過去の岡山県議会一般質問集 <政令指定都市>篇

<平成21年11月定例会>(2009年12月8日)

(佐藤)  次に,市町村合併について伺います。
 前政権のもと,6月に,政府の地方制度調査会は,平成の大合併を来年3月で一区切りする答申を出しました。合併特例債という名の強引な誘導策,逆に地方交付税削減で危機意識をあおるあめとむちで合併を余儀なくされた地域の衰退を招いた,そんな思いや地方分権の受け皿づくりという大義名分があったにもかかわらず,市町村の自立支援策が結局広域連携の推進にとどまったということで,市町村合併には確かに光と陰の部分があると思います。特に,人口の多い市に吸収合併された町村の住民の方々には,身近な役場がよそよそしい市役所になって公共投資が何やら中心部に集中して地域が衰退するんじゃないかという不満が強く,まさに中山間地域支援や過疎地域対策とかかわりますけれども,改めて人口減少が進む中,小規模で財政基盤の弱い小さな町や村の自立をいかに支えていくか,そしてそうした地方の多様な担い手をいかに育てていくかは,極めて大きな課題だと思います。特に,新政権も目標的な数字を削除はされていますけれども,過去の議論からは基本的には大合併を念頭に置かれているものと思われます。岡山県では,平成13年3月の岡山県市町村合併推進要綱における市町村の組み合わせをもとに,6年をかけて78市町村から27市町村となったわけですが,合併支援プランもつくり,主導的な役割を果たした県として,再び合併議論が起こるかどうか,これは別にしまして,まずは合併の功罪について一度総括が必要なのではないでしょうか,御見解をお知らせください。
 ところで,市町村合併が進んだからこそ,改めて県の果たすべき役割として,広域調整機能と補完機能が重要になります。先般,県が2007年に策定した新ごみ処理広域化計画の枠組みが崩れたわけでございますが,これはさまざまな事情を抱えての苦渋の判断であられたと思います。各自治体の財政状況と負担のバランスの検討が必要な中,そのほかの広域計画についても影響が避けられないんじゃないかと言われておりますけれども,今後も県はこうした場合,助言するだけなのでしょうか。まさにその調整力が問われています。特に,県境を越えて病院の広域利用などを目指す定住自立圏も生まれておりますから,近県との調整も必要になってまいります。住民の視点に立って適切な役割分担のもと,新たな視点で対等協力の関係を築きながら,住民に最も身近な基礎自治体としての市町村の自立力の向上を図る。その一方で,改めて助言以上に県の果たすべき広域調整機能と補完機能の意義についてお伺いいたします。
 次に,要望,提言についてお伺いいたします。
 公共事業費の大幅削減の方針を受け,国土交通省が来年度整備を凍結する候補に挙げた全国217区間の説明があったとのことでございますが,岡山県では,これは私はいずれも理解しかねますけれども,国道2号玉島笠岡道路のU期分,笠岡バイパス,180号総社一宮バイパス,岡山市絡みでも53号北バイパスに,いわゆる外環状道路の一部となる180号岡山環状南道路が含まれております。直轄事業負担金を見直していただくのはありがたいですが,直轄事業そのものがなくなるということを県民は望んでおりません。私は,そもそもこういう本来凍結すべきでない事業が凍結されても,地元要望をいわゆる新ルールに沿って上げていくと,復活できるんでしょうか。それで,復活するなら,本当にこれはすばらしい仕組みだなあというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 加えて,大規模な県営事業の多くが国の補助金が入る仕組みになっております。特に,農業かんがい排水事業や高潮対策など,地域においては生活の安全・安心,命にかかわるものも多いわけですが,新政権になってストップするのではないかと,地元から不安の声が非常に多く上がっております。あくまで県の事業とはいえ,政府の意思がどこまで働いてくるかわかりませんが,こうした地域の課題を今後どう国に伝えていくのか,お知らせください。反対ではございますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,市町村合併の総括についてでありますが,このたびの市町村合併により,行財政基盤が強化され,専門職員の配置や行政サービスの充実が図られる一方で,お話のように,合併が中心部以外の地域の衰退を招いているとの指摘や,三位一体の改革による地方交付税の大幅削減によって,計画どおりの財政運営ができないとの不満も聞かれるところであります。合併した市や町においては,現在,新しいまちづくりに懸命に取り組んでいる過程にありまして,引き続きそれぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを推進することで,今後合併の成果が着実にあらわれてくるものと考えておりまして,県といたしましても,できる限りの助言や支援に努めてまいりたいと存じます。
 県の広域調整機能等でありますが,地方自治法にも基礎自治体優先の原則として規定されているとおり,まずは住民に最も身近な市町村が地域における事務を幅広く包括的に担うべきものであると考えております。しかしながら,本来市町村が担うべき事務でありましても,単独では処理することが適当でないと認められるような行政課題につきましては,隣接市町村との水平的な補完による対応も必要でありまして,その自主性自立性は尊重しつつも,適切な助言や市町村相互間の連絡,連携,合意形成に向けた調整等を通じまして,市町村を支援していくことが県の果たすべき役割であると考えております。
 国直轄事業でありますが,先般,国からは,県及び岡山市に対し,お話の道路事業について,来年度調査設計費のみを計上するとの説明がありましたが,議員御指摘のような,凍結されるとは聞いておりません。これらの事業は,いずれも本県にとって重要な事業であることから,かねてより国への重点提案等において,事業促進を働きかけてきたところでありまして,今後とも沿線市町とも連携しつつ,さまざまな機会を通じ,幅広く国に働きかけてまいりたいと存じます。
 県営事業でありますが,例えば,お話のかんがい排水事業は,農産物の生産に不可欠な農業用水の有効利用を図るために,また,高潮対策は台風等に伴う高潮等から背後地を防護するために実施するものでありまして,このような補助事業が大幅に削減されるということは,農業生産や安全・安心など,県民生活に多大な影響を及ぼすものと懸念されるところであります。これまでも,安全・安心で活力ある地域づくりの基礎となる社会資本整備につきましては,その推進が図られるよう,国に提案してきたところでありますが,こうした地域にかかわる施策の企画立案や変更につきましては,地方と十分意見交換を行っていただきたいと考えておりまして,今後ともあらゆる機会を通じ,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。



