過去の岡山県議会一般質問集 <中四国州>篇

<平成25年6月定例会>(2013年6月14日)

(佐藤)  そうした中で,道州制について伺います。
 まずは,こうして国に依存することのない自立可能な税財政制度のもとで,地方はみずからの判断と選択に基づいて必要な行政サービスを,迅速かつ的確に提供できる真の地方分権型行政システムの確立をしようとすれば,私は道州制の実現というのは,地方分権の論理的な帰結であるというふうに考えております。一方で,私が考える道州制は,極めて言葉がこれは不適切だと思いますが,ある意味内戦に近いものがあります。中央集権国家体制に対して,もちろんこれは武装するわけではありませんが,地方からある意味反乱を起こすという,これはあくまで戦いだというふうに思います。我が国の何がおかしいのかということを一言でいえば,要するに国税と地方税の割合が6対4であるにもかかわらず,実際の事業は国と地方で4対6である。要は,一旦国に税金をある意味召し上げられて,地方に再配分される間に,異様な無駄,これは人間,権限,財源においてでありますが,無駄がある。そして,これをただしていく。ある意味で失礼な言い方になりますけれども,霞ヶ関や永田町から,人間,権限,財源を地方に取り戻してくる,それが私は道州制,その手法が道州制だと思い!
ます。そうした意味では,道州制の議論というのは,バラ色の未来を描くというよりも,このままだと日本や地方が本当にぶっ壊れるぞという,やむにやまれぬ状況の中での究極の選択であるというふうに思っております。要は,生きるか死ぬかの中で,やらなくてはいけない選択ということで,これをしなければ死んでしまうからそうするんだということであります。道州制は,国と地方の役割分担を見直し,新しい国の形をつくるという,地方分権改革の究極の姿と言えるものです。東京一極集中のもとで,地方に蔓延している閉塞感を打破し,個性豊かで活力に満ちた地域を創造し,我が国全体の発展を図っていくために,地方から国を動かしていく,それが道州制の議論の本質だというふうに思います。そして,あえていえば,こうしたものを我々地方が本当に熱くならなければ,国のほうから本気でやりたがるわけがないというふうに思っております。
 まず,知事の道州制に対する思いをお知らせください。
 ところで,我が県は,道州の枠組みについて,21世紀の分権時代にふさわしい自律力と競争力を備えた圏域として,中四国州を提唱してきたわけでございますが,私はもちろん中四国州自体,夢としては描けますけれども,それは一つの結果であって,目的は道州制そのものである,道州制そのものではないかというふうに思います。したがって,中四国州になろうが,中国州になろうが,岡山市が州都になろうがなるまいが,道州制に進まなくては日本や地方がだめになるという話でございます。だからこそ,国の行財政改革の一環ではなく,地方から喚起する道州制の議論に迫力が出てくるんだというふうに思います。第3次おかやま夢づくりプランには,中四国州構想推進プロジェクトが掲げられていましたが,あえて道州の枠組みについて,現時点でいかようにお考えか,お伺いをいたします。
 また,こうして国の形を変えるような大改革でありますが,これを実現するためには,明治維新に匹敵するような国民全体の大きなエネルギーが必要かもしれません。今後,どのように地方から道州制について取り組んでいかれるか,お考えをお知らせください。
 一方で,岡山県においては,97からさらに78市町村が27市町村になった市町村合併,いわゆる平成の大合併の中で,こうした広域合併を進めてみても,結局は県や国の有効な支援がない現実から,基礎自治体のほうからは,道州制については否定的な見解が根強く,とりわけ町村会は真正面から道州制の推進には反対の立場をとっておられます。特に,道州制がさらなる合併を強要するものではないかという不信感が渦を巻いておるわけであります。やはりここで平成の大合併のある意味功罪,とりわけ県として果たしてきた役割や今後果たすべき責任を明確にしなければ,決して道州制の議論は地方において前には進まないというのも,私は十分に理解のできるところでございます。この点について,県は何をすべきか,御認識をお知らせください。
 そして,例えば,今,起きている問題として,ガソリンの需要減や老朽化したタンクの改修費などで閉鎖が加速化し,給油所過疎地と指摘される自治体が,今,増加しています。その中で,高齢者の方への灯油の配達であったり,農業用機械への給油等への問題も既に出てきております。こういうときに,県は手をこまねいて見ているだけなのか,こうしたときの対応についてお伺いをいたします。
 一方で,道州制に移行するかしないかにかかわらず,真の地方分権の推進のためには,地方全体が一致団結をして取り組んでいくことが重要だと思います。国主導の議論とならないように,地方が連携,結束をして,具体的な姿を積極的に地方の側が提案,提言していく必要があると思います。そうした中,今後,道州制あるいは広域連携を推進するよう,隣県との政策のすり合わせも必要であると思いますが,具体的な方策についてお考えをお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 道州制等についての御質問であります。
 まず,私の思いについてでありますが,私も地域がみずからの判断と責任において政策を決定し,個性豊かで活力に満ちた地域を創造することにより,我が国全体の持続的な発展につなげることができる,真の分権型社会の実現が必要であると考えております。道州制は,将来の行政システムとして有力な選択肢の一つではありますが,まずは国と地方の十分な協議のもとに,地方分権の理念に沿った制度設計を行い,国民的な議論を喚起していくことが不可欠であると存じます。
 次に,道州の枠組みについてでありますが,いまだ制度設計の詳細が明らかでないことから,私自身,道州制導入の適否を判断するに至っていないところでありますが,導入されるとすれば,具体的な制度設計を踏まえ,国民的な議論を経て,道州の区域も決定されるものと考えております。
 なお,第3次夢づくりプランの行動計画に掲げている中四国州構想推進プロジェクトの取り扱いについては,今後のプラン改定作業の中で検討してまいりたいと存じます。
 次に,実現のための地方からの取り組みについてでありますが,お話のとおり,道州制は国の形を変える大改革であり,国民の理解と協力がなければ到底実現できるものではありません。そのため,まずは国と地方が十分に協議して,道州制の詳細な制度設計を行った上で,そのメリット,デメリットや課題等を丁寧に検証,議論し,地方においても地域の経済や生活への影響等を含めて積極的に情報発信することで,国民的な議論を喚起していくことが必要であると考えております。
 次に,基礎自治体の不信感についてでありますが,平成の合併は中心部以外の地域の衰退を招いたとの指摘もある一方で,行財政基盤の強化等により,住民サービスの充実が図られた面もあり,合併市町村に対し,県としても財政支援や人的支援を行ってきたところであります。道州制導入後の道州や基礎自治体のあり方は,国,道州,基礎自治体の役割分担や税財政制度など,制度設計の内容により大きく異なることから,現時点において県が今後果たすべき役割等を想定することは困難であります。
 なお,道州制のもとにおいても,住民に必要な行政サービスが持続的に提供されるよう,基礎自治体間の連携による事務の共同処理や,道州による事務の代行といった多様な手法が柔軟に選択できる制度とすることが望ましいと考えております。
 次に,給油所過疎地への対応についてでありますが,給油所の数が減っていく中,県としては,県内の状況把握を行うとともに,給油所を地域が共同運営する国の実証事業について,該当の市町村に情報提供もしてきたところでありますが,現時点では,事業の導入を希望する市町村がないところです。引き続き,国の実証事業の情報提供に努めるとともに,給油の困難な地域への対応について,市町村等との連携も視野に入れながら対応を検討してまいりたいと存じます。
 次に,隣県との推進方策についてでありますが,先月の中国地方知事会議において,防災や産業振興,観光など,さまざまな分野で広域連携を推進するための体制強化を図ることとし,組織のあり方や進め方等について,秋の知事会議までに内容を詰めていくこととしたところであります。こうした取り組みにより,中四国各県などとの広域連携の実績を積み重ねるとともに,道州制を含む地方分権改革についても,近隣各県と連携して,研究,検討を進め,国に対し必要な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  まことにありがとうございました。
 道州制の議論については,先般も新聞等にありましたように,まず地方のほうからこれがいいのか悪いのか,ちょっとムードが下がっておるのも事実だというふうに思います。ただ,問題として,これは地方のほうから言っていかなければ,この議論は決して前に進まないだろう。今,知事の御答弁の中に,有力な選択肢の一つであろうということ,あるいは導入されるとすればというふうな言葉もどんどんあったんですが,これは主体が国が決めるのかというお話に,私は聞こえたわけであります。あくまで,これは地方のほうから主体的にやっていく話であろうということ,そのことについての,まず御認識をお伺いしたいと思います。
 そしてまた,特に市町村合併の中で多くの市町村が結果的に広域合併してみても,これはうちの地域,過疎地域になって,そして県や国の支援も少ないじゃないかという,そうした懸念もあるわけでありますから,そこの部分のフォローについては,今も十分にする必要があると思いますけれども,その中で特に今問題になっている国民的な議論という言葉をおっしゃっていただいたんですが,県民的な議論というのはないのか。県民的な議論,これがいいか悪いかも含めて,メリット,デメリット,国のほうで判断されて,その推移を見守るというふうな表現に受け取れたのでありますが,これは県民の皆さんの間で十分に議論できることではないかと思うんですが,県民的な議論ということについてはどのようにお考えか,お知らせください。

