平成22年11月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 国民文化祭について
 (1)地域経済への波及効果        (環文)[ 知  事 ]
 (2)瀬戸内国際芸術祭との連携 産労協力 (環文)[ 知  事 ]

2 県の発展戦略について
 (1)おかやま発展戦略会議   産労協力 (総務)[ 知  事 ]
 (2)財政構造改革プランの達成等     (総務)[ 知  事 ]
 (3)柔軟な組織等            (総務)[ 知  事 ]
 (4)IT研修              (県生)[ 知  事 ]
 (5)入札制度              (出納)[ 出納局長 ]
   ア 変動型最低制限価格制度
   イ 仕様書の書き方
 (6)元気の出る話のアピール等      (総務)[ 知  事 ]
 (7)未来への投資
   ア 地域リーダーの育成   県生協力 (教育)[ 知  事 ]
   イ 文化芸術分野での若者育成等    (環文)[ 知  事 ]
 (8)県立児童会館
   ア 生涯学習センターの存在意義等   (教育)[ 教 育 長 ]
   イ プラネタリウム          (保福)[ 知  事 ]

3 草刈りについて
 (1)急傾斜地アダプト          (土木)[ 知  事 ]
 (2)福祉作業等としての実施       (保福)[ 知  事 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まずもって,金星探査機「あかつき」の金星軌道突入の一発勝負の成功を心からお祈り申し上げたいと思います。
 さて,いわゆる忘年会シーズンでございますが,多くの方といろいろ話をしておりますと,政治に対しては,もう期待を裏切られてあきらめを通り越した後には,むしろ我々日本人はもう腹をくくって本当に潔くてさわやかなものがあるなあと,妙なことを感じております。自民党も大いに反省しなくてはいけませんが,政権交代があろうがなかろうが,日本の政治は変わらない。もうこれから先,何が起ころうが,心と時間の無駄になるような,政治に頼るのはやめて自立して生きていこうという,ある種の覚悟が今の世の中には感じられると思います。こうなると,もうきれいごとはもはやどうでもよいわけで,ドラえもんに出てくるのび太の夏休み学習計画のように,立派な計画をつくっている間に夏休みが終わってしまうような,そうした抽象的な話には関心がもうございませんし,「国の推移を見守る」とか「注視する」とか,具体性のない答弁をいただかないように,身の回りで起きている事柄に対してたちまち具体的にどうするのかをお伺いすることを中心に,今回は質問及び提言させていただきます。
 まずは,今秋開催された国民文化祭でございますが,もちろん文化の催しではありますが,財政危機宣言を行った後にあえて開催したものでございます。大成功した「晴れの国おかやま国体」についても,思いのほか地域経済への波及効果が感じられなかったという声がありましたが,国文祭についても地域経済を下支えするため,県内製品の優先調達,県内業者への優先発注という方向は,随所に当然当てはまったものと思います。どのように心がけられ,地域経済に対してはどのような影響があったのでしょうか。
 特に,文化を核とした地域づくりがさらに観光施策,経済施策に結びついていくものだとすれば,今回の瀬戸内国際芸術祭との連携のまずさは,大いなる反省点であると思いますが,今後の対応を含めて御所見をお聞かせください。
 ところで,私自身も議会で申し上げ,おかやま発展戦略会議が創設され,意見交換が行われていることは歓迎すべきことでありますが,来年度前半に取りまとめて次期夢づくりプランの中期行動計画にも反映する,そうしたスピード感自体に,私は成長戦略性が感じられません。先ほどのび太の夏休み学習計画と申し上げましたが,計画をつくること自体に意味があるのではありません。基本的には,すぐに施策や事業に取り込まなければ,民間のお知恵をちょうだいする意味がない。逆に,そういう提言をいただかなくてはいけません。何より県では既にミクロものづくり岡山,バイオアクティブおかやま,ハートフルビジネスおかやま,メディカルテクノおかやま,ウイングウィン岡山という重点施策を打ち出しており,こうした重点施策の現状での評価と整合性を図ることが必要でございます。御所見をお聞かせください。
