【報告事項】  《事業仕分けおよびアンテナショップの調査》

 上記調査先については、10月29日に行った京都府議会での事業仕分けの調査と併せて、11月定例会の一般質問に直接結びつけた。
 まずは、アンテナショップについては、一般質問原稿そのままを記載する。

 以下11月定例会一般質問より
〈佐藤〉
 ところで、岡山県は、地元どころか、東京に、臨時の「岡山屋」以外に、47都道府県中30以上が持っている常設の観光物産センター、アンテナショップを持っていません。私は先日、銀座界隈の各県のアンテナショップを十数軒まわりましたが、一部地味なパンフ中心のショップを除けば、どの道府県のそれも、かなりお客さんが来られていました。特に、北海道と沖縄の店舗の賑わいは予想通りで、私も宮古島名物・雪塩ちんすこうを銀座で買いました。東京では、アンテナショップ巡りをすれば、舌鼓を打ちながら、全国の名産品が買え、様々な情報を得ることができるわけですが、岡山県は、首都圏での情報発信において、完全に他道府県に遅れをとっています。また、例えば、首都圏のファジアーノ岡山のサポーターが立ち寄る故郷がなく、ある意味、在京の岡山県人の皆様にも、たいへんに失礼なことだと思います。このことは、財源確保に加えて県と県外在住者の一体感の醸成を図るふるさと納税が、今年度は、11月12日現在で、19件52万円のみであることと無関係ではないように思います。
 日本一の桃太郎の看板や、きびだんごの売店があれば、岡山らしさは存分にアピールできるでしょうし、昼時には、岡山のばら寿司やママカリなど、確実に売れると思いますし、各種のフルーツも市場や百貨店に売り込むのではなく、常設店舗があれば、宣伝次第では、かなりブランド力も伴って認知度が上がるように思います。  岡山県の常設アンテナショップが東京に無いことは、私にはむしろ不思議ですが、なにか固い信念を持ってつくられないのでしょうか。ご所見をお聞かせ下さい。
 このことは、いわゆる産直ショップがブームから定着してきていますが、安定的な販路確保のためにも、岡山市や倉敷市内の商店街等に、さらに県内の市町村の物産店を集積させるという発想にも繋がります。あわせて、県内における市町村のアンテナショップの集積の支援について、お考えをお知らせ下さい。

〈知事答弁〉
 アンテナショップでありますが,首都圏における先行事例を見ますと,単独設置や複数県によります共同設置,コンビニエンスストアの一角を使った小規模なものなど,その形態や運営方法はさまざまでありますが,総じて厳しい運営状況にありまして,いわゆる費用対効果の問題など課題があるものと承知いたしております。そのような中で,現在,東京銀座に各県の特産品や観光情報を集め,販売やPRを行う物産館の整備構想がマスメディア主導で進められておりまして,集客力やコスト面の利点も見込まれることから,県といたしましては,当面この物産館への出展も視野に入れながら,首都圏における情報発信のあり方等につきまして,引き続き検討してまいりたいと存じます。また,市町村のアンテナショップの機能を持つものといたしましては,県商工会連合会が岡山市表町商店街で運営しております「サンさん岡山」がありまして,引き続きこの事業に対し支援を行い,市町村の特産品の振興を図ってまいりたいと存じます。

 結果として、1月22日オープン予定のフジテレビ系情報番組「めざましテレビ」プロデュースの日本全国、47都道府県の物産品を集めた物産館「銀座めざマルシェ」への出店が予定されている。今後の展開に期待したいところである。


