平成15年6月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 吉備高原都市について             (企振)[ 知  事 ]
(1)都市構想と今後の進め方
(2)地域イントラネットの成果
(3)情報ハイウエイのIPv6化
(4)IPv6テストベッド構想
2 障害者施策等について
(1)支援費制度
  ア 制度移行                 (保福)[保健福祉部長]
  イ 日常生活支援               (保福)[保健福祉部長]
  ウ サービス利用の支援            (保福)[保健福祉部長]
(2)介護保険による実施             (保福)[ 知  事 ]
(3)福祉移送特区                (保福)[保健福祉部長]
3 青少年対策について
(1)みらいふるシーポ              (生環)[ 知  事 ]
  ア ユースチャレンジ21会議
  イ ユースプラザ「ほっとハート」との違い
(2)NPOへの委託指針             (生環)[ 知  事 ]
(3)居場所づくり           保福協力 (生環)[ 知  事 ]
4 警察行政について               (警察)[ 警察本部長 ]
(1)警察組織の在り方
(2)女性警察官の勤務形態
(3)職員定数の認識
(4)岡山市中心部の治安維持
(5)情報提供




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。さきの統一地方選挙の低投票率につきましては,少なからずのショックを受けておりますが,これも県民の皆様が重大なる警鐘を鳴らされたものと,謙虚かつ真摯に受けとめさせていただき,1期目の大いなる反省に立って,2期目もさらに頑張らさせていただきます。
 それでは,早速,通告に従いまして質問をさせていただきます。
 本県には,ある意味で世代間の公平な分担として,非常に恵まれたハードが整備されていますが,中には相続放棄をしたいようなものもあります。しかし,どこかで活路を見出さないといけないわけですが,特に我々の背にずしんと重くのしかかっているのが吉備高原都市であります。
 吉備高原都市,緑豊かな自然環境と広域高速交通網のアクセスに恵まれた立地条件を生かしながら,保健・福祉・教育・文化・産業・レクリエーションなど,各領域にわたる高度の機能を備えた魅力ある人間中心の21世紀を志向したコミュニティー都市を建設しよう,そういった夢でありますが,仮に日本列島改造論の前であれば,あるいはバブルが崩壊さえしなければ,人間尊重,福祉優先,この崇高な理想に基づく大きな夢は,人口3万人の美しい人工都市として大輪の花を咲かせたかもしれません。しかし,本来は,現在の10倍の人口と3倍の面積の計画である吉備高原都市について語ることは,まさに県政のアンタッチャブルとでも言える状況であります。そうはいうものの,石井知事は,本当のところ吉備高原都市構想というものについて,そもそもどう思っていらっしゃるのでしょうか。
 また,第2次行財政改革大綱により,広域計画Bゾーン以降の事業着手が凍結されていましたが,整備方針がまとめられ,近未来体験都市を標榜いたしておりますが,今後,どのように進めていかれるのでしょうか。
 また,私は,ここでいう近未来にどれだけITがイメージされているのか,疑問に感じております。まずもって,4年にわたり吉備高原都市で行われた地域イントラネット普及促進事業の成果をお伺いいたします。
 ところで,昨年の6月定例会で,岡山情報ハイウェイをIPv6化すべきであると提言させていただき,今年度その基盤整備をしていただくことを,まず歓迎いたしますが,問題はこのIPv6の使い方であります。あれから1年の間に,IPv6も日常用語に近くなってまいりましたが,一言で言えばIPv6は,耐久消費財総インターネット端末時代を根底から支える基盤技術です。すなわち,家電製品や携帯情報端末,モバイル機器がインターネットにつながって,情報家電,情報端末になる場合に,グローバルIPアドレスが必要になるということです。逆に言えば,情報インフラである岡山情報ハイウェイがIPv6化することの意味について,そこからどんな展開が望めるとお考えなのでしょうか,再度,確認をさせていただきます。
