平成14年2月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 岡山市の合併について             (企振)[ 知  事 ]
2 NPO・NGOについて
(1)行政との関わり               (生環)[ 知  事 ]
(2)活動状況の把握               (生環)[生活環境部長]
(3)自己評価等                 (生環)[生活環境部長]
3 岡山国際交流センター等について
(1)センター機能                (企振)[ 知  事 ]
(2)ITの活用                  (企振)[企画振興部長]
(3)ボランティア支援              (企振)[企画振興部長]
(4)韓国・中国との交流等            (企振)[ 知  事 ]
4 県立総合社会福祉センターについて       (保福)[ 知  事 ]
5 福祉用具等について              (保福)[保健福祉部長]
(1)福祉用具の貸与
(2)給付の専門窓口
(3)補装具製作所
6 総合的な学習の時間について          (教育)[ 教 育 長 ]
(1)本格実施の支援等
(2)小学校での英語活動
(3)ボランティア講師の人材バンク
(4)精神性疾患による休職教員等
7 教育現場でのIT活用について          (教育)[ 教 育 長 ]
(1)エル・ネット
(2)視聴覚ライブラリー
(3)インターネットによる学習保障




(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。本日のラストバッターということで,いましばらくの御辛抱,おつき合いをよろしくお願いいたします。
 傍聴席からたくさんのエネルギーをちょうだいしまして,元気に通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まずは,若干重複になりますが,市町村合併につきまして,岡山県市町村合併推進要綱を受けて県内各市町村で行われている市町村合併の動きをお示しいただいたところでありますが,まさに「晴れの国おかやま国体」の行われる平成17年がタイムリミットということで,県下65市町村で研究会が設置され,民間での取り組みも活発化してはいるものの,これからまだ一山も二山もあるのではないかな,調整役としての県の役割がますます高まるのではないかなあという印象を強く持ちました。
 ところで,岡山県が示した合併パターンは,地理的一体性,歴史的経緯,産業・経済圏域などの市町村の結びつきに関する客観的なデータを活用していますが,その結果として,県庁所在地の中核市岡山市については市町村合併云々の議論は直接的には関係がないのではないかという印象が漠然と持たれていたと思います。しかし,ここに来て岡山市が中四国の雄都として政令指定都市を目指すべきではないかという議論がにわかに浮上してまいりました。
 私自身岡山市選出の議員でありますし,また,三木行治元知事以来の政令指定都市をつくるという議論には,非常に強い関心を持たさせていただいております。
 御案内のとおり,地方自治法第12章「大都市等に関する特例」第252条の19によれば,政令指定都市は,人口50万以上で,政令によって指定された都市に普通の市と異なる特例を認めている市です。しかし,法的には50万人ですが,運用上は100万人というのがおおよその基準でした。
 ところで,昨年の夏,国の市町村合併支援本部は,合併で人口規模が拡大した都市に対し政令指定都市への昇格要件を緩和することに決めましたが,それは人口70万人で政令指定都市になる可能性を示すものでした。
 過日,片山虎之助総務大臣は,静岡・清水市合併では,政令指定都市を目指すべきであると公に発言されています。岡山市は人口約63万人,合併を伴い政令指定都市昇格に手を挙げること自体は可能性のない話ではないと思います。ただ,財源の問題も含めて,今春より倉敷市が中核市に移行することも相まって,いわば県土の均衡ある発展を目指すのか,それとも選択と集中をもって政令指定都市を誕生させるのか。これはほかの市町村にとっても極めて重要な問題と言わざるを得ません。