(知事)  先ほど道州制について,地方のほうから主体的に動くべきではないかと,その認識についての御質問でございましたが,制度について地方のほうから提言をすることもあれば,国のほうから提言をすることもあろうかと思います。ぜひ私は,もっと国民のためになる,県民のためになる制度というものを模索していきたいわけでございますが,ただその理想のあるべき制度が道州制と決まったわけではないと考えております。その理由の一番大きなものは,道州制と言われているものが同じ名前でありながら全く違う制度を束ねて道州制と名づけているからでございまして,どういう形がいいのか,それについて議論をしなければいけないと思っています。道州制という名前がついていれば,どんな形であっても道州制になってみんなが幸せになるということはないと考えております。
 あと,基礎自治体へのフォローについてということでございますが,基礎自治体は住民へ直接サービスをする大事な組織でございます。もし基礎自治体のほうで何か十分なことができないということがありましたら,補完性の原則に従いまして,県としてもフォローをしていくべきだと,このように考えております。
 また,県民的な議論ということに関しましてですが,私が申しました国民的な議論というのは,当然県民も含んでいるわけでございまして,それぞれの地域,それぞれの県で県民的な議論を起こすことで,それがすなわち国民的な議論にもつながるものと考えております。

(佐藤)  どうもありがとうございました。
 確かに,道州制のお話というのは,制度論,そして人によってこの概念も全然違うということで,ここを整理する必要はあると思いますけれども,逆に言うと,道州制という言葉がそれだけ曖昧な言葉であるのであれば,やはりこれをまず県民の皆様にきっちりとパターン等を含めてお知らせすべきだろうということで,それはまさに国のほうからやるのを待っていただくのではなくて,地方のほうから県民的な議論をまず起こすべくやるべきではないでしょうかということは,思いとしてございます。そして,議論の本質としてあったのは,要は税の配分の仕方について,一度国に入ったお金が地方に戻ってくる間にさまざまな無駄が生じているんじゃないですかという話,そこを取り除くために道州制というのが一つの方策としていいのではないかということで,それにかわり得るような仕組みがあるのであれば,私はそれはそれでいいと思いますが。本質というのは,権限,財源,人間が国から地方に頂戴する,我々は何かお上から頂戴するような形になっているところに,真の地方分権の姿が見れないんじゃないですかということを申し上げているので,論理的な帰結としては道州制と!
いう,地方分権の姿が好ましいということで申し上げております。ぜひ,道州制にはいろんな形があるんだよということも含めて県民的な議論をするために,また,県民の皆様にもこうした議論の内容をお知らせいただければというふうに思います。



<平成21年11月定例会>(2009年12月8日)

(佐藤)自民党の夏の大敗北を経て,民主党を中心にした新政権が動き始めて3カ月,事業仕分け等の新たな取り組みについては評価できる部分があるものの,マニフェスト予算,特に子ども手当,公立高校無償化,農家戸別所得補償制度,高速道路無料化等の圧縮の動きに加えて,沖縄米軍基地移転問題の混乱など,不安な要素が顕在化してまいりました。さらに,直轄国道等には凍結の動きがあり,地方にも大きな影響が及びそうであります。一方で,昨年以上の経済危機の中,鳩山不況と言われる事態は,何としても避けなくてはいけません。ここは待ったなしで,地方と一体となった早急な経済対策を強力に進めていただかないといけません。まずは,こうした政権交代で地方自治体のトップとして従来と比べて素直に,よかったなあ,あるいはこれは期待できるなあという部分があったらお知らせください。
 以下,具体的に政権交代が地方に及ぼす影響への対策についてお伺いいたします。
 11月上旬に,地方分権改革推進委員会の第4次勧告で,分権改革論議は一つの節目を迎えました。地方交付税の割合を引き上げることを求めながら,新政権への配慮からか,地方消費税の拡充や6対4から5対5にする,国と地方の税源配分については,先送りされました。そもそもこの委員会自体,小泉改革の痛みを解消するために安倍政権下で発足されたものでございますけれども,国から地方への権限移譲,国の出先機関の統合,義務づけの見直しなどが提言されましたが,いずれも今の段階では勧告の受理にとどまっており,推進計画を策定し,地方分権一括法の法案の策定は,まさに新政権にゆだねられたわけでございます。11月中旬に,地域主権戦略会議の設置が閣議決定され,新政権の政権公約である国と地方の協議の場は,来年の通常国会に設置法案が提出され,総務大臣からは中長期的な地方行財政の課題を議論する新たな組織も示唆されております。三位一体改革の結果,移譲された財源よりも補助金と交付税が大きく削られた経験から,一般には地方分権化イコール財政悪化じゃないかと思われ,地方分権推進を地方から叫ぶ勢いが少しなくなっているよう!
にも感じられますが,だからこそ国と地方の税財政関係の抜本的改革,もっと言えば,地方自治体を地方政府に高めるまでの自治財政権の確立に向けて今まで以上に国に強く訴えていくべきだと思います。まずもって,地方分権改革推進委員会の4次にわたる勧告と今後の政府の地方分権推進の取り組みへの感想と期待についてお知らせください。
 ところで,地方分権改革推進委員会の第2次勧告では,地方整備局など6つの機関を統廃合するなどにとどまりましたけれども,新政権では,総務大臣が国の出先機関の原則廃止の方向を打ち出しております。約32万人の国家公務員中6割強が政府省庁の地方の出先機関で働いておられますけれども,特に道路や河川整備など,公共事業を担う地方整備局や地域産業を支援する経済産業局などは,都道府県と重複した仕事も多く,分権委の勧告に沿っただけでも約2万3,000人の職員が自治体に移ることになります。しかし,財源の確保を含めて課題が非常に多いわけですが,出先機関の原則廃止,さらには職員引き受けについてどのようにお考えでしょうか。
 加えて,地方分権を推進するためには,財源をふやせ,仕事をふやすなということにはならないと思いますし,まさに地方の覚悟が試されていると思います。特に,一つの都道府県内で完結する一級河川の管理を原則都道府県に移管するとの勧告もございました。岡山県では,旭川が源流から海まで県内で完結しているところでございますが,地方分権の趣旨を踏まえると,高梁川や吉井川についても,場合によっちゃあ隣県と連携して管理すべきではないかと思います。
 そこで,お尋ねしますが,旭川に限らず吉井川,高梁川についても,維持管理の財源があれば,河川の管理をすべて,あるいは隣県と連携して引き受けることにやぶさかではないでしょうか,お考えをお知らせください。

 ところで,8月中旬,岡山南部農業水利事業,いわゆる足守川パイプラインの見直しが中四国農政局長から知事に伝えられました。歴史的な背景もあって,興除地域への安定的かつきれいな水の供給のための方策を国から早急に示していただくことを強く要望するところでありますが,わざわざこうして地方に出向いている国の出先機関のトップとの連携は,極めて重要だと思います。もちろん地方において政権与党を通じないと連携ができないようでは,県民の利益になりません。今後もより密に出先機関のトップとは連携をとっていくべきだと思いますが,お考えをお知らせください。
 次に,市町村合併について伺います。
 前政権のもと,6月に,政府の地方制度調査会は,平成の大合併を来年3月で一区切りする答申を出しました。合併特例債という名の強引な誘導策,逆に地方交付税削減で危機意識をあおるあめとむちで合併を余儀なくされた地域の衰退を招いた,そんな思いや地方分権の受け皿づくりという大義名分があったにもかかわらず,市町村の自立支援策が結局広域連携の推進にとどまったということで,市町村合併には確かに光と陰の部分があると思います。特に,人口の多い市に吸収合併された町村の住民の方々には,身近な役場がよそよそしい市役所になって公共投資が何やら中心部に集中して地域が衰退するんじゃないかという不満が強く,まさに中山間地域支援や過疎地域対策とかかわりますけれども,改めて人口減少が進む中,小規模で財政基盤の弱い小さな町や村の自立をいかに支えていくか,そしてそうした地方の多様な担い手をいかに育てていくかは,極めて大きな課題だと思います。特に,新政権も目標的な数字を削除はされていますけれども,過去の議論からは基本的には大合併を念頭に置かれているものと思われます。岡山県では,平成13年3月の岡山県市町村合併推!
進要綱における市町村の組み合わせをもとに,6年をかけて78市町村から27市町村となったわけですが,合併支援プランもつくり,主導的な役割を果たした県として,再び合併議論が起こるかどうか,これは別にしまして,まずは合併の功罪について一度総括が必要なのではないでしょうか,御見解をお知らせください。
 ところで,市町村合併が進んだからこそ,改めて県の果たすべき役割として,広域調整機能と補完機能が重要になります。先般,県が2007年に策定した新ごみ処理広域化計画の枠組みが崩れたわけでございますが,これはさまざまな事情を抱えての苦渋の判断であられたと思います。各自治体の財政状況と負担のバランスの検討が必要な中,そのほかの広域計画についても影響が避けられないんじゃないかと言われておりますけれども,今後も県はこうした場合,助言するだけなのでしょうか。まさにその調整力が問われています。特に,県境を越えて病院の広域利用などを目指す定住自立圏も生まれておりますから,近県との調整も必要になってまいります。住民の視点に立って適切な役割分担のもと,新たな視点で対等協力の関係を築きながら,住民に最も身近な基礎自治体としての市町村の自立力の向上を図る。その一方で,改めて助言以上に県の果たすべき広域調整機能と補完機能の意義についてお伺いいたします。
 次に,要望,提言についてお伺いいたします。
 公共事業費の大幅削減の方針を受け,国土交通省が来年度整備を凍結する候補に挙げた全国217区間の説明があったとのことでございますが,岡山県では,これは私はいずれも理解しかねますけれども,国道2号玉島笠岡道路のU期分,笠岡バイパス,180号総社一宮バイパス,岡山市絡みでも53号北バイパスに,いわゆる外環状道路の一部となる180号岡山環状南道路が含まれております。直轄事業負担金を見直していただくのはありがたいですが,直轄事業そのものがなくなるということを県民は望んでおりません。私は,そもそもこういう本来凍結すべきでない事業が凍結されても,地元要望をいわゆる新ルールに沿って上げていくと,復活できるんでしょうか。それで,復活するなら,本当にこれはすばらしい仕組みだなあというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 加えて,大規模な県営事業の多くが国の補助金が入る仕組みになっております。特に,農業かんがい排水事業や高潮対策など,地域においては生活の安全・安心,命にかかわるものも多いわけですが,新政権になってストップするのではないかと,地元から不安の声が非常に多く上がっております。あくまで県の事業とはいえ,政府の意思がどこまで働いてくるかわかりませんが,こうした地域の課題を今後どう国に伝えていくのか,お知らせください。

