2000年5月4日 【委員会の情報公開・情報公開私論】

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 実は、今5月臨時議会の一般会計補正予算約1100万円は、情報公開の一環として常任委員会や議運の審議内容を視聴できるモニターテレビを設置するためのものです。
 8月から使用開始とのことです。ちなみに岡山市は、以前から数人だけの傍聴席ですが、委員会の傍聴は、できます。
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     ↓ 詳しくは

 岡山県は、一応委員会室が狭いので、物理的に「傍聴」できないというスタンスをとってきました。モニター設置で「開かれる」わけです。
 しかし、私は、このモニター設置では「傍聴」「委員会の情報公開」としては、不充分と考えています。
 そして、現行のようにモニター室に来て頂くのではなく、ケーブルテレビでもなんでも広く外に向けて流すべきだと思います。
 ただし、独自説ですが、委員会室に「限られた数の傍聴席」などは、必要ないと思います。数を限るなら、そもそもない方が良いと思います。

 個別具体的な議論をする委員会は、本会議と違い、利害が錯綜するために、かえって一部の方だけの傍聴になじまないと思います。
 全く非公開か、とことんまでオープンにするか、の二者択一しかないと思います。


 もちろん今の委員会のあり方が、適切であるとは全く思いませんし、審議会にいたるまで情報公開は進めるべきであると思います。
 しかし、委員会にわずかの傍聴席がある場合は、本会議の広い会議場と違って、約10人の委員にとって、審議中、発言中に、まともに傍聴席に座る傍聴者の顔が見えてしまうことの心理的な圧力は相当のものです。
 もし、傍聴者が心理的に圧力団体と化すなら、時として自由な発言・審議を阻害することになりかねません。
 特に、ある反対運動の応援団が、傍聴に来られ、特定事項を鼓舞されたり、逆に反対の主張の議員を委員会室前で締め上げるようなケースは、充分に想定できます。
 また逆に最重要な審議はもっと密室に潜むことになるかもしれません。


 議員が公人として己の発言に責任を負うのは当然としても、それは絶対的多数の絶対的幸福を目指してのことであり、もしも委員会の場で、特定の方から、まさに発言中に、審議中に監視を受け、それに脅え、縛られるなら、半代表制の意味もなければ民主主義の自爆にもなりかねません。

 考え方の違う人間と議論を重ねて、落とし所を見つける、ある面、妥協がいるのも政治です。いろんな考え方が、あって良いのです。
 ある特殊な事例で、議論が交錯する時に、場合によっては、議員が考え方の違う他の議員とその応援団たる傍聴席を相手に加えて、それを納得させるために、議論しなくてはならなくなる場合もあるでしょう。例えれば、陪審制です。が、議決権は、議員にだけしかないのに。もし、委員会での採決の際に、「え〜っ?」「なんで〜?」「ひど〜い!!」「人権感覚は、ないんか」などと一部傍聴席から声にならない声が上がるなら、直後に極悪非道のように言われるなら、とてもではないですが、まともに、決が採れないでしょう。少数意見の横暴というのもあるのです。

 情報の公開は、重要ですが、半端な公開で、その過程において手心が加わるとしたら、圧力がかかるとしたら、あるいは自由な発言・公正な審議に支障を来すなら、その方が、問題だと思います。

 現行憲法では、第21条「表現の自由」の前提として、「知る権利」が認められるとするのが、通説であったと思います。「情報公開」もその一環です。まさに、自由主義と民主主議の相克の場面ですが、個別具体的な政策形成過程においてまで、目的たる自由主義の優越が言えるんでしょうか。いつでも、どこでも、誰にでも、どんな形でも、情報公開することが、究極の目的である人権保障に、本当に資するのでしょうか。


 ともあれ、発言を明確にし、その全てを公開し、発言の結果に責任を負うので、委員会の発言中は「傍らで聴いて」いて欲しいなぁと思います。
 もし、『委員会の最中に影響を与えたい』のなら選挙の手続きを経て、議員として、その場に同席して欲しいというのが、多くの議員の本音だと思います。事実そういう声も聞きました。

 もっとも、それだけ信用してくれ、と言い切るだけの議員の質の向上が大前提ですが。


 繰り返しますが、 「知る権利」の保障としても、委員会をモニターで別室から見られることで充分だと思いません。僅かの傍聴席なら、設けない方が、民主主義の実現のためにも資すると思います。
 申し訳のように半端なことはしない方が良いと思います。ここで止められてはかえって問題です。やるなら、情報大公開で、とことんやるべきです。
 ただ、大いなる前進だとは思います。


 もっとも私がご覧頂きたいのは、個々の議員の発言よりも、委員会なるものの実態です。
 当面情報公開というより、委員会活性化の一方策として、このモニター設置に期待したいと思います。


 これは、私の意見であり、反対の方も多いと思います。怒られる方の想像もつくのですが・・・・。すみません。僕、こう思ってたんです。

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