平成18年2月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 「ももっち」について             (総務)[ 知  事 ]
2 後楽園について
 (1)周辺整備のグランドデザイン    企振協力(土木)[ 知  事 ]
 (2)周辺施設等との回遊性           (土木)[ 知  事 ]
 (3)岡山県博物館協議会            (生環)[ 知  事 ]
 (4)県ができる整備              (土木)[ 土木部長 ]
 (5)指定管理者制度の導入           (土木)[ 土木部長 ]
 (6)観光施設としての施策の展開        (土木)[ 土木部長 ]
 (7)緑化フェアのサポート           (土木)[ 知  事 ]
3 農政等について
 (1)農業構造改革の流れに対する認識等     (農水)[ 知  事 ]
 (2)既存農家の支援              (農水)[ 知  事 ]
 (3)農業参入を促進する施策          (農水)[農林水産部長]
   ア 農地取得の下限面積の見直し
   イ 農地情報の提供等
 (4)生きがい農業               (農水)[ 知  事 ]
 (5)きめ細かい支援              (農水)[農林水産長]
 (6)今後の農協の在り方            (農水)[ 知  事 ]
 (7)農地確保のための線引き          (土木)[ 土木部長 ]
 (8)土地改良事業の補助率削減         (農水)[農林水産部長]
 (9)河川敷の農地               (土木)[ 土木部長 ]
 (10)県独自の河川管理             (土木)[ 土木部 ]
 (11)児童・生徒の農業に対する理解の向上    (教育)[ 教 育長 ]
 (12)農村部等の不在駐在所対策         (警察)[ 警察本部 ]




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。
 まずもって,先日御逝去されました森本徹磨先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
 本日最後でございます。どうかいましばらくのおつき合いをよろしくお願いいたします。
 思い起こせば,平成14年2月定例会で,当時の久保田国体推進局長が,この場でパネルを出されまして,「こんにちは,ももっちです」とおっしゃられたのがきのうのことのようでございますが,昨年の国体,障害者スポーツ大会で大活躍した我らがマスコット「ももっち」は,今はちゃっかりと来年の第19回全国生涯学習フェスティバルの第1回からのマスコット「マナビィ」と並んで出てきております。願わくば,この調子で岡山県のキャラクターとして定着してほしいのですが,ところで聞くところによりますと,「ももっち」は男でも女でもないそうであります。もはやそういうところを超越した存在なのでしょうが,「ももっち」のモチーフが桃太郎であることは間違いないところでございます。ところで,桃太郎というお話は,裏伝説もさることながら,大変に奥の深い話でございます。「山へ芝刈りに,川に洗濯に」は,それとなく父の恩は山よりも高く,母の恩は海よりも深し。海で洗濯できないので川でございますけれども,それを教えております。お供には犬,猿,キジでございますが,これは,犬は忠義,猿は猿知恵と言うぐらいですから知恵,キジは勇気,すなわち知・仁・勇をあらわしているわけであります。そして,「渡る世間は鬼ばかり」何てことを申しますけれども,知・仁・勇をもって世間,社会という荒波を乗り越えて大成功して財をなし,孝行しましたよという,大変にありがたいお話でございます。
 何を申し上げたいかと申しますと,ぜひ「ももっち」にお供を,仲間をつくっていただきたいということであります。犬,猿,キジ,そして恩讐のかなたに,今は鬼とも和解して,その子供とは連れなんじゃというふうな,そういった楽しいキャラクターで岡山県をアピールしてはいかがでございましょうか。国民文化祭では,国体のときよりも仲間も結局グッズも多くなるわけでございますが,それでこそ桃太郎の国岡山がアピールできると思います。岡山では,OHKの「OH!くん」やTSCの「ななちゃん」など,これはいわゆるキャラが立っておりますけれども,願わくば,「ももっち」はサンリオの「キティちゃん」,あるいは「ミッフィー」をライバルに,世界に羽ばたいていただきたいと心からお祈り申し上げる次第でございます。
