平成19年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 選挙の開票について
 (1)作業の意義                (企振)[ 知  事 ]
                         (企振)[選挙管理委員長]
 (2)事務委託費                (企振)[ 知  事 ]
 (3)迅速開票                 (企振)[ 知  事 ]
                         (企振)[選挙管理委員長]
2 環境政策等について
 (1)要諦                   (生環)[ 知  事 ]
 (2)おかやま森づくり県民税
                     総務協力(農水)[農林水産部長]
 (3)全国都市緑化フェアの位置づけ       (土木)[ 知  事 ]
3 自然環境保護について             (生環)[ 知  事 ]
 (1)岡山らしい保護の在り方
 (2)絶滅危惧種の保護
 (3)環境施策のシンボル
 (4)淡水魚
4 環境教育について
 (1)指針               生環協力(教育)[ 知  事 ]
                         (教育)[ 教育長 ]
 (2)ESDの取組     企画、生環、教育協力(総務)[ 知  事 ]
                         (教育)[ 教育長 ]
 (3)環境産業             生環協力(産労)[ 知  事 ]
5 人工透析について               (保福)[ 知  事 ]
6 介護保険制度について             (保福)[ 知  事 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 一般質問のトリということでございまして,どうか気を確かに持っていただきまして,最後の最後までおつき合いをよろしくお願いいたします。
 まずもって,ローカルマニフェスト推進首長連盟の会員である知事に。今回の統一地方選挙におきまして,地方議員が政策やマニフェストを掲げて戦うことが本当に難しいなというのを痛感しました。私自身ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の運営委員の一人として,選挙の開票事務について質問させていただきます。
 私は,この開票事務の問題は,自治体業務における迅速性効率性の追求の意識の重要性とともに,県庁,県内市町村の職員の皆様の意識改革の議論そのものであると考えております。災害時の対応のとき以外で,自分の持ち場以外に役所が一致団結して行う数少ない業務であって,開票事務改善に取り組むことが縦割り意識を打破し,チームワークを高めることにもなる,そのように思います。また,創意工夫で改善していくことは,自治体業務すべてに通じることだと,私は思います。当然に正確性を担保した上で,公職選挙法でも地方自治法でも,選挙の開票事務が迅速かつ効率的に行うべきことが読んで取れますけれども,4月の統一地方選挙では,県議会議員選挙の開票所要時間の平均は1時間50分で,自治体の規模の大小はございますけれども,全国19位でございます。県内の自治体がこの趣旨に沿って開票事務を行われているのか,特に県知事選挙,県議会議員選挙には,県からの交付金も出ております。知事並びに,きょうはもう本当に大当たりで申しわけないんですけれども,選挙管理委員会委員長に開票作業の意義も含めてその感想をお伺いいたします。
 また,19年度当初予算の開票所経費は,県議会議員選挙関連分が612万4,000円,参議院議員通常選挙関連分9,147万9,000円が計上されており,平均開票時間が短縮されれば,それだけ人件費の削減効果もあるのではないかと思われますが,さらに改善され,減少した交付金と基準額の差額を別の名目で一部還元するなど,いわゆるインセンティブをつけて予算全額使い切りの慣習の改革もできると思いますが,いかようにお考えでしょうか。
 特に,7月二十何日かに予定されている参議院選挙につきましては,比例代表は非拘束名簿式であることから,恐らく100種類以上の票のパターンが出てくると思います。開票事務は,かなり煩雑になる,そして開票事務改善がなされていないことによるおくれが逆の意味で目立つことになります。開票事務改善の要諦は,トップリーダーの本気度と明確な数値目標の設定であると言われておりますが,具体的な時間短縮,コスト削減は行えないでしょうか。先日は,県報道責任者会からも迅速開票の要望がなされたと聞きます。知事及び選挙管理委員会委員長の決意のほどをお聞かせください。
