【報告事項】  《首長のマニフェスト検証手法の調査》

 今回の議員派遣に関しては、直後の11月定例会の一般質問に取り上げたので、末尾に一般質問原稿を記載し、添付資料として答弁書の写し(未定稿)を添付する。
 また、こうした議員派遣が最終的に県政に還元できなければ全く意味がないと考えているが、この検証大会の前段階として、平成17年3月26日開催の「21世紀分権時代における地方議会のあり方研修会〜ローカル・マニフェスト推進議員連盟設立に向けて〜」さらには、同5月22日開催の、「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟結成大会」への参加がある。こちらは、議連の設立ということで議員派遣ではなく、敢えて峻別し、政務調査費より個人の政務調査活動として処理したが、ローカル・マニフェストとはなんぞやの部分は、その研修と議連の結成大会をベースにしている。
 そこで、議長への報告事項ではないが、今回の議員派遣の前段階の部分について、敢えて、言及したい。

 「21世紀分権時代における地方議会のあり方研修会」と称された3月の研修会は、副題にあるように、「ローカル・マニフェスト推進議員連盟設立」に向けたものであったが、正直なところ、議会改革等に関して、既存の団体によるシンポジウムやセミナーは多々あり、一応の勉強にはなるものの、理念的なことが多く、なによりも議会制民主主義は多数決に基づくため、変革を言うことすら護送船団方式のようであり、遅々として進まないように感じていた私には、非常に刺激的な会合であった。
 時には、「単機出陣」でないと時代は動かないとも思うのだが、いわば、既存の繋がり(例えば、永田町と同じ括りによる政党)ではなく、インターネットを介したバーチャルな議連の繋がりが、各地で、顕在化してくるだろう。そういった意味では、地方議員は、時代に対応していくために、全国に志を同じくするネットワークを広げていく必要がある。
 高度情報化の時代に、地方議員が、地方を離れて見聞する意味は自ずと変わってくるが、県外調査で何を見ようが、改革派知事のところでもなければ、それは、政策や施策でなく、せいぜい事業のレベルでの違いであると私は諦観もしている。つまり、ある事業を見て、びっくりしましたというような子供の感想文は、不勉強の証であるし、これからは、事業であれば、よほどの先駆事例(酷い事例)を見るか、あるいは、よほどの先駆者に会うか、さもなくば、よほどの情報が集約される場に出向いていくことがより重要になってくると思う。とりわけ、議会改革がテーマであれば、なおさらである。
 そういう意味では、ローカル・マニフェストに関する動きは、かなり意識して追っかけていかないと決して入ってこない情報と言えるが、多くは、先駆事例である。いわんや、これが、地方議員によるマニフェストということになると、自ずと地方議員の問題や役割や限界が浮き彫りになるのである。


 さて、マニフェストに関しては、一昨年の総選挙の際には、ブームにもなったが、その後、死語になったかと言えばそうでもない。特に、元三重県知事北川正恭早稲田大学大学院教授は全国の首長に働きかけ、「ローカル・マニフェスト推進首長連盟」を立ち上げている。今回の検証大会は、2003年の選挙で当選した知事のマニフェストの進捗状況を検証するものであった。
 ただ、燎原の火のごとく、こうした運動が広がっているかと言えばそうでもないし、逆に、考えようによれば、マニフェストという言葉ではないが、マニフェストもどきの選挙公約を数値目標で示すことが定着してきたのかもしれない。あるいは、この秋の総選挙は、その最たるものとも言える。

 しかし、今や選挙に関わらず、どこの自治体でも、PLANーDOーSEEは言うし、例えば、事務事業評価や大規模事業評価のようなことは行っている。もっとも、マニフェストであれ、ベンチマークと言われる評価指標であれ、数値目標自体がお手盛りであり、まず、なぜそれが指標になり、なぜ基準がその数値であるかの論拠を示すべきではないかといつも考えてしまう。自分で作った基準に、自己採点、自己評価、自己満足に、言い訳をつけて、分厚い書類を作成するのは、まさに、時間と金の無駄である。

 つまりは、察するに、ただ、そのいい加減な数値を持って何事か示すと、市民や有権者にウケが良いからそうしているだけで、情報公開を持って、市民と協働して成熟した市民社会を構築していこうという気概は、看取出来ないこともある。そうなれば、ただのブームである。
 11月定例会の質問では、かなり厳しくそのあたりを知事に切り込んだつもりである。


 また、地方議員連盟は、北川氏のそのカリスマ性に惹かれた議員の集まりではないかと思えるふしもある。それゆえ、私の母校でもある早稲田大学が、何かといえば全面に出でるのだが、そこにある種の限界も感じる。また、個人的には、北川氏のいうマニフェストと元経済企画庁長官田中秀征福山大学教授のマニフェストは、似て非なるものではないかという疑念も払えない。少なくとも、同じものだが、やや立ち位置が違うようにも思う。
 マニフェスト提唱者として幾ばくかの奢り(確固たる信念)すら感じられる北川氏が、顧客として市民を捉えるのに対して、田中氏のそれは、「官権から民権へ」という思いのもと、マニフェストに対する有権者への理解・承認をもって、絶対に行政に執行させる、すなわち、行政権力と戦うのだという、あくまで市民が主体であり、戦う民主主義のロマンがある。ただ、これは、表現の違いといったレベルの話であろう。


 もっとも、実際は、マニフェスト自体の問題ではなく、要は、それをどう行使するかに尽きるのである。もっと言えば、もともと地方議員であった北川氏から出された宿題のようでもある。
 特に、最大の疑問、すなわち執行権を持たない、多数決で決する議会という組織の一員である我々が、マニフェストを掲げて何になるのか?ということである。
 そして、考えられる唯一の答えは、地方議員が、マニフェストを言い出せば、まずはマニフェストとして議会改革を標榜する地域政党(ローカル・パーティー)を作ることしかないのではないか。このことは、突き詰めれば、会派や派閥とはなんなのか?という問題に行きつくのである。
 すなわち、知事の掲げるローカル・マニフェストに対して検証するということは、では議会のマニフェストとはなんなのか?ひいては議会とはなんなのか?という、議会をも切る両刃の剣にもなりうるでもある。