(知事)まず最初に,新政権についてのお尋ねであります。
 政治主導による国政運営や公開の場での事業仕分けなど,さまざまな新しい試みが行われているところでありますが,地方といたしましては,新政権が地域主権の確立を最重点政策に掲げ,地域のことは地域が責任を持って決めるという,このことを基本とした新たな国づくりを目指す方針を示されていることにつきましては,これは率直に歓迎いたしたいと思います。特に,事項要求ではありますけれども,概算要求に盛り込まれております1.1兆円の地方交付税の増額,このことにつきましては,ぜひとも実現していただきたいと存じます。また,我々地方と十分に意見交換を行い,地方にかかわるさまざまな重要課題に積極的に取り組んでいただきまして,地方分権改革の推進など,具体的な成果を上げていただくように強く期待しているところであります。
 次に,国の取り組みへの感想等についてでありますが,地方分権改革推進委員会では,国と地方の役割分担や義務づけ,枠づけの見直し,地方税財政制度のあり方など,多岐にわたる論点につきまして精力的な議論を重ね,各省庁の抵抗がある中で,4次に及ぶ勧告を取りまとめられたところでありまして,まずその御労苦に対しまして敬意と感謝を申し上げたいと思います。これまでの勧告内容は,おおむね我々地方側が求める内容にかなうものでありまして,新政権におかれましては,この勧告の内容はもちろん,さらに踏み込んだ内容を持つ地方分権改革推進計画を年内に策定し,これに基づく地方分権一括法を早期に制定するように強く求めてまいりたいと思います。また,これに加え,地域主権の理念やその実現に向けた工程などを早急に明らかにするとともに,その理念のもと,国と地方の協議の場の法制化や地方税財源の充実強化など,重要課題について着実な取り組みが進められるよう期待しているところでありまして,引き続きその動向を注視してまいりたいと存じます。
 次に,国の出先機関等に関し,原則廃止等についてでありますが,真の分権改革を実現するためには,内政に関する事務は基本的に地方が担う仕組みをつくることが不可欠でありまして,国と地方の二重行政を解消するためにも,国の出先機関の廃止を積極的に進めていくべきものと,このように考えております。この国の出先機関の廃止に当たりましては,必要な財源を地方に移譲すること,これは無論のこと,国の職員につきましても,専門的技術的知識の確保等の観点から,人材の移管や人事交流を含め,具体的な検討が必要であると考えております。先日,全国知事会でも国の出先機関原則廃止プロジェクトチームを発足させまして,事務・権限の調査や地方での受け入れ体制などの検討を行い,提言を取りまとめることとしておりまして,私といたしましても,こうした動きと連動しながら,地方の意見を踏まえた出先機関の廃止につき,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。
 これに関し,一級河川の移管についてでありますが,都道府県内で完結する一級河川の移管に当たりましては,維持管理財源に加え,整備財源や人員,資機材の確保等に関しまして,適切な措置が講じられることが何よりも重要であると考えておりまして,そういった前提条件が整うならば,都道府県が責任を持って受け入れることができると考えております。
 なお,隣県とまたがる一級河川につきましては,財源等について適切な措置が講じられることに加え,隣県との調整が課題となることから,今後,他都府県での取り組み事例を踏まえつつ,検討してまいりたいと存じます。
 連携についてでありますが,お話の国の出先機関トップとの連携は必要であると考えておりまして,中四国農政局のほか,先月には中国地方整備局長とも来年度予算について懇談するなど,機会をとらえて意見交換等に努めてきております。私は,国と地方とが総理を初めとする閣僚レベルはもとより,各省庁やその出先機関に至るまで,きめ細かく連携や意見交換を行って行政を進めていくことこそ,住民の利益にかなうものと考えておりまして,国におかれましては,窓口を限定することなく,さまざまな機会を通じて幅広く地方の意見に耳を傾けますとともに,地方側と十分意見交換を行っていただきたいと考えております。今後とも,幅広いレベルでの連携を密にして,地方の実情をしっかりと国に伝えてまいりたいと存じます。
 次に,市町村合併の総括についてでありますが,このたびの市町村合併により,行財政基盤が強化され,専門職員の配置や行政サービスの充実が図られる一方で,お話のように,合併が中心部以外の地域の衰退を招いているとの指摘や,三位一体の改革による地方交付税の大幅削減によって,計画どおりの財政運営ができないとの不満も聞かれるところであります。合併した市や町においては,現在,新しいまちづくりに懸命に取り組んでいる過程にありまして,引き続きそれぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを推進することで,今後合併の成果が着実にあらわれてくるものと考えておりまして,県といたしましても,できる限りの助言や支援に努めてまいりたいと存じます。
 県の広域調整機能等でありますが,地方自治法にも基礎自治体優先の原則として規定されているとおり,まずは住民に最も身近な市町村が地域における事務を幅広く包括的に担うべきものであると考えております。しかしながら,本来市町村が担うべき事務でありましても,単独では処理することが適当でないと認められるような行政課題につきましては,隣接市町村との水平的な補完による対応も必要でありまして,その自主性自立性は尊重しつつも,適切な助言や市町村相互間の連絡,連携,合意形成に向けた調整等を通じまして,市町村を支援していくことが県の果たすべき役割であると考えております。
 国直轄事業でありますが,先般,国からは,県及び岡山市に対し,お話の道路事業について,来年度調査設計費のみを計上するとの説明がありましたが,議員御指摘のような,凍結されるとは聞いておりません。これらの事業は,いずれも本県にとって重要な事業であることから,かねてより国への重点提案等において,事業促進を働きかけてきたところでありまして,今後とも沿線市町とも連携しつつ,さまざまな機会を通じ,幅広く国に働きかけてまいりたいと存じます。
 県営事業でありますが,例えば,お話のかんがい排水事業は,農産物の生産に不可欠な農業用水の有効利用を図るために,また,高潮対策は台風等に伴う高潮等から背後地を防護するために実施するものでありまして,このような補助事業が大幅に削減されるということは,農業生産や安全・安心など,県民生活に多大な影響を及ぼすものと懸念されるところであります。これまでも,安全・安心で活力ある地域づくりの基礎となる社会資本整備につきましては,その推進が図られるよう,国に提案してきたところでありますが,こうした地域にかかわる施策の企画立案や変更につきましては,地方と十分意見交換を行っていただきたいと考えておりまして,今後ともあらゆる機会を通じ,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。