 関連して,一昨年の6月2日の財政危機宣言に端を発して,現在,財政構造改革プランの2年目が終わろうとしておりますが,まずあと2年少々で当初の目的が必ず達成できる状況にあるのか。また,時代の趨勢で臨機応変に対応すべき課題も多くあると思いますが,不磨の大典のごとく,数値等は一切変わらないものなのか。さらに,業界団体に行っている補助金カットについては,25年度以降は当然もとに戻るものと理解いたしておりますが,あわせて御所見をお聞かせください。
 ところで,先ほど申し上げたように,かような経済状況の中でも,企業や同業種団体は決してだれかのせいにして手をこまねいているわけではありません。むしろ競争と協調の中で新たなビジネスチャンスを求めて積極的に,全く異なるほかの業界や地域貢献活動との関係の中に活路を見出そうとされています,文字どおりピンチこそチャンスであると。しかし,個々に優秀な熱い情熱を持った職員さんがおられるにもかかわらず,毎年のように組織がえを行いながら,結局前例踏襲の硬直した縦割り行政は,こうした動きに対してむしろ組織防衛論にきゅうきゅうとして,新しい動きの窓口一つ決めることができず,応援するどころかむしろ足を引っ張っているようなケースすらあります。本来は,民と民との媒介役としてどれだけ機動的に動けるか,行政に求められている機能は昔とは全く変わってきていますが,結果として行政の不作為が岡山県の活力を奪うことにもなりかねません。民間が業界を超えるべく命がけで戦っているときに,行政が内部の垣根すら越えられず,テーマごとに知事をトップに部長クラスの連絡協議会的な会合を幾つも幾つも行っていては,タイムリーに動けるはずがありません。我々議員も同様ですが,柔軟な発想を持って組織内を縦横無尽に動く人材,組織の育成が強く求められると思いますが,御所見をお聞かせください。
 さらに,地場の企業にとっては切実な話として,一時期国策として行われたIT研修でございますが,むしろ高齢者の方が公民館などで生涯学習としてパソコンやインターネットに触れる機会は確保されておりますが,意外に現場ではプロとして卓越した技能はあるけれども,実はパソコンが使えないという若い世代の方が実は多くおられます。とりわけ電子入札が当たり前に行われる中で,こうした情報格差が経営的にもチャンスを失ってしまう,そうした可能性があります。いわゆる職業訓練校に通ういとまがない状況の中で,例えば,組合や業界組織でIT研修を行うについて,旧型のパソコンの支給貸与も含めて支援策は考えられないでしょうか。特に,だれでもパソコンが使いこなせるようになるべくして行われた国主導のIT研修ですが,高齢者の方々にとっても改めて必要な状況もあるかもしれません。そうした現状認識,課題と対応策についてあわせてお知らせください。
 加えて,9月定例会で物品調達に当たって最低制限価格を設けず底なしの入札を行うことが地域経済の下支えになるのかと申し上げましたところ,出納局長から,最低制限価格の設定は地方自治法の規定により,工事または製造,その他の請負に係る入札に限られており,物品調達に関しましては,必要な効用を満たす物品をより安価に購入することを基本に実施しているところでありますという答弁をちょうだいいたしました。しかし,その後10月1日から,津山市において,一部の役務の見積競争に関して変動型最低制限価格制度が導入されました。その趣旨は,役務委託契約について,競争見積もりにおける過度な低価格による質の低下を防止して,適正な市場価格での契約締結を図ることを目的とするもので,要は5社以上の場合,見積もり提出業者の最高値及び最低値を除外して平均額を算出,それに100分の75を乗じて得た額を最低制限価格とするというものでございます。バス旅行貸し切りバス,その他の役務に加えて,岡山県では多くを物品調達に入れている印刷物を対象業種に加えたことが特徴的で,100分の75という根拠自体はよくわかりませんが,これで少なくとも底なしのたたき合いはなくなっているようでございます。非常に合理的な仕組みであると思いますが,その評価と岡山県への導入は考えられないか,出納局長にお尋ねいたします。
 加えて,県内製品の優先調達,県内業者への優先発注といっても,清掃業務や設備点検等の役務に係る委託契約の発注の仕方,端的にはこれは仕様書の書き方によっては,余りに抽象過ぎても具体に過ぎても結局は適正価格での発注とそごが生じる場合があります。これは,発注サイドにも十分な研究が必要だと思いますが,基本的な考え方を出納長にお尋ねいたします。
