平成14年9月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 ピース・ミュージアムの構築等について
(1)知事の考え
(2)戦争資料等
  ア 把握・収集・展示
  イ 慰霊塔等の管理
  ウ デジタル化等
(3)教育長の考え
(4)高校生たちによる平和宣言等
(5)平和学習
2 公共事業について
(1)無駄な公共事業
(2)今後の方向
(3)新たな手法
(4)公共事業削減
  ア 雇用の創出と転職支援
  イ 行政組織
(5)地元業者優先
3 県営総合グラウンドについて
(1)いずみ町交番
(2)国道53号の渋滞対策
(3)リニューアル計画等




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。本日,自民党の1期生,30歳代は体重の順番に出てくることになっております。
 早速通告に従いまして質問をさせていただきます。
 日朝国交正常化交渉について,拉致被害者が殺されていたことは,日本人としてまことに無念です。国民の生命,自由,財産を守ってこその国であり,自国民を守れない,自国民が殺害されて黙っているようでは,主権国家の体をなしていないと言わざるを得ません。あくまで凛とした態度で絶対に妥協はしてほしくないと思いますが,究極の目標は世界平和であり,そもそも南北の分断の歴史を思うとき,日本人の立場で北朝鮮許すまじと感情的になることだけは避けたいところです。
 アメリカの対イラク戦略を含めても,こうした何か第三次世界大戦がリアルに感じられる中,戦後57年がたちました。私は,ことし38歳でございますが,春季慰霊大祭,終戦の日,秋季慰霊大祭には,できる限り護国神社にお参りさせていただき,また東京に行けば,まずは靖国神社にお参りさせていただきたい,そういう意識は働くのでございます。自民党議員としては当然でも,同世代の感覚としては,ある意味珍しいと言われるわけですが,祖国の礎を築いてくださった方々に感謝の誠が捧げられない,あれこれと理屈が先に立ち,まずはそういう感覚が当然であると感じられない,あるいはその感情を発露できないところに現代日本の悲劇があるように思います。とはいうものの,諸先輩方には大変失礼かと存じますが,昭和39年生まれで高度成長期の恩恵をまともに受けて,かように丸々と太りました私には,戦地に行かれた方や遺族の方のお話を伺っても,あるいは地域を歩き,そこに草むした地域の慰霊塔があっても,正直に申し上げてどうしても実感としてわからない部分があるのです。
 また,57年前の6月29日,岡山を大空襲が襲い,私が住む,当時は桶屋町──今は平和を祈り,平和町ですが,もう火の海になり,私の曾祖母や祖父の兄弟も防空壕で焼け死んだと言います。しかしながら,10年以上前に亡くなった祖父からも,先日84歳でなくなった祖母からも,結局その詳細は聞かずじまいでした。
 また,7月14日には,岡山でも平和祈念事業特別基金の平和祈念フォーラムが開催されましたが,岡山大空襲についてはまだしも,シベリア抑留についてそもそも語られること自体が少ないため,私自身認識が非常に不十分なことを恥じ入りました。そして,このような形で,何か語り継がれることがないままに,当時の物や,当時を生きた方々や,何より大切な日本人の心が消えていく,そんな気がしてならないのです。
 世界唯一の,天下泰平の平和ぼけの中で,日本がアメリカと戦争したことなど想像もつかない世代が,これから社会の中枢を占めていきます。私は,偏狭なナショナリズムを叫ぶ気も,昨今はやりのアメリカを批判する気もありません。しかし,アメリカ仕込みのグローバリゼーションの名のもとに,日本人の顔をした何やらわけのわからんよその世界の人間がこれからますますふえていくことには,大変な危機感を覚えています。日本人の潔さ,謙虚さ,優しさや思いやり,自然と共生してかつ厳かに勤勉に生きる,何より,自分の,他人のすべての「命」に対して畏敬と畏怖の念を持つ,それが今の日本のどこにあるでしょうか。
 しかし,そんな中で,希望がないわけではありません。先日の日韓共催のワールドカップサッカーで,多くの若者が日本を感じました。もっとも,今まで見向きもしなかった日の丸を振り,しかも顔にペイントできる感覚,さらには,ワールドカップサッカーという国対国のスポーツに狂喜した若者が,原爆投下や戦争をつなげて考えることはできない。そのことは大いに不満ではあります。ただ,間違いなく,世界の中における日本という視点を,このワールドカップサッカーで新しい日本人は構築したと思います。今回の小泉総理の訪朝も,また違った感覚でとらえることができる。そういったワールドワイドな物の見方をだれもが普通にできるようになったように思います。
