2004年2月24日(火)
【JR吉備線のLRT化について】

 ぽかぽか陽気に誘われて、インフルエンザよ、さようなら!

 「今朝、太陽が黄色かったので、吉備線に乗りに行きました」(『阿呆人』?)。
 期末考査の最中なのでしょう。いろんな高校の高校生だらけ。最近の高校生は・・・と言うほど、私は高校時代に、いよいよ、ろくなことはしていませんが、しかし、近頃の高校生ときたら・・・・。特に女子生徒!!なんじゃ〜!?
 ・・あぁ、年を取ったものだ。

 2月定例会こんにちは!
 実は、今回の私の一般質問の大項目の一つは、「JR吉備線のLRT化について」です。

 改めて、吉備線なるものに乗ってきたわけでございますが、帰りが伯備線経由でしたので、いわく、岡山山手線一周?



 昨年のこの時期、JR西日本が、赤字ローカル線である岡山の吉備線(岡山〜総社)および富山の富山港線をライトレール(LRT)化する検討を始めた、とのニュースは、世間をあっと言わせました。

 LRT(ライト・レール・トランジット)とは、路面電車を中心とする新しい都市交通システムの総称で、LRT化にあたっては、新型車両、特に、低床式の、バリアフリーに考慮した車両が導入されることが多く、要は、「MOMO」が、公共交通機関の基幹となり、都市を郊外を走りまわっている、というイメージです。



 端的には、軌道幅が同じ路面電車をJRに乗り入れるというのは、かねてからのRACDA(路面電車と都市の未来を考える会)の提言であり、こうした一連の動きの中に、岡山市には路面電車が現存すること、なにより、RACDAの存在が関係しているのは想像に難くありません。

 一方では、地元自治体と手を結び、採算が厳しい地域の交通機関を環境に配慮した乗り物にして残そうとする試みでもあり、一方では、近郊ローカル線を新しい都市交通システムとして再生させる、そんな「夢」でもあります。

 JRが鉄道を路面電車化した前例はありませんが、国土交通省は、「ローカル線を活性化させる試みとして評価できる」と前向きに受け止めているようです。



 物理的には、JRと同一軌道幅ですから、路面電車は、JR線を走り、郊外から市内に直接乗り入れできます。
 停車駅も増やせますから利便性が向上しますし、保守・整備面などで鉄道に比べても、維持費が、2分の1とコストの抑制ができます。



 具体的なイメージは、吉備線の線路を軌道に変え、超低床型電車を走らせ、数百メートル間隔で駅を設け、1時間に1〜2本の列車本数を、15分に1本程度に増やそうというものです。

 実は、独身時代、1年半ほど、大安寺南町のアパートに住んでいたことがありますが、なにしろ、宅地化が進む地域ではありますが、JR大安寺駅が遠く、本数も少なく、当時でも、結局、2、3回しか乗りませんでした。

 私は、吉備線最寄り駅までのアクセスというのが、どの駅も、意外に良くないという印象を持っています。

 そういう意味では、もっと本数が多く、駅の間隔が、もう少し狭ければ、利便性は増すだろうと実感します。



 ちなみに、JR吉備線について、1日の乗客は、6400人。最長時は、5両編成で、昼間は、2両編成が多いようです。

 言うまでもなく、岡山と総社を結ぶ単線非電化の路線で、「備前三門」は、1面1線の駅ですが、関西高校の最寄り駅で利用者は多く、次の「大安寺」は、1面2線の行き違い駅で、1面1線の「備前一宮」、2面2線の「吉備津」、2面2線の「備中高松」と続きます。

 「備中高松」止まりの列車も多い(連絡に30分待ち)のですが、1面1線の「足守」、総社に入って、岡山県立大学最寄りの1面1線の「服部」、2面2線の「東総社」、「総社」と来ます。

 吉備線の延伸で計画された井原鉄道とも乗り換えは必要ですが、連絡しています。



 ところで、富山市長は、昨年5月末、2006年内をめどに、富山港線のLRT化実現をめざす方針を表明しました。
 富山駅は、北陸新幹線乗り入れを控え、高架駅になりますが、市は、高架下で、富山港線と既存の路面電車を接続したい考えのようです。

 しかし、岡山は、「JRの正式提案を待つ」状態が続いているのだと思われます。岡山市、岡山県ともに、いわゆる正式コメントが出ていません。



 言うまでもなく、LRT化の最大の課題は、コストと実現後の経営主体の問題です。
 これは確かに、なかなか頭が痛い問題です。

 特に、電化が実現されていない吉備線では、二段飛びのような話になるわけですが、そこは、たちまち、気動車(ディーゼルカー)型というのがないでもありません。

 JRにしてみれば、路線延長の60%を占めるローカル線の活性化が急務でも展望は厳しく、ある意味、事実上、赤字路線切り離しという思惑がないではないかもしれません。

 もし、JRが、路面電車を走らせるために必要な軌道法の事業特許を取らないとすれば、地元、端的には、第三セクターに経営を委ねるというのが論理的帰結です。

 いわんや、この財政状況に、どこからそんな財源が出てくるのか、第三セクターの設立や、行政の公共交通機関経営関与には、大逆風が吹いています。




 それでも、敢えて、私自信、この時期に、LRT化の検討化をすべきだと考えます。それは、自動車交通から、あるいは、パークアンドライドで、公共交通機関の利用へのシフトを考えるからです。

 というよりも、考えざるを得なくなるのではないかしら?