 次に,かなり厳しい行財政構造改革の中で,一方で行政サービスがカットされて,一方で歳入確保対策の中で,県民の皆様の負担が増していることは,これはもう事実だと思います。そうした中でも,本当に地場で頑張っている企業やスポーツや文化芸術で頑張っている子供たちのよいニュースというのは多くあります。しかし,よい話もよほど強く希望してやっと知事に表敬訪問ができて,いわば謁見がかなうような状態になっています。私は,言われたから知事が会われるのではなくて,岡山県民は特によいこと嫌いだという評価がありますけれども,こうした時代だからこそ,このような岡山県が元気になるような話については積極的に,こんなにすばらしいことがある,こんなにすばらしい人がいるということを県民にアピールして,お互いに褒め合って元気を出す,喜びを分かち合うようにすべきだと思います。
 例えば,最近でも株式会社中国シール印刷さんは,アメリカのシカゴで開かれた第22回世界ラベルコンテストで3年連続となる最優秀賞,世界一を受賞されました。岡山のデザイン,印刷技術が3年連続で世界一と評価されたということでございます。本当に喜ばしい勇気が出るニュースでございます。例えば,県庁ホームページの「イチおし岡山」というコーナーがございますが,このコーナーにどんな分野であれ,こうした世界一,日本一になった元気が出る話を掲載する,あるいは先般創設された岡山県内の各分野から次世代のリーダーを毎年10人選ぶ「オカヤマアワード」のように,若い才能をどんどん評価して押し上げていく,そうした仕組みを創設すべきだと思いますが,御所見をお聞かせください。
 ところで,若い才能を伸ばすという意味で,先般,東京武道館で第59回全国青年大会が開催されました。全国青年大会は,各都道府県の青年たち,ふだんは働きながら日ごろ取り組んでいるスポーツや文化活動の発表の場として,各都道府県の予選大会を経た代表約3,000名の青年男女が東京に集まって4日間にわたってスポーツ10種目,文化活動8種目の合計18種目で,参加者一人一人が日ごろの成果を競い合って参加者との間で連帯や友情を深め合おうというものでございました。青年団は,各地域ごとに居住する20歳から30歳代の青年男女により組織される団体で,基本的には35歳まででございます。日本の約半数の市町村に青年団があって,約10万人の青年団員がいると言われています。今回は,各市町村で壮行会を行って総勢80人弱の選手団でございましたが,行財政改革のあおりで最後は約300万円あった岡山県からの派遣費用等の補助は,今は一切なくなっております。おそろいのジャージやウィンドブレーカーを着て岡山県選手団を構成しておりますが,基本的に2泊3日の8万円を含めてすべて自腹で,青年団OBからカンパをもらって参加しているチームもございます。岡山県代表でございますが,残念ながら岡山県東京事務所も完全に黙殺しております。
 過疎化や若い世代の流出が言われる中で,青年団員はまさに地域に暮らし,地域で働き,地域を支えております。県内の大会を経て,そんな彼らが皆で上京する中で,さらに団結が深まって共通の思い出をつくることになります。そして,他県の若者との交流,首都東京での体験が大きな刺激になって,それぞれの地域のまちづくりにきっと生かされることになるでしょう。彼らは,現在も,何よりも未来の地域の大きな力でございます。消防団や商工会青年部やJA青年部のように,地域の青年団を支援し,育成し,活性化させることが地域の未来をつくることになります。彼らが岡山県の未来なのです。にもかかわらず,岡山県は大会派遣等の支援を打ち切ってしまいました。確かに満遍なく削減するのは,ある意味公平かもしれません。しかし,徹底的なこだわりを持ってここだけは絶対に守るんだというものがあるとすれば,それが子供や青年に対する支援であってほしいものです。彼らへの投資は必ず返ってまいります。青年団支援初め地域の未来を担うリーダーの育成の理念や哲学について,御所見をお聞かせください。
 関連して,トップアスリート育成事業すら途中やめにされるわけでございますけれども,今回の国文祭の評価が出るのは数年後,どれだけ次世代に継承され,かつ次世代の文化が育ったかだと思います。そうした意味では,10年計画で競技力を向上した国体のときとは状況は違いますけれども,文化芸術の分野で秀でた若者を育成支援する,また,スポーツに触れるように文化芸術に子供たちが触れる機会の確保が必要だと思いますが,御所見をお聞かせください。
 これに関連して,もうこれはくどいとわかりつつも,どこまでも岡山県立児童会館についてお伺いいたします。
