平成13年9月定例会 一般質問 自由民主党 佐藤真治

1 公職としての誇りについて           (総務)[ 知  事 ]
 (1)県民へのメッセージ
 (2)公職としての県職員
2 行政改革について                   [ 知  事 ]
 (1)県の行革の目玉              (総務)
 (2)地方分権一括法施行のメリット       (総務)
 (3)行政情報化の推進         企振協力(総務)
 (4)市場との競争原理の導入          (総務)
 (5)行政と県民の情報の共有化         (総務)
 (6)パブリック・コメント手続         (総務)
 (7)第三者機関                (総務)
 (8)PFI手法
  ア インキュベーションセンターヘ導入した意図 (商労)
  イ 施設整備等のコスト削減          (商労)
  ウ 導入対象等                (総務)
  エ 総合評価方式の公平性等          (総務)
  オ リスク分担                (総務)




(佐藤)  休憩前は,自由民主党の蓮岡議員の質問でございましたが,ちょっとわかりにくいかもしれませんが,私は佐藤真治の方でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 健康に留意しながら,太く,長くやってまいりますので,午後からちょっと眠いかもしれませんが,どうぞおつき合いをよろしくお願いいたします。
 先輩方の御厚情をいただきまして,私のわがままで,毎回毎回一般質問を続けさせていただいてまいりましたが,いよいよ10回目になりまして,ここはひとつ趣向をというわけではございませんが,これからさせていただきます質問は,あるいは,今までで一番過激な質問になるかもしれません。ただ,その根底にあるのは,あくまで職員の方であれ議員であれ,公職にある者の責任と誇り,それを回復したいという願いであり,尊敬する石井正弘知事に対して,いたずらに攻撃しようとか生意気を言ってみようとかというわけではございません。しかし,若い者が何を言うんならという部分がございましたら,これが俗に言う若げの至りでございます。どうか,そこのところをおおらかな気持ちで受けとめていただきますよう,心よりお願い申し上げます。
 さて,私は,この神聖なる本会議の議場で,愚痴を申し上げる気はさらさらございませんが,県議会議員に当選させていただいて2年半,先輩方や執行部,職員の皆様方のお力添えをいただき,自分なりに頑張らせていただいてきたつもりですが,なかなか成果が出ません。それどころか,周りを見渡せば,事態はますます悪化しております。景気は悪化の一方,毎日倒産のニュースが入り,完全失業率は5%突破,たび重なる想像を絶するような,信じられない事件の数々,崩壊する倫理,社会不安,環境の悪化,さらにはアメリカの連続テロ事件を契機にした国際的な戦争の兆し,一体この国はどうなってしまうのか。私は,議員として何をしているのか。何か日本はおかしいぞ。前代未聞の経済危機,社会的危機だとだれもが感じています。小泉総理への一時の圧倒的な支持も,このままでは本当にすべてがだめになる,その前に,根本的な手を打ってほしい,そういった国民の声でした。もはや右肩上がりの経済,豊かな未来,そんな夢にいつまでも酔い続けることはできないのかもしれません。高度経済成長がいつか戻ってくるというのは幻想にすぎないかもしれません。だれもが,本当に大きな不安を抱えています。ここから始まるのは,生き残りをかけた戦いです。今この瞬間に,どれだけ多くの岡山県民が歯を食いしばって頑張っておられるでしょう。どれだけ多くの方が,あしたの,いやきょうを乗り切るために汗と涙を流しておられるでしょう。家族のため,従業員のため,迫りくる倒産,失業,リストラの恐怖と戦いながら生きておられる方が,どれだけ多くいらっしゃるでしょう。
 10カ月になった子供の寝顔を見ながら思います。彼に何を残せるのか。こいつは将来,何もよいことがないかもしれない。既に,彼は,多くの借金を背負っている。また,これからも平気でツケを回されるでしょう。少子・高齢化が進み,さらに,国際的な緊張の中で,ずっと今よりも不安な社会で,ずっと借金を背負い,彼らは生きていかなくてはならないのです。また,どれだけ多くの子育て世代が今を耐えているかおわかりでしょうか。自分たちの受けてきた以上の幸せは,子供たちに与えられないかもしれない。親として,どれだけ情けないか。今をやり過ごしても,将来の経済的不安,社会的不安がどんなに大きいか。
