【報告事項】  《公職選挙法/政令指定都市(浜松市・堺市)》

 「国民主役の新しい公職選挙法を考える第1回シンポジウム」(資料1、2、3)は、21世紀臨調と超党派の国会議員有志でつくる「国民主役の新しい公職選挙法を考える会」(資料2参照:国会議員側座長=逢沢一郎、玄葉光一郎、21世紀臨調側座長=佐々木毅・前東大総長、主査=谷口将紀・東大准教授)が行い、第1回討論で、「国民主権と政策本意で新しい制度の構築を」、第2回討論で「18歳選挙権の実現に向けて」について、国会議員などが議論した。

 21世紀臨調=新しい日本をつくる国民会議は、経済界、労働界、学識者、自治体関係者、報道関係者、NPO関係者など国民各界の有志約150名が政治改革の推進を目的とした結集した不偏不党の提言体であり、運動体とされる。しかし、一方で、党派を超えて改革を志す与野党の若手議員や知事、市町村長らと政治改革を「国民と政治家との共同作業」として進めていくことも役割と謳う。
 また、「政権公約」(マニフェスト)を突破口として政党を起点となる選挙の段階から立て直し、政党政治の再構築をめざし、本物の地方分権改革を推進するためにも、「生活者起点の構造改革」と「ローカル・マニフェスト運動」を国民運動として展開し、政党や政治家の活動を支える基盤的なインフラ(人材、政策、情報、ファンド、シンクタンク等)のあり方を検討しながら、政治改革を推進してきたとする。政治改革法の成立に尽力された民間政治臨調等を経て、現在は、2003年7月から続く新21世紀臨調にあたる。第1回討論では、現行の公職選挙法が、管理する側の発想に過度に傾斜した「べからず法」から欧米型の「原則自由」の法体系に改めるべきであるとの意見があった。欧米の主要国では、マニフェスト、戸別訪問、選挙運動期間、インターネットの利用について、規制がなく、逆に、日本は、名前の連呼やひたすら頭を下げるという、政策よりも地縁血縁重視の滑稽なものになっているという。ドブ板と政策本位の選挙が、全く矛盾するものかどうかはわからないが、買収の温床になるのが理由と思われる戸別訪問禁止の合理性には疑問があるし、少なからず、対面で人柄を伝えることは重要であるが、双方に疲れる選挙のための選挙戦になっているのは否めない。

 この会では、最後に、18歳から国政選挙で投票できるよう、2010年の通常国会までに成年年齢を18歳に引き下げる公選法、民法などの改正を求める緊急提言を行った(資料3)。これは、憲法改正手続きを定めた国民投票法が投票権者を18歳以上としたのを踏まえたもので、ほかに(1)政府は今国会中に「工程表」を策定する(2)若者に主権者としての自覚を促す「主権者教育」に取り組むこと?なども盛り込んだ。この結論を導くための催しであったように思う。

 この点については、保岡興治・元法相は、政府に検討の場があり、各党も国会でとりまとめることが大事とし、憲法改正手続きを定めた国民投票法が投票年齢を原則18歳以上としたのに伴う関連法の年齢要件引き下げに関し、民法(3条で、20歳をもって、成年とする)、と公選法(9条で日本国民で年齢満20歳以上の者が選挙権を有するとしている)、少年法(成年=成人の年齢20歳を明記)を優先処理すべきとし、枝野幸男・民主党憲法調査会長は、3年での整備の難しさを指摘し、通常国会で幹となる公選法と民法、少年法の3つを横並びでなく、できる法から1個ずつとした。
 ちなみに、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、商法、戸籍法、医師法、公認会計士法では、20歳とは明示せず、成年と未成年で区切っている。自動車免許の取得は、成年の扱いを受けて18歳、また結婚も男子は18歳、女子は16歳になればでき、男女とも18歳以上で働いておれば納税義務も生じてくる。
 また、主権者教育については、船田元・元経済企画庁長官のように、政府の副読本には中立性の問題の議論が必要という意見もあった。
 確かに、選挙権年齢が18歳というのは世界の大勢で、日本のような20歳というのはむしろ例外であり、若者の政治への参加を促し、社会的な役割を担わせることができ、)年金など世代間の不公平や将来の負担増などについて、若者の多様な意見が政治に反映され、社会的な責任感が育ち、若者の政治離れに歯止めがかかるというメリットがある。
 もちろん、時代の流れとしては理解できるし、推進すべきだと思うが、議論の前提となっている国民投票法自体の投票権者の議論(というか、国民投票法そのもの)が、十分に行われていいなかった感は否めず、少し不思議な感じがした。