<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  さて,まずは,その岡山市の政令指定都市移行について伺います。
 そもそも政令指定都市は,もともとが大阪,横浜,名古屋といった大都市をイメージした制度で,住民税や法人税が上がる割には,公共交通も含めたインフラ整備は,民間の開発も含めて,かなり進んでいるため,財政的にはむしろ豊かだろうなという印象がございます。一方,近年の政令指定都市は,大規模な市町村合併で中山間地域や農村部を持ち,県と同格ではありますが,同時に行政課題自体も県の縮小版とも言えるほど,大都市の問題に特化しておりません。そういった意味では,中山間地域を多く抱え,極めて広大な岡山市が,きめ細かい行政サービスを行うための今後の財源については,正直なところ,一抹の不安を覚えております。政令指定都市移行後にも,当面さまざまな課題があふれ出てくるかもしれません。そういうときに,やはり県との連携が必要な場面も出てくるでしょう。常に県が行っていた県道のアダプト事業に関して,岡山市ではすべてが引き継がれるというわけではなく,今まで汗をかいてくださった関係団体からも批判の声が上がっているという話も漏れ聞いております。常にその財政力に応じて,補助金を抑制される傾向がございましたけれども,政令指定都市移行後の岡山市への財政面や人的な面での支援の考え方について,お知らせください。
 また,一方で,もともと政令指定都市を持つ都道府県で,最も人口が少ない我が岡山県が,単純に岡山市の70万人の人口が抜けるとすれば,ある意味,小規模の県になる。したがって,例えば行革というよりも,その人口規模から県職員が3,600人になるんだという考え方もあるかもしれません。岡山市の政令指定都市移行に伴い,岡山県の行政規模を縮小していくべきだという考えは正しいのでしょうか。さらに問題は,かかる人口規模の本県において,少子・高齢化の時代にかかわらず,人口がふえている岡山市が,表現は極めて不適切ですが,ひとり勝ちする施策に走れば,他の26市町村にはむしろ悪影響が出ることもあり得るという理解も必要ではないかと思います。もちろん,中国地方で,広島への一極集中をさせないという意味では,岡山市の政令指定都市化は極めて重要でございますが,県内の一極集中が起こり,中山間地や農村部が疲弊すれば,実は中心市街地もへたってくる。広い市の内部ですら,一極集中の危険もあって,メガシティを目指すのか,コンパクトシティを目指すのか,岡山市は大飛躍のチャンスではございますが,一方では大ピンチと裏腹である,そういう認識を私は持っております。
 岡山県と助け合いながら,ほかの26市町村を引っ張っていくぞという気概を岡山市には求めたいものですが,岡山市の政令指定都市移行に伴い,一極集中が起きて,他の市町村に与える影響が危惧されるのですが,県全体のバランスを保ち,広域行政を推進する県として果たすべき役割についての御認識をお知らせください。
 ところで,岡山県の個人・法人県民税や法人事業税の4割は,岡山市民や岡山市内にある企業が負担しています。実際は,地方交付税が岡山市に行って,国から県にその分おりてこないわけですから,トータルで言えば県がもらい得でも何でもないのですが,県税の収入の3割は景気変動の影響を受けやすい法人事業税と法人県民税の法人二税でございますから,岡山市において,この法人二税をいかに上げていただくかは,県財政にとっても重要な課題であります。中小企業支援などの産業振興について,県が果たすべき役割をお知らせください。
 また,先日,総務省は,来年度からスタートする近隣の市町村が連携して生活基盤を維持する,定住自立圏構想について,中核的な役割を担う中心市候補となる地方都市一覧を発表いたしました。医療や福祉,教育インフラなどを一体的に整備,維持し,人口の流出を防ぐことを目的に,人口4万人を超えて,昼間人口が夜間人口を上回っていることを条件に,岡山県では,岡山市,倉敷市,津山市,備前市が候補になっております。ところで,お隣の藤田広島県知事は,垂直補完と水平補完という言葉を使われております。基礎自治体に権限や財源を移譲する中で,県が果たすべき役割として,補完性の原則がございますが,基礎自治体同士でも補完すればよいというのが水平補完という考え方であります。実際,消防や廃棄物の処理では,広域で行われているわけですが,自立性を第一義に,県からの垂直補完ではなくて,周辺の基礎自治体からの水平補完をするという考え方は,あえて合併されなかった町村にとっては,むしろ好ましい話ではないかもしれませんが,こうした定住自立圏や水平補完という考え方について,どのように御認識でしょうか。
 ところで,会期中に岡山市の政令指定都市移行もあり,その岡山市と岡山県の最大の協働事業である全国都市緑化おかやまフェアは,これからの県,市の関係を占う意味もある,極めて重要な催しでございます。役割分担からいえば,少なくとも岡山県内外から広域的に来場を呼び込むには,岡山県サイドが頑張らないといけません。期間中に御協力いただける多くのボランティアの方々も集われますが,一方で,今のところ,西大寺のメーン会場とサブ会場の岡山城,後楽園や協賛会場の西川緑道公園,半田山植物園との情報の共有や交通アクセスも含めた連絡が明確ではありません。肝心の都市緑化についても,全県的な展開がなければ,県が絡んで開催する意味がなく,改めて岡山市と協働して全国都市緑化おかやまフェアを開催する意義と決意についてお知らせください。
 ところで,岡山市の政令指定都市移行は,中四国州の州都を目指す大前提であるという言い方があります。岡山県においては,78市町村が27市町村になった市町村合併の中で,広域合併を進めても,県や国の有効な支援がない現実から,道州制についても否定的な見解が基礎自治体レベルではかなりあって,とりわけ町村会は,真正面から道州制の推進には反対の立場をとっております。
 私は,知事のおっしゃられる中四国州や,巷間言われている州都岡山バラ色論が,かえって道州制の議論の本質をあいまいにしているのではないかと感じるときがあります。私が考える道州制は,言葉は極めて不適切だとは思いますが,内戦に近いものがございます。中央集権国家体制に対して,もちろん武装するわけではございませんが,地方から反乱を起こすという,あくまで戦いであります。我が国の何がおかしいのかを一言で言えば,国税と地方税の割合が6対4であるにもかかわらず,実際の事業は,国と地方で4対6である。要は,一たん国に税金を召し上げられて,地方に再配分される間に,異様な無駄が,人間,権限,財源においてあるということであります。これを正す,ある意味,霞ヶ関や永田町から,人間,権限,財源を取り戻す,その手法が道州制であります。バラ色の未来というよりも,このままだと,日本や地方が本当にぶっ壊れるぞという,やむにやまれぬ状況の中での究極の選択であるというふうに私は思っております。もちろん,夢としては描くけれども,中四国州は一つの結果であって,目的は道州制ではないか。中四国州になろうが,中国州になろうが,岡山市が州都になろうがなるまいが,道州制に進まなくては,日本や地方がだめになるという話でございます。だからこそ,国の行財政改革の一環ではなく,地方から喚起する道州制の議論に迫力があるのだと思います。
 今,地方政府の樹立という言葉も生まれています。仮に,本当に残念な過程ではありますけれども,中四国州という枠組みでなくても,仮に岡山県に州都が来なくても,それでも道州制は推進すべきとお考えか,道州制の議論の本質は何かを含めてお伺いいたします。
 加えて,地方分権改革推進委員会が,昨年12月の第2次勧告では,地方整備局や地方農政局など4省の6機関を,企画部門を担当する地方振興局(仮称)と直轄公共事業を実施する地方工務局(仮称)に統廃合し,労働局を廃止して,地方厚生局に統合するなど,地方への業務移管,出先機関の改革案,出先機関の職員のうち,3万5,000人を段階的に削減するという案を示しました。これは地方分権というよりも,むしろ国の行革の一環のようにも受け取れますけれども,道州制議論において,こうした国の統合する出先機関が,いずれ州政府で県とも一体化していくものと認識されているのかどうか,お知らせください。
 それ以上に,この勧告で大切なのは,地方の自由度が大幅に高まる,地方に対する国の義務づけ,枠づけの廃止を実現することですが,いかように御認識でしょうか,あわせてお伺いいたします。
 国との問題で関連して,国道整備や河川改修事業など,国が実施する公共事業費の一定割合を都道府県など,地方自治体が負担する直轄事業負担金が今問題になっております。事前によく相談がなされていない場合があり,負担金の精算や明細が透明でなく,全国知事会も,地方分権の趣旨に反すると,その廃止を要求しております。一方で,政府の事業に反対すると,国の補助事業でしっぺ返しを食うんじゃないか,そうした怖さから,例えば国の管理河川や道路は,都道府県よりもかなりグレードが高くて,維持管理のレベルも高い場合も多いんですけれども,あえて渋々負担金を支払っている,そうした現状があるかもしれません。
 岡山県においては,合理的な制度として,その直轄事業負担金の負担の割合が適当とお考えでしょうか。さらに,こうした一方的な負担を県が市町村に課していないか,その御認識をお伺いいたします。
 また,国からの一方的な請求とも言える中央省庁の官僚の天下り先となることも多い公益法人への負担金の総額は幾らになるのか,その認識を含めてお知らせください。
 一方で,この問題の本質は,公共事業の考え方そのものであると思います。景気後退で地方財政が疲弊しても,福祉や教育など歳出需要は大きい中で,公共事業の主導権がいまだ依然として国にあるということです。しかし,戦略性を欠いた公共事業の波及効果が限られるということは,我々も経験済みであり,国の公共事業は国際競争力の強化につながる拠点空港の建設や,便益が全国に広がる基幹的な交通網の整備などに集中して,そのほかはむしろ地方に任せるべきではないかという考えもございます。例えば,今後の追加経済対策でも,公共事業を有効活用するためにも,国との役割分担をはっきりさせることは極めて重要だと思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  まず,岡山市の政令市移行についてであります。
 今後の支援でありますが,岡山市が円滑に政令市に移行できるよう,財政面の支援といたしましては,昨年度,双方で合意いたしました上で締結した基本協定において,一定の費用について,激変緩和措置として必要な助成をすることとしておりまして,来年度当初予算におきまして,必要額を計上しております。
 また,人的支援は,来年度から2年間,土木関係で26人,保健福祉関係で13人の県職員を派遣することとしておりまして,移譲事務が岡山市において円滑に実施できるよう支援してまいりたいと存じます。
 県の行政規模についてでありますが,岡山市の政令市移行に伴い,土木・福祉関係等の事務が移譲されまして,職員定数で約80人の減少となる見込みでありまして,予算規模も一定程度,縮小するところでありますが,県の行政規模は大幅には変わらないものと考えております。いずれにいたしましても,県としては,行革大綱2008に基づき,スリムな体制を目指す中で,県民サービスに配慮しながら,選択と集中をより一層加速させ,最小の経費で最大の効果が上がるよう,施策を推進してまいりたいと存じます。
 一極集中の懸念でありますが,岡山市の政令市移行を契機といたしまして,本県のイメージや知名度の向上,ビジネスチャンスの拡大等が期待されるところでありまして,県といたしましては,岡山市と連携しながら,こうしたプラス効果を県下全域に波及させていくということが重要と考えております。
 また,政令市移行後も,県が広域的,総合調整的な役割を担うということには変わりはないことから,今後ともそれぞれの地域が資源や特性を生かして,個性と魅力ある地域づくりを主体的に進められるよう,各地域の実情も十分配慮しながら,県全体の発展に向けて,各種施策を展開してまいりたいと存じます。
 産業振興でありますが,岡山市は県下の民間事業所の3分の1以上が集中する県経済の中心でありまして,岡山市域における産業振興は,県全体の産業振興においても大きなウエートを占めているということから,政令市移行により,県の事務が市に一部移譲されますものの,引き続き県も大きな役割を担うこととなる,このように認識をしております。
 今後とも,産業支援機関や岡山市と連携を図りながら,岡山大学など市内にある大学の多様な技術シーズを生かした新産業の創出や,中小企業みずからの創意工夫による経営革新の取り組みを支援することなどにより,県内産業の振興に努めてまいりたいと存じます。
 定住自立圏構想等でありますが,地方分権改革の進展に伴い,規模や能力の異なる市町村が,地域における総合行政を担うためには,隣接市町村との水平的な補完による対応も必要であると考えております。このたびお話の定住自立圏構想が制度化され,備前市を中心市とし,兵庫県赤穂市,上郡町の2市1町が先行実施団体として,圏域形成に向け取り組んでいるところでありますが,地域の諸課題に応じまして,自主的な連携を行うことは重要であると考えておりまして,今後とも市町村の主体的な取り組みに対し,適切な助言等を行ってまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアでありますが,都市緑化の取り組みを全県的に広めますとともに,岡山の魅力を全国に向けて情報発信するため,庭園都市を目指す岡山市と共同開催することとし,岡山市以外のすべての市町村においても,大型プランター等の出展を行うほか,19の市町村が伝統芸能の紹介や特産品の販売を行うこととしております。さらに,県内各地で40を超える花や緑に関する協賛事業を展開することとしておりまして,こうした県民の方々との協働の取り組みによりまして,フェアをぜひとも成功させ,未来を担う子供たちに緑や命の大切さを伝えますとともに,環境に優しい暮らしや,緑豊かなまちづくりを全県的に広げてまいりたいと存じます。
 次に,道州制についてであります。
 まず,議論の本質等でありますが,道州制は国と地方の役割分担を見直し,新しい国の形をつくるという地方分権改革の究極の姿と言えるものでありまして,東京一極集中のもとで,地方に蔓延しております閉塞感を打破し,個性豊かで活力に満ちた地域を創造し,我が国全体の発展を図っていくためには,その導入がぜひとも必要であると考えているところであります。
 道州制の区割りにつきましては,政府の道州制ビジョン懇談会の専門委員会において,その基準や基本方針について検討されておりまして,その議論を注視しているところでありますが,私といたしましては,道州は,自主的自立的な施策を実施できるだけの十分な自立力と将来の発展可能性を備えることが必要であると考えておりますことから,かねてより中四国州を提唱しているところであります。
 一方,州都につきましては,この問題が先行いたしますと,道州制そのものの議論が進まなくなる懸念があることから,まずは道州制と中四国州がともに実現するということを目指しまして,県民の理解の促進に努めますとともに,各界各層での議論の高まりや,機運の醸成を図ってまいりたいと存じます。
 国の出先機関等でありますが,道州制のもとでは,国の役割は外交,防衛など,国家の存立にかかわる事務に限定し,内政に関する事務は広く地方が担うべきでありまして,統合される国の出先機関につきましては,道州制の導入に当たり,当然これは廃止され,その事務等は道州が担うべきものであると考えております。
 また,義務づけ,枠づけの廃止につきましては,お話のように,地方自治体が住民や地域のニーズに応じた,きめ細やかな施策を推進する上で必要不可欠なものであると考えておりまして,第3次勧告において,さらに踏み込んだ具体的な勧告が行われますように期待いたしております。
 道州制の導入につなげるためにも,まずは義務づけ,枠づけの廃止を初め,地方税財源の充実強化など,第2期地方分権改革の着実な推進が必要でありまして,引き続き,地方六団体とも連携しながら,国等に対し,強く働きかけてまいりたいと存じます。
 次に,国直轄事業負担金等についてであります。
 まず,割合等についてでありますが,国直轄事業負担金は,自治体に対して個別に財政負担を課する,極めて不合理なものであることから,早急な見直しを求めますとともに,特に維持管理費は,本来,管理主体が負担すべきものであることから,即刻廃止を求めているところであります。本県のみならず,地方自治体の財政状況は極めて厳しい状況にありまして,これまで以上に強く求めていく必要があるものと考えております。
 一方,市町村負担金は,地方財政法上,大規模かつ広域的な事業については対象外とされているということ,県管理道路の維持管理費は徴収していないことなど,異なっているところであります。また,事業予定箇所の選定に当たりましては,市町村からの要望を踏まえるなど,市町村との意思疎通を図っているところであります。今後,関係する市町村に対しまして,一方的な負担と誤解されないように,丁寧に説明をしてまいりたいと存じます。
 国の公益法人への負担金でありますが,来年度当初予算における国の公益法人に対する負担金額は,約6億円程度でありまして,その主なものといたしましては,過去に整備した林道事業にかかわる森林総合研究所への負担金約2億1,000万円や,日本スポーツ振興センターに対する児童生徒にかかわる災害共済掛金約7,000万円,住民基本台帳事務にかかわる地方自治情報センターへの約5,000万円などでありまして,基本的には受益の程度などに応じまして,他県と同様に負担いたしているものであります。
 国との役割分担でありますが,地方にできることは地方が担うとの原則のもと,国と地方の役割分担を抜本的に見直しをし,国から地方への事務権限の大幅な移譲を進めていくことが必要であると考えております。公共事業につきましても,国が行う事業は,全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業に限定し,それ以外のものは国庫補助負担金の廃止・縮小を含め,財源と一体的に地方へ移譲することで,地方がそれぞれの地域の,あるいは住民のニーズを踏まえまして,みずからの判断に基づいて事業を選択し,決定することができる仕組みを構築すべきものと考えているところであります。現在,第2期地方分権改革は山場を迎えておりまして,地方による主体的,総合的な施策展開が可能となるよう,引き続き,あらゆる機会をとらえ,国等に対しまして強く働きかけるなど,積極的に対応してまいる所存であります