 次に,環境政策につきまして,6月8日に閉幕した主要国首脳会議で最大の議題となった地球温暖化対策は,最終的には消極論だったアメリカからも譲歩を引き出すことに成功して,2050年までには温室効果ガスを少なくとも半減させることを真剣に検討することで合意いたしました。来年は,日本が議長国となって北海道洞爺湖サミットが開催されて,新興排出国の中国やインドも巻き込んで拘束力のある削減の枠組みづくりができるかどうか,それが我が国の国際的な責務であるとも思います。
 また,本県では,平成8年10月に,岡山県環境基本条例を制定し,平成10年3月に策定された岡山県環境基本計画〜エコビジョン2010〜は,平成15年に町の景観を損なう落書きや光害などの新しい視点での環境問題としてとらえて見直されています。しかし,当初計画の策定から10年が経過し,社会情勢の変化や新たな課題に適切に対応する必要があることから,知事は,提案説明の中で,環境教育,環境産業を初めとした広い視点や地球環境問題に係る最新の知見を加えて,新たな環境基本計画を策定されたいとされました。恐らく5年以上の計画をお考えでしょうから,議会としてもその策定には非常に大きな責任がございます。10年前と幾分違っているのは,当時のダイオキシン対策や廃棄物の処理といった,いわば言葉が適切かどうかわかりませんが,守りの環境政策から,いわゆる協働を前提として,教育,産業創出,さらには国際貢献も含めた地球的視野で政策展開をしていこうという,環境先進県おかやまならではの攻めの環境政策に転換していく流れにあると思いますが,まずは今後の環境政策の要諦について,知事の御所見をお聞かせください。
 以下,具体的にお伺いいたします。
 日常生活や事業活動などにより生じる環境への負荷を低減させるためには費用がかかる,そういった意識の浸透を図るために,法定外目的税として,産業廃棄物処理税に加えて,森林の保全を目的とした水源かん養税が名前をかえて森づくり県民税が徴収されています。しかし,おかやま森づくり県民税については,県庁のホームページを見ても,充当した事業内容こそあれ,法定外目的税のくくりで進めていた経緯がありながら,額も使途も今のところあいまいになっております。私は,例えば,おかやま森づくり県民税を台風による風倒木被害の復旧に充てること自体は反対ではございませんけれども,もとは県民からいただいた貴重な税金でございます。税収額や充当した事業,さらにはその充当目的等をもっと具体的にわかりやすく県民の皆様に説明する責任があると思いますが,農林水産部長の御所見をお聞かせください。
 18年6月定例会でも伺いましたけれども,平成21年春開催予定の全国都市緑化おかやまフェアについては,順調にいけば岡山市が政令指定都市移行したその記念になるような,そんな時期の開催でございます。さらに,中心市街地活性化が叫ばれて久しい岡山市西大寺地区において,将来において中心市街地の都市機能が集積する地の象徴としての都市公園として整備される含みもあって,私は非常に永続性のある事業で評価できると思っております。さらに,知事は,岡山県独自の視点として,基本構想におけるおかやま緑化フェア開催方針の一つに,環境に優しい暮らしを位置づけ,環境施策の視点を挙げておられます。主会場地は岡山市内になってはおりますけれども,ビルの屋上緑化やビオトープの設置はもちろん,街路や商店街や住宅地を含めて,例えば,1人1輪の花を植える,一人一輪,一社一鉢運動といった,街を緑で染め上げる市民・県民運動を展開するなど,県下全面展開をする必要があると思います。改めて,全国都市緑化おかやまフェアにおける環境面での取り組みについてお伺いいたします。
 次に,自然環境保護についてお伺いいたします。
 平成14年には,本県の誇りとなるすぐれた自然や貴重な動植物の保護等を図るため,岡山県版レッドデータブックが作成されていますが,必ずしも状況は改善されていないのではないか,そのように思います。言うまでもなく,絶滅危惧種の保護,とりわけ国の天然記念物であるアユモドキ,さらにはスイゲンゼニタナゴ等の保護は緊急を要します。今まさに生息環境の悪化や田園水系の分断,乱獲,輸入種の生息域の拡大により,生態系のバランスが崩れてきております。