 そこで,知事に端的にお尋ねいたします。県庁所在地岡山市が,政令指定都市に移行する可能性はあるのか。その場合は,県は積極的に支援をされるのか,それに伴い岡山県にどのような影響があるとお考えでしょうか。
 次に,NPO,NGOについて伺います。
 非常に残念ながら,外務省の日本のNGO2団体の参加拒否問題は,政権基盤を揺るがしかねない大問題に発展してしまいました。私は,NGOの発言云々というよりも,その後のマスコミの報道のあり方についてもちょっと残念に思うところがあります。ただ,いずれにせよ,NPO,NGOが時として非常に大きな政治的な影響力を持つこと,さらには,税金からなる補助金を受けている限りは,国民に対してNPO,NGOにも大きな責任があるということが明確になったという意味で,ある種のきっかけにもなったというふうに思います。
 ところで,本県においては,このたび岡山市石関町にボランティア・NPO活動支援センターの整備をしていただくことは大歓迎であり,また,NPO支援の中核組織NPOサポートネットワークが岡山NPOセンターとしてみずからが特定非営利活動法人格を取得したこと,さらには,NPOのサミットも大成功をおさめるという非常によい話がありました。
 ところが一方で,NPO法人事務局長が,組幹部とともに暴力行為で逮捕されるという非常につらい事件もありました。しかしこのことは,皮肉にもNPOに社会的な信用があること,また県の行っている法人格の認証が,許可ではなくきちんと認証という形で正しく機能していることの証左ともなりました。
 まず,こういった状況の中で現在知事は行政とのかかわりにおいて,NGOやNPOに対してどのような認識を持っておられるでしょうか。
 法人格は認証により取得できますし,これが事実上の許可になることはあってはならないと私は思いますが,NPOへの法人格の付与とその後の活動のチェックは別の話です。法人格取得以後の具体的活動状況について休眠中の法人等も含めてどのように把握されているのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 また,NPOオンブズマンというわけではありませんが,行政によるものではなく,NPOの自己評価,NPO同士の相互チェック機能,あるいはその組織というものが早晩必要になってくると考えますが,生活環境部長はこの点につきどのように認識され,また支援されようとお考えでしょうか。
 次に,岡山国際交流センターに関して伺います。
 同センターは,平成7年6月24日岡山県がJR岡山駅西口に設置した施設で,国際交流,国際理解,外国人向けサービスなどの総合的機能を備えた,中四国における国際交流の拠点となっています。また,平成17年「晴れの国おかやま国体」主会場の西の玄関口であり,地元商店街や急速に進む再開発地域の核施設でもあります。ただ,閉館時間が早い,図書資料室の資料貸し出しができない等々の問題はかねてから指摘されているところです。私は,国際交流から離れたイベント会場として利用されることも重要ですが,より本来の国際交流の岡山県のセンター機能を果たすべきではないかと考えます。こういった観点から幾つか提言させていただきます。
 まず第1に,同館の宿泊施設等は必ずしも空間が有効に活用されているようには思えません。4階に1部屋交流サロンはありますが,例えば県内のNGOの事務所を集積させる等,よりセンター機能を果たす空間の活用方法は考えられないでしょうか。
 あわせて,「国際貢献先進県おかやま」という構想の中で,国際交流センターが果たすべき役割をどのようにお考えでしょうか,知事にお伺いいたします。
 次に,IT先進県をうたう岡山県ですから,外国語のOSのインストールされたパソコン端末があってもよいのではないでしょうか。また,ITを活用した国際協力のソフトを充実するなどして,センターで外国人及びNGOやNPOが自由に活用できるようにできないでしょうか。さらに,留学生関係のボランティア活動の支援を強化する施策は考えられないでしょうか。具体的には,県民の方々にメンバー登録をしていただき,日本での家族的な役割を果たしてくださるような方々を募り,主にその方々を対象に留学生との接し方を学んでいただくような講習会を開いたり,またメンバーをふやすための広報活動,異文化理解のための講演会等が考えられます。1回限りのお祭りやパーティーのようなものではなく,お互いの文化を伝え合う,後につながるセンターであるべきだと考えますが,いかがでしょうか。
