平成20年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 株式会社岡山県としての経営について
 (1)民の代表者としての決意          (総務)[ 知  事 ]
 (2)経営者としての意識等           (総務)[ 知  事 ]
 (3)知事の退職金等              (総務)[ 知  事 ]
 (4)財政危機宣言の時期等           (総務)[ 知  事 ]
 (5)人件費の削減               (総務)[ 知  事 ]
 (6)コンプライアンス             (総務)[ 知  事 ]
 (7)仕事に対する誇り等            (総務)[ 知  事 ]
 (8)知事公舎の売却              (総務)[ 知  事 ]
 (9)山口副知事のサポート           (総務)[山口副知事]
 (10)財政再生団体転落の可能性に対する認識   (総務)[ 総務部長 ]
 (11)本年度予算の9月補正           (総務)[ 知  事 ]
2 地方公共団体財政健全化法等について      (総務)[ 知  事 ]
 (1)所見
 (2)「聖域なき削減」の情報公開
3 財政危機宣言等について
 (1)外部監査制度の見直し           (総務)[ 知  事 ]
 (2)市町村との関係              (総務)[ 知  事 ]
 (3)国との関係
   ア 地元選出国会議員への説明等       (総務)[ 知  事 ]
   イ 実績                  (総務)[ 知  事 ]
   ウ 道路特定財源の一般財源化        (総務)[ 知  事 ]
   エ 財政面での関係             (総務)[ 知  事 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 心なしかいつもより長い休憩時間をいただきまして,ありがとうございました。通告に従いまして,一般質問をさせていただきます。
 本日も,多くの方に傍聴にお越しいただきまして,そしてまた,この時間,恐らくケーブルテレビやインターネット中継も今ございますので,多くの皆様にごらんいただきまして,ありがとうございます。
 本当は,項目程度だけお伝えすれば十分ではないか,誠意がある答弁がないのであれば,詳細な事前通告も,本当は私はしたくもないし,通告自体に従いたくもないんですけれども,今回もまた,通告に従いまして,事前に用意した原稿をしっかり読み上げさせていただきます。
 結婚して,この秋10年目になるんですが,そろそろ私も電化製品を買いかえたいなと,子供も小学校2年生になったので,少し大きな冷蔵庫が欲しいなと,そのように思っていたのですが,ことしは買いかえをあきらめますという質問をさせていただきます。
 岡山県が財政危機宣言をしたのですから,ハイビジョンテレビとか地デジ対応は夢のまた夢でございます。議場におられる先生方は皆様そうだと思いますが,岡山県財政危機宣言が出て2週間余り,県議会は何をしていたんだというおしかりをいただきながら,岡山県の財政状況について説明に回られていると思います。
 将来ビジョンが,国も県も見えなくなった。県民の皆様は,岡山県よ,おまえもかと,怒りと情けなさと不安の中におられます。責任を転嫁するわけでもありませんが,そうした町の声を知事にお伝えをさせていただきます。
 ところで,岡山県財政危機宣言を出されて以来,私は,知事を知事としてではなく,会社の経営者,しかもうちの会社はこのままでは不渡りを出します,そう宣言した会社の社長として見させていただいております。正直なところ,随分不思議な会社だなと思うことが多々ございます。幾ら大企業でも,いや,大企業だからこそ,つぶれそうだ,そんな会社の社長には命がけの対応がある。会社を経営されている方々からすると,知事の姿も我々県議会の姿も,あきれるほど緩く見えて仕方がない。民間の感覚からは全く理解ができない。完全にずれている。そうした声をよく聞きます。