 そして,このIPv6の実用性について可能性を模索しているのが多くの企業であるのは言うまでもありません。私は,先日,IPv6ベースで各機器が協調する技術を開発したある会社を訪ねましたが,実際のところ,企業すらその可能性については実証を重ねていかないとわからないという印象を持ちました。
 そこで,私は,吉備高原都市そのものをIPv6のテストベッドにすることを提言させていただきます。とりわけ福祉や環境,さらには防災と,IPv6は非常に可能性がある技術でありますが,その実証実験を限られた吉備高原都市というエリアで行うのです。IPv6化した岡山情報ハイウェイを使い,吉備高原都市では,企業がのどから手が出るほど欲しい実際の生活に即した実証データを得ることができる。さらには,地域にはおのずとITインフラが整備されていきます。企業や地域の方に幾らかのインセンティブをつければ,非常にたやすいことではないかと私は思います。こうして,吉備高原で得られた実証データをもって,産学官が連携した近接する岡山リサーチパークで研究を行い,その研究の成果として,家電製品や携帯情報端末の製造を行い,岡山空港を使い輸出入を行う。あるいはアジアを中心にした外国の研究者が集い,居住すれば,吉備高原都市は国際の分野も加わり,まさに崇高な理念そのままの近未来体験都市になるのではないでしょうか。
 私が勝手に申し上げております夢,マスカットバレーの中核にもなり得ます。IT特別経済区,いわゆるeトップ・エリアの研究開発型集積エリアに吉備高原都市を加えることも含めて,今の吉備高原都市だからこそ可能な,吉備高原都市IPv6テストベッド構想についての御所見をお聞かせください。
 次に,障害者施策等について伺います。
 午前中と若干ダブりますが,まず支援費制度ですが,この4月から,障害のある方の福祉サービスの一部が,行政がサービスの受け手やサービス内容を決定するこれまでの措置制度から新たな利用の仕組みである支援費制度に移行しました。この新しい制度では,利用者がみずからの意思でサービスを提供する事業者を選択し,契約によってサービスを利用することになりましたが,支給決定のおくれ等もあり,非常に慌ただしいものがあったようにも思いますが,順調に滑り出したという御認識なのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 特に,重度障害者が利用する日常生活支援については,そもそも介護保険事業からの参入を見込んでいた指定居宅介護事業者が少ないことに加えて,身体介護に比べて単価が安い等の理由で,対応している事業者が少ないと聞きますが,今後どのように対応されていくのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,障害者自身のセルフマネジメントの手助けをするケアマネジメント従事者がいても必要なサービスが受けられないということがないように,従事者の養成と資質向上を図る必要があると思います。県の取り組みについて,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,これに関連して,福祉の分野においては,地方分権が言われる中で,国庫補助負担金から地方交付税交付金に組み込まれ,一般財源化される方向に進んでいると思われますが,いわゆる改革派と呼ばれる7人の県知事が,「障害者福祉は介護保険で」という共同アピールを出しているわけですが,知事はどのようにお考えなのでしょうか。
 あわせて,全国初の構造改革特区の一つとして,4月21日に認定された福祉移送特区について伺います。
 換言すれば,福祉移送特区とは,NPOや社会福祉法人が移動に制約のある人のために,福祉車両を使用してボランティア輸送を行う場合に,低廉な料金を受け取れるよう,道路運送法第80条1項に基づく自家用自動車の有償運送許可申請を行えるようにするものです。
 基本的な考えは,収益事業ではなく,対象を特定して行うものであり,営利を目的としないという意味において,タクシー事業と相対する概念となっています。しかし,こうした要件では,参入できるのは,既に福祉車両を持って移送実績のあるNPOや社会福祉協議会,移送対象者の確保が容易な施設を持つ社会福祉法人などに限られてしまうのではないでしょうか。しかも,利用者にとっては,タクシーの半額以下といえども,有償になります。