 以上は,企画振興部長にお伺いいたします。
 さらに関連して,本年は日韓共同開催のサッカー・ワールドカップがあり,さらに本県と江西省との友好提携10周年であると同時に,郷土の偉人岡崎嘉平太先生ゆかりの日中国交正常化30周年の記念すべき年でもあります。両国には直行便も飛んでおり,国際交流はもとより,観光振興等に結びつけるべきだと思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。
 次に,岡山市平田にある岡山県立総合社会福祉センターについて伺います。
 岡山県立総合社会福祉センターは,心身障害者の生活,職業,補装具などの相談及び女性の家庭紛争,離婚などの相談に応ずる相談部門と,身体障害者の社会復帰を目指した機能回復訓練,職業基礎訓練及び知的障害児者の社会生活への適応・自立を目指すための生活指導,更生訓練を行う施設部門が有機的に一体化された総合的福祉施設で,開設当初は全国的にも非常に先進的な施設であったと伺っています。周辺は宅地化が進み,いわゆる岡山市の外環状道路のそばに立地するため,改めて施設内の自然の美しさ等が見直され,近年では,障害のある方や地域の方が触れ合うすばらしい催しの会場にも使われています。
 一方,高齢化社会を迎えた現在,新たなニーズにこたえるための中核となるべき基幹センター施設としては老朽化が著しく,さらに女性相談所,児童相談所の拡充が言われる中で,こういった複合施設からどう時代の要請に合わせていくのか。とりわけ平成15年度の支援費制度の開始に伴い,障害者へのサービス低下,福祉制度に対する混乱を招くことがないようにしつつも,大幅な見直しをすべき時期に来ているのではないかと私は考えますが,知事はいかがお考えでしょうか。
 次に,障害者等の福祉用具に関して,幾つか質問をさせていただきます。
 まず,介護保険法の導入によって既製品の福祉用具が貸与されるケースがふえてきましたが,貸与された福祉用具が既製品であるがゆえに体に適合していない場合が多いとも言われていますが,この実態について保健福祉部長はどのように把握されておられるでしょうか。
 また,車いすを含めた補装具が身体障害者福祉法でいう給付対象でもあるという現実がありますが,性格上,本来は既製品で対応するのではなく,必要な人に必要な福祉用具を給付することが好ましいと思います。しかし,福祉への民間参入も急速に進み,非常に多くの福祉用具が流通するようになっており,専門的な判断が非常に難しくなっていますし,財政的にも行政がこうした個別の取り組みを行うのは極めて困難です。その結果として,各市町村が給付の対象として認めるべきか認めるべきでないか,どこまでを県や市が補助するべきなのか,判断に迷うという事態が生じています。こういった点から,私は,県の主導による福祉用具給付における専門の窓口の整備が必要ではないかと考えますが,保健福祉部長はいかがお考えでしょうか。
 さらに,補装具製作所については,県が保護しなければならない身体障害者や重度障害児に対して民間で対応し切れない部分が多々あります。特に車いすの改造等,障害者に対しての個別的対応については加工機械の整備された工場を必要とし,対応についても各専門家が携わるべきですが,民間では資金的に不可能であると思われます。この点,滋賀県においては,県の補助によって運営されている財団法人滋賀県レイカディア振興財団内の滋賀県立福祉用具センターが,福祉用具の改造修理を行っています。理学療法士,作業療法士,機械技術者,電気技術者等の専門家がスタッフとして常駐し,加工に必要な機械や材料と200坪程度の作業場を有していて,簡単な改造であれば1,000円プラス材料代,複雑な改造でも3,000円プラス材料代で改造を行っているとのことです。
 そこで,私は,新しいニーズに合った補装具製作所を行政が主導となって新たに拡充すべきであると考えますが,補装具製作所の今後のあり方について,保健福祉部長の御所見をお聞かせください。
 次に,総合的な学習の時間についてお伺いいたします。
 遠山文部科学相は,昨年11月末,中央教育審議会に対して教育基本法の見直しを諮問しました。明治以来の教育勅語に入れかわるように昭和22年に制定されて以来,本格的に議論されるのは初めてということで,大いに注目したいところであります。それに先立つように,いよいよ本年4月から全国の小中学校で新しい学習指導要領が全面実施されます。