 さきの2月定例会で,知事は,民の代表ですか,官の代表ですかと私はお伺いいたしました。私は,民の代表について,私なりに,感性が市民,県民に近いのです,そして今よりよくなるかどうかわからんけれども,ともかく今を変える,閉塞感を打破する,強烈な変革を求めているのだと思います。そして,そこにおのれをなげうっている捨て身の姿が感じられるからこそ,共感を呼ぶのではないでしょうか。行政経験の有無が問題なのではなくて,彼らなら旧弊を打ち破ってくれる,あるいは私たちと同じ感性で一緒に笑ってくれる,泣いてくれる,怒ってくれる,ある意味で官と闘ってくれる,そう思うから応援するのだと思いますと申し上げました。
 これに対して,知事は,私は,これは明らかにもう県知事というのは,県民の代表であるということでございますから,県の中におけるトップというのではなくて,県民の皆さんの代表として,県庁の中に私は送り込まれたんだと,こういう緊張感を持って,県庁の外から見ておかしくないような,特に外からチェックしていただいているんだと,こういう思いで私は県政を推進してまいりましたと答えられました。
 知事が民の代表ならば,民間会社の社長のやられること,あるいはそれ以上のことをやっていただきたいと思います。そのために,官に送り込まれたわけでございますから,まずはその決意のほどをお聞かせください。
 ところで,私は,定例会本会議は,あたかも株主総会あるいは取締役会のようであると説明させていただいております。すなわち,195万岡山県民の皆様が株主であり,2万人の株式会社岡山県がある。石井知事は,株式会社岡山県の代表取締役で,副知事は副社長,執行部や我々議会は取締役で,要するに年4回の定例会という株主総会あるいは取締役会がある。我々議員は,定例会において,いわば株主代表訴訟のごとく,あるいは取締役会のごとく,195万岡山県民の会社である株式会社岡山県の経営が適正に執行されているか,チェックするとともに,議決機関として,経営の方向を定めるわけであります。
 県民の皆様から見れば,企業に例えれば,この議場にいる者あるいはいた者,取締役会のメンバーは,この議場にそろっている。岡山県の経営の意思決定はこの議場の中で行われています。岡山県の責任者出てこいと言われれば,この議場に集合しているわけでございます。そして,今回,株式会社岡山県の石井社長は,会社の危機を宣言したわけでございます。あえて言えば,我々は,自分で申し上げたくないけれども,岡山県民から負託された会社経営のかじ取りに失敗しているんじゃないか,そう評価されても仕方がない状況でございます。
 もちろん,都道府県知事を定義すれば,都道府県を統括し,これを代表する独任制の執行機関であり,地方公務員法の適用がない特別職の地方公務員であるとなりますが,営利目的ではないから,企業に例えられないという理屈はよいので,まずもって岡山県は岡山県民のものである。知事は,株式会社岡山県,その経営をしている会社の社長である,行政経営をしている,そういう意識が知事におありでしょうか。そして,株主たる県民の皆様に,今おっしゃりたいことは何でしょうか。
 さらに,議会とは,会社に例えれば何であるとお考えでしょうか。特に,歳出削減の協力や,あるいは議会棟の活用なども含めて,これからの議会に何を求められるでしょうか。
 また,知事にとって経営感覚とは何でしょうか,経営者とは何でしょうか。加えて,岡山県内の会社経営者の方々が,会社の危機宣言をした際にとるべき行動はいかなるものであるとお考えでしょうか。私は,経営者に必要なものは,決断,実行,そして無限責任だと思います。それを今十分に果たしているとお考えでしょうか。県民の皆様に伝わっているとお思いでしょうか。
 特に,あえて重ねて伺いますが,つぶれそうだ,そうした会社の社長は,まずみずから考えられる削減を行っていきます。かわいい従業員の給与や商品の対価にすぐに転嫁をしたりはしません。あくまで,知事は,退職金や賞与を受け取られたいですか。どこの会社の社長が,自分の会社がつぶれそうなのに,率先してボーナスを確保するでしょうか。今回の危機宣言に際して,私が一番残念だったのは,知事が,6月定例会で,みずからの給与カットに加えて,賞与,退職金の全額の返上を議案として上程されなかったことです。
 しかも,答弁で,一般職に準じて,他県の知事の給料やボーナスも含めた支給状況等も勘案しとして,即断即決をしなかったことでございます。知事の言われる全身全霊を打ち込んでこの改革に邁進している所存は,みずからに係る歳出削減を即断即決することで,この危機にともに立ち向かっていこうじゃないかという効果的な明確なメッセージになっていたはずでございます。
