平成18年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 介護保険の改正について
 (1)地域介護・社会介護            (保福)[ 知  事 ]
 (2)デイサービス               (保福)[保健福祉部長]
2 大イベントについて
 (1)継続の理念等               (総務)[ 知  事 ]
 (2)全国都市緑化フェアへの認識
                         (土木)[ 知  事 ]
 (3)岡山独自の視点              (土木)[ 知  事 ]
 (4)都市緑化運動の推進            (土木)[ 知  事 ]
3 岡山県総合グラウンドについて
 (1)必要な駐車場数              (土木)[ 知  事 ]
 (2)全国生涯学習フェスティバルの駐車場対策
                         (教育)[ 知  事 ]
 (3)タクシーの待機スペース等
                         (土木)[ 土木部長 ]
 (4)津島遺跡史跡整備事業等
                     土木協力(教育)[ 教 育 長 ]
 (5)障害者の駐車場              (土木)[ 土木部長 ]
 (6)敷地利用の見直し等            (土木)[ 土木部長 ]
 (7)武道館の現状等              (生環)[ 知  事 ]
 (8)大学生の使用料金             (土木)[ 土木部長 ]
4 路面電車について
 (1)認識                   (生環)[ 知  事 ]
 (2)「吉備沃野」のお色直し          (企振)[ 知  事 ]
 (3)米倉津島線の整備等            (土木)[ 土木部長 ]
 (4)吉備線のLRT化             (生環)[ 知  事 ]
 (5)JR備前三門駅付近の高架化        (土木)[ 土木部長 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 まずは,愛する日本の誇りをかけて,サッカー日本代表とイラク自衛隊のもう一踏ん張りを期待してエールを送り,通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 このたびの介護保険制度改正は,現場においてさまざまな混乱を招いていますが,その中でも,介護保険の枠組みの中で対応できない事例というのが出てきていますが,特に問題になっているのは,限りなく要支援に近いが自立とされた方々への対応であります。県民局では,こういう方々に対して,老人クラブの集まりに行けばよいという指導をされているようでありますが,これはいわば高齢者の方の引きこもりと言える現状を十分に認識されているとは言えないと思います。もともと出歩かない方,地域活動に参加されていない方はもちろん,逆にむしろ積極的に地域に出ておられた方こそ,心身の衰えとともにかえって外出ができなくなる傾向があるわけですが,そういう方々の意欲を高め,いかに出ていける場所,つまりは高齢者の方の居場所づくりをするかは大きな課題であります。民生委員の方々も本当に熱心に活動されておられますけれども,高齢者の方々がみずからが居住される地域に出ることを望んでいないような場合もあり,いわゆるコミュニティーづくりでは解決できない問題とも言えます。私は,家庭介護,施設介護に加えて,その間の地域介護,社会介護という発想も必要なように思いますが,現状の御認識と今後の方針についてお知らせください。
 加えて,介護保険は直接は保険者である市町村の運用でありますが,県が事業者の監査をするという意味では,しばしば県の解釈が現場に大きな影響を与えます。特に問題にもなりましたが,いわゆる花見や移送中の立ち寄り,あるいは散歩といったものは,地域や社会において意欲を高めるという意味においても,デイサービスは本来QOLを高めるためのものであるという考え方からしても,当然に介護保険の枠内にあるべきものだと考えますが,こうした家庭と施設の間のケアについて,保健福祉部長の御認識をお聞かせください。