 私は,彼らの声を代弁したいのです。政治は,未来の子供たちのためにあります。今声が出せる,意見が言える人たちのためだけではないのです。しょせん人間は死にます。人類という流れの中では,バトンランナーにすぎない。何を引き渡したか,それがその時代の人間の評価です。岡山県が,未来永劫続くとは思いませんが,我々の価値は,何を手渡したかで後世がすぐに判断してくれるでしょう。
 そんな不安の中で,それでも岡山県民は,岡山県に税金を払ってくださっています。納税の義務を果たすといえばそれまでですが,それは,決して岡山県職員の皆様を初め公職にある者の安定的な生活を願ってのことではもちろんありません。私を県議会議員に推してくださった方は,私が特別職公務員になる就職活動を手伝ってくださったわけでもなければ,先生と呼ばれて偉くなれと祈っておられたわけでもありません。公職にある人間に,全体の奉仕者である公務員に,しっかりと生命,自由,財産を守ってほしい。みずからの命をかけても,岡山県のために,岡山県民のために尽くしてほしい。それが,岡山県民の願いです。そのために,血税を納めてくださっている。代表に選んでくださっている。逆に,それにこたえるのが公職にある者の使命であり,誇りです。岡山県民が,みずからの血税を託した我々をどう見ておられるかは想像にかたくありません。私は,本当に使命感に燃えて,一生懸命働かれている職員の方の姿を身近で見ております。しかしながら,県民は,そうは見ないのです。これだけ民間が死に物狂いで頑張っているのに,我々の血税を使って,公務員は何をしているのか。繰り返される血税がむだにされる姿,しかも民間ではとても考えられない公務員の責任のとり方。民間は生き死にです。「ごめんなさい」では済まないのです。民間では失敗すれば,まさに命がなくなるのです。行政サービスの価値を税金の対価という観点から厳しく監視するということであれば,当然,岡山県に効率的な行政サービスが期待できない場合は,県民が税金を払わないという納税拒否の発想も出てくるでしょう。いつ税金不払い運動が起きても,県庁にデモ隊が来ても不思議ではないかもしれません。そのぐらい岡山県民は怒っておられるのです。今,私たち公職にある者は,一番大切な信頼を失っています。今再び我々公職にある者が,責任と誇り,信頼を取り戻さないといけません。
 まず,知事に,そういう血税を払ってくださっている県民,倒産や失業の恐怖と戦っている方,子育て世代,未来の子供たちに対して,首長として,今,目の前におられると仮定して,メッセージを送っていただきたいと思います。
 さらに,公職としての県職員が,どう県民から見られていると認識されておられるのか,それに対して長としてどうしたいとお考えなのか,お知らせください。
 そんな中で,岡山県では,平成9年11月に岡山県行財政改革大綱,平成11年11月には第2次岡山県行財政改革大綱を策定し,危機的な状況にある県財政の健全化と,21世紀に向けて岡山県が飛躍するための,柔軟でスリムな行政システムの構築を目指して,徹底した経費の削減と抜本的な行財政改革を進めてこられました。そして,今年度の重点目標として,行政情報化の推進,外郭団体の見直し,パブリック・コメント手続制度の検討,PFI導入の検討などを掲げられています。
 日本の地方自治は,破綻か再生かの瀬戸際にあるということで,日本全国の自治体が行政改革大綱を掲げ,歳入の減少に応じて各部の予算を一律カットする,あるいは新規採用を控え,人員の自然減を待つ,あるいは組織を簡素化し,部や課の統廃合を行う,あるいはさらに,サービスの推進,一層の効率化と,項目を並べられています。しかし,民間では,企業経営が苦しくなれば,コスト削減は当たり前で,こういった減量経営が実質的な仕事のやり方や経営効率の向上にはなかなか結びつかないと言われています。
 まず,あまたある行政改革大綱の中で,要するに岡山県の行革の目玉は何なのか,知事にお尋ねします。
 以下,個別に行政改革に関して質問させていただきます。
 まず,国の行革の一環として,地方分権が掲げられるわけですが,地方分権一括法施行後,機関委任事務の廃止が地方分権の成果として挙げられていますが,具体的に,機関委任事務廃止を初め,地方分権一括法施行のメリットがどう県民にあったのか,お知らせください。
 次に,今年度の行革の重点目標として掲げられている行政情報化の推進,いわゆる電子県庁化に関して,ITは,行政の,特に執行業務のあり方を根底から変える可能性があり,考えようによれば,プロパーの事務職員はほとんど要らなくなる。また,民間はそのように努めていると思いますが,こうしたeガバメントが行政機関にもたらすインパクト効果について,どのようにお考えでしょうか。具体的に,県庁内,地方振興局をネットで結んだ結果,どれだけのコストダウンの効果がありましたか。また,現在の業務内容を何年までに,どういう形でコストダウンしていくのか,お示しください。