 この時期の発表が,何か意図があるのではないかと邪推されることはなくて,純粋に知事の本気度も伝わっていた,そういうチャンスでもあったと思います。そして,これはプロジェクトチームに任せる内容ではございません。
 ちなみに,先日初当選された蒲島熊本県知事は,就任直後のこの4月の臨時県議会で,県政のとって喫緊の課題である財政再建への取り組みとして,「隗より始めよ」の言葉どおり,熊本県知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例を提案,マニフェストどおり,給料月額を124万円から100万円削減して,県民の平均給与月額とほぼ同額の24万円としました。本人受領額,4月の手取りは9万2,693円で,賞与は,これを基準にしたら,元大学教授でもあられるので気の毒だというふうな話になっていたそうであります。
 経営者は,まずみずからが範を示さなくてはいけません。県民の一人として申し上げます。4年ごとの4,000万円以上を超える退職金,しかも知事は4選出馬表明され,退職の意思はございません。会社自体は大赤字なのですから,知事,どうか退職金とこの期の賞与を全額返上してください。それが,トップが危機宣言した責任であると私も思います。今もこの瞬間,額に汗して働く県民の皆様が血のにじむ思いで納めてくださった税金から,県民サービスを一切減らすことなくできる最高の歳出削減策を直ちに知事みずから示していただきたい。そして,それを知事に求めるからには,私個人として,いかなる方法があるかは,これは検討して,賞与は受け取りません。冷蔵庫は欲しいですけれども,額に汗して働く仲間の顔を思うと,本当に申しわけなくて,私はとても受け取れません。
 あえて言えば,この6月30日,職員の皆様にも期末手当,いわゆる賞与が支給されます。県内企業のボーナスの平均は,46万2,000円との調査もあり,不景気の中,賞与が出ない企業は幾らでもあるでしょうに,財政危機宣言をしながら,県庁職員は,70万円も80万円も賞与をもらっている。そういう批判を避けることはできないでしょう。今回の財政危機宣言は,そういう時期だった。そして,それが職員の方々に批判が集中することを知事はいかように認識されておられるでしょうか。
 住吉町の知事公舎から,内山下の本庁まで,黒塗りの車で通勤される,そんな知事を横目に,あるいはどこか遠く感じながら,これからの職員の方々を思うと,一般企業と違って再生が長期化するだけに,気の毒に思うところもございます。恣意的な権力に身分を左右されない保障があるため,失業保険さえ要らない絶対的な終身雇用ではありますが,知事や心臓部を押さえるキャリアの方々がどうなろうと,あるいは議会の構成がどう変わろうと,県庁職員の方々が岡山を守り続けます。生涯をかける仕事に誇りを見出したくない人間などおりませんし,恐らくこうした危機的な状況になれば,逆に一丸になって我々が岡山のために頑張っていく,そんな気概や公職の誇りを皆さん持っておられると,私は信じております。ただ,その気持ちがそがれてしまうのが残念です。
 今後,総人件費の削減は避けられないところでございますが,本来,一般職員の給与カットは最後の手段であります。もちろん,「全庁的に一丸となって取り組まなければ決して乗り越えることができない大きな課題」に立ち向かっていく中で,会社で言えば,会社はもちろん岡山県民のものですが,大切な従業員になるわけです。それぞれに家族があって生活がある。経営者として,社員を守る,しかし,そうした社員に今後どんな無理をお願いしなければならないのか,そのお気持ちをお聞かせください。
 特に,職員給与が民間給与のベースになっていたり,あるいは団塊世代の大量退職に伴う人材難で,教職員を含めた優秀な人材の都市圏流出の可能性もあり,総人件費の削減で考慮すべき点の御認識をお聞かせください。
 「士はおのれを知るもののために死す」という言葉がありますが,守ってもらえるから,ともに戦えます。知事みずから呼んできた人材が,懲戒免職処分になって,一罰百戒どころではなくて,コンプライアンスに過敏になる余りに,精緻な運用規則のようなものをつくって,迅速な対応がおくれているケースもあります。積極的に行った施策で,幾ら効果が上がっても,どんなミスをもトップは絶対許してくれないんじゃないか,そんな怖さは何もしないのが一番だという雰囲気しか生みません。この点に関する知事の御所見をお聞かせください。