<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  さて,まずは,その岡山市の政令指定都市移行について伺います。
 そもそも政令指定都市は,もともとが大阪,横浜,名古屋といった大都市をイメージした制度で,住民税や法人税が上がる割には,公共交通も含めたインフラ整備は,民間の開発も含めて,かなり進んでいるため,財政的にはむしろ豊かだろうなという印象がございます。一方,近年の政令指定都市は,大規模な市町村合併で中山間地域や農村部を持ち,県と同格ではありますが,同時に行政課題自体も県の縮小版とも言えるほど,大都市の問題に特化しておりません。そういった意味では,中山間地域を多く抱え,極めて広大な岡山市が,きめ細かい行政サービスを行うための今後の財源については,正直なところ,一抹の不安を覚えております。政令指定都市移行後にも,当面さまざまな課題があふれ出てくるかもしれません。そういうときに,やはり県との連携が必要な場面も出てくるでしょう。常に県が行っていた県道のアダプト事業に関して,岡山市ではすべてが引き継がれるというわけではなく,今まで汗をかいてくださった関係団体からも批判の声が上がっているという話も漏れ聞いております。常にその財政力に応じて,補助金を抑制される傾向がございましたけれども,政令指定都市移行後の岡山市への財政面や人的な面での支援の考え方について,お知らせください。
 また,一方で,もともと政令指定都市を持つ都道府県で,最も人口が少ない我が岡山県が,単純に岡山市の70万人の人口が抜けるとすれば,ある意味,小規模の県になる。したがって,例えば行革というよりも,その人口規模から県職員が3,600人になるんだという考え方もあるかもしれません。岡山市の政令指定都市移行に伴い,岡山県の行政規模を縮小していくべきだという考えは正しいのでしょうか。さらに問題は,かかる人口規模の本県において,少子・高齢化の時代にかかわらず,人口がふえている岡山市が,表現は極めて不適切ですが,ひとり勝ちする施策に走れば,他の26市町村にはむしろ悪影響が出ることもあり得るという理解も必要ではないかと思います。もちろん,中国地方で,広島への一極集中をさせないという意味では,岡山市の政令指定都市化は極めて重要でございますが,県内の一極集中が起こり,中山間地や農村部が疲弊すれば,実は中心市街地もへたってくる。広い市の内部ですら,一極集中の危険もあって,メガシティを目指すのか,コンパクトシティを目指すのか,岡山市は大飛躍のチャンスではございますが,一方では大ピンチと裏腹である,そういう認識を私は持っております。
 岡山県と助け合いながら,ほかの26市町村を引っ張っていくぞという気概を岡山市には求めたいものですが,岡山市の政令指定都市移行に伴い,一極集中が起きて,他の市町村に与える影響が危惧されるのですが,県全体のバランスを保ち,広域行政を推進する県として果たすべき役割についての御認識をお知らせください。
 ところで,岡山県の個人・法人県民税や法人事業税の4割は,岡山市民や岡山市内にある企業が負担しています。実際は,地方交付税が岡山市に行って,国から県にその分おりてこないわけですから,トータルで言えば県がもらい得でも何でもないのですが,県税の収入の3割は景気変動の影響を受けやすい法人事業税と法人県民税の法人二税でございますから,岡山市において,この法人二税をいかに上げていただくかは,県財政にとっても重要な課題であります。中小企業支援などの産業振興について,県が果たすべき役割をお知らせください。
 また,先日,総務省は,来年度からスタートする近隣の市町村が連携して生活基盤を維持する,定住自立圏構想について,中核的な役割を担う中心市候補となる地方都市一覧を発表いたしました。医療や福祉,教育インフラなどを一体的に整備,維持し,人口の流出を防ぐことを目的に,人口4万人を超えて,昼間人口が夜間人口を上回っていることを条件に,岡山県では,岡山市,倉敷市,津山市,備前市が候補になっております。ところで,お隣の藤田広島県知事は,垂直補完と水平補完という言葉を使われております。基礎自治体に権限や財源を移譲する中で,県が果たすべき役割として,補完性の原則がございますが,基礎自治体同士でも補完すればよいというのが水平補完という考え方であります。実際,消防や廃棄物の処理では,広域で行われているわけですが,自立性を第一義に,県からの垂直補完ではなくて,周辺の基礎自治体からの水平補完をするという考え方は,あえて合併されなかった町村にとっては,むしろ好ましい話ではないかもしれませんが,こうした定住自立圏や水平補完という考え方について,どのように御認識でしょうか。
 ところで,会期中に岡山市の政令指定都市移行もあり,その岡山市と岡山県の最大の協働事業である全国都市緑化おかやまフェアは,これからの県,市の関係を占う意味もある,極めて重要な催しでございます。役割分担からいえば,少なくとも岡山県内外から広域的に来場を呼び込むには,岡山県サイドが頑張らないといけません。期間中に御協力いただける多くのボランティアの方々も集われますが,一方で,今のところ,西大寺のメーン会場とサブ会場の岡山城,後楽園や協賛会場の西川緑道公園,半田山植物園との情報の共有や交通アクセスも含めた連絡が明確ではありません。肝心の都市緑化についても,全県的な展開がなければ,県が絡んで開催する意味がなく,改めて岡山市と協働して全国都市緑化おかやまフェアを開催する意義と決意についてお知らせください。
 ところで,岡山市の政令指定都市移行は,中四国州の州都を目指す大前提であるという言い方があります。岡山県においては,78市町村が27市町村になった市町村合併の中で,広域合併を進めても,県や国の有効な支援がない現実から,道州制についても否定的な見解が基礎自治体レベルではかなりあって,とりわけ町村会は,真正面から道州制の推進には反対の立場をとっております。
 私は,知事のおっしゃられる中四国州や,巷間言われている州都岡山バラ色論が,かえって道州制の議論の本質をあいまいにしているのではないかと感じるときがあります。私が考える道州制は,言葉は極めて不適切だとは思いますが,内戦に近いものがございます。中央集権国家体制に対して,もちろん武装するわけではございませんが,地方から反乱を起こすという,あくまで戦いであります。我が国の何がおかしいのかを一言で言えば,国税と地方税の割合が6対4であるにもかかわらず,実際の事業は,国と地方で4対6である。要は,一たん国に税金を召し上げられて,地方に再配分される間に,異様な無駄が,人間,権限,財源においてあるということであります。これを正す,ある意味,霞ヶ関や永田町から,人間,権限,財源を取り戻す,その手法が道州制であります。バラ色の未来というよりも,このままだと,日本や地方が本当にぶっ壊れるぞという,やむにやまれぬ状況の中での究極の選択であるというふうに私は思っております。もちろん,夢としては描くけれども,中四国州は一つの結果であって,目的は道州制ではないか。中四国州になろうが,中国州になろうが,岡山市が州都になろうがなるまいが,道州制に進まなくては,日本や地方がだめになるという話でございます。だからこそ,国の行財政改革の一環ではなく,地方から喚起する道州制の議論に迫力があるのだと思います。
 今,地方政府の樹立という言葉も生まれています。仮に,本当に残念な過程ではありますけれども,中四国州という枠組みでなくても,仮に岡山県に州都が来なくても,それでも道州制は推進すべきとお考えか,道州制の議論の本質は何かを含めてお伺いいたします。
 加えて,地方分権改革推進委員会が,昨年12月の第2次勧告では,地方整備局や地方農政局など4省の6機関を,企画部門を担当する地方振興局(仮称)と直轄公共事業を実施する地方工務局(仮称)に統廃合し,労働局を廃止して,地方厚生局に統合するなど,地方への業務移管,出先機関の改革案,出先機関の職員のうち,3万5,000人を段階的に削減するという案を示しました。これは地方分権というよりも,むしろ国の行革の一環のようにも受け取れますけれども,道州制議論において,こうした国の統合する出先機関が,いずれ州政府で県とも一体化していくものと認識されているのかどうか,お知らせください。
 それ以上に,この勧告で大切なのは,地方の自由度が大幅に高まる,地方に対する国の義務づけ,枠づけの廃止を実現することですが,いかように御認識でしょうか,あわせてお伺いいたします。
 国との問題で関連して,国道整備や河川改修事業など,国が実施する公共事業費の一定割合を都道府県など,地方自治体が負担する直轄事業負担金が今問題になっております。事前によく相談がなされていない場合があり,負担金の精算や明細が透明でなく,全国知事会も,地方分権の趣旨に反すると,その廃止を要求しております。一方で,政府の事業に反対すると,国の補助事業でしっぺ返しを食うんじゃないか,そうした怖さから,例えば国の管理河川や道路は,都道府県よりもかなりグレードが高くて,維持管理のレベルも高い場合も多いんですけれども,あえて渋々負担金を支払っている,そうした現状があるかもしれません。
 岡山県においては,合理的な制度として,その直轄事業負担金の負担の割合が適当とお考えでしょうか。さらに,こうした一方的な負担を県が市町村に課していないか,その御認識をお伺いいたします。
