過去の岡山県議会一般質問集
 <公共交通施策(自転車交通)>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  最後に,警察本部長に伺います。
 岡山駅前のイオンモールの進出について,社会実験を行いたいという岡山市の要請に対して,結局認められることはございませんでしたが,実はこれは中心市街地の交通渋滞を見るためだけの実験では決してなく,むしろ岡山県の立場からは,いわゆる中心市街地へのアクセスポイントの渋滞状況を見るためにも,非常に重要なものだったと私は思います。特に岡山インターチェンジから旧いずみ町の交番前はもちろん,山陽インターチェンジや早島インターチェンジ,さらには岡山バイパスの各合流点については,土日,祝日など全く影響が出ないものととても思えません。現状でこうした岡山市中心部へのアクセスポイントの渋滞予測,それに対する対応をどのように考えておられるかお伺いをいたします。
 また,3年連続で少年非行率が全国ワーストワンになっておりますが,そのうち半数以上が中学生,半数近くが岡山市の少年です。イオンモールはまさに新たな繁華街の創出により広域から少年が集まることで少年非行の温床にならないように願うばかりでありますけれども,補導体制の強化を含めて非行防止対策についてお伺いをいたします。

 ところで,本部長は2008年8月から2011年3月まで富山県警本部長を務めておられました。その間,2009年12月23日には富山市の路面電車環状化が完成しており,県警本部長として道路への路面電車新設導入,つまり道路空間を減らして路面電車導入を担当していたことになられます。LRT導入については,岡山のほうが早かったのに,コンパクトシティーという考え方からしても,J2では優位に立っているんですけれども,富山と今大きく水をあけられた感がございます。今後,本来イオンモールの進出よりも先立っている必要があった岡山市の進めるJR岡山駅前の路面電車の乗り入れやJR吉備線のLRT化など御指導いただきたいと思いますが,その当時の感想も含めて御所見をお聞かせください。

(警察本部長)  お答えいたします。
 イオンモール岡山の進出についての御質問のうち,まず岡山市中心部へのアクセスポイントの渋滞予測等につきましては,議員御指摘のアクセスポイントから岡山市中心部への流出ルートである国道53号や国道2号バイパス等で昨年同時期の休日におけるピーク時の状況においても,それぞれ渋滞が発生しているところであり,これにイオンモール岡山への来・退店車両が加わることとなるため,現段階で具体的にどこがどの程度渋滞するのかという予測は困難ですが,これらの路線のアクセスポイント付近の交通渋滞はさらに厳しさを増すものと予測いたしております。
 このため,県警察といたしましては,事業者はもとより関係機関等と連携して,交通監視カメラや車両感知器等による交通情報の的確な把握,ラジオや交通情報板等による渋滞・迂回情報の提供,交通誘導員や看板による案内・誘導,交通実態に即したタイムリーな信号制御を行うこととあわせて,公共交通機関の利用や臨時駐車場の活用を促進する広報等の諸施策を総合的に推進し,交通総量抑制対策を進めていくこととしております。
 次に,非行防止対策につきましては,大型商業施設の出店に伴い万引きや自転車盗などの初発型非行,少年の蝟集問題等の発生が懸念されます。このため,県警察といたしましては,商業施設内に設置予定の警察官立寄所を拠点として,開店後の状況を見きわめながら,状況に応じ警察官等によるパトロールを行うとともに,関係機関,ボランティア等と協働して補導活動等を推進するなど,非行や蝟集等の問題を生じさせないよう努めてまいる考えであります。
 また,犯罪の起きにくい環境を整備する観点から,事業者に対し店舗内外への防犯カメラの設置や警備員による警戒強化,商品へのより広範な防犯タグの取りつけ,盗難防止装置つき駐輪場の整備,閉店後におけるオートバイ,自転車等の乗り入れ禁止措置等を働きかけているほか,万引き被害に遭いにくい商品の陳列方法等のアドバイスを行うこととしております。
 また,岡山市に対しても,地下通路等への防犯カメラの設置拡充等について働きかけを行っております。
 県警察としては,今後とも,こうした対策を着実に推進し,非行事案の防止を図ってまいる考えであります。

 最後に,JR岡山駅への路面電車の乗り入れ等についてお答えします。
 JR岡山駅への路面電車の乗り入れやJR吉備線のLRT化につきましては,公共交通機関の利便性の向上につながる施策であり,形態によっては交通の安全や円滑面に支障を及ぼすおそれもありますものの,基本的には自動車から公共交通機関への転換を促進し,自動車交通量の抑制につながる効果も期待できるものと認識しています。
 ちなみに本年8月に岡山市等によって新たに設置された路面電車岡山駅前広場乗り入れ計画案調査検討会や吉備線LRT化基本計画検討協議会において,整備の基本方針等について協議が現在始まったところであり,県警察はオブザーバーとして参加しているところですが,今後とも,関係機関,団体との緊密な連携のもとに,交通管理者として交通の安全と円滑の観点から必要な意見を申し上げ,よりよい交通環境の確立に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  要望にとどめさせていただきますけれども,先ほどイオンモール岡山が進出したときに周辺部どこが渋滞するかわからないというのは,これは大変なことでございまして,我々南のほうにおりましたら,大体どこが渋滞しとるかわかるわけでありますが,せめてその部分を把握していただきたいということが1つと,そして何よりコンパクトシティーの話でありますが,これは決して中心市街地の再開発,活性化とイコールの話ばかりではありません。言うまでもなく,自動車をちょっと外に出しながら,公共交通機関を整備して,例えばLRTであったり,あるいは何よりいつも申し上げる自転車であったり,あるいは歩行者の方であったり,いわゆる自動車に頼らない公共交通機関や自転車や歩行者が歩ける,そうした街をつくっていこうという発想もあると思います。その中で,今回のイオンモール岡山の進出は,若干ちょっと矛盾しているわけでありますが,これからコンパクトシティーをつくっていく中で,やはり警察の方の御指導というのが大変に重要になると思いますし,とりわけ富山で大変今成功している事例があるということで,ぜひとも本部長の温かい御指導を賜りますことをお願い申し上げて,質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。



<平成26年2月定例会>(2014年3月6日)

(佐藤)  昨年11月27日に,移動権の明示はできなかったものの,交通政策に関する基本理念などをまとめた交通政策基本法が成立をいたしました。その目的は,交通に関する施策について基本理念及び交通に関する施策の基本となる事項を定め,国及び地方公共団体の責務等を明らかとすることにより,交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図る,第1条,というものでございます。具体的には,交通事業の経営環境が厳しい離島などでも日常生活に必要な交通手段を確保すること,高齢者や障害者,妊産婦などが各種交通機関を利用しやすいよう設備の改善を行うこと,定時性や速達性の向上,各種公共交通機関の連携強化など,利便性の向上を図ることなどを求めています。また,空港や港湾の整備によって国際競争力の強化を図ることや大規模災害発生時の交通機能の低下を抑制するため代替性のある交通機関の確保も求め,今後は,交通政策基本計画をまとめる方針とされております。まず,この政策基本法について率直な感想と交通基本条例の制定を含めて地方公共団体の責務第9条として主体的な取り組みのための思いをお知らせください。
 ところで,公共交通は旧運輸省系,道路行政は旧建設省系,そして交通規制は警察庁と監督官庁が分かれ,地方自治体でも統合的交通計画を策定することがございませんでしたが,第32条には,まちづくり等の観点を踏まえた地方公共団体の施策としても,交通政策の総合的,計画的推進が定められております。公共交通分担率を増加させるそうした具体的目標数値を設定して,道路計画や都市計画まで総動員をして岡山の交通基本計画づくりにかからなければならないと思いますが,御所見をお聞かせください。
 特に地域内にある鉄道やバスなどの交通事業者が連合体を形成して地域内の公共交通を一元的に管理運営する組織である運輸連合あるいは交通連合の結成が望まれます。公共交通が便利で安価に利用できれば,道路渋滞の最大の原因である道路交通量の抑制につながり,新しい道路や橋の建設が抑制できるため,結果的に全体の公共投資を抑制する効果が期待できるとされており,今後,国の制度的な支援も検討されておりますが,運輸連合あるいは交通連合の結成についての御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 交通政策基本法についての御質問であります。
 まず,感想等についてでありますが,この法律によって,基本理念のもと,国,地方公共団体,交通事業者等が政策を総合的,計画的に推進することとなったものと認識しております。条例制定や県の取り組みについては国の交通政策基本計画を踏まえて検討いたしますが,法に基づき,国との役割分担のもと,県民の理解等を得ながら施策展開を図りたいと存じます。
 次に,交通基本計画づくりについてでありますが,県では,平成23年3月の岡山県公共交通あり方検討会議の意見書に基づき,行政,交通事業者,県民等が適切な役割分担のもと,相互に連携しながら誰もが利用しやすい公共交通の維持,確保に取り組んでいるところです。今後,国の基本計画において地方が取り組むべき課題や役割などが明確になった段階で,県としての施策展開や県計画の策定について総合的に検討したいと存じます。
 次に,運輸連合等の結成についてでありますが,運輸連合等により地域公共交通の一元的な管理運営がなされれば,料金の低廉化,乗り継ぎの時間短縮など利便性の向上が期待できる一方で,運営する組織の形態,導入可能な地域など課題も多いと聞いております。現在,国において,複数の交通事業者による共通乗車券の発行や乗り継ぎ改善等への支援が検討されており,県としては,その動向を注視するととも,情報収集に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  先ほどの件では,特に公共交通の分担率,この数値目標を持った計画を具体的につくっていただきたいということは要望させていただきたいと思います。
 ところで,今秋,JR岡山駅前に年間2,000万人の来客を見込む西日本最大のショッピングモールの開業を控え,岡山でも生活に必要なさまざまな機能を中心市街地や鉄道の駅など公共交通が利用できる拠点の近くに集めることで,市街地の拡散を予防し,交通機関や自転車,徒歩などで十分に暮らせる街,すなわちコンパクトシティーの議論が盛んになってきました。ショッピングセンターや病院などの公共機関が街の中心ではなく郊外の大きな道路沿いに出店したり移転することが多くなっておりますが,自動車を運転できないと途端に日常生活は非常に不便になってしまいます。また,薄く広く市街地が広がるということは,将来の行政コストを上昇させる要因となります。こうした問題点を解決するために,街をなるべくコンパクトにまとめて,街の中での移動に電車,バスなどの公共交通機関を走らせ,市民の誰もが街の中で自由に移動でき,誰もが住みやすいまちづくりを実現するのがコンパクトシティーの目的です。これに関連して,国土交通省からは都市再生特別措置法と地域公共交通活性化再生法の改正案,経済産業省からは中心市街地活性化法の改正案が提出され,もはやコンパクトシティー化は国策とも言えます。県内でも,岡山市以外にも玉野市,備前市,新見市も集約型のまちづくりの方向に進んでおります。コンパクトシティー化の認識とそれぞれのコンパクトシティーにおける公共交通ネットワークをいかに構築するかを含めて,県が支援すべき内容についてどのようにお考えか御所見をお聞かせください。
 そして,コンパクトシティー構想の中で,岡山市は路面電車のJR岡山駅前東口広場乗り入れを検討しますが,率直な御感想をお聞かせください。
 実は,駅前乗り入れは,さらに,広域に考えたときには,JR岡山駅からは8方面に伸びるJR線と路面電車の相互乗り入れが可能であって,吉備線LRT化,さらには周辺の倉敷,児島,宇野,西大寺までLRT車両が乗り入れていく構想の一部である,駅前乗り入れ構想はその一部だということで,JR岡山駅を中心に放射状に広がる将来的なLRTネットワークの構築についての所見をお聞かせください。
 一方で,人口減少や高齢化が進む過疎地域などの集落地域では,今後,暮らしを続けていくことが危ぶまれる状況が全国各地で一層拡大していくことが懸念されます。こうした状況に対して,地域の再生を目指す新たな取り組みとして,医療,福祉,買い物等の日常生活サービス機能を集約させ,暮らしの安心と希望をつなぐ小さな拠点づくりが始まっています。全国に小さな拠点の取り組み事例として,実は岡山県内では笠岡市の北木島町と新見市の哲西地域,きらめき広場・哲西,道の駅鯉が窪が紹介されております。先日,高知県で「小さな拠点」づくりフォーラムが開催されました。特に地域づくりの中心的な役割を担っている団塊の世代の方々がどんどん高齢化されていくこの10年間が正念場と言われる中,課題解決先進県として高知県はモデルを確立し,全国へ情報を発信し,国等への政策提案するために,平成24年,25年度で13カ所の集落活動センターが設置されていますが,市町村の意見,要望を反映しながら今後10年間で130カ所開所し,高知ふるさと応援隊を10年間で1,000人導入することを数値目標に掲げています。実は,2050年には人口が9,700万人になるということですが,その意味というものは,居住できる地域の66%のエリアで人口が半分になる,そして約2割の地域で実は人口がゼロになるということでございます。確かに住みなれた地域に住み続けることが難しい時代にはなってきておりますが,しかし四季折々の多様性のある集落が衰退,消滅すれば,日本そのものが衰退をしてしまいます。また,このことはいずれ日本中が高齢化率40%を超え,今中山間地域に起きていることは大都市部の郊外では必ず起きてくることだという認識が必要です。既に町なかにもいわゆる限界集落は生まれてきております。先ほどのコンパクトシティーと過疎地域における小さな拠点づくりは問題の本質は実は同じでございまして,人口減少社会を迎える日本の根本的な課題であり,対策であると思います。小さな拠点整備について,その拠点を都市部とどう結ぶかを含めて,知事の思いをお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 コンパクトシティー等についての御質問であります。
 認識等についてでありますが,人口減少,高齢化社会に対応したコンパクトシティー化は非常に重要な方向性であると認識しております。このため,県としては,集約型のまちづくりの方針を示すとともに,市町村に対して先進的な取り組み事例や国の支援制度について引き続き情報提供を行ってまいります。また,歩いて暮らせるまちづくりの観点から,公共交通機関を中心とした交通体系の確立に向けた取り組みについても支援してまいりたいと存じます。
 次に,路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れについてでありますが,乗り入れが実現すれば,JR,路面電車双方の利用者にとって利便性が向上するなど,県都である岡山市のイメージアップにもつながるものと期待しているところであります。
 次に,LRTネットワークの構築についてでありますが,LRTは低床式で誰もが利用しやすいなどのメリットがある中で,吉備線への導入については電化など多額の事業費が必要であると聞いており,岡山市とJRとの間で運行区間や事業費等について検討を重ねた上で進められるものと考えております。倉敷等へのさらなる乗り入れについてのお尋ねですが,現在検討されている吉備線の状況等も踏まえ,関係自治体,JR等の考えも聞いた上で検討すべき事柄であると存じます。
 次に,小さな拠点整備についてでありますが,過疎化,高齢化が進む中山間地域では,生活に身近な行政,診療所,介護施設,商店等を一地域に集める小さな拠点の整備は理想的な対策の一つと考えております。こうした地域が高度で多様な機能を持つ都市部との間で,交通の確保を初め,両地域の連携,交流を図ることは極めて重要であり,県としてもこうした取り組みを支援してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございます。コンパクトシティーにしても,小さな拠点にしても,これは今まで県のスタンスとして市町村の動向を見守る,あるいは国の政策の打ち出しを待つというふうなことが多いわけでありますが,具体的にも岡山市さんが非常に活発な動きを始めておるということでございまして,岡山県としてもこの応援も必要だということもあると思いますが,知事の役割として,各市町村の首長さん,そして何よりも県がやらなくてはいけないこととして国との連携というのがあると思います。国とのパイプをいかようにつくってそれを市町村とどのように結ぶか,その中で知事自身が果たされる国とのパイプ役としての役割についての御認識を,コンパクトシティーと小さな拠点それぞれについて同じ課題だと思うんですが,お知らせいただければと思います。