(静岡県庁)

 面談者は、別紙参照。(静岡県・資料2:以後、静岡県略)
 資料1のような形で、通常の委員会の県外調査と同じような設営にして頂いたのは恐縮であったが、事前に、政務調査室を通じて、@政令指定都市移行までの事務の進め方について A政令市移行に伴う県議選の選挙区変更について  と、質問項目をお知らせしてていたので、それに沿う形で、質疑を交えながら、説明を頂いた。
 静岡県に関しては、いわゆる静岡市・清水市合併の際もそうであったが、知事の積極的なリーダーシップが発揮されている。今回の浜松市についても、しばしばトップ会談の中でも語られたのは、根本的な知事の発想の中に、国の内政構造を変えていく中で、都道府県の再編成、市町村再編成を行うべきであり、都市間競争に勝ち抜くためにも、政令指定都市を県内にどんどん造っていくという思いが根底にある。ちなみに、平成12年合併推進要綱では、合併パターンを複数示し、第2段階では、新静岡市、新浜松市に加えて、合併新法に基づいて3市3町6団体の中核市=南伊豆地区(下田市、東伊豆町、南伊豆町、西伊豆町、河津町、松崎町)を政令指定都市に、すなわち、静岡県の東、中、西に、県と同格の自治体を作ろうとしているのである。(資料3)
 そして、国に対して、国の出先機関 農政局、整備局国の権限を県に降ろす、道州制の前提となる政令県構想すらイメージされている。高度医療機関、大学、大きな社会資本整備を行っていく政令県は聞き慣れないが、道州制への過程として国の法律なら出来るかもしれないということである。
 既に、県内の人口4割近くが政令市の市民であり、04〜06年度で、市町村へ1118もの事務を移譲しており、県の職員は、1996年のピーク時と比べて11%減と、行革の一環でもある。
 一方、東京圏と中部圏の連携の中で、東名高速道路の慢性的な渋滞や、多発する事故東海地震などの大規模災害時に代替路及び緊急輸送路になる新東名高速道の建設や、富士山静岡空港が、平成21年開港といううねりの中にある。

 政令指定都市移行までの経過については、(資料4)参照。静岡市では、平成15年4月、すなわち、2年前に、浜松市では平成17年7月に、行政区画等審議会設置されている。もっとも、静岡市では、平成13年には、県・合併協議会連絡会議を設置し、それが県市連絡会議に移行しており、浜松市でも、3年前の平成16年6月には、同様の協議会が設置され、合併して新市が発足するまでに実質的な議論は、かなり早い時期に始まっていたのである。なんのために広域合併をするのかを考えれば、合併協議の段階で、区割りの問題など議論するのが当たり前であろう。
 区割りについて言えば、静岡市は、旧清水市を割りたくないということから、清水、葵、駿河の3区になった。行革効果を高めるためには、大区役所制にして、20数万人の区で、区役所を設置するのが好ましいと考えて、区になるメリットがないと考えたようだが、総務省は反対していた。12市町村合併の浜松市は、東・西・南・北・中・天竜・浜北7区に10数万人標準で分けたことは後述する。
 伺っていると、大きな問題は、県市間基本協定が締結されたあとの総務省事前ヒアリングにあるということで、岡山市は、ここを見越した議論をしていないように感じてならない。これは、堺市でも感じたことである。
 県担当も、1年間毎週総務省に行ったというし、政令市に相応しい、「風格」、さらには、「100万人を目指す」という説明が必要であるという。国の裁量が非常に大きく、まず中核市として十分に運営されているかが問題で、中核市の中で特に優秀なところを政令で特に選ぶわけであるから、人口要件のみにきゅうきゅうとしているようにすら感じられる財政難の岡山市が、果たしてこの壁を越えられるだろうか・・・。