 ところで,この秋以降,「聖域なき削減」で,職員の皆さんは,市町村や各種団体に御理解と御協力を求めて,カットの説明と説得に,恐らく罵詈雑言を浴びながらも,ただただわびて回る日々が続きます。私も,何度か補助金カットの交渉の現場に立ち会いましたけれども,相手方は,県から誇りをずたずたにされて,職員の方もぼろぼろになって耐えられない現場です。これが今までの数倍の規模で行われるわけです。これを知事選挙の明るいマニフェストにされてはかないません。公務という仕事に誇りややりがいを感じられないとすれば,県民にとってこんな不幸なことはありませんが,そういう実態についての御認識をお聞かせください。
 また,知事が信託された任期は,とりあえずここから数カ月しかないわけでございますから,来年度の予算のこともさることながら,住吉町の知事公舎の売却,こういったものを早急に決めていただければと思いますので,御所見をお聞かせください。
 次に,会社に例えれば島津,山口両副知事は副社長で,総務部長は事実上専務の働きをされていると認識しております。実際に,山口副知事と総務部長は非常によく相談をされているというふうに聞いておりますが,知事の言葉をかりれば,国ならではの専門知識等を数多く有していらっしゃる山口副知事は,運輸分野における国の仕事の経験やその中で培ってきた人的なつながりを生かして,この財政危機宣言に至るまで,どういうサポートを知事に行ってきたのか,トップを十分に補佐されていたのか,山口副知事にお伺いいたします。
 また,不正な経理を理由に課長を懲戒免職,これは仕事上,しょうがありませんが,総務部長は,2月の時点で,財政再生団体転落の可能性をデータとして端的知っておられたのか,それとも知らなかったのか,知っておれば,ある意味,予算提出の際の,言葉はきついですけど,粉飾,知らなければ職務怠慢と考えますけれども,いかがでしょうか。総務部長の見解をお知らせください。
 2月定例会でも,総合対策本部のようなものの意義づけについて伺いましたが,今回もまたプロジェクトチームが立ち上がりました。独任制の執行機関である知事が,合議制をとるよりも,強力なリーダーシップで直ちに対策を打っていくのが民間の経営感覚だと思いますが,来年度予算に反映させるのではなくて,連日会議を開いて,今年度補正予算で9月に上程すべきだと思いますし,今3次にわたる改革で一体何をやっていたんだろうとやゆされる総務部長通達で削減される16億円,これについても執行権の範囲を超えた減額であり,補正予算で上程すべきものだと思いますが,御所見をお聞かせください。
 次に,法律によって,自治体が自動的に破綻するという地方公共団体健全化法について伺いますが,私は,この法律が,財政再生団体に転落しないようにと自主的な努力を促し,破綻を未然に防止することは評価できても,自治体がお手上げをする最後の最後の判断を国にゆだねるということは,地方分権を推進していく中で評価できるものと考えておりません。改めて,この法律自体に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 また,行財政改革は,住民生活に直結するので,住民の皆さんの理解が欠かせないため,不足している財源,今後必要とする施策の経費,改革が達成されたときの新たな自治体の姿や,何をどのような方法で,いつ実施するかを明確にする必要があると思いますが,例えばパブリックコメントなどは,今回のような厳しい削減のときこそ,特に必要だと思います。
 加えて,今回の財政危機宣言の内容そのものが,情報開示されても,特別用語が多過ぎて,一般の方にはとても理解できるものではございません。わかりやすい言葉による説明会等がなければ,非公開と同じだと思います。
 ちなみに,私も幾らか説明させていただいても,県民の皆様は事態の深刻さはなかなか理解していただいておりません。県の財政が厳しいのは,きょうに始まったことじゃないんじゃないか,またオオカミ少年かと思っておられる方すらおられます。こうした中,公会計の取り組みとして,企業の複式簿記会計のようなものも採用しなければ実態がわかりませんし,今後の聖域なき削減の情報公開について,いかに県民の皆様にわかりやすく伝えていくかをお伺いいたします。
 次に,財政危機宣言について,3つの視点に分けてお伺いいたします。一つは県内部の話,一つは市町村との関係,いま一つは国との関係でございます。