(知事)  コンパクトシティー,小さな拠点,それぞれについて私が市町村と国の間に立ってどのような役割が果たせるのか,役割を果たすべきかという御質問に対してお答えをいたします。
 実際,国としても,基礎自治体,市町村大変数が多いものですから,そういう意味でも,ある種問屋的機能として県の役割は重要だと思っております。市町村の中には直接霞ヶ関とのパイプの太い方もいらっしゃいますので,その方がいろいろ工夫をされることを私が何か間に割って入るようなことはあえて必要ないと思いますけれども,何か市町村でやりたいことがあると,直接訴えかける場合でもなかなか響いてこないというときに私が皆様方の声を集約して国にお届けする,もしくは国から聞いてくるというのは私の大切な役目であろうと感じております。

(佐藤)  先ほどの件も,これは知事が具体的にまた国に対しての働きかけを,パイプをこれからしっかりとつくっていっていただいて機動的な動きをしていただくことを要望させていただきたいと思います。
 先ほど来のコンパクトシティーに関連して,岡山市では自転車先進都市おかやまに向けて大規模な来年度予算要求がなされております。例えば干拓地でもあり平たんな土地が広がるアムステルダムでは,路面電車の駅前乗り入れはもちろん,自動車道と自転車道,歩道がきっちりと分離され,多種多様な自転車が走り,駅は港と直結をし,通勤風景を見ると船に載せていた自転車を列車にも載せることができ,公共交通と自転車交通の連携が行われています。晴れの国おかやまにおいて平たんな地が続くのは何も岡山市だけではございません。自転車先進県岡山を掲げるべきだとも思いますが,コンパクトシティーと公共交通整備の中で,自転車が果たす役割を含めて,御所見をお聞かせください。
 ところで,昨年秋,岡山県バイコロジーをすすめる会の会長ということで,私自身が実行委員長という形でバイコロジーシンポジウム2013in自転車先進都市おかやまを開催いたしました。特に自転車が安全に走行できる空間づくりを目指す中で,駐車駐輪対策を含めて,幹線道路における適切な幅員を持つ自転車道,自転車レーンの整備の必要性が強く指摘されましたが,今後の方針をお知らせください。
 また,昨年の12月1日から改正道路交通法が施行され,自転車が道路の右側にある路側帯を走ることが禁止され,違反した場合は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。ただ,必ずしも自転車交通マナーというレベルからしても十分に守られているとは言えません。自転車交通安全シンポジウムや就学前や高齢者の方々に向けた自転車交通安全教室のきめ細かい実施などを含めた対策が必要だと思いますが,県警本部長の御所見をお聞かせください。
 また,自転車事故対策について,自動車事故と同様の賠償額が算定されるケースがふえてきており,保険加入や定期的な自転車整備の義務化,そのためにはさらに自転車免許や防犯登録制度のみならず,自転車ナンバープレートの導入まで考えられると思いますが,いずれにいたしましても,自転車はあくまで車両であるという意識づけが重要であると考えますが,警察本部長の御所見をお聞かせください。
 加えて,高齢者の方々にとっては電動車椅子の事故も多発しています。愛媛県の交通安全協会では電動車椅子安全登録制度を立ち上げていますが,普及しつつある電動車椅子の安全対策についても県警本部長の御所見をお聞かせください。
 この項最後に,何度も申し上げてきたんですが,2人乗り自転車,いわゆるタンデム自転車の公道の解禁,これは観光対策ということで他県には認める動きがどんどん出てきております。最終的には,先ほど来申し上げているコンパクトシティー内の自転車道をタンデム自転車が安全に走ることができるまちづくりを目指すべきだというふうに思いますが,まずはいわゆるサイクリング道路等のタンデム自転車の限定解禁について知事に御所見をお伺いいたします。

(知事)  お答えいたします。
 自転車先進県岡山についての御質問であります。
 所見についてでありますが,自転車は,コンパクトシティー化を図る上で,徒歩移動や既存の公共交通を補完し,移動の利便性を高める重要な役割を担うものと認識しております。誰もが利用しやすい交通体系に自転車をどのように位置づけるかについては,まちづくりの主体である市町村が地域の特性に応じて判断するべきものと考えております。
 次に,安全に走行できる空間づくりについてでありますが,自転車道や自転車レーンの整備は,交通安全上効果があるものの,道路拡幅に伴う用地買収が必要となるなど,課題が多いと考えております。しかしながら,市町村が駐車駐輪対策も含めて自転車ネットワーク計画を作成するなど,積極的な取り組みを行おうとする場合には,県としても道路管理者として協力してまいりたいと存じます。
 次に,タンデム自転車の公道の限定解禁についてでありますが,タンデム自転車は,観光面での効果も期待できるものと考えております。なお,岡山県道路交通法施行細則によりますと,道路法で指定された自転車専用道路に限り通行可能となっております。本県のサイクリング道路としては吉備路自転車道などの大規模自転車道が考えられますが,これらの道路は自転車専用道路に該当いたしません。お話のタンデム自転車の公道の限定解禁については,知事の所管する事項ではないことから,所見を申し上げることは差し控えさせていただきます。
 以上でございます。

(警察本部長)  お答えいたします。
 自転車先進県岡山についてのうち,右側走行の禁止についてであります。
 自転車につきましては,議員御指摘のとおり道路交通法の一部改正により道路右側の路側帯の通行が禁止されているところでありますが,いまだ右側通行など交通ルールを守らない利用者が見られるところであります。このため,県警察といたしましては,関係機関,団体と連携して,小中高校生等を対象とした自転車交通安全教室や幼児とその保護者に対する交通安全教育等の機会に,自転車利用に関する交通ルールの指導を強化しているところであります。また,学生に次いで自転車事故の多い高齢者に対しましては,各警察署単位に高齢者自転車リーダーを指定し,実際に自転車を運転しての安全な乗り方教室,自転車シミュレーターや交通安全体験車を活用しての参加,体験,実践型の安全教室を強化する中で,左側通行の周知を図っているところであります。今後とも,これらの交通安全教育をきめ細やかに推進するとともに,街頭における自転車の交通違反の指導取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
 次に,車両であるとの意識づけについてであります。
 自転車は道路交通法上車両と位置づけられておりますが,いまだ利用者にはその意識が十分に浸透しているとは言えないと認識しているところであります。このため,各種媒体を活用した広報啓発や交通安全教育での指導を強化しているほか,街頭での指導取り締まりに努めているところであります。今後とも,学校を初めとする関係機関,団体等と連携しながら,自転車は車両であるとの意識づけを強化することにより,自転車の交通事故防止を図ってまいりたいと考えております。
 次に,電動車椅子の安全対策についてであります。
 電動車椅子は,高齢者等の日常生活における移動手段として利用されているところでありますが,電動車椅子が関係する交通事故は昨年7件発生しております。このため,県警察では,電動車椅子の販売業者などと連携の上,販売時における個別指導をしていただいたり,電動車椅子を実際に操作しての安全な乗り方教室の開催や電動車椅子への夜光反射材の装着等に努めているところであります。今後とも,電動車椅子利用者に対する安全教育を強力に推進していく所存でありますが,議員御指摘の電動車椅子安全登録制度につきましては参考とさせていただき,制度発足後間もないことから,その効果等を注視してまいりたいと考えているところであります。
 以上でございます。