 また,福祉タクシーの採算がとれる可能性のある都市部においては,ある意味,半額以下のライバルの出現によって,タクシー業界は福祉タクシーから撤退する以外に選択肢はないようにすら思えます。これが特区による規制緩和の効果と言えるのでしょうか。こういった点を踏まえ,福祉移送特区のメリットの部分とデメリットの部分を,改めて保健福祉部長にお伺いいたします。
 次に,青少年対策についてお伺いいたします。
 今年度も,県内の15歳から21歳までの青少年から成る「ユースチャレンジ21会議」のメンバーが委嘱されました。昨年度は,残念ながら非常に誘導的であったという声も参加者から伺うのですが,その成果として,青少年の居場所施設が必要であるという提言を受け,「みらいふるシーポ」が開設されました。この事業については,提言を受けた後,場所の設定から事業内容の決定,事業の委託等,すべて行政の手によって行われましたが,私は,青少年が知事に提言して終わるのではなく,事業に主体的に提案者もかかわることがなければ,チャレンジの意味は半減すると考えます。私は,有意義な事業であると思うだけに,発言するには責任も伴うことを知らしめることも,青少年にとって重要であると思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。
 また,岡山市内には,青少年の熱い心を呼び覚ます,青少年が気軽に立ち寄れ,ほっとする場所になるとの願いを込め,青少年の活動を支援するために,青少年にさまざまな情報と交流の場を提供するユースプラザ「ほっとハート」も昨年開設されていますが,この2つの事業は,結果として同趣旨であり,いたずらに事業委託を受ける側に混乱を招いています。この2事業の目指す意図の違いについてお知らせください。
 ところで,最近のNPOへの委託事業の中には,担当課が事業内容を決定して,あたかも競争入札のような形でNPOを競わせる事例が散見されます。財政難のNPOの中には,行政からの委託を得るためには,本来の設立趣旨,いわゆるミッションを曲げてでも,その事業を行おうと無理をする例があります。いつも申し上げることでありますが,NPOと行政はあくまで協働するのであって,行政が結果としてNPOを利用してはいけないと,私はそのように思います。行政は,給料をもらってする業務でも,NPOは俗に言うボランティアの場合もあるのです。私は,行政がNPOに事業委託する場合に,行政よりNPOの方が向いている分野を信頼してゆだねる場合と,行政でやるより安上がりな場合とがあるように思いますが,NPOに事業委託する指針をお知らせください。
 次に,青少年対策を行う場合に,盛んに居場所という言葉が使われるようになりましたが,居場所についてお伺いいたします。
 そもそも居場所とは何か。どんな青少年にどんな居場所が必要であるのか。しかも,わざわざ行政が青少年の居場所をつくる意図は何なのか。そもそも知事御自身はどんな青少年であり,どこを居場所と考えておられたのでしょうか。
 私は,官がつくるイベントスペース,遊び場を青少年の居場所と考えるならば,それは大きな間違いであると,警鐘を鳴らさせていただきます。
 私は,先日,行政が行う青少年の居場所づくりの先駆事例とされる東京都杉並区の「ゆう杉並(杉並区立児童青少年センター)」を訪ねました。「ゆう杉並」は,杉並区荻窪の閑静な住宅地の中に,騒がれていた中高校生の居場所として1997年9月に設立されたものです。体育室,ホール,スタジオ,ミキシングルーム,鑑賞コーナー,学習室,工芸調理室とさまざまな部屋があり,すべての部屋が無料で,1日250人程度が利用しています。そして,「ゆう杉並」は,建設に当たっても中高校生の意見を取り入れるため,中・高校生建設委員会を,また運営も,中高校生の意見を十分に取り入れるため,中・高校生運営委員会を設置し,自主企画部会と広報広聴部会の2つの部会で動いています。もちろん専門の職員,いわゆるユースワーカーが一緒に活動する体制をつくって,幾つかの深刻な経験から,酒,たばこ,けんかの3つが厳禁されていますが,基本は作,演出,出演,すべて青少年みずからが行うのであり,近隣の住民との交流会も企画し,施設が地域になじむための努力を中高校生みずからが実施しているのです。行政が行う青少年の居場所づくり,そこには確かな哲学と責任,そして青少年への信頼が必要だと思いますが,県の青少年施策はいかがでしょうか。私は,哲学と勇気を持って,青少年みずからの手でみずからの居場所をつくらせることが重要だと思います。