 事業仕分けについては、構想日本のJ.I.フォーラムには、14人もの事業仕分けを実施した府知事や市長、町長が、討論者で出席。注目度が上がっているため、参加者も、非常に多く、マスコミも入っていた。事業仕分けについては、はっきりと私は、その凄さ、有用性を認めるし、なによりも、蓮舫議員にせよ、枝野議員にせよ、その熱意が伝わり、本気だというのがよく分かった。少なくとも、サイクリング中に、顔面を怪我するよりは、遙かに、国民のために体を張って、官僚と戦っているのが伝わってくる。財務省主導だの、1時間で何が分かるんだだの、識見を疑うなどの批判は、すべて甘んじて受けるが、国のために必要なことをしているんだという、覚悟と誇りが見て取れた。数億、数百億円にきちんと責任を背負っているのも感じた。
 じゃぁ、自民党の議員が、どれだけ体を張って戦ってきたのか、じゃぁ、我々が何をしているんだ、自分が恥ずかしい。その本質は、個人の資質や努力に関係なく、歴史と数の上の特権階級意識に胡座をかいて、真摯に、勉強すらしてこなかったのではないか。あるいは、中堅若手も、実は、組織の縛りに、甘えてきていただけなのではないか。ぬるま湯であった。現実にどっぷりと浸かる中で、茹でガエルになった。しようと思えばできたのに、しようとすら思わなかった前政権が、しようと思っていたのにできなかったが、やっとできた新政権にとやかく言う資格はない。宣伝だなどと愚弄することもない、立派なことである。
 悔しかったら、やれば良いのである。でも、できなかったんだろう、もうできんだろう、それだけのことである。
 確かに、問題点は多々あるが、政治判断で修正もできるし、なによりも、議論の俎上に上げただけでも、素晴らしいことである。そのこと自体は、高く評価しないといけない。
 思うに、政権交代のあとの動きで、今後何が出て来ようとも、執行部に替わりうる若い人材が民主党に多くいることは、十分に伝わった。対抗するのは、これに倍するエネルギーと才能が必要になる。どうやって対峙するのか、できねば、自民党は、長期低迷せざるを得ない。
 ただ、それは、国民にとって不幸なことでもないんじゃないか。自民党に、明日はあるのか・・・。自民党に明日はなくても、国と国民に明日があれば、良いじゃないか。自民党地方議員としては、如何致しましょうか・・・ということではあるが。国民が望む二大政党政治を目指すと言えないと・・・。


 もっとも、事業仕分け自体は、予算編成時期と幸か不幸か被ったものの、本来は、予算削減の手段と言うよりも、情報公開の手法であり、事業の説明責任を負う職員の意識改革であったり、住民の行政過程への参加意識の醸成の方に、遙かに意味がある。また、実は、第三者を介在させることで初めてできる行革もある。私が首長なら、すぐ本格実施する。
 岡山県においても、大規模事業評価委員会のように、第三者の参画を求めているものもあるし、行政内部的な事業仕分けについては、一応PDCAサイクルの形で、行政評価システムはできてはいる。ただ、情報公開、住民参加という視点からは、どうでしょあろうか。
 また、京都府議会では、府議会主導で事業仕分けがなされているが、本来、議決機関、チェック機関とされる議会は、立法機関として政策形成機能に、いかに関わっていくかを考えると、ひとつの議会の向かうべき方向なのかなという気も、してきた。