 次に,後楽園についてお伺いいたします。
 今議会では,倉敷チボリ公園の基本的方向性についての議論がなされておりますけれども,後楽園も問題ではないでしょうかということを申し上げたく思います。平成11年9月,12年9月,16年2月の定例会で質問させていただきましたが,改めて伺いますのは,平成22年の国民文化祭に向けて,江戸時代を代表する大名庭園であり,郷土岡山が世界に誇る貴重な歴史的文化遺産である日本三名園の一つであります後楽園に関しては,主会場とも言える文化ゾーンの中核として,築庭300年祭以上の力を入れる必要があると考えるからであります。日本三名園の一つながら,平成17年度の入園者は,国体があったにもかかわらず66万人程度と予想されております。新幹線岡山開通時の昭和47年度には入園者が210万人,瀬戸大橋開通時の昭和63年度には150万人,築庭300年祭のときには大変にみんなが努力した結果入園者92万4,000人,幻想庭園など定着したイベントも多いのですが,ここ5年間は60万人から70万人台で推移しております。チボリ公園以上に,後楽園にとっては100万人というのが非常に高いハードルになっております。同じ三名園の兼六園の平成16年度の入園者は,後楽園の2.6倍の164万人,水戸の偕楽園でも124万人であります。入園者が減れば一般会計からの持ち出しもふえ,しかも今10%削減が続いているという極めて限られた予算の中で,むしろ多くのボランティアの方に支えられ,後楽塾開設等,本当に涙ぐましい努力で管理運営されていると思います。それでも,今や後楽園は観光バスは朝一か夕刻前に,つまり食事を外した時間に1時間だけ立ち寄る観光スポットで,旅行業界の観光地としての内部ランクも非常に低くなっております。いつも申し上げることでございますが,私は,後楽園は周辺施設との回遊性に決定的に問題がある,そのように考えています。後楽園は絶対に兼六園には負けていないのでありますけれども,周辺の総合力で大きな差がついてしまっている。そのことはだれもがもうわかっておるわけでありますけれども,明治に入り池田家より御寄贈いただき,現在県が管理をし,昭和27年に後楽園が文化財保護法で国の特別名勝に指定されて,そうそう自由にいじれない,しかしそのことも重々理解した上で,今抜本的に後楽園に対する対策を講じなければ,後楽園は,遠くインドの方にはその魅力がわかっていただけても,貴重な文化財として守られながらも,入園者はじり貧になる忘れられた観光地になってしまいます。まずは,平成12年度末の事業評価委員会で後楽園周辺整備事業としての出石町の整備計画,これが白紙撤回されたわけでございますが,これが鶴見橋の歩道整備以外何もできなくなっている,そんな錦の御旗になっております。このままでは,後楽園の入園者は減少の一途をたどるばかりであり,何らかの対策が今必要であると思います。そこで,後楽園の入園者をふやし,にぎわいを創出するためには,周辺地域を含めた新たなグランドデザインが今必要であると考えますが,いかがお考えでしょうか,知事にお尋ねいたします。
 具体的には,岡山城かいわいは岡山市の管轄で,お城の殿様のお庭である後楽園の方は県の管轄ですなどというのは,市民県民のどなたも御存じありませんし,何より観光客にとっては,これはもうどうでもよいことでございます。月見橋を境として,岡山城・後楽園ゾーンが一体的に整備されてイベント等が今連携されている,そういった状況にあるとは言えないかもしれません。例えば,岡山市立のオリエント美術館や県立美術館,さらに民間の林原美術館や夢二郷土美術館を含めたカルチャーゾーン共通パスなども含めて,岡山市等との連携を図って,周辺施設との回遊性を高める施策はいかように進められているのでしょうか。また関連して,全県下の美術館,博物館のコンソーシアムとして岡山県博物館協議会がございますが,国民文化祭に向けて活動を充実させるべきだと思います。いかがお考えでしょうか。
 さらに,周辺整備ということで言えば,全国の観光地と比べると,恥ずかしいことにバス駐車場のそばに運転手さんや乗務員さんが休憩される場所すらございません。県外から来られて,バス内で皆さん待機されておられるわけですが,こういった配慮のなさが,結果的に観光業界の内部での評判を下げて観光客を遠ざけてしまいます。ぜひ善処をお願い申し上げます。