 それ以前に、県財政への影響も、区割りや区役所の位置以上の大きな問題である。(資料5)歳出への影響額を見ると、浜松市は、約147億2500万円。静岡市は、約115億5800万円で、約31億7000万円浜松が多いのは、面積が広いので、道路延長が長い分である。一方、歳入は、浜松市が18億6400万円、静岡市が13億4100万円であり、財政規模からすると影響額が少ないと言える。

 問題は、権限移譲である(資料6)が、静岡県は積極的に移譲していたので、浜松市については、締結前に権限移譲が進んでいたので数だけ見れば、他市の例に比して多くない。ちなみに、母子家庭、重度障害児、乳幼児医療費など単県医療費補助制度については、政令市になることで、補助率が、2分の1から3分の1に引き下げ十数億円の財政効果があったようだが、岡山県は、中核市の岡山市、倉敷市に対して原則は6分の1の補助であるから、やはり、ひどい。また、岡山市は、児童相談所の必置義務をメリットとするが、一時保護や児童自立支援施設などは、県に事務委託する形をとっている
 しかし、最大の問題は、県債償還金の取り扱いである。臨時地方道整備事業債の元利償還金について県への普通交付税事業費補正措置額を引いた額を市の負担する云々は、要するに、静岡県の場合は、5年間遡って、償還金を市が負担するということで、静岡市で93億円、浜松市で、115億円。生やさしい額ではないが、岡山市では、このことが表向き議論されていない。後述の堺市では、大丈夫かと思えるほど、この点を市が、府に譲歩しているように思えるが、岡山でも、大きな争点になるのは間違いない。


 なお、河川管理事務については、任意移譲で、移譲しないところが多いが、横浜市、札幌市は、知事は移譲すべきと考えている。また、政令指定都市内で完結する河川については、移譲したいと考えているそうである。宝くじの収益金も、各政令指定都市に、100分の20。県は、100分の60の配分になった。県有財産の譲渡については、結論が出ておらず、今後も協議。場合によっては、廃止。必要なら県が引き継ぐ。その他の協議も、3年語後に協議するとうことで、特に、単県での補助が問題になってくる。
 いずれにせよ、このあたりは全て、答が無く、トップ同士の政治判断と言える。岡山県と岡山市では、どこまで、この議論が政治的に出来るのか、また、我々議会サイドに説明がなし得るのか注目したい。


 一方、県議選の選挙区変更については、(資料7)参照。静岡県議会議員選挙区等調査特別委員会が設けられて、答申を出し、地方自治法の上限数85人のところ、平成13年12月に、78人、この春の統治地方選挙にあわせて、74人とした。
 4月1日政令市以降だが、選挙は、政令市の行政区単位で行った。7区で、5、2、2、2、2、2、1。共産党は3議席から1議席に、無所属議員は軒並み落選した。今後定数1の選挙区の扱いが問題になる。
 それにしても、政令指定都市の議論があろうが無かろうが、定数減が出来ない岡山県議会はいかがなものかと思う。我々は、政令指定都市を見越して、自らの選挙区の定数を減らす運動を展開し実現したわけであるが、その分が、他の選挙区に行ったというのは、むしろ滑稽な話ではないか。



(浜松市)

 面談者は、別紙参照。(浜松市・資料1:以後、浜松市略)