 ところで,岡山らしい自然環境は,私は人の手が入った身近な自然の中に多様な生き物や絶滅のおそれのある生き物が生き続けていることであると言われていると思っております。岡山市の高島や瀬戸の田んぼに来るアユモドキ,高松や足守,倉敷の一部にもいるスイゲンゼニタナゴ,岡山市のダルマガエル,かっては里海だった干潟に来るカブトガニやアサリ,魚島をつくったサワラ,どこにでもいた蛍,水田の雑草だったのに絶滅危惧種となっているミズアオイやデンジソウ,私たちの生活とともに生きていた生物たちが今いなくなってきております。岡山らしさを取り戻そう,生かそう,それが岡山の文化,地域づくり,観光産業の資源にも活用できるのではないかと考えます。
 また,自然保護のキーワードは,生物多様性の保全です。それは,自然と人間が長い期間をかけて共生環境をつくり上げてきた岡山らしさを大切にすることです。地球上にそれぞれの多様な「何とからしさ」を大切にすることが,文化的な多元性にもつながり,持続可能な社会づくりの基本になっているのだと,私は思います。知事は,自然保護について,特に岡山らしい自然保護のあり方をいかように考えておられるでしょうか。また,絶滅危惧種の保護のためには,何とかもっと環境のよい生息地を造成する必要もございますが,特に最近はマニアあるいは密猟者の手からいかに守るかといった保護施策についてもお伺いいたします。
 あわせて,特に繁殖地や生息地が天然記念物になっているカブトガニやオオサンショウウオと加えて,アユモドキを海,山,川と,豊かな自然があふれる環境先進県岡山の環境施策のシンボル,できれば「ももっち」の新しいお供にしてほしいなと,カブトガニ,オオサンショウウオ,アユモドキを,環境施策のシンボルにしてほしいと考えておりますが,いかがお考えでしょうか。
 ところで,九州北西部,琵琶湖淀川水系,そしてこの岡山の地が日本三大淡水魚の宝庫であり,聖地とまで言われているのは,御案内でしょうか。明治以降,外国から入ってきたニジマスやブラックバスなどの外来魚を削除して,全国の一級水系109の水系で出現する淡水魚の種類を調べたところ,岡山の旭川が44種類,吉井川が42種類,高梁川が38種類と,3水系はいずれも魚の種類が非常に多く,3位,4位,6位とそろって実は全国のベストテンに入っているというデータがございます。一番多い淀川には,琵琶湖特有の固有の魚も含めて49種類,また,2位の木曽川水系は木曽川や長良川,揖斐川という性格の異なる3つの河川から構成され46種類なんですけれども,そうした大きな河川と比べて,岡山の三大河川は,まさに淡水魚の生息三大河川でもあります。それが山の恵みを海に運び,瀬戸内の海の豊かさにつながっているということだと思います。こうした豊かな自然に恵まれた淡水魚の宝庫である岡山ということに,どれだけ我々岡山県民が自覚と誇りと責任を持っているでしょうか。少し大き目の水槽を使って淡水魚のミニ水族館のような取り組みは,公民館等で行われていますけれども,例えば,長良川を有する岐阜県では,「木曽三川・長良川の源流から河口まで」と,そして世界の淡水魚をテーマにした水辺環境やそして魚のたぐいだけではなくて,水生昆虫,鳥類,水生植物等を総合的に展示した「アクア・トトぎふ」という,世界最大級の淡水魚の水族館がつくられています。なかなかこういったものをつくるのは難しいとは思いますけれども,こういった淡水魚生息三大河川がある全国への岡山のアピール,さらには淡水魚を通じての体験型の環境学習施設の整備についていかようにお考えでしょうか。
 次に,環境教育等についてお伺いいたします。
 この3月に,国立教育政策研究所教育課程研究センターが,環境教育指導資料を示しました。これは,文部科学省から発行されたこれまでの資料で示された基本的な方針や考え方を踏まえつつ,新しい環境の世紀に対応した形で大幅な改定を加えたものです。そして,この資料には,しばしば持続可能な開発のための教育(ESD)という言葉が出てまいります。平成14年にヨハネスブルグサミットで我が国が提案し,第57回国連総会において満場一致で採択された「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」が平成17年から開始されました。国際的な環境教育の取り組みは,この大きな枠組みに沿って展開されていますが,それに先立つ平成15年7月には,我が国では環境の保全のための意欲の増進及び環境教育に関する法律が制定され,また,昨年改正された教育基本法においても,「生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと」とする規定が盛り込まれ,我が国の環境教育は大きく進んでまいりました。まずもって,こうした国際的な環境教育の枠組みに沿う形で我が県の環境教育の指針を打ち立てるべきだと私は考えますが,知事並びに教育長の御所見をお知らせください。