 しかし、果たして、例えば、イデオロギーの対立が必ずしも終焉したものと私は考えてはいないが、永田町の政党と同じ括りで、政党があるくせに、猫も杓子も与党を標榜した大統領制下の大政翼賛会とも言えるような地方議会に、地方政党が出来るのか?というのは、大きな疑問であり、課題である。
 政治理念がさして変わらずとも、戦わなくてはいけない、いかんともしがたい選挙区事情があったり、大統領制下の地方の首長が、県民党でございます、と言われていれば、どの既存政党にも属さないというのが唯一の政策のような無党派という名の政党が圧倒的支持を受けている現状では、地方政党の未来は、必ずしも明るくない。この秋の自民党の大勝はかなりイレギュラーであろう。

 突き詰めれば、その人の「政策」ではなく、その人との「繋がり」に、有権者が投票する限り、政治は変わらない。ある意味、ジレンマに陥るのは、選挙のあり方からして問題なことの証左だろう。



 さて、北川正恭氏が、2年前の知事選挙で提唱した「ローカルマニフェスト」による選挙に呼応したのは、11人。その後、ローカル・マニフェスト推進首長連盟が誕生し、メンバーは、199人で、石井岡山県知事もその一人である。また、市民サイドでも、推進ネットワークが作られている。
 いずれにせよ、北川氏は、マニフェスト選挙の仕掛け人であり、地方議員のネットワークも必要と考えて動き出され、地方議員の中でも動いている者が出始めた状況である。

 ところで、地方におけるマニフェストであるが、2000年4月施行の地方分権一括法は、475の法律を変え、3年遅れで税財源について触れたのが、三位一体改革。そして、上下主従関係から対等協力関係になり、通達行政や指示待ち行政の象徴であった機関委任事務が廃止され、自治事務と法定受託事務になったことで、地方自治体は、国の追認機関のような管理者になり、自ら経営が出来る経営者として、首長は強大な権限を持つようになった。
 そのことは、議会のチェック機能が益々重要になったということでもある。そしてこれからは、県・市町村の格付けが始まり、そこで意味を帯びてくるのが、首長の掲げるマニフェストであり・・・・ということであるが、論理必然性と言うよりも、これからは、選挙的に示さなくて勝てません、と言う主張にも聞こえる。
 そこから、地方議員も、個々で、マニフェストぐらい掲げないと恥ずかしくない?という雰囲気ならば、従来のウィッシュリストと何も変わらない言葉合戦のように思うのだが。


 以下私論だが、
 マニフェストの本来の意味は、行政権は常に肥大化するという「行政国家現象」に対して、選挙の際に、マニフェストという契約書を持って、行政権の濫用に一定の縛りを掛ける、すなわち、「法の支配を及ぼす」ところにあるのではないだろうか。そういう意味では、マニフェスト選挙は、議院内閣制よりも、地方首長選挙に馴染むし、さすれば、まずは、議会としては、首長が選挙で掲げたマニフェストが、いかのように実践されているのか、有権者の代表として、チェックするという機能が重要になってくる。
 逆に言えば、マニフェストは、首長当選後に、選挙時と言葉が変わってはいけないし、行政の指針になるべきことである。もっと言えば、首長が誰であれ、変わらない官僚機構があるとすれば、選挙で認められた公約は、選挙を経ていない官僚・役人がどう言おうが、実施出来る錦の御旗である。要は、市民・県民に資するからマニフェストなのである。


 ところで、議員のマニフェストについても私見を。
 言うまでもなく、東西冷戦が終わり、イデオロギーの対立という側面は薄れてはおり、支持母体以外に、自民党と民主党の政策に大きな差異はないのではないかとも思える。ただ、国政の場合は、小選挙区及び比例代表制で、いわゆる政権交代があり得るために、政権公約としてのマニフェストの意味があり、マニフェスト選挙を通じて政権交代すべきと主張していた民主党が、かえって惨敗したのは皮肉であった。
 しかし、県議会の場合は、小・中・大選挙区制が、混在している異常な選挙を行う。自民党内で、複数候補が立候補するから、イデオロギーの違いと言うよりも、好き嫌い、もっと言えば、地縁か、血縁か、しがらみか、要は、知っているかどうか、少なくとも、政策とは違う部分で判断される傾向がある。
 ゆえに、会派や派閥で、共通のマニフェストを作ったところで、ほとんど選択の材料にならないかもしれない。もっと言えば、思想の違いというよりも、選挙事情ではないか、無党派と言うのは、戦略的な所属隠しに過ぎないのではないか?

 少なくとも、私自身34歳初当選時の抽象的なキャッチフレーズの「若さと情熱で」という期待だけの時期は、41歳の私自身が済んでいると自覚しているので、特に強く感じるのだが、要は、何をしてきて、何をするのかは、明確に、できれば具体的数字を持って示すことは、当然議員にも必要になってくる思う。今までなぜそのことが、問われなかったのだろう?

 個人のマニフェスト的なものは必ず必要になる。それは、毎回一般質問をします、毎日県政報告を送りますといった個人目標との区別が難しい代物かもしれないし、政務調査費や費用弁償について、自分なりの見解を持ち、実践することであろう。

  一方で、地方政党の話であるが、むしろ、永田町の話で、地方も流れが決まっているわけだが、実際のところ、本当に地方分権を言うなら、中央自民党と地方自民党は、地方分権一括法施行後の国と地方の関係のように、対等・協力関係にあっても良いわけだし、もっと極端な事を言えば、「政党おかやま」という地方政党があり、それが、自民党と協力関係にある、あるいは、時により、地方政党が、中央政党の支持を変えるということが、論理的にはあっても良いことになる。さらには、中央政党と地方政党に、二重に属しても良いかもしれない。
 なにより、たいがいの首長が「県民党」や「市民党」を謳うので、いずれ、中央政党とオール与党化する地方とは、思惑がずれて来る可能性は濃厚である。

 いずれにせよ、特に県においては、道州制の導入も相俟って、政党の意味や意義が、早晩問題になる。中央は、議院内閣制、地方は、大統領制という二重の政治構造で、地方分権を進めれば進めるほど、ずれが生じて来るのは、自明である。