 また,県立博物館は本当に涙ぐましい努力ですばらしい企画展示をされていますが,大変に老朽化しておりまして,将来において建てかえるなら現在のあの場所にある必要があるのかしらというふうに思うわけでございますが,むしろ普通ならば後楽園資料館や観光休憩所があるような場所でありまして,こういった県ができる周辺整備について,ハードになりますけれども,いかようにお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,知事は今議会で,直営施設についても指定管理者制度導入による民間管理の可能性を示されましたが,管理運営業務の内容や法律上の制約から私は後楽園が民間管理になじむものとは理解いたしておりませんけれども,この点いかようにお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 また,都市公園という性格上,都市局都市計画課の所管ではありますが,文化財なら教育庁に,デスティネーションキャンペーン等を展開する観光施設ならば産業労働部に,よりなじむものと思いますが,後楽園は文化財か観光施設か都市公園かと考えたときに,観光施設によりウエートを置くと考えた方がよりさまざまな施策が展開できるように思いますが,いかがお考えでしょうか,お伺いいたします。
 さらに,平成21年の緑化フェアにおいては,主会場の西大寺カネボウ跡地を後楽園が既存の都市公園としてサポートする必要があると考えますが,御認識をお知らせください。
 さて,私は生まれも育ちも岡山市中心部,後楽園で産湯をつかっておりますので,あえて言えばこれ自体も死語でございますが,岡山の自称シティーボーイでございます。ですから,幼時の記憶の中にビルや路面電車はございましても,田んぼというのがございません。それでも昨今の国の農業施策について,何か農業に従事する方の楽しみや喜び,もっと言えば心の部分をどこか大切にしていないのではないか,そんな気持ちがいたしております。昨年3月の「新たな食料・農業・農村基本計画」の策定,9月の農業経営基盤強化促進法の改正,さらには10月の「経営所得安定対策等大綱」の決定,そして平成19年産からこれは幾らか緩和されるものの,日本型直接支払制度である品目横断的経営安定対策が実施されます。これらは,認定農業者や一定の要件を満たす集落営農組織などを農業の担い手として位置づけして,担い手が主体となる農業構造改革を加速させる一連の流れであり,この数年が事実上の農政の大転換期になります。
 思い起こせば,この激動は平成14年の「米政策改革大綱」の決定が始まりでありました。「米政策改革大綱」の根本は,構造改革の一環として,平成22年を目標に米づくりの本来あるべき姿を目指して,要するに市場原理にゆだねるということでした。そしてその後の施策は,大規模農家に対しては行政も積極的に支援しますよ,ということであります。端的に言えば担い手の育成ができない,あるいは集落型経営体への移行や転作等,時代に対応できない,そうした小規模農家は,これからはあるいは淘汰されてしまうかもしれないということであります。換言すれば,非常に使いたくない言葉でございますけれども,いわゆる勝ち組と負け組が農家でも生まれてくるのではないか。そうでなくても,右肩下がりの米価,好調な輸出の見返りのように自由化されて廉価な輸入農産物が増加しています。さらには,昨年来の原油高も直撃しています。改革には痛みが伴う,これは仕方がないにしても,まさに担い手不足が叫ばれる特に高齢化した水田農家,小規模農家においては悲鳴に近い叫び声が聞こえてきますが,知事はこういった一連の流れと農家の現状についていかような認識をお持ちでしょうか。
 また,意欲のある担い手を確保して育成していくという施策の重要性は非常に理解できるわけでありますが,最後は家族労働が一番機動的な農業に,例えば,あたかも救世主のように建設業者,高齢者の方々,団塊世代の定年退職組の方々が参入すべきだという発想自体,基本的に専業農家の方にとってはちょっと寂しいなと,どう考えているんだろうかという声がございます。まずは農家に生まれた若い世代の方々が,十分に自分たちは農業でも食っていけるんだと,そういった夢と誇りが持てる仕組みこそが重要であると考えますし,そういった中では兼業農家の位置づけも重要であります。その点についての御所見をお聞かせください。
 加えて,具体的なことでございますが,退職者の方などが新たに農業に参入しようとするとき,ネックとなるのが農地法の規定であります。農地の権利を取得するには,現在は50アール以上の農地を取得しなければならないという,いわゆる下限面積の要件が定められていますが,この規定が新たに農業に参入しようとする方にとっての障壁となっているのではないでしょうか。昨年9月に農地法施行規則が改正されて,一定の要件を備えれば都道府県知事が10アール以上の面積で下限面積を定めることができるというように要件が緩和されましたけれども,県下の下限面積の見直しをお考えでしょうか,農林水産部長にお伺いいたします。