 新しい学習指導要領は,生きる力を育成することを基本的なねらいとしていますが,文部科学省としては,「心の教育」の充実と「確かな学力」の向上とが教育改革の特に重要なポイントであるとしています。「総合的な学習の時間」は,「確かな学力」の向上のための施策のその3,「学ぶことの楽しさを体験させ,学習意欲を高める」に当たります。
 ところで,この「総合的な学習の時間」については,たびたび指摘させていただいておりますように,各校の裁量にゆだねられ,教員もPTA等も大変な不安を抱えての本格実施ということになります。
 また,かなりの小・中・高校で前倒しで実施されたと思われる「総合的な学習の時間」ですが,現在のところ,学校,地域,PTAからどういう声が上がっているのでしょうか。当初の目的を達するために,予算面を含めて無理のない本格実施ができるのでしょうか。現場の教員に対して指導・相談等人的,制度的なバックアップ体制は十分整っているのでしょうか,現在の状況をお知らせください。
 特に,小学校の国際理解教育の一環としての英語については,子供たちは楽しい英語活動を心待ちにしていますが,その活動ができる環境の小学校もあれば,そうでもないところもあります。そのカリキュラム,実践方法,学校体制についての不安や問題を抱えた状態であり,さらに外国人を招くに当たっての諸費用や外国人との協力体制,外国人の指導力についても不安を抱えている状態ですが,民間のノウハウの活用等を含めて今後どのようにサポートされていかれるのでしょうか。
 あわせて,「小学校英語活動実践の手引」が今年度文部科学省から発行されましたが,小学生が学習すべき英語のあり方についてどのようにお考えなのか,お知らせください。
 さらに,既に多くのNPOやNGOが,「総合的な学習の時間」には積極的にかかわってくださっていますが,ボランティア派遣講師の人材バンクのようなものを設立してはいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。
 若干これは重複になりますが,これに関連して,「総合的な学習の時間」の本格実施もあり,さらに現場の教員の負担が増すと思いますが,昨年12月に,文部科学省が「教職員関係調査統計資料」を発表しましたが,その中の病気休職者数等の推移を見ると,病気休職者のうち精神性疾患による休職者数がここ数年増加傾向にあります。県教委の本年1月の調査発表によれば,先生の中で疾病等が最も大きな要因で,特別な対策が必要な教員が41名おられたということですが,こういった心の健康が原因で適切な対応ができないということは,子供たちにも大きな影響を与えます。本県における精神性疾患による教職員の休職者の状況及び疾病等により特別な対策が必要と考えられる教員の実態はどのようになっているのでしょうか。また,この問題をどのように認識され,どのように対応されようと考えておられるのでしょうか。
 最後に,教育に関連して,IT先進県である我が県の特殊性は教育現場にどう生かされていくのか,具体的にお伺いいたします。
 まず,社会教育,生涯学習については,岡山県エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業の成果を含めて,エル・ネットが岡山情報ハイウェイとどうリンクされながら各市町村の生涯学習施設,例えば公民館等で生かされていくのか,お知らせください。
 関連して,特にビデオや16ミリフィルムを基本とした視聴覚ライブラリー,これは割と郡部の方にありますけれども,各公民館等にビデオだとか16ミリフィルムが置いてあってだれでもごらんになれるというものですが,こういったものがIT化の流れの中でどのように変容していくのか,その方向性についてもお伺いいたします。
 加えて,現在,不登校の児童生徒に対して,インターネットを活用した学習保障がハード的には実現できる状況になりつつあると思いますが,実際民間企業の厚意によってインターネットの講座を持つ動きがあるとも聞いております。こういったインターネットを活用して不登校の児童生徒を支援することをお考えでしょうか。
 以上,教育長にお伺いいたします。