 いつか振り返ってみれば、あの頃からだよね、というのが、きっと今だろう。永田町の政党と違う全国ネットワークができることで動き出すことがあるだろう。そうした地方の動きが、いずれ国を動かすことになる契機となるのではないかという気がする。
 あるいは、今までと違う考え方、そのネットワークが生まれてくる必然性がある。そして、総決起ではないが、地方から一斉に、言葉の上で蜂起するような場面が出てくるかもしれない。あるいは中央を揺るがすような。もちろん、それを可能にするのが、インターネットである。最後は、会わないといけなくはなるが、
 様々な業界と同じように、政治の世界でも、内部変動を起こしている。

 以下、そのような問題意識をもって、今回の派遣の報告を時系列に沿って行う。



来賓祝辞

株式会社資生堂会長・21世紀臨調副代表 池田守男氏

※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。
新しい日本を作る国民会議が共催しており、官から民、中央から地方へという改革の流れ、主権者国民の観点からは当然。
政治のあり方、民主主義から質を変える必要=選挙のあり方を見直すこと
2003年の総選挙からマニフェスト導入を提唱した「お願いから約束へ」
日本の民主主義を進化させる平成の民権運動。
国政選挙のパーティ・マニフェスト(PM)と地方選挙におけるローカル・マニフェスト(LM)運動の充実が必要=分権改革と表裏一体
国会議員の体質も変える
来賓の国会議員は、公職選挙法の改正の決意表明する。公選法が、政策本位の選挙の実現を阻止しているからである。

○いわゆる財界の方の視点からすれば、明確な見通しのもとに事業計画を立てたり、黒字決算の努力をするのは当然であり、民間経営そのものではないが、政治に民間経営的手法の導入を望まれるのは当然であろう。少なくとも、選挙にも契約的な発想も必要ということであろう。ただ、PMに対する働きかけのいかんでは、必ずしも、市民の声の代弁と言えないかもしれないし、LMのレベルについては、対応もこれからなのではないだろうか。○


社団法人日本青年会議所会頭 高竹和明氏

※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。
公開討論会開催
日本JCと各地のJCが、LM推進運動政策本位の選挙運動
300を超える首長、地方選挙、90を超える公開討論会に立会演説会
総選挙でも52回
JCもお願いが多かった OB関係者が多く、是是非非の討論会でJCの改革も。
文言として認知されたMの深化、国民の意識改革の必要性
地方分権には欠かせない
市民運動の一つとしてLMを推進する。

○氏は、倉敷JCの所属である。倉敷市長選挙はじめ、県内でもJCが動いた公開討論会がある。JCは、ある意味、地方財界の人間関係のしがらみが多い団体ではあるが、市民と財界の中間にいる青年の変革の担い手としての期待は大きい。まちづくり等については、もっと自由な立場でどんどん提言をされたらと思う。○


基調講演

(資料1参照)※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

「総選挙とマニフェスト」
          早稲田大学大学院教授 北川正恭氏


 21世紀臨調のパーティ・マニフェスト(以下PMと記述する)に対するローカル・マニフェスト(以下LMと記述する)とJCの地域から日本を変える運動の相乗効果で、LMの注目は高まっている。

 17年9月総選挙の意味は、手続きが重要な民主主義では瑕疵があった。総選挙に関わらず、シングルイシュであり、しかし、政策の意味を問うという意味では、M型選挙と評価ができる。実行体制も明確にし、刺客も送り、総選挙の形を変えた。
「お願いから約束へ」、庇護と依存の関係から政策の是非、主権者の責任で選ばせた小泉総理の個性能力もさることながら、制度がそうさせたのであろう。
 ↑
 12年前の政治改革は、土光臨調、3公社5現業 民間政治臨調スタート、70年代田中逮捕、80年代竹下失脚、90年代金丸逮捕の後、1992年、伊東正義自民党の政治改革大綱がこれとタイアップ。
 政治風土文化を変えるには、選挙のあり方を変えるという一点突破が、選挙制度改革。地方分権は、4回目になる小選挙区制度、政治改革運動がそうさせた。
 世話役と国会議員を見てきたが、個別利益の最大化の80%は、地元の選挙区であり、地方でできることは地方でやる、利益誘導したらむしろ背任、横領ということに。
 政策中心の選挙に地方分権、政策中心の選挙と経営者になった知事、企業のように明確に行程表、実効体制明示する必要が生じた。
 ↓
Mの登場は必然的

地方の首長のMの成功で、国もLMのキャッチフレーズは、ゲームを変えようということ。
国の通達、指示を待ち、中央との縁故関係を維持 立ち位置、ゲームの流れを変える地方が増えた。
cf、小さな街柳川市長選挙でMを掲げて勝った
今年合併特例法の選挙でMLを進めたが、来年は現場はまだまだ中央依存型、地方選挙をM型、契約型に変える。
次の地方選挙は、科学的手法さらに体制築く地方が自立するのは苦しいが、Mは、スローガンではなく、大政治を行うための大きなツール。
役人の総合計画にのってたんたんとする政治から大改革を掲げて優秀な行政がM達成に努めないと今までの政治の大転換はない。主権者の信任をもって、Mを進める。
恵庭市長選挙では、まずマニフェストをビジュアルに絵本にして、子ども達の視点から中央依存から日本一の街にと謳った。

↓しかし、
Mは、必要条件であるが、十分条件ではない。→配ることが出来るという公職選挙法の改正が必要。IT時代のホームページ。公選法の改正に取り組む必要がある。

2月3,4,5と佐賀県でLM首長会議 地方議員 M研究所の大会。LMを徹底し、PMに影響を地域から日本を変える大会にしたい。

○この秋の総選挙が、法的に正当性があったのか、本来のマニフェスト型選挙であったかは甚だ疑問であるが、郵政民営化といった政策について、有権者の判断を求めたという点では、政治手法云々よりも、消費税導入以来の「分かりやすい」(争点隠しとも言えるかもしれないが)選挙であったのは間違いない。ただ、同じ手を、別の総理総裁が使うことができるかといえば、否ではないか。また、郵政民営化というよりも、そこにまつわる人間関係のごちゃごちゃが、下手なTVドラマよりおもしろく関心を呼んだということで、果たして、政治的に成熟した市民の視点による選挙であったのかというと、そうでもないのではないか。うむしろ、小選挙区比例代表制という選挙制度の不思議さを露呈したのではないか。