 ちなみに,「ゆう杉並」は全国に約4,600カ所ある児童館の一つでありますが,児童福祉法に基づく児童の定義は,ゼロから18歳未満で,中高校生が児童館の対象から除外されているわけではありません。私は,現在ある伊島町の児童会館,この児童会館を青少年の居場所にすることも含めて,改めて青少年を交えた上で,彼らにしっかりと汗をかかせた上で,でき合いでない,彼ら自身がつくった居場所づくりを,時間をかけてじっくりと進めていくことを提言させていただきたく思います。御所見をお聞かせください。
 最後に,警察行政について警察本部長に伺います。
 私は,言うまでもなく,地方公共団体が担う最も基礎的な役割の一つが治安の維持だと思います。警察は都道府県が,消防は市町村が主体となって担っていますが,戦前は警察,消防は一体のものとして,国家警察のもとに置かれていました。戦後,警察は一たん市町村警察を国家地方警察が補完する体制とされた後に,昭和29年に都道府県警察に執行を一元化され,これに対して国が一定の関与を行う制度とされています。そして,地方分権の流れの中で,地方分権改革推進会議等で,警察分野についても国と地方の役割分担に応じた議論がなされているのは,御案内のとおりであります。ただ,司法制度との関係等留意しなければならない点も多く,地方警察職員の政令定数制度などの影響は非常に大きいわけでありますが,国の関与のあり方にすぐさま答えが出る状況にはないと思います。
 ただしかし,治安情勢に応じた内部組織の基準は,より弾力的にされるべきでありますし,社会の国際化やIT化の進展に伴い,警察行政における地方自治という観点も私は極めて重要であると思います。
 まず,こうした地方自治の観点から見た今後の警察組織のあり方についての御所見をお伺いいたします。
 こうした中,犯罪発生率の増加のデータを示すまでもなく,県民が体感する治安の悪化は,ここ10年で増大しているものと思われます。ただ,地方警察職員である警察官の定員については,治安水準が全国的に均衡のとれたものとして維持される必要もあり,政令で定められていますし,そもそも岡山県では,警察職員定数は岡山県警察職員定員条例によって,警察官が3,179人,警察官以外の職員が528人と定められています。
 そこで,お伺いいたしますが,激務と思われる職務の中で,現在,女性警察官はどのような勤務形態をとっておられるのでしょうか。
 また,私は,生命,自由,財産を守っていただく警察に,行政コストの削減という論理がそのまま当てはまるとは思いません。さらに,県民が体感している不安に対して,実際問題,現場として,他県と比べて職員定数が足りているのだと認識されておられるのか,お知らせください。
 そして,私自身,地域住民の一人として,地域の方とともに落書きや暴走族対策に取り組んでまいりましたが,岡山市の中心市街地の治安が見る見るうちに悪化していくさまをこの目で見てまいりました。夜になれば,交番の警察官は田町交番に集結され,通信システムがあるとはいえ,ほかの交番が空になってしまっている状況に,岡山県の顔とも言える岡山市の中心部の警察力に不安を感じているのは私だけではないと思います。
 御案内のとおり,旧東署は現在の県立美術館に,旧西署は伊福町にあったわけですが,今や東署は旭川の東に,西署もJR岡山駅から大きく離れました。そして,県下最大の規模を誇る西署の管内には,JR岡山駅,西口再開発ビル,岡山空港,大学街に加えて,西部の新拠点があり,さらに東署との所轄が実は旭川ではなく,西川で分かれているために,本町,錦町,柳町といった繁華街も西署の管内に含まれています。西川を境に,二重に警察権が及び公安に資するんだ,そういった説もあるわけですが,私は,小規模であれ,JR岡山駅を中心にした中心市街地の治安維持に特化するいわゆる中央警察署に当たるものが必要ではないかと,そのように思います。
 あるいは,総合的な警察署が無理でも,夜の田町交番のような規模で,常に数台のパトカーが待機する大型の交番をつくることができないでしょうか,御所見をお伺いいたします。