 そして,1周忌を迎えましたが,昨年9月11日の米国同時多発テロ事件,向こうがくしゃみをすればこちらが風邪を引くアメリカのこととなると,対岸の火事ではなく,隣の火事であり,こういうことは起きるんだ,戦争はごく身近にあるんだという事実が,日本人,とりわけ若い世代に大変なショックを与えたことは間違いありません。そして,彼らは,戦争というものについて,平和について,我が事として考え始めたのです。そして,それは,日本という国を考えるスタートでもあります。思うに,戦後57年,戦争が風化していく中で,世界が,戦争が,再び身近なものになっている現在,ある意味で,改めて日本のことについて考える,世界平和について考える絶好の時期が来ていると思います。逆に,ここを外すと,日本国内で,時代が分断される中で,歴史を見据えることもなく,国を思うこともなく,再び,知らず知らずのうちに,世界でどこのだれが争おうが平気な,あるいはみずから戦争の惨禍に見舞われる道を,我々日本は歩んでいくことになりかねないと思います。今必要なのは,日本の時代と時代をつなぐことです。今,戦争と平和,日本と世界を語らねば,聞かなければ,日本がつながりません。
 そこで,私は,ピース・ミュージアムの構築を提言させていただきます。過去の出来事については,イデオロギーの対立があるのは百も承知の上で,大切なのは,そういった争いを超えて,未来,あしたに向かって,次の世代が,若者たちが,世界の中の日本人として,世界平和に対して何をなすかということです。そのためにも,私は,過去と未来を現在でつなげる「場」が必要だと思うのです。
 まず,知事が考えられる平和とは何ぞや,戦争とは何ぞや,また,岡山県が,世界平和に対して果たす役割についてお知らせください。
 次に,岡山大空襲については,岡山市内の旧出石小学校の校舎内にできた岡山空襲出石資料館などが収集,展示をされておられますが,太平洋戦争のみならず,戦争に関して,岡山県内の戦争資料等は散逸の危機にあると思いますが,どのように把握され,今後どのように対応されるのでしょうか。他県では,さまざまな形,名称で,こういった資料を収集,展示している機関がありますが,遊休施設の活用等を含めて整備することは考えられないでしょうか。
 また,新設になる文書館や県立図書館にこういった資料の収集,管理機能はあるのでしょうか。
 これに関連して,結果的に訴訟にはなりましたが,岡山には個人が所蔵するには膨大な量のさまざまな健康被害や公害等の資料があります。これもまた同様に散逸の危機にあります。こういった資料を,行政としても保存することを検討されますよう要望いたします。
 また,地域によっては,慰霊塔などは高齢化した遺族会の皆様が交代で清掃,管理されているのが実情だと思いますが,年々維持が難しくなっています。こういった状況に対して,どのような支援が考えられるのでしょうか。
 さらに,必ずしも箱物でなくても,こういった資料をデジタルで残すことは考えられないでしょうか。特に,さまざまな立場で戦争を体験された方々のさまざまな声をデジタル録画,デジタル録音し,ホームページ等でデジタル・ピース・ミュージアムを開設し,生きた資料として永久保存するのです。特に,IT先進県岡山県が,そのコンテンツにおいても世界に発信できるものと考えますが,いかがでしょうか。
 加えて,戦争体験者と若者との交流の場づくり等,積極的に行っていくべきだと思いますが,そういった施策は考えられないでしょうか。
 以上,保健福祉部長にお伺いいたします。
 さらに,教育長にお伺いいたします。
 教育長の考えられる平和とは何ぞや,戦争とは何ぞや,また岡山県教育界が世界平和に対して果たす役割についてお知らせください。
 さて,先般,アメリカの同時多発テロ事件から1年たった9月11日,「岡山こども平和の声」の高校生たちが,みずから考えた平和宣言を教育長に渡されました。こうした高校生たちの頼もしい自発的な動きについて,また平和宣言についてどういう御所見を持たれたでしょうか。
 また,今後高校生たちに平和という観点から何を望まれるでしょうか。
 また,国際理解教育の一環としての総合的な学習の時間等で,平和学習についてはどのような取り組みがなされているのでしょうか。