 私の質問は大変多くなりましたが,以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず,岡山市の政令指定都市への移行についてのお尋ねがございました。国の合併支援プランにおきまして政令指定都市の弾力的な指定を検討すると,このようにされたところでございますが,これからの分権化時代におきましては,住民に最も身近な市町村の果たしていく役割がますます大きくなっていくことから考えますと,今後,関係の皆様方が幅広い論議というものを尽くされることが重要であると,このように考えております。県といたしましては,当面,こういった論議の動向というものを見守ってまいりたいと考えております。
 なお,政令指定都市になりますと,国道,県道の新改築等の管理権限,あるいは都市計画決定の権限,さらには児童相談所の設置等の事務処理権限が大幅に県から移譲されることになりまして,県民に身近な行政主体での行政サービスの提供等が可能になるものと,このように考えております。
 次に,NPO,NGOと行政とのかかわりについてでありますが,特に阪神・淡路大震災以降,こうした団体の果たしていく役割の重要性というものが見直されまして,国際貢献や環境,あるいは文化など多様な分野におきまして,行政とかあるいは民間企業では対応できないきめ細かい社会サービスというものを提供したり,あるいは時代を先取りする活動を行うことが実証されてきております。しかし一部に,お話にございましたようなNPO法人にかかわる事件が起こっていることは,これはまことに遺憾なことでありまして,県といたしましても,この点につきましては毅然とした態度で対応をすべきものと,このように考えておりますが,基本的には,NPOやNGOと行政との関係は,それぞれの機能分担のもとでお互いが自主性を尊重した協働,すなわちパートナーシップの関係にあるべきものと認識をしております。
 次に,国際交流センターの機能についてでありますが,今後,国際貢献ボランティアの育成やあるいはNGOの活動支援などの事業を実施して,同センターが,「国際貢献先進県おかやま」を目指した人,情報,心の交流拠点としての役割を果たしていくように努力してまいりたいと存じます。あわせまして,関係団体等の御意見をお伺いをしながら,国際交流の促進を初め,NGOの方々が活動しやすい環境づくりなど,交流センター機能がより一層発揮できるよう施設の有効活用方策等につきましても検討をしてまいりたいと考えております。
 韓国,中国との交流等についてでありますが,中国とは,江西省との友好提携締結10周年を契機に,友好訪問団の相互派遣などを実施いたしたいと考えております。また,上海の旅行会社に対します岡山向け旅行商品の開発の働きかけや中国江西省からの経済代表団の受け入れを検討いたしております。
 また,韓国とは,ワールドカップ共同開催の本年が日韓国民交流年でございますので,関係団体と連携をした文化・スポーツ交流とともに,韓国での国際観光展への出展やあるいは商談会を計画するなど,多くの分野での一層の交流の活発化に努めてまいりたいと存じます。
 最後に,県立総合社会福祉センターについてでありますが,昨年3月に岡山県社会福祉審議会及び岡山県児童福祉審議会から児童・障害者等の福祉において県が今後果たしていくべき役割についての答申をいただいたところであります。この答申におきましては,社会福祉を取り巻く状況というものが大きく変化をしていく中で,福祉サービスに対するニーズの増大やあるいは多様化に対応していくため,センターの民間委託やあるいは新たな相談・支援体制の整備というものが強く求められております。県といたしましては,こうした答申の趣旨を踏まえまして,相談・支援体制の充実など社会福祉サービスに取り組む新たな体制を早急に確立をいたしまして,県民福祉の向上に努めてまいりたい,こういったことで,この総合社会福祉センターの今後のあり方につきまして具体化を急いでまいりたいと考えております。
 私からの答弁は以上でございます。


(企画振興部長)  お答えいたします。