 一方確たる争点が無く、むしろ信任投票の感もあった昨年の岡山県知事選挙であったが、昨年の夏、秋の3期目の選挙にあたり、石井知事は、ローカル・マニフェストの「おかやま大地夢づくり宣言」を示された。敢えて、争点を生み出そうという意図でもなかったと思うが、正直なところ、選挙期間中に配布できないことも相まって、ほとんど有権者の手には、マニフェストは渡っていないのではないか。
 その後、2004年12月定例会および2月定例会では、「おかやま大地」という言葉が本会議でも踊ったものの、その後、ぱったり聞かれなくなった。一方で、この11月定例会では、知事は、提案説明で、来年度計画期間の満了を迎える「快適生活県おかやま」の実現に向けた「新世紀おかやま夢づくりプラン」については、次の5カ年計画となる新プランを平成18年度中に策定したい旨の説明をした。
 この次期夢づくりプランに、「おかやま大地夢づくり宣言」をいかように活かすのかは、有権者の信託を得たはずの選挙の際のマニフェストが、実際にどのように基本的な政策に反映されるのかのまさに試金石である。
 一方、この秋の岡山市長選挙であるが、ともかくあまりに唐突な選挙であり、マニフェスト型にはなり得なかったように思う。新市長の職員削減(3年間採用凍結)は、マニフェストで数値目標として掲げられていれば、それが、市民の意志であると強弁することも可能であったように思うが、やや唐突な感も否めない。○



ローカル・マニフェスト最新事例報告
(資料2)

「ローカル・マニフェストへの期待」
               衆議院議員 逢坂誠二氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。
LM推進首長連盟の代表であった 首長から国会議員に「落ちこぼれ」た。
永田町は政策を判断する生きた情報が少ない
ギラギラする情報が少ない
 ↓
Mは、特別なものではない
Mがない時代は、エモーショナル 正当性がない 有権者準備できていない
当たり前の選挙の形にする=Mができたから何が変わるわけではない
当選後の仕事に初めて正当性が与えられる
日本においては、黎明期。始まったばかり
様々なチャレンジがあっても良い

中島恵庭市長のMもチャレンジと言える。
チャレンジすることで、Mに取り組むことが世の中を変えることになる
期限、財源がはっきりするなら今の市町村の現場では真の意味の分権が行われていないと気づく。理念のみなら 実態面でおかしいと気づく。
また市民参加が容易でないと気づく。
政策決定のプロセスの異常さ、難しさに気づくだろう
チャレンジは、実績を積み上げていくしかない。

○ニセコ町長として、実績を残されて国政に。地方の実情をご存知の方が、国政に行枯れるのは良いことである。国会議員が必ずしも、行政経験も経営感覚をもたれているわけではないことに鑑みれば、少なくとも二世議員でない形の代表が増えるのは良いことである。○


「犬山市におけるマニフェスト評価」
                  石田芳弘 犬山市長


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。
LM首長連盟代表
2年半前 11項目犬山市認定した
ミネソタのミネアポリス、セントポール市長選挙
騒がしい市長選挙、市民が迷惑、選ばれる側の論理にすぎない
日本の選挙のあり方の一風景だが、本質的に考え直すのが、LM
 ↓
「お願いから契約」
分かり易かったのは、予算編成
政策形成と世論形成の過程は違う
予算は出来てしまっているので、最初は何も出来ない
Mに書いたことを優先、トップダウンの理由になるLMで約束したと

市民の代表者に検証して貰った 全戸配布で公開
市民広報は、NPOに任せている
中間成績評価
総合計画の流れの中にM,Mサイクルで、一貫性が必要。
また、自治基本条例を作りたい。M型の自治基本条例への挑戦。
Mは、デモクラシーの気づきの道具
ただ、実現方法はいくらも変える余地がありうる
契約書なので細かくないといけないが「檄文」
パンチ力のあるビジョンの必要性
政治をやるものには、文学の素養が必要ではないか。

○選挙カーによる候補の名前の連呼は、支持者の皆様や選挙事務所の方々の士気を高めるために、候補がボロボロになるための感謝をあらわす仕組みであるが、少なくとも、選挙期間中に街頭演説を打っても、政策が訴えられるわけもなければ、得票の決定的な決め手にもならないというのは、衆目の一致するところである。かといって、選挙カーが走らなければ走らないで、選挙期間は長期化し、よりどぶ板(戸別訪問中心)になるのは、どの国の選挙も同じである。とりわけ、新人候補には、有権者に、選択の契機となる素材を十分に提供する必要がある。さもなくば、いわゆる予備選挙の導入が考えられるが、地方において、その有効性があるだろうか。
 個人的には、政策討論会が可能な首長選挙や国政選挙は、選挙カーも要らないかもしれないが、複数の候補が選ばれる地方議員選挙については、それに代わりうるものがあるとすれば、全戸配布のかなり詳細な選挙公報しかないように思う。少なくとも、公選法の改正で選挙期間中にマニフェストが配れないと有権者に訴えようがない。電話作戦等にむなしさを感じているのは、実は候補者かもしれない。○



「枚方市におけるマニフェスト評価」
                  中司宏 枚方市長


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

連呼スローガン型の選挙を政策中心に変えよう。職員、市民の意識変える

2003年の3期目にマニフェスト 77項目
この10月28日に、検証評価大会を行った。市民の手による評価の最初の取組み
マニフェスト評価勉強会を経て思った以上に厳しい評価
政策を評価し、地域社会を身近に感じ、自分達の責任は何なのかを感じる機会になった

アンケート8割以上が、企画が良かった。いろんな問題があると気づきの場が広がった等。
77項目は詳細すぎたが、事前に項目の資料を詳細に情報提供ができたことが大きな前進
達成度のみならず周知度や項目としてあがったこと自体、どうなのかを含めて評価された
Mサイクルの中で、有意義だった
政策主導の市政運営に近づけた さらに、Mサイクルを完成させたい。

○ローカル・マニフェスト検証大会については、11月定例会で知事に問うた。しかし、本来は、第三者が、むしろ、議会が、そういう機会を作るべきであろう。ただ、県政においては、市政ほど、首長のマニフェストすら身近に感じて貰えないかもしれない。○


「大阪市改革マニフェスト」
              慶應義塾大学教授 上山信一氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