 また,高校生会議等で,学校や地域を超えて平和について考える機会を設けることはできないでしょうか。
 次に,ここは岡山県ですから,よその県のことを引き合いに出しても仕方ないのですが,各地で反公共事業知事が誕生し,その代表とも言える田中長野県政が再スタートしました。84.1%の驚異的な支持があるものの,有権者の6割近くが,どっちもどっち,田中知事と県議会の双方が歩み寄るべきだと考えているそうで,実際の状況を知るべくもありませんが,争点は,要するにむだな公共事業をめぐる問題であったと思います。私は,個人的には,公共事業には確かにむだな部分もあるが,多くがむだという評価は間違っていると思います。また,そもそも,特に産業のない地域では,公共事業そのものが生活の大きな糧となっており,都市生活者の利己主義で一概にむだであると切り捨てられるものでもなければ,公共事業に依存して生計を立てている方には,地域社会に貢献しているという自意識を持って仕事をされている,そのことに敬意を払うべきだと思います。
 また,本県では,公共事業の効率性透明性の向上を図るため,公共工事のコスト縮減,さまざまな評価システム,電子入札の導入を初めとした入札制度の改善等に取り組まれているところであります。しかし,地域社会発展の基礎をつくるための重要な仕事であるにもかかわらず,公共事業は悪だという風潮が高まり,その根拠は@むだだと思われる公共事業が多い。A大規模な公共事業は環境を破壊する。B公共事業を推進しても景気対策にはならず,かえって財政を危機的状況に追い込む。C公共事業の発注受注をめぐって,談合や政治家の介入・汚職等,不透明な部分が多いので,民間が行う建設事業より多くの金がかかっているというものだと思います。
 ところで,ある大学の宿題に,「近年むだな公共事業が問題視されている。ダムの建設や干拓事業を例にとり,理論的には,どのような場合にこのような事業を行うべきか論じなさい。また,そのような事業の最適な規模は,どのような水準かも論じなさい」というのがありました。模範解答は,「公共事業の結果,各住民が享受する便益の総和が公共事業の費用を上回るなら,その事業を行うべきである。そうでないなら,行うべきではない」「最適な規模は,住民の限界効用の総和と事業の限界費用が一致するような水準である」という,問いを問いで答える非常にあほらしいものではありましたが,要は,その公共事業の地域における貢献度と公共機関の財政事情とその必要性のバランスの問題である。突き詰めればそういうことだと思います。また,模範解答には,「むだな公共事業が終わらないのは,むだな公共事業の実施が,政治家にとって利益になるからであり,その根本的な原因は,有権者がそれを望むからである。問題を解決する一つの方法は,公共事業の費用負担は,当該地域の住民に負わせることを原則にするなどして,限界的税負担を適切な水準に引き上げることである」とありましたが,この宿題に,知事はどのような回答をなされますでしょうか。
 加えて,私は,この問題は,国対地方,すなわち地方分権の根幹にかかわるものであり,1,国,都道府県,市町村という縦の3段階構造の中で,自治体の自主権が確立していないこと。2,事業を規定する個別法は,霞ヶ関の局や課の法律解釈や補助金を含む予算で運用されており,こうした中央省庁縦割りの弊害。3,国が新たに借金を重ねて財源を確保してきた,交付税加算や国の補助金に頼らざるを得ない地方財政制度改革のおくれ等を克服しない限り,解決しない問題だと思います。換言すれば,結果として,中央集権構造の中で,国,地方ともに財政破綻に向かってしまった,そのような,補助,単独の区別なく自治体が国の枠組みの中で公共事業を拡大し続けたやり方をかえ,本当に必要なものに集中して投資できるようにしなくてはいけないと考えますが,知事は,国と,いわゆるむだな公共事業との関係をどのようにお考えでしょうか。
 さらに,日本の社会資本の蓄積は,主要国と比較してもまだまだ脆弱とも言えますが,公共事業を雇用創出や景気回復の手段として用いないという可能性も含めて,また社会資本整備といっても,道路やダムや港ではなく,例えば文化的な施設の建設や環境保全事業などに向け,物理的な建造物に限らず,知的資本の蓄積など,将来的には公共事業の定義そのものが変わってしまうということも考えられますが,今後,公共事業はどういう形になっていくのが好ましいと知事はお考えでしょうか。