 次に,私は,行革のためには,市場との競争原理の導入が不可欠だと思います。個々の行政サービスに,官民の区別なく,競争原理を導入する工夫が英米では行われていますが,日本では,例外的な民間委託,民営化に限られます。官民の間に強制競争入札を導入し,民間とのコスト比較にさらし,費用対効果のすぐれた方に行わせるということはお考えでしょうか。特に,知事は,NPOの活用をよく言われますが,将来的には,行政とNPOに競争原理を働かせて,行政のコストダウンを図ることをお考えか,お知らせください。
 次に,行革に関しては,行政と県民の情報の共有化が必要です。しかし,全戸配布の保存版と銘打たれた晴れの国ジャーナルには,県の財政赤字について余り書かれていません。改革案を打ち出すときに,いかに現状が大変か,苦しいか,県民の理解と協力が必要か,繰り返し訴えないといけませんが,明確に示されているとは言えません。残念ながら,行政改革大綱,行革レポートはなかなか県民の手には届いていないのが現実です。現状の問題点,過去の失敗を積極的に情報公開し,改善状況を定期的に公表していくために,県民に理解しやすい形でお伝えする方法はないでしょうか。
 さて,今年度の重点目標として掲げられているパブリック・コメント手続についてお伺いいたします。
 パブリック・コメントは,国では,そのような機会を設けなければならないことを閣議決定し,平成11年4月から実施しているもので,国の定義で言えば,行政機関が政策の立案等を行おうとする際に,その案を公表し,この案に対して広く国民,事業者等の皆さんから意見や情報を提出していただく機会を設け,行政機関は,提出された意見等を考慮して,意思決定を行うというものです。国民,事業者等の皆さんの多様な意見,情報,専門知識を行政機関が把握するとともに,行政の意思決定過程における公正の確保と透明性の向上を図ることを目的としています。岡山県では,パブリック・コメント手続の導入を検討されております。
 そこで,パブリック・コメントとは,そもそもどういう基準,法的根拠で行われるのか,また,その法的効果はいかなるものでしょうか。
 また,パブリック・コメントをとったといえるためには,どれだけの数の反応があり,しかも,その反応の内容がどうでなくてはならないか,明確な基準はあるのでしょうか。
 また,市町村では,ホームページで住民投票のような形でパブリック・コメントをとり,施策推進の根拠としている例がありますが,住民投票との明確な違いは何か,そして,議会との関係をどのようにお考えか,お知らせください。
 あわせて,既にパブリック・コメントをとったとおぼしき事案が散見されますが,それがどう反映されたのかをお知らせください。
 関連して,公的に意見を募るという意味で,大規模事業評価委員会など,いわゆる第三者機関についてお伺いいたします。
 まず,今回,外郭団体について,第三者機関の設置を知事は提案されていますが,本来,選挙を経た議会に対して十分な情報開示をされることが前提であると思いますが,議会の審議よりも先に情報が示され,時には,マスコミ報道され,手続上,第三者機関の意見がにしきの御旗となり,施策が進められているように感じられます。知事は,第三者機関と議会の関係をどのようにお考えなのでしょうか。
 また,第三者機関設置の法的根拠並びに第三者機関の意見等の法的拘束力についてお知らせください。
 また,第三者機関のチェックはどこが行うのでしょうか。
 我々議員は,判断を間違えれば,次は落選ということになるわけですが,選挙によらない民間のいわゆる学識経験者の方が,例えば事業が破綻した場合にどういう責任が生じるのか,道義的な責任のみで事業の方向性など決められるのか,お知らせください。
 次に,今年度の行革の重点目標として,PFI手法の導入が挙げられています。リサーチパーク,インキュベーションセンター建設にPFI手法が使われることが決定しましたが,手法であるPFIについてお伺いいたします。
 地方自治体として,ITは高速道路と同じで,先頭に立たず,周りの状況を見ながら半歩後を行く方が,安全で,しかも補助金などが充実して安上がりだという施策をとるところもありますが,このPFI手法も,導入する自治体はふえてはいますが,実際の成否は未知数で,決定的な成功事例は日本ではまだ出ておらず,どこも恐る恐る始めているのが現状だと思います。また,道路や橋にPFI手法を導入するというイギリスの事例と比べても,日本では廃棄物処理施設などに導入するのが一番なじむように思いますが,今回のインキュベーションセンターに導入された意図をお伺いします。また,この施設の整備等につき,9,000万円のコスト削減ということですが,PFI手法導入に伴う費用,また予測外の支出を見越して,正味幾らの削減になるのか,あわせてお伺いします。