 また,国からの一方的な請求とも言える中央省庁の官僚の天下り先となることも多い公益法人への負担金の総額は幾らになるのか,その認識を含めてお知らせください。
 一方で,この問題の本質は,公共事業の考え方そのものであると思います。景気後退で地方財政が疲弊しても,福祉や教育など歳出需要は大きい中で,公共事業の主導権がいまだ依然として国にあるということです。しかし,戦略性を欠いた公共事業の波及効果が限られるということは,我々も経験済みであり,国の公共事業は国際競争力の強化につながる拠点空港の建設や,便益が全国に広がる基幹的な交通網の整備などに集中して,そのほかはむしろ地方に任せるべきではないかという考えもございます。例えば,今後の追加経済対策でも,公共事業を有効活用するためにも,国との役割分担をはっきりさせることは極めて重要だと思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  まず,岡山市の政令市移行についてであります。
 今後の支援でありますが,岡山市が円滑に政令市に移行できるよう,財政面の支援といたしましては,昨年度,双方で合意いたしました上で締結した基本協定において,一定の費用について,激変緩和措置として必要な助成をすることとしておりまして,来年度当初予算におきまして,必要額を計上しております。
 また,人的支援は,来年度から2年間,土木関係で26人,保健福祉関係で13人の県職員を派遣することとしておりまして,移譲事務が岡山市において円滑に実施できるよう支援してまいりたいと存じます。
 県の行政規模についてでありますが,岡山市の政令市移行に伴い,土木・福祉関係等の事務が移譲されまして,職員定数で約80人の減少となる見込みでありまして,予算規模も一定程度,縮小するところでありますが,県の行政規模は大幅には変わらないものと考えております。いずれにいたしましても,県としては,行革大綱2008に基づき,スリムな体制を目指す中で,県民サービスに配慮しながら,選択と集中をより一層加速させ,最小の経費で最大の効果が上がるよう,施策を推進してまいりたいと存じます。
 一極集中の懸念でありますが,岡山市の政令市移行を契機といたしまして,本県のイメージや知名度の向上,ビジネスチャンスの拡大等が期待されるところでありまして,県といたしましては,岡山市と連携しながら,こうしたプラス効果を県下全域に波及させていくということが重要と考えております。
 また,政令市移行後も,県が広域的,総合調整的な役割を担うということには変わりはないことから,今後ともそれぞれの地域が資源や特性を生かして,個性と魅力ある地域づくりを主体的に進められるよう,各地域の実情も十分配慮しながら,県全体の発展に向けて,各種施策を展開してまいりたいと存じます。
 産業振興でありますが,岡山市は県下の民間事業所の3分の1以上が集中する県経済の中心でありまして,岡山市域における産業振興は,県全体の産業振興においても大きなウエートを占めているということから,政令市移行により,県の事務が市に一部移譲されますものの,引き続き県も大きな役割を担うこととなる,このように認識をしております。
 今後とも,産業支援機関や岡山市と連携を図りながら,岡山大学など市内にある大学の多様な技術シーズを生かした新産業の創出や,中小企業みずからの創意工夫による経営革新の取り組みを支援することなどにより,県内産業の振興に努めてまいりたいと存じます。
 定住自立圏構想等でありますが,地方分権改革の進展に伴い,規模や能力の異なる市町村が,地域における総合行政を担うためには,隣接市町村との水平的な補完による対応も必要であると考えております。このたびお話の定住自立圏構想が制度化され,備前市を中心市とし,兵庫県赤穂市,上郡町の2市1町が先行実施団体として,圏域形成に向け取り組んでいるところでありますが,地域の諸課題に応じまして,自主的な連携を行うことは重要であると考えておりまして,今後とも市町村の主体的な取り組みに対し,適切な助言等を行ってまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアでありますが,都市緑化の取り組みを全県的に広めますとともに,岡山の魅力を全国に向けて情報発信するため,庭園都市を目指す岡山市と共同開催することとし,岡山市以外のすべての市町村においても,大型プランター等の出展を行うほか,19の市町村が伝統芸能の紹介や特産品の販売を行うこととしております。さらに,県内各地で40を超える花や緑に関する協賛事業を展開することとしておりまして,こうした県民の方々との協働の取り組みによりまして,フェアをぜひとも成功させ,未来を担う子供たちに緑や命の大切さを伝えますとともに,環境に優しい暮らしや,緑豊かなまちづくりを全県的に広げてまいりたいと存じます。
 次に,道州制についてであります。
 まず,議論の本質等でありますが,道州制は国と地方の役割分担を見直し,新しい国の形をつくるという地方分権改革の究極の姿と言えるものでありまして,東京一極集中のもとで,地方に蔓延しております閉塞感を打破し,個性豊かで活力に満ちた地域を創造し,我が国全体の発展を図っていくためには,その導入がぜひとも必要であると考えているところであります。
 道州制の区割りにつきましては,政府の道州制ビジョン懇談会の専門委員会において,その基準や基本方針について検討されておりまして,その議論を注視しているところでありますが,私といたしましては,道州は,自主的自立的な施策を実施できるだけの十分な自立力と将来の発展可能性を備えることが必要であると考えておりますことから,かねてより中四国州を提唱しているところであります。
 一方,州都につきましては,この問題が先行いたしますと,道州制そのものの議論が進まなくなる懸念があることから,まずは道州制と中四国州がともに実現するということを目指しまして,県民の理解の促進に努めますとともに,各界各層での議論の高まりや,機運の醸成を図ってまいりたいと存じます。
 国の出先機関等でありますが,道州制のもとでは,国の役割は外交,防衛など,国家の存立にかかわる事務に限定し,内政に関する事務は広く地方が担うべきでありまして,統合される国の出先機関につきましては,道州制の導入に当たり,当然これは廃止され,その事務等は道州が担うべきものであると考えております。
 また,義務づけ,枠づけの廃止につきましては,お話のように,地方自治体が住民や地域のニーズに応じた,きめ細やかな施策を推進する上で必要不可欠なものであると考えておりまして,第3次勧告において,さらに踏み込んだ具体的な勧告が行われますように期待いたしております。
 道州制の導入につなげるためにも,まずは義務づけ,枠づけの廃止を初め,地方税財源の充実強化など,第2期地方分権改革の着実な推進が必要でありまして,引き続き,地方六団体とも連携しながら,国等に対し,強く働きかけてまいりたいと存じます。
 次に,国直轄事業負担金等についてであります。
 まず,割合等についてでありますが,国直轄事業負担金は,自治体に対して個別に財政負担を課する,極めて不合理なものであることから,早急な見直しを求めますとともに,特に維持管理費は,本来,管理主体が負担すべきものであることから,即刻廃止を求めているところであります。本県のみならず,地方自治体の財政状況は極めて厳しい状況にありまして,これまで以上に強く求めていく必要があるものと考えております。
 一方,市町村負担金は,地方財政法上,大規模かつ広域的な事業については対象外とされているということ,県管理道路の維持管理費は徴収していないことなど,異なっているところであります。また,事業予定箇所の選定に当たりましては,市町村からの要望を踏まえるなど,市町村との意思疎通を図っているところであります。今後,関係する市町村に対しまして,一方的な負担と誤解されないように,丁寧に説明をしてまいりたいと存じます。
 国の公益法人への負担金でありますが,来年度当初予算における国の公益法人に対する負担金額は,約6億円程度でありまして,その主なものといたしましては,過去に整備した林道事業にかかわる森林総合研究所への負担金約2億1,000万円や,日本スポーツ振興センターに対する児童生徒にかかわる災害共済掛金約7,000万円,住民基本台帳事務にかかわる地方自治情報センターへの約5,000万円などでありまして,基本的には受益の程度などに応じまして,他県と同様に負担いたしているものであります。
 国との役割分担でありますが,地方にできることは地方が担うとの原則のもと,国と地方の役割分担を抜本的に見直しをし,国から地方への事務権限の大幅な移譲を進めていくことが必要であると考えております。公共事業につきましても,国が行う事業は,全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業に限定し,それ以外のものは国庫補助負担金の廃止・縮小を含め,財源と一体的に地方へ移譲することで,地方がそれぞれの地域の,あるいは住民のニーズを踏まえまして,みずからの判断に基づいて事業を選択し,決定することができる仕組みを構築すべきものと考えているところであります。現在,第2期地方分権改革は山場を迎えておりまして,地方による主体的,総合的な施策展開が可能となるよう,引き続き,あらゆる機会をとらえ,国等に対しまして強く働きかけるなど,積極的に対応してまいる所存であります