 また,昨年,単位農協まで参加されて担い手対策推進本部を発足されたとのことでありますけれども,地域の農地情報を細かく把握している市町村が主体となって,地域の実情に応じてきめの細かい農地情報の提供や農地の利用をあっせんするシステムをつくるべきだと思いますが,県としてどのように取り組まれるのか,農林水産部長にお伺いいたします。
 また,高齢者の方々にとって,農業は自然の中である意味心地よい汗を流して生き生きできる,こう言ってはどうかと思いますが,最大の福祉施策でもあります。一口に農地といっても,条件がよくて効率的に営農ができるところばかりではありません。本格的な高齢社会の到来を考え,農業従事者の高齢化の中で,いわゆる生きがい農業とも言える部分も大切であると考えます。こういった観点についてはいかようにお考えでしょうか,農林水産部長にお伺いいたします。
 また,さまざまな農家の方々の声をちょうだいいたしました。農業経営基盤強化促進法において農業経営改善計画が認定されれば,いわゆる認定農業者になって,長期低利資金の融通や農地の利用集積の支援等の施策によって,その経営発展を重点的に支援すると行政はうたうわけですが,改良普及資金等を借りる場合は必要だけれども,法人化,認定農業者になることを行政が熱心に勧められる割には,なかなか当事者にとってはメリットがわかりにくい,そんな声がございます。また,農業改良普及センターでやっていただいている技術指導,優良事例の紹介などは本当にありがたいことですけれども,一方で,人員削減で普及指導員の方々が現場に出てこられる時間がないのではないか,机上のデータを示していただくよりも,現場に足を運んでおのれの経験に裏打ちされた指導をしてほしい,そんな声もありました。また,農薬の一斉防除など画一化される割に米価は下がり続けて,有機や減農薬など付加価値をつけないと採算がとれないそんな時代に,例えば特別な作物をつくりたくても農薬の登録がなされていなくて結果として断念するようなことがあって,こうした農家がそれぞれの個性が問われている時代に行政の方が対応できていないんじゃないかという声,そして行政はその時間も給料のうちだけれども,耕作で忙しい昼間に会議をしないでほしい,できれば雨の日か夜に会議はしてほしいという声等々,さまざまに伺いましたが,国の大きな流れもさることながら,地方におけるよりきめ細かい農家への支援が求められていると思います。農林水産部長の御所見をお聞かせください。
 そして,こうした中農家がやはり頼りにしているのは農協であります。分散農地所有のもと,稲作による共同作業を通じて農村集落が形成されてきたという歴史,さらには地域ごとの多様な農業形態や担い手の存在について,つまり,農家の方の心について一番理解してくださっているのはやはり農協であります。しかし,農協の合併はやむを得ないことだとは思いますけれども,金融機関がメーンじゃないんだけれども,預金量が多いという理由でATMを残して支所の中心が遠くへ行かれたら,現場から離れて非常に不便ではないか,そういうことだったら近所にある郵便局を指定口座にしたいぐらいだ,あるいは農協が土日休みで,しかも農薬などを予約制にされると土日の耕作に支障があるといった声もございます。もちろん農協の経営の効率化や高収入化ということも極めて重要なことでありますが,例えば組合員の営農指導という点では,行政とうまく役割分担,連携しながら農協の機能を強化していただく必要もあると思います。今後の農協について御所見をお聞かせください。
 私が暮らす,県庁所在地では最高の農業都市岡山市は,その形状から,ほっておけば果てしなく市街地が広がって農地を破壊して,あげく,結局は市街地も田畑もいずれ維持不可能になる危険性があると私は考えております。例えば,環状道路の計画がある郊外の市街化調整区域である地域では,論理必然性は実はないのですけれども,環状道路が通ったら市街化調整区域が外れて市街化区域になって,開通後土地の値段が上がって高値で売れるんじゃないか,そういったことを期待して,今,言ってみれば資産管理的に稲作をやられている方もおられます。ただ,うまく市街化調整区域になっても,道路に面していない田畑が売れるとは限らず,宅地並み課税に耐えながら,そして耕作地を仮に放棄したら,そこが地域のごみ捨て場になったりする,そして後から来られた方に農薬をまいちゃあいけんとか,そんなことを言われてトラブルも発生するというようなことが頻出しております。しかし,これは農家の方の責任ではないと私は思います。