 まず,県内部の関係ですが,今回の財政危機宣言に至るまでの経緯を見ると,包括外部監査制度を活用することによって,県の財政運営をチェックし,県財政を確保する余地があるのではないかと思います。地方公共団体健全化法においても,財政再生団体の財政の運営が,その財政再生計画に適合せず,国から勧告を受けたときは,財政再生団体の長は,その勧告の内容を包括外部監査人に通知することとされていますが,御所見をお知らせください。
 次に,市町村との関係について,独立した市町村を包括する市町村の補完機能を果たし,市町村では困難な広域的事務の執行をする地方広域政府として,県は今何をすべきか。特に,都道府県と市町村との権限は大いに錯綜して,国と同様に,都道府県の補助金制度もあって,中央集権的な関係があると言われておりますが,今回の見直しは,国と県と市町村の役割の明確化を総合的に考える機会でもあり,事業集約的に,市町村との連携を密にかえってする必要があると考えます。
 いかなる形で,プロジェクトチームは市町村と連携して,その意見を取り入れていくのか,その方法をお知らせください。
 特に,市町村で決められる国保料までも負担増になるのではないかとの心配の声も上がっていますが,財政危機宣言が,今後,市町村に与える影響について,どのような御認識か,あわせてお知らせください。
 また,国との関係において,まず知事は,地元選出の国会議員先生方に,正式に今回の危機宣言について説明を行われましたか。報告すらされていないのではないでしょうか。麻生総務大臣のころの平成16年の交付税ショックの御批判はわかりますけれども,国への相談は不可欠でございます。国会議員の先生方抜きでは,今後の財政再建を語ることはできません。政党はどうあれ,地元出身の国会議員の諸先生は,岡山県のために一肌も二肌も脱がれたいはずですが,説明も依頼もなければ動きようもございません。知事は,国会議員の先生方との連絡,相談をいかように考えておられるでしょうか。また,東京事務所は,東京で何をやっておられるのでしょうか。お知らせください。
 また,知事がカットされてきたことは,皆さんよく御存じでございますが,元官僚でもあった知事が,政治家としてみずから霞ヶ関や永田町を御自身で動いて,岡山県財政を潤した,国から金を知事が引っ張ってきた,その実績がどの程度あるのかもお知らせください。
 また,今後10年間の道路の中期計画の策定に当たって,事業費は59兆円を上回らないものとされていますが,道路特定財源の一般財源化についてどう考えるか,さらには,地方財政計画で自治体に対する地方交付税と起債を1年ごとに決められてしまうことが,自己責任が欠如した先送り体質や国泣かせの自主性を失った依存体質を生んでしまうと思いますが,こうした財政面における国との関係の思いについても知らせてください。
 以上,恐らく1回目になると思いますが,質問を終わらさせていただきます。ありがとうございます。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 民の代表者としての決意ということでございますが,今回,このような事態に陥ってしまったことにつきましては,私といたしましても,本当に心が痛むところでございまして,大変申しわけなく思っているところでございます。
 今回の改革は,民で言うなれば,倒産を目前にして,何としてもそれを回避し,持続可能な経営を確立しようと,こういうものでありまして,本県の明るい未来を切り開いていくためには,これは必要不可欠な改革であると存じます。このため,全身全霊を打ち込みながら,この改革を何が何でもやり遂げるということが,県民の代表である私に課せられた責任であると考えているものでございます。
 経営者としての意識等でありますが,県政は,県民の幸せと県民の豊かな生活の実現のためにある,こういう信念のもとに,私は,県民の負託を受けた最高責任者といたしまして,ふるさと岡山の発展のために不退転の決意を持ちながら,県政運営に努めてきたところでありまして,そのことはあらゆる機会をとらえまして,県民の皆様方に広く訴えてきたところでございます。
 会社での例えということはできないところでございますが,我々執行部と議会というものは,緊張関係を保つ,その一方で,十分連携を図りながら,車の両輪のごとく,本県の未来を考えて政策を実現していく大切なパートナーでありまして,今後とも,一層の御協力をぜひお願いいたしたいと考えております。
