2006年1月19日(木) 【国道180号について】

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 最近、また俄かに落書きが増えてきました。最高裁で、落書きは、5年以下の懲役の「建造物損壊罪」が成立するという初の判断が出ました。これは、じわじわ効いてきそうです。
 今日は故あって、国道180号、とりわけ、矢坂大橋付近について、国道工事事務所や岡山市を訪ねてお話を伺いました。国道180号に関しては、かなり総合的な交通体系のシュミレーションが必要で、しかも、現在は、国、県、市が同時並行で動いているので、これらをかなりうまく連携させて議論を進める必要があると思います。
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 道路特定財源の一般財源化の流れに加え、国の方も道路建設の予算カットが続き、国道(バイパス)の整備も、予想よりも、遅れがち。


 一方では、交通渋滞緩和、交通事故減少を目指し、中四国一の一日約11万台が通過する国道2号バイパスの新保、青江、福富西各交差点の立体事業が動き出しました。特に、沿道の事業所の方々のご理解とご協力があって可能になったことです。
 近々に終日2車線規制も始まります。

 国体に合わせて開通した岡山西バイパスの古新田〜西長瀬も、当初事故が多発しましたが、ガードレールや信号機の改善も行われ、直進と紛らわしかった古新田側からの左折レーンも、近々に改良されるとのことです。



 さて、問題は、外環状をなすこの西バイパスが、一般県道岡山倉敷線(西長瀬)から一般国道180号(楢津)に、いつまでに伸びるかということ。
 とりわけ、岡山市の最大の交通の難所とも言える「矢坂大橋」付近が、いかに解消されるかというのは、どなたも関心のあられるところだと思います。

 今や幹線道路になった一般県道・川入巌井線(富町〜花尻の方へ新幹線に並行する道)を西署の西でクロスして、笹が瀬川を越えて、現在のデオデオ横に抜けますが、この180号とのクロスが、平成20年代前半と、もうひとつはっきりしていません。

 実は、この西バイパスと矢坂交差点(矢坂大橋南詰め)を連絡する都市計画道路・矢坂万成線(市道)は、開通が22年でも大丈夫なように、平成22年完成を目途に、今年度は、測量設計が進んでいますが、どうも、西バイパス貫通が、22年というのは、疑問符がつきそうな雰囲気です。
 一時は、20年という声もありましたが、これは、もう国の予算が全国的に予想外に削減されているということです。

 ということは、そこから先、北へ上がり西に進む180号バイパス(楢津から総社・井尻野の「総社・一宮バイパス」)は、都市計画決定がなされているので、やるには違いないと信じますが、例えば、3月末まで、「吉備SAスマートIC社会実験」が行われている吉備SAに繋げて、高速道路をバイパスに振り替えるにしても、当分先であると言わざるを得ません。


 さて、矢坂大橋は、南詰めが交差点化しますが、現在は、矢坂大橋をまずは左折ないし緩やかな右カーブで入り、渡って右折し、マックスバリューに抜けようと思えば、まさに、運と助け合い精神が試される場所ですが、いずれ、信号機の設置や時間制限等なんらかの工夫が必要になります。

 あるいは、180号に西バイパスが抜けた時点で、現在の180号の車の流れも変わり、矢坂大橋も状況が変わるかも、という期待になります。
 主要渋滞ポイントが、矢坂大橋から、西の楢津にずれても、さらに渋滞が悪化することはないのではないか、という予測もなされます。

 少なくとも、外環状としての西バイパスが抜ければ、高松方面からの車は、一般県道・川入巌井線と今の180号に分散して、市内に流入することにはなるでしょう。

 そういった意味では、現在、さらに倉敷方面に向けて、片道二車線化が進む一般県道・川入巌井線の大安寺や高柳界隈に、ロードサイドビジネスが急に増えているのも、将来的にも頷けるものがあります。


 ただ、都市計画道路・矢坂万成線(市道)ができる22年までは、矢坂大橋付近は、やはりどうしようもないので、いっそのこと、矢坂大橋を拡幅して、右折しやすくしては?という意見もあります。

 しかし、現時点では、非常に難しいです。矢坂大橋は、国の管理ですが、県管理の笹が瀬川を跨ぎますが、堤防の嵩上げがない限り、この橋をいじることは法的にはできません。もちろん、予算的にも。要は、橋が低すぎるのです。
 それは、あたかも、新京橋の横の路面電車が行く京橋が拡幅できないのと同じです。

 厳密には、河川整備計画の高さに応じた物ではないために、河川法24条、26条、55条に基づく、河川の占用許可も、工作物の改築許可も、保全区域における行為の許可も、県は出せません。
 少なくとも、新しい比丘尼橋の高さまで、矢坂大橋をするのは不可能です。

 22年までは、矢坂大橋は、矢坂大橋のあのままなのです。


 おまけにうんざりすような話はまだあります。

 私は、平和町から岡山一宮高校に、自転車で、毎朝、通うのに、奉還町の地下道をくぐり、禁止されていましたが、人通りの少ない朝の商店街をびゅんびゅん抜けて、関西高校の横の国道180号の万成の坂を越えておりました。補習科を入れて、4年です。
 しかし、こと、180号に関して言えば、一宮、高松界隈を含めて、歩道が整備されたことを除き、いっこも広くなっていません。25年前と基本的に同じです。

 さて、問題は、この国道180号の拡幅です。もちろん、以前綿密に書いたJR三門駅の高架問題もありますが、これが、LRT化でも高架でも、ともかく解決したとしても、この一般県道・巌井野田線が、180号にあたって、万成の峠越えの拡幅を誰(事業主体)がするのか?という非常に大きな問題があります。

 西バイパスは、国道バイパスですが、一般国道2号岡山バイパスができて、いわゆる旧国道2号が、一般県道・岡山倉敷線になったように、今の180号の楢津までが、西バイパス開通とともに、国道でなくなる可能性が多いにあります。

 それどころか、首尾良く岡山市が、政令指定都市になれば、既存の県道も、全て市管理になりますから、楢津までの180号は、事実上市道になる可能性も多いにあります。
 こういう微妙な道路の整備を国や県が好んで行うでしょうか?いわんや、ほぼ並行して、一般県道・川入巌井線が走っているわけです。これはかなり長期的なスパンできちんと考えておく必要があると思います。

 あるいは、逆に鉄道高架の問題も、どうあれ岡山市西部は、人口減でも、これから伸びる要素もあるが、外環状と中環状は、いずれも、180号にあたることを前提に、考える必要もあるのかもしれません。

 いずれにせよ、国道180号に関しては、かなり総合的な交通体系のシュミレーションが要る話で、しかも、現在は、国、県、市が同時並行で動いているので、これらをかなりうまく連携させて議論を進める必要があると思います。

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