 岡山国際交流センターにおきましてのITの活用についてでございますが,センター機能の拡充を図りますため,新たに中国語などのOSがインストールされましたパソコン端末の増設のほか,NGOの活動状況や各種支援制度,あるいは外国語が通じる公共施設などの情報が容易に検索できるソフトの充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に,ボランティア支援についてでございますが,外国人の方々の岡山での生活がより充実したものとなりますよう,岡山国際交流センターに国際ボランティア人材バンクを今月中に開設すべく関係機関との協議・調整を進めているところでございます。この中で,佐藤議員からも御提案がございました留学生の相談相手やホームステイの受け入れなどを行う留学生等協力家庭ボランティアといった制度を設けまして,県民の方々に広くこのバンクへの登録を呼びかけますとともに,協力家庭を対象にいたしました研修会の開催なども検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(生活環境部長)  お答えいたします。
 NPO法人の活動状況の把握についてでありますが,特定非営利活動促進法では,法人格取得後も,毎年1回事業年度終了後3カ月以内に県に対し事業報告書や収支決算書等一定の書類を提出することとなっており,これらの書類に基づいて活動状況を把握しているところであります。
 本県の状況としましては,認証した法人のうち,平成14年2月末までに報告が必要であった42法人につきましては休眠法人はなく,すべての法人から事業報告書等の提出を受けております。
 なお,法人の具体的活動が法令等に違反していると認められる相当の理由がある場合には,当該法人に対し報告の徴収や立入検査等を行うことができるものでありまして,今後,必要に応じこうした措置を講じてまいりたいと存じます。
 次に,自己評価等についてでありますが,NPOが自己評価またはNPO相互のチェックを行い,その結果を活動や組織運営に生かしていくことは極めて重要であると認識しております。これらの自己評価や相互チェックを支援する組織につきましては,行政ではなく,NPOの運営や活動を支援するNPOの自律的判断に基づく取り組みが望ましいと考えております。このため,県としましては,そうした支援組織であるNPOと連携し,自己評価やマネジメント手法についてセミナーや研修会,さらには情報誌やホームページによる情報提供をもって支援してまいりたいと存じます。
 以上でございます。


(保健福祉部長)  お答えいたします。
 まず,介護保険における福祉用具の貸与に関するお尋ねでございますが,介護保険では,要介護認定者が標準仕様の車いす等の福祉用具の中から選択して利用することになりますが,体に適合しないなど利用に当たっての苦情ということから見ますと,市町村や国民健康保険団体連合会にはこうした苦情が寄せられているというふうには聞いていないところでございます。しかし,議員の御指摘もございましたので,今後,個別の苦情あるいは御相談があれば誠実に対応してまいりたいと考えております。
 次に,給付の専門窓口についてでございますが,身体障害者に対する車いす等の補装具の給付は市町村において実施されているところでございます。この給付事業というのは,市町村の事業でございますが,その給付に当たっては,県の専門機関である身体障害者更生相談所におきまして医師等による専門的な判定を行っており,既製品で対応できないと判定された場合には,障害の状況に合わせてオーダーメードするなど障害者の要望にこたえているものと考えておりますし,今後とも十分対応してまいりたいと考えております。
 最後に,補装具製作所についてでございますが,県立総合社会福祉センターに設置されている補装具製作施設は,身体障害者福祉法に規定される施設として補装具の製作や修理を行ってまいりましたが,年々依頼件数が減少している,そういった状況にございます。一方で,近年におきましては,十分な設備を備え義肢装具士を配置するなど,県下の民間業者の技術向上が目覚ましいという状況もございまして,県と民間の役割分担や利用者のニーズも含めましてそのあり方を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


(教育長)  お答えをいたします。
 まず,「総合的な学習の時間」の本格実施の支援などについてでございますが,保護者や地域からは,子供たちが活動に生き生きと取り組んでいるとか,地域のよさが見直される中で家庭での話題がふえたという声がある一方で,教科の学力低下を心配する声もございます。
 また,学校からは,子供たちが教科の時間に比べより興味,関心を持って学習に取り組んでいるとか,発表する力が身についてきているという声がありますが,一方では,学習成果が短期間にあらわれにくく,評価がしにくいという声もございます。