 最近,私もいろんな場面であいさつというのがございますが,「岡山県もなかなか景気がよい話はありません。でも,昨年は国体,ことしはプレデスティネーションキャンペーン,来年19年は生涯学習フェスティバル,21年には全国都市緑化おかやまフェア,22年には国民文化祭があります。楽しみですね」と,そういう話をすると,「そがなイベントばあするお金があるんなら,税金をちいと安うしてくれえ」と,このようなことでかえって怒られているきょうこのごろでございます。個人的には,事業費がどこから捻出されるにせよ,こうした大きなイベントは少なくとも私は何もしないよりはさまざまに活性化すると思いますし,しかしこれはなければないでやっていけるのかなとも思ったりしますし,それぞれの事業に意味があるのは当然でありますが,行政の行う大イベントは,非日常性と継続性の相克もあるように思います。「快適生活県おかやま」の実現を目指して,現在2020年ごろを目標とした長期的構想を含む次期夢づくりプランを策定されているところでもあり,県民の皆様に夢と希望を与えるために,多分野にわたる施策事業を展開される中でも,何かやっぱりこういう大イベントというのは続けてしなくてはいけないんだという理念,熱い思いを御教示ください。
 また,現在は向こう5年分の大ネタでございますけれども,5年先以降の夢や希望が持てる全国規模の大イベントの御予定がありましたらお知らせください。
 一方で,こうした大イベントは,かかわり方も問題もあると思います。昨年の「晴れの国おかやま国体」,「輝いて!おかやま大会」で一切の感動が得られず,あれはむだでしたという方がおられたら,それはもう単にかかわり方が悪かったのではないですかと,悲しむべきことだと思います。そうした中,全国都市緑化フェアについては,会場の面積や入場者数がしばしば問題として取り上げられますが,開催要綱の第1条にあるように,その目的は,「国,地方公共団体及び民間の協力による都市緑化を全国的に推進し,もって緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与すること」であり,会場は主会場だけではありませんし,また,その効果はすべて経済効果として換算できるものでもないと私は考えます。むしろ新しい緑を生み出す西大寺会場と緑の財産を生かす岡山城・後楽園会場のみならず,全国に誇る西川緑道公園のように,岡山市の都市部がどれだけ緑化されたかが問題ではないでしょうか。それが全県の都市緑化のモデルになるという発想こそが重要だと思いますが,知事の御認識をお聞かせください。
 また,開催の基本的事項については,ある意味要件も緩く,オリジナリティーが十分に発揮できるものであります。そうした点では,基本構想に示された開催理念の中に,CO2の吸収量を高めるといった環境施策の視点をもっともっと強く打ち出すべきではなかったのか,また,森づくり県民税の活用実態や森林保全の大切さを都市においてこそ啓蒙するといった岡山独自の視点を加味すべきだと思いますが,御認識をお聞かせください。
 さらに,協働をうたうのならば,国体の花いっぱい運動のように,会場内や周辺のみならず,ビルの屋上緑化やビオトープの設置はもちろん,街路や商店街や住宅地を含めて,一人一花,一会社一鉢運動といった,市民・県民運動を展開するなど,一過性のイベントやお祭りといったものではなく,30年後に評価されるような継続性永続性のある都市緑化運動をあわせて推進すべきであると考えますが,御認識をお聞かせください。
 次に,岡山県総合グラウンドについてお伺いいたします。
 昨年の国体秋季大会主会場となった岡山県総合グラウンドについては,平成10年9月定例会において,現在の県総合グラウンドを改修して,改修に当たっては津島遺跡検討委員会の調査結果を尊重し,埋蔵文化財の保護保存に十分配慮の上,スポーツ施設と文化財が共存する施設整備をされるとの方向を示されました。この知事の御判断は,財政的にやむを得なかったものだと思いますし,何よりも岡山国体の大成功の大きな要因になったものとして,歴史的に評価されるものだと思います。ただ一方で,通称「運動公園」と言われる総合グラウンドでありながら,埋蔵文化財の保護保存もしなくてはいけないというのは,都市公園として他都市の総合グラウンドにはない特徴,あるいは大きな縛りではないかと思います。