【報告事項】
《DV根絶国際フォーラム・第10回全国シェルターシンポジウム》

 NPO法人全国女性シェルターネットの主催で、日本財団の助成や他の協賛企業の協力を受け、『ノーモアDV”DV根絶国際フォーラム〜女性への暴力根絶。アジアからの発信〜』と題して、『第10回全国シェルターシンポジウム2007』は幕張メッセで1000人近い参加者が集まり開催された。

 来秋11回目の『全国シェルターシンポジウム2008』が、岡山で開催されることもあり、参考のために出席した。おりしも、第二次DV法が、今年7月11日に成立、来年1月11日から施行されるというタイミングである。

 ところで、当初、派遣申請は、11月23日から25日までの3日間行ったが、23日の一日のみに変更したのは、想定外の事情があったからである。予定通り、幕張メッセに到着したところ、登録がされていなかったのである。通常は、県外調査なら、県議会事務局の政務調査室を通じ、相手方とアポを取り、事前調査項目もお知らせするし、かようなシンポジウム等の参加の場合は、まず自ら手続きをするのだが、今回は、厚意により全国女性シェルターネットに加盟する市内の団体から、会員としての登録をお願いしていたところ、事務的な手違いがあったようである。非常に、迂闊かつ、残念であった。しかし、その後の対応は、正直、不満も残る。


 初日の講演会は、一般公開でもあり、当日受付の上、出席が可能であったが、2日目の分科会や議員フォーラム等は、交渉しても、主催者側が希望の出席は不可であるとの判断をし、これでは当初の目的が達せないということで、急遽、幕張メッセ近くのホテルでインターネットを借りて、ホテルや宿も、全てキャンセルして、帰岡した。議員派遣としては、考えられる最悪の事態であり、お詫びするしかない。
 明るい運命論者として考えるに、多分、神様が、お呼びでなかったのだろう。ご出席であった多くの岡山の女性地方議員に、来年の岡山大会の成功は委ねるしかない。今回は、非常に大きな大会であったため、委託のトラベル会社が、臨機応変の対応ができなかったことも考えられ、岡山ではこういう事が起きないように切に祈りたい。ただ、入場のチェックが厳しかったこともあり、あるいは、執拗に女性追うような輩の可能性も含めて、男性だから許されなかったのか?と考えないでもないのだが・・・・。なんとも、男性が居づらく、重苦しくしんどい雰囲気であったのは、私も、加害者の側に立っているからなのだろうか。


 かような事情で、以下、初日だけの報告になる。

 基調講演を予定していた、国連で日本政府の報告の審査に関与していた、国連女性差別撤廃委員会前副議長=ハンナ・ベアテ・ショップ・シリング博士は、体調不良で来られず、「女性への暴力根絶に向けた世界の取り組みと日本の課題について」という講演原稿が読まれた。日本の課題として、「女子差別撤廃条約」批准国でありながら、1999年10月に国連総会で採択された「女子差別撤廃条約の共同議定書」を批准していないことがあげられた。

 続いて、「アジア各国と日本のDV根絶政策」と題したシンポジウムが行われ、中国、韓国、モンゴル、香港の民間シェルター代表が、パネリスト、日本の代表がコーディネータに出て、各国の状況や課題が報告された。

 中国は、2005年「中華人民共和国婦女権益保障法」が成立しているが、DV罪はなく、現在は民間シェルターが支援をし、ホットラインはある。

 韓国は、DV犯罪者に対する処罰強化に向けての法改正等が予定され、暴力予防システムも確立していて、非常に進んでいる感がある。

 モンゴルは、2004年に、「家庭内暴力対策法」が成立している。

 香港は、「ドメスティックバイオレンス条例」が1986年から施行され、DV発生時、警察官は礼状なしに加害者を逮捕できる。

 ただ、各国とも、法律はあっても、その活用が十分でないようである。DVの法的な位置づけを含めた法制度と運用の充実が、共通して求められている。日本でも、デートDV、子どもへの性虐待、セクシャルマイノリティー、高齢者・障がい者・外国籍の方に対するサポートが十分でない点が指摘された。また、民間支援団体への財政支援、犯罪被害者支援も重要である。


 ところで、シェルターについては、女性相談所もさることながら、児童相談所に絡んで、児童虐待の子ども達の緊急一時保護所もある。児童養護施設への支援は幾ばくかあるが、こうした一時保護所そのものへの支援を所管の委員会の委員長として、今、所属ライオンズクラブに、お願いした。

 DV改正法では、市町村の責務が拡大され、緊急時の安全確保と一時保護もしなければならなくなるが、岡山市の政令指定都市移行に伴い、児童相談所、一時保護施設に係る事務も、県から市に移譲される。岡山市は、全国に先駆けて、緊急一時保護を条例で定めているが、児童相談所の事務移譲が、政令市移行のメリットであると喧伝されるのは、いささか抵抗を覚えるが、県・市・民間・警察一体となって、DVと児童虐待の一時保護機能をさらに強化すべく動いていきたい。

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