<平成20年12月定例会>(2008年12月9日)

 (佐藤)  まずもって,石井知事の4選再選をお祝い申し上げます。
 さて,知事が所属される全国知事会の総務常任委員会では,昨年,条例により知事の在任期間の制限を求める声が上がりましたが,現在全国で5期目の知事はおられず,4期目の知事も石井知事を含めて7人しかおられません。このうち,来年,再来年で選挙を迎えられる知事も多く,いわばベテラン知事として,石井知事におかれましては願わくば長野知事以来の全国知事会長をねらっていただきたい。全国レベルでのさらなる活躍が期待されます。特に,昨今,政局がらみの国会の議論で時として地方財政が振り回されている,あたかも地方の生殺与奪の権限が国にあるようで,正直なところ,私は日々いら立っております。地方分権改革推進委員会の議論もどこまで地方に対して本気なのかわかりません。道州制特別委員会の委員長としても,ぜひとも知事には闘う知事会のトップに立っていただきたいと思います。真の地方分権の実現が叫ばれる時代にあって,全国知事会の役割,さらにその中での石井知事の役割,そして知事会長への思いをお知らせください。

 次に,岡山市の政令指定都市への移行や道州制に伴う県の役割についてお伺いいたします。
 岡山市が来春政令指定都市になって,今後岡山県の各種施設の中心的機能,いわゆるセンター機能をどこに置くべきかという議論が出てくると思いますが,特に指定管理者制度導入の中で,コストばかりを重視して,本来なぜその箱物が必要であるのか,そうした理念にさかのぼって考えられるべき施設のセンター機能に対して,県行政がいささか軽視されているのではないか,私はそのように感じております。
 例えば,岡山県国際交流センターは,確かに民間施設よりも利用料が安いということで,一般企業の研修等で頻繁に部屋の貸し出しを行われておりますけれども,本来の国際交流や国際貢献のセンター機能の観点からすれば,どれだけ地域やNGOと一体となって県内在住の外国人や留学生の方々に参加してもらって,例えば地球市民フェスタのようなイベントが行われるか,あるいは市町村のそういった活動のための研修会が開催されたかを問題にすべきであると思います。今後,岡山市が頑張れば頑張るほど,岡山市のそれが単独施策になってしまって,県内のほかの市町村や県行政と乖離してしまわないように,岡山市内にある県の施設の見直しに当たっては,まず岡山市と岡山県が一体になって県のセンター機能を考え直す必要があるのではないでしょうか。
 また,関連して,権限や財源を移譲すれば終わりというわけではなくて,政令市移行後も県と市の首長同士が緊密に連携をとりながら,いわばホットラインを保ちながら,さまざまな分野で密に連絡調整を行うことや連携することが必要だと思いますが,御所見をお聞かせください。
 また,道州制で中四国州の議論を今後展開していくというのは私は理解できるんですが,例えば50万都市の姫路市から岡山県への連絡というのを感じることが極めて難しくなっております。新幹線で25分の岡山と姫路の間にJRは多分今後も新快速を走らせてくれないんじゃないかなというふうに思うんですが,知事が中四国州をうたわれるばかりに,行政レベルでは県境でやはり関西圏と岡山は切れてしまって,限界を何かつくっているのが現実ではないでしょうか。
 ちなみに,ドクターヘリ導入の議論が兵庫県でもあるようですが,これは京都などと共同運航しようということでございますが,あるいはこうしたもの広域観光を含めて,岡山と兵庫の間に道州の境を置いて考えるのは現実的ではないと思います。多様な連携というのは考えられてしかるべきですが,このままでは関西広域連合と中四国州あるいは中国州のはざまで岡山が埋没するおそれがあるんじゃないか。その中で,兵庫県を含めた関西圏と岡山県の連携など,中四国州以外の枠組みでの連携をいかように考えておられるのでしょうか。知事にお伺いいたします。