 また,各地で,市民の意見をもとにマスタープランをつくり,それに見合う形の公共事業を行うという取り組みがなされています。公共事業を行う主体は,必ずしも従来の国と地方公共団体ではなく,民間,NPOのようなものにも担わせるといった発想も必要な時代になってきていると思われますが,今後どのように手法が変わっていくとお考えでしょうか。
 ところで,公共事業が10%,3%と一律に削減される中で,全産業に占める建設業就業者の割合は約1割,土木建設業が衰退産業であるかのような現状では,成長の見込める産業への人材流動が速やかに行われなければ大変な事態になります。いかように,雇用の創出,転職を支援するのでしょうか,商工労働部長にお伺いいたします。
 また,県の行財政改革の一環として,公共事業の削減を考えたとき,行政組織はどのような体制に変わるのでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。
 最後に,公平・公正・透明性は重要であるにしても,法人税等税収の面を考えても,公共工事だけでなく,県からの業務委託の発注,例えば施設の清掃委託等については,地元業者優先の施策をとるべきだと思いますが,いかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。
 最後に,17年晴れの国おかやま国体の主会場である岡山県総合グラウンド,通称県営グラウンドについてお伺いいたします。
 県営グラウンドは,我々子育て世代にとっては無料の格好の憩いの場であるため,児童館等子育て支援機能の充実もお願いさせていただきますが,幾つか質問をさせていただきます。
 まず初めに,いずみ町の交番について,都市計画公園内にある唯一の公園施設でない建物ということでありますが,いずみ町の交番は,極めて交通量の多い五差路を見渡す交番として考えられる最高の位置にあり,しかも,周囲は,この時期以降,タイワンフウの紅葉も美しく,まさに地域に愛されてきた交番です。17年国体を控え,別の場所での建てかえも検討されているようですが,森に囲まれた主会場を守るシンボルとして,十分に地元と協議され,現在の位置で,景観にマッチした森と共生する施設として整備されてはいかがでしょうか,県警本部長にお伺いいたします。
 次に,土木部長にお伺いいたします。
 国道53号バイパスから岡北大橋に抜ける総合グラウンド北側の国道は,岡山県下最悪の交通渋滞の名所で,県外からのお客様を迎える導線としては大変な問題があります。いずみ町交番前付近の交差点改良,さらには,国道の拡幅等の対応はどうなるのでしょうか。
 また,総合グラウンドを囲む南側の市道について,国道53号線との導線部分を拡幅すれば,北側の国道を通過せずとも東西に抜けられる園外を循環する幹線道路が確保できます。リニューアル計画の中で,岡山市側にぜひとも要請されてはいかがでしょうか。
 あわせて,リニューアル計画は今後どのように進められるのでしょうか。地域や利用者の声がいかように反映されるのでしょうか。
 さらに,旧陸軍の将校クラブとして建設されたグラウンドクラブは,歴史的建築物として重要な建物ですが,新体育館建設に伴いどういう扱いになるのでしょうか。
 私の質問は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えを申し上げます。
 平和と戦争についての考えということでございますが,人類共通の明るい未来の創造というものを目指しまして,人種・宗教などさまざまな違いというものを認め合って,友愛と協和の精神に満ちた,争いのない安穏なる状態,これが平和であり,そうした状態でない場合に起こる国家間等の武力闘争,これが戦争であると,このように思っております。
 県といたしましての平和への果たす役割ということでございますが,市町村,県民,NPO・ボランティア等々と協力連携をしながら,本県が持っております医療とか福祉とかITといった,そういうすぐれた技術資源を活用する中で,開発途上国の発展に協力をしていくなど,国際貢献活動に取り組んでいって,平和に寄与していきたいものだと,このように願っております。