 もともとホンダ、スズキ、浜松ホトニクスなど二次産業が盛んではあるが、静岡・清水政令指定都市と名古屋市と間で埋没してしまうという危機感がある。総合計画で政令指定都市の構想自体はあったが、平成14年4月に企画課に、広域行政推進室を設けた。前市長は、当時60万人で、環浜名湖政令市を考えた。現在と違い湖西市は入っていたが、天竜市は入っていなかった。
 新浜松市は、人口80万4032人(平成17年国勢調査)12市町村が合併。東区、西区、南区、北区、中区、天竜区、浜北区の7区。で、うち中区は、人口約25万人と突出。行政機関や情報サービス業などの都市機能が集中している。天竜区は、市域面積の約6割を占めるが、人口は、3万7520人、都市内分権型のまちまちづくりを目指している。区協議会に加えて、地域協議会も(資料2)。
 駅前から100円で、3つの運行経路の浜松市循環バスが、さらにターミナルからは、方面別のバスが整理されて、放射状に発車している。非常に市街地が散漫な印象。アクトシティ以外に大都市っぽい風情がない印象。市域の交通は、東西に強く、南北に弱い。(資料3)

 以下、(資料4,5)に沿って、平成14年の環浜名湖政令指定都市構想研究会発足の際に、都市ビジョンと区割りの考え方を決めた3案作って、いずれも、浜松市以外は、区割りで割らないという原則。政令市になるための合併なので、合併協議会で、区割り案作った。
 旧浜松市は、都市内分権で、5つの区に分けることに。もともと自治会連合が、当時400。30年代の旧合併市町村に基づく、地区連合会が36あった。平成17年頃から、個別の意見はあったが、昔の合併前の状態に引き戻す分区であるとして、もめたのは、北区、引佐地区。区役所の位置も問題になり、基本的に、区役所の新設は駄目としたが、総合支所体制をとっていない東と南は区役所を新設している。
 いずれにせよ、後に出来た区割り審議会は、追認機関にすぎなかった。パブリックコメントもとり、議会の意見も聞いたが、合併と同時に区割りは出来ていたのである。時期にすると16年7月。ただし、区役所の位置は示していない。
 ちなみに、中核市とそれ以外で、1割カット650人減を合併協議会で決めた。県の職員が減らないのはなぜか?という素朴な疑問がある。

 この点、岡山市は、たいへんなことになるのではないか。逆になぜ、合併協議会の段階で、かように重要なことを議論していなかったのだろうか。ここが、市民レベルでは、最大に揉めるところであるのに、この短期間で、本当に突破出来るのであろうか。

 県との協議については、連絡会で部会を作り、窓口を一本にして、合併の経過報告の際に、総務省との協議もやっていた。いずれにせよ、県との間では、比較的スムーズに事が進んでいる。
 道路に関しては、財源付きで、花博が終わったばかりで、これはイレギュラー。県債の償還金については、静岡市の前例があったので、静岡市レベルは超えられないということで落ち着いている。
 もともと県と遠い行政で、自前でやってきたという自負がある。浜松と静岡は、ほどほどの距離であるが、商工関係は静岡と違い、県職員と喧嘩も出来る。「やらまいか」の浜松に、「やめまいか」の静岡。
 事務レベルでどこまでやれるか。県がやる気がなければ、事が進まない。洗い出し、調整、協議のため、16年4月の政令指定都市推進課 合併推進課よりも多く、30人の内18人を担当に割いた。
 100万人構想を国は常に意識していて、将来は、大井川のあたり、袋井市まで入れて、楽に100万人ということで、総務省には、説明したという。

 いずれにせよ、前述の静岡県の姿勢や、新静岡市の前例もあって、非常にスムーズに事が進んだ感がある。しかし、それにしても、区割り等については周到な準備は成されていたし、現実的な対応を行ってきたのであり、岡山の場合は、本当に不安がある。



(堺市)

 面談者は、別紙参照。(堺市・資料0:以後、堺市略)
 堺市は、昨年平成18年4月の政令指定都市としてスタートした。徳陵古墳を見下ろすことが出来る立派な堺市役所庁舎(堺区役所)は、むしろ私鉄駅の堺東駅が中心であり、このあたり、JRを基軸に考えなくても良い、私鉄を含めた広域交通網の発達は、商人の街、堺の発展の大前提である。