 また,今後,どのようなものに導入されていかれるお考えなのか,また,どの程度のコスト削減が見込めたら,PFI手法を導入する意味があるとお考えなのか,お知らせください。
 また,施設自体が民間事業者所有の施設ということになれば,当然,固定資産税を支払わないといけません。そうした場合には,県の施設にもかかわらず,市町村に固定資産税を払うことになるのでしょうか。こういったPFIに関しての税法の整備はどうなっているのか,お知らせください。
 PFIの場合,総合評価方式と称して,学識経験者などから成る審査委員会が事業者の選定をするわけですが,その公平性,公正性,透明性はどう担保されるのでしょうか。
 また,PFI事業者が附帯事業でもうけたいと思い,そのことに頑張ったあげくに失敗し,当初の目的の事業もできなくなった,そういった事態にはどう対応されるのでしょうか。仮に事業が破綻した場合,最終的な責任はだれが負うのでしょうか。また,県にとって新たな負担は生じないのでしょうか。
 今,公職にある方は,あるいは田町や中央町で,隠れるように,肩身の狭い思いで飲んでおられるかもしれません。もし県庁のバッジや議員バッジをつけて飲んでいたら,見も知らない県民の方から,「いつも頑張ってくれてありがとうな。あんたらのおかげでこんなにようなったで。これからも頼むで」と肩をぽんとたたかれる,ありがとうの一言,感謝の言葉,公職にある喜びはそんなものだと思いますが,それは夢なんでしょうか。
 ところで,知事は,毎週火曜日夜放送中のNHKの「プロジェクトX 挑戦者たち」をごらんになっておられますか。恐らく時代の逆境の中にある多くの方々が,あの番組に勇気づけられているのではないでしょうか。毎回テーマはさまざまですが,こんなに熱く生きていた人がいたのか,こんな形で苦難を乗り切ったのか,わしだってやれるんじゃねえか,頑張ろう,そう思うのです。1兆円以上の財政赤字の解消,これはまさに「プロジェクトX」です。私たちに与えられた試練です。願わくば,知事,将来,「プロジェクトX」に出てください。それだけの価値のある大改革です。そのときには,まことにずうずうしいお願いですが,当時の県議会議員として,私も,写真でよいですから出してください。どうか「プロジェクトX」が「プロジェクト×(バツ)」にならないようお願いしながら,すべて石井知事に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えをいたします。
 いつものことながら,早口で大変たくさんの質問をいただきまして,まことにありがとうございました。
 順次お答えを申し上げたいと思います。
 まず,県民へのメッセージということでございますけれども,御質問の中にもございましたが,大変厳しさを増しております経済,そして雇用の情勢の中にあります。そしてまた,地球規模でさまざまな環境問題も発生をしております。そういった中で,また同時に,今議会でも少子・高齢化の問題がいろいろ言われておりますけれども,そういった中で,多くの困難に直面をしておられる県民の方々がいらっしゃるわけでございます。しかし,岡山県は,考えてみますと,これまでも多くの先人の方々の努力によります,幾多のさまざまなそういった困難を乗り越えて,今日の発展を築いてきたところでございます。県民の皆様方の英知と,そして努力というものを結集をしていけば,これらの幾多の困難を必ずや乗り越えていくことはできると私は確信をいたしております。
 御案内のとおり,さまざまなそういった問題,これを解決していくためには,やはり生活者の視点に立って,今いろんな困難を抱えてらっしゃいますが,そういう方々の立場に立った行政というものが大変重要かなと思っております。そういった方々とともに手を携えまして,私自身先頭に立ち,岡山県の可能な限りの発展,それを目指しまして,これからも全力を尽くしてまいりたいと,このように考えております。佐藤議員におかれましても,ぜひ県政におきましての,ひとつ御支援と,また御協力をお願いを申し上げたいと存じます。