(知事)  まず,全国知事会の役割等についてのお尋ねをいただきましたが,全国知事会は,全47都道府県が一致団結をいたしまして地方の発展とそして地方分権の実現に向けまして行動をしております団体でありまして,いわゆる地方六団体のまとめ役といたしましても重要な役割を担っておりまして,今般の地方分権の第二期改革に際しましても,権限移譲とか,あるいは国の出先機関の見直し等に関しまして国に対し具体的に提言を行うなど,活発な活動を行ってきております。私自身も,この中で総務常任委員会と道州制特別委員会の,この両方の委員長といたしまして地方税財源の充実強化あるいは道州制問題など,地方にかかわる重大な課題につきまして,微力ではありますけれども,先頭に立ちまして尽力をしてきているところであります。ただいま全国知事会会長とのお話をいただきました。光栄に思うところではありますけれども,私といたしましては,知事会内で今私に与えられております職責を全ういたしますとともに,地方分権改革の推進など,現下の諸課題の解決に向けまして引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えているところであります。

 次に,県の役割についてであります。
 まず,県施設のセンター機能でありますが,県の施設は,その目的,規模,機能,利便性,コストなど,さまざまな要因を総合的に勘案した上で,より効率的,効果的に施策を実施して,県全体で中心的な機能が果たせるように設置をしているところであります。
 岡山市の政令指定都市移行後におきまして,岡山市内にあります県施設を見直す場合におきましては,その施設の果たす機能につきまして改めて検証をいたしますとともに,岡山市の施策の動向も十分勘案をいたしまして,市の意見もお聞きをしながら進めてまいりたいと存じます。
 岡山市との連携でありますが,来年4月の政令市移行を契機といたしまして,市において県都にふさわしい都市機能の充実に向けた積極的な取り組みが行われることによりまして,県のイメージや知名度の向上,さらにはビジネスチャンスの拡大等も期待されるところであります。
 岡山市が政令市に移行いたしましても,都道府県と市町村という二層制の地方自治体の構造の中で県が広域的,総合調整的な役割を担うということに変わりはないところでありまして,県といたしましては,こうした効果を最大限生かしまして,県全体の発展につなげていくため,今後とも,岡山市と緊密な連携を図りながら諸施策に取り組んでまいりたいと考えております。
 関西圏との連携でありますが,本県と関西圏は従来から人的交流や経済,産業など,多くの分野で深い結びつきがありまして,これまでも広域観光等に連携して取り組みますとともに,現在策定が進められております近畿圏広域地方計画の協議会にも加わりまして,連携強化を推進しております。特に,隣県の兵庫県との間におきましては,災害時の相互応援協定の締結を初め,県境を接する県民局同士の連絡会議の開催とか,あるいは交通基盤の整備促進,漁場整備の調査など,幅広く連携を図ってきているところであります。県境を越えた広域的課題や共通の課題に適切に対応をしていくため,中四国はもとより,それ以外でも,特に兵庫県を初め,関西圏との連携につきましては引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。



<平成20年2月定例会>(2008年3月6日)

(佐藤)  また,「道州制議論に深く関与してきたが,実現への道筋を明らかにしていくことが私に課せられた責務と考えている」ともおっしゃられました。正直なところ,道州制の道のりは私自身も漠然としております。私は,何よりもやはり道州制の議論の根本は,800兆円を超える,要は国民1人当たり600万円もの借金を持つ我が国がこのままでは維持できないからこそ行政機構を組みかえることにある,そのように思っております。政令指定都市もしかりで,つまりそうしないと地域間競争に勝てない,生き残れないから,私は推進の立場に立っております。道州制,政令指定都市論は決してバラ色の話ではなくて,生きるか死ぬかの究極な選択の話ではないか。これをしなければ死ぬからそうするのだ。きれいごとではないと,私は考えております。そして,まごう方なく市町村といった基礎自治体が自立していく中で,県という機構をある意味破壊する,焦点は今後そこに移ってくるのではないでしょうか。言葉は,極めて適切ではないんですけれども,これからどんどん県がやり玉に上がってくる。ある意味自己否定を重ねていくしかない。ますます苦難の時代が待っていると,私は認識しております。はっきり言って,組織としてはもう余りよいことはないかもしれないな,それでもあしたの子供たちのために夢を掲げて闘っていくしかありません。ぜひとも,まずはこうした道州制への道筋を明らかにしていただきたいと思います。
 ところで,そのために大切なのは,当然ながら目標の具体的イメージでございます。例えば,20年後,私は今の知事の年齢になっておりますけれども,そのとき道州制が導入されていたとして,道州制が導入された後の岡山県庁,ここはどのようになっているでしょうか。(「州都」と呼ぶ者あり)はい,そうなればよろしいんですが。耐震構造のこの内山下の建物は何に使われているでしょうか。この議場は,やはりないでしょうか。県民局や支局はどうなっているでしょうか。経済産業局,農政局,地方整備局などの国の出先機関はどうなっているでしょうか。県内の市町村はどうなっているでしょうか。県庁職員の方々はどうなっているでしょうか。岡山県の抱える1兆2,000億円を超える借金は,どうなっているでしょうか。夢でも構いません。道筋を明らかにする,その目標の具体的なイメージを,それで我が国が救われるのか,私たちの子供たちのためになるのかどうかを含めて,そのイメージを教えてください。


(知事) そういった中で,道州制についてのお話をちょうだいいたしました。これはもう今のお話いただきました閉塞感あふれる地方の状態,格差の問題,そしてもっとはっきり言えば東京の一極集中,これをやっぱり変えていかないと,国際社会において日本の将来の発展はないと,こういう思いを私は強く持っております。もうとにかくいろんな企業が東京に集中しております。また,いろんなマスコミもそうでございますし,教育,文化,いろんな面が東京に集中しておりますけれども,やはりこれからの日本の将来ということを考えますと,それぞれの地域が光り輝くような,それぞれの地域が自主的主体的なまちづくりを進めていく,このことによって日本全体が勢いづいてくると,こういう思いであるわけでございまして,だとしますと,もう国は外交,防衛,司法,こういったような国家の基本的な国益の確保とか国家の存立にかかわるような事務に専念していただきまして,もう内政は地方にゆだねてください,道州がその受け皿になるんだと,そしてまた市町村が地方分権型の社会のその中心になるんだと,こういう思いであるわけでございまして,こういったような道州制を描きながら,私も議論に参画してまいりました。
 お話いただきましたような,例えば,この県庁の建物が,議事堂がどうなっていくんだとか,あるいは抱えております負債がどうなるのかと,こういったようなことの具体的なイメージは,残念ながらまだ描ける段階ではございません。だからこそ,逆にまた道州制の意義とかメリット,こういったものをわかりやすく県民の皆さん,国民の皆さんにお示しすることが最も肝要かと思います。間もなく私が参加しております道州制ビジョン懇談会,こちらの方で中間報告が出るわけでございまして,その中で政府としての審議会から一定の方針が出るということは,この議論が大きくこれによって加速してくるものと,このように思います。国の形を変えるような大改革であるわけでございまして,これを実現するためには,もう明治維新に匹敵するような,国民全体の大きなエネルギーが私は必要だと思っておりますけれども,地方分権改革の究極の姿といたしまして,私自身,我々の子やあるいは孫に,豊かで生きがいのある社会,これを残していくためにも,この問題は避けて通ることができない大きな問題であると,私は考えているところでございます。



<平成18年2月定例会>(2006年3月9日)

(佐藤)  関連して,河川管理についてお伺いいたします。さきの地方制度調査会の答申によれば,道州制が導入されれば一級河川が国の管理から移るとのことでございますが,国と県の河川管理の違いは,県庁前のゴルフ場並みに整備された旭川と雑草木が茂る笹ヶ瀬川のような二級河川の河川敷を比較すれば明らかであります。県の河川管理の考え方は,基本的にいじらないということでありますが,私は,河川敷は,農地やゲートボール場やマウンテンバイクのコース等に積極的に活用されればある意味でいい形のアダプトになると考えております。岡山ならではのそうした河川管理の方法はないものか,土木部長の御所見をお聞かせください。