そうはいっても,岡山県の総合グラウンドにおいては,何だかんだ結構施設がございまして,(以下,パネルを示して説明)これは本当に赤坂先生につくり方を教わらなくてはいけなかったようなものでございますが,これは県営グラウンドの中で,地図はぼろいんですが,(指し棒を示し)指すのは立派です。こちらがいわゆる桃太郎スタジアムです。桃太郎アリーナ,それから県営球場,それからこういった形でたくさんの施設群が入っております。ちなみに,ここの黄色いところが駐車場でございますが,一見ここが使えるように見えるんですけれども,これは津島遺跡でございまして,この遺跡の上は運動場のようになっていて,みんなが遊んでいると。ちなみに,このあたりはマラソンコースになっておりまして,この中も運動施設がいっぱいという状況でございます。
 こういった形でございまして,本当に津島遺跡の下にいる古代人もびっくりといった状態になっております。そして,この間,モータリゼーションの波に逆行して,体育施設でぎゅうぎゅう詰めの敷地の中で,駐車場は隅に隅に追いやられました。
 かつてこの県営球場では,1万3,000人が収容で,プロ野球が頻繁に誘致されておりましたが,このときは,「この中に2,000台の駐車ができる」,そういううたい文句で県内外から観光客を呼び込んでいました。現在の正式な駐車場は,球場前の第1駐車場が133台,これが133台,武道館前の第2駐車場がこちらが137台,飛び込み台を壊してつくったプール横の第3駐車場が94台,こちらが94台の計364台です。しかし,これでは到底対応できないため,臨時駐車場として自由広場,こちらの上の方にありますけれども,122台,野球場裏に122台等で,トータルで最大が608台であります。そして,国指定の津島遺跡内部にはなりますけれども,桃太郎スタジアムの西の三角池周辺,このあたりでございますが,このあたりで約250台の臨時駐車場を確保するのが考えられる最大の駐車場であります。周辺は市内有数の一等地で,駐車場整備に多くの期待ができる状況にはございません。昨今は,建築物の横には駐車場の設置が義務づけられているわけですが,一体県はその総合グラウンド内の施設が最大限に使われたとして,何人の人間が集まって,そのためにはどの程度の駐車場が必要と考えておられるのでしょうか,まずもってお伺いいたします。
 特に,来年秋の5日間にわたる全国生涯学習フェスティバルの駐車場対策についてはいかようにお考えでしょうか。
 加えて,現状では,例えば,JR岡山駅西口からのシャトルバス等が整備されていないため,総合グラウンド横の国道53号は大会があるたびにタクシーで渋滞いたしますが,大きな競技開始の前後には,タクシーの待機スペース等が必要と考えます。土木部長の御所見をお聞かせください。
 そして,さらなる大問題でございますが,恐らく旧体育館跡に新テニスコートができれば,ここでございますが,このテニスコートができれば,それだけでこの駐車場はいっぱいになるだろうということですが,さらに恐ろしいのは,国指定の津島遺跡のうちの約250台の臨時駐車場が間もなく使用不能になるということであります。ここを臨時駐車場にしておりましたが,これが使えなくなります。というのは,桃太郎スタジアム前の三角池周辺に,岡山県教育委員会は水田や湿地を含めた遺跡の復元を考えておられるからであります。今年度には本格的に着工で,国指定史跡で国費も入り,もはやとめられない状況のように伺いますが,スポーツ施設と文化財が共存する施設が宿命とはいえ,体育施設利用者や地域住民の避難場所としても使えるスペースが古代に逆戻りしてしまうことについて,十分な協議が本当になされた結果なのでしょうか。もともと遺跡の上なのですから,遺跡が悪いわけではありませんが,せめて駐車場の手当てはどこかにして事を進めるべきではないかと思います。それにしても,なぜ今,古代遺跡復元なのでしょうか。駐車場の手当ても含めて御所見を教育長にお伺いいたします。
 また,特に各体育施設への障害者の方々の駐車場は,ユニバーサルデザインという観点からどのように考えておられるのか,土木部長にお伺いいたします。