 知事は,提案説明で,県立児童会館について「耐震診断を行ったところ,修繕工事を実施することにより使用が可能であることが判明しました。このため建物の利活用について,県議会を初め県民の皆様からいただいた御意見等をもとに,現在隣接する生涯学習センターとの一体的な活用などについて検討を進めているところであり,早期に方針を決定したいと考えております」とおっしゃられました。隣接する生涯学習センターとの一体的な活用は,2月定例会で私自身が教育長に向けた質問の流れでございますから,本来は歓迎すべきところでありますが,正直なところ,この説明を聞いて,私は大変に怖くなりました。児童会館については,2年間の延長をしましたけれども,そもそも耐震診断もせず老朽化を理由にはなから児童会館を取り壊してもよいと考えておられたわけでございますから,今さら判明というのが何なのか,本当に危なかったというふうに思いました。特に,民間に経営譲渡されたハウステンボスが黒字に転じ,8年ぶりに社員にボーナスが支給されるという報道を聞くと,財政を理由に本当に壊してしまってよかったのかと思うものが幾つもあります。
 そこで,改めてお伺いします。失礼ながら,生涯学習センターが十分な生涯学習センターとしての機能を果たせているとは思えない状況で,よもや児童会館を会議室等に使われよう,そのようなことは思っていられないでしょうね。まずは,生涯学習センターの存在意義と稼働状況について,教育長にお尋ねいたします。
 何よりも知事も御夫妻で小惑星「イトカワ」の微粒子を持ち帰った探査機「はやぶさ」の映画をごらんいただいた県立児童会館のプラネタリウムについてはどのようにお考えでしょうか。ちなみに,私の小学4年生の子供は,このプラネタリウムで「HAYABUSA」を見て以来,「HAYABUSA」のポスターを部屋に張って宇宙関連の記事やニュースに関心を持って本を読むようになりました。きょうの「あかつき」の金星軌道突入は,全国の子供たちが注目しています。スポーツで才能を伸ばす子供たちもいますが,文化芸術や研究の分野で未来の可能性を切り開いていく子供たちのためにさまざまなチャンスを提供するのも,また,私は大人の役目だというふうに思います。その中でプラネタリウムの果たす役割は,今後も大きいと考えます。特に,岡山市のシンボル京山に,独立行政法人産業技術総合研究所の高性能集光型太陽光発電システムが設置され,その電力利用として,両備ホールディングスさんの共同研究が行われるようになって,さらに多くの大学が集積している地域でプラネタリウムがある児童会館には,例えば,理科や科学に特化したような学習体験施設があったり,電気自動車のエンジンや最先端の物づくりの成果物の展示等があれば,子供たちは限りない可能性を広げることができるでしょう。
 ところで,判明する前に結論を先に申し上げますけれども,このプラネタリウムは老朽化していますが,確実に今後も使用できます。1980年にMS−15手動機として納入された児童会館のプラネタリウム機器は,十分な保守保全と新型,各種補助投映機器等の導入もあって,確かに30年以上たってますけれども,無事稼働しており,老朽化が目立つ箇所もあるものの,定期的な保守,一部部品交換を継続的に進めれば十分に使えます。特にコンソール,制御装置でございますが,これがコンピューターを搭載した自動機ではなくて手動機であるがゆえ,かえって故障時の修理対応は十分可能です。一方で,特殊効果投映機を含めた補助投映機関連については,デジタル機器に世代交代の時期,これはもうどこもそうなんですけど,そこに来ており,それに順次対応していけば問題はございません。一方で,渋谷駅前の渋谷東急文化会館にあった天文博物館五島プラネタリウムが惜しまれつつ閉館して9年,復活を熱望する声に押されてこの11月21日より,新たなプラネタリウム「コスモプラネタリウム渋谷」としてオープンしました。特に文化総合センター大和田に移しての投映機の再組み立てや展示台の製作などは,寄附を集めて行われたと言いますが,空前の天文ブームと言われ,子供たちが宇宙への夢を膨らませているこの時期に,新設が難しいプラネタリウムを仮に壊してしまうならば,これはもう正気のさたとは思えません。
 改めて,知事に伺います。岡山県立児童会館プラネタリウムについて,今後どのようにお考えでしょうか。
 最後に,急傾斜地等の草刈りについて伺います。
 「県では,河川の流水を阻害する樹木や急傾斜地の防護壁の管理上支障がある樹木などにつきましては,緊急度に応じまして伐採を行っているところでございます。施設の管理上直接的に支障にならないものにつきましては,基本的にアダプト制度の活用などによりまして,地域の方々の御協力を得て実施しているところでございます」というのが,公式答弁でございます。これは,小林議員への答弁でございましたが。概して急傾斜地の草刈りは,主観的に「管理上支障がない」,あるいは「緊急度が低い」ということで切られてしまいます。私もお願いしましたが,これは地域でしてくださいと言われるものでございますから,このたびムカデが発生してアブやハチのすみかとなって,おまけに防護施設から何本も木が生えて落ち葉をまき散らして,ずっと放置され続けている県有地である急傾斜地を仲間と地域の方と一緒になって実際に草刈りをしてみました。死ぬかと思いました。平地の草刈りとは,全く状況が違います。はい,死ぬかと思いました。保険に入っておきましたが,がけをずるずる滑りながらの草刈りは,素人にはなかなかできません。特に高齢者の方には,これはもう絶対に無理です。県有地の急傾斜地の草刈りで県民が死んだら,県は責任をとってくれるんでしょうか。