<平成20年12月定例会>(2008年12月9日)

(佐藤)  まずもって,石井知事の4選再選をお祝い申し上げます。
 さて,知事が所属される全国知事会の総務常任委員会では,昨年,条例により知事の在任期間の制限を求める声が上がりましたが,現在全国で5期目の知事はおられず,4期目の知事も石井知事を含めて7人しかおられません。このうち,来年,再来年で選挙を迎えられる知事も多く,いわばベテラン知事として,石井知事におかれましては願わくば長野知事以来の全国知事会長をねらっていただきたい。全国レベルでのさらなる活躍が期待されます。特に,昨今,政局がらみの国会の議論で時として地方財政が振り回されている,あたかも地方の生殺与奪の権限が国にあるようで,正直なところ,私は日々いら立っております。地方分権改革推進委員会の議論もどこまで地方に対して本気なのかわかりません。道州制特別委員会の委員長としても,ぜひとも知事には闘う知事会のトップに立っていただきたいと思います。真の地方分権の実現が叫ばれる時代にあって,全国知事会の役割,さらにその中での石井知事の役割,そして知事会長への思いをお知らせください。

 次に,岡山市の政令指定都市への移行や道州制に伴う県の役割についてお伺いいたします。
 岡山市が来春政令指定都市になって,今後岡山県の各種施設の中心的機能,いわゆるセンター機能をどこに置くべきかという議論が出てくると思いますが,特に指定管理者制度導入の中で,コストばかりを重視して,本来なぜその箱物が必要であるのか,そうした理念にさかのぼって考えられるべき施設のセンター機能に対して,県行政がいささか軽視されているのではないか,私はそのように感じております。
 例えば,岡山県国際交流センターは,確かに民間施設よりも利用料が安いということで,一般企業の研修等で頻繁に部屋の貸し出しを行われておりますけれども,本来の国際交流や国際貢献のセンター機能の観点からすれば,どれだけ地域やNGOと一体となって県内在住の外国人や留学生の方々に参加してもらって,例えば地球市民フェスタのようなイベントが行われるか,あるいは市町村のそういった活動のための研修会が開催されたかを問題にすべきであると思います。今後,岡山市が頑張れば頑張るほど,岡山市のそれが単独施策になってしまって,県内のほかの市町村や県行政と乖離してしまわないように,岡山市内にある県の施設の見直しに当たっては,まず岡山市と岡山県が一体になって県のセンター機能を考え直す必要があるのではないでしょうか。
 また,関連して,権限や財源を移譲すれば終わりというわけではなくて,政令市移行後も県と市の首長同士が緊密に連携をとりながら,いわばホットラインを保ちながら,さまざまな分野で密に連絡調整を行うことや連携することが必要だと思いますが,御所見をお聞かせください。
 また,道州制で中四国州の議論を今後展開していくというのは私は理解できるんですが,例えば50万都市の姫路市から岡山県への連絡というのを感じることが極めて難しくなっております。新幹線で25分の岡山と姫路の間にJRは多分今後も新快速を走らせてくれないんじゃないかなというふうに思うんですが,知事が中四国州をうたわれるばかりに,行政レベルでは県境でやはり関西圏と岡山は切れてしまって,限界を何かつくっているのが現実ではないでしょうか。
 ちなみに,ドクターヘリ導入の議論が兵庫県でもあるようですが,これは京都などと共同運航しようということでございますが,あるいはこうしたもの広域観光を含めて,岡山と兵庫の間に道州の境を置いて考えるのは現実的ではないと思います。多様な連携というのは考えられてしかるべきですが,このままでは関西広域連合と中四国州あるいは中国州のはざまで岡山が埋没するおそれがあるんじゃないか。その中で,兵庫県を含めた関西圏と岡山県の連携など,中四国州以外の枠組みでの連携をいかように考えておられるのでしょうか。知事にお伺いいたします。

