2002年5月30日(木) 【岡山市環状道路】

 本日は、広域交通・物流対策特別委員会で、広域交通網に関する報告がありました。ざっと以下の項目です。


 JR在来線の近代化 : 吉備線電化・複線化、伯備線高速化。
                     (いずれも、多難。)
 中四国横断新幹線計画 : 松江ー岡山ー高知。(現在は、新幹線実現までの
                段階的な整備として、事実上フリーゲージト
                レインの導入を検討していますが、これ自体
                費用対効果の面で、かなり微妙。)
 中国横断自動車道 : 岡山米子線の4車線化、姫路ー西粟倉村ー鳥取線の整備
 地域高規格道路 : 美作岡山道路、倉敷福山道路、空港津山道路



 このうち、地域高規格道路として、気になるのは、岡山市の環状道路。今回は、中、外環状道路について、委員会外で伺ったので、簡単に報告させて頂きます。


 おそらく、内・中・外環状道路について、そのコースを明確に頭に入れ、整備時期を含めて、示すのは、業界的にも、実は難しいものがあります。試みにお近くの市選出の市議・県議にお尋ね下さい。
 割と簡単に使う言葉ですが、一般の方は、そもそも、岡山市を三重に環状道路が囲む構想すら、ご存知ないかもしれません。


 業界ですら混乱する理由は、要するに、環状道路の整備が、市・県・国とバラバラで繋がっていくためです。

 ただ、道路整備には、法則があって、既存の国道のバイパスなら国土交通省が、県道のバイパスなら県が、さもなくば、市の所管です。
 要するに、併行して走る古い道路が問題なのですが、国道の基点は、どんどんずれたり、バイパス開通に伴い、国道が県道格下げになったり、実は、単純ではありません。



 ともあれ、たとえ、都市計画されていても、市道整備の場合は、非常に見通しが暗いものがあります。現行のままなら。

 例えば、岡南大橋を渡り、阿部池を越え、外環状の一部をなす、浦安の体育館から30号線までの道は、あるいは、国整備の可能性もある30号線から古新田までの外環状よりも、確実に遅れるはずです。通常なら数十年かかります。

 さらに、外環状で、楢津から津高を横断、中原橋と大原橋の間に新しい橋を作り、藤原まで抜ける道は、都市計画はされているものの、はたして将来的に通ることがあるのかすら微妙かもしれません。

 なにより、中環状のうち、旭川大橋と桜橋の間に、もう1本橋が架かる計画もあるのですが、市では、測量調査費すら認められなかったので、ここから東へ伸びる県道西大寺牛窓線の県のバイパス道路も、動きが鈍っています。



 動き出せば、早いのは、国の区間で、国道2号と国道180号を結ぶ古新田から北へ旧2号まで抜ける外環状は、平成17年までに。そこから、さらに北に新幹線をくぐり、西署横を抜け矢坂大橋には、平成20年には抜けます。
 もっとも、矢坂大橋は、現デオデオ前付近で、五差路で平面交差になるため、やはり難所です。

 問題は、そこから北。180号バイパスの一部であり、総社・一宮バイパスとなる部分は、ちょっと時間がかかりそうです。

 180号バイパスということでは、総社インター付近の4車線道路のように、一宮界隈もなるべきであるというのは、衆目の一致するところだと思います。旧規格の180号は、道幅も歩道も極端に狭く、自転車の高校生には死ねというのに等しく、後輩達の姿を見るにつけ、胸が痛みます。

 行政が作った期成会があるにはあるのですが、やはり、ここは地域住民が、署名活動等を含めて、国に対して、強く働き掛けをしていかないといけないところです。

 また、今の吉備SA付近に新ICをつくり、この外環状道路とつなげるという案があります。市整備の北の東西横断の外環状が不可能であるならば、山陽自動車道を外環状として使うという案であり、首肯できるものです。



 さて、県道がらみでは、超難関がふたつ。

 ひとつは、中環状の一部をなす、野田地下トンネルを抜け、三門小学校横を北上し、180号に抜ける道です。

 いうまでもなく、JR吉備線との交差が問題になります。JR大元駅高架は、交差道路の多さ、通過自動車量から計算して、国の補助事業になりましたが、JR三門駅は、基本的には、高架にするとしても、国の補助はありません。
 高架となると、JR、市、県と誰がどう負担するのか、非常に難しい問題になります。

 それでは、吉備線をそのままに、上を越えるか、下をくぐるか、交差の仕方が問題ですが、いずれにしても、当初の平成17年までにというのは厳しい状況かもしれません。
 ここを抜けても、180号を4車線に拡幅しての三門の峠越えも容易ではなく、180号は、なかなか渋滞を避けられそうにありません。


 さらに、旭川沿いの山陽町に抜ける吉井線の拡幅工事が進んでいますが、問題は、三野公園から先をどう抜けるかです。都市計画では、三野公園下をトンネルで抜け、法界院に向かい4車線に拡幅ということですが、北方、三野界隈の拡幅の話は、5年や10年で具体化する話ではないようです。

 都市計画がかかっているため、建築制限があるのですが、本来ならもっとロードサイドビジネスもできる場所とも言えます。

 スクールゾーンのある土手沿いの道を抜けるか、あるいは、竹田升田線の開通で、流れが変わるかどうか。岡山のベットタウンのような山陽町から岡山市内に入るのは、やはり非常に難しいと言わざるをえません。



 こうして、つらつら書いてきましたが、実は、岡山市が政令指定都市になれば、市内から県道が無くなります。岡山市内は、国道と市道だけで、計画から管理まで、かなりすっきりしたものになります。

 これは、実は非常に大きなことで、行政の職員の異動も当然ありうるでしょうし、道路行政を一挙に転換するものになりうる大改革の道を開くと言えると思います。

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