 以下、11月定例会一般質問より
〈佐藤〉
(1)事業仕分け
@感想
 次に事業仕分けについて伺います。事業仕分けの定義というのは、非常に難しいわけですが、今回の国の事業仕分けをコーディネートされた構想日本の冊子の言葉を借りれば、『国や地方自治体が行っている事業(行政サービス、政策立案事務などのすべてを含む)を予算項目ごと事務事業レベルに、「そもそも」必要かどうか、必要ならどこがやるか(官か民か、国か地方か)について、外部の視点で、公開の場において、担当職員と議論して最終的に「不要」「民間」「国」「都道府県」「市町村」などに仕分けていく作業』とのこと。であり、
 目的は、『行政の事業を抽象的ではなく「現場」の視点で洗い直すことによって、個々の事業の無駄にとどまらず、その事業の背後にある制度や国と地方の関係など行財政全体の改革に結びつけていくこと』とのこと。です。
 これまで、44自治体で61回開催され、岡山市でも、2006年2月に、試行しており、私も他府県で見ておりますが、今回の国の事業仕分けは、予算編成時期と幸か不幸か被せたため、かなり特殊だったように思います。特に、行政と政治が一体化しているのなら、仕分ける必要もないほど、よくよく練られた事業が、行政サイドから予算として提案されているはずですから、不思議な面もありました。例えば、仕分け人が誰かとか、議論は1時間で行うとかいうのは、決まりがあるわけではありません。仕分け結果については、思うところがかなりありますが、ただ、密室の議論を公開し、納税者の意識を大きく変えた、ということについては、非常に大きな意味があったと思います。改めて、今回の国の事業仕分けについての感想について伺います。
A岡山県での実施
 ところで、この事業仕分けは、自治体では、数値目標を定めた予算カットのための手法ではなく、行政の政策形成過程で、いかに市民参加を促すか、ある意味、情報公開のための手段として、また、職員の説明能力のスキルアップの手段として、また、実は、第三者を介在させることで初めてできる行革もあるということで、使われているように思います。  岡山県で言えば、例えば、公の施設のあり方、児童会館の閉館についての議論などをインターネットで流してオープンにするのが、馴染むように思います。
 もちろん、岡山県においても、大規模事業評価委員会のように、第三者の参画を求めているものもありますし、行政内部的な事業仕分けについては、PDCAサイクルの形で、行政評価システムはできていますし、なにより、財政危機宣言をして、厳しい行財政構造改革を進める中で、内部的にもかなり厳しい事業仕分けになっていると思います。  ただ、情報公開、住民参加という視点からは、どうでしょうか。パブリックコメントは募集したと言うけれども、そもそも募集されたことすら知らず、概して、新聞に発表されたらもうおしまいで、決まってしまっている、県の方針はテコでも動かないという評価があると思います。
 そういう誤解を解くためにも、議論をオープンにした事業仕分けは有効だと思いますが、岡山県での実施についてご所見をお聞かせ下さい。

〈知事答弁〉
 次に,国の事業仕分けについてであります。
 まず,感想についてでありますが,公開の場での議論を通じ,いわゆる無駄の排除を進めようというその姿勢は評価できますものの,地方財政の根幹にかかわる地方交付税について,短時間の議論で見直しの方針が出されたということに強い懸念と不安を感じております。また,まちづくり関連事業や下水道事業などが地方移管とされたことにつきましては,地方分権改革の視点からは意義がありますものの,移管に伴う財源や人員のあり方は明確になっていないところであります。こうした地方の行財政運営や住民生活に影響を及ぼす事務事業の見直しにつきましては,今後地方との十分かつ丁寧な協議が必要であると考えておりまして,全国知事会等とも連携し,国に対し強く働きかけてまいりたいと思います。
 岡山県での実施についての御質問でありますが,国の事業仕分けは,国が所管する約3,000事業のうち447事業を対象とし,民間有識者を含む仕分け人により公開の場において事業の必要性,官と民,国と地方の役割分担などの観点から仕分けを行い,その結果を予算に最大限反映させると,このようにされております。一方,本県におきましては,昨年度,御承知のとおり持続可能な行財政構造を確立するため,事務事業の見直しを行ったところでありまして,国のこの事業仕分けとの対比で申し上げれば,本県の場合は,すべての事業を対象といたしまして,また,事業仕分けと同じような観点から,そして庁内プロジェクトチームによって見直しを行って,パブリックコメントや市町村等との協議を経て,行革大綱2008として取りまとめて,その結果を本県の場合はすべて予算にこれを反映しているというところがやや違う点ではないかと思っております。このように,県におきましても,財源の確保等を目指しました事業の全般的な見直し,これは既に行ったところでありますが,今後とも新たな事業の必要性等を判断し,また,既存の事業を不断に見直していく必要があると,このように考えておりまして,その際には,この事業仕分けで重視されております議員御指摘の情報公開や住民参加などの要素につきましても十分取り込んでまいりたいと,このように考えております。

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