 いずれにせよ,私は,この総合グラウンドの駐車場については,管理上の工夫の限界を既に超えていて,施設整備,構造上の問題であると言わざるを得ないと考えます。現在,指定管理者に管理が任されていますけれども,いま一度この岡山県総合グラウンド内の敷地利用について,今後のあり方も含めて総合的なチェックが必要な状況にあると思いますが,土木部長の御所見をお聞かせください。
 ところで,実は武道館や桃太郎アリーナでの競技大会では,選手,役員の方々が自動車で来られても十分な駐車場がないと事前にアナウンスしておく必要があり,そんな話は聞いたことがないと,大会自体が誘致できないこともあると聞きます。岡山駅から近いので,剣道の防具を小学生も担いで歩いて武道館まで来てくださいというふうに普通は言えません。実は,現在の武道館も建設の際に遺跡に阻まれて,現在の場所に規模縮小して建てられたと聞きます。その結果,余り知られてはいませんけれども,柔道も剣道も正式な形で4面をとることができません。とりわけ,柔道は通常よりも畳を小さくして大会を実施することが余儀なくされ,つまりは,例えれば,京間で柔道競技を実施するという非常にイレギュラーな事態が発生しております。剣道や空手なら桃太郎アリーナを使うということもあるでしょうが,柔道では畳を敷く必要があることから,なかなかそういうわけにはいきません。
 加えて,弓道場でありますが,この県の施設としては考えられない近的6人立ちのみという施設であり,きちんとした更衣室さえないありさまで,大きな競技大会を開催することは不可能であります。国体の際は玉野を主会場にして弓道も競技別優勝を果たしましたけれども,10年内には高校総体が岡山に回ってくることも予想され,願わくば県立弓道場の整備も強く望まれるところです。ちなみに,お隣鳥取県の米子にある武道館は,相撲の土俵もあり,弓道なら近的12人立ちはもちろん,遠的6人立ちの道場も備えた総合武道館で,柔道,剣道,弓道,空手道,なぎなた,銃剣道,相撲,合気道,少林寺拳法,武術太極拳など,すべての武道の全国大会を開催でき,会議室や研修室も併設し,さまざまな武道教室が毎日開催されている,本当に立派なものであります。皆生温泉もすぐそばにあって,全国大会誘致は観光施策の一つにもなっています。
 私は,老朽化した岡山武道館は,総合グラウンド内の駐車場確保のためとはもちろん申しませんけれども,現在地以外での場所での建てかえも含めて,日本の武道振興のために,改めてそのあり方を考える時期に来ているのではないかと考えます。願わくば,例えば,弓道の遠的9人立ち,近的12人立ちの道場を1階にし,2階から上をさまざまな武道の道場にして,階を重ねた総合武道館の整備が将来的には必要なのではないかと思います。老朽化した武道館と新たな古代遺跡復元には,どこかアンバランスなものも感じるのですが,武道館の現状と今後について,知事の御所見をお聞かせください。
 関連して,これも議会が条例を議決したわけでありますが,体育施設の使用料金に大学生の学割がきかないという声があります。周辺に大学が多くあり,中高生との交流も図ることができることから,より大学生に使いやすい使用料を考えるべきだと思いますが,土木部長の御所見をお聞かせください。
 最後に,路面電車について。
 現在,路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れについて,RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)により,署名活動が展開されています。JR岡山駅については,平成21年度に完成予定の東西連絡通路と西口広場バスターミナルにあわせて東口バスターミナルも再検討の方向のようですが,駅前広場の利便性については,多方面からさまざまな声が上がっているのは御案内のとおりであります。そうした中で,飛躍的に交通の利便性が向上されると思われる路面電車の駅前乗り入れは,JR土讃線の高知駅,JR山陽本線の横川駅,JR鹿児島本線の鹿児島駅で実施され,高知駅では駅乗り入れをしたことにより,高知駅前電停で約15%から20%の利用客の増加があったとのことであります。岡山市内の路面電車の都心環状化構想はひとまず置いておいて,路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れというのは,非常に現実味のある話だなというふうに思います。もちろん私も,岡山駅前広場整備は直接は県の所管ではないということは,十分に認識いたしております。ただ,県も全く関係がないわけではございません。特に,駅前路面電車利用者の4割は倉敷など,県内からのお客で,岡山駅から8方向に走るJR線のお客を岡山市内,特に商店街に送っているというデータもあります。岡山市役所職員は恐らく皆無でありましょうが,少なからずの県庁職員の方々も路面電車を通勤に利用しているはずで,体感されるはずですが,広域交通行政施策の一環として県も考えるべきではないでしょうか。まず,路面電車に対する知事の認識をお知らせください。