 次に,いわゆるむだな公共事業についての御質問がございました。どういう条件のもとに公共事業を行うのかという大変難しい論文を突きつけられたような思いでございますが,この問いに対しまして,抽象論でお答えを申し上げれば,ただいま議員が御紹介されました模範答案のとおりであるとしか言えないわけでございますが,問題は,具体的にどのように公共事業を進めていくかと,こういうことであろうと思います。当該公共事業の便益であるとかあるいは必要性緊急性等々,あくまでも個別事業ごとにその総合的に公共事業というものを判断をしていくということだろうと思います。その点,本県が先駆けてつくりました公共事業の事前評価システム,こういったものは大変そういった面で参考になるのではないかと考えております。費用対効果のウエートを非常に高くしているというところに特徴があるわけであります。
 次に,むだと言われるような公共事業が生まれる背景の一つということで,地方が実施する公共事業についての考えなんですけれども,こういった我々岡山県内で行われております公共事業について,その判断権というものを関係各省庁が握っているということ,そして,地方は,その関係省庁の財源というものに依存をしておりまして,その財源の補助金とかあるいは地総債,過疎債等々の財政負担以上の便益を享受していると,こういったことで安易に公共事業を行うことになりやすい今のシステム,これがいろいろむだな公共事業として地方が行っている公共事業について指摘される背景にあろうかと存じます。
 私は,そういったことから,公共事業の実施の判断権能とともに,財源も地方に移譲してもらって,我々が,すべてどの公共事業を実施するかということをゆだねてもらうと,我々に判断を任せてもらうということで,受益と負担というものを一致させまして,地方において責任を持って公共事業を行っていくシステム,こういったものをつくっていかなきゃいけないと,これが重要であると,私は考えております。
 公共事業の今後の方向でありますけれども,公共事業というものの定義とか範囲,これはさまざまな考え方がございます。このこと自体について議論をするよりは,まず大切なことは,行政が行っている事業は,これはすべて,最終的には国民,そして住民の負担する財源によって賄われていると,こういう点を認識することでありまして,すべての事務事業を含めて,その優先順位というものを適切に判断をしていかなければならないと,そして,そのことを県民の皆様にわかりやすく御説明し,開かれた県政を展開していかなきゃいけないというふうに考えております。
 特に,問題点といたしましてよく指摘されますのは,現在のいわゆる公共事業に定義づけられますものは,起債の発行対象経費と相なっているわけでございまして,これは住民負担の世代間公平の観点から認められているわけでありますけれども,これによって,当面の負担が軽減されることによって,必要性の判断が甘くなると,こういったことが指摘されますから,そういったことを十分留意をしなきゃいけないと,このように考えておりまして,この点,昨日の姫井議員に対しましても,改めて自重自戒しながら,県立体育館につきましても適切に執行していかなきゃいけないと,このように私は考えているわけでございます。
 新たな手法でございますが,事業の計画策定や意思決定の段階から,住民の皆さんの参加を求めまして,広く関係者の意見を反映させて実施をしていく,いわゆるPI方式(パブリックインボルブメント方式)とか,それから公共施設等の設計建設,管理運営に,民間の資金とノウハウというものを活用して,効率的で質の高い公共サービスの提供を図っていこうという,いわゆるPFI方式への取り組みというものが,最近本県のみならず幾つかの公共団体において行われております。今後の公共事業は,事業のあり方を含めまして,民間やNPOがどうかかわっていくのかと,まさに道路関係公団につきましても民営化ということで今議論がなされておるわけでございますので,そういった点も含めまして,私自身深い関心を持ってこれからも適切に公共事業を執行し,取り組んでいかなきゃいけないと,このように思っているところでございます。
 以上でございます。


(総務部長)  お答えいたします。
 まず,公共事業に係る行政組織についてのお尋ねでございますが,これまでも,県の行政組織につきましては,産業構造や社会経済環境の変化に応じました簡素で効率的な体制の整備に努めてきたところでございます。公共事業の見直しにつきましても,それに伴う業務量がどのようになるのか十分に分析しながら,適正な人員配置や行政組織のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 次に,業務委託等に係る地元業者優先についてのお尋ねでございましたが,事業執行に当たりましては,効率性,経済性,確実性などは当然考慮すべきでありますが,地域産業の活性化や県内業者の育成といった観点も重要であるというふうに考えております。