 経営の基本は,民間も行政も同様であると,このように考えておりまして,経営者には,先見性と明確なビジョンを持って的確な戦略を立てて,勇気と情熱を持ちながら,機敏に決断,実行をする,そういうリーダーシップが必要不可欠でありまして,とりわけ危機に当たりましては,こうした経営の基本に基づいて,信念を持って全力で対策を推し進めることが必要であると考えているものでございます。
 今回の財政危機宣言に至ったことにつきましては,先ほども申し上げましたとおり,私自身,本当に心が痛んでいるところでございまして,県民の皆様方に対しましては,大変申しわけなく思っている次第でございます。
 私といたしましては,県議会を初め,県民の皆様の御意見を十分にお伺いをしながら,全責任を負って,全身全霊を打ち込みながら,この未曾有の難局に真正面から立ち向かってまいる所存でございます。
 私の退職金等でありますが,私自身,厳しい財政状況を踏まえまして,これまで就任直後の第1次行革以来,給与カットを実施してきているわけでございまして,現時点でも,全国的に見ますと,相当低い水準で私の給与水準はそのようになってきていると,このように承知しておりますが,もとより,特別職の給与につきましては,広く県民の皆様の理解を得る必要があると考えておりまして,給与カットにつきましては,今後,財政構造の抜本的な改革を推し進める中で,もちろんこれを引き下げるということはやぶさかではございませんけども,検討を推し進めていきたいと考えておりますし,退職手当の取り扱いは,たびたび申し上げておりますとおり,削減の方向で速やかに検討してまいりたいと思います。
 財政危機宣言の時期等でありますが,財政構造改革の方針を21年度予算に適切に反映をさせるために,可能な限り早い段階から公表いたしまして,御意見を十分にお伺いしながら改革を進めていく必要があると。このようなことから,この時期に行ったものであります。御指摘のような批判が職員に対してあるとすれば,県組織の責任者といたしまして,大変心苦しいところでありまして,それだけに,一日も早く持続可能な財政運営を実現できますように努めてまいる所存であります。
 人件費の削減でありますが,厳しい行財政改革に取り組む中で,職員には,これまで独自の給与カットに協力をしてもらってきているわけでありますが,今回の財政危機に当たっても,職員が意欲を持って困難に取り組むことができるよう,早急に財政構造改革に向けた道筋を明らかにいたしまして,職員とともに一丸となって改革をなし遂げていきたいと考えております。
 また,改革に当たりましては,職員が引き続き自信と誇りを持って職務に取り組むことができるよう,あらゆる手段を講じまして,モチベーションの維持,向上を図りますとともに,公務のやりがいや魅力を積極的にPRをし,優秀な人材の確保に努める必要があると考えております。
 コンプライアンスでありますが,職員に対しましては,日ごろから新しいことに積極的にチャレンジしてほしいと説いてきているところでありまして,そうした姿勢や成果は,組織として大いに評価するように,意を用いてきたところであります。
 一方,県職員には,これは当然のことでありますが,全体の奉仕者といたしまして,法令遵守が求められているところでありまして,引き続き県民の信頼を裏切ることがないように,自覚を持って職務に精励してもらいたいと考えております。
 仕事に対する誇り等でありますが,今回の財政構造改革の中で,職員には,市町村,関係団体との調整等で,これまで以上に大変な苦労をかけるということにつきましては,私も十分承知をしているところでございますが,この改革をなし遂げ,本県の明るい未来を切り開くため,誇りと意欲を持って困難に果敢に挑戦してもらいたいと,このように強く期待をしているものでございます。
 知事公舎の売却でありますが,これもたびたび申し上げておりますとおり,知事公舎は,公邸としての機能を有するということや,県庁に近く危機管理対応を初めとする公務に高い利便性があるということから,これまで使用してまいりました。知事公舎を早急に売却してはとのお話をいただきましたが,公舎のあり方につきましては,抜本的な行財政改革を進める中で,危機管理対応の観点なども踏まえまして,幅広く検討を進めてまいりたいと存じます。
 本年度予算の9月補正でありますが,歳出予算は,当該年度の支出の見積もりといたしまして,経費の上限を設定するものであることから,予算を使い切ることなく,常に経費の節減に努めるということは重要であると考えております。