 私は,県庁職員さんが現場でみずから刈られないのならば,急傾斜地については,県内どこでも,どんな状況でも,適用,対応できる多様なアダプトがあるべきだと確信いたしました。県有地ですから応分の負担を県がして,大きく茂る前に,例えば継続して地域で草刈り等の管理をしていただくほうが,大きく痛んだ場合の補修よりもはるかにお金がかかりません。御希望であれば,いつでも知事と急傾斜地の草刈りを命がけでさせていただければと思います。急傾斜地のアダプト創設について御所見をお聞かせください。
 加えて,高齢化に伴って地元ではできないと,地域の要望があっても河川敷の草刈りはまず断られます。アダプト制度からは,離れてしまうかもしれませんが,例えば障害のある方の就労訓練といった福祉的視点からの施策として,河川敷の草刈りを実施することなどは考えられないでしょうか,御所見をお聞かせください。
 以上,かなり個別具体的な質問になりましたが,たちまち具体的にどうするか,そうした答弁を期待して,質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 国民文化祭に関しまして,地域経済への波及効果であります。
 第25回国民文化祭岡山県実行委員会におきましては,物品調達につきましては,県内に本店,支店等を有する県内事業者からの調達を,これを原則とし,事業の発注につきましては,県内業者への優先発注に努めますとともに,県内下請業者の優先活用につきまして徹底を図りました。
 また,地域経済への波及効果でありますけれども,国文祭の各事業における開催経費と出演者,来場者等による消費支出額をもとに現在算定中でありますが,1月中には公表できると考えておりますけれども,100億円は優に上回るものと,このように考えております。
 瀬戸内国際芸術祭との連携でありますが,互いのイベント会場等でのリーフレットの配布やPRブースの設置,合同のPRステージの実施など連携いたしまして広報活動を行いますとともに,芸術祭開催日から,犬島あるいはJR岡山駅,新岡山港などに設置されました総合案内所におきまして,国文祭の情報を提供するなど,あらゆる機会をとらえまして,芸術祭に訪れる観光客等の本県への誘致に努めたところであります。こうした連携の効果等もありまして,おかげさまで国文祭にも,また,芸術祭にも,目標を上回る多くの参加があり,各地で感動と楽しさの輪が広がる実り多い祭典となったと考えております。今後とも,文化や経済,観光面等で香川県との交流,これを一層深めますとともに,3年後に開催が予定,検討されております第2回瀬戸内国際芸術祭に向けました香川県との連携のあり方につきまして,検討してまいりたいと存じます。
 次に,おかやま発展戦略会議でありますが,現在,時代の潮流を踏まえまして,物づくり産業の集積という,本県の強みや優位性を生かすという方針のもと,中長期的な視点から,本県が将来にわたり発展し続けていくための戦略について検討いただいております。お話のように,本県ではミクロ物づくりや医療・福祉・健康分野など,重点的な取り組みが進められておりまして,冠動脈用の高性能ステントやあるいは筋肉疲労を軽減する高機能全身サポーターの開発等,多くの成果が上がってきておりまして,今回の会議にこのような取り組み状況や成果等,これを十分に御説明し,これを踏まえて現在議論していただいているところであります。
 なお,会議で示されました提案のうち,早急に取り組むべきものにつきましては,順次施策・事業に取り入れを行うなど,当然のことながらスピード感を持って対応してまいりたいと考えております。