大阪市もマニフェスト型選挙に。Mは、選挙でなくてもパワフルだったはずが選挙になった
Mを柱に行政をする取組みが始まっていて、条例にない退職金、専従、カラヤミ問題? 市民の信頼失った。
大平助役から頼まれた
市役所は大阪から出ていけと市民に言われた=信頼回復
福利厚生委員会でカラヤミ問題の真相が明らかになり、自浄能力がないという批判を受けて国会でも問題になった。
市政改革Mを作ろう? 選挙でもないのに、Mつくる事が出来るのか
30人の外部委員が入った疑問、質問力 情報公開しつつ対策を作る。
全般ではなく、改革のマニフェスト。期限体系網羅、責任の明確化、全部で230頁、87項目の個別具体シート 処方箋、情報公開的なデータも。
作るプロセスで庁内も学習し、議会も丸呑みできなくなった。
改革手続きのレベルの高い選挙になっている
選挙の質、市政がバージョンアップ
改革本部は、集中治療室? 弁護士と経営コンサルタントも入っている。
課題は、カルテ 38の病気が見つかり、具体的取組みは処方箋、
切れという外科的なものもあった

○行政評価に関する日本の第一人者である上山氏は、「行政の運営が、行政経営になり、ルールが変わったとする。すなわち、全体のパイが縮む中で、財政再建をどの首長も掲げるが、御利益配分から、人を含めた資源の有効活用が、ポイントに。さらに、個人の特異な才能に基づくカリスマ型指導者から、行政評価手法、情報公開で組織をまわすのがリーダーシップに変わる。また、キーワードやキャッチフレーズでは、人を動かすことが出来なくなった。文鎮の摘みを変えると、行政組織を動かすことが出来る。そして、最終的には、前例踏襲ではなく、成果指標から約束するのが、マニフェストと言える。」と、3月の研修会で、言われている。まさに、日本で最も問題の大きい大阪市政で実践されているのであろう。大阪市政のような体質は、少なからず全国の地方自治体が持っているのではなかろうか。推察するに、今回の改革にお墨付きを市民から得るための大阪市長選挙の背景には、氏の思いもあるのではないだだろうか。
 なお、氏は、議会についても、「議会が、マニフェストにいかに関わるかについて、まず、議会改革、透明性を高めるため、議員としてマニフェストを出すべきである。また、NPOや学者に頼る前に、本来の議会の仕事として首長が出しているマニフェストをチェックしなくてはいけない。さらに、会派を掲げる以上、それが何であるか、理念をマニフェストで示し、有権者に説明する必要がある。
 これから、議会は、厳しい状況に追い込まれる。中間組織、代議制や卸業の存在意義はなくなる。役人とつるんで利益誘導していれば、いずれ駆逐される。本来は、もめる議会として、政策論争、争点を作り出す議会であるべきである。」とも発言されている。
 いわゆる「口利き」のような数値化も公表もされないものについて、それが、議員の力であると喧伝されるような時代は、議員としても、終わって欲しいというのが、本音である。○


「えさし地産地消推進条例について」
           江刺市議会議員 若生 史明氏
                 同 佐藤 邦夫氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。
選挙中でなくても任期中の約束でも重要なM
江刺は、人口3万4千人中、2万1千人が農家。65%が農業に従事している。
米は、コシヒカリと同じひとめぼれが、特A。
りんごも、全国一の味と品質。
来春水沢市他と合併して奥州市になる。

10月28日に全会一致で可決した
能力、人材経験不足で議会事務局を使いこなせない。
外部の力。条例が市民のみならず議員にも理解されていない。議員同志の議論が深くできた。
地元マスコミも非常に協力的であった。市民との意見交換会も取上げてくれた。1000人を超える。さらに、250人以上のアンケート。学校での食育も含めて、1500人以上の意見を取り入れた。プロセスを大切にした市民を巻き込んだ条例。

議員報酬額については、市民の要求や能力によって報酬が決められるべきではないか。
議会の権限の最大限の活用が必要。片手間ではできない。
議員の意識が高まれば、市民の意識が高まる。

○条例の内容よりも、条例を作った誇りというのが漲っていた。○


「ローカル・パーティーの可能性」
       ローカル・パーティー「新世会」代表 松野 豊氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想
ローカルパーティーの可能性
会派としてのLM
なぜ地域政党にしたのか=会派は、本来は政策集団であるべき。派閥人事的な情実型の政治が多い。
政策集団として脱皮するために、議員32人中10人が地方政党員としても動いている。真の地方分権推進のため、地域には地域に根付いた政党を

○地方政党の全国初のケースと言えるが、構成員がおそらく同一選挙区にいて、要は、派閥を政党登録した以上に、平素の政治活動を共に行うというのは、銘々がかなり大人でないとできることではない。政策というのが、地方においてはイデオロギーのレベルまで遡らないとしたら、逆に、政党と非政党の議員の何が根本的に違うのか分からないが、先駆的な試みには敬意を覚える。論理的に突き詰めれば、議員のマニフェストは、ローカルパーティーになるということから、注目に値する動きである。○


「マニフェストで変わる現場報道」
            河北新報社編集局編集員 今野 俊宏氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

河北新報
河は、福島県白河の河。「白河以北一山100文」に由来。先代に本社。東北6県。
世論調査では、有権者も、マニフェスト重視だが、その要求に遅れている。
マニフェストへの意識の特徴は、都市部、郡部、男女、職業でも差がないこと
重視の理由は、政党や政治家が責任を負う事になるから。
30%は、Mがよくわからない。まだ、Mだけでは選ばない。
誰が勝つかが選挙報道の全てであったが、宮城県知事選挙では、出揃わなかったが、皆が、Mを求めていた。

○やはり、マスコミがどれほどの大きさに扱ってくれるかは、様々な活動のキーになるところである。今回の総選挙では、都市部で自民党が強いという「逆一区現象」が発生した。個人的には、これは、政策の是非を十分に理解するための情報を提供したというよりも、勝ち組負け組の二極化が進むといわれる世相の中で、勝ち組に乗らなければという不安感をマスコミが結果的に煽ったのではないかという気もする。少なくとも、マニフェストについては、できるだけ客観的な公平な報道が重要であろう。○


「マニフェスト型公開討論会の取り組み」
     LM推進ネットワーク九州代表 神吉(かんき)信之氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

マニフェスト型公開討論会は、従来の公開討論会とどう違うのか?
出来上がったMが使えない。主催者側が、聞きたい内容について表を作っていこう
10〜14日間かけて、候補者も分からず、ある程度の水準まで上げて書いてもらう
評価検証というマニフェストサイクルを市民サイドで作って行く
11月にやったので、来年以降、評価検証を市民側からマニフェストサイクルを作っていきたい。