(土木部長)  最後に,県独自の河川管理についてでございますが,ゲートボール場,公園など,公共性があり,治水上,利水上の支障がない場合は,河川敷の有効活用の観点から占用を認めてきたところでございます。県では,県民の方々との協働の観点から,おかやまアダプト事業といたしまして,地元の方々に御参加をいただきながら,河川の清掃や堤防等の草刈りを行うなどの取り組みを行っているところでございます。今後,岡山ならではの新たな河川管理の方策につきまして,河川のアダプト制度の充実に努めるなど具体的に検討してまいりたいと存じます。



<平成17年6月定例会>(2005年6月17日)

(佐藤)  特に,中四国州をもって県が道州制を目指すことについて,基礎自治体にもムードの盛り上げのための説明,そして何よりも協力要請が必要であると思いますが,いかようにお考えでしょうか。

(知事)  中四国州でありますが,道州制は地域の将来にとっても極めて重要な問題であります。これまでも,市町村関係者を対象といたしました道州制に関するセミナーを開催するなど,中四国州の意義等について理解を求めてきたところであります。今後とも,中四国州実現に向け,基礎自治体も含め,県民全体の機運が高まるように積極的に取り組んでまいりたいと思います。

(佐藤)  ところで,私はいつも気になるのですけれども,協働の相手方として企業や住民やNPOが言われますけれども,余り基礎自治体が言われないのはなぜでしょうか。知事が基礎自治体の首長の方と執行部の方々が現場の担当の方々がそれぞれ担当の方と連絡会議を持って意見交換ができる体制,協働企画会議で役割分担を決めて事業を計画するような行政間の協働体制は十分にとれているのでしょうか。いわんや,県民局であれば,常に関係自治体の担当者同士,さらには,トップとの連絡会議があって,市町村民でもある県民のための事業等の確認,調整等は恒常的に行われている必要があると思いますが,こうした会議の実施状況はいかがでしょうか。
 特に,中四国州をもって県が道州制を目指すことについて,基礎自治体にもムードの盛り上げのための説明,そして何よりも協力要請が必要であると思いますが,いかようにお考えでしょうか。

(知事)  連絡会議でありますが,私自身は,地域サミット等において,各市町村長と当面する行政課題等について率直な意見交換を行い,県政の推進に反映をさせるように努めております。県民局におきましても,市町村長等との会議はもとより,各担当部,課長会議を定期的に開催いたしますとともに,事業の推進に当たりましては,担当者間で意見交換や連絡調整を行うなど,常日ごろから市町村との連携を密にしているところでございます。今後とも,市町村との適切な役割分担のもと,地域の実情を踏まえた協働の県政の推進により一層努めてまいる所存であります。
 中四国州でありますが,道州制は地域の将来にとっても極めて重要な問題であります。これまでも,市町村関係者を対象といたしました道州制に関するセミナーを開催するなど,中四国州の意義等について理解を求めてきたところであります。今後とも,中四国州実現に向け,基礎自治体も含め,県民全体の機運が高まるように積極的に取り組んでまいりたいと思います。



<平成16年12月定例会>(2004年12月15日)

(佐藤)  さて,知事は,提案説明の中で,「変革の流れを的確にとらえ,岡山県の将来の姿を明確に示される」という表現をされ,特に,道州制の導入,さらには,その規模として中四国州を提唱されています。しかも,国民的な議論が展開されるよう,あらゆる機会をとらえて積極的に発言されるということですが,まず大切なのは,県民的な議論を起こすために,まずは県議会本会議の場で明確に方向を示していただくことではないか,そのように思います。もとより,私は,平成15年3月の21世紀の地方自治を考える懇談会の報告については,現実的な可能性と大いなる夢を感じております。市町村合併に一定の答えが出た後は,道州制,中四国州の実現のためにも,地方から,そして岡山から,県民一丸となって知事を応援させていただく,大きな夢を実現していこう,そういったムードづくりが何より大切ではないか,そのように考えております。この点,県民の皆様はホームページ等で情報を得られなくもないですが,経済団体等にも御協力いただいて,道州制シンポジウムのようなものを県内各地で開催し,機運を高めていく時期に,もう来ていると,そのように思いますが,いかがお考えでしょうか。
 ところで,知事は,21世紀の地方自治を考える懇談会を設置した平成13年9月の会見で,「道州制の枠組みは中四国州が適当」と表明され,平成14年9月の第14回中国四国知事サミットの際には,岡山県が提唱した中四国州の優位性が認められ,その実現の可能性をにらんで議論を深めることを,各県知事も了承されたものと理解しております。ただ,平成15年3月の21世紀の地方自治を考える懇談会報告書以降,市町村合併の問題がある程度落ち着き始めたところで,何か風向きが変わってきたように感じております。特に,この9月には,四国4県の経営者のアンケートで,「四国4県で1つの州に」という声が77%と,圧倒的であると伝えられ,11月15日には,広島県が道州制を導入し,中国5県を行政単位とする中国州の設置を目指す分権改革推進計画を発表しました。おまけに,藤田雄山広島県知事は,「州都は広島市が最適ではないか」と発言されております。もちろん,州都の議論は,道州制の中の重要な議論であるということは理解いたしますが,この点につきましては,知事は,「国と地方のあり方を抜本的に変えようと考えていく時期に州都はどこに置くかが先行すると,関係のない県で議論が進まなくなる」との認識を示され,「まずは大局的見地から議論を進めていきたい」と,大人の対応をされました。
 そこで,あえて私は,州都の議論は避けるべきだと考えますが,知事は中国四国地方の他県が,道州制,殊さら中四国州構想についてどう考えていると御認識なのか,また,なぜスウェーデン,ベルギーに匹敵する経済規模の中国州ではなく,オランダに匹敵する中四国州という枠組みでないといけないのか,改めてお知らせください。
 また,まずは今まさに国の財政再建の見地からないがしろにされる地方の問題とその後に発生する問題は,明確に峻別する必要があると思いますが,知事がおっしゃられる連携して国に立ち向かう分野と,近隣と競争すべき分野とは,具体的にどういったものを指すのでしょうか。また,道州制やその枠組みは,第三者や,ましてや国に決めてもらう筋合いではない。地方主権をもぎ取っていくためのまさに修練だと思いますが,そこまでの行程と岡山県挙げての目標に向かっていくためのハードルは何なのかをお知らせください。

(知事)  次に,道州制についての御質問でございます。
 機運の醸成でありますが,道州制は,この国のあり方や地域の将来にとりまして,これは極めて重要なテーマでありまして,私たち自身の問題として広く議論を展開していく時期に来ておると,このように考え,県民の皆様方に道州制導入の趣旨,それから県民生活にとっての意義,これを考えていただく上で,御提案ございましたシンポジウム等を開催するということは,大変効果的であると,このように私も考えておりまして,市町村や経済団体等とも連携をいたしまして,開催を検討してまいりたいと存じます。
 中四国州についてでありますが,中四国各県におきまして,道州制に対する考え方はまだまだ温度差がございます。中四国サミットや中国地方知事会の場での議論をさらに深めていく必要があるものと考えております。道州の枠組みを考える際には,一定の人口と経済規模を確保する必要があるということに加えまして,中四国地域におきましては,すぐれた景観と豊富な水産資源を有しております瀬戸内海の一体的な利活用や,太平洋から日本海に至るまでの高速道路網など,多軸循環型の地域構造を生かした戦略的な産業政策等を推進していく必要があると,こういうことが可能になってくるものと考えております。私といたしましては,以上のような点を総合的に考慮いたしまして,21世紀の分権時代にふさわしい自立力と競争力を備えた圏域といたしまして,当地域におきましては,中四国州を提唱しているものでございます。
 連携と近隣との競争についてのお尋ねがございましたが,まずは,三位一体改革が地方分権改革の本旨にかなう改革となりますように,地方全体が一致団結をして取り組んでいくことが重要でございます。この改革を成就させるとともに,真の分権型社会にふさわしい道州を実現していくためには,この道州の制度設計が国主導の議論とならないように,地方が連携,結束をいたしまして,具体的な姿を積極的に地方の側から提言提案をしていく必要があると考えております。
 また一方,地域におきましては,国への依存体質から脱却をいたしまして自立力を備え,全国一律,画一的な施策というものを転換いたしまして,創意工夫にあふれた産業振興や福祉政策などの分野におきまして,地域間競争を展開しながら,住民の満足度の高い分権型社会を構築していく努力を重ねていくということが重要であると考えているものであります。
 行程等でありますが,道州制の制度設計におきましては,平成18年3月に最終答申が取りまとめられる予定の,第28次地方制度調査会での議論が重要なかぎを握っていると,このように考えておりまして,この答申に向けました議論が国主導ではなくて分権の趣旨にかなうものとなりますように,私も全国知事会を代表して同調査会に参画をいたしておりますが,この調査会を初めさまざまな場で積極的に提言・発言をしてまいりたいと存じます。
 また,道州制実現に向けてのハードルというお尋ねでございますが,権限と財源の地方への移譲をいかに国の方から移譲してもらうかということを実現していくのか,国の出先機関を統合する上で生じてまいりますその余剰人員の処遇をどのようにしていくのかといった国との関係,これはもとより,現在の都道府県の枠組みが国民生活に深く根差しているという,その中で,いかに県民の理解を得ることができるか,あるいは道州の枠組みをどのように考えていくのか等々,課題は多いところでございますけれども,市町村や経済団体の御協力のもと,道州制に向けての県民全体の機運を高めながら,必ず実現をしてまいりたいと,こういう気概を持って臨んでまいりたいと思います。