 次に,財政構造改革プランの達成等についての御質問でありますが,行財政構造改革の2年目となります今年度当初予算までの効果額は,最終目標効果額であります396億円,これに対しまして累計で189億円となっておりまして,おおむね5割程度達成する見込みでありまして,取り組みは順調に進んでいるものと認識いたしております。この間には,数次にわたり経済雇用対策が決定されるなど,社会経済情勢に大きな変化も見られまして,県では選択と集中の観点から,柔軟で機動的な対応に努めてきております。もとよりこのプランは巨額の収支不足を解消するため,官と民,県と市町村の役割分担等の観点から行う事務事業の見直しなどの改革を,24年度までの4年間に集中して行い,そしてその後もこれを維持することによりまして,持続可能な財政構造を確立しようとするものであります。そういう意味におきまして,先ほど御質問いただきました補助金カットが25年度以降もとに戻るのかという御質問に関しましては,これは当然に戻るものではございません。県といたしましては,こうした趣旨を県民の皆様に御理解いただきながら,今後ともプランの枠組みに沿って全庁一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,柔軟な組織等でありますが,部局横断的な課題に対する積極的な取り組みを推進するため,今年度より総合政策局を設置いたしますとともに,従来あった19の個別の本部会議を廃止し,政策推進会議や緊急課題ごとのプロジェクトチームにより迅速な方針決定を行うなど,政策の立案,推進機能を強化したところであります。その結果,例えば,新エネルギービジョン(仮称)でありますが,これに関しましては,複数部局にわたりますプロジェクトを短期間で取りまとめて中間報告を行ったところ,早速関心を持つ企業等から照会が寄せられるといったような成果が出てきております。県といたしましては,引き続きこうした機能を一層推進いたしますとともに,これを担う人材の育成にも取り組んでまいりたいと存じます。
 IT研修でありますが,県内のブロードバンドやパソコン等の普及が進むその一方で,規模の小さい企業や高齢化率の高い中山間地域のインターネットの活用割合が低いとの調査結果もありまして,県民のIT活用能力のさらなる向上が課題であると考えております。このため,県では,IT研修を行う商工関係団体への支援や企業向けの電子入札の操作説明会の開催,また,市町村と連携いたしました電子申請体験会の実施等に取り組んできているところであります。御質問の旧型のパソコンの活用ということにつきましては,御承知のとおりセキュリティーあるいは実用性等,こういった観点から検討していくということになりますので,そういった意味からは慎重なる検討を要するものと考えておりますが,情報格差の是正は重要な課題であると,このように考えておりまして,今後とも高齢者はもとより県民のIT利用機会の拡大,あるいは活用能力の向上に努めてまいりたいと思います。
 次に,元気の出る話のアピール等についてでありますが,県内外で活躍されている方々の活動あるいは成果で,県民に勇気や感動を与え,元気が出る話題につきましては,これまでもさまざまな広報媒体を活用して広く県民にお知らせしてきたところでありまして,今後ともホームページへの掲載という御提案もいただきましたけれども,こういったことも参考にしながら積極的に情報発信してまいりたいと存じます。
 また,「オカヤマアワード」を例に,若い才能を評価して押し上げていく仕組みの創設,このことにつきまして御提案がありましたが,私といたしましては,このような民間主導の取り組みに期待するその一方で,県の顕彰制度等を十分に活用いたしまして,県政の各分野において若い才能も含めた県民のすぐれた活動をさらに押し上げていきたいと,このように考えております。
 次に,地域リーダーの育成についてでありますが,真に豊かで活力ある地域社会づくりを進めていくためには,若い情熱と行動力を持った地域の未来を担うリーダーの育成が重要であると考えております。県といたしましては,自立的な活動を促すという観点からも,青年団等に対する補助は限定したものとしているところでありますが,新おかやま夢づくりプランに基づきまして,青少年の社会参画の促進や地域づくり人材の養成等のさまざまな施策を通じまして,次代を担う地域リーダーの育成に努めているところであります。
 文化芸術分野での若者育成等でありますが,お話のように,国文祭の開催を真に生かすためには,引き続き本県文化を次世代に継承いたしますとともに,文化を担う人材を育成することが重要であると考えております。このため,現在取り組んでいる新進美術家育成支援事業,県立美術館等での子供たちを対象としたワークショップや出前授業,岡山フィルハーモニック管弦楽団によりますスクールコンサート,県文化連盟の芸術家派遣事業などに加えまして,今後,おかやま県民文化祭のグレードアップを図る中で,子供たちの文化鑑賞や文化活動体験,発表機会を充実させるなど,若い世代の育成に息長く取り組んでまいりたいと考えております。