○こういった市民サイドの動きは岡山にもあるが、スタッフや費用的にも有志の集まりなので、十分な周知がはかられない時もある。また、実際は、討論という形ではなく、合同インタビューのような感もあり、激論やフロアとの質疑応答も、公平を欠かない範囲で行える方法があれば、有権者の判断に資すると思う。○



ローカル・マニフェスト検証大会
(資料3)

《知事報告》

上田 清司 埼玉県知事


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

いきなりの選挙。政治信条でない部分は、行程表を作り月まで明らかにした。
事務事業の総点検で、各課毎にすると5%、他の課も入れると40%削減
市町村・国の関係ですぐには辞められないが。
成果主義 150人の課長と40時間面談した。時給 部長6700円、課長5300円
生産性上げるため、埼玉のある工場は、立って会議
事務費で仕事ができるという認識が必要

総合計画には、具体的に数字を入れていきたい。が、橋本構造改革路線が、数字にとらわれすぎて駄目になった。19.1を15に県債率を下げると書いたのが、足枷になっている。

埼玉県内は、東京外部環状道路ができている。道路予算は減らしていない。公共事業は落としてはいるが、道路は誰も作ってくれない。


総合評価としては、比較的順調に進んでいる。
愛知県と経済成長率で争っている 財政は強くする。
2年内で5年間分の人員削減 対1万人比は、全国一低い。ただ管理職が多いという問題がある。


主な成果
都市圏は治安が大きな目標に。警察官増員は5年連続第一位。犯罪発生率も、前半で20%カット。550団体の民間パトロールが1500になっているから。
6割は、交差点の事故、交差点の改良の成果。

創業ベンチャー支援センターへのなんらかのアクセスは、2万人。企業誘致大作戦は、現在69件。


○数を絞って指標を示したマニフェストの進捗状況もかなり細かく分析されており、非常に勢いがある感じであった。また、できていない部分につてもはっきりと言及された。いわゆる県の施策をえんえんと挨拶で述べられる知事の姿を何度も見てきたが、マニフェストに沿うとかなりメリハリがはっきりするように思う。夢づくり指標がお手盛りに見えてしまうところは、11月定例会で問うた。○



古川 康 佐賀知事

※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

選挙において発表したことはそのまま政策にはならないが、一度ルールを定めれば、責任を果たす。アクションプランと言わず、重点実施項目

実績は、総括本部が評価。第三者評価には至っていないが、厳しくする方が評価に対する評価も上がる。

損保ジャパン誘致 東京以外唯一 700人雇用 24時間託児所
新時代のランドマークタワー 企業誘致は目標が高いので、進めていくのもたいへん

本来であれば、第三者評価機関が必要か。JCブロック協議会で評価できないか。
マニフェストは細かすぎるとかえって難しい。骨太のものを項目を絞って示すべきか。

2年前マニフェストで戦う候補者の一人
新人の候補者が情報公開の進んでいない県で情報を得ることの難しさ
ただ経歴上見当はついた

アジアハリウッド構想、デジタルコンテンツ産業、障害者を雇用はうまく進んでいない
「水素社会」構築も、ゼロからでうまく進んでいない。
知的立県で、日本一の図書館? 月曜日県内一斉に休むので休みをずらした。月曜日は他の日より客が多い。例えば、石川県立図書館は、開館時間日本一?。土曜日も午後8時まで 福島県は休みを無くした。ローテーションの組み方で人件費はそう増えていないはず

数字も予算をつければできる簡単なこと。ゼロからやったり民間がやることは難しいのが実感。

○元岡山県財政課長。この方も勢いがあった。第三者評価には至くとも、厳しくする方が評価に対する評価も上がるというのは、まさにその通りで、この点、夢づくり指標の評価は、かえすがえす問題が多い。ひとつには、選挙民の目にきちんと触れていないから選ぶことができる指標ではないかとも思える。少なくとも、施策の優先順位をかなり意識して指標を決めないと、それを指標にすること自体が不信の種になる。
一方で、佐賀県の水素社会、アジアハリウッド構想というのは、正直ぴんと来ないけれど、意外に選挙中には、有権者の関心はひいたかもしれないなと思う。○



西川 一誠 福井県知事

※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

施策公約 4年間の期限が来て評価を受けるべき。評価の基準ができていない
しかし、進捗状況が問われ見直しが必要である 自己点検
折り返し地点で外部の点検が必要なのではないか
県庁、外部、評価委員会の三本立て。

途中でやると難しいが、できるだけ客観的専門的に仲間内にならないように。
県民のアンケート調査? 回収率は65%になった 県民が最大の評価者。
無作為で2000名?? 業者も知事が知らない人

「福井元気宣言」
最終的な県民利益をベンチマークに
実務的で短期間で議論する
未来像というのがないのではないか

長期のビジョンを並行して走らせる必要があるのではないか
「2030年の姿」25年後
国土計画的なものではなく、価値観や満足感や心持ち
人口減少時代を反映して
的中させるのではなく25年後を描きながら今何をすべきかという判断

福井の後に、国も2030年を目指して日本21世紀ビジョン
構造改革が国民の幸福にどうつながるか


○地味ながら一番確実なように感じられた。11月定例会の質問では、かなり意識した。
特に、アンケート調査や、評価を様々な機関が行うのは、重要だと思う。自己評価も第三者評価も必要である。一番重要なのは、県民がどう判断するかであって、パブリックコメントやマルチメディア目安箱以外に、政策に対してきちんと県民の声を聞いていると言えるだろうか。予定質問が決まっている青空知事室で、知事批判をする者もいまいから、この点は、もう少し開かれても良いのではないか。もっとも、県議会は、何をしているのかというのが、一番の問題である。○



《第三者評価報告》
早稲田大学大学院教授 塚本 壽雄氏


 資料3の該当部分参照。基本的に、資料を読まれた。一覧等詳細である。
 上田埼玉県知事は、深化にスピードが加わる、古川佐賀県知事は、当初から安定的で無理がない運び、西川福井県知事は、綿密、詳細、洗練の3点揃っているとの評価。