 予算につきましては,ほとんどの市町村で何らかの措置がなされておりまして,さらにその努力が続けられております。県教育委員会では,地域の方を講師として依頼する特別非常勤講師制度,各種の教員研修,実践事例集や指導資料の配布などによりまして,円滑な実施に向け支援を行っているところでございます。
 次に,小学校での英語活動についてでございますが,教員の指導力の向上を図ることがまず大切であります。県教育センターの研修の中で,先進校の事例を紹介したり,民間の指導方法や教材づくりのノウハウも取り入れていきたいと考えております。
 また,人的支援といたしましては,市町村が海外生活経験豊かな民間の方などに指導をお願いする際に,県教育委員会の特別非常勤講師制度が活用をされております。
 小学校の英語学習のあり方につきましては,歌,ゲーム,あいさつなどの体験的な活動を通しまして,簡単な英語を使ったり,外国人と触れ合うなどして,子供たちが自然に英語に親しむように工夫することが大切であると考えております。
 次に,講師の人材バンクについてでございますが,現在,人材バンクは,学校や市町村教育委員会ごとのものや,ライオンズクラブなどの民間団体のものなどさまざまなものがございます。今後,これらの人材バンクが学校で一層活用されますよう,民間団体等とも連携しながら情報提供の充実に努めてまいりたいと存じます。
 次に,精神性疾患による休職教員などについてでございますが,昨年12月に国が発表した調査によりますと,精神性疾患による休職者の本県の発生率は0.3%で,全国平均の0.24%を上回っているのが現状であります。
 また,本年1月の県教育委員会の指導力実態調査では,疾病の内容についてまで報告を求めておりませんが,さきの調査から類推いたしまして心の健康に課題のある者が多いのではないかと考えております。
 近年このような憂慮すべき状態が続いておりますことから,今年度,専門医などによるメンタルヘルス対策委員会を設置し,その提言をもとに学校としての対応策をまとめた冊子を作成しております。来年度は,ストレスチェック事業の拡充や専門医による相談窓口の開設,さらに円滑に職場復帰するための方策も検討していただくことにしております。
 次に,エル・ネットについてでございますが,これは,全国の大学のさまざまな公開講座などを身近な公民館などで受講できるシステムとして有効であると思います。しかし,まだ受信設備が未設置の公民館なども多く,今後,設置を働きかけますとともに,著作権上の問題のないエル・ネットの番組につきましては,岡山情報ハイウェイを活用し,インターネット上でいつでも見ることができるビデオ・オン・デマンドによる提供について検討してまいりたいと思います。
 次に,視聴覚ライブラリーについてでございますが,急速なIT化の進展の中で,ライブラリーの今後のあり方については検討すべき課題であると認識しております。県の視聴覚ライブラリーの今後の一つの方向性といたしまして,郷土資料などの著作権上の問題のない資料につきましては,先ほどのビデオ・オン・デマンドによる提供を拡充することも考えられるところであります。
 現在,国において著作権のあり方について検討が進められておりまして,解決すべき課題も残されているところであります。さらに今現在,ビデオ教材が貸し出し希望の大半を占めておるわけでありますけれども,今後は,DVD教材など新しい多様な教育メディアの整備にも努めてまいりたいと存じます。
 最後に,インターネットによる学習保障についてでございますが,現在,不登校の児童生徒のための適応指導教室におけるマルチメディアを活用した指導につきまして,岡山市に委嘱し,研究をしております。それによりますと,学習に取り組むようになるまでにかなりの時間がかかっておりまして,現段階では学習ソフトの活用程度にとどまっておるところであります。
 県教育委員会といたしましては,この委嘱の成果も踏まえながら,インターネットの持つ双方向性といったものを有効に活用いたしまして,さらにどのような学習支援ができるかを研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

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