 プラネタリウムについての御質問をいただきましたが,未来を担う子供たちが宇宙や科学技術に関心を持つ機会を提供するということは,県といたしましても大変有意義であると認識しておりまして,新しいニーズや技術的な進歩などを総合的に勘案しながら,現在,部局横断で全庁的に検討しているところでありまして,早期に方針を決定したいと,このように考えております。
 次に,急傾斜地アダプトでありますが,お話のように急傾斜地での草刈りは危険を伴う場合が多く,アダプト事業にはなじまないものと,このように考えておりますが,管理上支障がある場合や民地側に張り出すなど具体的な影響が認められる場合には,現場の状況に応じて伐採等適切に対応することとしているところでありまして,御理解賜りたいと存じます。
 最後に,福祉的視点での実施でありますが,施設の管理上直接的に支障にはならない河川敷の草刈り等につきましては,基本的にアダプト制度の活用などによりまして,地域の方々の協力を得て実施しております。一方,障害のある人に対しましては,各地域の作業所での就労に向けた訓練によりまして,賃金や工賃を得ていくことで,地域において自立した生活を送れるよう支援しているということを踏まえますと,お話いただきました河川敷の草刈りの実施につきましては困難であると考えております。
 以上でございます。


(出納局長)  お答えいたします。
 入札制度に関しまして,まず変動型最低制限価格制度についてでありますが,最低制限価格は,工事または製造,その他の請負の入札に際し,契約内容に適合した履行を確保するため特に必要がある場合に設定できるものであり,お話の印刷につきまして,本県では製版費や製本費の比重が高いものなど,請負として取り扱う場合でありましても,成果品の品質確認が比較的容易であることから,最低制限価格を設けていないところであります。また,津山市の制度は,極端な低価格競争の抑止に一定の効果があるものと思われますが,そもそも競争見積もりは入札ではなく随意契約の一形態であり,その設定が想定されていない随意契約への最低制限価格の導入につきましては,制度及び実務の面からも慎重な判断を要するものと考えております。
 次に,仕様書の書き方についてでありますが,業務委託は建物管理や機械設備の保守点検,警備業務や調査研究,さらにはシステム開発など多岐にわたるため,統一的な基準を示すことは困難でありますが,例えば,清掃業務では,清掃面積及び周期,作業内容等を具体的に明記するなど,契約目的を達するために必要かつ十分であるとともに,入札参加者にとって業務内容が理解しやすく,積算に当たって過不足のない項目及び内容を明示することが不可欠と考えております。このため,今後とも,事業部局と連携し,入札参加者との共通認識のもとに入札が行われ,ひいては適正価格での発注につながりますよう,可能な限り明確な仕様書の作成に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 生涯学習センターの存在意義等についてでありますが,生涯学習センターは県民の生涯学習を支援するための拠点施設として,市町村,大学,関係団体等との連携を図りながら,県内外の学習情報の提供や生涯学習の指導者やボランティア等の人材育成,学習講座等の開設などを行うことによりまして,全県的な生涯学習推進を図る役割を果たしているところであります。また,施設の稼働状況につきましては,大研修室やミーティング室等は積極的な利用がある一方,特別な使用に供する編集室等は十分に利用されているとは言えない状況でありますが,センター全体では年間約3,400件の団体,個人等が学習,交流の場や学習成果の発表の場などとして活用しているところであります。今後一層の施設利用の促進が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  私もいつになく大変に厳しい口調で質問させていただきましたけれども,それだけ今,岡山県の地域経済が痛んできているということでございまして,青少年の皆さんも将来に夢が持てない,そうした状況の中で,しかし我々が頑張っていこうと思うのは,誇りがあって将来の希望があるからでありますけれども,例えば行財政構造改革についても,午前中の住吉議員の答弁に対して,収税率を上げていきましょう,そして行政サービスを減らします,そして歳入確保対策で駐車場代金等の県民の負担をふやします,その状況の中で,しかし,4年の構造改革が終われば明るい未来が待っておるんだと,そういう希望があるからこそ県民の皆様も御協力をいただいている。あるいは県庁職員さんもそうだと思いますけれども。
