2002年8月6日(月) 【住基ネット稼動】

 本日、「牛は10桁、人間は11桁」あるいは、国民総背番号制と揶揄される住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が稼働しました。
 全国的には、さっそく、トラブルも発生したようで、香川県は、地方自治情報センターに対策を問い合わせているようです。

 住基ネットに関しては、1999年8月の住民基本台帳法改正で、住民票(の写し)を広域交付することが可能になり、自分が住民登録している以外の市町村でも、本人証明が出来れば、住民票の写しを交付してもらえるようになったわけです。

 もっとも、「アイトピア岡山」と岡山情報ハイウェイの岡山県、「リットシティ岡山」と情報水道構想の岡山市が、電子自治体を目指していくのは、自明のことであることもあってか、住基ネットの議論が、岡山で、活発であったようには思えません。

 否、むしろ、市町村を越えたネットや、郵便局やJAで、住民票の写しが、手に入るというのは、売り、ですらあります。



 住基ネットについては、稼動の前提となっていた個人情報保護法案が今国会で成立せず、全国最多人口の横浜市が事実上、来年以降の参加となる市民選択制を導入するなど、不参加の自治体が出たのも、ご案内の通りです。

 この点については、本来、国民の生命・自由・財産を守る立法府たる国会が、与野党ひっくるめて、潰し合いのような泥試合にうつつを抜かして、一番肝心の法律の制定を後回しにしたということで、極めて責任は重いと思います。
 マスコミも、表現の自由・知る権利とプライバシー権の相克の中で、遅延に一役買った感もなきにしもあらずです。


 住民基本台帳なるものは、それぞれの基礎自治体に、そもそも電子化されてあるのですが、技術的には比較的容易に、それを全国ネットにすることで、何が生じるか、法律的に、何ができるかという話なのですから、国に十分な議論をしてもらわないと、埒があきません。
 まさに、基本的人権に関わる問題であり、見切り発車して済む性質の話では本来ありません。


 もっとも、行政上の事務担当は基礎自治体です。ちなみに、岡山市では、『個人情報の保護のため制度面・技術面及び運用面からさまざまな対策が講じられており、岡山市の個人情報保護条例のプライバシー保護に関する規定の適正な運用と併せてこれらを充分に機能させることにより、住民票の広域交付や行政手続に添付する住民票の写しなどの省略など市民にとって利便性の向上する仕組みになる』、というのが、当局の見解です。

 加えて、情報漏洩時には、市長の判断で、ネットから接続切り離しという、管理規定をまとめています。

 また、県の役割としては、住民基本台帳法で都道府県に審査会を設置すると記載されており、この審議会では、住民票コードの利用制限に違反した者が、都道府県の中止の勧告に従わないときの審議や、本人確認情報の保護に関する事項を調査・審議し、これらの事項に関して都道府県知事に建議する事ができるようにされています。


 たちまち、法律が不備でも、基礎自治体の条例等で、カバーが出来たとしても、全国一律で、万全のはずもありません。要するに国会で、審議して頂かないと、本当にどうしようもない部分です。



 それにしても、行政の持つ個人情報がどれだけのものかわかりませんが、我々が、銀行、信販会社、郵便局、病院、電話、レンタルビデオ・・・・日々なにげなく出している情報を思うと、私の人となりは、データで丸裸。
 事実上は、様々な背番号がついているわけですが、さて、どこまで個人情報は、守られるでしょうか。

 ところで、「データで見る私」の中で、既婚男性が、最高に恥ずかしいのは、独身時代のレンタルビデオ遍歴ではないかと思います。
 住基ネットもさることながら、これが、漏れたら、命とり?の方も多いかも・・・。ああ、過去を消したい・・・。情報消去権が欲しいです。

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