 そこで,公職としての県職員,どのように見ておられるかと,こういうことでございますが,確かに,御質問にもございましたとおり,真摯に公務に励んでいる,一生懸命頑張ってる,そういう職員もいる。こういう声を聞く一方で,今のお話にございましたような,倒産,あるいはリストラ,こういった一般の中小企業の取り巻く厳しい環境の中にあって,役所は倒産する心配もないわけですから,依然として旧態依然たる仕事をしてるんだなと,こういったような厳しい声を聞くこともあるわけでございます。私といたしましては,当然のことでございます,高い倫理観はぜひ持っていただきたい。同時に,今の置かれた困難な県政の状況の中にあって,高い使命感というものも同時に持ち合わせてもらって,チャレンジ精神あふれる県政を前向きに展開をしてもらいたい。そのために全力を尽くしてもらいたいというふうに,職員には常に意識改革を呼びかけているところであります。
 続きまして,行政改革についての幾つかのお尋ねでございますが,まず行革の目玉というお尋ねでございます。
 平成9年と11年,2次にわたる行財政改革大綱を定めました。最初に定めた平成9年,その際には,佐藤議員,当議会にまだ議席を占めておられなかったわけでございますが,御案内のとおり,あのときは財政再建団体への転落,これが大変。この危機を乗り越えるということが大変重要な,最大の県政の課題であったわけでございまして,それを一番大きな目標といたしました。そのために,大規模事業の思い切った凍結であるとか,とにかくありとあらゆる事務事業の徹底した見直しというものに取り組んでまいりました。当然,県庁の職員の人件費というものにも協力をしていただく,こういったような形で取り組んでまいりまして,定数の削減につきましては,全国的に見ましても,最も厳しい数値となっております。そして,組織の削減,さらには外郭団体の見直しといったようなことにも取り組んできているところでございまして,おかげさまをもちまして,あの当時は起債制限比率,全国平均が大体10ぐらいの数値でございましたが,岡山県が19からもう20を突破する寸前であった。第2位は,ちなみに15ぐらいであったということでございますので,大変厳しい数値でございましたけれども,今は,この起債制限比率も徐々に低下をしてきているというところまで少しずつ改善してきているということを御報告できるような状態になってきているところでございます。
 続きまして,地方分権一括法施行のメリットということでございますが,これはもう御案内のとおり,我々地方公共団体に国からの権限移譲がされまして,そして我々が,機関委任事務が廃止されたこと等によりまして,自分自身で政策を,国の関与,コントロールなしに立案をすることが可能になったわけでございまして,これを受けて,住民の皆様方のニーズというものを的確に反映をする,そういう自主的なかつ個性的なる行政運営を行うことが可能になったということでございますので,その結果,県民にとってのメリットということで申し上げれば,行政への参画の可能性が大きく広がったというふうにとらえることができるんではないかと思っております。
 次に,行政情報化の推進についてのお尋ねがございましたけれども,佐藤議員は,ただいまコストの削減はいかほどかというふうな,コスト論についての種々のお尋ねをいただいたんですが,行政は,必ずしもコストだけではないわけでございまして,もちろんコストの面は十分配慮しなければならないわけでございますけれども,一方で,パブリックな面からの行政のサービスを適切に提供していくという,そういう面もあわせ持っております。そういう立場から御回答申し上げますと,電子県庁というものは,申請とか届け出,こういったものとかあるいは入札とか調達,そして税の申告等あらゆる行政手続というものを電子化することによりまして,行政サービスの利用者の利便性を高める,こういうことにあるわけでございます。あわせまして,行政の内部におきましても,その内部事務について,ITによります大幅な業務の革新を図りまして,その結果,行財政改革にもつながっていくという,そういう大きなインパクトを持つものと思っております。県庁のイントラネットがあるわけでございますが,これにつきましては,電子メールとかあるいはホームページを通じました県民の皆様方との情報の共有化,大いにこれに活用されておりますけれども,この情報のインフラは各種行政手続の電子化等の,先ほど申し上げました入札などでございますが,こういった具体的な政策とあわせまして,県民へのサービス向上への効果というものをねらっているものでございます。したがいまして,単にコストダウンだけを目的としたものではないということにつきまして,御理解を賜りたいと存じます。
 御質問いただきましたコストのメリット等でございますが,この点は,今年度策定をいたします平成15年度を目標年次とした行政情報化推進計画,その中におきましてできる限りお示しをすることといたしたいと存じます。