 ところで,岡山駅東口広場には,ちょうど桃太郎の銅像を囲む形で岡山県の新千年紀記念事業で「吉備沃野」というパブリックアートがあります。西暦2000年を記念して各界を代表する委員から構成される新千年紀記念事業推進会議において,芸術家の専門家等を交え,1年間にわたって審議をした結果,整備されたものであります。これが78市町村の名前を書き込んだ歴史的なものになっており,しかも現在老朽化が甚だしく,駅前広場の有効活用に必ずしも資するものではないように思います。失礼ながら,このパブリックアートが政令指定都市を目指す岡山市の駅前広場で,今後78市町村の名前を残す意義も不明でありますし,駅前広場の有効活用の一助になっているようには感じられません。さらには,今後,先ほどの路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れについても積極的な要因にはならないと思います。なくてもいいと思うんですけれども,せめてお色直しが必要なように思いますが,どう感じておられるのか,御所見をお聞かせください。
 ところで,JR西日本が表明している吉備線の路面電車化が実現した暁には,コンベンション機能のある西口のママカリフォーラムから東口,表町を電車で結ぶことができるという夢もあり,また,吉備路観光の起爆剤としてもLRTの吉備線への乗り入れについては注目が集まっています。JR吉備線については,特にこの春暫定開通した都市計画道路米倉津島線,いわゆる中環状道路西崎工区はT字路で行きどまりで,新たな渋滞ポイントを三門小学校前と三門交番前に生んでいるわけでありますが,早晩JR吉備線といかにこの中環状が交差するかは問題にはなりますが,ともあれ国道180号まで早急に抜いていただかないと話になりません。まずは,中環状がいつ国道180号と接続するのか,また,その先国道180号岡山西バイパス開通後は,恐らく県道または市道に格下げが予測される国道180号の万成峠の拡幅の予定について,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,岡山より後に路面電車の構想を打ち上げた富山市では,利用者減少によりJR富山港線の存続が危ぶまれる中で,北陸新幹線建設を契機に,路面電車走行空間改築事業及び昨年度創設されたLRTシステム整備費補助の補助制度を活用し,JR富山港線の路面電車化を実現しています。国では,現在3つの補助制度が同時に採択できるLRT総合整備事業が創設されて,LRTの整備が一体的総合的に支援されることになり,国会でも岡山の逢沢一郎代議士を会長とするLRT推進議員連盟が活発な活動を展開しています。そうした中,6月16日の岡山市議会で,吉備線LRT化について,政令指定都市に向けたまちづくりの観点からも,吉備線を含む市内におけるJRT導入は,公共交通の重要な手段との認識を示し,今後,国,県,関係者と協議しながら,最もふさわしく市民に受け入れられるLRT計画の素案づくりを鋭意進めたいとの答弁がありました。明確に岡山市が動くとの宣言であり,早晩岡山県にも正式な協力要請があることでしょう。JR吉備線LRT化そのものについては,実現すれば恐らくそのインパクトは富山港線の比ではないと思います。岡山市内では,石井中学校区から一宮,高松,足守地区,さらに総社,考えようによれば井原線にまで影響する基礎自治体を越えた話でもあり,沿線住民の利便性が増し,180号の渋滞緩和,環境対策にも資する巨大プロジェクトであります。事業費,役割分担,沿線の道路整備等,課題も生じると思われますが,県も積極的に協力しようとお考えか,知事にお伺いいたします。