 いわゆるこうした線引きの見直し権限は県にございます。線引き一つで地価が変動し,あえて言えば固定資産税も変わり,市町村財政への影響も大きなものがございますが,私はいわば中心市街地を守る郊外型大型店舗を規制するまちづくり三法見直しの流れの中で,しかし農業用地の確保に軸足を置いた線引きといったものも積極的に図る必要があるのではないかと思います。こうした観点について,市町村との連携を含めて,土木部長の御所見をお聞かせください。
 さらに,地域農業を取り巻く情勢は大きく変わって,農業水利施設の管理も複雑かつ高度となってきていますが,農地の高度利用のための農業基盤整備事業の重要性は変わりません。こうした中,岡山市への農地等高度利用促進事業など4事業の補助率削減は,県の財政状況の悪化を市に転嫁するものであって,疑問であるという声が上がっております。農林水産部長の御所見をお聞かせください。
 さらに,河川敷の農地についてお伺いいたします。河川敷は,もちろん洪水等のリスクはありますが,水はけもよく,肥沃なところもあり,例えば有機栽培による露地栽培で市場価値の高い作物をつくる農地には適しているところもございます。そういった意味で,現在は河川の占用が認められる農地は採草放牧地だけで,新たな田畑を実は開くことができません。こうした河川敷の農地をうまく生かす手はないのか,希望者があれば積極的に貸し出せばよいと考えますが,いかがお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 関連して,河川管理についてお伺いいたします。さきの地方制度調査会の答申によれば,道州制が導入されれば一級河川が国の管理から移るとのことでございますが,国と県の河川管理の違いは,県庁前のゴルフ場並みに整備された旭川と雑草木が茂る笹ヶ瀬川のような二級河川の河川敷を比較すれば明らかであります。県の河川管理の考え方は,基本的にいじらないということでありますが,私は,河川敷は,農地やゲートボール場やマウンテンバイクのコース等に積極的に活用されればある意味でいい形のアダプトになると考えております。岡山ならではのそうした河川管理の方法はないものか,土木部長の御所見をお聞かせください。
 また,児童生徒に対して,自然に親しみ,豊かな心をはぐくませる農業に対する子供たちの理解の向上と関心の醸成を図るため,小中学校教員に対する農業に関する研修,学童農園の指導,地域の子供たちが農業を体験する組織活動への支援等を行っていく必要があると考えますが,教育長の御認識をお知らせください。
 最後に,安心して暮らせる安全な地域社会の確立を標榜して交番・駐在所の再編が行われていますが,郊外や農村部では不在駐在所が問題になっています。防犯パトロールを組織しても,肝心の拠点となるべき駐在所の駐在さんは,聞けば,例えば,ほかのエリアの犯罪捜査に応援に行っているので地域におられないことがしばしばあるという声を聞きます。365日・24時間地域の目があるとすれば,本当にお気の毒でありますが,こうした不在駐在所の対策について県警本部長にお伺いいたします。
 最後,速くなりまして申しわけございません。私の質問は以上でございます。まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えをいたします。
 まず,「ももっち」についてでありますが,御指摘のとおり,「ももっち」は桃太郎をモチーフとしておりまして,全国に向けたアピール度を高める意味でも,犬,猿,キジといった仲間たちに脇役として加わってもらうという展開が必要ではないかと考えておりまして,今現在,その犬,猿,キジの脇役のデザイン化を急いでいるところでございます。「ももっち」には,そうした仲間ともども,子供さんからお年寄りに至るまで幅広く愛される岡山県のキャラクターとして全国に向けた本県のPRに大いに活躍してもらいたいと,このように願っております。
 次に,後楽園についてであります。
 周辺整備のグランドデザインについてでありますが,お話のとおり,後楽園の入園者はここ数年60万人台で推移いたしておりまして,伸び悩んでいるというのが現状であります。このため,新たなグランドデザインが必要ではないかとの御質問をいただきましたが,後楽園周辺整備事業が白紙撤回されました経緯等を考えますと,現時点では,同じコンセプトでの計画につきましてはなお慎重な対応が必要と考えております。
 御質問のソフト対策といたしまして,にぎわいの創出や回遊性を高める対策につきましては,さまざまな工夫を加えながら進めてまいりたいと存じます。現在,入園者増加策といたしまして,300年祭を契機に毎年実施しております幻想庭園や初春祭など,さまざまなイベントを行いますとともに,来年度からは夜間開園の期間を延長するなど,新たな取り組みを行うこととしております。