 市場との競争原理の導入についてのお尋ねでございましたが,行政も一事業者として,民間事業者とともに,例えば清掃の業務,これを行政と民間事業者がともに入札をするといったような御提案,大変これはユニークな御提案であると私は考えておりますが,強制競争入札という制度,これにつきましては,日本と,それから実際に例があったという英米とでは地方自治の仕組みとか法制度が異なっておるために,現行の枠組みの中で行うことは,これはなかなか難しい問題があるのではないだろうかと,このように考えております。
 NPOについてのお尋ねもございましたが,これにつきましても,やはり行政のコストダウンを図っていくためにNPOの政策を進めていくということではないわけでございまして,私といたしましては,行政とNPOが適切に役割分担をしながら,そしてともに手を携え合って,協働して,これからの新たな県政の課題を進めていく,例えばまちづくりを進めていく,そのよきパートナーとしてNPOの問題というものに対応していきたいと,このように考えているところでございます。
 次に,行財政改革等の広報でございますが,この点につきましては,毎年県民向けの行財政改革リポートというものを作成をいたしまして,市町村等に配布をし,そして県庁,地方振興局,銀行のロビーに置くほか,県のホームページには掲載をいたしております。しかし,御指摘にございましたとおり,晴れの国ジャーナル等に十分掲載してないではないかという御指摘はごもっともなことでございます。これからは,そういった広報媒体も活用などいたしまして,できる限り多くの県民の皆様方に行財政改革について御理解を賜りますように努力していかなければならないと存じます。
 次に,パブリック・コメント手続についてでございますが,これはもう御承知のとおり,これについての法律は制定はされておりません。導入をしようとする公共団体が,要綱等で基準とかあるいは手続を独自に定めて行っているのが例でございます。また,住民から意見を募集して,意思決定を行うための,これは参考とするものでありまして,したがって,賛否の意見の数によりまして意思決定の方向というものを決定をする住民投票,この制度とは異なるものでございます。
 議会との関係はどうかというお尋ねでございますが,議会にお諮りをする事案につきまして,よりよい執行部の案を作成をすると,そういう観点からパブリック・コメントは行われるものでございます。
 本県では,これまでも各部局が必要に応じましてパブリック・コメントの手法を採用してきておりまして,その具体例,県民意見を反映したその具体例は何かというお尋ねでございますが,御案内のとおり,男女共同参画の促進に関する条例を制定する際に,県民の意見をお伺いをいたしましたところ,審議会の委員につきまして,公募枠をぜひ設けるべきであると,このような御意見がありまして,この県民意見を条例には取り入れをしております。現在,パブリック・コメント手続の全庁的な運用等につきまして,検討を行っております。できる限り早く,要綱等によりまして,統一的な手法につき明らかにいたしたいと考えております。
 続きまして,第三者機関についてでございますが,専門的な観点からの意見とかあるいは利害関係者の意見等をいただくために,法律やあるいは県の条例,要綱等に基づき設置をしているものでありまして,それぞれの機関ごとに適切な方を選任をいたしまして,意見等をいただいておりますが,それらは法律的に強制力を持つものではございません。
 なお,当然のことでございますが,審議いただきました事案に関しましては,第三者機関の意見はあくまでも参考でございまして,県がみずから責任を持って決定をしているものであります。
 議会との関係でございますが,議会にお諮りをする事案をまとめる,その過程におきまして,必要に応じ第三者の意見を参考にしているものでございます。
 続きまして,PFI手法についての幾つかのお尋ねをいただきました。
 インキュベーションセンターへ導入をした意図でございますが,本格的な施設を整備をして,次代を担う新規事業者が数多く誕生し,そして本県の産業に活力を与えるとともに,新たな雇用の創出につながること,こういうことを目指しているものであります。PFIの導入によりまして,コスト削減が見込まれること,これはもとよりでございますが,そのほかにもインキュベーションマネジャーによりまして,入居者が必要としております技術とか経営の指導,それから販路の開拓支援などに,民間のノウハウを生かした質の高いサービスの提供,いわゆるソフト面でのサービスの提供というものが見込まれるという利点もございますし,当然,県の財政負担の平準化が図られる,こういったこと等の効果が期待できるものであります。
 施設整備等のコスト削減でございますが,想定事業費であります約37億円から国庫補助金等を差し引きまして,アドバイザー経費等を加えますと,したがって,これはハード,ソフト全体の総経費でありますけれども,県の実質支出額は15年間で約29億円と試算をいたしております。これを現在の価値に換算をして,県が直接みずから実施をする場合と比較をして計算をいたしますと,少なくとも9,000万円の削減が見込まれるところであります。
 また,予測外の支出ということにつきましては,災害等によりまして,損害の一部を事業者に負担をさせることにしておりまして,その削減の効果は約6,400万円と推計をいたしております。
 導入方針等でございますが,PFIは民間の創意工夫と資金を活用しながら,多様な公共サービスを提供していこうというものでございまして,社会資本の整備を進めていく上で有効な方法と私は考えております。本県では,大規模施設建設事業評価システムの中で,PFI導入の検討というものを義務づけをまずしております。そして,評価の中で,県の負担の軽減とかあるいは公共サービスの向上が見込まれる場合におきましては,PFIの導入を積極的に図るということにしているところでございます。
 固定資産税についてでありますが,PFI事業で整備をした施設が民間事業者の所有である場合におきましては,これは当然課税対象となるわけであります。
 PFIに関する税法の整備についてでございますが,特別土地保有税の非課税と,それから特定用途港湾施設の一部について,固定資産税の課税標準の特例措置が講じられております。
 総合評価方式の公平性等についてでありますが,事業者の選定につきましては,PFI法におきまして,公募の方法等によるものとともに客観的な評価を行いまして,その結果を公表することとなっております。また,国が定めたPFIに関する基本方針におきましては,評価基準を公表することと,このようになっておりまして,こういった公表制度を適切に運用することによりまして,公平性あるいは透明性というものは十分確保されているものと認識をしております。
 最後に,リスク分担についてでございますが,PFI事業は,いわゆる第三セクター方式とは異なっております。事業期間における責任とリスクの分担を,あらかじめ行政側と当該事業者との間におきまして契約で明確に定めた上で,公共事業を民間にゆだねていくというものでございまして,施設の設計とか建設の責任あるいは維持管理,運営の責任,これは原則として事業者にあるわけでございます。
 また,民間事業者の責めに帰すべき事由によりまして,事業の継続ができなくなる場合というものも当然想定されるわけでございます。御質問にもございました。そういうケースにおきましては,契約を解除いたしまして,そしてそれによって岡山県に損害が生じた場合におきましては,それを相手方に対して請求することができる,そういう契約条項になっておりまして,特段の損害を県がこうむることはない,そういう仕組みとなっておるわけでございまして,以上,PFI,インキュベーションセンターにつきましてのお答えを申し上げました。
 大変御懸念される立場での御質問を幾つかいただいたわけでございますが,申し上げるまでもなく,このインキュベーションセンターにつきましては,現下の経済情勢,そしてITを活用した製造業の岡山県としての育成を,ベンチャーを養成していこうと,こういう非常に前向きなチャレンジ精神あふれる県政の取り組みということで,県職員も先頭に立って,本来ならば3年ぐらいかかるであろうという事業を1年半ぐらいでやり上げようということで,一生懸命頑張ってやってるものでございまして,御心配の向きはこれからも一生懸命皆様方に御説明させていただきますので,どうかひとつ御理解をいただきまして,県議会の皆様方の御支援を心からお願いを申し上げる次第でございます。
 「プロジェクトX」の話。その番組は,大変私がよく見る番組の一つでございまして,時間があれば見させていただいております。大変こういう厳しい時代の中にありまして,本当に明るい,あのときあれだけ頑張ったなと,頑張った人がいるんだなという明るい話題を提供していただいております。そういった面におきましては,現下,大変厳しい時代ではございますけれども,県議会の皆様方と手をとり合って,この危機を乗り越えていきたいと思います。私という名前は出ましたけども,そうではございませんで,ここにいる皆さんがぜひ一緒になって,「プロジェクトX」に後々登場できるような,そういう取り組みを進めていきたいと,こう思っております。佐藤議員におかれましては,その節には,もう少し体の方もスリムになっていただきまして,テレビに登場していただければと御期待を申し上げまして,答弁とさせていただきます。
 以上でございます。

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