(佐藤)  先ほどの自転車のことに関しましては,ハード面が整備できていないということで,事故が発生した場合には損害賠償の額が大変大きくなるということで,今後は行政の責任も問われる可能性も出てくるんじゃないかということ,そしてタンデムにつきましては,言ってみれば大人の自転車の2人乗りを認めてくださいという話なんですが,これについては,例えば障害がある方,あるいは高齢者の方を後ろに乗せて自転車で町なかを行くイメージなんだということで,必ずしも観光以外の形でもこの自転車を有効に使う方法があるのでぜひ検討していただきたいということをお願いしたいと思います。 以上でございます。



<平成22年2月定例会>(2010年3月2日)

(佐藤)  次に,自転車についてお伺いいたします。
 地球温暖化対策,ストップ温暖化!推進事業では,太陽光発電や電気自動車等の一層の普及促進を図ることによって,地球温暖化対策というグローバルな課題に,本県も一翼を担ってまいりたいということでございますが,最も地球に優しい交通機関は,私は自転車であろうと思います。ただ,日本における自転車の利用環境は,ヨーロッパの自転車利用先進国に比較して,大きく立ちおくれていて,自転車専用レーンやサイクリングロードなどは,まだまだ十分に整っているとは言えない状況でございます。ちなみに,本県では,中国四国ブロックサイクリング大会が,ことし9月25日から26日に,真庭市蒜山高原で開催されますし,日本サイクリング協会創立45周年記念イベントとして,日本サイクリングコース100選が募集される予定と聞いていることから,この蒜山や片上鉄道跡,吉備路自転車道,さらには鷲羽山や吉備高原都市については,ぜひともその中に選ばれてほしいと,切に願います。特に,地方公共団体と民間団体が中心となって,自転車と観光資源を関連させて,今はやりのトレッキングツアーのように,例えば旅行会社がサイクリングツアーが企画できるよう,その基盤強化,とりわけ,これはサイクリングターミナルの設置であったり,情報提供,自転車メンテナンス,走行管理,レスキュー体制,保険制度等の充実,まだまだできることがあるように思うのですが,知事はいかがお考えでしょうか。
 ところで,タンデムという自転車を御存じでしょうか。複数のサドルとペダルを装備して,複数人が前後に並んで乗ることができる自転車で,要は前後に車輪があって真ん中にサドルが2つあって,二人乗りをしている状態を想像していただければいいと思うんですが,このタンデム,実は岡山県バイコロジー運動を進める会では,毎年,旭川のマラソンコースで,視覚障害のある方を後部座席にお乗せして走るというイベントを行っております。前に乗る人をパイロットというのですが,私もパイロットになって,何度も二人乗りで風を切って走ったことがございます。しかし,なぜ旭川の河川敷かというと,言うまでもなく,現行法では,二人乗り自転車は公道を走ることができないからであります。逆に,公園や河川敷など,公安委員会が直接管理していない道路での走行は,国の道路交通法の管理下だけにありますので,乗車可能ということになります。しかし,お隣兵庫県では,県道路交通法施行細則の一部を改正して,視覚障害者の新しい交通手段の確保のため,そして県民によるタンデム自転車の幅広い利用促進を目的に,タンデム自転車の公道解禁を行っております。もちろん,視覚障害のあられる方だけではなくて,例えば駅への送り迎え,あるいはカップルで乗るなど,例えば吉備路自転車道をタンデムが走る,そうした姿を想像していただきたいのですが,観光も含めて,用途や可能性は幅広くありますし,特にまずはパイロットを養成し,修了証を持つ者だけに限定解除するなどの方法で,このタンデムの公道解禁は可能ではないかと考えるのですが,県警本部長の御所見をお聞かせください。
 関連して,よく最近女子高生が携帯電話をかけながら,最近は傘を差しながら自転車をこいでる姿をよく見かけるんですけれども,軽く考えておられるのか,自転車の交通法規はほとんど無視されているような現状の中で,自転車による交通事故は増加傾向にございます。特に,初めて自転車に乗る就学前に,例えば幼稚園や保育園や地域できっちりとした交通教室を開催して,自転車免許証のようなものを発行することから始める必要があると思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,サイクリングツアーについてでありますが,県内には,吉備路自転車道など,県が整備した自転車専用道が4カ所ありまして,その沿線には,地元市町村等によって,観光客用のレンタサイクル施設等が整備されております。県といたしましては,今後,地元市町村等が取り組むサイクリング施設の整備を支援いたしますとともに,魅力あるサイクリングのルート開発やツアー企画を進めまして,旅行会社に商品造成を働きかけることなどによりまして,本県の観光振興につなげてまいりたいと存じます。

(警察本部長)  まず,タンデム自転車の公道解禁についてであります。
 タンデム自転車は,主にレジャーや観光地において,手軽で便利な乗り物として使用され,近年,注目を集めていると認識しております。他方で,タンデム自転車は,構造上,一般的に車体が長く,小回りがきかず,急制動等の運転操作が難しいことなど,普通自転車と比べて,公道を走行する場合に課題が多いと考えております。県警察といたしましては,タンデム自転車の公道走行につきましては,御指摘の兵庫県における事例も十分に研究し,歩行者やドライバーなど,道路利用者からの意見も踏まえつつ,多角的な観点から検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に,就学前の交通教室についてであります。
 県警察では,自転車利用者に対する交通教室につきましては,関係機関,団体と連携しながら,幼児から中高生を含め,幅広い年齢層に対して実施しているところであります。平成21年中,県内において実施した自転車教室の開催状況を申し上げますと,就学前の幼児対象では17回,701人,小学生対象では149回,1万4,910人,中学生対象では52回,5,751人,高校生対象では16回,3,864人などとなっております。これらの自転車教室では,自転車の運転に際してヘルメットを着用すること,夜間にライト点灯を行うこと,傘差しや携帯電話使用の危険な運転をしないことなどの交通ルールを遵守するよう指導しております。その際,交通安全の意識づけのため,サイクルライセンスといった交通安全啓発用のカードを配布している場合もあります。県警察といたしましては,今後とも関係機関,団体と連携し,自転車利用のための交通ルールの徹底や交通マナー向上のため,サイクルライセンスの交付といった手法も取り入れた自転車教室を開催するなどして,就学前幼児も含め,自転車のための効果的な交通安全教育を推進してまいりたいと考えております。



<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  特に,JR吉備路沿線には,吉備津彦神社,吉備津神社,高松稲荷や備中高松城,鬼ノ城など,まさに日本のまほろばとも言える史跡が並んでおり,決して大和路に劣るところはなく,一説には年間観光客50万人を超えるとされているのですが,県内の広域観光の中でも,後楽園や倉敷美観地区と必ずしもうまく連携できておりません。
 先日,吉備路自転車道を久しぶりに自転車で走りましたけれども,この吉備路自転車道は,正式名称は,一般県道岡山総社自転車道線であり,その起点は総合グラウンドにあった旧いずみ町交番前なのですが,ここにある看板からして,津島遺跡を津高遺跡と書いておりまして,こうした案内看板や休憩所,特にトイレの表示はかなり工夫が必要だと思います。そもそも岡山市の政令指定都市移行に伴って,吉備路観光の幹線とも言える総社までつながる,この吉備路自転車道については,総合的にどこが所管することになるのか,吉備路観光における位置づけの御認識と今後の整備の方向も含めて,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,第4回岡山市都市交通戦略検討会議では,都心と地域拠点との連携軸の強化,都市内の回遊性の向上を目標とし,吉備線のLRT(次世代型路面電車)化など,交通戦略の事業プログラムを示しました。まさに,LRTと吉備路自転車道がリンクすれば,非常に魅力的な観光拠点になるはずでございますが,国道180号の交通緩和策という観点からも,JR総社駅まで続くJR吉備線LRT化の話は,県も積極的にかかわるべきだと私は思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  吉備線のLRT化についてでありますが,お話のように,岡山市が年度内を目途に策定を進めておられます都市交通戦略素案によりますと,都心と地域拠点との連携軸の強化に向けた交通施策の一つとして,吉備線のLRT化が示されておりまして,来年度,LRTの推進等に向けた事業調査が行われると聞いております。LRTは,駅間距離を短くして利便性を高めることができる,また,低床式でだれもが利用しやすい,さらには,大気汚染の心配が少ないなど,人にも環境にも優しい公共交通であるというように考えているところでありまして,県といたしましては,岡山市の検討状況等を見きわめながら,適切に対応してまいる所存であります。

(土木部長)  次に,吉備路自転車道についてでございますが,岡山市の政令市移行に伴いまして,岡山市内の区間は岡山市が,それ以外の区間は県が,それぞれ管理や整備を行うこととなります。このため,御指摘の案内看板等の不備につきましては,早急に点検を実施いたしまして,3月末までに適切に対応いたします。
 また,吉備路観光における位置づけの認識と今後の整備の方向につきましては,自転車を利用した観光スタイルの提案は,今後の吉備路観光におけます重要なツールとなり得るものでございまして,岡山市や総社市とも連携いたしまして,案内看板ですとか,あるいは休憩施設等の整備を推進してまいりたいと考えております。



<平成19年12月定例会>(2007年12月12日)