 施設の清掃業務につきましても,本県の登録業者のほとんどが地元業者となっており,地元業者への発注に努めているところでございます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 戦争資料等の把握,収集,展示についてでございますが,戦争資料を保存し,後世に伝えていくことは意義のあることと考えておりまして,総合文化センター等で当時を物語る刊行物等を収集,保存し,閲覧に供しておりますほか,平成8年に発刊した戦後50周年記念誌の「援護の歩み」に,県民の方々の戦時体験記録や写真を収録したところでございます。今後とも,岡山県遺族連盟などと協力しながら,戦争資料等の収集,保存に努めることにしておりますが,展示施設につきましては,今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
 なお,文書館や県立図書館についても,戦争関連記録資料の収集,管理については,今後とも続けていく予定であると伺っております。
 次に,慰霊塔等の管理についてでございますが,地域によっては,遺族の方々のほか,町内会,老人会などが清掃活動を行っているところがあると伺っております。こうした活動が広がり,慰霊塔等の適切な維持管理が行われるよう,県としても,岡山県遺族連盟等関係団体を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
 次に,戦争資料等のデジタル化等についてでございますが,ピース・ミュージアムや若者との交流の場づくり等の御提案をいただきましたが,戦争の悲惨さ体験談等を保存し,次代を担う若者を初め多くの県民の方々に伝えるため,インターネットを含めどのような手段が活用できるのか,関係団体とともに検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(商工労働部長)  お答えいたします。
 公共事業削減のうち,雇用の創出と転職支援についてでありますが,建設業からの労働移動は,その多くが業界内であることから,離職を余儀なくされた建設業労働者を新たに雇い入れ,かつその定着を図った建設事業主に助成を行う建設業労働移動支援助成金制度が国において設けられているほか,産業雇用安定センターにおいて,企業間の出向,転籍のあっせんをしておりまして,建設労働者の送り出し,受け入れ情報のマッチングを図っております。
 県といたしましては,緊急地域雇用創出特別基金を活用して雇用の創出を図るとともに,職業訓練の実施や新規成長分野で新たに人を雇い入れた事業主に対する助成など,国の各種助成金制度の周知に努めているところでございます。
 以上でございます。


(土木部長)  お答え申し上げます。
 県営総合グラウンドに関しまして,国道53号の渋滞対策についてでございますが,現在,国におきまして,津島交差点の東側に新たに左折車線を設けることや,西側の右折車線を延長するなどの交差点改良を検討中でございます。
 また,この交差点を除く区間につきましては,現在の道路幅の中で部分的に車線を追加することにより渋滞の緩和を図る予定でございます。
 これらは,いずれも平成17年のおかやま国体に合わせて整備されると聞いておりまして,県といたしましても積極的に協力をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に,リニューアル計画等についてでございますが,現在,利用者などで構成いたしますリニューアル整備計画委員会で,園路やトイレ及び駐車場などの改築計画を策定中でございまして,安全で快適な環境の中で国体が開催できるよう今後整備してまいりたいというふうに考えております。
 また,グラウンドクラブにつきましては,グラウンド内で移築をしまして,従来どおり利用していただけるように考えております。
 なお,グラウンド南側の市道拡幅につきましては,御要望の趣旨を道路管理者でございます岡山市に伝えてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。


(教育長)  お答えをいたします。
 まず,平和と戦争に関する私の考えについてでございますが,平和と戦争は言葉の意味としては表裏の関係にあると思いますが,私大切だと思っておりますことは,単に武力紛争がないというような状態をつくるということではなくて,恒久平和に向かって一人一人が努力すると,そうした努力する姿勢が大切ではないかと,このように考えております。