 現在、山陽自動車道をあたかも国道180号バイパスのように利用して頂くべく、総社ICから岡山ICを200円にする社会実験が、予想の倍の利用があり、大好評につき延長して行われているわけですが、それだけ180号バイパス建設の要望が強く、しかし、見通しが暗い、ということだと、私は認識しています。

 南北の外環状道路・西バイパスが180号まで抜けるには、まだ時間が、かかりますから、運と度胸と思いやりのアイコンタクトの勝負で、錯綜する、岡山県随一のアドベンチャー(今日の運試し)交差点・矢坂大橋をはじめ、沿線の宅地化が進めば進むほど、180号の渋滞は必至です。

 願わくば、吉備線の利便性が上がることで、通行する自動車の総量を減らせないか、そういう要請があります。



 さらに最大の難所は、中環状道路に該当する野田地下道から三門小学校横を抜ける県道が、平成23年を目途に、国道180号にぶつかる予定ですが、吉備線やJR三門駅をどうするか。
 現状では、大きく動かさないといけません。

 立体交差か、平面交差かで、一応は、立体交差で、駅舎の移動も決まってはいますが、800mの線路を高架にしたりする負担は、JRでなく、地元。

 交通量が全く異なるため、JR大元駅高架事業のように、国の道路予算から財源は引っ張ることはできません。

 とすれば、重いディーゼル車を上げるよりは、路面電車の方が、幾分コストが下がるかもしれない、あるいは、その削減分で、整備費、車両購入費も、捻出できるかもしれません。
 財政危機の岡山県としては、当然考えて良い話だと思います。

 実は、かように、外環状や、中環状道路の整備とLRT化は、密接に関係しています。



 さらに、この問題は、ひとり吉備線だけの話ではありません。
 私は、JR津山線にも当てはまる問題だと考えます。

 最終的な目標、あるいは理想は、山陽町にレールを繋ぐことではありますが、明らかなのは、旭川沿いの県道岡山吉井線の拡幅工事が進んんでも、宿から南、岡山市内中心部に向かう三野や北方界隈の4車線化が進む話にはなっていないことから、これまた渋滞必至だということです。

 もちろん、そのために、社会実験もして、山陽ICから岡山ICまでの高速道路を生活道で使うことも必要かもしれません。

 もっとも、総社と山陽町から、大量に岡山ICに流入すれば、53号、特に、いずみ町の交番前は、多少交差点改良しようが、文字通り、世界最悪の地獄絵図です。

 加えて、現状なら、牧石あたりのスクールゾーン、生活道には、今以上に自動車が流入、交通の安全は、ないがしろになりかねません。


 だからこそ、津山線を活かさなくてはいけないと思うのです。

 そのためには、玉柏あたりで、パークアンドライドして頂くことが、重要だと思うのです。もちろん、市内中心部には、路面電車が入ります。
 また、LRTが、牧山から御津まで伸びれば、結果として、53号バイパスに乗る車が減り、53号の渋滞緩和にも繋がります。



 岡山は、平面の街ですから、放っておけば、市域は幾らも広がります。しかし、これ以上、市街地を拡大することは、都市経営の上でも、環境の面からも、無理が生じます。

 とりわけ、モータリゼーションの時代に、市域が広がれば、道路交通に負荷が生じるのは当然です。

 その打開策として、やはり、公共交通機関へのシフト、特に、既存の機関の活用ができるLRT化というのは、今後の行政が進めていく方向であると私は考えます。



 一方で、先日の新聞を読んでおりましたら、JR北海道が、道路と線路の両方を走行できる「デュアル・モード・ビークル(DMV)」を開発し、ローカル輸送用に、3年後を目処に実用化を目指すとあります。

 25人乗り程度ですが、道路は、通常のバスとして運行し、10〜15秒で、線路仕様に。つまり、線路から道路の直通路線が可能になるとのこと。

 外国では、路面電車の軌道の上をバスが走るというのはあると思いますが、鉄道を行くというのも凄いです。
 山陽町からのバスが、途中から津山線の上を走って岡山駅まで来たと想像すると、かなりおもしろいものがあります。


 こういうことを少し2月定例会で申してみたく候。

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