 周辺施設等との回遊性でありますが,後楽園を初め,岡山城や美術館など歴史文化施設が集中しておりますカルチャーゾーンは,全国にも誇れる岡山を代表する文化・観光の拠点であると考えております。これまでも,これらの施設で構成する岡山カルチャーゾーン連絡協議会を中心といたしまして,相互の連携を図りながら,施設間での共通割引券や周遊マップの作成などの取り組みを行っているところであります。さらに,来年度から,本県ではNPOや岡山市等と連携いたしまして,ゾーンの拠点性や回遊性をより高めるため,町並みの文化的雰囲気や統一感を創出するなど,歩いて楽しいまちづくりに新たに取り組むこととしております。
 岡山県博物館協議会についてでありますが,県立美術館が中心となり平成3年に設立されまして,現在県下74の美術館,博物館が加盟し,文化施設とまちづくりをテーマとした講演会や各種研修会の開催,共通パンフレットの作成など,積極的に活動しております。これら美術館等は地域における文化的拠点でありまして,協議会の活動を活発化させることは,国民文化祭に向けた文化力の向上と機運醸成に大いに資するということになることから,県立美術館がさらにリーダーシップを発揮いたしまして,美術館相互の出前講座等の新たな連携事業にも取り組むなど,さらに活動を充実させてまいりたいと考えております。
 観光施設としての施策の展開でありますが,後楽園は日本三名園の一つでありまして,300年以上の歴史を現在に伝える世界に誇れる文化遺産でありますとともに,都市生活にゆとりと潤いをもたらす緑豊かな空間といたしまして,今日まで多くの県民の皆様に親しまれてきたところであります。また,同時に,県を代表する観光施設であるということも十分認識いたしているところでありまして,今後とも,文化遺産としての価値を生かしながら,より一層観光資源としての後楽園の新たな魅力を発見できるイベントを展開いたしますとともに,観光キャンペーン等によりまして,国内外から多くの観光客の皆様に訪れていただけるように最大限の努力を払ってまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアのサポートでありますが,フェアの開催は,緑豊かな潤いのあるまちづくりを推進し,歴史文化あふれる岡山を全国へ情報発信することができる有意義な機会であると,このように考えておりまして,御提案の後楽園の活用につきましては,現在策定中の基本構想の中で,既存の都市公園とあわせまして検討を進めているところであります。
 続いて,農政等についての幾つかの御質問をいただきました。
 まず,農業構造改革の流れに対する認識等でありますが,国は,一連の政策改革は農業従事者の減少や高齢化,耕作放棄地の増大など,我が国農業が危機的状況にある中で,小規模農家,高齢農家などを初め,多様な構成員から成っております地域農業を,担い手を中心として地域の合意に基づき再編しようとするものであるとしております。私といたしましては,これまでの一連の改革の方向は,担い手を中心といたしまして,生き生きとした農業・農村の再生を図ろうとするものでありまして,現場においては,議員御指摘のとおりそれぞれ困難なこともあろうかとは思われますが,厳しい時代の要請にこたえて,「選択と集中」の方向に沿ったものではないかと受けとめております。
 既存農家の支援でありますが,農家に生まれた若い方々が,十分に農業で食えるという夢を持てる,そういう仕組みの例といたしまして,両親が経営する農地の一部を借りて,小面積で収益の上がるピオーネ等の果樹や,あるいはトマト等の園芸作物を栽培する形態での分離独立型の農業参入の例があります。毎年100人以上あります新規就農者の8割は農家出身の方でありまして,その中には今申し上げましたような形で就農しているものもあります。県といたしましては,このように意欲ある農業参入者に対しまして,経営や新品種・新技術導入の指導を行いますとともに,低利融資あるいは農地の集積などの支援を行って,専業農家としての育成を進めております。また,兼業農家でありますが,集落営農組織や産地の構成員といたしまして活躍していただいている方も多くおられまして,そのような形で専業農家とともに,本県農業を支えていただきたいと思っております。
 今後の農協のあり方でありますが,お話の営農指導につきましては,県内系統組織がみずから営農指導体制の整備に努めておりまして,その結果,過去3年間で営農センターは26カ所から35カ所に,営農指導員は290名から320名にふえておりまして,また,来年度から一般的な相談に当たる営農相談員の養成にも取り組むこととしております。行政との連携・分担でありますが,一般的な作物の技術指導は基本的に農協の指導員が対応し,新規作物や新たな産地づくりは県の普及員と連携いたしまして,そして全く新しい作物の導入や原因不明の病気の発生など,極めて困難な事案は農業試験場も連携するというのが一つのあり方でありまして,農家に密着した農協の姿ではないかと,このように私は考えております。