 今年度は,現下の厳しい財政状況を踏まえまして,従前よりも一層厳しい執行保留を行ってきておりますが,さらに今週庁内に通達を発しまして,さらなる経費節減に向けた取り組みを周知徹底したところであります。また,今年度事業で縮小等が可能なものがあるのかどうか,財政当局と各部局との間で,現在調整を進めているところであります。さまざまな取り組みの結果,補正予算で対応する必要性が生じてきたときには,そのように適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に,地方公共団体財政健全化法等についてであります。
 まず,所見についてでありますが,地方財政健全化法は,地方公共団体の財政の健全化に関する比率の公表の制度等を設けまして,住民議会によるチェックのもと,財政悪化を未然に防止し,みずから財政規律を確立していくということを目的としておりまして,また財政再生団体へ移行する基準についても,国の判断によることなく,法律に基づいた客観的な指標の数値により,判断される仕組みであるということから,これは地方分権の趣旨に沿ったものであると受けとめております。
 聖域なき削減の情報公開でありますが,本県の厳しい財政状況について,広く御理解をいただくために,先般発表いたしました財政危機宣言や財政に関する中長期試算などを県のホームページに掲載いたしております。また,国の方針も踏まえまして,平成21年度までに貸借対照表等の財務諸表を連結ベースで整備をいたしたいと考えております。
 今後,さまざまな広報媒体を通じまして,県民の皆様にわかりやすく御説明をいたしますとともに,今後の取り組みにつきましても,適時適切にわかりやすく情報提供するように努めてまいる所存であります。
 次に,包括外部監査制度でありますが,県では,11年度から制度を導入しておりまして,専門的知識を有する公認会計士や弁護士を包括外部監査人といたしまして,これまで毎年度,財務に関する事務の執行等につきまして,監査結果の報告を受けており,19年度は指定管理者制度について結果報告を受けたところであります。
 今回,地方公共団体財政健全化法においては,包括外部監査人による財政指標の調査権が明記されるなど,その役割はますます重要となっておりまして,お話のように,包括外部監査制度の一層の活用を図りますとともに,監査結果を踏まえ,適切に対応してまいりたいと存じます。
 市町村との関係でありますが,今回の改革を進めるためには,市町村の十分な御理解,御協力が必要不可欠であります。今後,県民サービスにも十分留意しながら,県と市町村との役割分担といった視点からも,あらゆる事業をゼロベースで見直すこととしておりまして,市町村に対する補助金のあり方など,少なからず市町村にも影響があることから,市町村の御意見も十分にお伺いをしながら,丁寧に調整を進めてまいりたいと思います。
 地元選出国会議員への説明等でありますが,これまで県政懇談会を初め,さまざまな機会を通じ,県政運営について御説明や意見交換をさせていただき,御理解を得られるように努めてきたところであります。今回の財政危機宣言や財政構造改革についても,地元選出国会議員の御理解と御支援を得ていくことが重要でありますので,東京事務所なども活用しながら,情報提供に努めますとともに,十分に御意見もお伺いをいたしまして,持続可能な財政運営の確立に向けた改革を進めてまいりたいと思います。
 実績についてでありますが,私は,就任以来12年間,郷土岡山の発展のために,これまでに築き上げてまいりました人脈や経験を生かしまして,ありとあらゆる努力を重ねながら,県勢の発展に邁進をしてきたところであります。また,国に対しましては,地方分権の推進や地方税財源の充実につきまして,直接あるいは知事会を通じまして,強く求めますとともに,本県の発展に必要な事業等につきましては,国と連携をしながら,全力を挙げて推進をしてきたところでございます。
 道路特定財源の一般財源化についてでありますが,道路特定財源を一般財源化するか否かは,国における予算のあり方の問題であると考えておりますが,いずれにいたしましても,地方における道路整備に必要な財源は,国において責任を持って確保されるべきであると考えております。
 また,一般財源化の議論に当たりましては,地方の税財源を充実するなど,地方分権が強化される方向で検討されるべきものであると考えております。