(知事)  まず,全国知事会の役割等についてのお尋ねをいただきましたが,全国知事会は,全47都道府県が一致団結をいたしまして地方の発展とそして地方分権の実現に向けまして行動をしております団体でありまして,いわゆる地方六団体のまとめ役といたしましても重要な役割を担っておりまして,今般の地方分権の第二期改革に際しましても,権限移譲とか,あるいは国の出先機関の見直し等に関しまして国に対し具体的に提言を行うなど,活発な活動を行ってきております。私自身も,この中で総務常任委員会と道州制特別委員会の,この両方の委員長といたしまして地方税財源の充実強化あるいは道州制問題など,地方にかかわる重大な課題につきまして,微力ではありますけれども,先頭に立ちまして尽力をしてきているところであります。ただいま全国知事会会長とのお話をいただきました。光栄に思うところではありますけれども,私といたしましては,知事会内で今私に与えられております職責を全ういたしますとともに,地方分権改革の推進など,現下の諸課題の解決に向けまして引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えているところであります。

 次に,県の役割についてであります。
 まず,県施設のセンター機能でありますが,県の施設は,その目的,規模,機能,利便性,コストなど,さまざまな要因を総合的に勘案した上で,より効率的,効果的に施策を実施して,県全体で中心的な機能が果たせるように設置をしているところであります。
 岡山市の政令指定都市移行後におきまして,岡山市内にあります県施設を見直す場合におきましては,その施設の果たす機能につきまして改めて検証をいたしますとともに,岡山市の施策の動向も十分勘案をいたしまして,市の意見もお聞きをしながら進めてまいりたいと存じます。
 岡山市との連携でありますが,来年4月の政令市移行を契機といたしまして,市において県都にふさわしい都市機能の充実に向けた積極的な取り組みが行われることによりまして,県のイメージや知名度の向上,さらにはビジネスチャンスの拡大等も期待されるところであります。
 岡山市が政令市に移行いたしましても,都道府県と市町村という二層制の地方自治体の構造の中で県が広域的,総合調整的な役割を担うということに変わりはないところでありまして,県といたしましては,こうした効果を最大限生かしまして,県全体の発展につなげていくため,今後とも,岡山市と緊密な連携を図りながら諸施策に取り組んでまいりたいと考えております。
 関西圏との連携でありますが,本県と関西圏は従来から人的交流や経済,産業など,多くの分野で深い結びつきがありまして,これまでも広域観光等に連携して取り組みますとともに,現在策定が進められております近畿圏広域地方計画の協議会にも加わりまして,連携強化を推進しております。特に,隣県の兵庫県との間におきましては,災害時の相互応援協定の締結を初め,県境を接する県民局同士の連絡会議の開催とか,あるいは交通基盤の整備促進,漁場整備の調査など,幅広く連携を図ってきているところであります。県境を越えた広域的課題や共通の課題に適切に対応をしていくため,中四国はもとより,それ以外でも,特に兵庫県を初め,関西圏との連携につきましては引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。



<平成18年9月定例会>(2006年9月21日)

(佐藤)  まず最初に,岡山市の政令市移行に関連して,幾つかお尋ねをいたします。
 知事は,提案説明に当たり,「県都である岡山市の政令市を目指した合併は,地方分権が進展していく中で意義あることと受けとめており,今後とも合併に向けた諸準備が円滑に進めれるよう,引き続き助言や支援を行ってまいります。」とされました。これは従来にない非常に踏み込んだ内容であって,岡山市選出の議員の一人として,まずは歓迎したいと思います。
 岡山市の政令指定都市移行についての議論がにわかに進み出したのは,平成13年8月の国の市町村合併支援プランにより政令指定都市の指定要件が緩和されてから数カ月後,平成14年2月のことでありました。地理的一体性,歴史的経緯,産業経済圏域などの市町村の結びつきに関する客観的なデータを活用して岡山県が示した合併パターンにおいてもそうであったように,県庁所在地の中核市岡山市については,市町村合併云々の議論は直接的には関係がないのではないかという漠然とした印象が持たれておりました。しかし,文字どおりの急展開で,そこから今日までの4年半,思い返せば私自身も泣きたいぐらいに本当にいろんなことがございましたけれども,結論からいえば,岡山県南政令市構想に基づく岡山市,建部町,瀬戸町の合併を控えた今日,この岡山市の政令指定都市移行は絶対になし遂げなくてはいけません。
 御案内のとおり,岡山県議会においては,平成14年12月に,22人の超党派の関係議員有志でつくられた岡山市及び周辺市町合併問題議員研究会が報告書を知事に提出させていただきました。私は,個人的には終始一貫,岡山市の政令指定都市移行には反対ではないという立場をとっておりましたけれども,報告書の結びは,「今回の当研究会の限られた調査研究をもって市町村合併,政令指定都市問題の是非を論じられるものではないが,当研究会としては,県南政令市構想について,関係市町が本年7月以降の短期間の検討によって結論を導き出すことはいささか時期尚早と考えざるを得ない」,というものでございました。当時,県議会がこうして時期尚早と言うこと自体が,時期尚早であるということで多くの批判をちょうだいいたしました。
 しかし,紆余曲折はございましたが,建部町,瀬戸町との合併で人口は69万6,172人,もはや私は機は熟したと考えます。まずは,現行地方自治制度上最も自立した都市とされる政令指定都市移行を目指す過去,現在の一連の動きについて,さらに9月13日の岡山市議会で高谷市長が,平成21年に政令指定都市移行を目指すことを明言されたことへの知事の率直な御感想をお知らせください。
 また,意義あることとされますが,どんな意義とお考えなのか,あわせてお伺いいたします。特に県南の政令指定都市岡山市,中核市倉敷市で県の人口の約6割を占めることが県にどういう意味があるものなのか。さらに,中四国市を目指す中で,岡山市の政令指定都市移行がいかなる意味があるとお考えなのかもお伺いいたします。
 さらに,私はよく,岡山市が政令指定都市になったらどんなメリット,デメリットがありますかという質問をちょうだいしますが,平成14年2月定例会での私の質問に対して知事は,岡山市が政令指定都市になりますと,国道,県道の新・改築等の管理権限,あるいは都市計画決定の権限,さらには児童相談所の設置等の事務処理権限が大幅に県から移譲されることになりまして,県民に身近な行政主体での行政サービスの提供等が可能になると答えてられますが,岡山県サイドからの岡山市の政令指定都市移行に伴うメリット,適切な言葉でないですけどデメリットについて,いかようにお考えがお知らせください。
 ところで私は,最近特に,政令指定都市を目指す岡山市に,国道,県道の新・改築等の管理権限が移譲されることを早くも前提にして,県の道路行政が進んでいるのではないかという危惧の念を持っております。例えば,数年後,この県道の新設,管理はどうせ岡山市に移譲されるのだから,ここはひとつ将来の岡山市にゆだねて,今は難しい調整や事業の着手を県がすることもないのではないかという発想,あるいはそういったムードが生まれるとしたら,あるいはそういううわさが飛ぶこと自体,県民市民にとってゆゆしき事態であります。知事は,合併に向けた諸準備が円滑に進められるよう引き続き助言や支援を行うとされましたが,それはいわゆる机上の書類上,手続上の業務の話だけではなく,例えば道路事業は県が少しでも先に進めて,円滑に事業が継承される形で行われるべきものです。岡山市に関連する道路事業に関する知事の御認識をお聞かせください。
 関連して,いわゆる市町村合併に伴い県の事業が移譲されるならば,移譲される業務にあわせて,自治体を超えて人材の異動も行われるべきだと思います。特に岡山市が政令指定都市に移行するということになれば,県から移譲された事業に合わせて新たに岡山市の方が職員をふやすということは,行財政改革の流れに反することではないかと思います。具体的に今そういった要請があるということは,私自身も承知いたしておりませんけれども,市町村合併及び権限移譲の中で,県から市町村への人的支援の実績と今後の方針についてお知らせください。
 いずれにせよ,知事が助言や支援を行ってまいりますとおっしゃられるからには,個別ではなく総合的に考える,特に国に対しては岡山市と共同して働きかけを行う,そうした体制やシステムが必要なように思います。岡山市の政令指定都市移行を推進するために,具体的な窓口や機関,組織等を設置すべきと考えますが,いかがでしょうか。
 関連して,昨今の国の医療制度改革の流れを見るにつけても,都道府県単位の保険料率の導入,僻地・小児科,産科での医師確保対策,医療情報の提供など,むしろ従来以上に県の役割が重要になる面もありますが,こういった医療制度などが,道州制の導入と政令指定都市移行によってどのように影響を受けるのかについてもお知らせください。
 ところで,岡山市の政令指定都市移行に伴う最大のメリットは,やはり町の風格が上がるということだと思います。前回の議会で申し上げた,例えばJR吉備線のLRT化などは,非常に象徴的な町の風格になり得るものだと思います。加えて,やはりスポーツ文化の象徴としてプロスポーツチームは,政令指定都市にはやはりあってしかるべきものだと思います。
 先日,8月20日に岡山県営球場で,岡山商工会議所青年部さんの主管で招致された四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズ対高知ファイティングドッグスは,2,200人もの観客が集まり,岡山にもこうしたチームが欲しいという声が上がりましたし,この9月24日日曜日には,前回の議会で申し上げたように,本当にこれは駐車場のことが気になるんですけれども,桃太郎スタジアムで湯郷ベルと,そして「晴れの国おかやまからJリーグを」を合い言葉に現在中国リーグの首位を爆走しているファジアーノ岡山FCのダブルヘッダーが行われて,恐らくかなりのサポーターが集まってくださると思います。中四国州を目指す中でも交通の結節点をうたいながら,しかも地方分権時代の地域間競争の象徴としてクラブチームを育てていこう,そういった流れの中で,例えばJリーグのチームすらつくることができないというのは,岡山に文化的土壌がないと言われても私は仕方がないと思います。
 ところで,こうしたトップチームの悩みはどこも同じで,資金と練習場,試合場の確保であります。特に全国のあちこちで30チームがJリーグを目指しているサッカーでは,行政が税金の中から資金援助をするのが難しいにしても,お金を取らないような支援,例えばJ2に昇格した愛媛FCのメーンスタジアムである愛媛県総合運動公園は,試合日のスポンサーの広告看板の設置代を取っていないように,さまざまな形での県独自の支援は考えられると思います。そうしたトップスポーツチーム支援の行政の姿勢が,企業や市民,県民の皆さんを盛り上げていく起爆剤になると思いますが,知事の御所見をお聞かせください。