 ところで,岡山市においては,この持続可能な開発のための教育(ESD)について,環境を中心に先進的な活動が行われております。特に,平成17年6月には,国連大学から岡山地域はこれまでの市民活動が認められ,ESDに関する地域の拠点(RCE)の一つに認定されております。これは,大変な国際的な評価なんですけれども,こうした国際的な評価が必ずしもこの岡山県で認知されていない,そのことを私は非常に残念に思います。この認定は,平成11年に,第55回日本ユネスコ運動全国大会in岡山を開催し,地球環境問題を活動の軸に据えている岡山ユネスコ協会,さらには岡山市京山地区──京山学区というのがあるんですが──京山地区ESD環境プロジェクト──岡山KEEPと言います──,岡山KEEPの活動の成果であると思います。ちなみに,この岡山KEEPでございますが,京山学区の皆さん,小中高生や企業,行政,NGOなどが参加して,地域全体でESDの取り組みを推進しています。例えば,水辺の調査活動をする場合でも,中学生を中心としてさまざまな世代の混成チームで行って,調査結果をもとにした水質の分析にも全世代がかかわってコンピューターで情報の整理を行うときなどは,パソコンに詳しい大学生やITサポーターにも協力を得ています。これらの取り組みの成果については,みんなの前で発表して,情報と認識を共有し,さらに公民館や中学校などでの成果発表会や結果をまとめたマップの配布などにより,地域への周知も図っています。
 これらの取り組みは,環境問題への直接の成果という意味ではもちろんのこと,多世代間の交流,地域コミュニティーでの触れ合いを生み出しています。まさに地球規模で考え地域で行動(シンク・グローバリー,アクト・ローカリー)の実践活動と言えると思いますし,新岡山県環境基本計画でうたう環境教育の理想型がもう既にあるのではないかと,私は思います。こうした環境教育活動については,環境省はもちろん文部科学省,経済産業省,国土交通省,さらには国連大学や地元大学,国際交流団体,もちろん行政機関,教育機関等が連携しなくては決して行えるものではありませんし,また,広がっていくものではございません。しかし,残念ながらこのESDのネットワークに私は岡山県の動きがなかなか見えてこないように感じております。この秋の全国生涯学習フェスティバルでは,このESDの取り組みを紹介いただけるようですが,昨年の茨城では,この生涯学習フェスティバル「まなびピア」を第9回の全国環境学習フェアと同時期に開催しております。何よりも,岡山県の行政内部のESDの窓口というのがまだ明確ではございません。ESDに関しての今後の取り組みについて,知事と教育長にそれぞれお伺いいたします。
 この項最後に,知事は,新たな環境基本計画の中に,環境産業を挙げられました。環境産業の海外展開についてはいかように考えておられるでしょうか。
 エネルギー・気候変動問題では,お隣中国が大量の資源を効率悪く消費していて,農業にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。また,最近大変気になるんですが,黄砂もその頻度と被害が甚大化していて,単なるこれは季節的な気象現象ではなくて,森林の減少や土地の劣化砂漠化といった人為的な影響による環境問題としての認識が高まっております。少なくとも,お隣中国の環境悪化は,もはや中国の国内問題と言える状況にはなく,国際的に何がしかの手を打つべき時期が来ているというのは,今回のハイリゲンダム・サミットの問題意識でもありました。
 そこで,たちまち岡山が何ができるかというのが厳しいものがありますけれども,中国を世界の工場ととらまえるのではなく,環境産業を展開する市場と考えるのは一つの方策だと思います。御所見をお聞かせください。
 私ごとでございますが,私の父が亡くなって早いものであっという間に3年半になります。ことしやっと我が子が小学1年生ですから,父とは何かを明確に語る資格は私にはございませんけれども,父親は生きていようがいまいが教えてくれることがございます。最近つくづく思うに,人工透析患者だった私の父が64歳という年齢で亡くなったのが,ある意味よかったのかなと思えるぐらいに,人工透析患者にとって医療改革はつらく,大きな問題があるなと思えてなりません。岡山県内には多くの患者さんがおられますが,リウマチと同様,発症が就労時に支障を来すほど若く,さらに一生涯治療が必要ということで,しかも内部疾患ではた目にはわかりにくい障害であるという特殊性がございます。