(佐藤)  次に,岡南飛行場についてお伺いいたします。
 私は,岡南飛行場について,この議場で提言させていただいたのは平成13年の2月定例会ですが,実は会議録を読み返しますと,驚くべきことに,平成13年以来この議場で岡南飛行場という言葉すら発せられておりません。昭和63年,岡山空港が開港し,そちらの方は20周年のお祝いが言われますが,実は岡南飛行場も同じ20周年で,これからの施策次第では,岡山の誇りになり得るんだということを本日は申し上げたいと思います。
 岡南飛行場は,平成4年に国から小型航空機の拠点飛行場の第1号として認定され,エプロンの拡張整備もなされ,定期旅客便はございませんけれども,小型航空機の基地として,貨物輸送,遊覧飛行,撮影宣伝飛行などが行われており,近年は小型ビジネスジェット機の運航整備基地として注目を集めております。ある意味,全国でもこれだけの潜在能力があって自由度が高い飛行場はそうそうなく,他県の航空関係者からすれば,まさに岡山は宝の持ち腐れになるのではないかといった状況に見えるようです。
 また,この地で操業されて株式公開を目指すまで成長された整備会社の社長さんの思いで,少しでも飛行機やヘリコプターを身近に感じてほしいと,随時整備場の見学もできるため,土曜,日曜には家族連れやカップルの人気スポットにもなっています。私も,地域の方とここで青空市をやりたいもんだなという構想を持っておりますけれども,多くの野鳥が飛来する阿部池や,先日,森先生からありましたように,DOWAホールディングスさんを中心にした児島湖花回廊プロジェクトもあって,今後,桜や自然観賞の拠点になっていくかもしれません。もともとはスカイパーク岡山構想という夢があって,日応寺の岡山空港ができた後も,あえて浦安の旧岡山空港を残して岡南飛行場としたわけでございますが,笠岡ふれあい空港も加えて,こうした空港が3つもある岡山県の優位性をいかに生かしていくかは,岡山の夢そのものだと私は思います。もちろん,来年のサミットを控えて,テロ対策の強化も必要ですし,岡南飛行場は住宅街が広がる地域との兼ね合いで,午後6時30分までしか使えない,そういった制限もあり,ヘリコプターの低空飛行やタッチ・アンド・ゴーの過度の繰り返し,これは避けなくてはいけませんけれども,一方で,旧広島空港である広島西飛行場もコミューター定期便に動きがあって,小型機専用飛行場にシフトしていくとすれば,わずか十数分の距離など,直接のライバルとこれをみなすべきで,うかうかしておれません。あえて言えば,岡山空港は広島空港を,岡南飛行場は広島西飛行場をライバルとみなして競争していく必要がありますが,まずもって知事の現在の岡南飛行場への認識をお知らせください。
 私は,岡山空港よりもはるか近くに飛行機やヘリコプターに接することができる岡南飛行場は,子供たちに大空への夢を描くきっかけになるには抜群の環境と言えると思います。高校生や大学生が航空機の整備について体験ができて,例えば小学校1年生の私の息子が──鉄ちゃんでございますが──鉄道マニアとして新幹線の運転手になりたい,そのように言うように,世界をまたにかけるパイロットや整備士になりたいと願う子供がたくさん出てくればよいと思います。加えて,岡山に集積する航空産業の拠点にもなり得ます。こうした航空産業学習,航空産業拠点としての岡南飛行場の可能性について,御所見をお聞かせください。
 また,地域との連携による青空市の開催や飛行場でのレストラン経営など,活性化に向けたさまざまな可能性について,今総合的に考える協議会,研究会の設置も必要だと考えますが,いかがでしょうか。
 加えて,今後導入が予定される消防防災ヘリコプターについては,県警ヘリコプターの「わしゅう」や岡山市消防ヘリコプター「ももたろう」──現在岡南飛行場におりますが──この兼ね合いから,リスク分散という考えもあるのかもしれませんが,山の中で霧が発生しやすい岡山空港よりも,平地から直ちに飛び立てる岡南飛行場の方がこうした航空防災拠点に向くと私は思いますが,今後の方向も含めてお知らせください。
 これに関連しまして,今後整備される警察署等の公共施設や,また県民局や支局,さらには民間ビルの屋上等には,防災・救援拠点として消防防災ヘリコプターの離着陸が可能なようにするのが,私はこれはもう時代の趨勢だと考えますが,離着陸場の整備状況と今後の方向について,総務部長にお尋ねいたします。
 ところで,先般,この質問のためもありまして,岡南飛行場から私は自家用のヘリコプターに乗せていただきまして,瀬戸内海の島々の上を旋回いたしました。とりわけ,アートプロジェクトが進む直島や犬島の上空を旋回するにつけて,これが世界標準なんだというものを思い知らされた気がします。私たちのふるさとの景色,ふるさとの海が,日本初の国立公園に指定されたのもむべなるかなという,世界有数の景色であることを実感いたしました。
 一方で,この岡南飛行場も,この海にも通じているはずなのに,いわゆる海洋レジャー等と連携できる潜在能力があるのに,それを十分に生かし切れてもいないなあというふうにも感じました。例えば,一流のプロ野球選手やサッカー選手が物事を真横に見ながら,脳の中でそれを置きかえて,鳥のように俯瞰する能力があるからこそ,的確に動けるのではないかと私は考えるのですが,それはこうした俯瞰する目というのは,一流の経営者や政治家にも絶対に必要な能力なのかもしれません。
 知事は,瀬戸内海をクルージングされたり,空からゆっくりと瀬戸内の景色を眺められたことがおありでしょうか。そのとき何を感じられたでしょうか,お伺いいたします。
 特に,知事の提唱される中四国州を考えながら,今は中国と四国の境になっている瀬戸内海を見たとき,この海を,空をどう考えるのか思いをめぐらせると,交通の結節点という中に,岡山をいかに中四国州における海と空の結節点にするかということが重要であると私は思います。陸だけではなくて,海,空についても中四国州の拠点となるよう,県内の港湾,空港の機能強化や,中四国地域との連携のあり方についてお伺いいたします。
 あわせて,中四国海・空の連絡会議のようなものの設置を考えたらいかがでしょうか,お考えをお知らせください。
 加えて,かような可能性がある岡南飛行場について,我々はこれを「こうなん」と読めるわけですけれども,残念ながら県外の方には「こうなん」となかなか読むことができません。この飛行場という言い方は,空港と運用形態が異なるので,これはもう理解できるにしても,いかにもこれでは自己完結のスケールの飛行場になってしまいます。コウノトリ但馬空港,たんちょう釧路空港,高知龍馬空港といった愛称もございますし,ここで思い切って20周年で公募をかけて,例えばスカイパーク瀬戸内といったような夢のある愛称をつくるか,あるいはネーミングライツによる名称変更を考えたらいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。

 関連して,岡山空港についてもお伺いいたします。
 このたびの将来の定期路線化の夢につながる香港への定期チャーター便の就航を心から歓迎するものでありますが,岡山空港では,平成16年からビジネスジェット基地化構想が推進されており,格納庫の民間企業への貸し付けがことしの5月からもう既に始まっております。ビジネスジェット機の飛来は,着陸料,停留料,収入の増大のみならず,地元企業への経済波及効果を及ぼすことになり,私は,先ほどの岡南飛行場のあり方とも相まって,岡山空港の活用策として,また地場航空産業の振興のためにも,まことに時宜を得た施策であるというふうに思います。
 しかし,格納庫が小さくて,2機目の大型ビジネス機が岡山空港に飛来した場合,格納庫には1機しか入らないため,1機は必ずスポットに駐機しなくてはならない,そういった状況になっております。しかしながら,現状のこのスポットの運用では十分に対応し切れず,先ほど申し上げた岡山県の施策の信用問題にもなりかねない状況になっております。抜本的な対応策が必要になっておりますが,知事の御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,岡南飛行場についてであります。
 まず,現在の認識でありますが,岡山空港の開港にあわせまして,岡山空港は大型機を中心とした定期便等に,岡南飛行場は小型機による不定期の航空輸送や訓練等に使用するという機能分担を行ったところであります。現在,岡南飛行場には,小型機エプロンを67スポット整備をしておりまして,県警察本部や岡山市消防局を含め,航空事業者など9者が立地いたしますとともに,年間着陸回数も6,000回を超えるなど,西日本では有数の小型機専用飛行場になっているところであります。今後とも,格納庫用地への航空事業者の誘致などに積極的に取り組み,岡南飛行場の一層の活性化に努めてまいりたいと思います。
 航空産業の拠点等の可能性でありますが,小型機の専用飛行場として利用促進に努めてまいりました結果,現在39機が常駐しておりまして,これに伴い,航空機の整備等の事業も拡大してきているところであります。また,県内では,航空機部品を製造する企業も育ってきております。こうしたことから,航空学習や航空産業の拠点としての岡南飛行場の可能性につきましては,これは一つの御提案と考えておりますので,今後,研究をさせていただきたいと存じます。
 また,活性化に向けたさまざまな可能性の検討でありますが,現在,岡南飛行場の運営に関しまして,航空事業者を初めとした関係の皆様との連絡会議を定期的に開催しているところでありまして,こうした場も活用しながら検討してまいりたいと思います。
 航空防災拠点についてでありますが,現在,消防防災ヘリを早期に導入する方向で,鋭意検討しているところであります。消防防災ヘリの運航基地となる航空防災拠点につきましては,既存施設の活用や航空法上の手続等から,岡山空港と岡南飛行場が考えられるところでありますが,全県的な防災力の強化を図るという基本的な視点に立って,災害時のリスク管理や経済性並びに気象条件や地理的条件など,さまざまな観点から,最も適切な場所の検討を現在進めているところであります。
 瀬戸内の景色でありますが,私も飛行機あるいはヘリコプターで上空から見たことがございますが,眼下に広がる大パノラマの両側に横たわる本州と四国,そして,その間できらめく瀬戸内海の中に,瀬戸大橋と多数の島々が見え,その美しい環境を維持していくということの必要性を感じますとともに,一衣帯水の関係とも言えます中四国の連携の意義につきましても思いをいたしたところでございます。
 いずれにいたしましても,全体像を俯瞰し状況を把握するということは,的確な判断のために必要であり,また視点を変えて考えるということは,新たな発想を得るためには大切なことであると考えております。
 海と空の結節点等でありますが,中四国州を見据えたとき,世界に誇り得る共有の財産である瀬戸内海を活用するということは大きなテーマであり,その中で本県といたしましては,陸上交通の優位性を生かしながら,瀬戸内海から中四国,さらには海外に広がる陸・海・空の総合的な結節点となるということを目指し,県内の港湾,空港の拠点性を高めていくということが重要と考えております。
 このため,水島港を初めとする港湾施設の基盤整備や岡山空港の利便性の向上を進めるなど,広域的な人・物の流れやニーズに対応いたしました施設面での機能強化と,航路・空路の拡充,近県からの利用促進に努めますとともに,関係県と連携いたしました海外からの観光客の誘致等にも取り組んでいるところであります。
 御提案いただきました中四国海・空連絡会議の設置ということにつきましては,先ほど申し上げました観光客の誘致等の取り組みの強化,あるいは中四国サミットの場の活用等によって対応してまいりたいと存じます。
 愛称等についてでありますが,お話のように,愛称を持つ地方空港があることは承知いたしておりますが,岡南飛行場の名称は,昭和63年の岡山空港開港に伴い変更して以来,利用者に定着してきているとともに,飛行場周辺の通称である岡南というこの名は,橋や公民館などの公共施設や民間商業施設等の名称に幅広く使われているなど,地域になじんだものとなっていると思います。このため,ネーミングライツを含めまして,岡南飛行場の名称を変更することは考えておりません。
 岡山空港についてでありますが,遊休施設でありました格納庫を活用するため,ビジネスジェットを誘致し,本年5月から利用が始まっております。岡山空港のスポットにつきましては,北京−大連線や香港へのチャーター便など,利用航空機が増加する中で,定期便を優先した運用を行っているところでありまして,お話のビジネスジェットの格納庫外での駐機に関しましては,空港の管理運営上一定の制限があるのはやむを得ないものと考えております。
 いずれにいたしましても,岡山空港の利用は,このビジネスジェットを含めまして,引き続き増大すると見込まれているということから,今後の空港施設整備につきまして,現在,関係者で委員会を設けて協議中でありまして,スポットの増設等につきましても,この委員会の中で検討してまいりたいと存じます。

(総務部長)  ヘリコプターの離発着場についてでありますが,大規模災害時等において,空からの救出・救助活動は大変有効と考えており,ヘリの離発着場の確保は重要と認識いたしております。現在,県内で大規模災害時等に離発着できる常設及び緊急離着陸場は,建物の屋上8カ所も含め,433カ所となっておりますが,今後とも,県内消防本部等と連携し,屋上施設を含めて,できる限り多くの離着陸場の確保に努めてまいりたいと存じます。



<平成17年6月定例会>(2005年6月17日)

