2001年7月13日(金)
【続々岡山リサーチパーク・インキュベートセンター】

 商工労働部工業振興課IT産業推進室担当の「岡山リサーチパーク・インキュベートセンター」については何度も取り上げますが、久々の大型事業です。(その465、507参照)
 「長期ビジョン」で言えば、「新たな産業・流通県づくり 新産業を興す」という項目で、「岡山県産業活性化ビジョン」に基づくものと言えます。


 先日、お馴染みの大規模事業評価委員会の「意見」が出ました。なんの民主的コントロールを前提にした法的根拠があるのか知りませんが、なぜか、県議会の意思決定よりも、今や遥かに、大きな縛りがかります。

 PFI導入を含めて、事業は妥当ということですが、「ただし、厳しい財政状況や事業効果の向上に十分配慮し、共用スペース・スタッフルーム等の見直し、入居者選定の工夫、PFI事業者の活動状況のチェックなどの面について、更に検討を要する面があると考えられ、こうした検討を通じて、本計画全体の費用対効果の最大化を図るよう一層努力すべきである。」とのことです。


 なお、立地条件等について、専門家意見というのがあります。すなわち、ITのソフト系のコンテンツ制作なら市街地中心部が良いが、次世代は、xIT(ITを活用したバイオIT、ナノIT等)が、主流になると言われており、様々な技術にITが組み込まれていくようになる。(ので、悪くない立地条件。)

 また、岡山情報ハイウエイの速度や回線容量なら全く問題はないが、ネットワークの接続形態、接続方法について指導・アドバイスが受け易い環境が必要とのことです。

 さらに、深夜営業のレストランや、プロジェクトを一緒に考え研究開発の進行管理、PR等を行うバックオフィス業務の必要性も指摘されています。



 さて、この施設の目玉は、岡山県の事業初のPFIの手法の導入です。


 PFIについては、再記述致しますが、県が公共施設等を整備しようとする場合に、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)」等に基づき、導入可能になったものです。

 この方式は、公共施設等の建設、資金調達、維持管理、運営等について、公共が直接実施していたものを民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行うことにより効率的・効果的に事業が実施されるなど、導入効果が見込まれる場合に、民間事業者に委ねることとする事業手法です。

 今回は、大規模事業評価委員会から、PFI導入にお墨付きが出たというわけです。


 具体的には、施設は公の施設として整備します。PFI事業者が、施設を設計・建設(build)し、完成後施設の所有権を県に移転(transfer)したうえで、
事業期間中(15年とする)、施設の運営(operate)・維持管理等を行うBTO方式にします。
 設計・建設に伴う費用及び維持管理・運営に伴う費用を県は、「サービスの対価」として、PFI事業者に支払います。


 そこから、見込める効果ですが、まず民間の創意工夫による効果があるとされます。
 すなわち、施設の設計・建設から、建設後の施設の保守管理、清掃、警備及び入居者に係る募集活動等の施設運営を一括して、民間事業者が請け負うことで、建設費、維持管理費等の削減が見込まれるというのです。

 この点、要するに、入札に伴う様々な弊害から少なくとも行政は、逃げることができます。ただ、逆に、民間にとっては、どうでしょう?個人的には、PFI事業者が、県外大手資本だとしたら、地元業者にとって良い話かは疑問です。

 また、民間のノウハウを活かして、入居者へのきめ細かい支援等、より質の高いサービス提供の提案も期待できるとされます。じゃぁ、今までの行政は、なにをやってたんだ?と聞きたくもなりますが。

 次に、県が従来型で実施する場合に比べて、財政の平準化を図りながら、概算見込みで、施設整備及び管理運営に係る県負担総額について、現在価値に換算して、約1億円程度の削減が見込まれています。
 これは、PFI事業としては比較的小さい規模の事業であり、しかも、県が直接実施する場合と同様の国庫補助金を活用することが、前提の話です。

 「その479」で指摘させて頂いたように、PFIは、決してバラ色の手法ではありません。極めてリスクが高いのですが、むしろ、手を挙げてくれる業者があるのか?という話とも言われています。


 いずれにせよ、石井県政初の前向きの大型事業です。未来への贈り物としてなんとしても、成功させたい取り組みです。

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