 とりわけ,JR備前三門駅周辺の渋滞問題に苦しむ三門学区初め地域の方々にとって,JR吉備線については高架にして中環状と立体交差をさせるというのがまさに悲願であり,岡山県も現場サイドではその合意形成のために本当に汗をかいてこられました。私は,LRT導入が必ずしも高架事業全体をとめるということとイコールではないと理解しておりますが,県ではこの事業に今後どのように取り組んでいかれるのか,土木部長の御所見をお聞かせください。
 私の質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 介護保険の改正に関し,地域介護,社会介護が必要ではないかとの御質問でございますが,今回の介護保険の改正によりまして,新たに介護予防事業が創設されたことから,市町村が実施主体となって,すべての1号被保険者を対象に,生活機能の状態の把握等を行いさらにその中で,閉じこもり,認知症,うつ等のおそれのある高齢者を対象にいたしまして保健師等が訪問し,必要な相談指導を実施することとしております。こうした取り組みを通じまして,高齢者を地域で支える仕組みづくりが推進されますように,市町村を支援してまいりたいと存じます。
 次に,イベントの関連でございますが,継続の理念等についてでありますが,5年先以降の全国規模のイベントにつきまして,現時点で開催が確定しているものはありませんが,お話の国体や国民文化祭のように,本県のよさを全国にアピールしたり,地域が活性化し,本県の発展につながるような全国規模の大イベントを開催するということは,県政の推進にとりまして非常に有意義であると考えております。このため,厳しい財政状況ではございますが,費用対効果も十分に考慮しながら,こうした効果の大きいイベントにつきましては,今後とも,誘致・開催に向け,検討を進めてまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアへの認識でありますが,都市緑化フェアは都市緑化を推進し,緑豊かな潤いのあるまちづくりに寄与する目的で開催するものであります。このため,メイン会場の西大寺地区やサブ会場であります岡山城・後楽園等を初め,県下全域で多くの県民が参加する協賛事業を通じまして,全県的に県民の緑化意識の向上を図るということが重要であると考えております。
 岡山県独自の視点でありますが,さきに取りまとめた基本構想において,フェア開催方針の一つに,環境に優しい暮らしを位置づけまして,環境施策の視点を打ち出しております。また,お話いただきました森づくり県民税の活用実態など,岡山独自の視点につきましては,今後策定する基本計画の中で具体的に検討を進めてまいりたいと存じます。
 都市緑化運動の推進でありますが,都市緑化フェアについては,緑豊かなまちづくりを体験から実践に広げる機会であると位置づけておりまして,開催によって県民の緑化意識を高めますとともに,全県的な緑化運動に発展させることが重要であると考えております。このため,お話のように,都市緑化運動につきましては,永続性のある運動として推進する必要がありまして,フェア開催を契機として,広く県民やNPOなどと協働いたしまして取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,岡山県総合グラウンドの必要な駐車場数についてでありますが,平成15年3月に策定いたしました総合グラウンドのリニューアル整備計画におきまして,車利用のアンケート調査等から,駐車台数算定の基礎となる平均的な休日利用者数のピークを約4,000人程度と見込み,そのための必要駐車台数につきましては,約600台と計画したものであります。また,この総合グラウンドは,駅にも近く,公共交通の利便性も高いということから,大規模な大会等で一時的に多数の利用者がある場合におきましては,公共交通機関の積極的利用を働きかけするなど,主催者と管理者である指定管理者との間で十分な調整が行われますように,県といたしましても適切に対応してまいりたいと考えております。
 全国生涯学習フェスティバルの駐車場対策でありますが,この大会は環境への配慮もテーマの一つでありまして,主会場周辺の渋滞緩和も考慮いたしまして,来場者の方々にはできるだけ公共交通機関の利用をお願いいたしたいと考えております。また,車での来場者に対しましては,近郊に臨時駐車場を設けまして,主会場への交通手段を確保するなど,その対策につきましては,実行委員会で検討してまいりたいと思います。