(知事)  岡山市の政令指定都市移行についての幾つかの御質問であります。
 一連の動き等に対する感想でありますが,岡山市は政令市移行を視野に入れまして,17年3月に御津町,灘崎町と合併をし,さらに来年1月22日を期日として,建部町,瀬戸町との合併の諸準備を進めているところでありまして,関係の皆様方のこれまでの取り組みに対しまして敬意をあらわしますとともに,合併後の新しいまちづくりに対し,大いに期待をしているところであります。
 また,21年に政令市移行を目指すということにつきましては,市において,将来の都市像や今後の取り組み等につきまして,市議会も含め,議論を重ねていただきたいと考えておりまして,県といたしまては,こうした市の取り組みに対し,引き続き助言や情報提供等に努めてまいりたいと存じます。
 合併の意義でありますが,岡山市,建部町,瀬戸町の合併は,行財政の効率化や広域的なまちづくり等を通じまして住民福祉の向上が図られるということになり,さらに政令市に移行することになれば,国道,県道の管理権限の移譲による道路網の一体的な整備や,児童相談所の設置等による質の高い行政サービスの提供が可能となりまして,都市機能の向上にもつながるということから意義あるものと,このようにお答えをしているところであります。
 人口の意味でありますけれども,岡山市や倉敷市は,多くの人口と,それに応じた一定の行財政規模や機能を持ち,自立的な運営を進められておられまして,地方分権の観点から望ましいことと,このように認識をしておりますが,私といたしましては,大都市であるかどうかにかかわらず県内すべての市町村が,それぞれの地域の特性等を生かしたまちづくりを進めていくということが重要であると考えております。
 今後とも市町村の規模や実態等に応じまして適切な助言,支援を行いますとともに,県民一人一人が快適に生き生きと生活することができる地域社会の実現に努めてまいりたいと存じます。
 中四国州を目指す中での意味でありますが,県都である岡山市の政令市を目指した取り組みは,今後道州制の議論を展開し,中四国州の実現に向けて本県がその中心的な役割を担ってく上で意義あることと受けとめております。
 県のメリット,デメリットについでありますが,政令市に移行した場合には,県内での一層の集中が起こり,周辺市町村との格差が広がるのではないかとの指摘もありますが,一方,移行によって県から市へ多くの事務・権限が移ることによって,主体的,総合的なまちづくりが一層可能となり,岡山市においても県都にふさわしい都市形成が進むものと期待をしているところであります。
 道路事業でありますが,おかやま夢づくり道路プランに基づき,岡山市内における渋滞対策のための環状道路や交流拠点へのアクセス強化を図るための道路,都市の骨格を形成するための道路などにつきまして,現在,鋭意整備に取り組んでおります。さらに,今年度から新たな事業に着手をするなど,必要な道路の整備を重点的,計画的に岡山市内において進めておりまして,御指摘のような危惧は当たらないものと考えております。
 県から市町村への人的支援でありますが,これまで市町村からの要請に応じまして,市町村合併に伴い18人,事務・権限の移譲に伴い5人の職員を派遣しております。このほかにも,県・市町村間の相互理解と連携強化を図るために,毎年度,人事交流を行っております。今後とも市町村から職員派遣等の具体的な要請がありますれば,県及び市町村の業務が円滑に遂行されますように,適切に対応してまいりたいと思います。
 窓口等の設置でありますが,他県における先行事例を見ておりますと,県と市の間における情報交換や連絡調整を初め,移譲事務の取り扱いの協議等を行うための県市連絡会議,及び県庁内において検討,調整を行うための支援本部等の設置が行われているところでありまして,今後岡山市の政令市に向けた取り組みの状況等を踏まえた上で,これらにつきましても検討をすることになろうと考えております。
 医療制度等への影響でありますが,今般の医療制度改革には都道府県という地理的区域を単位といたしました保険料率の導入のほか,県医療対策協議会を通じました地域や診療科による医師不足問題への対応や,県による医療情報公表制度の創設などが盛り込まれております。今回の改革は,将来の道州制を考慮したものとはなっておらず,また政令指定都市移行がこうした改革の実施過程において特に影響を与えるものとはなっていないところであります。
 トップスポーツクラブの支援についてでありますが,クラブチームが安定的に運営を続けていくためには,資金や練習場,試合場の確保が必要でありまして,県民や企業,関係団体等の多くの方々の幅広い支援体制が不可欠であります。県内には,岡山シーガルズや岡山湯郷ベルなど,トップチームが地域に密着して活動しておりまして,こうしたチームの活躍は,本県のスポーツ振興のみならず地域の活性化にもつながるものとなっております。
 今後ともトップチームの支援体制構築への協力など,支援のあり方や方法につきまして検討してまいりたいと存じます。