 さらに,情報収集のためには,何といっても県民,地域住民の協力が必要であると思いますが,情報提供ホーム初め,ほかの県警のホームページに比べて開かれていない印象を受けます。さらに仕事がふえる上に,セキュリティーやいたずらの問題もあるとは思いますが,情報提供用のメールアドレス設置等を検討されてみてはいかがでしょうか。
 ともかく,全国に恥ずべき落書きや爆音暴走族に悩む岡山市中心市街地の状況を見るにつけても,平成17年の岡山国体で,こんなに治安の悪い町で県外の方を迎えるわけにはいきません。警察職員の皆様に,常日ごろの御努力への感謝を申し上げますとともに,さらなる御尽力を賜りますよう心からお願いを申し上げながら,質問を終わらさせていただきます。まことにありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答え申し上げます。
 まず最初に,吉備高原都市構想についてでありますが,吉備高原都市は近未来型の都市構想といたしまして取り組んできたものでございまして,本県の特色を,医療・福祉の先進県であると,こういったものを生かした一大プロジェクトといたしまして,全国からも注目をされ,また評価をされてきたというふうに思っております。ただ,社会経済情勢が大きく変化をしてまいりまして,今現在の県政におきましても大きな課題となっておるということは御承知のとおりでございます。バブル崩壊後の社会経済情勢の大きな変化に対応いたしまして,一時計画の凍結ということを余儀なくされたところでございますが,平成13年度には,後期Bゾーン以降の区域につきましては,状況を見ながら民間を中心といたしました投資を誘導する方針とするなど,当初計画を見直す整備方針を取りまとめたものであります。今後は,この方針に基づきまして,産業の誘致や住宅分譲の促進を図って,都市の活性化やあるいは熟度を高めることによって,質の高い生活や産業の活動というものができるように努めてまいりたいと考えております。
 吉備高原都市における地域イントラネット普及促進事業の成果についてでありますが,ケーブルテレビネットワークを活用いたしました高速インターネット環境の整備を図ってまいりました。また,町内会,学校,障害者福祉施設,企業などによります研究会を立ち上げ,その研究会が主体となりまして,IT講習会の開催や画像,動画を含む地域の情報に関する記事,これをホームページで簡易に作成をするシステムの開発などに精力的に取り組んできたところであります。
 この地域イントラネット普及促進事業でございますが,住民の積極的な参加も得ているところでありまして,吉備高原車いすふれあいロードレース大会のインターネットライブ中継を行うなどによりまして,地域の情報発信や住民間のコミュニケーションが一層促進をされまして,地域情報活用のモデル事業といたしまして,大きな成果を上げてきたものと存じております。
 情報ハイウェイのIPv6化についてでありますが,このIPv6化が図られますと,ほぼ無限とも言える数のIPアドレスを確保できるということになるわけでありまして,これを活用することによって,家電製品を初め,とにかく身の回りにありますあらゆるものにつきまして,インターネットへの接続が可能となります。この点,けさの新聞各紙にも報道されておりますとおりでございます。
 IPv6化の実用化のためには,世界規模で進められます技術開発とか,標準化の推進といったこととあわせまして,プロバイダーや企業,家庭におけるその利用機器が整備をされるということ,またIPv6を活用いたしましたサービスやソフトの開発が行われるといったことなど,官民一体となって取り組んでいくべき多くの課題があるところでございますが,本格的な普及に先駆けて,県内にこの環境を整えていくことによりまして,各種の実証実験を初め,関連産業の誘致とか,あるいは県内における新ビジネスの育成が促進をされるものと,このように考えておりまして,IPv6化対応を県といたしましても急いで行っていきたいと,このように考えているものであります。
 そこで,具体的に御提言をいただきました吉備高原都市をIPv6のテストベッドとしてはどうかという,大変夢のある,将来を見据えた御提言をいただいたと,このように私も存ずる次第でありますが,御承知のとおり,このIPv6をテーマといたしまして,この4月に,国のITビジネスモデル地区に岡山市域が指定を受けたというところでございます。今後,この制度を活用いたしまして,民間事業者がIPv6やICタグ等を活用いたしました新規ビジネスの研究開発に取り組んでいくと,こういうことになっているところでありまして,県といたしましては,こういった岡山市内での取り組みを踏まえまして,御提案のございました吉備高原都市を含めて,他地域への展開をするということを検討してまいりたいと思っております。
 また,eトップ・エリアのエリア拡大でありますが,これも本年4月に,岡山市中心地区のエリアの拡大を行ったところでございまして,現在の指定地域におけるその集積の状況とか,あるいはその効果等を検証しながら今後検討をしていきたいと,このように考えているものであります。
 次に,障害者施策等であります。
 介護保険による実施でありますけれども,これは先ほど御紹介いただきましたが,特に宮城県の浅野さんが障害者福祉の専門家でもあるということで,先頭に立って御提言をされているものでございますけれども,この提案につきましては,障害者サービスの財源を確保するということ,すなわちこれからの障害者施策ということを考えますと,何といいましても財源問題にぶつかるわけでありまして,この確保が一番大切であります。そういう観点,そしてサービス基盤の強化を図っていくという観点からいたしまして,介護保険制度の見直しを行っていく際,障害者福祉をこの対象に含めていくということは,これは今後いろいろ議論されていきますその選択肢の一つである,有効な対策の一つではないかと,このように私は考えておりまして,今後,国の検討状況をも注視をしながら,必要に応じまして,私といたしましても,そういった立場から意見を申し述べてまいりたいと考えております。
 青少年対策であります。
 「ユースチャレンジ21会議」についての種々のお尋ねがございましたが,提言の具体化に当たりましては,その趣旨を十分に尊重をすることはもとより,個別の具体的内容につきましても,必要に応じ青少年の意見を取り入れるということは必要と考えているものであります。そういった立場から,「みらいふるシーポ」の設置に当たりましては,名称を初めといたしまして,事業内容,運営方法はもとより,個々の設備の必要性等,具体的な内容につきましても青少年の意見を具体的に取り入れながら取り組んできたものでございまして,すべて行政の手によって開設されたということは当たらないものと私は認識をしております。
 ユースプラザ「ほっとハート」との違いについてのお尋ねがございましたが,両施設ともに青少年が自由時間を有意義に過ごして,他人とのかかわり合いの中で,自分の位置とか将来の方向性を確認する場と考えているところでありますが,「みらいふるシーポ」は,施設運営そのものに青少年が参画をして,より主体的に活動に携わるということによって,青少年の自主性,主体性を高めるということ等に重点をより置いております。
 一方,ユースプラザ「ほっとハート」につきましては,運営主体でありますNPO法人が企画をする多様な青少年にかかわります事業,これに青少年が参加をいたしまして,交流機会を持つことによって青少年の社会性の伸長に重点を置くということにしているものでございまして,両事業で混乱を招いているといったような御指摘は当たらないものと私は承知をしているものであります。
 NPOへの委託指針でありますが,行政とNPOの関係は,NPOの自立と自主性が尊重されて,対等な立場で相互理解の上に成り立つものでなければならないと考えております。こういった考え方のもとに,NPOへ事業を委託するに当たりましては,行政とNPOのその事業目的が一致をしているということ,質の高い県民サービスの提供が可能となるということ,先駆性,柔軟性など,NPOの特性が生かされるということなどに留意をしていかなければならないと存じております。
 居場所づくりについてのお尋ねがございました。
 居場所づくりはどのようなイメージかということでございますが,提言をいただきましたその提言によれば,ありのままの自分が表現できる場所,安心でき,居心地のよい空間がある場所,自由に活動でき,自分の時間が持てる場所等を居場所と考えているという青少年の提言でございまして,私もこういった青少年の意見というものを尊重して,そういった場所が居場所なのかなと,こんなようなイメージを持っております。