医療改革という名のもとに,制度の変更と患者の負担増が進んでいて,透析患者にさまざまな影響が出ています。また,グループホームや特別養護老人ホームなどにおいても,特に人の手が必要な透析患者については,必ずしも十分なケアが行えない,そんな実態がございます。生活が困窮して未来も見えない,いわゆる老老介護の中で本当に悲しい無理心中という事態も発生しております。加えて,75歳以上の方を対象に,後期高齢者医療制度が来年4月発足いたしますが,透析患者のほとんどが1級の障害者に当たるので,障害者手帳を持っている方は,65歳から後期高齢者の制度に入ることができることになりますけれども,さまざまな検討がこれからと,大きな不安がございます。知事は,人工透析というものについてどのように認識をされて,こうした体制の現状をいかように把握され,今後どのような対策を考えておられるのでしょうか,さまざまな障害等ある中で,今回はあえて人工透析のことについてお伺いさせていただきます。
 最後に,介護保険制度につきまして,株式会社コムスンの虚偽申請から始まる一連の事件について,知事は市町村に代替サービスの見通しの報告を求め,実地指導や機動的重点的な監査の強化を言われました。もちろん安定継続して提供されるべき公共サービスの担い手を民間にゆだねる場合には,少なくとも強い公的責任のもとに置くべきであり,万一の事態に備えて,介護保険の実施主体である自治体がいつでも肩がわりできるバックアップ体制などを通常から準備しておくべきだとは思います。しかし,私は,まず性悪説に立って,介護サービス業全体の監査体制や許認可の見直しが検討される前に,むしろ低過ぎる介護報酬などによる経営難で苦しんでおられる善良な零細の介護保険事業者や,景気回復と逆行して人材難が叫ばれる中でも福祉の心を持ってよりよい介護を提供するために頑張っておられる現場の方々に支援を強めなくてはいけない,そのように思っております。
 私は,介護保険事業における公的責任を強化し,悪質な事業者が入り込まず良質なサービスが安定して継続的に提供できるようにするためにも,保険料の改善や介護報酬の引き上げも含めて,一連の事件の背景にある介護保険制度自体の不備をただすことが必要だと考えておりますけれども,零細の介護保険事業者の実態を踏まえた上での保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 私の質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,選挙の開票に関してでありますが,開票事務の改善に関しましては,正確性を確保した上で迅速かつ効率的に開票作業を行うことは,選挙の結果を早く知りたいという住民の要請にこたえるためにも大変重要なことであると考えております。また,開票事務の改善や迅速な開票作業ということを通じまして,職員の意識や姿勢に変化が起こり,ひいては行政改革の推進につながるということも期待されるものであります。県及び市町村の選挙管理委員会では,これまでも開票事務の迅速化に向けてさまざまな取り組みを行っているものと承知しておりますが,選挙事務の重要性等にかんがみ,今後,なお一層の改善に取り組まれることを期待いたしております。
 開票所経費についてでありますが,選挙において市町村が実際に要した経費については交付をしておりまして,支出されていない経費を交付することはできないところであります。選挙に関する交付金のこうした性格ということを踏まえますと,開票時間を短縮して人件費の節減効果により生じた差額を別の名目で一部還元するということは適当ではないものと考えております。
 迅速開票についてでありますが,先ほどお答え申し上げましたとおり,正確かつ迅速な開票を行うということは極めて重要なことでありまして,迅速化に向けましては,開票事務を所掌する選挙管理委員会において積極的に取り組まれることを期待いたしたいと存じます。
 次に,環境政策等についてでありますが,まず環境政策の要諦であります。
 温暖化等による地球環境問題が深刻化する中で,地球環境の保全に地域から取り組むこと,快適な環境の保全を参加と協働により推進すること,環境に配慮した事業活動を推進することなどが重要と考えております。こうした考えのもと,新しい環境基本計画には,環境教育の充実等によりますすべての県民のエコライフの実践や環境産業の育成等を盛り込み,将来世代へ継承可能な環境に配慮した潤い豊かな社会の実現を目指してまいりたいと存じます。
 全国都市緑化おかやまフェアでの取り組みでありますが,開催方針の一つに,環境に優しい暮らしを位置づけておりまして,環境へ配慮したフェアの開催を目指すことといたしておりまして,今後策定する実施計画に環境に優しいライフスタイルの提案や屋上緑化,壁面緑化など,ヒートアイランド防止に資する緑化技術の紹介など,環境をテーマとする具体的な取り組みを盛り込んでまいりたいと存じます。
 また,お話の緑化推進のための県民運動につきましては,今年度から5月4日のみどりの日に,まちを花や緑で飾るキャンペーンを始めたところでありまして,フェアの開催を契機といたしまして,全県的な運動に発展させてまいりたいと思います。
 次に,自然環境保護についてでありますが,まず,岡山らしい自然保護のあり方であります。
 本県は,瀬戸内海の沿岸部から吉備高原,中国山地に至る変化に富んだ地形に恵まれておりまして,多種多様な動植物が生息,生育する豊かな自然環境が形成されておりまして,古くからそれぞれの地域でその地域特有の人と自然が調和した生活が営まれてきたところであります。こうした地域特性に応じました多様な自然との共生関係を将来にわたって維持していくということが岡山らしさであると,このように考えておりまして,今後とも,市町村や県民,自然保護団体などと連携を図りながら,自然保護の推進に努めてまいりたいと思います。
 絶滅危惧種の保護についてでありますが,国や県で指定されている絶滅危惧種につきましては,地域住民や自然保護団体,国,市町村等との連携のもとに,河川工事等に際して保護のために必要な配慮を求めたり,あるいは密漁防止パトロールやボランティアの保護巡視員による巡視を実施いたしております。
 また,大規模開発に伴う環境アセスメントの審査や自然保護協定の締結に当たりましては,指定種のみならず岡山県版レッドデータブックに掲載されている動植物につきましても,工法変更あるいはエリア変更など,その保護を図っております。今後とも,県民等の協力を得ながら,希少な動植物の保護に努めてまいりたいと存じます。
 環境施策のシンボルについてでありますが,お話のように,3種の生物につきましては,豊かな岡山県の自然を象徴するものでありますが,既にそれぞれの地域で市町村や地域住民が中心となって独自の愛称やキャラクターを定め,積極的な保護活動を展開いたしますとともに,地域のシンボルとして活用しているところであります。カブトガニつきましてはカブニ君,アユモドキにつきましてはアユモドキチ君という名称のようでございます。県といたしましては,これら各地域の熱意ある保護活動が何よりも重要であると考えておりまして,それぞれの取り組みを支援してまいりたいと存じます。
 淡水魚についてでありますが,本県の三大河川に全国的に見ても非常に多くの種類の淡水魚が生育をしているということは,本県が豊かな自然に恵まれていることのあらわれでありまして,ホームページや広報紙への掲載などによりまして,県民への周知を図りますとともに,全国に対してもこれをアピールしてまいりたいと思います。
 また,お話の岐阜県のような淡水魚を通じた体験型環境学習施設の整備ということにつきましては,これは困難な問題であろうと思いますが,既に市町村や民間におきまして,展示,観察施設の整備や水辺教室の開催など,地域の淡水魚を通じた環境学習が数多く行われているところでありまして,県といたしましては,これらに対しまして講師派遣や情報提供によって学習活動への支援に努めてまいりたいと存じます。
 次に,環境教育等についてであります。
 まず,環境教育の指針でありますが,県では,現行の環境基本計画に盛り込まれました環境教育の分野を環境教育推進法第8条の方針と位置づけまして,その推進に取り組んでいるところであります。しかし,温暖化を初めとする地球環境問題が深刻化する中で,その解決を図っていくためには,個々人が地球的視野に立った環境保全意識を持つということが極めて重要であると考えております。このため,現在策定中の新たな環境基本計画では,環境教育を重要な柱の一つとして,ESDの考え方を踏まえ,充実していくことといたしておりまして,この計画を県の新しい方針といたしたいと考えております。
 ESDの取り組みについてでありますが,ESDは環境を初め開発,貧困,資源,人口など地球の持続可能性にかかわる幅広い分野の問題に身近なところから取り組み,持続可能な社会づくりの担い手となる個々人を育成する大変意義深いものであると認識いたしております。お話いただきました岡山市における取り組みは,まさにその実践でありまして,県といたしましては,こうした地域でのESDの活動が県内全体に広まっていくように,普及啓発に努めてまいりたいと存じます。
 環境産業の海外展開でありますが,急速に工業化が進み,環境ビジネスに対する潜在的な市場が広がっている中国等へ,国際競争力の高い我が国の省エネルギー,環境技術を展開するということは,地球規模の環境保全といった国際貢献を進めながら,一方我が国の経済,産業の成長力を高める絶好の機会であると考えております。本県におきましても,新産業,新技術の創出,育成に取り組むものづくり重点分野といたしまして,環境やバイオを掲げ,廃棄物の資源化促進やリサイクル技術の開発支援,バイオマスプラスチックやバイオマスエタノールの製品化に向けました産学官共同研究等を支援しているところでありまして,今後,県内企業が技術力や商品力をさらに高め,海外市場へ事業展開していくということを期待しているものでございます。
 最後に,人工透析についてでありますが,透析患者の方々は日常生活に一定の制約があり,生涯にわたって継続的な医療が必要な状態にあると認識しており,現在,県内の69医療機関において透析医療を受けることができることとなっております。県では,単県医療費公費負担制度によって,所得に応じた医療費の負担の軽減を行うなど,透析患者の医療の支援を行いますとともに,人工透析につながる糖尿病の予防と重症化の防止を図っていくため,「健康おかやま21セカンドステージ」を展開していく中で,健康教育の充実や健康診査の受診率向上などに取り組んでいるところであります。今後とも,医師会を初め関係団体等とも連携しながら,こうした取り組みを推進いたしまして,透析医療の確保や糖尿病の予防などに努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えします。
 介護保険制度についてでありますけれども,県では,今年度から各種情報により運営基準違反や不正請求が疑われる場合には,速やかに監査を実施するなど,サービス事業者の不正防止を強化するとともに,指導につきましては,事業者の育成支援を念頭にサービスの質の確保向上を目的として実施しております。
 また,保険料は,提供される介護サービスの費用見込み額などに基づきまして市町村が決定し,介護報酬につきましては,介護事業経営の実態,保険財政の状況等を踏まえ,国において設定されております。県といたしましては,事業者が関係法令を遵守し,利用者に適切なサービスが提供できるよう指導を行い,介護保険制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(農林水産部長)  お答えいたします。
 環境政策等に関し,おかやま森づくり県民税についてでございますが,この税を活用して実施しているそれぞれの事業が森林の持つ公益的機能の発揮に果たす役割や効果などを県民にわかりやすく説明するため,これまで,新聞,テレビ等の各種広報媒体を活用したPRやパンフレットの配布,ホームページなどにより,事業の目的,使途の公表を行ってきたところでございます。さらに,今年度は,県民税の導入4年目を迎えますことから,これまでの事業の目的や成果を紹介する映像資料を作成いたしますとともに,県北と県南の2カ所においてシンポジウムを開催することとしております。今後,こうした取り組みの中で,この税金の創設経緯を十分踏まえ,御指摘のありました税創設の趣旨,仕組み,税収額,事業費等もあわせて明確にさらにわかりやすく県民に示し,貴重なこの税金を真に必要な森林保全対策に限って活用していることを説明してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 まず,環境教育の指針についてでありますが,学校では,教育基本法や学習指導要領に基づくとともに,学校や地域の実情等を踏まえ,さらにESD等の新しい動きも取り入れながら,子供たちが環境問題を身近な問題として主体的に考え,取り組み,実践的な態度を身につけるよう,環境教育に取り組んでおります。県教育委員会としましては,県が新たに策定いたします環境基本計画を岡山県における環境教育の指針と考えておりまして,その策定に協力してまいりたいと考えております。