(佐藤)  次に,自転車交通についてお伺いいたします。
 小学校の学区の弾力化ということで,今岡山市では,旭川を越えて通学する児童が大変ふえてまいりました。先日,新鶴見橋を渡る子供たちの通学の様子を見させていただいて大変に驚きました。橋に至るまでの信号機も横断歩道もなくて,車道と歩道は白線で区切られているだけで,プール用の袋を振り回している児童の横を自転車が行き交って,バイクまで進入してくる。とてもこれでは通学の安全は確保できないなあと思いました。また,後楽園を渡る蓬莱橋前にも,自転車のたまり場がなくて,鶴見橋もせっかくつくった自転車歩行者道を行かない,そんな自転車も多くて,ともあれこの一帯はすべての交差点に問題があると思います。同様な問題は,旧いずみ町交番の前の交差点にもあり,これらは強く善処を求めるものでございますけれども,そこで気になりましたのが,傍若無人な自転車の姿であります。まさに走る凶器であり,厳密に言えば,老若男女入り乱れて,9割の自転車は道路交通法違反であります。こうした軽微とも言える遵法意識の欠如が自転車から自動車に変わったときの運転マナーの悪さに結びつくのではないか,それは言い過ぎでありましょうか。言うまでもなく,自転車は法律の上では軽車両であります。本来であれば車と同じように,信号や標識に従って走らなければなりません。もちろん,とまれの標識は自転車も一時停止しなくてはいけません。歩道を走ることができるのは,歩道通行可という標識があるときだけで,その場合ももちろん歩行者優先で,チリンチリンと鳴らしていくのは間違いであります。飲酒運転禁止,2人乗り禁止,並列走行禁止,そして通行区分違反はもちろん,不点灯,たばこや携帯電話を片手に持って運転した場合は,安全運転義務違反であります。歩道に駐輪してあれば,実は駐車違反にもなるということであります。要は,自転車と原付自転車は,原動機がついているかどうかの違いでありまして,全部交通法規を守らなくてはいけないというのは同じであります。ただ,こういった交通法規は,学習していなければ知り得ないと思いますが,かくも違反が多いということは,交通ルールを教育されていないので知らないのか,あるいは知っていても罰則がないに等しいので守らないのかのどちらかだと思います。まずもって,学校の教育現場で運転技術のみならず交通法規を含めた自転車に関しての交通安全教育の状況をお知らせください。教育長にお伺いいたします。
 特に,自転車と歩行者による交通事故がふえている中で,そのうち4割は中高生であります。その半数以上が65歳以上の高齢者にけがを負わせているわけですから,県内の高校生を対象に安全意識などを聞くアンケート調査を実施して,交通ルールの徹底を呼びかけるべきだと思いますがいかがでしょうか,教育長にお伺いいたします。
 また,警察では,交通死亡事故抑止対策の重点を高齢者対策に置いているものと思います。加齢に伴う平衡感覚,筋力,動体視力,反射神経などの衰えは,自転車の運転に直結するわけでありますけれども,高齢者の方々の自転車安全運転教室,交通ルール教育も積極的に行っていくべきだと考えますがいかがでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。
 ところで,自転車,乗用車による交通事故は年々ふえておりますけれども,特に小学生の自転車,乗用車による事故も,例えば,岡山県では10年前は252人が去年は351人で,年々増加傾向にあります。警察が自転車について指導取り締まりをしたという話も余り聞きませんし,検挙されたという話も聞きませんけれども,自転車に対する指導取り締まり状況についていかがでしょうか,警察本部長にお伺いします。
 こうした一連の状況に対しまして,全国に自転車の運転免許証制度を取り入れる動きが少しずつ広がっております。もちろん,これは自動車の免許とは全く違うものであります。原則禁止の限定解除という意味での本来の免許ではなくて,特に子供たちに交通ルールやマナーを知ってもらうのがねらいであります。全国に先駆けて行政が住民一般を対象として手がけたものとしては,東京都荒川区が14年7月から,また,お隣の兵庫県警察本部も昨年度から,市や町,自転車屋さんの組合などと協力して,自転車運転免許証の制度を始めました。これらの免許証には,顔写真がついていて,氏名や生年月日,学校名と血液型を記入するようになっています。大きさや形式は大人の自動車運転免許証とほぼ同じであります。裏には,二人乗りや飛び出しはしないなどのルールや安全確認のポイントが書かれています。何かの事故に巻き込まれたときに,本人の確認ができる,血液型等や保護者名,住所などもわかって速やかに連絡がつきますし,所持していてもいなくても,特典や罰則というものはないんでありますけれども,子供たちのプライドをくすぐってかなりの好評のようであります。本県でも,ぜひ導入を検討されてはいかがと思いますがいかがでしょうか,お伺いいたします。
 関連して,本来は,こうした自転車が通るべき場所に概してタクシーが停車している場合が多くございます。乗客を拾いやすい場所に停車されていたいというお気持ちは非常によくわかりますが,駅前の交差点の停車は,交通の阻害要因になっているのも現実であります。私は,公共交通機関としてのタクシーの重要性にかんがみれば,取り締まりよりも適切な停車場の整備を求めるものでありますがいかがでしょうか,警察本部長にお伺いいたします。

(知事)  次に,自転車運転免許証の導入についてでありますが,子供たちへの交通安全意識の徹底や事故の際の本人確認の上で有効な手段の一つと考えられるところであります。免許証は,その目的から,講習や実技試験等を行った上で子供たちに渡すこととなります。本県では,通常,小中学校の単位で交通安全教室が開催をされ,講習等が行われているということから,これを活用した導入が効果的と思われますため,市町村や各地域の交通安全対策協議会に導入を働きかけてまいりたいと存じます。

(教育長)  まず,交通安全教育についてでございますが,学校におきましては,自他の生命を尊重するという基本理念に基づきまして,発達段階に応じて保健の授業や学級活動,生徒会活動等で,交通安全についての関心と理解を深める取り組みを行っているところであります。小中学校では自転車を,高校ではオートバイを主に交通マナーや法規,運転技術などについて指導がなされております。高等学校の中には,日本自動車工業会の資料自転車と道交法をもとに学習しているところもございますが,県下の高校生約61%が自転車通学をしているという現状を考えますと,さらなる指導の充実が必要であると考えております。今後も,警察や関係機関・団体の協力を得て,子供たちの交通安全に対する認識が深まるよう取り組んでまいりたいと思っております。
 次に,アンケート調査についてでございますが,高校生に対しまして,交通ルールやマナー等について調査をすることは,交通安全に関する現在の自分自身の心と行動を見つめ直すことができ,交通安全意識の高揚に有効であると考えております。今後は,県下の高校,警察,交通安全協会等で組織いたします県高等学校交通安全教育推進連絡協議会の場で検討してまいりたいと思います。

(警察本部長)  まず,高齢者の自転車利用における交通安全教育についてであります。
 本年5月末現在,高齢者の自転車利用中における交通事故での負傷者数は245人で,昨年に比べ33人減少しておりますが,死者数は1人多い4人となっております。議員御指摘のとおり,加齢に伴う身体機能の低下は,自転車利用にも影響することから,県警察といたしましても,この点を踏まえた安全教育が重要であると認識しているところであります。
 このため,交通安全体験車に登載された認知,判断,動作等を判定する装置を活用した体験型講習や高齢者の方に実際に自転車に乗っていただいての実技指導のほか,交通指導員が高齢者宅を訪問して行う安全指導,街頭における一口アドバイスや自転車への夜光反射材の貼付活動等を行っているところであります。また,自転車マナーの向上を図るため設定しているサイクルマナーアップモデル地区活動の一環として,高齢者の自転車利用に関する交通安全指導を行っているところであります。今後とも,関係機関・団体と連携して,これらの活動を強化してまいりたいと考えております。
 次に,自転車利用者に対する指導取り締まりについてであります。
 本年5月末現在,自転車の関係した人身事故は1,465件で,昨年に比べ2件増加し,全人身事故件数の17.4%を占めております。
 このため,県警察では,自転車利用者に対する指導強化日を設定し,交通警察協助員の方々などと連携して,自転車の交通事故防止とマナーの向上に向けた街頭活動を実施しているところであります。本年5月末現在,警察官による街頭指導で,二人乗り,無灯火等の違反者に対し4,286枚の交通違反警告書を交付し,文書による指導を行ったほか,再三の警告を無視した二人乗りの悪質違反者1件1名を検挙しております。今後とも,街頭活動を通じて自転車の違反を現認した場合には,積極的な指導警告を行うとともに,特に悪質な違反者に対しましては,検挙措置を念頭に指導取り締まりを行い,交通事故防止とマナーの向上に努めてまいりたいと考えております。
 最後に,タクシー停車場の整備についてであります。
 駅前でのタクシー問題に関しましては,これまでに関係者との対策会議を開催し,タクシー協会による指導員の配置や警察官による指導警告を続けておりますが,待ち場の不足から道路上に停車し,ひいては自転車等の通行を妨害している現状にございます。したがいまして,さらなる改善を図るためにも,引き続き関係行政機関を初めタクシー協会,施設管理者等に対しまして,道路外の停車場整備を働きかけてまいりたいと考えておりますので,御理解を賜りたいと存じます。



<平成17年2月定例会>(2005年3月8日)

(佐藤)  ところで,今回強く感じましたのは,地域における公共交通の切り捨て状況をいかに行政がフォローしていくかの重要性であります。まさに,陸の孤島になりかねない地域が幾らもございます。乗り合いバスの規制緩和が,一方で過当競争と,一方で切り捨てを生むのではないかという懸念は,かねてからあったわけでありますが,特に影響があるのは,交通弱者とも言える高齢者や子供たちに対してであります。まさに,規制緩和に対応した支援策を考えないといけない状況だと考えますが,今後の方針をお知らせください。

(知事)  次に,規制緩和に対応した公共交通の支援策でありますが,規制の撤廃を機に,県独自の補助制度を創設いたしまして,国,市町村とともに,バス路線の維持に努めてきているところであります。地域の生活交通の確保につきましては,市町村の主体的な取り組みが基本と考えておりまして,現に岡山市や高梁市などの路線バスの撤退地域におきまして,交通弱者に配慮した過疎地有償運送や乗り合いタクシーなど,新たな交通手段導入の取り組みが始まっております。県といたしましては,今後,地域に適した,このような交通手段の導入が円滑に進むよう,研修会や講演会の開催,先進事例集の作成などを通じまして,市町村等の取り組みを支援してまいりたいと存じます。



<平成16年2月定例会>(2004年3月5日)

(佐藤)  さて,ここからがちょっと時間とお金のかかる話でございますが,昨年のこの時期,JR西日本が赤字ローカル線である岡山の吉備線及び富山の富山港線をLRT化する検討を始めたとのニュースは,世間をあっと言わせました。具体的なイメージは,吉備線の線路を軌道にかえて,路面電車を走らせて,数百メートル間隔で駅を設けて,1時間に一,二本の列車本数を15分に1本程度にふやそうというものでございます。
 物理的には,実は路面電車はJRと同一軌道幅ですから,JR線を走ってきて,郊外から市内に直接乗り入れすることができます。停車駅もふやせますから利便性が向上しますし,保守・整備などの面では,鉄道に比べても維持費が2分の1と,コストの抑制ができます。JRが鉄道を路面電車化したという前例はございませんけれども,国土交通省は,ローカル線を活性化する試みとして評価できると,前向きに受けとめているようではあります。特に,吉備線はこの秋に100周年を迎えるわけですが,次の100年を考えたときに,ある意味で転換期に来ている,そのように思います。
 ところで,ここで言うLRT(ライト・レール・トランジット)とは,路面電車を中心とする新しい都市交通システムの総称で,LRT化に当たっては,新型車両,特に低床車のバリアフリーに考慮した車両が導入されることが非常に多く,要は,現在岡山市内を走っておる路面電車「MOMO」が,公共交通機関の基幹となって,都市を,郊外を走り回っている,そういったイメージでございます。
 ちなみに,2月17日には,超党派で国会のLRT推進議員連盟が発足して,LRTを今後20年で全国に3,000キロ建設すると9兆円の投資にもなる,そのような試算も示されています。何より,LRTは時代の趨勢として,1978年以降に世界各地で導入され,昨年末で約70都市,今年末には80都市近くで建設されます。
 しかし,言うまでもなく,LRT化の最大の課題は,コストと実現後の経営主体の問題です。これは,確かになかなか頭が痛い問題で,特に電化がまだ実現されていない吉備線では,今言っているのは2段跳びのような話にもなるわけでございますし,JRにしてみれば,ローカル線切り離しという側面もあるかもしれません。軌道法の事業特許の関係では,第三セクターの設立も必要になってくるかもしれません。それでも,自動車交通から,あるいはパーク・アンド・ライドで公共交通機関へ利用のシフトを考えるLRT化の検討化をすべき時期にも来ているとも考えます。
 まずは,こうした自動車交通からLRTを含めた公共交通全般へのシフトについての知事の御所見をお伺いいたします。
 加えて,公共交通機関,とりわけバスについては,いわゆる自由化の中で,今行政サイドでそれを指導するということにはなってはいないと思いますが,先日ある市民団体が,公共交通機関の乗り継ぎ調査を行ったところ,方面別の再編成や,あるいは公共交通機関間での連携等,さまざまな問題があるとのことでございました。私は,道路の整備のみが交通対策ではなく,自動車交通と公共交通機関を絡めた体系的な交通政策を,行政や業界,何より利用者である市民を交えて考える必要があると思いますが,いかがお考えでしょうか。
 また,交通政策には,社会的な費用や便益評価,端的には制度的,法的に,いわば交通環境アセスメントを位置づける必要もあると考えますが,いかがでしょうか。
 ところで,現在,山陽自動車道をあたかも国道180号バイパスのように利用していただくべく,総社インターチェンジから岡山インターチェンジを200円にする社会実験が予想の倍の利用があって,大好評につき延長して行われているわけでございますが,それだけこの180号バイパスの建設の要望が強いということだと私は認識しております。
 ただ,当面は,沿線の宅地化が進めば進むほど,180号の渋滞は必至でございます。願わくば,吉備線の利便性が上がることで,通行する自動車の総量を減らせないか,そういう要請がございます。加えて,180号と交差する外環状や中環状道路の整備とLRT化がある意味密接に関係しています。こうした中,先ほど申し上げた吉備線のLRT化をどのように評価されるのでしょうか,知事にお伺いいたします。
 さらに,LRT化は,県道岡山吉井線が併行するJR津山線にも当てはまる問題だと考えます。例えば,LRTが牧山,さらに金川まで延びれば,結果として53号バイパスに乗る車が減って,53号の渋滞緩和にもつながります。こうしたJR津山線のLRT化については,いかがお考えでしょうか。
 関連して,県道岡山吉井線の渋滞対策についてお伺いいたします。旭川沿いの拡幅工事が進んでも,宿から南,岡山市内中心部に向かう三野や北方界隈については4車線化が進んでいないため,今以上に渋滞が発生するのではないかと危惧します。だからこそ,私は津山線を生かさなくてはいけないと思うのですが,そのためには,玉柏あたりでパーク・アンド・ライドをすることも重要だと思います。県道岡山吉井線の道路整備の方針を含めて,渋滞対策についてどのようにお考えなのか,土木部長にお伺いいたします。

(知事)  次に,交通政策であります。
 公共交通への転換と体系的な交通政策でありますが,モータリゼーションの進展に伴いまして,大気汚染や交通混雑等,さまざまな問題が生じておりまして,輸送効率やエネルギー消費効率等の面ですぐれております公共交通への転換を進めていくことが必要であると存じます。
 このため,県では,公共交通の利用促進を図っていくために,ITの活用によりますバスの定時制の確保や優先レーンの設置など,交通混雑の緩和を目指す交通需要マネージメントを,各界,各層の幅広い御意見をお伺いをしながら推進をしているところでございまして,今後とも,これらの取り組みをより一層進めて,総合的な交通政策の推進に努めてまいりたいと存じます。
 交通環境アセスメントについてのお尋ねをいただきましたが,交通政策の分野におきましても,今後渋滞緩和によります時間短縮や二酸化炭素排出削減などの社会的な費用・便益評価の考え方を取り入れることは意義のあることと,このように考えておりますが,実は,まだその評価方法とか目標数値の設定につきまして,一般的に確立をされていないということでございまして,今後の課題というふうに考えているものでございます。
 今後,国の動向とか欧米諸国の先進事例等を参考にしながら,費用・便益評価のあり方というものを研究してまいりたいと存じます。
 最後に,吉備線,津山線のLRT化についてのお尋ねでございます。LRT化そのものは,人と環境に優しい交通機関でありまして,道路混雑や環境負荷の低減等,都市の交通問題を解決する手段といたしまして,近年,欧米を中心に整備が進んでおります。私も,昨年ダイムラー・クライスラー社を訪問した際,その近くにございますカールスルーエー市を訪問させていただきまして,本県のRACDAの方が御視察をされたその後でございましたが,私も実際に路面電車に乗りまして,その快適性,そしてLRTというものが次の時代,間違いなく成熟社会におきましては広まってくるものと,このような確信を得たものでございます。
 ごらんのとおり我が国でも,富山市におきまして検討が進められるなどの動きがございまして,これからの公共交通のあり方に方向性を与えてくれるものとなっていると,このように私も評価しております。
 しかしながら,お話をいただきました,吉備線・津山線での事業化という具体的な問題につきましては,事業費とか事業主体,既存事業との整合性の問題など,いまだ多くの課題が残っていると認識をしているところでございまして,まずは関係機関と協議をして,これらの課題を解決していくということが必要かなと考えているものでございます。

(土木部長)  県道岡山吉井線の渋滞対策についてでございますが,新大原橋から中原橋までの区間につきましては,これまでに用地買収を終え,現在,全線にわたり工事を進めておりまして,平成17年度末には完成する見込みでございます。
 また,中原橋から岡山市街地までの2車線区間につきましては,中原橋以北の事業の完了に引き続き事業化ができますよう努力してまいりたいと考えております。
 これら区間の道路整備によりまして,渋滞は緩和できるものと考えております。



<平成13年12月定例会>(2001年12月12日)

(佐藤)  あわせて,岡山空港に関して幾つか伺います。
 岡山空港は,1,850台の無料駐車場が売りであることを承知の上で,一部駐車場有料化の提言をさせていただきます。
 毎週東京に出張する経営者,会社員の方は大勢おられますが,ぎりぎりで空港へ入った場合,車がとめにくいということがたびたび起こっているように思います。また,車の保護の問題もあるようです。こういう方々にとっては,駐車場が無料であるということは必ずしも大きなメリットであるとは思えません。そこで,特定の最寄りの区間のみを有料にして,無料のエリアも残すことにしてはいかがでしょうか。例えば,最寄りの500台分を有料にし,例えばですが,1日500円として,これだけでも年間数千万円以上の売り上げとなります。お金と時間のどちらを優先させるか,空港の利用者に選択していただく時代であると思いますが,いかがでしょうか。
 さらに,これは昨日の重複質問になりますが,JALの進出もあり,ビルが手狭になり,またレイアウトも改善すべきではないでしょうか。毎年の利用客の増加に伴い,現在の空港カウンター及び待合室等は余りにも手狭だと思います。
 また,店舗の配置も非常に圧迫感があります。レストラン等も滑走路が見えるところへ移動するなど改装の予定等がございましたら,お知らせください。

(知事)  岡山空港の問題であります。
 一部駐車場を有料化してはとの御質問でございますが,岡山空港は,開港以来駐車場を無料にしていることが最大のセールスポイントであったわけでございまして,大きな旅客数の着実な増加にこのことが結びついてきているわけであります。岡山空港のこういった優位性というものを確保するために,今年度中に空港の入り口付近に駐車状況を電光式で表示をして,車で来られる方にどこの駐車場が今あいているかということをわかりやすく明示をするなど,引き続き利便性の向上策というものを強力に展開をいたしまして,無料駐車場の利便性といったことで,当面,この無料駐車場という形の運用を継続いたしたいと考えております。
 また,しかし御質問にございましたとおり,駐車場が近くは満杯であるといったようなこともよく私もお聞きをいたしておりますので,より利用しやすい駐車場というものを目指さなければならないと思っておりまして,ターミナルビルの前面にあります駐車場の拡充につきましても検討をいたしたいと考えております。
 ビルの改装予定等についてでありますが,新たな航空会社の進出や旅客数の増加など手狭となる要因がふえておりまして,保安検査機器の増設など可能なものにつきましては早急に対応策を検討したいと考えております。
 なお,現ビル内でのレイアウト改善というものには構造的な制約があるため,ビル全体の増改築につきまして基本計画の策定を急いでおります。旅客の利便性と快適性を抜本的に向上をさせていかなければならないと考えております。



<平成13年6月定例会>(2001年6月14日)

(佐藤)  次に,都市交通についてお伺いいたします。
 まず,乗り合いバスについて。平成14年2月に需給調整規制を廃止することが決定されましたが,この規制緩和は,郡部においては撤退が,都市部においては競合による共倒れが懸念されています。県としては,乗客の増加の要請を受けながら,かつ生活路線確保のためにどのように調整されていく方針でしょうか。
 次に,高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律,いわゆる交通バリアフリー法が施行されて半年,各市町村への施策推進の指導は効果的になされているでしょうか。既存施設に対しては,努力義務とされてはいますが,十分に法の趣旨を反映していくべきだと考えますが,今後の取り組みについてお聞かせください。
 また,高度道路交通システム(ITS)のモデル地区に選定され,道路情報,公共交通機関の情報を容易に入手することはできるようになりましたが,肝心の交通事故の低減や渋滞緩和という具体的成果が如実にはあらわれていないように感じます。今後,県として地域ITSを有効に活用するためどのように取り組んでいかれるのか,土木部長にお尋ねします。
 最後に,地域活性化のためには,鉄道駅前を中心にして,鉄道,バス,タクシー,路面電車などの公共交通機関が容易に効果的に乗りかえできるターミナルの仕組みが必要であると思いますが,JR岡山駅前を拠点とする公共交通は,路面電車を初め,バス各社など充実はしているものの,利用者にとっては煩雑でわかりにくく,やや利便性に欠ける面があります。駅前周辺部の活性化のためにも,この拠点機能を向上させ,例えば初めて岡山を訪ねた人にも使いやすい公共交通を目指すべきではないでしょうか。生活環境部長にお伺いします。

(知事)  都市交通についてでございます。
 乗り合いバスにつきましては,今般の規制緩和に伴って,御指摘ございましたような不採算路線からの撤退やあるいは都市部での複数事業者の競合というものが考えられるわけでございますが,こうした事態による混乱を回避をして,その地域の特性に応じた生活交通の確保方策を検討する場といたしまして,岡山県生活交通対策地域協議会を設置しているところであります。この協議会では,各地域ごとに市町村,事業者等関係者とともに住民ニーズに適合した効率的な公共交通のあり方について検討を進めているところであります。
 交通バリアフリー法についてでございますが,この法律では,市町村がバリアフリー化基本構想を策定した場合に助言を行うなど,県の役割が定められているところでございます。一方,県といたしましては,これに限らず,新たに鉄道駅バリアフリー化設備整備費補助金制度というものを創設をするなど,積極的に既存の鉄道駅等のバリアフリー化に取り組んできておりまして,そういった中で,適時適切に事業者,市町村等に対します指導,助言を行ってきているところでございます。

(生活環境部長)  使いやすい公共交通についてでありますが,御指摘のとおり,県都の玄関口であります岡山駅の拠点機能を向上させ,使いやすい公共交通を目指すことは,県としても,中心部の活性化や県内外のターミナル利用者の利便性向上のために重要な課題と認識しております。駅前広場の利用改善に向けての方策につきましては,広場を管理している岡山市やJR西日本などで組織しております岡山駅前広場等利用・改善検討委員会で審議されており,県としては,この結果を見守ってまいりたいと存じます。また,公共交通の利用者の便宜を向上させる路線案内の充実などソフト面の改善につきまして,機会をとらえ事業者に要請をしてまいりたいと存じます。

(土木部長)  地域ITSの有効活用についてでございますが,岡山情報ハイウェイを活用して道路工事による通行規制情報や駐車場の満空状況,公共交通機関の運行状況などの情報提供に取り組んでいるところでございます。引き続き,県といたしましては,関係機関と連携を図りながら,提供する情報の充実を図るとともに,高齢者等に経路情報や障害物情報などをリアルタイムに提供する歩行者ITSに新たに取り組むなど,地域の特性に応じたITSの推進を図っていきたいと考えております。



<平成12年9月定例会>(2000年9月20日)

(佐藤)  次に,自転車と自転車道についてお伺いします。
 デンマークを初め北欧3国では,どこでも自転車が大変目につきました。特に北欧の夏は,ともかく家の中にじっとしているのがもったいないほど快適で,例えば,デンマークは,最高でも海抜600メートルにも満たないほど平坦な国ですから,自転車は最高の交通手段です。また,自転車と歩道,車道は明確に区分されており,町中も極めて走りやすく,しかも自転車も簡単に電車に乗せられるなど,完全に市民権を得ていました。もっとも,コペンハーゲン駅前は,御多分に漏れず放置自転車も多くありました。我が岡山県も,雨の日が少ない晴れの国で,しかも比較的平坦な地形であり,自転車は気軽な交通手段として愛されています。とりわけ岡山市は,日本の北京と言われるぐらい自転車の多い町です。そもそも自転車は,都市部においては,5キロメートル以内なら電車やバス,自動車よりも早く目的地に到着するという交通観測データもあり,健康的経済的かつ地球温暖化,交通渋滞の防止策にもなるとよいことづくめです。
 例えば,フランスの首都パリでは,97年から5年間で,市郊外も含めると長さ1,500キロメートルに及ぶ自転車専用道路網の整備を計画し,市街地では,従来の幹線道に走行帯をつくり,約100キロメートルの自転車道のネットをつくりました。また,昨年5月,建設省も,自動車中心の都市交通の現状を見直し,自動車や歩行者から分離された自転車道路網を全国の主要都市に整備する方向を打ち出しています。しかしながら,世界的に,自転車道の整備がおくれている日本の中でも,我が岡山県は,いわゆるサイクリングロードを含めた自転車道の整備が大変おくれています。今後,例えば商店街の活性化等まちづくりの一環としても,自転車や自転車道の活用が見直されてくると思います。生活道,通勤・通学道として,自転車道の整備はますます重要になってくると思います。
 そこで,土木部長にお伺いいたします。
 今後,自転車の安全性,快適性,走行性の確保のため,幹線路線の歩行者道,自動車道との共存はどのように進められていくのでしょうか。とりわけ,既存の緑道公園や河川堤防の活用などにより,分離型の走行空間を確保することが考えられますが,いかがでしょうか。
 また,歩道の段差解消など,岡山県福祉のまちづくり条例のハード面の整備の中で,自転車はどのように扱われていくのでしょうか。
 さらに,自転車道整備と同時に,交通ルール・マナーの教育などの社会環境整備も極めて重要だと思います。昨今,自転車が,道路交通法上では車になるのだという認識が余りに不足していると思います。少なくとも,2人乗り,雨天の傘差し運転,夜間の無灯火運転は,すべて事故につながる違反行為です。自転車に対する指導取り締まりはどのように取り組んでおられるのでしょうか,警察本部長にお伺いします。あわせて,昨今の中古自転車安売り店の独自の防犯ステッカーの有用性についてもお伺いいたします。
 この項最後に,吉備路自転車道についてお伺いいたします。吉備路自転車道は,豊かな自然に触れ合いながらサイクリングを楽しむだけでなく,吉備文化の歴史探訪をも行う目的で,昭和48年から54年にかけて整備された,岡山市伊島町から総社市中央町まで,岡山市,倉敷市,山手村,総社市の3市1村を結ぶ全長20.6キロメートルの自転車道で,正式名称は,一般県道岡山総社自転車道線です。昭和61年の道の日を記念し,日本の特色あるすぐれた道路を顕彰した日本の道100選にも選ばれており,いにしえの吉備文化をほうふつさせる古墳や文化施設を,田んぼの中をうねりながら結ぶ,なかなか味のある道だと思います。後楽園同様,吉備路自転車道は岡山県が誇るべき資産です。
 そこで,幾つかお尋ねいたします。
 まず,吉備路自転車道について,石井知事の思い入れがございましたらお知らせください。
 実は,吉備路自転車道のスタートいわゆる起点が,岡山県総合グラウンドの通称いずみ町の交番の向かいであるということを,私も36歳になって今回初めて知りました。起点は変えられないにしても,観光客のために,せめてJR岡山駅西口から吉備路自転車道へのはっきりした動線の標示や看板により誘導することはできないでしょうか。とりわけ平成17年秋の国体の主会場付近が起点なのですから,現在のいずみ町交番横に駐輪場や案内所が設けられないでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 また,総合グラウンドから吉備津彦神社までの比較的地味な区間は,自転車道であることすらわかりにくいものがあります。この区間はもとより,全行程を多少カラー舗装するなりではっきりさせることは考えられないでしょうか。また,沿線の公共施設や民間施設を通じ,利用者へパンフレットを配布すること等により,一層の利用促進が図られると考えられますが,いかがでしょうか,あわせて土木部長にお伺いいたします。
 また,史跡をめぐりながらのスタンプラリーなど,観光面でのイベントはできないでしょうか,商工労働部長にお伺いいたします。

(知事)  次に,自転車と自転車道でありますけれども,吉備路自転車道についての思いというお尋ねでございます。
 自転車道の沿線を見ておりますと,国宝の吉備津神社がございますし,また全国4番目の規模でございます造山古墳もございます。また聖武天皇が発願されまして創建された備中国分寺,こういったものなど往時の吉備文化をしのばせる豊かな文化遺産が数多く残されている自転車道であると,このように思います。吉備路自転車道は,そういった意味におきまして,自転車道としての利用のみならず,マラソンのコースとしてもすばらしい,また歴史の探訪とかあるいは語らいの道と,こういったように幅広く利用していただけるということで,県民はもとより多くの県外の方々にとっても岡山のすばらしさを発信できる,そういう岡山らしい自転車道であると私は認識をいたしております。

(商工労働部長)  吉備路自転車道を生かしましたイベントの開催についてでありますが,これまでも,数次の観光キャンペーンなどにおきまして,吉備路自転車道を利用した史跡をめぐる周遊コースの設定とかウオーキング企画を実施してきたところでございます。今後とも,地元市町村等とも連携をしながら,全国に誇り得る歴史的遺産を活用した観光イベントを検討してまいりたいと考えております。

(土木部長)  自転車道の整備についてでございますが,自転車は,都市部における手軽な交通手段として利用されておりますが,その安全性,快適性,走行性を確保するためには,自転車専用道等の整備が望ましいものと考えております。
 しかし,新たな自転車専用道等の整備のためには課題も多く,現実的な対応としては既存の道路空間での共存が必要であります。その共存方法としましては,まちづくりや都市部における交通手段のあり方を議論する中で,個々の道路の利用形態等を考慮しながら,関係機関や利用者の皆様方と協議しながら進めていく必要があると考えております。
 次に,既存の緑道公園や河川堤防を活用しての自転車道整備についてでございますが,緑道公園等は土地利用が進んでいる都市部において貴重な公共空間であります。今後,車道や自転車道,歩行者道との共存方法を検討する中で,公園管理者や河川管理者と協議を行い,地域の実情,状況に応じたその活用方策について検討していきたいと考えております。
 次に,福祉のまちづくり条例における自転車の位置づけでございますが,条例は,高齢者や障害者等も含め,だれもが安心して暮らせるまちづくりを進めようとする目的で制定されたもので,特に自転車を取り上げた整備基準等はございません。
 なお,福祉のまちづくり条例の中で,幅広歩道の整備や既設歩道の段差等の解消を図ることとしており,結果として,自転車のスムーズな走行に資するものと考えております。
 次に,起点の周知等についてでございますが,御指摘のとおり,岡山西口より伊島町の自転車道起点までは自転車道の案内は不十分な状況にあることから,まず岡山駅西口に設置されております総合観光案内板に自転車道の表示を追加するよう岡山市に要請するとともに,駅から起点までの道路につきましては,標識の設置について検討していきたいと考えております。
 また,起点付近への駐輪場や案内所の設置につきましては,市街地中心部でもあることから,用地の確保等の問題があり,今後の課題とさせていただきたいと思います。
 次に,自転車道のカラー舗装化についてでございますが,一部には,既に施行してる区間もありますが,歴史ある吉備路において全線にわたりカラー舗装を行うことは,周辺の景観と調和しない場所も考えられることから,必要な箇所については周辺の状況等を踏まえ,地元市町村と協議の上,可能な区間については個々に検討していきたいと考えております。
 また,公共施設や民間を活用した自転車道のPRにつきましては,御提案のとおり,沿線市町村や民間の御協力を得ながら,パンフレットを配布するなど,一層積極的なPRに取り組んでいきたいと考えております。

(警察本部長)  まず,自転車に対する取り締まり等についてでございますが,御指摘のとおり,自転車の2人乗りや傘差し運転等につきましては交通上の危険性が高く,これらの違反行為に対して警察が指導取り締まりを行いました状況については,昨年中がおよそ3,000件,本年8月末では約2,000件でございます。
 また,自転車利用マナーの向上を図るために,児童,学生等を対象とした自転車の安全な乗り方教室でありますとか,高齢者や女性などに対する交通安全講習会等も県下各地域できめ細かく開催しているところでございます。
 今後とも,こうした各種の安全指導や街頭での指導取り締まりを継続してまいりたいと考えているところでございます。
 次に,中古自転車安売り店の独自の防犯ステッカーの有用性についてというお尋ねでございますが,自転車防犯ステッカーにつきましては,いわゆる自転車法で,「自転車利用者は,その利用する自転車に防犯登録を受けなければならない」旨の規定がございます。これを受けて,国家公安委員会規則で防犯登録を行う者を指定することとなっておりまして,本県では,岡山県自転車・原付防犯登録会にこの登録業務を実施していただいているところでございます。
 御指摘のありました,いわゆる安売り店等で行っている独自の防犯ステッカーにつきましては,自転車が盗難などに遭った場合の照会に相当の時間を要しますことから,警察業務に支障を来しているのが実情であります。また,正規の法律に基づく手続にのっとったものでないことから,今後とも,関係業者に対し,自転車法に基づく防犯登録を行うよう指導してまいりたいと考えているところでございます。



<平成12年2月定例会>(2000年3月8日)

(佐藤)  岡山市中心市街地活性化について幾つか質問させていただきます。
 6月議会で質問させていただきました,中心市街地活性化の一環としての岡山市内の路面電車の延伸化環状化について,去る2月28日岡山市の街づくり交通計画調査検討委員会は,JR岡山駅前から岡山大学病院前までの1.6キロについて,路面電車を延伸する第1期整備路線案をまとめました。渋滞対策,採算面に課題が残り,かぎは市民の合意であると言われています。県としては,どのように対応されていくお考えでしょうか,知事にお尋ねいたします。
 また同様に,中心市街地の活性化の一方策として,6月議会で質問させていただきました歩行者専用のショッピングモールを公共交通機関が走るというトランジットモールの実験が,昨秋県庁通りで行われました。地域住民の評価は分かれたようですが,今後,トランジットモールについて,県としてはどう取り組んでいくのでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 終わりに,先日,岡山市が発表したいわゆる操車場跡地の利用案について,県としてはどのように評価しているのでしょうか。周辺の道路整備,施設整備等も含めて積極的にかかわっていかれるのでしょうか,知事にお伺いいたします。

(知事)  岡山市中心市街地活性化対策でございます。路面電車の延伸化等についてでございますけれども,岡山市におかれましては,まちづくり交通計画調査検討委員会の提言を受けられまして,今後,市民合意などこういった諸課題に取り組んでいかれるものとお聞きをしております。県といたしましては,その状況を見守りながら,引き続きできる限りの協力をしてまいりたいと存じます。
 操車場跡地の利用案についてでございますが,先般,岡山市において,新たな操車場跡地整備構想というものを発表され,引き続きこの構想に基づいて来年度で整備基本計画の策定に取り組まれる予定であると,このようにお聞きをしております。県といたしましても,この構想が岡山市の発展に寄与する計画となりますように期待をしているところでございます。この構想が進んでいく中にありまして,周辺の道路整備等について必要がございました場合は,県のかかわり方について岡山市の方ともこれから十分協議をしてまいりたいと考えているところでございます。

(土木部長)  トランジットモールについてでございますが,この手法は,欧米において都心部の活性化の方策として成功事例が多いと聞いております。昨年秋の県庁通りでの実験においては,トランジットモールとは何かを市民の方々にPRするとともに,導入の可能性を探るなどの試みがなされたものと理解しております。県としましても,このような実験を通して,まちづくりへの効果や市民の方々の理解を得られるよう引き続き協力してまいりたいと考えております。



<平成11年9月定例会>(1999年9月28日)

(佐藤)  道路交通についてお伺いいたします。
 第1に,そもそも渋滞はなぜ起こるのかについて真剣に考えましたところ,結局,右折と赤信号が重なったとき起きやすいという答えに達しました。右に曲がるということは,言うまでもなく対向車線を横切るわけですから,一応向こうに赤信号でとまってもらわないと,これはぶつかります。ところが,左折は結局合流するということですから,左右確認を怠らなければ普通は当たりません。要するに,わざわざ信号で右折と左折を平等に扱うことはありません。特に交差点では,できるだけ左折車をスムーズに流すことで,少しでも滞留する車を減らすことを考えるのが得策であると思います。もちろん,現在,左折可標識や信号が赤でも下の矢印で左折が可能な信号といったものを多く見かけるわけでありますが,これらの増設はもちろんのこと,いっそのこと都市部においては,2車線以上の道路は信号にかかわらず常時左折可にすることは可能でしょうか。実際にアメリカにおいては,州にもよりますが,交差点で赤信号でも右折可のところがあります。もちろん歩行者の安全を確保するためには,ウインカーを出さないマナー違反の傾向のある岡山のドライバーに対して,停止線で必ず一時停止することを徹底することで安全を確保する必要があると思います。非常に安い渋滞緩和策だと思いますが,警察本部長はいかがお考えでしょうか。
 第2に,歩道の点字ブロックについて。
 現行で黄色い点字ブロックが多いのは,視覚に障害がある方の中には,黄色については識別できる方がおられるからだそうであります。ところが,このごろどういうわけか,わざわざほかのところと同じ色にしている点字ブロックを多く見かけます。これはどういうお考えによるものでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 第3に,このごろ岡山市内中心部の会社経営者の方々から大変よく耳にするのは,どこか岡山の治安が悪くなったのではないかという声であります。夜ともなればどこからともなく集まった周回族がたむろし,真夜中に相変わらず暴走族が駆け回っています。今や,例えば夜の桃太郎大通りや表町商店街は女性の一人歩きが恐ろしいと感じられる通りになっています。こういった大迷惑行為に対して,市民県民の皆さんの多くが非常に不快あるいは不安に思っておられます。警察当局にはあくまで毅然たる対応をしていただきたいと切に願うところでありますが,実態,現在の取り組み状況,また今後の方針について,警察本部長にお伺いいたします。
 また,この問題と関連しますが,ここ数年,土日の夜ともなりますと,表町商店街の中に車を乗り入れ,朝まで違法駐車をする自動車を何台も見かけます。また,その周辺に若者が明け方までたむろしています。夜間に商店街を通行する方にとって恐怖の対象となっており,地元商店街の方々も大変迷惑をされておられます。桃太郎大通りにおける検問がそれなりの効果を上げている御努力には敬意を払いますが,別の筋や裏通りにはどのような目配りがなされているのでしょうか,あわせて警察本部長にお伺いいたします。
 第4に,現在9月30日までの工期をさらに5カ月延長して,国道2号大雲寺−新京橋間の共同溝工事が行われています。国の直轄事業として車線数を減らさないよう努力はされていますが,かなり複雑な形状で規制されているため徐行を余儀なくされ,時には対向車線に紛れ込む車両まで出てしまう状況になっています。そして,こうして起こる国道2号線の渋滞を避けるがために,並行する県道岡山牛窓線の京橋方向に車が流れ込み,朝の通勤ラッシュ時には,東山方向から市内中心部に向けての右折車がやむなく京橋交番手前から路面電車の軌道内に入り込むという光景が毎朝見受けられます。以前から,東山峠を越えるとひどい交通渋滞が発生していることは岡山県民ならだれでも知っているところでありますが,共同溝工事による現在の渋滞を早く解消するために,共同溝工事の早期完成を図ってもらうことはもちろんですが,大雲寺から新京橋間の慢性的な渋滞緩和を図るためには,さらに,例えば京橋の拡幅とか桜橋下流に計画されている都市計画道路下中野平井線の旭川橋梁の早期事業化が望まれるところでありますが,現状と今後の見通しについて知事にお伺いいたします。

(知事)  道路交通の問題のうち,大雲寺−新京橋間の渋滞緩和策等についてでございます。
 共同溝工事についてでございますが,この工事につきましては,文化財の調査とか,あるいは既設の占用物件の移設などによりまして工期が延びたと,このように承知をしているところでございまして,建設省に対しまして一日も早い工事の完了というものを現在お願いをしているところであります。
 お尋ねの京橋の拡幅についての問題でございますが,これにつきましては,その旭川の河川計画との整合性をとる問題,それから中島地区ございますけれども,この土地利用を今後どのように考えていくのかという問題,それから橋を上に上げるとなりますと,現在走っております路面電車も上に上がっていくわけですが,その勾配の問題,線形上の制約があるわけでございまして,解決すべき点も非常に多いというところでございまして,今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
 次に,下中野平井線の旭川橋梁についての問題でございますが,これは岡山市が事業を担当していただくことになっておりまして,現在,橋梁部を含めた十日市から平井間につきまして,市が橋梁取りつけ部とか,あるいは交差点の構造検討を行っておられまして,県といたしましても,早期に事業化ができますように市に対しまして協力をしてまいりたいと考えております。

(土木部長)  歩道の点字ブロックについてでございますが,点字ブロックの色彩や設置方法等につきましては,視覚障害者誘導用ブロック設置指針に定められておりまして,この指針の中では,色彩は黄色が原則となっております。しかし,観光地や市街地中心部など特に景観に配慮する必要がある箇所については,町並みとの調和などを総合的に判断し,黄色以外の色で実施している箇所もございます。これらの箇所で弱視の方が特に識別しにくい箇所については,視覚障害者の方々の意見を聞きながら,必要な箇所については改善をしているところでございます。今後とも,視覚障害者の方々が安全で快適に通行できる道路づくりに努めていきたいと考えてございます。

(警察本部長)  信号交差点における常時左折についてでございます。
 現在岡山県内では,岡山市柳川交差点など32交差点の52方向におきまして常時左折を行っております。御案内のとおり,常時左折は交通渋滞緩和対策の一環として実施しているものでございますけれども,どの交差点でも実施できるというものではございません。その要件といたしましては,交差道路側に流入車線が確保されておりますことや,道路を横断する歩行者,自転車の安全が確保されることなどが必要でございます。したがいまして,これらの要件を満たさない信号交差点で実施いたしますと,交差道路の車両や横断歩行者等との衝突事故を招くおそれがありますので,2車線道路の信号交差点すべてに常時左折を実施することは困難であるというふうに考えております。
 次に,桃太郎大通り等における暴走族等の実態,現在の取り組み状況及び今後の方針についてでございます。
 岡山駅前から城下交差点に至る間の桃太郎大通りにおきましては,主として週末の深夜にマフラー等を改造した自動二輪車など10台くらいによる爆音走行が行われております。また,岡山駅前周辺におきましては,異性との交際を目的として若者が自動車等によりその周辺を周回するという周回族や暴走行為を見学し,あるいはこれをあおっている「ギャラリー」と称する若者100人くらいがたむろしているのが実態でございます。
 このような暴走族等に対する取り組み状況でございますけれども,暴走族対策は県警察の重点施策の一つでございまして,毎週末を中心に多数の警察官等を街頭に出しまして,特別取り締まりを実施しているところでございます。特に岡山駅前周辺等につきましては,「岡山駅前クリーン作戦」と名づけまして,岡山西警察署を中心に隣接警察署及び交通機動隊等による約100人体制で暴走族等に対する取り締まりやたむろする少年の補導等を実施しているところでございます。
 8月末現在の取り締まり状況でございますけれども,共同危険行為等の禁止違反で9人,無免許運転で11人,通行禁止違反で34人,整備不良車両の運転の禁止違反で25人,その他駐車違反等で499人,合計578人を検挙しておりますほか,たむろしている少年326人を補導しているところでございます。
 また,岡山駅前周辺等の周回族対策といたしまして,従来の通行禁止区間をさらに延長する措置を講じまして,取り締まりを強化しているところでございます。今後も,クリーン作戦や週末を中心とした特別取り締まりを継続して実施いたしますほか,学校,職場,地域の方々や関係機関・団体の皆様方と連携しながら,暴走族追放機運を一層盛り上げてまいりますとともに,状況によりましては機動隊の大量投入をも含めまして,取り締まり体制を一段と強化し,暴走族等の封じ込めを図ってまいりたいと考えております。
 最後に,表町商店街における違法駐車の取り締まり及び裏通り対策についてでございます。
 表町商店街及びその付近一帯での違法駐車取り締まり状況でございますが,本年8月末現在105人を検挙いたしているほか,19台の車両をレッカー移動しているところでございます。今後も,表町商店街及び裏通りにおける違法駐車につきましては,指導取り締まりを強化いたしますとともに,現在実施しております田町等の歓楽街における違法駐車取り締まりにあわせまして,その取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
 さらに,表町商店街等に朝方までたむろしている若者に対しましては,地域安全推進委員やボランティア団体と連携した警ら警戒活動やパトカー,制服警察官によるきめ細かなパトロールを実施いたしまして,地域住民の不安感の解消に努めてまいりたいと考えているところでございます。

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