 以上でございます。


(農林水産部長)  お答えを申し上げます。
 農業参入を促進する施策に関連いたしまして,農地取得の下限面積の見直しについてでございますが,久米南町,旧北房町など5地区で,10アールまでの下限面積の緩和が行われているところでございます。これらの地区では,高知県や千葉県からの定年帰農によるIターンでございますとか,会社を早期退職し,家族ぐるみでトマトの有機栽培に取り組むなど,多様な参入が図られております。本県といたしましては,さらに野菜や花などを栽培したいという参入者のさまざまな意向にこたえられるよう,地域の実情に応じて弾力的な下限面積の設定を行うことにより,地域農業の推進につなげてまいりたいと考えております。
 農地情報の提供等についてでございますが,県では8年から農地情報の電子データベース化を指導いたしておりまして,合併前の旧市町村レベルでございますが,既にデータベース化した農業委員会が35,これを高度化して農地地図情報システムとしたものが15に達しており,このうち2町が本年度その情報をホームページで公開し,新たに1町がデータベースの構築に着手したところでございます。これらの情報を利用した農地のあっせんについては,農業委員会が農地あっせん基準を定めてあっせんを進めており,県としては,これらのシステムの円滑な導入・運用を通じて意欲ある担い手に農地集積が進むよう,市町村及び農業委員会を指導・支援してまいりたいと存じます。
 生きがい農業についてでございますが,お話のように,高齢者の方々が自然の中で土に親しみ,体を動かして心地よい汗を流すことは,大いに意義があるものと考えております。しかし,県といたしましては,このような考え方を一歩進めて,より生きがいの持てる取り組みとして,農産物の青空市への出荷,さらには主要作物の産地を支える担い手として,ある程度の規模と専門性を持った農業を営んでいただき,生涯現役で意欲を持ってその能力と経験を発揮し,地域農業の一翼を担っていただければと考えておりまして,そのような方向での支援を考えてまいりたいと存じます。
 農家に対するきめ細かい支援についてでございますが,農業試験場では,イチゴの高設栽培など,産地や農家の要望に沿った新技術やおかやまオリジナルリリーなど新品種の開発等に取り組んでおりまして,農業改良普及センターでは,県下約220カ所に展示圃等を設置し,おかやま夢白桃の普及,ピオーネの省力栽培,天敵を利用した減農薬栽培等の実践的な技術指導を行っているところでございます。さらに,各地域に市町村,農協,普及センターで構成する技術者連絡協議会を設け,地域農業の課題を十分把握し,農家や地域の多様な要望に対応できるきめ細かい活動を行っております。今後とも,市町村や農協等と連携して,現場に密着した技術指導や特色ある産地づくりなど,きめ細かい農家への支援を行い,本県農業の発展に努めてまいりたいと存じます。
 最後に,土地改良事業の補助率削減についてでございますが,これは地方分権時代の流れを踏まえまして,県と市町村の適切な役割分担の見地から,市町村等が実施する国庫補助事業への県の上乗せ補助を見直すものでございまして,防災対策や生活環境の整備の分野など,県民の安全の確保や生活に密着する部分については補助率を据え置き,県民生活や市町村財政への影響をできるだけ軽減するよう配慮しているところでございます。お話の土地改良事業の重要性は県としても十分認識をしておりまして,必要な公共事業費総額をできるだけ確保し,農家や市町村の要望におこたえするためにも,負担を分担していただきたいというものでございまして,何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げます。
 以上でございます。


(土木部長)  お答え申し上げます。
 まず,後楽園につきまして,県ができる周辺整備についてでございますが,これまでに,駐車場近くの多目的トイレの改築や鶴見橋の歩道橋の整備にあわせまして,正面入り口から新たな歩道の整備を行うなど,来園者の利便性の向上に努めているところでございます。また,県立博物館につきましては,後楽園,岡山城とともに,岡山の文化と歴史を今に伝える貴重な施設であると考えておりますが,現在,教育委員会では新県立博物館構想もございまして,その推移を見ながら後楽園正門周辺の整備について検討してまいりたいと考えております。