 以下、(資料1、1−2)に沿う。昭和36年、当時の市長が、100万都市構想を持っていたことからも分かるように、政令指定都市に向けた取り組みは非常に早く、昭和58年4月、指定都市準備室設置に遡る。平成13年4月には、指定都市推進部に格上げした。

 したがって、行政区割りについても、堺市庁舎問題等審議会で、早くも昭和51年から議論されている。昭和53年には、将来の政令市の区割りを予定したものとすべきとの中間答申が出され、58年に、6つの区域とする答申が出た。もっとも、そこから実際に確定したのは、平成2年8月である。
 総務省の指導には、10〜20万人、地域事情にもよるが、学区単位出きらないことと公共交通機関20分以内というものがあったようだが、堺、東、西、南、北、中の8.5万人から15.8万人の区域に、人口4万人弱の美原区域が加わっている。
 注目すべきは、総務省のいう、「風格」とは、数字で示せる物であるということである。京都や神戸を上回る工業生産高である堺は、他の政令指定都市と比較して遜色がない、それが整っているから政令指定都市なのだという。100万人に関しては、人口増加基調にあり、住宅開発も進み、2010年には、84.5万人。周辺との今後の合併もあり得るとして、100万人を担保。もちろん、歴史的文化的背景を言い出せば、古墳や千利休に言及すれば十分事足りる。
 この点、政令指定都市になったら風格が出来るというような岡山市の論調は、本末転倒かもしれない。

 大阪府は乗り気ではなかったが、15年6月に、連絡準備会議を設置。大阪市が実例としてあるので、それをベースに、1050事務の移譲。財政的には、未協議の部分とするが、道路に関する起債全部を利息込みで、約460億円を20年に渡って市が受ける。これが、全国的にも思い切ったとされるわけであるが、あくまで、協議中ということらしい。いずれにせよ、そのぐらいの勢いがなければ、府との協議がおさまらなかったのかもしれない。ちなみに、道路行政に関しては、府から職員は来ていないという。



(堺商工会議所)

 面談者は、別紙参照。(堺商工会議所・資料1:以後、堺商工会議所略)
 今回の政令市以降について、商工会議所の果たした役割が非常に大きいと側聞し伺った。中百舌という、やや交通の便が悪いところにあったが、基本的には、堺東が中心である。堺東は、大阪府の副都心で、平成2年移ってきた産学官の支援機関が集積し、インキュベーション施設や大学も出てきている交通の結節点で、高野線と御堂筋線はここでクロスし バブル期には、坪4000万円にもなったという。
 政令市になってから、三大證券揃い、日経支局が大阪から堺に来たように、支社から本店になったりで、2年間で3300億円経済効果が見込まれているという。

 それにしても、行政の腹の据え方が問題ではあるが、経済界としてかなりの動きをされている。ちなみに、正副会頭と府議会議員との懇談が、年に1回、正副会頭と会派の代表を呼んでの市議会議員との懇談も行われており、抜かりがない。?
 お話を伺うと、さすがに商人の街であり、かなり経済界が、お尻を叩いた印象を受ける。平成5年から 11団体で、堺市指定都市問題懇話会発足。平成8年には、堺市が中核市になった後に、それに止まらないように、推進協議会に発展的に改組拡大している。行政側からは、時期尚早と反対された集会を仕掛けて、45万円の補助を800万円に。
 都市間で言えば、巨大集積地が近くにあることで、流出入が多く、昭和42年泉北ニュータウンができ、 千里のように、ベットタウン的な位置づけになった。しかし、県庁所在地ではない川崎、堺、北九州、さらに、ベルト地帯にもないとすれば、街は埋没しかねず、政令市で自立する機運高めていく必要があったということである。
 商工会や他商工会議所との合併、高石JCと堺JCが合併し、経済界も様々な動きがあり、堺・高石JCになり、事務所も高石になったが、高石市との合併には到っていない
 要は、こうした経済界からの勢いは、議員や行政に対しては非常に効果的であると思う。それにしても、100都市構想は、岡山も掲げていた訳であるが、着実に議論を続けてきた実績に頭が下がる。?