 「みらいふるシーポ」でございますが,「ユースチャレンジ21会議」の提言に基づいて設置をしたものでありまして,運営につきましても,青少年が過半数を占める施設運営委員会を設置して,そこにおいて青少年の意見を十分取り入れておりまして,青少年が企画・立案をし,青少年みずからの意見を中心に運営する居場所施設として機能を果たしていくものと,このように考えているところでございます。
 御質問では,具体的に杉並区の例を取り上げられまして御質問をいただきましたけれども,お話ございました児童会館でございますが,これは申し上げるまでもなく,児童健全育成のための児童厚生施設といたしまして諸事業を行っているものでありまして,本県の児童会館につきましても,そういった施設の特徴を生かしまして,今後とも引き続きこれらの事業を積極的に推進をしてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 支援費制度の移行についてでございますが,国の支援費基準が2月下旬に告示されましたため,市町村の支援内容の決定及び受給者証の交付が年度末になり,お話のように非常に慌ただしい状況はあったようでございますが,現時点では制度の趣旨に沿った運営がなされているものと聞いておりまして,順調に滑り出したものと認識しておるところでございます。
 日常生活支援についてでございますが,まだこの制度は4月に開始されたばかりでございまして,5月末現在,身体障害者居宅介護の指定を受けている149事業者のうち,日常生活支援の指定を受けている事業者は77にとどまっております。今後,支援費制度や介護保険制度の指定事業者等に対しまして,日常生活支援事業への参入を促しますとともに,日常生活支援に係るヘルパー研修を通じてマンパワーを養成するなど,日常生活支援サービスの充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に,サービス利用の支援についてでございますが,市町村等でサービスの利用についての相談・支援を行う障害者ケアマネジメント従事者につきましては,従来から養成研修を行ってきたところでございます。本年度から,新たに障害者ケアマネジメント従事者資質向上研修を実施することとしておりまして,今後とも,障害者が必要なサービスが受けられますよう市町村等の相談・支援体制の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 福祉移送特区についてでございますが,参入可能なNPO等が限られ,利用者負担が生じるという御心配もあるところでございますが,有償にし,許可要件を設定することによりまして,NPO等の安定的な活動と安全な運行管理体制が整備されるものと考えております。
 また,タクシー事業者への影響については,現行のボランティアによる移送サービスの利用者の場合でも,用途により福祉タクシーを利用していると聞いておりまして,タクシーの需要は存続するものと認識しております。
 いずれにしましても,移動に制約のある方の外出の機会を広げるものでありまして,県としては,この事業の評価を行いながら,福祉移送の県下全域への拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(警察本部長)  佐藤議員の御質問にお答えをいたします。
 まず,地方自治の観点から見た今後の警察組織のあり方についてであります。
 このことにつきましては,地方分権改革推進会議で議論が行われまして,その意見を受けて,本年2月には警察法施行令が一部改正され,各都道府県が当該都道府県の治安情勢に応じた組織をより機動的に整備できるようになったところであります。
 また,国際化やIT化の進展に伴い,国際テロ情勢等新たな治安事象に対応するため,国と地方の警察機関の役割分担について,地方自治の観点も踏まえ,警察庁において検討がなされていると承知をいたしておるところであります。
 県警察といたしましては,このような動向を踏まえながら,県内の治安情勢に的確に対応し得る組織体制について今後検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
 次に,女性警察官の勤務形態についてであります。