 次に,指定管理者制度の導入についてでございますが,来年度には直営施設の指定管理者制度の導入を含めました管理運営のあり方について再検証することとしておりまして,この再検証におきましては,各施設の管理運営業務の内容や法律上の制約など,さまざまな観点から細部にわたり検討を行うことといたしております。後楽園は,文化財保護法による特別名勝で,郷土岡山が世界に誇る貴重な文化遺産でありますことから,指定管理者制度の導入につきましては,慎重に検討する必要があると考えております。
 次に,農地確保のための線引きについてでございますが,都市計画は,農林漁業との健全な調和を図りつつ,健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動を確保するために定めるものでございます。計画の策定に当たりましては,市町村が主体となりまして,農地の確保と調和も図りながら,線引きも含めましたまちづくり計画の策定を行っており,県といたしましては,広域的な観点から市町村の意向も尊重しながら適切な支援・協力を行ってまいりたいと存じます。
 次に,河川敷の農地についてでございますが,河川敷の占用につきましては,治水上,利水上の支障がない場所で河川空間を有効活用した公園や公共性の高いスポーツ施設,また,河川を利用するために設ける施設など,一定の基準に基づきまして認めているところでございます。河川敷の農地を貸し出してはどうかとの御提案をいただきましたが,河川敷の田畑につきましては,河川敷を耕すことで土が水に流されやすくなり,削られてしまうなど,河川の弱体化につながり,治水上の支障となるおそれがあるため,田畑としての新たな占用は認めていないので,御理解を賜りたいと存じます。
 最後に,県独自の河川管理についてでございますが,ゲートボール場,公園など,公共性があり,治水上,利水上の支障がない場合は,河川敷の有効活用の観点から占用を認めてきたところでございます。県では,県民の方々との協働の観点から,おかやまアダプト事業といたしまして,地元の方々に御参加をいただきながら,河川の清掃や堤防等の草刈りを行うなどの取り組みを行っているところでございます。今後,岡山ならではの新たな河川管理の方策につきまして,河川のアダプト制度の充実に努めるなど具体的に検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(教育長)  お答えを申し上げます。
 児童生徒の農業に対する理解の向上についてでございますが,お話のような教員に対する研修や児童生徒への指導,組織活動への支援につきましては,現在,県や市の農業関係部局の支援のもと,モデル事業として実施をされております。学校では,こうした事業を活用いたしますとともに,生活科や総合的な学習の時間でも,学校に近い田畑を借り,指導者を招いて農作業の進め方などを学び,農業体験に取り組んでいるところもございます。私といたしましては,農業に関する学習や体験を通して自然に親しむとともに,汗を流して働くことの厳しさや喜びなどを体験することは,農業への理解を進め,子供たちに豊かな心をはぐくむために大変意義深いことと考えておりまして,学校や地域の実態に応じたさまざまな体験学習が充実するよう働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(警察本部長)  お答えいたします。
 農村部等の不在駐在所対策についてでありますが,駐在所は,勤務員が駐在所施設に居住し,パトロールや巡回連絡など,地域に密着した活動を行うことによって,地域の生活安全センターとして,地域住民の安全と安心のよりどころとなっているところであります。このため,駐在所勤務員につきましては,極力長期にわたって不在とならないよう,勤務計画の策定に配意しているところでありますが,議員御指摘のとおり,警察署の総力を挙げて取り組まなければならない事件・事故が発生した場合などは,捜査員等の人員不足を補うため,駐在所勤務員を引き揚げているのが実態であります。不在となった駐在所につきましては,駐在所勤務員の配偶者に対し,必要な助言やきめ細かい連絡を行うとともに,不在となった駐在所の管内において,パトカーや隣接交番,駐在所勤務員によるパトロールを実施するなど,地域住民の安全・安心を確保しているところでありますので,御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。

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