 最後に,財政面の関係でありますけれども,地方財政計画は,地方が標準的な行政水準を確保するための財源の保障などの役割がありまして,特に交付税制度を通じました財源保障につきましては,極めて重要な機能であると考えております。一方で,国の制度により義務づけられ,地方にとって裁量の余地の少ない社会保障関係経費などが,少子・高齢化の進展等に伴い,増大の一途をたどっているということや,平成16年度の交付税ショック以降,交付税の抑制傾向が続いていることが,地方財政を圧迫している,その大きな要因であります。
 そのため,地方が真に自立した行財政運営を進めるためには,必要な地方一般財源総額の確保や地方税財源の充実が不可欠でありまして,引き続き国に対しまして,強く訴えてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(副知事)  お答え申し上げます。
 私のサポートについてでありますが,就任以来,所管分野におけるさまざまな課題が少しでも前進するように,私なりに努力をしてまいりました。
 行財政改革,とりわけ財政の健全化に関しても,総務部や他の部局とともに努力をしてきたつもりでありますけれども,私の在任中にこのような財政状況に立ち至っていることにつきましては,大変心苦しく申しわけなく思っているところでございます。
 今後は,持続可能な財政運営が実現できますように,県議会の御指導をいただきながら,知事や多くの県職員の方々とともに,微力ではありますが全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。


(総務部長)  お答え申し上げます。
 財政再生団体転落の可能性に対する認識についてでございますが,ことしの2月には,3年間の中期見通しを公表し,また本県の財政問題に関するさまざまな御意見をいただいた2月議会での議論を踏まえ,今後の長期的な傾向や構造的な問題点を把握するために,現在の状況が続いた場合の向こう10年の傾向を分析したところ,本県が財政再生団体に転落する水準を大きく上回る収支不足が構造的に生じる見込みであることが判明したところでございます。
 いずれにいたしましても,御指摘いただいた点は,謙虚に受けとめており,今後一層,的確な情報分析に努めるとともに,十分な説明に心がけてまいる所存でございます。
 以上でございます。


(佐藤)  再質問というよりも,感想を申し上げたいんですけども,私自身は体を張ってした質問のつもりだったんですけれども,伝わらなんだなということで,僕は怒らないタイプなので,ここからは,寂しいなという気持ちが今物すごくいたしております。これはこれでもうしょうがないなと思います。
 要は,知事が,非常事態,トップとして宣言されました。ですから,非常時には,やはり非常時の対応をしていただきたいな。我々議会も,責任のなすり合いをしている人はだれもいないと思います。それぞれの持ち場でそれぞれのベストを尽くしたい,そんな思いがあるわけでございますし,恐らく知事が岡山県を愛しているという以上に,我々議員一人一人はもっと岡山県を愛していると思います。
 私たちは,本当に知事がこのリーダーとして,みずから体をなげうって,岡山県を守ってくれているな,その思いを確信したかっただけでございます。今回,とりわけ自民党の青年部局に該当するような若い世代の議員が,多く,激しい質問をさせていただきました。私自身も,いつになく,あるいはいつもに増して厳しい質問だったと思いますけれども,それだけ私たちの世代は,これから親が高齢者になっていく,そして子供たちを守っていかなくちゃいけない。ある意味で,20年,30年,私たちがこれから闘っていかなくてはいけない。そして,その人生の舞台は岡山県だからこそ,体を張って守りたい,そしてその守る気持ちを知事と一緒に共有したかった。その思いが一緒になればいいなという思いで,みんな叫んでいたんだと思います。
 ただ,残念ながら,今回,それがどうも伝わっていないんだなという気持ちがいたしておりまして,これはもう御性格もありますので,とやかく言っても仕方がありませんので,知事にも,そういうお気持ちもあるんだろうということで,特に質問ではございません。私の感想を申し上げて,終わらさせていただきます。ありがとうございます。

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