、被災者の義援金を配分する必要もあります。

 さらに、災害ボランティアについて言えば、各役場に問合せをされた上で、現地に行かれれば、ともかく何やかにやすることがございます。
 特に、九々井や玉島は、幾らでも人が要ります。

 私も、イランには行けて、なぜ岡山は、駄目なの?と言われれば、そりゃそうです、なのですが・・・・。

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