【報告事項】  《京都府事業仕分け》

 京都府議会で、「京都府事業仕分け」を傍聴させて頂いたが、主催は、京都府議会と言うよりも、政策シンクタンク=構想日本であり、ある意味、民主党京都府議会議員団であった。自民党の議員としては、肩身が狭くなかったと言えば嘘になる。

 ちなみに、京都府議会は、定数62(岡山56)人で、うち、京都市選出の議員だけで、35(岡山市19)人で、半数を大きく超えている。舞鶴や天橋立も京都であるから非常に広い京都府は、人口が、約263万人、京都市だけで、約146万6000人。
 自民党所属議員が24人、民主党が15人だが、共産党が11(岡山3)人というのが、極めて特徴的である。

 「事業仕分け」というのは、徐々に定義が収斂されてきたようであるが、『国や地方自治体が行っている事業(行政サービス、政策立案事務などのすべてを含む)を予算項目ごと事務事業レベル)に、「そもそも」必要かどうか、必要ならどこがやるか(官か民か、国か地方か)について、外部の視点で、公開の場において、担当職員と議論して最終的に「不要」「民間」「国」「都道府県」「市町村」などに仕分けていく作業』とのことである。

 目的は、『行政の事業を抽象的ではなく「現場」の視点で洗い直すことによって、個々の事業の無駄にとどまらず、その事業の背後にある制度や国と地方の関係など行財政全体の改革に結びつけていくこと』とのこと。
 これまで、32自治体で36回開催され、岡山市でも、2006年2月に、試行しており、続いている。

 特に、「仕分け人」として、今回は、議会主導で、民主党の府議や市議が入っていたのが特徴的であった。さらに、他都市の職員が仕分けるということであったが、このあたり、財政危機宣言をして、行財政構造改革を進める岡山県では、財政課は、内部的にも結構厳しいと思うのだが、第三者あるいは他自治体から見るとどうであろうか。

 ところで、国の事業仕分けについては、行政と議会が一体化しているなら、仕分ける必要もないほど、練られた事業が提案されているはずだが、今後、国の事業仕分けを民主党国会議員が行うのは、
小沢幹事長の方針からは、論理矛盾を起こすことになる。そういう意味では、若い議員が、幹部批判を結果として行うことになるから、仕分け人から外したというのが、本当ではないかと思う。
 むしろ、仕分けるのは、無駄な知識やしがらみがない方が、客観的な判断ができるし、事業シートが基本であるから、分厚い決算書が読みこなせるのか云々というのは、説得力はない。

 ともあれ、地方は、二元代表制であるから、事業仕分けは、やり易いかもしれないし、しかし、議決したからには議会が最終決定したわけであるから、議員が仕分けするとすれば、政策形成段階から入っていく必要もあるかもしれない。
 やはり、むしろ、市民が、行政も議会もチェックするオンブズマン的な市民参加の動きの方が、作業としては馴染むのではないかと思った。私が首長なら、市民参加型で必ずやると思う。
 あるいは、行政内部の自己評価のため、事業シートをつくるのは、ブレーンストーミングとして、当然のことかもしれない。

 岡山県議会は、事前審査制であるから、特に、2月議会前に、来年度の主要事項については、事業シートでバンバン出てくるから、それをきっちり議論していない議員が情けないと言えるかもしれない。
 今日見た事業シート自体は、目新しいものではなかったし、正直なところ、一応は公開である委員会の議論と大きく違うのは、最後の仕分けの結果を出すところに尽きるかもしれない。

 ただ一方で、事業は数限りなくあるから、どれを事業仕分けの対象にするのか、その事業説明も、お手盛りもあり得る事業シートで、当該担当自治体職員がするということで、性悪説に立って、嘘を見抜く、暴くような気持ちでないと効果が上がらないかもしれない。そういう面では、我々は、明らかに緩い。

 さらに、議員としては、議会や委員会で発言したり、あれこれで、事業を滑り込ませたり、予算をもぎ取ることが成果という部分も事実としてあり、ハラハラしながら、頼むから、黙って通してくれという時もある。それは、公共事業ではなくて、パーキングパーミット制度のような福祉施策の場合だってある。一方、やってみなきゃ分かんないじゃないか、という事業もあり、積極的な冒険施策は生まれ難くなるかもしれない。また、机上で判断ができる金銭で換算のできる歳出削減を絶対的な効果とした場合、それ以外の効果が、矮小化される恐れも感じる。政治が弱い者のためにあるなら、施策の基準はいろいろあるだろう。
 もっと言えば、エラーはないが、ブライアントのような豪快なホームランも打たない、石橋を叩いて渡る政治になる。あるいは、行政内部では、何もしない言い訳にも出来る。

 ある意味、岡山県は、非常に仕分けができているシビアな県のような気もする。むしろ、我々は、もっと夢を持って、無駄をして、守備範囲を超えて市町村を助けて、なにより、冒険してくれと言っているわけであるから。ただ、そのおねだりしたその結果が、膨大な財政赤字なのかもしれない。

 一方で、消防防災ヘリコプターの議論など、意外にやっているのかもと思えるし、倉敷チボリ公園や吉備高原都市は、構想自体が、今ならまず通らないと確信する。
 ともあれ、現状で、事業仕分けが一番必要なのは、国であり、無駄を廃して、地方に財源や権限、元気を頂戴したいものである。また、少なくとも、これからの野党=自民党には、国の事業仕分けをしっかりして貰わないと困る。与党に任せることでもない。

 一方、岡山県としては、どうであろうか。話題性はあるが、まずは決算委員会の充実や予算委員会の開設、事前審査制の有効活用・・。ちょっと微妙かもしれない。少なくとも、委員会が早く済むほど良いわけではないから、委員会の活性化から始める必要がある。
 もっと言えば、仕分けなんて、本来は当然の前提でないといけまい。
 それでも民主党府議会団は立派である。これは間違いないところである。

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