 現在,本県には95人の女性警察官が勤務しておりますが,最近では,女性が被害者あるいは被疑者として事件にかかわるケースもふえており,こうした場合の被害者対策の観点や女性被疑者の適正処遇の面などでも,女性警察官の果たす役割が高まってきているところであります。
 こうした状況を踏まえ,警察本部及び警察署において,刑事,交通,生活安全等各部門の必要な部署に女性警察官を配置し,男性警察官と同様の勤務形態で,女性の特性を生かしながら活動しているところであります。
 次に,他県と比較した職員定数についてであります。
 本県の警察官定数につきましては,平成14年度と15年度にそれぞれ80人の増員をいただいたところであります。しかしながら,警察官1人当たりの負担人口が,全国平均の533人に対しまして本県は614人と,81人多い状況にありますほか,本県警察官1人当たりの業務負担は,刑法犯検挙人員及び交通人身事故発生件数では全国第2位であるなど,依然として厳しい情勢にありますことから,さらなる増員が必要であると考えているところであります。
 次に,岡山市中心市街地の治安維持についてであります。
 警察署や交番の体制につきましては,毎年,治安情勢の変化に対応した見直しを行っているところであり,また警察力の運用につきましても,犯罪が多発する時間帯や地域に応じて弾力的な運用を図っているところであります。
 議員御指摘の岡山市中心市街地につきましても,これまで柳川交番の警察官の増員配置や,田町交番の夜間集中運用を図っておりますほか,本部執行隊による重点的な警戒・警ら活動等により,犯罪抑止等の効果も出ているものと考えているところであり,現時点においては,警察署や大型交番の新設について,直ちにその必要性があるとまでは考えておりません。
 最後に,インターネットを利用した情報提供についてであります。
 警察活動を行う上で,県民の方から寄せられる情報は必要不可欠なものであり,平成8年から県警察ホームページにおいて,県民の方から意見や情報の提供をいただいているところであります。県警察といたしましては,今後,携帯電話からのメール送信など,県民の方がより一層情報提供しやすい方法について,セキュリティー対策に配意した上で,他県の例も参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
 以上であります。


(佐藤)  要望だけにとどめさせていただきますけれども,やはり認識の違いがあって,もうその後の議論をしてもなかなか難しいんですけれども,中央警察について,私は必要だと思っている,警察は必要ないと思っている,ここで議論が終わるわけですんで,ただ私は必要であるということだけお伝えして。
 あと,知事のおっしゃられた青少年の居場所についてなんですけども,これも自分自身がどんな青少年であったか,どこを居場所にしていたかで随分変わると思うんですけども,私自身,非常に成績の悪い青少年でございましたので,行政がつくった居場所に,例えば先生の推薦を得て集まるような生徒ではございませんでした。今,恐らく駅前だとか,あるいはコンビニの前,あるいは暴走族になっているような,そんな青少年に対して何ができるかというのが問題であって,今,本当に非常に健全に育っている青少年を行政が一緒に協働しても,それが果たして青少年対策と言えるのか,それからまたそれが青少年の本当の居場所になるのか,私はそういった面では,この岡山県のやられている青少年対策について,ちょっと踏み込みが足りないのではないかなと。非常にできのいい青少年を相手にはされているけれども,本当の青少年対策というのは,本当に居場所がない,先ほど言われたような,ありのままの自分が認められる場所というのは,本来,私は家庭であり,そして学校であると思います。本来であれば,家庭や学校に帰りなさいと,それが本来の居場所の意味であって,しかし行政があえて居場所をつくるんであれば,そこにはさらにどんな青少年を,どんなふうに育てていくのか,そういった何か哲学が必要なのではないか。そういった面では,非常にちょっと不満を持っておるということだけお伝えさせていただいて,要望でもございませんが,質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。

Copyright (c) 2003 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp