平成20年2月定例会 委員長報告◇行財政改革・道州制等特別
自由民主党 佐藤真治

(佐藤)
 行財政改革・道州制等特別委員会に付託されました事件について,調査の概要を中間報告申し上げます。
 第1は,第3次行財政改革に関する調査についてであります。
 まず,外郭団体の見直しについては,本年度,そのあり方や業務・組織の効率化等の見直しが行われ,19団体について,抜本的見直しを行うこととされました。
 当委員会では,このうち統合あるいは廃止される団体について個別に審査を行いました。
 岡山県スポーツ振興財団と財団法人岡山県体育協会,財団法人吉備高原保健福祉のむら事業団と社会福祉法人吉備の里及び社団法人岡山県産業貿易振興協会と社団法人岡山県観光連盟,それぞれの統合については,いずれも設立目的や主たる事業が類似の団体について,解散する団体の業務や財産を他方へ吸収し,経営基盤等の充実強化と事業の一体的総合的な推進等を図ろうとするものであります。
 統合後の運営に当たっては,経営の効率化,安定化や事業の充実に努めていただくことはもちろんですが,利用者が不便にならないよう十分留意するとともに,今後,行革効果も検証していただきたいのであります。
 また,岡山県住宅供給公社については,社会経済情勢の変化に伴い,保有する団地の販売を今後継続的に行ったとしても,将来的に経営安定の見込みが立たない状況であり,保有資産の早期処分に一定の目途を立てた後に解散するものであります。
 委員からは,同公社が受託している県営住宅の維持管理業務の引き継ぎや,未分譲の団地の処理に懸念が示されたところであります。県当局には,公社解散後も県営住宅入居者や分譲地購入者の方々に不安を与えることのないよう,責任を持って適切に対応されたいのであります。
 次は,歳入確保対策についてであります。
 今年度,従来からの取り組みに加え,さらなる歳入確保及び資産の有効活用,施設の適正利用等の観点から,具体的な取り組み方針が定められました。その内容は,未利用財産等の売却や貸し付け,職員住宅の集約化,県庁舎空きスペースの有効活用などの対策やホームページへのバナー広告掲載,ネーミングライツ,クリック募金といった新たな広告媒体・手法の導入などであります。主なものの効果額としては,未利用財産等の売却・貸付等により約20億円,職員住宅の集約化等により約6億円,ホームページへのバナー広告掲載により年400万円を,それぞれ見込まれております。
 委員からは,当初予算の編成において,特定目的基金や企業会計からの借り入れなど,臨時的な対策に頼らざるを得ない状況が続いていることについて,財政の持続可能性の観点から懸念が示されたところであります。産業振興等による税源の涵養,必要な地方一般財源総額の確保に向けた国への働きかけなどに従来から取り組まれているところではありますが,より一層強化されたいのであります。
 次に,入札制度等改革についてでありますが,昨年6月,条件つき一般競争入札の対象が予定価格4,000万円以上の工事に拡大され,同時に,品質確保やダンピング防止等の観点から,低入札価格調査制度における調査基準価格等も見直されたところであります。
 また,コンプライアンスの徹底等について,「職員に対する提言等への対応に関する取扱要綱」及び「職員の再就職に関する取扱要綱」が制定され,昨年7月1日から施行されたところであります。
 委員からは,県議会議員から県職員への提言等の中には,よいものや適切に対応すべきものもあるが,一律に働きかけとして悪いイメージにとられるとの懸念が示されました。こうした積極的な提言等が規制されることのないよう,適切な要綱の運用に努めていただきたいのであります。
 次は,チボリ・ジャパン株式会社についてであります。
 倉敷チボリ公園の運営に関するチボリ・ジャパン社とチボリ・インターナショナル社との提携契約は昨年7月18日までで終了し,現在,チボリの名称や特定のアイコンの使用等の期限を本年12月末までとする移行期間にあります。県では,チボリの名称等が使用できなくなれば,デンマーク・チボリのブランドが失われ,公園の性格や全国に情報発信できる本県の重要な広域観光拠点としての機能も大きく変化し,県事業の目的が失われることから,移行期間終了後は,県が主体となって公園を支えることは困難であること,さらに,移行期間終了後は地代の支援を行わないこと,公園内に県とジャパン社の施設が所在し,これらをジャパン社が一体的に管理運営していることから,ジャパン社の経営方針と県の方向性は一致する必要があること,ジャパン社による公園運営は本年12月末までとし,その後は土地所有者等の新たな構想の中で,できるだけ公的部分や同社の施設も残されるよう要請する以外にないのではないかとの考えを表明しておられます。
 一方,倉敷市も財政支援は行わないことを表明し,また,土地所有者も,ジャパン社及び同社が見つけてきた中核企業には土地を貸さないし,中核企業として参画もしないとの意思を示しており,ジャパン社の置かれている状況は極めて厳しいものとなっております。
 この状況を踏まえ,ジャパン社では,移行期間終了後には地代の公的支援がないことを前提に,今後の公園運営について議論が行われてきましたが,結論には至らず,今月26日に予定されている取締役会での結論が待たれるのであります。
 本委員会は,ジャパン社取締役会の開催日程等に合わせ,何度も追加開催し,議論を行ってまいりました。取締役会の方針が定まらない以上,県の方針を一方的に出せないとの説明に対して,委員からは,県としての方針を独自に出すべきではないか,県が出さないからジャパン社の方針も決まらないのではないかとの意見や,取締役会で結論が引き延ばされていることに対して,知事としても明確な態度をとるべきだとの意見の一方,県とジャパン社の方向は基本的に一致する必要があり,県の説明は理解できるとの意見も出たところであります。倉敷チボリ公園が現在の形で運営できるのは本年12月末までであり,また,地代負担の関係もあり,ジャパン社及び県の一刻も早い決断が望まれます。県当局におかれては,次回取締役会におけるジャパン社の決断を後押しするとともに,県が倉敷チボリ公園事業を主導してきた経緯を踏まえ,県民にとって最良の形となるような方向性を打ち出していただくよう期待するものであります。
 第2は,道州制に関する調査であります。
 県では,真の分権型社会実現のため,地方分権改革の究極の姿と言える道州制を導入すること,また,当地域の特性を生かした質の高い自主的自立的な施策を実施できるだけの十分な自立力と将来の発展可能性を備えるために,中四国州の実現を目指しています。本年度,県内においては,道州制推進シンポジウムや道州制講演会が開催され,県民等の議論の喚起や機運の醸成が図られました。全国的には,政府の道州制担当大臣のもとに設置された道州制ビジョン懇談会や,全国知事会道州制特別委員会でも議論が続けられているところであります。
 本委員会においては,これらの動きを踏まえた議論を行うとともに,山口県庁,福岡県庁,愛媛県庁への現地調査を実施し,各県の道州制に関する考え方を聴取し,意見交換を行いました。道州制の目的は地方分権の推進であり,道州制の導入により,国による中央集権体制が強化されたり,道州内における一極集中を加速させることとならないよう注意が必要であります。本県の目指す中四国州の実現に向け,各界各層と連携し,しっかりとした戦略を構築し,全力で取り組んでいただきたいのであります。
 第3は,政令市に関する調査についてであります。
 県では,真の分権型社会にふさわしい自立した政令市を目指している岡山市の取り組みに最大限協力することとし,来年4月の政令市移行に向けてともに取り組んでいるところであります。昨年7月には,県の岡山県政令指定都市移行支援本部,市の岡山市行政区画等審議会,県市による政令指定都市移行県市連絡会議がそれぞれ設置され,所要の調査や調整等が行われました。
 本委員会では,岡山市役所への現地調査を行い,市当局と意見交換を行うなど,審査を重ねてまいりましたが,政令市移行までの日程が窮屈であり,もっと時間をかけて議論すべきではとの意見の一方,事務移譲等に係る基本協定を短期間でよく取りまとめたと評価する意見もありました。
 本委員会では,岡山市が政令市移行により中四国の拠点都市として発展し,本県や近隣県の発展にも大きく寄与することを期待し,岡山市の政令市移行に関する意見書を総務委員会と合同で発議することとしたところであります。今後,県市が連携して国への要望等,政令市実現に向けた取り組みを着実に実行していただきたいのであります。
 以上,御報告申し上げます。

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