浅野 史郎 宮城県知事

※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

57歳。明日まで知事 4選出馬を辞めた? 10月23日に後継指名した候補が負けた
8月21日に、不出馬表明し、公示8日前に最初の立候補者。
検証 マニフェスト選挙を勝った 事前評価も大切
有権者からすれば、@難しすぎる→解釈の必要がある A簡単すぎる→郵政民営化のように、分かりすぎるのも欺瞞性、白紙委任はしていないのに正当性の問題がある。B多すぎる→犯罪報償費執行停止の見直し 埋没しているが、有権者が気づいていない場合がある。

例えば 宮城県知事選挙。退職金を三役が貰わない 副知事は、民間or女性、それで人材得られるという解釈が必要
一律共学化方針見直しは、教育委員会の独立性に関わる
投票前迄に的確な解釈が必要
討論会もある種の解説にはなる。
事後評価についても、例えば3期目に事後評価すれば、4期目の選挙が想定されている。

○第三者評価としての発言ではなかった。むしろ、現状のマニフェストの問題点を指摘された。確かに、マニフェストには解説が必要である。配れば終わりで、当選すれば、承諾したと安易に言えるものではない。いずれにせよ、マニフェストは、過渡期にあるということであろう。○




LM推進モデル 〜岩手県版〜
(資料4)

《知事報告》

増田 寛也  岩手県知事


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

県内合併市町村 どこの選挙でもマニフェストを作成して選挙
また公開討論会も さらに議会の会派も。
また庁内体制 県の施策に移し替える時に内なる抵抗がある
できるだけスピードが上がるマニフェスト型県庁できるだけ各部に自己責任
ミッションを明らかにし できるだけフラットに 実行に移す
その評価を翌年度の施策に溶かしていく

これまでは自己評価が基本であった。
政策評価課 しかし、第三者委員会に向けて有権者の意見を聞いて発表する若干信頼性は担保されているが、県民満足度調査を合わせているが、さらに、外部評価をしっかり入れよう 全て第三者組織で。

岩手県LM推進ネットワーク それを母体にして 県民参加型の県民判断の視点を増やそう。一番の問題は、都市部はオンブズマンがいるが行政の施策に精通していないと評価は難しい。テーマは2つに絞った? 若年者の就労支援? 高齢者支援
来年1月末に 第三者評価発表時期。

問題は、判断材料をどう提供するか 守秘義務の問題
    時期 翌年の予算に反映できる時期に

各自治体に波及するだろう

議会との関係では、議会として政策チェック? 会派でマニフェスト 政党間の地方分権も起きる
司法分野の地方分権が遅れていないか。真の意味の三権分立が進むことが地方分権に繋がる

○先駆事例のモデルとして岩手県の紹介。県議会議員と第三者機関の方が、こういう場に来られること自体、進んでいるということであろう。ただ個人的には、自民党、民主党のせめぎ合いがある地域だけに、全てが円滑というわけでもないのだろうと推察する。考えようによれば、緊張関係こそが、議会と行政の本来の形かもしれないが。○


《県議会報告》

飯澤 匡 岩手県議会議員


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。

2期目 会派の中の政策担当者
政務調査費透明化等積極的な動きをしていた土壌に知事がマニフェストを出した
県議会でも論点が明確になった
4人に1人がマニフェストの質問をし、知事と直接議論が活発化した

あくまで内部評価であり、低評価の取扱いをどのようにするのか位置付けがなされていない。
LMを受けて議長の諮問機関 議会改革検討委員会
今までは、予算決算の委員会に知事が出なくて良かった? 知事に直接論争を挑む議会

業務はスピードアップし若手職員が積極的な議論をしている。
議会が活発化 会派同士の競争で 部局も条例案づくりについては、エキスパートを配置
政治家としての夢の部分も語って欲しい場面がある
あまりマニフェストがアカデミックになると、住民と問題点をどのように共有していくのか

議会マニフェストについては、先進的とは言えないかも。
15年統一地方選時には、財源を伴う政策というイメージで選挙公約に毛が生えた程度
進捗具合は、民主県民会の定数削減については、3人削減がはぼ決まり実現したことになっている
議員のマニフェストとして プレジャーボート法案、動物愛護条例について県民に説明に出た。政策実現のためにどういうアクションが必要か

政策により候補を選ぶという空気の中で、マニフェストに関して公選法改正の必要も。

○刺激を受けて、11月定例会では、知事にマニフェストがらみの質問もした。しかし、本来であれば、マニフェストをもう少し個別に聞くべきだったのかもしれないが、それ以前に、行政内部の言葉の整理の方が重要と思い、それを求めた。少なくとも、岡山県議会において、知事のマニフェストのチェックは、選挙で応援したどの会派もきちんと行っていないはずである。こういう点に無関心であるという議会の体質自体が問題とも言える。○


《第三者評価報告》

LM推進ネットワークいわて副代表 岩淵 公二氏


※発言要旨は以下の通り。○〜○が、私の感想。
マニフェストの検証は首長のためではなく地域課題解決のためにある
サンプリングではなくアンケート2万枚以上? 専門家に直接ヒアリング
各地での公開討論会の開催? 争点は小さくなったが参加者は予想以上に多く感心の高さ。推進よりも検証の動きが先行している
マニフェストは選挙のためのものではなく、真の民主主義を実現するためのもの。

○ 本当にマニフェストは選挙のためのものではなく、真の民主主義を実現するためのものという一言に尽きると思う。全体を通じての主題と言っても良い。
 その中で、議会の役割、また議会や議員が示すマニフェスト、またその評価はいかにあるべきか、課題は多い。また、マニフェストの作成にいかに市民が関わっていくべきかという議論もこれからである。
 いずれにせよ、現段階では、知事のマニフェストにあれこれ言及するレベルであるが、ローカル・マニフェストを推進すべく、私自身も役目を果たしていきたい。○



ローカルマニフェスト推進三団体提言
(資料5参照)

 いわばローカルマニフェストと公選法改正についての要望である。

政権公約(マニフェスト)推進議員連盟挨拶
(資料6参照)