 次に,ESDの取り組みについてでありますが,お話の岡山市京山地区では,公民館を核にした企業や市民団体等との連携のもとで,小中高校生や地域の人々がともに環境学習を進めております。こうした地域を挙げた取り組みがESDの趣旨に沿ったものとして評価されていると考えております。県教育委員会としましては,本年11月に岡山で開催いたします全国生涯学習フェスティバルや全国環境学習フェアで,こうした先進的な取り組みを広く紹介いたしますとともに,ESDの活動を市町村教育委員会等に周知し,県内に広がるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(選挙管理委員会委員長)  佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,開票事務の改善についてでありますが,開票結果をできるだけ早く選挙人の皆様にお伝えすることは,選挙管理委員会の大きな責務でありまして,正確かつ迅速に開票作業を行うことは大変重要なことと考えております。今回の県議会議員選挙におきましては,開票時間が単純平均で前回より10分余り長くなっておりまして,合併により市町村の規模が拡大したことや無投票となった選挙区の状況が異なることから,単純には比較することはできませんが,結果からすれば,必ずしもスピード化が図られたとは言えない状況であります。県選管では,選挙前に市町村選管に対し開票事務の改善事例などの情報提供を行っており,また,各市町村選管では,これらを参考にさまざまな取り組みを行ったところではありますが,今回の結果からすれば,引き続き一層の改善の必要があるものと考えております。
 次に,迅速開票についてでありますが,開票事務の改善に向けた時間短縮やコスト削減宣言を行ってはとの御提案でありますが,まずは投票の仕分け方法,疑問票の処理など,一つ一つの開票作業について,迅速化に向けた具体的な改善策を検討することが必要であると考えております。このため,実際に開票事務を担う市町村選挙管理委員会と一体となって,作業の分析,前回との比較検討,先行事例の調査研究等を行いまして,開票事務の迅速化に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(佐藤)  1つだけちょっとお願いをさせていただければなというふうに思います。
 ESDに関しましては,本当に積極的な前向きな御答弁ありがとうございました。
 透析につきましては,これはプロローグということで,これからまたこの場でいろいろ論戦をさせていただきたいなと思いますが,それはそれといたしまして,介護事業者の実態なんでございますけれども,先ほど部長の答弁にございましたように,介護保険の制度設計そのものは国がやっている,介護保険のその報酬などは市町村が決めている,じゃあ県が絡んでくるところがまさにそれが監査だとか指導の部分で,事業者にとってみると,一番目に見える行政は,実は県なんですよね。そういった中で,本当に介護保険の事業者がどういった状態で会社を経営されているのか,その状況の中で,例えば,行政が昼間にいわゆる指導者研修等を開催される,そういうことがあるわけでございますが,その研修会に出ていくためのお金も確保できない,そこのスタッフをどうやって充てるんだ,そのスタッフがいない分のお金はどのように補てんするのか,そういったことも苦しみでありますし,また,監査していただく,それは当然のことです。きっちりそれはコンプライアンス,これは事業者が持ってもらわくちゃいけませんけれども,しかしながら,必ずしも本当に,昨日は高原議員からございましたけれども,そういったシステムがきちんとできていなければ,ある意味で本当に机上の議論,書類の不備がありますよということで,ある意味つつくような話になって,その監査におびえているような実態がございます。本当に1日の労務が終わって書類づくり,しかも県の監査に備えるための書類づくりに忙しい仕事の後,時間を割いている,そして実地指導で非常に小さいことまでいろいろ言われるわけでございます。大概の事業者は,本当にそのお金のためにはやっておりません。この介護保険の中で,自分の親と同じような高齢者の方をしっかり守っていきたいな,それから若い世代で入っていく人たちも,福祉の心を持ってそこで夢を描いてやっている,その状況の中で今経営難があるということはわかっていただきたいと思います。
 そして,先ほど部長の答弁で一番最後に事業者を育成する監査というふうに言っていただきました。まさにそういった形で,ある意味で事業者をいじめるとは言いませんけれども,結果として事業者がつらい思いをするような監査ではなくて,こうしたらもっとこういう部分がよくなるよというふうな,中小企業の支援のような,そういった温かい心のある,育てる監査をしていただきたい,そのことを心からお願いさせていただきます。ありがとうございます。

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