 後日談として。

 この調査の翌日、「政令指定都市移行を目指す岡山市政に関する懇談会」が開催され、我が党の1名を除き、岡山市・加賀郡選出の全県議が出席。市長、副市長以下岡山市担当幹部が出席された。マスコミも入り、オープンの会であった。
 岡山市サイドから政令指定都市に向けての日程等が説明され、最大懸案の人口要件未達よりも、時間の短さ、償還金の分担の問題、財政状況も踏まえた上での行政能力の問題などの指摘が、やはりあった。少なくとも県議会が否定的というニュアンスではなかった。
 ただ、市議会議員の先生方や市職員の方々が、我々よりも、もっともっと熱い思いで、突破して頂くしかなく、特に、市職員の方には自らの行政能力が問われているチャンスと言えると思う。
 これはもう、もっともっと本気で、ある意味、狂って進む人間が何人もいないと、到底実現しない夢であり、冷めた岡山の県民性が、最大のネックになる可能性がある。ある意味、私達の岡山は、試されている。
 浜松は、「やらまいか」、静岡は、「やるまいか」と言われるが、岡山は、「やるんならやればぁ、わしゃ知らん」では困る。ただしかし、時間が、時間があまりにない・・・。

 この会で、私は以下のように申し上げた。
 「この2週間で、新潟、浜松、堺を回り、今後起こりうる課題については1時間でも話せるが、まずは、我々県議会議員は2ヶ月前の選挙で、政令指定都市については、各々スタンスを明確にして、ここにいるはずではないのか。今さら勉強しますも、ない。
 また、研究会を作ること自体は良いことだとは思うが、我々県議会議員は、まずは、70万人で政令指定都市になっても、100万人都市にするにはどうしたら良いのか、また、県南に政令指定都市が生まれて、岡山県において、また中四国州において、その位置づけをどう考えるかを議論すべきであって、区割りがどうだの、区役所の位置がどうだのは、我々県議会が議論すべきことではない。」

 また、市当局には、おこがましくも下記のように申し上た。
 「腹は十分に括っておられると思うが、もしも、69万7000人で、政令指定都市になれないとしたら、岡山県は、岡山市は何をしているのかと、全国に恥を晒すことになる。今さら、決して、ひくわけにはいかない。
 我々は、県議会議員であり、岡山市に有利な扱いを求められても、結果として、岡山県が、あるいは、岡山市以外が損をするということになるのならば、そういう判断は議員としてはできない。
 政令指定都市になるのは、経営判断でも、行政判断でもなく、政治判断である。仮に、5年間、政令指定都市になったことで、岡山市の財政が厳しくなったとしても、10年後20年後に、あの時こういう判断をして貰って良かったという視点で考えるべきである。
 また、政令指定都市になったら、風格が上がるのではなく、風格があるから、政令指定都市になるのである。中核市において、都市経営が立派に行われているから、政令指定都市になるのだという視点は、忘れないで頂きたい。」

 ただしかし、最も大切なこと、すなわち、政令指定都市になったら、どんな夢があるのかが、しっかりと市民の皆様に伝わっていない。そこに、この議論の迫力のなさを感じるのも事実である。
 やはり本当は、倉敷との強固な連携こそが、都市間競争に勝ち抜いていく、最高の方策であるという議論には、否応なく進んでいくことになるだろう。これは、県議会議員が言えば良いことである。
 いかに100万都市を目指すのか?という総務省の壁は、さもないと、越えられないかもしれない。ちなみに、政令指定都市になるまでに、総務省に、市・県が通う平均は、50回程度だそうである。
 協力的な県のハードルは、そうは言っても、原則禁止・限定解除の国よりも、はるかに低いものであり、これからの道は、こんなに緩いもののはずがない、という覚悟は必要である。

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