 武道館の現状等でありますが,岡山武道館は本県武道の中核施設として,武道振興に大きな役割を果たしているところでありますが,建設から35年が経過いたしまして老朽化が進みますとともに,大規模な競技会を開催するには手狭な状況となっております。このため,将来的には武道館の整備が必要であると考えておりまして,その際には,お話ございましたように,建設場所や弓道場のあり方等も含めまして,総合的に検討しなければならないと考えておりますが,現時点におきましては,まずは行財政改革を進めた上で,その先の課題とさせていただきたいと考えております。
 路面電車に対する認識でありますが,公共交通機関は,環境への影響や輸送効率性,また,高齢化社会への対応等の面ですぐれておりまして,県ではその利用を促進しております。特に,路面電車は二酸化炭素の排出量が自動車より少なく,利用が進むことで都市における環境負荷の低減に寄与いたしますほか,交通渋滞の緩和や市街地の活性化も期待できる公共交通機関であると認識いたしております。
 「吉備沃野」のお色直しでありますが,「吉備沃野」は新千年紀の記念といたしまして,各界代表で構成されます新千年紀記念事業推進会議での審議結果も踏まえまして,岡山駅前広場に整備したものであります。完成後5年近く経過し,広場のモニュメントとして噴水や桃太郎像等と一体となって,県内外の多くの人に親しまれておりまして,昨年は地元ローターリークラブの協力によって中心部の花壇の改修も行われたところであります。今後とも,傷みによる修繕を含めまして,必要があれば適切に対応してまいる所存であります。
 吉備線のLRT化に対する県の協力についての御質問でありますが,まずは何よりも岡山市が計画の素案づくりの中でどのような方向性を打ち出されるのか,さらにこのことは何よりも地元機運の高まりも必要であるということでありまして,それらの状況が今後どうなっていくのかといったことを見きわめながら,県といたしましても適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答え申し上げます。
 介護保険のデイサービスについてでございますが,デイサービスは事業所で行うことを原則としておりますほか,事業所外でサービスを提供する場合には,効果的な機能訓練等が実施されていること,ケアプランに合理的な目的が位置づけられていること,事業所外と事業内の各利用者数の合計は利用定員の範囲内となっていること,介護の従事者は事業所外と事業内の各利用人数ごとに応じて基準上必要とされる人員がそれぞれ配置されていること,提供した具体的なサービスの内容等を記録することなどの要件を満たした場合に,介護保険の適用となるものでございますが,これらの要件に合致するかどうかは,お話のお散歩なども含め,個別案件ごとに判断することとなるものでございますので,御理解賜りたいと思います。
 以上でございます。


(土木部長)  お答え申し上げます。
 岡山県総合グラウンドのタクシーの待機スペース等についてでございますが,大規模な大会等の開催に際しましては,公園内の自由広場の一部を活用いたしまして,臨時のタクシー待機スペースを確保することができますので,主催者と管理者である指定管理者との間で十分な調整を行っていただきたいと存じます。
 次に,障害者の駐車場についてでございますが,野球場横の第1駐車場に4台,武道館と補助陸上競技場の間の第2駐車場に4台,さらに桃太郎スタジアムとプールの間の第3駐車場に2台,合計10台分の障害者のための駐車場を設置いたしております。また,駐車場から各施設へは,園路の段差解消やわかりやすい案内標識の設置を行うなど,ユニバーサルデザインに配慮した整備を行っているところでございます。
 次に,敷地利用の見直し等についてでございますが,総合グラウンド内の敷地利用につきまして,利用者を含め幅広く御意見をお聞きしながら,総合的な観点からリニューアル整備計画を策定いたしましたところでありまして,現在この計画に基づき整備を進めているところでございますので,御理解賜りたいと存じます。