<平成15年9月定例会>(2003年9月16日)

(佐藤)  さて,私は,県議会議員というものは全県的な視野から政策提言すべきであるし,特に,複数選挙区である岡山市のことについて,ことさら取り上げるべきではないのではないかとは思うものの,事が我が子のこととなれば,父ちゃんは黙っておられないわけでございます。おかげさまで,私の子供も2歳10カ月になりました。近ごろは,私が出かけるときには「また来てね」,帰ってきたら「いらっしゃいませ」と,しっかり言葉も覚えました。
 ところで,御案内のことと存じますが,いわば乳幼児医療費がただとなる乳幼児医療費公費負担制度の給付方式については,現物給付にしていただき大分楽になりましたが,岡山市においては対象年齢は3歳未満,我が子がこの制度の恩恵を受けるのもあと2カ月でございます。同じ中核市の倉敷市が,この10月から4歳未満から5歳未満に引き上げになりますが,中学卒業までとする7町村には遠く及ばず,岡山市は78市町村の最低ということで,同じ子育て世代の「おやこクラブ」のお母さん方から,何をやっとんのかとしかられているのでございます。子育て支援を言いながら,一番たくさん子供がいて,ひょっとすると一番親が税金を払っているかもしれない,そんな地域で,何でこうなるんと,これは素朴な疑問だと思います。そもそもが,岡山県の行う乳幼児医療費公費負担補助制度について,岡山市は平成8年の中核市移行以来,他市町村に比べて厳しい補助率となっています。これは,中核市倉敷市に対しても同じ傾向がありますが,全国35中核市を比較してみた場合,岡山県の補助率は最も低い水準となっています。調べてみますと,中核市,政令指定都市といった町の規模によって県が補助するのかどうか,さらにそれで幾ら補助するのかというのは,どうも必ずしも論理的な関係はないようであります。それは,対象年齢についても同様だと思います。逆に言えば,もちろん国の補助を前提にした話ではありますが,知事や基礎的自治体の首長の福祉政策の考え方に左右されるものだと思います。つまり,知事次第ということもあるのではないかというふうに私は思うのですが,はっきりしているのは,県同様財政難に苦しむ岡山市にしてみれば,子育て世代支援策としてせめて補助率を従前の2分の1に戻していただければ,対象年齢引き上げが少しでも容易になるという事実です。岡山市民の子育て世代と,そして子供たちを代表して,乳幼児医療費公費負担補助制度の補助率削減の理由を伺うとともに,補助率引き上げについての知事の御所見をお伺いいたします。
 また,学童地域支援事業については,放課後児童クラブの児童数や開設日数が国制度の基準を満たしていない場合,単県の上乗せ事業として運営費や障害児の受け入れ加算時の補助が実施されている事業です。しかし,岡山県の実施要綱では,これは要綱ですけれども実施主体は中核市を除くとされ,岡山市,倉敷市への運用はできない扱いになっています。改正の検討はできないのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 また,下水道事業の見直しの中で,合併処理浄化槽が大幅にふえてくると思われますが,合併処理浄化槽の補助金についても同様の問題があります。今後の方向をお知らせください。生活環境部長にお伺いいたします。
 関連して,産業廃棄物処理税に関しては,中核市にこれが交付されることを歓迎する声はありますが,思い起こせば国体の主会場の問題でも,岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例の改正について,これをめぐって岡山市議会では大変な議論もありましたし,最近では城下の駐車場でも議論がありましたが,岡山市に限らず対市町村に対して,原則的に県の事業は県のお金でやり,例外として,地元市町村に利益が生じる場合に生じるであろうというのが地元負担だと思うのですが,そもそもその基本理念がどういったものなのか,どういったときにどういった割合で地元負担が生じるのか,お知らせください。
 特に,たびたび指摘され,また提言もなされていますが,昭和32年公布の岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例そのものについて,特に岡山市に対して,また他市町村についても,他県に比べて負担率が非常に高率となっていますが,その理由,また適債事業に係る後年度の交付税措置が考慮されておらず,最終的に税制負担が不均衡になっている事業について,その根拠と今後の方向についてお知らせください。
 また,私は,今後市町村に対してあくまで対等な立場で十分な情報提供と意見交換の場が必要であると考えますが,今後の指針についてお知らせください。
 私がこうした一連の質問の中で申し上げたいこと,その思いでありますが,地方分権一括法施行後は,県と国の関係同様,市町村と県もまた対等協力関係にあるはずではないか,そういった思いであります。財政が逼迫しているのは,各市町村も同じことでありまして,真の地方分権,真の地方主権確立のためには,市町村という基礎的自治体が財政的にも自立していくことが重要であり,市町村の自立のために県は国と闘っていくんだ,あるいは県も市町村の自立を促していくんだ,そういう姿勢が今後ますます重要になってくると思います。
 そこに,大切なのは応分の負担の問題であります。逆に,そういった姿勢があらずして,県が国から自立できるわけはありませんし,もっと言えば,知事がおっしゃられる,県を解消して道州制にしていくという方向にはなり得ないと思います。そういった思いで質問をさせていただいております。
 岡山市との関係の最後に,岡山市,岡山県の連名で,申し出に基づき,内閣官房都市再生本部が,この7月18日に第3次の都市再生緊急整備地域を指定,政令公布し,岡山駅東・表町地域の47ヘクタールが指定されました。岡山市中心市街地のまちづくりにおいては,制度上の前提ができ,これからじわじわ効いてくる非常に重い意味があるものだと私は思います。県,市の連名で提出された意図,またこの地域は御案内のとおり,ザ・ハヤシバラシティ構想あるいは旧出石小学校跡地と現中央南小学校地等を念頭に置いたもので,さらに円滑な交通アクセスを確保するため,バスターミナルの整備を検討するとありますが,考えておられる県都岡山市の中心市街地の具体的なイメージをお知らせください。

(知事)  次に,乳幼児医療費公費負担補助制度についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては,市町村との役割分担の観点から,財政力の強い市につきまして補助率を見直すべきとの行財政改革懇談会の答申を受けまして,平成9年に策定をいたしました行財政改革大綱におきまして,岡山市の補助率を6分の1としたものであります。なお,財政力の弱い町村につきましては,6分の5あるいは6分の4という高い補助率も適用をしておる,これが岡山県の特徴でございます。
 現物給付化に伴います激変緩和措置も講じておりまして,岡山市,倉敷市に対しましては,平成16年度まで補助率を5分の1に引き上げているというところでございます。御質問にもございましたけれども,政令都市に対しまして一切もう補助をしてないという県もありましたり,あるいは中核市につきまして原則の補助率より若干数値を変えているもの等,他県におきましてもさまざまな補助率の適用状況は異なっているようでございますが,岡山県におきましてはそのような経過で現在の補助率としているものでございます。なお,第3次の行革大綱をこれから策定しようという厳しい状況下にあるところでございまして,何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 県建設事業費市町村負担金徴収条例の基本理念でありますが,これは県が行う建設事業によって特定の市町村に受益がもたらされる場合,受益市町村とその他の市町村との間の不均衡を是正をするために,その受益の範囲内において地元負担を求める,こういう考え方でございます。
 負担率等でありますけれども,本県の場合,総事業費から国庫支出金を控除した額に負担率を乗じて負担金を算出をしておるということでございまして,総事業費に対する市町村の負担率は他県と比べて高くなっているのではないかとの御指摘がございましたけども,そのようになっているとは考えておりません。例えば,広島県と比較をして都市計画国庫補助事業で見ましてもほとんど同じ数値と相なっております。岡山県が特に高いということではないと私は考えております。
 なおまた,交付税措置の違いによります財政負担の不均衡についてのお尋ねもございましたが,県と市町村との実質的な負担が同額となりますように,負担特例措置を講じているということでございます。県の起債に対して措置される交付税の額の,例えば半分だとしますと,その半分に相当する額を市町村の負担額から減額をすると,こういったようなことで,とにかく県と市町村が交付税が出る場合には,それも勘案して均衡するように特例措置を講じていると,こういうことでございまして,御理解を賜りたいと思います。今後とも,市町村の理解を得て事業を進めてまいりたいと,このように考えております。
 都市再生緊急整備地域でありますが,岡山市中心市街地の再生は,県,市双方にとって重要な課題であるということ,また国の意向もございまして,連名で申し出を行ったものであります。今回指定されました岡山駅東地区でございますが,駅前という立地特性を生かしました新規拠点の形成あるいは小学校跡地の活用等によります複合市街地の形成を,また表町地区におきましては,既存の商業集積等を活用しながら,多様な機能を持つ都市拠点の形成,これを目指しているものでございます。



<平成14年6月定例会>(2002年)

(佐藤)  さて,先日,市町村合併の後に来るであろう道州制の議論で,知事は中四国州構想について語られました。全国の知事に先駆けた道州制への具体的な構想,特に四国まで含めた州を考えたとき,唯一の鉄道併設橋である瀬戸大橋を持ち,全国一の高速道路の延長率を誇る交通拠点としての我が県の優位性にかんがみれば,中四国州の州政府,州都はどこに来るのか,そういう議論になり,非常に夢があると思います。願わくば,例えば20年後,石井州知事誕生の暁には,今度は州議会議員として支援させていただきたいものだなどと大きな夢を語りながら,早速通告に従い夢のある質問をさせていただきます。




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