 国際貢献先進県を目指しております岡山県に生きる私たち教育関係者が,世界の人々と協力しながら,世界平和の実現と維持に向けた不断の努力をするとともに,国際社会の中で日本人としての自覚を持ち,進んで世界平和に貢献できる人材を育成することが私たちにとっては大切であると考えております。
 次に,高校生たちによる平和宣言等についてでございます。先日,この平和宣言を持って私のところへ高校生が訪ねて来られまして,久しぶりに若い者と直接楽しいひとときを過ごすことができました。この戦争への記憶が薄れつつある我が国におきまして,高校生が,自発的に過去や現在の戦争を見つめ,恒久平和を実現するために自分たちに何ができるかを考え,取り組むことは大変意義あることだと考えております。この高校生の平和宣言には,一人一人が戦争や紛争について学習し,理解を深めるとともに,日々思いやりを持って行動することが平和につながると書いてありました。その考えやこうした姿勢に大変共感を覚えたところでございます。
 私といたしましては,高校生が広く社会に目を向け,自分の意見を持つとともに,他人の意見にも十分に耳を傾け,平和の実現のため考え,行動する力を身につけてくれるよう大いに期待をしているところでございます。
 最後に,平和学習についてでございますが,学校では,社会科などでの学習とあわせまして,総合的学習の時間におきまして,外国の留学生との交流会を持つなど,国際理解教育の視点に立ちまして,平和についての理解を深めております。
 また,高校生会議では,昨年開催しました岡山県高校生議会での宣言を初め,学校や地域を超えて国際貢献の講演会や募金活動に取り組んでおりまして,今後も,こうした取り組みが充実されることを期待しているところでございます。
 以上でございます。


(警察本部長)  佐藤議員の御質問にお答えをいたします。
 お尋ねの岡山西警察署いずみ町交番につきましては,本年で33年を経過した老朽交番でございまして,17年国体の主会場となります岡山県総合グラウンドを管轄しておりますところから,国体までに,ぜひ建てかえ整備をお願いしたいと考えている施設でございます。
 この交番は,現在は,場所的な制約から駐車場がないため,パトカーの駐留もできず,また,来訪される県民の皆様にも大変御不便を強いているいるところでございます。このため,現在地で駐車場用地等を含めた敷地の拡張も検討したところでございますけれども,公園内の樹木の伐採にも制限がありますため,パトカーや来訪者の車両の安全な出入りが確保できないところから,別位置への移転を検討しているものでございます。
 移転候補地は,現在地より約400メートル南側で,岡山県総合グラウンドに隣接した位置にありまして,17年国体には,各種の警察活動の拠点として極めて有効に機能する場所でございます。もちろん,日々の交番活動におきましても,管内住民の方々の安全を守るための機動的な活動が確保でき,来訪者の車両も安心して出入りできる適地と判断しておるところでございます。今後,地元の方々にも十分御理解をいただきまして,周囲の景観にも配慮した施設を整備してまいりたいと考えておりますので,何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。


(佐藤)  1点目のみ要望させていただきます。
 先ほどの知事の御答弁の体育館の方で,私は,個人的にはいい体育館をつくっていただきたいなあというふうに願うものでございます。
 いずみ町の交番の件でございますけれども,本当に懇切丁寧な御答弁ありがとうございました。御案内のとおり,先ほど御答弁にありましたように,木の伐採ということが一番の問題になっているということで,人の命と木の命といろいろあるわけでございますが,これは警察の方だけに聞くのは本来酷でございまして,本来は知事部局の側にも聞かなくてはいけないことだったのかもしれませんが,いずれにしましても,地域の方と御協議いただきまして,説明というのもよろしいんですけれども,まず協議の段階から相談に乗っていただくというところから始めていただければなということでございまして,そのことを要望させていただきます。どうもありがとうございます。

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