<平成15年9月定例会>(2003年9月16日)

(佐藤)  さて,私は,県議会議員というものは全県的な視野から政策提言すべきであるし,特に,複数選挙区である岡山市のことについて,ことさら取り上げるべきではないのではないかとは思うものの,事が我が子のこととなれば,父ちゃんは黙っておられないわけでございます。おかげさまで,私の子供も2歳10カ月になりました。近ごろは,私が出かけるときには「また来てね」,帰ってきたら「いらっしゃいませ」と,しっかり言葉も覚えました。
 ところで,御案内のことと存じますが,いわば乳幼児医療費がただとなる乳幼児医療費公費負担制度の給付方式については,現物給付にしていただき大分楽になりましたが,岡山市においては対象年齢は3歳未満,我が子がこの制度の恩恵を受けるのもあと2カ月でございます。同じ中核市の倉敷市が,この10月から4歳未満から5歳未満に引き上げになりますが,中学卒業までとする7町村には遠く及ばず,岡山市は78市町村の最低ということで,同じ子育て世代の「おやこクラブ」のお母さん方から,何をやっとんのかとしかられているのでございます。子育て支援を言いながら,一番たくさん子供がいて,ひょっとすると一番親が税金を払っているかもしれない,そんな地域で,何でこうなるんと,これは素朴な疑問だと思います。そもそもが,岡山県の行う乳幼児医療費公費負担補助制度について,岡山市は平成8年の中核市移行以来,他市町村に比べて厳しい補助率となっています。これは,中核市倉敷市に対しても同じ傾向がありますが,全国35中核市を比較してみた場合,岡山県の補助率は最も低い水準となっています。調べてみますと,中核市,政令指定都市といった町の規模によって県が補助するのかどうか,さらにそれで幾ら補助するのかというのは,どうも必ずしも論理的な関係はないようであります。それは,対象年齢についても同様だと思います。逆に言えば,もちろん国の補助を前提にした話ではありますが,知事や基礎的自治体の首長の福祉政策の考え方に左右されるものだと思います。つまり,知事次第ということもあるのではないかというふうに私は思うのですが,はっきりしているのは,県同様財政難に苦しむ岡山市にしてみれば,子育て世代支援策としてせめて補助率を従前の2分の1に戻していただければ,対象年齢引き上げが少しでも容易になるという事実です。岡山市民の子育て世代と,そして子供たちを代表して,乳幼児医療費公費負担補助制度の補助率削減の理由を伺うとともに,補助率引き上げについての知事の御所見をお伺いいたします。
 また,学童地域支援事業については,放課後児童クラブの児童数や開設日数が国制度の基準を満たしていない場合,単県の上乗せ事業として運営費や障害児の受け入れ加算時の補助が実施されている事業です。しかし,岡山県の実施要綱では,これは要綱ですけれども実施主体は中核市を除くとされ,岡山市,倉敷市への運用はできない扱いになっています。改正の検討はできないのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,下水道事業の見直しの中で,合併処理浄化槽が大幅にふえてくると思われますが,合併処理浄化槽の補助金についても同様の問題があります。今後の方向をお知らせください。生活環境部長にお伺いいたします。
 関連して,産業廃棄物処理税に関しては,中核市にこれが交付されることを歓迎する声はありますが,思い起こせば国体の主会場の問題でも,岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例の改正について,これをめぐって岡山市議会では大変な議論もありましたし,最近では城下の駐車場でも議論がありましたが,岡山市に限らず対市町村に対して,原則的に県の事業は県のお金でやり,例外として,地元市町村に利益が生じる場合に生じるであろうというのが地元負担だと思うのですが,そもそもその基本理念がどういったものなのか,どういったときにどういった割合で地元負担が生じるのか,お知らせください。
 特に,たびたび指摘され,また提言もなされていますが,昭和32年公布の岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例そのものについて,特に岡山市に対して,また他市町村についても,他県に比べて負担率が非常に高率となっていますが,その理由,また適債事業に係る後年度の交付税措置が考慮されておらず,最終的に税制負担が不均衡になっている事業について,その根拠と今後の方向についてお知らせください。
 また,私は,今後市町村に対してあくまで対等な立場で十分な情報提供と意見交換の場が必要であると考えますが,今後の指針についてお知らせください。
 私がこうした一連の質問の中で申し上げたいこと,その思いでありますが,地方分権一括法施行後は,県と国の関係同様,市町村と県もまた対等協力関係にあるはずではないか,そういった思いであります。財政が逼迫しているのは,各市町村も同じことでありまして,真の地方分権,真の地方主権確立のためには,市町村という基礎的自治体が財政的にも自立していくことが重要であり,市町村の自立のために県は国と闘っていくんだ,あるいは県も市町村の自立を促していくんだ,そういう姿勢が今後ますます重要になってくると思います。
 そこに,大切なのは応分の負担の問題であります。逆に,そういった姿勢があらずして,県が国から自立できるわけはありませんし,もっと言えば,知事がおっしゃられる,県を解消して道州制にしていくという方向にはなり得ないと思います。そういった思いで質問をさせていただいております。
 岡山市との関係の最後に,岡山市,岡山県の連名で,申し出に基づき,内閣官房都市再生本部が,この7月18日に第3次の都市再生緊急整備地域を指定,政令公布し,岡山駅東・表町地域の47ヘクタールが指定されました。岡山市中心市街地のまちづくりにおいては,制度上の前提ができ,これからじわじわ効いてくる非常に重い意味があるものだと私は思います。県,市の連名で提出された意図,またこの地域は御案内のとおり,ザ・ハヤシバラシティ構想あるいは旧出石小学校跡地と現中央南小学校地等を念頭に置いたもので,さらに円滑な交通アクセスを確保するため,バスターミナルの整備を検討するとありますが,考えておられる県都岡山市の中心市街地の具体的なイメージをお知らせください。