 資料5の提言に応える形で、その実現をいわば公約されて、自民党、民主党、公明党の代表の国会議員の方々から祝辞があった。




参考2005年11月定例会一般質問


 さて、知事は、提案説明で、来年度計画期間の満了を迎える「快適生活県おかやま」の実現に向けた「新世紀おかやま夢づくりプラン」については、次の5カ年計画となる新プランを平成18年度中に策定されたいとおっしゃられました。言うまでもなく、こうした5年以上の計画は、4月から施行された「岡山県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件等と定める条例」の第2条の(議決すべき計画)にあたりますので、議会としても、その策定には、大きな責任があります。いわゆる国で言えば国の基本法、憲法にあたるような、県政の根幹の議論だと思います。
 ちなみに、第1期の石井県政は、「快適生活県おかやま」を目指して、平成11年から22年までの『岡山県長期ビジョン』を策定。当時は、岡山県CIにより、新しいイメージづくりをするということでした。爾来、「快適生活県おかやま」は、岡山県政のビックワードです。
 第2期石井県政では、『岡山県長期ビジョン』を踏まえて、平成14年度から来年18年度までの中期計画の「おかやま夢づくりプラン」を策定。同5月には、「夢づくり指標」と言われる目標数値を決め、これは、しばしば見直され、毎年、「夢づくり政策推進指針」が策定され、平成16年9月には、 「おかやま夢づくりプラン(改訂・加速版)」に改訂されました。また、夢づくりプランに、「夢」という言葉が突然登場してからは、「夢」は、県政のキーワードになりました。
 そして、18年度に作成する次期夢づくりプランへと続くわけですが、このプランは平成19年度から23年度までのものだと思います。しかし、『岡山県長期ビジョン』は、平成22年を目標としており、次期プランが23年度までの5年間なら、長期ビジョンの目標年度である22年を中期計画が突破することになります。これは、おかしくないでしょうか。少なくとも、『岡山県長期ビジョン』と系統立てているのなら、22年でいったんけじめをつけるべきです。更に言えば、ローカルマニフェスト「おかやま大地夢づくり宣言」の目標は平成20年となっており、?知事の中では、いったいどれが最大の目標なのか理解できません。
 それぞれの中長期計画を見ると、行政の組織図とは全く異なる項目立てがなされ、その項目も、計画ごとに異なり、しかも、美辞麗句の言葉やキーワードは、コロコロ変わり、当然のことながら目標数値は毎年見直されるわけで、これについて行くのは、我々議員ですら非常にしんどいです。しかし、次期中期計画は、議会の議決事項です。どうしても、理解しないといけません。
 また、県民の皆様に、単発的にパブリックコメントを募集しても、流れを理解して下さいと言う方が、無理なのではないでしょうか。策定担当者も変わり、他に、まだ、長期計画の類はいくらもあるわけですから、これを体系的網羅的に理解できるのは、よほどの岡山県政マニアでしょう。
 当然、計画、政策、施策、事業といったものはきちんと体系づけられるべきものです。試みにどうか改革先進県と言われる宮城県や三重県のホームページをご覧頂きたいのですが、各部局のいわゆる計画・プラン・構想、さらには、政策・施策・事業体系が一覧で示され、各事業の事業評価まで、一挙に進むことができ、もちろん、担当課も明示されています。敢えて言えば、基本理念から個別事業の責任の所在、予算執行状況まで辿ることができる、森を見て、木を枝を見る、むしろ、これは、当然のことではないでしょうか。
 計画、政策、施策、事業で、こうした言葉の整理、体系の整理をきちんと行い、中期計画は従来の長期計画の体系の中に、キーワードを大きく変えることなく、発展的にきっちりと組み込まれるべきだと考えますが、お考えをお知らせください。私は、もしそれぞれが矛盾するのであれば、長期計画を破棄したり、大改定をすることも視野に入れるべきだと思います。
 さらに、道州制を見越した広域政策という観点からは、中長期計画においては、隣県との政策のすりあわせも必要だと思いますが、この点のお考えもお知らせ下さい。
 また、単年度が原則の予算執行の中で、各課、各班職員の方、一人一人に至るまで、目標やノルマ意識はあると思います。あるいは、毎年、個々に数値目標は立てることができるでしょう。そういう中で、長期、中期の計画をたいへんな手間を掛けて立てていく意味について、改めてお知らせ下さい。
 更に、知事は10年前「やさしさの県政、フレッシュな県政」を基本姿勢として初当選されましたが、そのことが現在の基本姿勢、施策にどう繋がっているのか、お知らせ下さい。

 次に、次期夢づくりプランについてですが、私はこのプランの出来が今後の岡山県の方向を左右するぐらい大切なものと思っています。次期プランの作成に当たっては、本当の夢のようなフワフワしたものでなく、真に県民生活を豊かにする県民ニーズが反映されたプランとすることが重要です。そのためにも、私は、県民満足度調査あるいはニーズ調査といったものを行うべきであると考えます。島根県では、県民に事業の必要性、重要度、満足度、税金使用納得度、緊急性などに細区分した精緻なアンケート調査を行い、その結果に基づき県施策に優先順位を付け、県の総合計画に盛り込み予算へも反映させているとのことです。次期プランの作成にあたっては、重点施策の選択、その優先順位、更に目標といったものを、県民満足度調査等を行い協働の精神で行うべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 右肩上がりの経済成長を前提とした「広く県民の要望に応え、サービスを提供する」という県政運営を継続していくことが、もはや困難であるとすれば、施策単位で「選択と集中」を徹底する必要があります。次期「新世紀おかやま夢づくりプラン」は、現プランのような“あれもこれも”といった総花的なものでなく「教育・人づくり」と「安全・安心な生活の確保」の2分野に特化したプランにすることも1つの方法と考えますが、次期プランの「選択と集中」についてのご所見をお伺いします。

 この項の最後に、「分権時代の政策リーダー」と言えるローカル・マニフェスト推進首長連盟の会員であられる石井知事に、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の運営委員の一人として伺います。まず、検証されるようにと提唱されたローカルマニフェストの「おかやま大地夢づくり宣言」と県政の中長期計画との関係を、どのようにお考えているのか。また、マニフェストの目標数値と基本的な「夢づくり指標」や目標年度とのはどう関係しているのか。更に、次期夢づくりプランに、「おかやま大地夢づくり宣言」をいかように活かすのかお知らせ下さい。
 特に、ローカル・マニフェストの検証会の開催は、ローカル・マニフェスト推進首長連盟所属の首長さんの責務だと思いますが、『おかやま夢づくりプラン』と対照させた上で、中間的な検証会を行う考えはおありでしょうか。

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