2001年4月7日(土) 【国及び県のIT戦略】

この3月29日に国の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)から、「e−Japan重点計画」が、発表されました。
 これは、昨年11月27日のIT戦略会議の「IT基本戦略」を受け、今年1月22日第1回IT戦略本部が、決定した「e−Japan戦略」を具体化したもので、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策の全容を明示したものです(IT基本法第35条)。
 なお、毎春秋に施策の推進状況の調査、毎春重点計画の見直しが行われます。

 せっかくの腰痛で、余裕があるので、2月23日発表の県の「おかやまIT戦略プログラム」と比較致します。

<目標>

 国:eーJapan重点計画の目標は、5年以内に世界最先端のIT国家に。

 県:おかやまIT戦略プログラムの目標は、3年間を目途にIT施策の戦略
   的実施を図り、アイトピア岡山を実現する。

<官民の役割分担>

 国:民間が主導的な役割を担い、政府は、公正な競争の促進、規制の見
   直し等の市場が円滑に機能するような環境整備や縦割り行政の弊害
   を排除しつつ、国と地方の連携の強化等を通じて、民間の活力が十分
   に発揮されるための環境整備を行う。
   また、政府は、電子政府の実現、デジタル・デバイドの是正や基盤的
   技術の研究開発といった民間主導では実現し得ない部分については、
   予算の効率的配分に留意しつつ、積極的に対応。

 県:競争及び市場原理に任せるだけでは、地域間格差が解消せず、さらに
   拡大する可能性があるため、市町村の協力を得て、効果的なラストワ
   ンマイル整備手法等の検討を行う。
   民間通信事業者の事業展開を促進する仕組み等のソフト施策を行う。

<重点施策>

 国:(1)世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成
      5年以内に、世界最高水準のネットワークを整備。

      高速インターネットアクセス網
     (DSL、CATV、加入者系無線アクセス等) ・・・・3000万世帯
      超高速インターネットアクセス網
     (加入者系ファイバー網)            ・・・・1000万世帯

      2003年のデジタル地上放送開始に向けた支援。
      2010年のCATVのデジタル化に向けた支援。

 県:(1)高速ネットワークの全県的な形成
      3年間で、全国初の全県的な高速インターネット環境の面的創出
      (ITフィールドの基盤整備)

      各家庭へのラストワンマイルには、DSL、CATV、無線アクセス等、
      民間通信事業者の事業展開を促進、県・市町村の公的施設間は
      光ファイバー接続。

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 国:(2)教育及び学習の振興ならびに人材の育成
      2001年度までに、550万人対象のIT基礎講習と50万人の消費
      者・中小企業等を対象のIT講習を実施。

 県:(2)IT社会を支える人材育成と最先端技術の実証的研究拠点作り

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 国:(3)電子商取引等の促進
      2003年までに、電子商取引市場形成に向けた電子商取引を阻害
      する規制の改革や新しいルールの整備。
      2003年にBtoB取り引きの市場規模が70兆円。また、BtoC
      取り引きが、3兆円規模を大幅に上回るようにする。概ね半数程度の中
      小企業がインターネットを活用して電子商取引等に参加できるように。

 県:(3)ITを活用した力強い産業展開

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 国:(4)行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進
      2003年までに、電子政府を実現。実質的に全ての行政手続きの電
      子化等を行う。電子情報を紙情報と同様に扱う行政の実現。

      交通渋滞の解消等に資する高度道路交通システム(ITS)の推進等の
      様々な公共分野におけるITの活用を推進。

 県:(4)日常生活でITの恩恵を実感できる施策の推進
   (5)行政の電子化の推進

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 国:(5)高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保
     2005年までに、安全で信頼性の高いネットワーク・セキュリティ確立。
     2002年までに暗号技術の標準化。2005年度までに刑事基本法制
     の整備。

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 県:(6)情報ハブ機能の強化
      中四国広域ネットワークの拠点
      関西圏・九州圏を見据えた「西日本の情報首都」

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 こうしてみると、ややハード面に偏った感もある岡山情報ハイウエイの先駆性も、国家施策として、たたみかけてこられると、魅力半減のような気がしないでもありません。

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