 次に,大学生の使用料金についてでございますが,総合グラウンドの有料施設の使用料金は,施設ごとの設置目的や使用形態,類似施設の使用料金等を総合的に勘案いたしまして,設定しているところでございます。
 なお,桃太郎アリーナの利用に際しましては,大学生以下の方による催し物について,使用料金を低く設定しているところでございます。
 次に,米倉津島線の整備等についてでございますが,西崎工区に続きます吉備線工区につきましては,現在約86%の用地買収を終えておりまして,来年度から工事に着手する予定でございます。今後とも,地元関係者の御協力をいただきながら,早期に国道180号と接続できるよう努めてまいりたいと存じます。
 また,国道180号の万成峠の拡幅につきましては,現在,事業を進めております吉備線工区の進捗状況等を見ながら,今後,岡山市など関係機関と協議を進めてまいりたいと存じます。
 最後に,JR備前三門駅付近の高架化についてでございますが,米倉津島線の整備の一環といたしまして,JR吉備線を高架化する計画でございまして,この計画に基づきまして,現在吉備線工区の道路部について用地買収など鋭意整備促進に努めているところでございます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えいたします。
 津島遺跡史跡整備事業等についてでございますが,津島遺跡は我が国の水稲耕作開始期の実態を初めて明らかにした重要な遺跡であり,その一部は国指定史跡となっております。県教育委員会では,総合グラウンドが国体主会場候補地になったことに伴い,遺跡の保護保存のあり方を調査・審議するために設置した津島遺跡検討委員会の提言を受け,平成16年度から5年計画で史跡整備に取り組んでいるところであります。この事業により,総合グラウンドはスポーツ施設と文化財が共存する全国でもまれな都市公園となり,多くの人々の利用が期待されるところであります。また,津島遺跡を保存活用し,次世代へ継承することは,文化をはぐくむ地域づくりの観点からも重要な意義があると考えております。
 なお,駐車場については,総合グラウンド全体で日常的な利用に対応できる駐車台数は確保されていると聞いているところでございます。
 以上でございます。


(佐藤)  要望だけにさせていただきますけれども,これはそう感じるか感じないかということだと思うんですが,少なくとも総合グラウンド,平均が4,000人とったというのはわかるんですけれども。例えば,4月29日に,ファジアーノ岡山というサッカーのJリーグを目指すチームの試合では,4,000人以上の観客が桃太郎スタジアムに参りました。6月にも3,000人以上の観客が来て,そのときの状況で,それは桃太郎スタジアムだけを使っておったわけでありますけれども,ほかのところを使えば,少なくとも日曜日に4,000人という数字はまず出ないだろうなと。それから,岡山市の方で今御要望があるわけですが,バレーのシーガルスの本拠地を例えば桃太郎アリーナにしてはどうか,あるいはそういった試合がどんどん出てくるかもしれません。地域のスポーツ振興ということで,そういったトップチームを育てるということであれば,観客の方もたくさん来ていただけるような,そんな総合グラウンドではないといけないということで,駐車場がこれ以上整備できないというのは,ある程度は理解いたしますが,少なくともそうであるならば,そこまでの交通手段等の確保をぜひ考えていただきたいなと要望として思います。
 それと,LRT,吉備線の方でございますが,地域の高まりということでございまして,今は岡山市の方がしっかりとこれから基本計画をつくっいこう,その中で国と県,そしてまたJRと協議をしていくということでございますので,ぜひその土俵に乗っていただいて,県の方もいろんな事業をやられておりまして,地域の方もこれは本当に何年もかかっている大変な事業でございます。そこまでの汗に対しては十分敬意を払いながら,しかし新しい時代のLRTということで,そういった動きに岡山が乗っていけるかどうか,これは一つの政治判断ではないかなと思いますので,ぜひ前向きなお話として今後やっていっていただければと要望させていただきます。まことにありがとうございます。

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