(知事)  次に,乳幼児医療費公費負担補助制度についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては,市町村との役割分担の観点から,財政力の強い市につきまして補助率を見直すべきとの行財政改革懇談会の答申を受けまして,平成9年に策定をいたしました行財政改革大綱におきまして,岡山市の補助率を6分の1としたものであります。なお,財政力の弱い町村につきましては,6分の5あるいは6分の4という高い補助率も適用をしておる,これが岡山県の特徴でございます。
 現物給付化に伴います激変緩和措置も講じておりまして,岡山市,倉敷市に対しましては,平成16年度まで補助率を5分の1に引き上げているというところでございます。御質問にもございましたけれども,政令都市に対しまして一切もう補助をしてないという県もありましたり,あるいは中核市につきまして原則の補助率より若干数値を変えているもの等,他県におきましてもさまざまな補助率の適用状況は異なっているようでございますが,岡山県におきましてはそのような経過で現在の補助率としているものでございます。なお,第3次の行革大綱をこれから策定しようという厳しい状況下にあるところでございまして,何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 県建設事業費市町村負担金徴収条例の基本理念でありますが,これは県が行う建設事業によって特定の市町村に受益がもたらされる場合,受益市町村とその他の市町村との間の不均衡を是正をするために,その受益の範囲内において地元負担を求める,こういう考え方でございます。
 負担率等でありますけれども,本県の場合,総事業費から国庫支出金を控除した額に負担率を乗じて負担金を算出をしておるということでございまして,総事業費に対する市町村の負担率は他県と比べて高くなっているのではないかとの御指摘がございましたけども,そのようになっているとは考えておりません。例えば,広島県と比較をして都市計画国庫補助事業で見ましてもほとんど同じ数値と相なっております。岡山県が特に高いということではないと私は考えております。
 なおまた,交付税措置の違いによります財政負担の不均衡についてのお尋ねもございましたが,県と市町村との実質的な負担が同額となりますように,負担特例措置を講じているということでございます。県の起債に対して措置される交付税の額の,例えば半分だとしますと,その半分に相当する額を市町村の負担額から減額をすると,こういったようなことで,とにかく県と市町村が交付税が出る場合には,それも勘案して均衡するように特例措置を講じていると,こういうことでございまして,御理解を賜りたいと思います。今後とも,市町村の理解を得て事業を進めてまいりたいと,このように考えております。
 都市再生緊急整備地域でありますが,岡山市中心市街地の再生は,県,市双方にとって重要な課題であるということ,また国の意向もございまして,連名で申し出を行ったものであります。今回指定されました岡山駅東地区でございますが,駅前という立地特性を生かしました新規拠点の形成あるいは小学校跡地の活用等によります複合市街地の形成を,また表町地区におきましては,既存の商業集積等を活用しながら,多様な機能を持つ都市拠点の形成,これを目指しているものでございます。

(生活環境部長)  岡山市との関係の中で,合併処理浄化槽への補助についてでございますけれども,県におきましては,その普及を積極的に推進するということのために,昭和63年度から合併処理浄化槽への補助を行う市町村に対しまして,国の定めた基準額の範囲内で,市町村が補助した額の3分の1を補助してきたところでございます。しかしながら,厳しい県財政のもとで,市町村との役割分担の観点から見直しを行っておりまして,財政力の強い岡山市等につきましては,平成9年度から従来の補助額に調整数0.7を乗じた額を補助してきているところでございます。
 こういう状況でございますので,県の財政状況が引き続き厳しい中にありましては,これを復元することはなかなか難しいことだと考えております。どうぞ御理解を賜りたいと存じます。

(保健福祉部長)  岡山市との関係におきます学童地域支援事業についてでございますが,この事業は,県の事業として国補助制度を取り入れて行っております,放課後児童健全育成事業を補完するものでございます。岡山市,倉敷市の放課後児童健全育成事業は,中核市みずからの権限をもって行っておりまして,もともと県の補助が入っておりませんで,県の事業とは別のものでございます。そういった趣旨から,単県制度の学童地域支援事業におきましては,中核市を補助対象から外しているものでございまして,御理解賜りますようお願い申し上げます。



<平成14年2月定例会>(2002年3月5日)

(佐藤)  まずは,若干重複になりますが,市町村合併につきまして,岡山県市町村合併推進要綱を受けて県内各市町村で行われている市町村合併の動きをお示しいただいたところでありますが,まさに「晴れの国おかやま国体」の行われる平成17年がタイムリミットということで,県下65市町村で研究会が設置され,民間での取り組みも活発化してはいるものの,これからまだ一山も二山もあるのではないかな,調整役としての県の役割がますます高まるのではないかなあという印象を強く持ちました。
 ところで,岡山県が示した合併パターンは,地理的一体性,歴史的経緯,産業・経済圏域などの市町村の結びつきに関する客観的なデータを活用していますが,その結果として,県庁所在地の中核市岡山市については市町村合併云々の議論は直接的には関係がないのではないかという印象が漠然と持たれていたと思います。しかし,ここに来て岡山市が中四国の雄都として政令指定都市を目指すべきではないかという議論がにわかに浮上してまいりました。
 私自身岡山市選出の議員でありますし,また,三木行治元知事以来の政令指定都市をつくるという議論には,非常に強い関心を持たさせていただいております。
 御案内のとおり,地方自治法第12章「大都市等に関する特例」第252条の19によれば,政令指定都市は,人口50万以上で,政令によって指定された都市に普通の市と異なる特例を認めている市です。しかし,法的には50万人ですが,運用上は100万人というのがおおよその基準でした。
 ところで,昨年の夏,国の市町村合併支援本部は,合併で人口規模が拡大した都市に対し政令指定都市への昇格要件を緩和することに決めましたが,それは人口70万人で政令指定都市になる可能性を示すものでした。
 過日,片山虎之助総務大臣は,静岡・清水市合併では,政令指定都市を目指すべきであると公に発言されています。岡山市は人口約63万人,合併を伴い政令指定都市昇格に手を挙げること自体は可能性のない話ではないと思います。ただ,財源の問題も含めて,今春より倉敷市が中核市に移行することも相まって,いわば県土の均衡ある発展を目指すのか,それとも選択と集中をもって政令指定都市を誕生させるのか。これはほかの市町村にとっても極めて重要な問題と言わざるを得ません。
 そこで,知事に端的にお尋ねいたします。県庁所在地岡山市が,政令指定都市に移行する可能性はあるのか。その場合は,県は積極的に支援をされるのか,それに伴い岡山県にどのような影響があるとお考えでしょうか。

(知事)  まず,岡山市の政令指定都市への移行についてのお尋ねがございました。国の合併支援プランにおきまして政令指定都市の弾力的な指定を検討すると,このようにされたところでございますが,これからの分権化時代におきましては,住民に最も身近な市町村の果たしていく役割がますます大きくなっていくことから考えますと,今後,関係の皆様方が幅広い論議というものを尽くされることが重要であると,このように考えております。県といたしましては,当面,こういった論議の動向というものを見守ってまいりたいと考えております。
 なお,政令指定都市になりますと,国道,県道の新改築等の管理権限,あるいは都市計画決定の権限,さらには児童相談所の設置等の事務処理権限が大幅に県から移譲されることになりまして,県民に身近な行政主体での行政サービスの提供等が可能になるものと,このように考えております。

Copyright (c) 2014 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp