2001年12月21日(金) 【対テロ対策】

 昨日、一般歳出2.3%減の47兆5472億円。一般会計予算81兆2300億円の超緊縮デフレ予算の財務省原案が内示されました。復活折衝もあるのでしょうが、10%大幅減の公共事業関係では、岡山県で言えば、苫田ダム本体工事等の促進で、約63億円が対要求100%。児島湖の浚渫も例年通りです。

 そういう緊縮予算の中で、科学技術、IT、環境対策など重点7分野の構造改革特別要求枠が、それほどでもないのに比べ、対前年で、減るはずがないものが、防衛関係費です。爆弾テロが、追い風になるのは悲しいことですが、個人的には、防衛費が増額されたとしても、抵抗はありません。
 というのも、本日、自衛隊の対テロ訓練を見るにつけ、多少の不安を感じたからです。


 本日、私大の野球場を借りて、陸上自衛隊第13特科隊の特殊災害対処訓練が開催されました。生命・自由・財産を直接に守る自衛隊の活動について、理解を示すというよりも、認識を持つことは、個人的には、行政関係者の責務だと思います。好き嫌いの話ではありません。
 なにかぶっそうであるという感じでもあるのでしょうか、マスコミの報道も含め、非常に関心が薄いような気がしてなりません。

 本日の訓練は、化学テロ(化学兵器・例えば、サリン)を想定したものあり、化学防護車の設備等は、充実しています(除汚、化学的に中和させる)が、例えば、炭そ菌や天然痘(生物兵器)が、そこら中に蒔かれたらどうなりますか?というと、なかなか対策が難しいのです。
 もちろん、生物兵器には、潜伏期間があるわけですが、炭そ菌もサリンも使いようでは、兵器には違いありません。今、市内に、炭そ菌を撒かれると非常に辛い状況です。
 これはもう、端的に、予算不足です。

 また、システムにも、若干の不安を感じます。
 おそらく、テロか天災か人災かわからない場合、まずは、わけがわからないまま警察や消防が、出動し、こりゃぁとんでもない、ということになって、基本的には、市町村長から知事の要請を受けて、自衛隊は出動・・・というわけですが、この時間のロス。この間、被害がどれだけ拡大し、どれだけの人間が死ぬか。
 また、めいめいの判断で、縦割りの指示系統(一番現実味のないのが、知事の対策本部長。)の中で、現場は大混乱です。病院まで含めて、誰が、現場を仕切るのか。

 直ちに、知事が委任、自衛隊の指示のもと、警察、消防、病院が、明確な役割分担をし、システマティックに動かないと、あるいは、その訓練をしないと、全く意味がないんじゃないかな、それは、こういう訓練の度に、いつも感じることです。実戦的でない、儀式じゃなかろうか、操法訓練のように、現場で使えるシステムでないと意味がないんじゃないか。
 プロ中のプロの自衛隊の皆さんが、一番わかってるだろうなぁ、と、思います。

 とりわけ、組織、戦略、機動力で、自衛隊に勝るものはないのですから、軍部が台頭する懸念があるなどと、楽しいことを言うよりも、そのノウハウは活かすべきだと思います。


 逆に言えば、警察よりも、まず死体を見ることがない自衛隊の本来の役割として、戦車に攻撃する訓練をすることもさることながら、各地で、警察や消防、各地の組織と連携しながら、災害対処訓練をどんどんやって頂きたいものです。
 また、各市町村は、そのように努めるべきではないでしょうか。

 手段は違っても、市民の生命・自由・財産を守るという目的は同じなのですから、産学官連携ではないですが、警察、消防、自衛隊は、常に連携して頂かないと、緊急事態に大混乱です。
 また、そういうシステムを作られないとしたら、それは、緊急事態になって初めて露呈される平和ボケした行政の怠慢だと思います。

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