 先ほどの確認でございますが,業界団体が行っている補助金カットについては,25年度以降は当然にもとに戻るものではないということは,基本的にはもとに戻らない,要は持続していくということで。これは県庁職員さんのことについて私は聞いておりませんから。業界団体の補助金等についてでございますが,これは要するに持続されて24年度の状況で戻らないというふうに理解しとけばいいのかどうか,確認させていただきたいと思います。
 それから,児童会館のことにつきましては,そのようにこれから早期に方針を決定していただくということでございますが,しかし,だれが決定するのかが一番問題でございます。今回も,児童会館,基本的には公の施設の見直しで廃止してもいいという,そういう施設にまでなっていた。それを2年間延長して,そして建物を残していきましょう,あと有効活用していきましょう。これは,県民の皆様の思いでありまして,あくまで県民の皆様の声をしっかり聞いていただかなくっちゃいけない。その中で,児童会館について,今までどおり行政の職員さんと教育委員会だけで今後の方向を決めるんだと。それでどんな方向が決定づけされて,それに何の根拠があるんでしょうか。そうした意味では,早期に決定するにしても,やはりしっかりと民間の意見を聞いていただきたいと思いますが,そのことについてもお伺いしたいと思います。
 そして,最後のアダプト事業についてでございますが,急傾斜地は危ないからアダプト事業を入れないと。それは急傾斜地域は確かに危ないんですけれども,私が言っている本旨は,アダプトを入れてくださいということではなくて,この急傾斜地域を,地域の方が,高齢者の方が,自分でお金を払ってこの急傾斜地域を守らにゃいけんのかという話をしているだけでございます。要は,行政が一円たりとも岡山県有地である急傾斜地についてお金を払わない,そして地域に負担がかかっても,ある意味けがが生じても,それは地元で負担してくれ,県が出ていくのは,木が生えて大変に危険な状態になったときに始めて出ていくんだ,これが県有地を守る県の姿勢なのかどうか。私は,草刈りをどんどんやってくれということを,だだをこねるようにお願いしているわけではありません。それがわずか数万円でもいい。要は,年間,地域のほうにお金がきっちり行って,これで守ってくださいというのが,これが本来の行政の姿ではないかという意味で申し上げました。急傾斜地域のアダプト事業というのは必要であるということは,これは私の思いとして,これは質問ではありません。必ず要るものだということを訴えさせていただきたいと思います。
 最初に申し上げた25年度以降,業界団体の補助金は基本的に戻らないと理解していいのか,児童会館の今後の方針はだれが決めるのか,そのことについてお知らせください。


(知事)  再質問にお答えいたします。
 御案内のとおり,長期的な収支不足の見通しにつきまして,財政構造改革プランをお示しするときに同時にこのことも御説明申し上げておりますが,あの将来の推計というものは,この4年間で行う財政の構造改革,この構造改革のその成果を前提として推移を見ているということでございますので,これをもとに戻しますと,収支不足額ははるかに県財政を直撃いたしまして,県財政は大変なことになります。もとに戻ってしまいます。ただ,そのときの社会経済情勢とか財政状況とかいろんなことを考えて必要なものは当然出てくるということも考えられますので,そういう施策につきましては,当然その時点で総合的にさまざまなことを勘案しながら,改革をしてきたものについて再検討していくということが物によってはあるということは,当然かと思います。原則は4年間の構造改革です,通常の改革ではなくて。これを維持していくという,この一次のみの改革ではなくて,それを前提としてずっと将来継続していくという,こういう趣旨での改革であるということを改めて御理解いただきたいと思います。
 プラネタリウムでございますけれども,もちろん今現在,教育長のほうにお話し,検討していただき,もちろん私たち知事部局と連携して議論を進めているところでありまして,今,議論の最中でございますから,まだ具体的な方向性は申し上げる段階ではございませんけども,その中で,責任持って私自身が,教育委員会の意向を十分踏まえて方向性をお示しさせていただきたいと思っておりまして,その間,民間の皆さんの意見,要望等もたくさんいただいております。こういったことも反映させながらしっかりとした方向性を打ち出していきたいと,このように考えております。
 以上でございます。

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